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JPH11156563A - レーザ光による微小マーキング装置とそのマーキング方法 - Google Patents

レーザ光による微小マーキング装置とそのマーキング方法

Info

Publication number
JPH11156563A
JPH11156563A JP9323080A JP32308097A JPH11156563A JP H11156563 A JPH11156563 A JP H11156563A JP 9323080 A JP9323080 A JP 9323080A JP 32308097 A JP32308097 A JP 32308097A JP H11156563 A JPH11156563 A JP H11156563A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dot
liquid crystal
laser beam
marking
crystal mask
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9323080A
Other languages
English (en)
Inventor
Teiichiro Chiba
貞一郎 千葉
Akira Mori
彰 森
Takasuke Komura
隆輔 小村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Komatsu Ltd filed Critical Komatsu Ltd
Priority to JP9323080A priority Critical patent/JPH11156563A/ja
Publication of JPH11156563A publication Critical patent/JPH11156563A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】微小なドットマークであっても視認性に優れた
ドット形状を得ることと、かかる微小なドットを正確に
形成し得るためのドットマーキング装置とそのマーキン
グ方法を提供する。 【解決手段】レーザ発振器(10)と、前記レーザ発振器(1
0)から照射されるレーザビームのエネルギー分布を平滑
化するビームホモジナイザ(20)と、パターンの表示に合
わせて前記レーザビームを制御駆動して透過/非透過状
態にする液晶マスク(30)と、前記液晶マスク(30)の1ド
ットに対応して、前記レーザビームのエネルギー密度分
布を所要の分布形状に成形変換するビームプロファイル
変換手段(40)と、前記液晶マスク(30)の透過ビームをド
ット単位で半導体ウェハ表面に結像させるレンズユニッ
ト(50)とを備えており、前記液晶マスクの1ドットの最
大長さが50〜2000μmであり、前記レンズユニッ
トによる1ドットの最大長さが1〜10μmとする。こ
の装置により形成されるドットマークは穴開口の周壁が
急峻な傾斜で切り込まれた、例えば藤壺形状をなしてお
り、穴の内外明暗差が極めて大きいものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】本発明は半導体ウェハ表面の規格
位置、液晶基板などのガラス基板、ベアチップなどの電
極(パッド)、IC表面、各種セラミック製品、さらに
はICのリード部などの被マーキング物品の表面にマー
キングされる製品管理用あるいは各種セキュリティ用の
ドットマークのドット形状を微小化するとともに、その
光学的な視認性を向上させたドットマーキング装置と同
マーキング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、半導体製造工程にあっては、各
工程ごとに多様で且つ厳密な製造条件を設定する必要が
あり、これらを管理するために、半導体ウェハの一部表
面に数字、文字或いはバーコードなどからなるマーキン
グがドット表示される。しかして、半導体の製造工程数
は100工程以上にもおよび、しかも各工程において多
数の素子形成処理や平坦化処理がなされる。これらの処
理には、例えばレジスト塗布、レジスト上へのパターン
の縮小投影やレジスト現像、或いは銅配線などにより発
生するギャップの埋め込みのために絶縁膜や金属膜など
の各種の成膜による平坦化がある。
【0003】一方、上記ドットによるマーキングは、通
常、連続パルスレーザビームを光学系を介して半導体ウ
ェハの一部表面に照射することによりなされる。しか
も、このマーキングは一回に限らず、各製造工程の履歴
特性を知るためにも、各製造工程にて必要最小限の履歴
データをマーキングすることが多い。しかしながら、半
導体ウェハにおけるマーキングは極めて狭い領域に限ら
れているため、マーキングされるドットの大きさ及び数
にも限界があり、そのマーキング領域、ドットの大き
さ、ドット数がSEMI規格などにより規定されてい
る。
【0004】ドットマーキングがなされた半導体ウェハ
は、例えば特開平2−299216号公報に開示されて
いる如く、He−Neレーザのレーザ光の照射による反
射率の変化、或いは通常のレーザ光の熱波の振動の変化
として読み取られ、その読み取られた情報に基づき、以
降の製造工程における各種の製造条件が設定される。従
って、前述の読み取りが正確になされず、誤った情報と
して読み取る場合には、偶然を除くと全てが不良品とな
る。その読み取り不良の原因の大半はドットマーキング
によるマークの不鮮明さに基づいている。この不鮮明さ
の1つの要因としては、マークを形成するドットの深さ
が少ない場合に、上述の成膜によりドットが埋められて
しまうためであり、そのためドットの深さをある程度深
くする必要がある。
【0005】そこで、所要のドット深さを得ようとし
て、通常は1回の大エネルギーのレーザビーム照射によ
り半導体ウェハの一部をスポット状に溶融除去してドッ
トを形成しているが、この場合に溶融除去された溶融物
がドット周辺に高く堆積し、或いは飛散してその飛散物
がドットの周辺部に付着し、素子形成を不可能にしたり
して品質に大きな影響を与える。更には、YAGレーザ
によるドットマーキングの場合には、YAGレーザの特
殊性により、或いはそのQスイッチ操作のためレーザ出
力に変動が生じやすく、ドットの深さや大きさにバラツ
キが生じる。
【0006】かかる不具合を解消すべく、例えば特開昭
59−84515号公報、特開平2−205281号公
報によると、比較的小さいエネルギーのパルスレーザ光
を同一ポイントに重複して照射するものがある。前者に
あっては、1個のドットを形成するにあたり各パルスご
とに順次ドット径を小さくして、同一ポイントに複数回
重複して照射し、ドットの孔径を順次小さくしながら深
いドットを形成しており、後者にあっては、1回目のレ
ーザパルス照射を1KHZ 以下の周波数とし、続いて照
射されるレーザパルスの周波数を2〜5KHZ の高繰り
返し周波数として、0.5〜1.0μm或いは1.0〜
1.5μmの深さのドットを形成している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかして、上記ドット
に対する読み取りの不鮮明さ(以下、視認性という。)
の原因の一つとしては上述の深さにあることも確かでは
あるが、ドットの深さが深くされていても、その開口部
の径が大きい場合には、例えば所要の深さを得るに十分
なレーザ光を照射する場合に、そのエネルギー密度は一
般にガウシアン分布であるため、全体としては滑らかな
曲面となってしまい、上述の如き読み取り手段では周辺
との差を判断しがたい場合が生じる。
【0008】一方、上記特開平2−205281号公報
にはドット深さについて上述の如く0.5〜1.0μm
或いは1.0〜1.5μmである旨が具体的に記載され
ているが、その径については何ら記載がなく、またその
ドット形状についてもガウシアン形状であると紹介され
ているに過ぎない。
【0009】また、上記特開昭59−84515号公報
の開示によれば、第1回目のドットの開口径が100〜
200μmに対して深さが1μm以下とあり、具体的に
は4回のレーザ光照射がなされることが記載されている
ことから、この場合のドット深さはせいぜい3〜4μm
である。また同公報の図面から、1回に形成されるドッ
ト形状もガウシアン形状に近似している。
【0010】従って、これらの公報に開示されたマーキ
ング方法によれば、所要のドット深さ及びある程度の均
整な大きさのドットが形成されるとは考えられるが、形
成されたドット形状は従来の形状に近く、従って、上記
視認性の点では相変わらず確実性に欠けているといわざ
るを得ない。また、形成されるドットの大きさ(径)に
ついてみても、これを微小にするという点について格別
の開示がなされていないことから、従来の寸法を変更す
るものではなく、従って現時点における、例えばSEM
I規格で規定された数値を踏襲しているに過ぎず、ドッ
ト数及びドット形成領域についても実質的には大幅な増
加が期待できない。
【0011】本発明は、かかる従来の課題を解消すべく
なされたものであり、その具体的な目的は、微小である
にも関わらず視認性に優れたドット形成を可能にする被
マーキング物品に対するドットマーキング装置とその方
法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用効果】前記目的は
本件請求項1〜19に記載された各発明により達成され
る。本発明者等は従来のこの種のドットマーキング装
置、方法及び形成されるドット形状について改めて詳し
い検討及び分析を行ったところ、微小であるにも関わら
ず視認性を確実にする要因は主にドット形状にあり、そ
の理想的な形状を得るためには従来のマーキング装置及
び方法では実現が不可能であることを知った。
【0013】すなわち、例えば図18に示し、上記特開
平2−205281号公報にも開示されているように、
従来のマーキング装置によれば、先ず半導体ウェハに印
字するための文字入力、マーキングモードが入力部18
で設定される。マーカーコントローラ16は、設定され
たマーキングモードに従って所定の深さをもつドットを
ウェハ15にマーキングするため、超音波Qスイッチ素
子2、内部シャッタ5、外部シャッタ7、アッテネータ
(光減衰器)12及びガルバノミラー13を制御し、1
個のドットに対して1回のQスイッチパルスでマーキン
グする。なお、同図中の符号1は全反射鏡、3は内部ア
パーチャ(モードセレクタ)、4はランプハウス、6は
出力鏡、8はアパーチャ、9はレベリングミラー、10
はガリレオ式エキスパンダ、11はアパーチャ、14は
f−θレンズ、17はYAGレーザ発振器である。
【0014】かかる一般的なマーキング方式によると、
既述したとおり半導体ウェハ表面に照射されるレーザ光
のエネルギー密度分布はガウシアン形状を呈しているた
め、ウェハ表面に形成されるドットもそのエネルギー密
度分布に影響されてドット内面がなだらかな曲面をな
す。これらのマーキング方式は米国特許第4,522,
656号の発明に基づいている。この特許の特徴は、マ
ーキングするドット径の1.5〜6.5倍の径をもつレ
ーザ光径をウェハ表面に照射することで、周囲への熱伝
導を防止し、エネルギーを効果的に利用して、照射ポイ
ントの中央部を溶融して穴を形成することにある。つま
り、レーザ光が有するガウシアン形状に分布されたエネ
ルギー密度を有効に利用する方法であって、前記エネル
ギー密度分布形状の裾野にあたるレーザ強度の低い部分
のエネルギーを穴加工部の周辺に照射することによって
穴周辺部を暖め、穴中央部からの熱伝導による熱エネル
ギーの損失を防ぎ、中央部に効果的に穴加工を実現しよ
うとするものである。しかしながら、レーザエネルギー
の一部が直接穴加工に使われず消費されることになり相
変わらず非効率的であるばかりでなく、穴の周囲へのレ
ーザ照射により穴周辺部に熱履歴が残り、そのため製品
に悪い影響を与えかねない。
【0015】本発明は、上述の課題を解消することを目
的としてなされたものであり、具体的には微小なドット
マークであっても視認性に優れたドット形状を得ること
を第1の目的とし、かかる微小なドットを正確に形成し
得るためのドットマーキング装置とそのマーキング方法
を提供することを第2の目的としている。他の目的は、
以下に説明により更に明らかにされる。
【0016】
【課題を解決するための手段及び作用効果】前記目的
は、本件請求項1に係る発明の構成をなすレーザを光源
として被マーキング物品の表面に文字、バーコードなど
をマーキングするマーキング装置であって、レーザ発振
器と、前記レーザ発振器から照射されるレーザビームの
エネルギー分布を平滑化するビームホモジナイザと、パ
ターンの表示に合わせて前記レーザビームを透過/非透
過駆動される液晶マスクと、前記液晶マスクの1ドット
に対応して、前記レーザビームのエネルギー密度分布を
所要の分布形状に成形変換するビームプロファイル変換
手段と、前記液晶マスクの透過ビームをドット単位で半
導体ウェハ表面に結像させるレンズユニットとを備えて
なり、前記液晶マスクの1ドットの最大長さが50〜2
000μmであり、前記レンズユニットによる1ドット
の最大長さが1〜15μmであることを特徴とするレー
ザビームによる微小マーキング装置により達成される。
【0017】ここで、本発明における加工対象としての
被マーキング物品は、半導体ウェハ、液晶基板などのガ
ラス基板、ベアチップなどの電極(パッド)、IC表
面、各種セラミック製品、さらにはICのリード部など
がある。また、前記半導体ウェハとは、シリコンウェハ
それ自体である場合が代表的ではあるが、その他にウェ
ハ表面に酸化膜(SiO2) や窒化膜(SiN) が形成されたも
の、更にはエピタキシャル成長させたウェハ、ガリウム
砒素、インジウムリン化合物が表面に形成されたウェハ
をも含むものである。
【0018】穴に対する上記視認性に関しては、穴とそ
の周辺における光の反射方向及びその反射量に大きな差
がある場合に視認性が高くなることは理解できよう。従
って、既述したとおり穴が開口径との関係において相対
的に深い場合には視認性が高くなることは、一定の入射
角度で入射された穴内部における反射光はその反射方向
が一律ではなく乱反射するため、穴の開口から外部に出
射して来る反射光が少なくなり、一方で穴周辺部が平滑
面であることを前提とすれば、その周辺部における反射
光は一定方向に反射することから明度が高くなる。その
明暗の差が大きい場合に視認性は高くなるといえる。
【0019】図16(a)は穴径に対する深さが相対的
に浅く、同時に既述したように穴周辺部に溶融して堆積
した部分を有するドット形状をもつ従来の穴の反射光の
方向と穴の視認性を示している。この図からも理解でき
るように、前記堆積部分及び穴底面において穴周辺部と
同一方向に反射する反射光が存在する。そのため穴の反
射光とその周辺部における反射光との間に余り明暗の差
が発生せず、視認性が低くなる。これに対して、図16
(b)からも明らかなように、穴径に対する深さが相対
的に深く、同時に既述したように穴周辺部に溶融堆積物
が存在しない平滑面からなるドット形状の穴では、その
周辺部の反射光は方向性が得られるにも関わらず、穴内
部からの反射光が殆どなくなるため、穴とその周辺との
間の明暗差は大きくなり、視認性も高くなって、ドット
の読み込みが確実になされるようになる。
【0020】視認性を高くする穴形状について、更に詳
しく検討を加えたところ、穴の縦断面において開口部に
おける内壁面が急峻な角度で傾斜するほど、穴とその周
辺部との明暗差が大きくなることが判明した。最も、典
型的な穴形状としては藤壺型で深い形状をもつことが望
ましい。
【0021】そして、かかる形状の微小ドットを形成す
るには、1ドット単位に照射されるレーザ光の質及び量
に対する高精度な制御が必要である。大きなビーム径の
レーザ光から本発明でいう微小径のレーザ光を得るに
は、高品質で高出力のレーザ光が必要であるが、高出力
レーザによる回析現象のため、これ以上小さく絞ること
は困難であり、また仮に小さく絞れたとしても、レンズ
の射出角が大きくなり、焦点深度が極めて小さくなっ
て、実加工ができるとは考えがたい。また、解像度など
の点からも超精密のレンズ系が要求される。かかるレン
ズ系を装備させる場合には、その設備費が一段と高騰
し、経済性の観点からも適用は不可能である。
【0022】そこで、本発明者等は更に検討を進めた結
果、通常のレンズ系をもってドットマークの微小化を実
現するには、レーザ発振器から出射されるレーザ光自体
を1ドットのマーキングに必要且つ十分なエネルギーを
もつ小径のレーザ光に分割変換するとともに、各ドット
単位のレーザ光のエネルギー密度分布を前述の穴形状に
加工するに相応しいプロファイルに変換することが必要
であることを知った。そして、かかる好適で且つ均整な
プロファイルを成形するには、その前段階にて前記変換
される以前の各ドット単位のレーザ光におけるエネルギ
ー密度分布を平滑化しておく必要のあることも分かっ
た。
【0023】前記微小化のための光源を得るには、中央
制御部に書き込まれた各種データに基づいて液晶マスク
の各液晶単位で任意に光の透過・非透過を駆動制御でき
る液晶がマトリックス状に配列された液晶マスクを採用
することが合理的である。
【0024】また、エネルギー密度分布がガウシアン形
状をもつレーザ発振器から出射されるレーザ光のエネル
ギー密度分布を、例えばトップハット形状に類似した平
滑化された形状に変換するには、例えばフライアイレン
ズやバイナリーオプティクス、シリンドリカルレンズを
使用したマスク面上を一括して照射する方式や、ポリゴ
ンミラー、ミラースキャナなどのアクチュエータにより
ミラー駆動してマスク面上をビーム操作する方式を備え
たビームホモジナイザを採用することができる。
【0025】更に、前述のビームホモジナイザによりエ
ネルギー密度分布が平滑化されたレーザ光を、上述の好
適な穴形状が得られるエネルギー密度分布のプロファイ
ルに再変換するビームプロファイル変換器としては、例
えば後述するように回析光学素子、ホログラフィック光
学素子、吸収/透過領域を備えた開口マスク或いは液晶
マスク、凹型又は凸型のマイクロレンズアレイなどが挙
げられる。
【0026】すなわち、本発明にあって、図3は前述の
ごときレーザ発振器から出射され、ビームホモジナイザ
によりエネルギー密度分布が平滑化されたビームのエネ
ルギー密度分布を、上記ビームプロファイル変換器によ
り更に様々な形状の穴加工に対応するエネルギー密度分
布のプロファイルに変換したときに得られる各種の穴の
形成過程を模式的に示している。
【0027】この図において注目すべき点は、レーザ光
の光軸付近のエネルギー密度を少なくし、或いは無くす
ことにより内壁面が急峻な傾斜角度をもつ穴形状が得ら
れることである。勿論、これらの図は模式的なものであ
るから、極端に描かれてはいるが、前述のエネルギー密
度分布形状を適当に選択すれば、多様な形状の穴が得ら
れることは、その後の実験により立証されている。
【0028】半導体ウェハ表面に形成される本発明にお
ける微小ドットとは、1ドットの最大長さが50〜20
00μmである液晶マスクを透過するレーザ光がレンズ
系を通して得られる縮小結像、すなわち液晶マスクを透
過するレーザ光の1ドットの一辺長さがレンズユニット
を通して1/50〜1/200に縮小され、ウェハ表面
に1ドットの最大長さが1〜15μmとされて照射され
ることより形成されるドットマーク寸法である。
【0029】これらの値は、例えばSEMI規格で許容
されるドットマーク寸法の最大限の値である100μm
と比較すると、3/20 〜1/100であって、如何
に微小な寸法であるか理解できよう。
【0030】一方で、既述したように半導体基板の複数
の製造工程にあっては、その各工程でマーキング部分に
成膜やエッチングなどが繰り返されるため、徐々にその
表面が荒れてきたり、或いはマーク穴が浅くなる可能性
が高い。特に、前述のごとき微小な径をもつドットマー
クでは、その影響を受けやすく上述の視認性を著しく低
下させる。
【0031】そこで、本件請求項2に係る発明にあって
は、上記構成に加えて前記1ドットごとの加工深さを
0.5〜10μmと規定している。上述の穴形状に加え
てその加工深さを0.5〜10μmと規定することによ
り、たとえマーキング部分に成膜やエッチングなどが加
工が繰り返しなされても、ドットマークと周辺との間に
明暗差が維持され、視認性が確保される。
【0032】一般に、この種のレーザ光によるドットマ
ーキングは、ウェハ表面にパーティクルが飛散して付着
することを防止するため、主にソフトマークと呼ばれる
溶融現象を利用した穴加工がなされており、穴周辺に盛
り上がり部が形成され、レーザ光のエネルギー密度分布
形状と異なったものとなる。図4(a)は従来のガウシ
アン形状のエネルギー密度分布をもつ一般的なレーザ光
により形成される穴形状を示しており、同図(b)は本
発明により形成される穴形状を示している。また、図5
(a)(b)は前記穴形状をもつ各ドットマークを光学
的読み取り装置により読み取ったときの、穴とその周辺
部との明暗差を示している。
【0033】これらの図から理解できるように、従来の
ソフトマークでは、穴が浅いことと、その縦断面形状が
なだらかな曲面をなすに過ぎないため、元々が穴と周辺
部との明暗差が少なく、しかも、例えば化学機械的研磨
(Chemical Mechanical Polishing 、以下CMPとい
う。) などの処理により穴表面が削られ、或いは穴に厚
い膜が形成されるなどして、更に穴深さが浅くなり、穴
とその周辺部との明暗差が更に低下することになる。
【0034】これに対して、本発明のごとくビームプロ
ファイル変換器によりレーザ光のエネルギー密度分布形
状を、急峻な傾斜角度を有し、且つ深い穴形状を得るに
適した形状に変換して形成される穴形状によれば、マー
キング後に複数の成膜処理やエッチングなどがなされて
も、上記明暗差の低下が少なく、視認性が永く維持され
る。
【0035】請求項3に係る発明は、上記ビームプロフ
ァイル変換手段を前記液晶マスクの前後のいずれに配し
てもよいことを規定している。すなわち、レーザ発振器
から出射されるレーザ光を、一旦ビームホモジナイザを
通して尖頭値が均整に揃ったエネルギー密度分布をもつ
プロファイルに成形したのち、これを液晶マスク又はビ
ームプロファイル変換器を通して各ドット単位に分割
し、各ドットごとに上述のごとく所望の形状で且つ同一
形状のプロファイルをもつエネルギー密度分布に変換す
る。
【0036】しかして、請求項4に係る発明は前記液晶
マスクとビームプロファイル変換器との配置間隔を規定
している。これはウェハ表面に照射される結像に崩れを
生じさせない点で重要な要素をなすものである。つま
り、前記液晶マスクの1ドットの最大長さを、前記ビー
ムプロファイル変換手段と前記液晶マスクとの配置間隔
の0.1〜10倍に設定する。かかる範囲に前記配置間
隔を規定することにより、ウェハ表面に照射される結像
に崩れが生じない。
【0037】更に請求項5に係る発明にあっては、ウェ
ハ表面にドットマーキングのための穴加工を施すに必要
十分なレーザ光エネルギーを付与するため、例えば液晶
マスクの駆動電圧を制御して前記液晶マスクの透過率を
制御し、或いは同時に前記ビームプロファイル変換手段
によるエネルギー密度分布形状を変更させて、レーザ光
のエネルギー及び/又はその尖頭値の形状を制御する。
【0038】そして、前記ビームプロファイル変換手段
としては、通常、請求項6〜8に記載するごとく、回折
現象を利用する光学部材、反射現象を利用する光学部
材、或いは屈折現象を利用する光学部材などを採用でき
る。また、最も望ましいドット形状は藤壺型であり、こ
の場合のレーザ光のエネルギー密度分布形状は、図3
(b)に示すごとくガウシアン形状の尖頭部分を凹状に
陥没する形状に設計する。勿論、本発明にあって、ドッ
ト形状は前述の藤壺型に限定されるものではなく、例え
ば同図(c)に示すごとく穴底面を凹凸にするため1ド
ット単位のレーザ光を更に複数に分割したエネルギー密
度分布形状を採用する場合もある。
【0039】本発明の微小マーキング方法は、以上の微
小マーキング装置を使って実施される。その代表的な方
法が、請求項9に係る発明であり、前記ビームホモジナ
イザにより前記レーザ発振器から照射されるレーザビー
ムのエネルギー分布を均整化すること、1ドットの最大
長さが50〜2000μmである前記液晶マスクを駆動
制御して所望のパターンを形成し、前記ビームホモジナ
イザにより均整化されたレーザビームを前記液晶マスク
に照射すること、前記ビームプロファイル変換手段を前
記液晶マスクのドットマトリックスに対応する同一サイ
ズのドットマトリックスにて構成すること、前記ビーム
プロファイル変換手段を通過するレーザビームのエネル
ギー密度分布をドット単位で所望の形状に成形するこ
と、及び前記ビームプロファイル変換手段により所望の
形状に成形された1ドットごとの各レーザビームを、前
記レンズユニットにより1ドットの最大長さが1〜10
μmとなるように縮小して前記半導体ウェハ表面に結像
させることを特徴としている。更に、請求項13の発明
のごとく、前記1ドットごとの加工深さを1.5〜10
μmとすることが既述した理由から望ましい。
【0040】そして、前記液晶マスクに対するレーザビ
ームの照射は、請求項11及び12に記載しているとお
り、一括照射又は液晶マスクに対してレーザビームを走
査させて照射する方法が採用される。一括照射による場
合には、マークを分割して液晶マスク上にパターン表示
させることが望ましく、全てのマークを一括して照射す
る場合には装置の大型化につながりやすく、コストアッ
プと設備の専有空間の増加を招き、格別の事情がないか
ぎり採用しがたいが、走査方式を採用する場合には、こ
れらの課題はほぼ解消されるため、この走査方式の採用
が一般的である。前記分割方式又は走査方式を採用する
場合に、1回の照射範囲は、本発明にあって上記ホモジ
ナイザを通して変換されたトップハット型のエネルギー
密度分布形状のレーザ光にあって液晶マスクの100前
後のドット数の範囲を1回で捉えることができるもので
ある。勿論、レーザ出力とその断面形状により前記数値
範囲は異なることになる。
【0041】前記ビームプロファイル変換手段によるレ
ーザビームのエネルギー密度分布の変換は、請求項14
の発明のごとく前記液晶マスクの透過前又は透過後に変
換させればよく、この場合に請求項15の発明のごとく
前記ビームプロファイル変換手段と前記液晶マスクとの
配置間隔を前記液晶マスクの1ドットの最大長さの0〜
10倍に設定することが望ましい。更に、望ましくは請
求項16の発明のごとく前記液晶マスクの透過率などを
駆動電圧を制御するなどして制御し、その透過ビームの
エネルギー及び/又は尖頭形状を制御する。
【0042】
【発明の実施形態】以下、本発明の好適な実施の形態を
添付図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の
微小ドットマーキングを形成するためのマーキング装置
と、そのマーキング原理とを模式的に示した説明図であ
り、図2は液晶パターンに従った微小マーキングの形成
原理を同じく模式的に示す説明図である。
【0043】図1において、符号10はレーザ発振器、
20はビームホモジナイザ、30は液晶マスク、40は
ビームプロファイル変換器、50は結像レンズユニッ
ト、Wは半導体ウェハである。ここで、本実施例では被
マーキング物品として半導体ウェハを例示している。な
お、本実施例にあって前記半導体ウェハとは、シリコン
ウェハのみならず、同ウェハ表面に酸化膜や窒化膜が形
成されたもの、更にはエピタキシャル成長させた半導体
ウェハ、ガリウム砒素、インジウムリン化合物などによ
り成膜された半導体ウェハ一般を総称するものである。
【0044】本実施例にあっては、レーザ発振器10か
ら出射されるガウシアン形状のエネルギー密度分布を有
するレーザ光を、まずビームホモジナイザ20を通し
て、尖頭値がほぼ均一なトップハット型のエネルギー密
度分布形状(B)に成形する。
【0045】こうしてエネルギー密度分布が均一に成形
されたレーザ光は、次いで液晶マスク30の表面に照射
される。このとき、液晶マスク30は広く知られている
ように所要のマーキングパターンをマスク上に駆動表示
することが可能であり、図2に示すごとく前記レーザ光
は同パターン表示領域内の光透過可能な状態にあるドッ
ト部分を透過する。この各ドットごとに分割されて透過
したのちの各透過光のエネルギー密度分布も、前記ビー
ムホモジナイザ20により成形された形状(B)と同一
であって均一に分布されている。
【0046】本実施例にあって、前記液晶マスク30に
1回で照射する領域は、ドット数で5×10〜10×1
0個であり、これをレーザ光をもって一括照射するが、
かかるドット数では必要とする全てのドットマーク数を
満足し得ないことが多いため、マークパターンを数区画
に分割して順次液晶マスクに表示させ、これを切り換え
ながら組み合わせて全体のマークパターンをウェハ表面
に形成するようにしている。この場合、ウェハ表面に結
像させるときはウェハ又は照射位置を当然に制御移動さ
せる必要がある。かかる制御手法としては従来から公知
とされている様々な手法が採用できる。
【0047】本実施例にあっては、上記液晶マスク30
を通過したドット単位のレーザ光を、続いてビームプロ
ファイル変換器40に照射する。このビームプロファイ
ル変換器40は前記液晶マスク30のマトリックス状に
配された個々の液晶に対応して同じくマトリックス状に
配列されている。従って、液晶マスク30を透過したレ
ーザ光は、1対1に対応してドットごとに前記ビームプ
ロファイル変換器40を通過して、ビームホモジナイザ
20によりそれぞれに平滑化されたエネルギー密度分布
のレーザ光が本発明特有の微小な穴形状を形成するに必
要なエネルギー密度分布形状へと変換される。本実施例
では前述のごとく液晶マスク30を通過した後のレーザ
光を、ビームプロファイル変換器40を通過させて、そ
のエネルギー密度分布形状を変換しているが、液晶マス
ク30を通過させる前にビームプロファイル変換器40
を通過させて、そのプロファイルを変換させるようにし
てもよい。
【0048】ビームプロファイル変換器40を通過した
レーザ光はレンズユニット50により絞られ、半導体ウ
ェハWの表面の所定の位置に照射され、同表面に必要な
ドットマーキングがなされる。ここで、ミクロン単位の
マーキングを複数のウェハ表面に均一に形成しようとす
る場合には、そのマーキング面と集光レンズとの間の距
離や光軸合わせをミクロン単位で調節する必要がある。
本実施例によれば、焦点検出はレーザ顕微鏡などで一般
に使用されている共焦点方式で高さ計測を行い、この値
からレンズの縦方向の微小位置決め機構にフィードバッ
クさせて、自動的に焦点の位置決めがなされる。また、
光軸合わせや光学構成部品の位置決め及び調整は、一般
的に知られた方法が採用され、例えばHe−Neレーザ
などのガイド光を通じて、予め設定されている基準スポ
ットに適合させるべくネジ調整機構などによって調整す
る。この調整は組立時に一回だけ行えばよい。
【0049】上記ビームホモジナイザ20は、例えばガ
ウシアン形状のエネルギー密度分布をもつレーザ光を、
平滑化されたエネルギー密度分布の形状に成形するため
の光学部品を総称する。この光学部品としては、例えば
フライアイレンズやバイナリーオプティクス、シリンド
リカルレンズを使用して、そのマスク面上に一括照射す
るか或いはポリゴンミラーやミラースキャナなどのアク
チュエータによるミラー駆動によってマスク面上を走査
させる方式がある。
【0050】上記ビームプロファイル変換器40は、前
記ビームホモジナイザ20により平滑化されたエネルギ
ー密度分布を本発明に特有のドット形状を得るために最
適なエネルギー密度分布の形状に変換させるための光学
部品であり、回析現象、屈折現象或いはレーザ照射ポイ
ントにおける光透過率を任意に異ならせるなどして、入
射レーザ光のエネルギー密度分布のプロファイルを任意
の形状に変換するものである。
【0051】図3(a)〜(c)は、本発明によるビー
ムプロファイル変換器40で変換されるエネルギー密度
分布の形状に基づき形成されるドットマークの典型的な
形状例を示している。なお、同図はレーザ光による1ド
ット単位のドットマーキングの形成にあたっての過程を
示しており、同図に示すごとくビームホモジナイザ20
により平滑化されたエネルギー密度分布をもつレーザ光
は、ビームプロファイル変換器40により同図(a−
1)〜(c−1)に示すエネルギー分布形状(B)に変
換する。同図(a)では、尖頭値の大きいガウシアン形
状をなしており、これを結像レンズユニット50を通過
させて、縮小された像を半導体ウェハWの照射ポイント
に照射すると、ウェハ表面にはドット深さの大きいドッ
トマークが形成される。
【0052】同図(b)では、ビームホモジナイザ20
により平滑化されたエネルギー密度分布をもつレーザ光
が、ガウシアン形状の頂上付近が凹状に陥没したエネル
ギー密度分布形状(B)に変換されている。これを結像
レンズユニット50により縮小させて、半導体ウェハW
の照射ポイントに照射すると、同図(b−1)に示すご
とくウェハ表面にはドット深さが深く、且つその内壁面
が底面に向けて急峻な傾斜角度で落ち込む形状に形成さ
れる。また、同図(c−1)に示すごとくビームホモジ
ナイザ20により平滑化されたエネルギー密度分布をも
つレーザ光をビームプロファイル変換器40により複数
のガウシアン形状のエネルギー密度分布に変換すると、
前述のようにして形成されるドット形状は同図(c−
2)に示すごとくドット内周壁面が急峻に落ち込むとと
もに、底部が凹凸面となったドット形状が得られる。
【0053】こうした形状を有する本発明装置により形
成されるドットマークは、例えば図4(a)に示す従来
のドットマークの形状と異なり、図5に示すごとくドッ
トとその周辺との明暗に大きなコントラストが得られ、
以降に多様な処理がなされてもマーク読み取りに誤りが
生じない。つまり、既述したとおりドット径に対する深
さが相対的に深く、同時にドット周辺部に溶融堆積物が
存在しない平滑面からなる形状のドットマークでは、そ
の穴周辺部の反射光には方向性が得られ、穴内部からの
反射光は内部で散乱して殆どなくなるため、穴とその周
辺との間の明暗差が大きくなり、視認性も高くなって、
ドットの読み込みが確実になされるようになる。更に、
前記ドットの縦断面における開口部分の内壁面が急峻な
角度で下方に傾斜するほど、微小な寸法からなるドット
マークであっても穴とその周辺部との明暗差が大きくな
り視認性が更に確保される。
【0054】本発明にあって、微小なドットマークとは
最大長さが1〜15μmの寸法範囲にあり、穴深さが
0.5〜10μmにある。このような寸法のドットマー
クを形成するには、縮小レンズユニットの解像度などに
よる半導体ウェハWの表面の照射ポイントにおける結像
に崩れを生じさせないようにするため、上記液晶マスク
の1ドット当たりの1辺長さが50〜2000μmであ
ることが必要である。更には、前記ビームプロファイル
変換手段と前記液晶マスクとの配置間隔が余り大き過ぎ
ても或いは小さ過ぎても、周辺の光線の影響を受け或い
は光軸の不安定さの影響を受けて、半導体ウェハ表面の
結像に乱れを生じやすい。そこで、本発明にあっては、
図17において前記ビームプロファイル変換手段40と
前記液晶マスク30との配置間隔Xを前記液晶マスク3
0の1ドットの最大長さYの0〜10倍に設定する必要
がある。かかる範囲に前記配置間隔を規定することによ
り、ウェハ表面に照射される結像が鮮明なものとなる。
【0055】次に、本発明の上記ビームプロファイル変
換器40によるレーザ光のエネルギー密度分布の変換方
法を具体例に基づいて説明する。図6及び図7は回析現
象を利用したビームプロファイル変換器によるエネルギ
ー密度分布の変換説明図である。本実施例では、回析光
学素子(Diffractive O-ptical Element) を使用してい
る。図6(b)は5×5ドットの液晶マスク30と、こ
れに対応して配された同じく5×5ドットの回析光学素
子からなるビームプロファイル変換マスク40−1とを
平行に配設した模式図である。図6(a)は前記液晶マ
スク30を介して前記ビームプロファイル変換マスク4
0−1を透過したときのレーザ光のエネルギー密度分布
の変換状態を示している。図7は前記回析光学素子の構
造を模式的に示した平面図であり、同図に示すごとく回
析光学素子を透過するレーザ光中の矩形外周部はそのま
ま透過し、中央部に入射されるレーザ光は外周方向に回
析される。
【0056】すなわち、前記ビームホモジナイザ10に
より尖頭値が平滑化されたレーザ光は、前記ビームプロ
ファイル変換マスク40−1の1素子に入射されると、
外周部の入射光は直線的に透過し、中央部の入射光は外
周側に回析して、図6(a)に示すごとく外周部に向か
うにつれてエネルギー密度が高くなり、中心部に向けて
エネルギー密度が漸減する密度分布形状となる。そし
て、前記回析の角度及び間隔はレーザ光の回析条件を決
定することにより算出される。かかるエネルギー密度分
布に変換されたレーザ光の縮小像が半導体ウェハ表面の
照射ポイントに照射されると、形成されるドットマーク
は周辺部に大きなエネルギーをもっているため穴周壁部
がエネルギー損失なく速やかに溶融加工されるとともに
穴中央部では周辺の強力な熱伝導により同様に溶融し、
図4(b)に示すごとく深く且つ縦断面が略矩形に近い
穴形状に形成される。
【0057】図8は前記実施例と同様に回析現象を利用
したビームプロファイル変換器の他の実施例の製作法を
示しており、同図によるビームプロファイル変換器とし
てはホログラフィック光学素子が用いられている。その
製作方法は、同図に示すごとく後述する開口マスク41
からのプロファイルをリレーレンズ42及びハーフミラ
ー43を介してフィルムタイプの透過型ホログラム44
上に結像させ、これを物体光として均一な参照光と干渉
させることにより、前記ホログラム44上に干渉縞を記
録する。このホログラム44に前記参照光と同様の一様
なプロファイルの再生光(例えば、液晶マスク30を透
過したレーザ光)を入射させることにより、ホログラム
44上に開口マスク41に存在したビームプロファイル
が再生される。こうして製作されるホログラフィク光学
素子は、上記実施例におけるビームプロファイル変換マ
スク40−1と類似の光学素子として取り扱うことがで
きる。
【0058】なお、前記開口マスク41は、例えば図7
に模式的に示すごとく矩形外周領域を遮光部41aと
し、中央領域を矩形の回析格子状の半透過部41bと
し、その中間領域を透過部41cとして構成する。本発
明にあっては、図10に示すように前記開口マスク41
の半透過部41bを単なる半透過部として構成し、これ
をそのままビームプロファイル変換器として利用するこ
とも可能である。
【0059】図11は同開口マスク41をマトリックス
状に配したビームプロファイル変換器と同開口マスク4
1を透過したレーザ光のエネルギー密度分布を示してい
る。同図から理解できるように、平滑化されたレーザ光
は開口マスク41を透過すると半透過部を透過する光量
が最も大きく且つ均一であり、中央部を透過する半透過
光は矩形状の光量が半減化されたエネルギー密度を有し
ている。このように変換されたエネルギー密度分布をも
つレーザ光を半導体ウェハWの表面に照射すると、上記
実施例と同様に熱の逸散がなく効率的に且つ初期の穴形
状をもつドットマーキングがなされる。
【0060】図12は光透過型の液晶マスクを利用した
ビームプロファイル変換器の実施例を示している。同図
によれば1ドットのマーキングに対して3×3ドットの
液晶マスク45を使用する。そして、この液晶マスク4
5の中央の液晶を非駆動状態におき非透過状態とする。
一方、その他の液晶を駆動して透過状態とする。かかる
構成により、前記液晶マスク45に平滑化されたレーザ
光を入射すると、図11(a)に示したエネルギー密度
分布のレーザ光に変換されることになる。液晶マスク4
5のドット数を増加させれは、任意の透過部及び非透過
部からなるパターンが形成できる。
【0061】図13は屈折現象を利用したビームプロフ
ァイル変換器とそのエネルギー密度分布の変換状態の実
施例を示している。同図に示す例は、ビームプロファイ
ル変換器47として凸型のマイクロレンズアレイをマト
リックス状に配置しており、同ビームプロファイル変換
器47をドット単位で通過したレーザ光のエネルギー密
度分布は、同図(a)に示すごとく細長いガウシアン形
状を呈し、その形状を任意に絞れば開口寸法と比較して
穴深さの大きいドットマーキングが形成される。
【0062】図14は単にマトリックス状に多数の開口
を形成した開口マスクをビームプロファイル変換器48
として利用する例を示している。この例によれば、回析
現象を利用して開口の大きさや形状を変更することによ
り、ビームプロファイル、すなわちビームの形状そのも
ののを任意に制御できる。例えば、前記開口の形状を図
15(a)のごとく方形とする場合には、その方形の開
口を通過するビームホモジナイザ10によりエネルギー
密度分布が平滑化されたレーザ光は略円形に近いレーザ
光に変換され、同図(b)に示すごとく方形の各辺を内
側に括った開口形状を採用する場合には、同開口を通過
後のレーザ光は略方形断面を有することになる。
【0063】以上の説明からも明らかなように、本発明
に係るドットマーキング装置及びマーキング方法によれ
ば、半導体ウェハ表面に従来の3/20 〜1/100
の大きさの微小なドットマーキングを形成することがで
きる上に、そのドット形状が穴径に比して深さが大き
く、しかも穴の周壁が急峻な角度をもって下方に傾斜し
た本発明特有の形状が任意に得られるため、マーキング
後にウェハ表面に多様な成膜処理などがなされて各ドッ
トに被膜が形成されても、その穴内部と周辺との明暗差
が確保され、以降の読み込みが正確になされる。なお、
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、それら
の実施例から当業者が容易に変更可能な技術的な範囲を
も当然に包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微小ドットマーキング装置とレーザ光
のエネルギー密度分布(ビームプロファイル)の変換過
程を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明装置における液晶マスクの表示パターン
に従って形成されるドットマークとレーザ光のエネルギ
ー密度分布の変換過程を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明装置におけるビームプロファイル変換器
によるビームプロファイルの変換形状に基づき形成され
るドット形状例の説明図である。
【図4】従来のドットマークと本発明によるドットマー
クとその反射光の進路比較図である。
【図5】従来のドットマークと本発明によるドットマー
クの明暗差を模式的に示す比較図である。
【図6】回析現象を利用した上記ビームプロファイル変
換器を採用したときのビームプロファイルの変換形状の
一例を模式的に示す説明図である。
【図7】前記ビームプロファイル変換器に使用される回
析光学素子の平面図である。
【図8】回析現象を利用したホログラフィック光学素子
の製作法を示す説明図である。
【図9】同ホログラフィック光学素子によるビームプロ
ファイル変換器と同変換器によるビームプロファイルの
変換形状の一例を示す説明図である。
【図10】吸収/透過領域を有する開口マスクの平面図
である。
【図11】同開口マスクからなるビームプロファイル変
換器によるビームプロファイルの変換形状の一例を模式
的に示す説明図である。
【図12】液晶マスクを利用したビームプロファイル変
換器の一例を示す平面図である。
【図13】屈折現象を利用した凸型レンズアレイによる
ビームプロファイル変換器とビームプロファイルの変換
形状例の説明図である。
【図14】単純な開口マスクによるビームプロファイル
変換器を採用したドットマーキング装置の概略構成図で
ある。
【図15】単純な開口マスクの開口形状とその形状に対
応するドットマークの比較図である。
【図16】穴形状による視認性の説明図である。
【図17】液晶マスクとビームプロファイル変換器の配
置関係を示す説明図である。
【図18】レーザ光による一般的なドットマーキング装
置の一例を示す全体構成図である。
【符号の説明】
10 レーザ発振器 20 ビームホモジナイザ 30 液晶マスク 40 ビームプロファイル変換器 40−1 ビームプロファイル変換マスク 41 開口マスク 41a 遮光部 41b 半透過部 41c 透過部 45 液晶マスク 46〜48 ビームプロファイル変換器 50 縮小レンズユニット

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザを光源として被マーキング物品の
    表面に文字、バーコードなどをマーキングするマーキン
    グ装置であって、 レーザ発振器と、 前記レーザ発振器から照射されるレーザビームのエネル
    ギー分布を平滑化するビームホモジナイザと、 パターンの表示に合わせて前記レーザビームを透過/非
    透過駆動される液晶マスクと、 前記液晶マスクの1ドットに対応して、前記レーザビー
    ムのエネルギー密度分布を所要の分布形状に成形変換す
    るビームプロファイル変換手段と、 前記液晶マスクの透過ビームをドット単位で半導体ウェ
    ハ表面に結像させるレンズユニットとを備えてなり、 前記液晶マスクの1ドットの最大長さが50〜2000
    μmであり、 前記レンズユニットによる1ドットの最大長さが1〜1
    5μmである、ことを特徴とするレーザビームによる微
    小マーキング装置。
  2. 【請求項2】 前記1ドットごとの加工深さが0.5〜
    10μmである請求項1記載の微小マーキング装置。
  3. 【請求項3】 前記ビームプロファイル変換手段が前記
    液晶マスクの前後のいずれかに配されてなる請求項1記
    載の微小マーキング装置。
  4. 【請求項4】 前記液晶マスクの1ドットの最大長さ
    が、前記ビームプロファイル変換手段と前記液晶マスク
    との配置間隔の0.1〜10倍である請求項3記載の微
    小マーキング装置。
  5. 【請求項5】 前記液晶マスクの透過ビームのエネルギ
    ー及び/又は尖頭値の制御手段を備えてなる請求項1記
    載の微小マーキング装置。
  6. 【請求項6】 前記ビームプロファイル変換手段が回折
    現象を利用する光学部材からなる請求項1記載の微小マ
    ーキング装置。
  7. 【請求項7】 前記ビームプロファイル変換手段が反射
    現象を利用する光学部材からなる請求項1記載の微小マ
    ーキング装置。
  8. 【請求項8】 前記ビームプロファイル変換手段が屈折
    現象を利用する光学部材からなる請求項1記載の微小マ
    ーキング装置。
  9. 【請求項9】 前記ビームプロファイル変換手段による
    レーザビームの変換密度分布が、藤壺型のドット形状と
    なる形状である請求項5〜8のいずれかに記載の微小マ
    ーキング装置。
  10. 【請求項10】請求項1記載の装置を用いてなる微小マ
    ーキングの形成方法であって、 前記ビームホモジナイザにより前記レーザ発振器から照
    射されるレーザビームのエネルギー分布を均整化するこ
    と、 1ドットの最大長さが50〜2000μmである前記液
    晶マスクを駆動制御して所望のパターンを形成し、前記
    ビームホモジナイザにより均整化されたレーザビームを
    前記液晶マスクに照射すること、 前記ビームプロファイル変換手段を前記液晶マスクのド
    ットマトリックスに対応する同一サイズのドットマトリ
    ックスにて構成すること、 前記ビームプロファイル変換手段を通過するレーザビー
    ムのエネルギー密度分布をドット単位で所望の形状に成
    形すること、及び前記ビームプロファイル変換手段によ
    り所望の形状に成形された1ドットごとの各レーザビー
    ムを、前記レンズユニットにより1ドットの最大長さが
    1〜10μmとなるように縮小して前記被マーキング物
    品の表面に結像させること、を特徴とするレーザビーム
    による微小マーキング方法。
  11. 【請求項11】前記液晶マスクに対してレーザビームを
    一括照射する請求項10記載の微小マーキング方法。
  12. 【請求項12】前記液晶マスクに対してレーザビームを
    走査させて照射する請求項10記載の微小マーキング方
    法。
  13. 【請求項13】前記1ドットごとの加工深さが0.5〜
    10μmである請求項11又は12記載の微小マーキン
    グ方法。
  14. 【請求項14】前記ビームプロファイル変換手段による
    レーザビームのエネルギー密度分布の変換を、前記液晶
    マスクの透過前又は透過後に変換させる請求項10記載
    の微小マーキング方法。
  15. 【請求項15】前記ビームプロファイル変換手段と前記
    液晶マスクとの配置間隔を前記液晶マスクの1ドットの
    最大長さの0〜10倍に設定する請求項14記載の微小
    マーキング方法。
  16. 【請求項16】前記液晶マスクの透過ビームのエネルギ
    ー又は尖頭値を制御する請求項10記載の微小マーキン
    グ方法。
  17. 【請求項17】前記ビームプロファイル変換手段が回折
    現象を利用する光学部材からなり、同回析現象を利用し
    て前記レーザビームのエネルギー密度分布を変換する請
    求項10記載の微小マーキング方法。
  18. 【請求項18】前記ビームプロファイル変換手段が反射
    現象を利用する光学部材からなり、同反射現象を利用し
    て前記レーザビームのエネルギー密度分布を変換する請
    求項10記載の微小マーキング方法。
  19. 【請求項19】前記ビームプロファイル変換手段が屈折
    現象を利用する光学部材からなり、同屈折現象を利用し
    て前記レーザビームのエネルギー密度分布を変換する請
    求項10記載の微小マーキング方法。
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