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JPH11130554A - セラミック素材の接合構造 - Google Patents

セラミック素材の接合構造

Info

Publication number
JPH11130554A
JPH11130554A JP29567997A JP29567997A JPH11130554A JP H11130554 A JPH11130554 A JP H11130554A JP 29567997 A JP29567997 A JP 29567997A JP 29567997 A JP29567997 A JP 29567997A JP H11130554 A JPH11130554 A JP H11130554A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramic
pin
joining
ceramic raw
groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29567997A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuji Okuda
裕次 奥田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ibiden Co Ltd filed Critical Ibiden Co Ltd
Priority to JP29567997A priority Critical patent/JPH11130554A/ja
Publication of JPH11130554A publication Critical patent/JPH11130554A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接合強度に優れたセラミック素材の接合構造
を提供すること。 【解決手段】 第1のセラミック素材2の凹部4と、セ
ラミック接合剤を介して第2のセラミック基材3の凸部
5とを接合する。その際、嵌合部の凹部4及び凸部5の
少なくともいずれかの表面に溝7を形成しておく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック素材の
接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セラミック構造材は、耐熱性、耐食性に
優れており、各種治具として使用されているが、セラミ
ックは加工が困難で複雑な形状の治具を一体的に製造す
ることが困難であるため、それぞれ部分的に製造した素
材を組合せ、接合したものが使用されている。
【0003】接合構造の一例を図5に示す。セラミック
プレート22には凹部としてのピン嵌入孔24が設けら
れ、そのピン嵌入孔24には凸部としてのセラミックピ
ン23が嵌入されている。ピン嵌入孔24は大径部24
aと小径部24bとからなり、両者24a,24bの境
目は段部になっている。図5では、大径部24aのある
ほうが上側である。セラミックピン23は略円筒状であ
って、下半部25側にある端面には円形状の凸部26が
形成されている。そして、被嵌入部としてのセラミック
ピン23の下半部25は、ピン嵌入孔24に嵌入された
状態で、セラミック接合剤を介して接合されている。
【0004】このような構成の接合構造21は、例えば
次のような手順で作製される。まず、板状の成形体とピ
ン状の成形体とをそれぞれ作製し、かつそれらを所定温
度で仮焼成する。その結果、ある程度焼結した状態のセ
ラミックプレート22及びセラミックピン23が得られ
る。次いで、セラミックプレート22にピン嵌入孔24
を加工形成するとともに、セラミックピン23に凸部2
6を加工形成する。そして、あらかじめ用意しておいた
セラミック接合剤を塗布し、この状態でセラミックピン
23をピン嵌入孔24に嵌入する。このような組み立て
作業が終了した後、再び焼成を行う。すると、セラミッ
クプレート22、セラミックピン23及びセラミック接
合剤がともに焼結する結果、セラミックプレート22と
セラミックピン23とが接合され一体化した接続構造2
1が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来技術で
はセラミックプレート22とセラミックピン23との接
合部分の強度が弱かった。このため、接合部分に大きな
荷重や衝撃が加わると、接合部分の界面にクラックが生
じ、ピン嵌入孔24からセラミックピン23が容易に抜
けてしまうという問題があった。従って、高強度の接合
構造21を実現することができなかった。
【0006】本発明は上記の課題を解決するためなされ
たものであり、その目的は、接合強度に優れたセラミッ
ク素材の接合構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明では、第1のセラミック素
材に設けられた凹部と、第2のセラミック素材に設けら
れた凸部とが嵌合され、かつ当該嵌合部が接合剤を介し
て接合されてなる接合構造において、前記嵌合部の凹部
及び凸部の少なくともいずれかの表面に溝が形成されて
なることを特徴とするセラミック素材の接合構造をその
要旨とする。
【0008】請求項2に記載の発明では、請求項1にお
いて、前記溝は、セラミック素材の嵌合部に嵌入方向と
平行でないように形成された接合剤溜まり溝であるとし
た。請求項3に記載の発明では、請求項1において、前
記溝は、セラミック素材の非嵌合部まで連続して設けら
れた空気抜き溝であるとした。
【0009】以下、本発明の「作用」を説明する。請求
項1〜3に記載の発明によると、溝が形成されているこ
とで、両セラミック素材の界面に適正な量の接合剤を保
持させることができる。そのため、両セラミック素材同
士をより強固に接合することができる。
【0010】請求項2に記載の発明によると、接合剤溜
まり溝が形成されていることで、接合剤が溝内に埋まる
ことによるアンカー効果で、両セラミック素材同士をよ
り強固に接合することができる。
【0011】請求項3に記載の発明によると、セラミッ
ク素材を嵌合する際、嵌合部に取り残されている空気が
空気抜き溝に沿って送り出されることにより、嵌合部の
接合剤が空気によって押し出されることがない。このた
め、界面において確実に接合剤が介在した状態となり、
両セラミック素材同士をよりいっそう強固に接合するこ
とができる。なお、これに併せて上記の接合剤溜まり溝
が形成されている場合には相乗的な作用が奏されるた
め、両者がさらに強固に接合された状態となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明のセラミック素材の
接合構造を具体化した一実施形態を図1,図2(a)に
基づき詳細に説明する。
【0013】実施形態の接合構造1は、第1のセラミッ
ク素材としてのセラミックプレート2と、第2のセラミ
ック素材としてのセラミックピン3とからなる。図1は
それらの部分破断斜視図であり、図2(a)は接合状態
における部分断面図である。セラミックプレート2の複
数の箇所には、凹部としてのピン嵌入孔4が設けられて
いる。ピン嵌入孔4は断面円形状である。ピン嵌入孔4
は大径部4aと小径部4bとからなり、両者4a,4b
の境目は段部になっている。図1,図2(a)では、大
径部4aのあるほうが上側(ピン嵌入側)である。セラ
ミックピン3は略円筒状であって、下半部5側にある端
面には円形状の凸部6が形成されている。そして、セラ
ミックピン3の下半部5は、ピン嵌入孔4に嵌入された
状態で、セラミック接合剤を介して接合されている。
【0014】セラミックピン3は溝としての空気抜き溝
7を備えている。この空気抜き溝7はセラミックピン3
の外周面に形成されている。ここでは空気抜き溝7は1
本のみであって、セラミックピン3の嵌入方向(即ちセ
ラミックピン3の軸線方向)に対して平行にかつ直線的
に形成されている。また、空気抜き溝7の長さは、その
一端が完全嵌入時に上面から一部露出する程度にあらか
じめ設定されていることがよい。即ち、空気抜き溝7が
非嵌合部まで連続して設けられた状態となるからであ
る。
【0015】セラミックプレート2やセラミックピン3
は、板状の成形体とピン状の成形体とをそれぞれ作製
し、かつそれらを所定温度で仮焼成することによって得
られる。その際の出発材料としては、セラミック粉末に
バインダや分散剤等を配合して混練したものが用いられ
る。使用されるセラミック粉末としては、例えばβ型炭
化珪素粉末、α型炭化珪素粉末、窒化珪素粉末、窒化ア
ルミニウム粉末、窒化ほう素粉末、ジルコニア粉末、ア
ルミナ粉末、ムライト粉末等が挙げられる。セラミック
粉末の平均粒径は、0.10μm〜0.50μm程度、
好ましくは0.15μm〜0.30μm程度がよい。
【0016】例えば、セラミック粉末として炭化珪素粉
末を選択した場合には、仮焼成の温度は1500℃〜2
000℃程度に設定される。前記仮焼成によって得られ
るセラミックプレート2及びセラミックピン3は、少な
くとも接合面となる領域が研磨等によって面粗度(Rm
ax)が20μm〜100μm、好ましくは50μm前
後となるように処理されることがよい。このようにする
と、セラミック接合剤による接合作用を最大限に引き出
すことができるからである。
【0017】この後、セラミックプレート2の所定箇所
には、ドリル等によってピン嵌入孔4が加工形成され
る。また、セラミックピン3の一方側の端部には凸部6
が加工形成されるとともに、下半部5の外周面には溝加
工によって前記空気抜き溝7が形成される。なお、前記
空気抜き溝7は仮焼成後に加工形成されるばかりでな
く、仮焼成前に形成されることも可能である。ただし、
焼成時の熱による変形が避けられるため、細かい溝であ
っても精度よく形成することができるという点におい
て、仮焼成後の形成のほうが好ましい。
【0018】また、空気抜き溝7はその深さが0.1mm
〜2mm、好ましくは0.5mm〜1.0mmであることがよ
い。この深さが浅すぎると、期待する効果が充分に得ら
れなくなるおそれがある。一方、この深さが深すぎる
と、セラミック素材2,3に強度低下をもたらす原因に
もつながりかねない。
【0019】次に、セラミックプレート2とセラミック
ピン3とを接合するためのセラミック接合剤について説
明する。ここで使用されるセラミック接合剤は、セラミ
ック粉末にバインダ及び水を配合して混練したものであ
る。
【0020】セラミック粉末としては、先に列挙したβ
型炭化珪素粉末、α型炭化珪素粉末、窒化珪素粉末、窒
化アルミニウム粉末、窒化ほう素粉末、ジルコニア粉
末、アルミナ粉末、ムライト粉末等が使用される。この
場合、前記セラミックプレート2や前記セラミックピン
3に使用されているセラミック粉末と同種のものがセラ
ミック粉末として選択されることが好ましい。異種のも
のであると接合強度が低下するか、または接合が不能に
なるおそれがあるからである。
【0021】また、セラミック粉末としては、前記セラ
ミックプレート2や前記セラミックピン3を構成するセ
ラミック粉末と同程度の平均粒径を有するものが選択さ
れることが好ましい。このように設定することにより、
接合強度の低下を防止することができるからである。
【0022】バインダとしてはアクリル系バインダが使
用され、その他にも例えばエチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポ
リビニルブチラール等が使用される。前記バインダは、
セラミック粉末100重量部に対して、0.5重量部〜
5重量部ほど配合されていることがよい。この範囲に設
定することにより、接合剤としての好適な粘度が得られ
るからである。
【0023】また、前記水に代えて、例えばα−テルピ
ネオール、テトラヒドロフラン、ベンゼン等の有機溶媒
を分散剤として配合してもよい。前記水や分散剤等は、
セラミック粉末100重量部に対して、30重量部〜4
0重量部ほど配合されていることがよい。
【0024】なお、セラミック接合剤は、材料の混練・
調製時に充分に脱気処理されることが好ましい。このよ
うな前処理は、接合強度の向上にとって確実にプラスに
作用するからである。
【0025】上記のように調製されたセラミック接合剤
は、嵌入を行う前にあらかじめ接合面に塗布される。即
ち、セラミックプレート2のピン嵌入孔4の内壁面及び
セラミックピン3の下半部5の外周面にそれぞれ塗布さ
れる。なお、このように両方側に塗布してもよく、いず
れか片方側のみに塗布してもよい。ただし、セラミック
接合剤を確実に供給するためには、前者の塗布方法を採
用することのほうが好ましい。
【0026】次に、セラミックピン3の下半部5を上面
側開口からピン嵌入孔4に嵌入する。その際、嵌合部に
取り残されている空気は、空気抜き溝7に沿って後方
(上方)に送り出される。それにより嵌合部のセラミッ
ク接合剤が空気により押し出されることが防止される。
このため、界面において確実にセラミック接合剤が介在
した状態となる。また、空気抜き溝7があることによっ
て、ピン嵌入孔4と下半部5との界面に適量のセラミッ
ク接合剤が保持される。
【0027】このような嵌入組み立て作業が終了した
後、セラミックプレート2、セラミックピン3及びセラ
ミック接合剤からなる組立体は、必要に応じて乾燥され
る。乾燥温度は、80℃〜200℃がよく、好ましくは
100℃〜130℃がよい。乾燥時間の短縮を図るため
に温度を高くしすぎると、界面にクラックが生じやすく
なる。一方、温度を低くしすぎると、乾燥時間が長くな
ったり、乾燥が不十分になったりするおそれがある。ま
た、乾燥時間は1時間〜6時間程度であることがよい。
【0028】加熱乾燥工程を経た前記組立体は、次いで
常圧下で本焼成される。すると、セラミックプレート
2、セラミックピン3及びセラミック接合剤がともに焼
結する結果、セラミックプレート2とセラミックピン3
とが接合され一体化する。その結果、所望の接合構造1
を得ることができる。
【0029】ここで、セラミック粉末として炭化珪素粉
末を選択した場合には、このときの焼成温度は1700
℃〜2000℃程度に設定されることがよい。焼成温度
が低すぎると炭化珪素粉末の焼結が不十分となり、高い
接合強度を得ることができないからである。一方、焼成
温度が高すぎると、セラミックプレート2やセラミック
ピン3自体に変形が生じるおそれがあるからである。
【0030】
【実施例1〜4、比較例】上記の手順に従って5種の接
合構造1,21を作製し、各々について強度測定試験を
行った結果を以下に記す。
【0031】図1,図2(a)に示される実施例1は、
セラミックピン3の下半部5の外周面に空気抜き溝7が
1つのみ形成されたものである。詳細は既に説明した通
りである。
【0032】なお、実施例1における各部の具体的な寸
法は次の通りである。セラミックプレート2の厚さ(即
ちピン嵌入孔4の長さ)は41mm、ピン嵌入孔4の大径
部4aの内径は30mmφ、小径部4bの内径は24mmφ
である。大径部4aの長さは19mm、小径部4bの長さ
は22mmφである。セラミックピン3の全長は43mm、
凸部6の高さは7mmである。セラミックピン3の外径は
30mmφ、凸部6の部分の外径は24mmφである。空気
抜き溝7の長さは22mm、深さは1.0mmである。ま
た、実施例1ではセラミックプレート2及びセラミック
ピン3の形成用のセラミック粉末として、いずれも平均
粒径が0.2μm のβ型炭化珪素粉末を選択した。ま
た、セラミック接合剤として、β型炭化珪素粉末100
重量部に対して、アクリル系バインダを3重量部、水を
30重量部配合して混練したものを用いた。
【0033】図2(b)に示される実施例2では、セラ
ミックピン3の下半部5の外周面にではなく、ピン嵌入
孔4の大径部4aの内周面に溝8が形成されている。前
記溝8は接合剤溜まり溝8であって、セラミックピン3
の嵌入方向に対して直交している。また、前記接合剤溜
まり溝8は複数本(同図では3本)であって、等間隔に
形成されている。接合剤溜まり溝8の深さは0.5mm〜
1.0mmがよく、具体的には0.75mmに設定されてい
る。
【0034】図3(a)に示される実施例3では、セラ
ミックピン3の下半部5の外周面に溝9が形成されてい
る。前記溝9は接合剤溜まり溝9であって、セラミック
ピン3の嵌入方向に対して直交している。また、前記接
合剤溜まり溝9は複数本(同図では3本)であって、等
間隔に形成されている。接合剤溜まり溝9の深さは0.
5mm〜1.5mmがよく、具体的には1.0mmに設定され
ている。
【0035】図3(b)に示される実施例4は、実施例
1の特徴と実施例3の特徴とを兼ね備えたものである。
即ち、セラミックピン3の下半部5の外周面には、1本
の空気抜き溝7と3本の接合剤溜まり溝9とがそれぞれ
形成されている。空気抜き溝7と接合剤溜まり溝9とは
直交する位置関係にある。
【0036】上記各実施例2〜4は、実施例1の接合構
造1と溝7,8,9の本数や形成位置等が相違するのみ
であるため、それ以外の各部の寸法や組成については全
く等しいものとなっている。
【0037】比較例は、先に従来技術として例示した図
5の接合構造21における接合構造である。比較例は、
セラミックプレート22及びセラミックピン23のいず
れにも溝が形成されていない点で、実施例1〜4と相違
している。なお、溝7,8,9が無い点を除き、比較例
の各部の寸法や組成は実施例1〜4のそれと全く等しい
ものとなっている。
【0038】あらかじめ上記の5種の接合構造1,21
を作製した後、強度測定試験を行った。前記装置の原理
は、図4に示される通りである。即ち、離間して配置さ
れた一対の固定ブロック11上には、被検体である接合
構造1,21が裏返しにして載置される。接合構造1,
21を構成するセラミックプレート2の上方には、押圧
ヘッド12が配置されている。この押圧ヘッド12は、
スイッチが入れられると所定スピードで下動する。ここ
ではそのスピードを0.5mm/分に設定した。
【0039】そして、押圧ヘッド12に対応する位置に
セラミックピン3を位置合わせし、この状態で押圧ヘッ
ド12を下動させることにより、セラミックピン3に嵌
入方向とは反対方向の荷重を付加した。その結果、接合
部分の界面にあるセラミック接合剤にクラックが入る時
点の押圧力の大きさ(kgf/cm2 )を各々測定した。この
値が大きいということは、クラックが生じにくくなって
いることを意味し、さらには接合部分の強度が高くなっ
ていることを意味する。
【0040】上記の試験を行なったところ、実施例1で
は1500kgf/cm2 、実施例2では1300kgf/cm2
実施例3では1500kgf/cm2 、実施例4では2000
kgf/cm2 という値が得られた。それに対し、比較例では
900kgf/cm2 という低い値に止まった。つまり、実施
例1〜4はいずれも比較例に勝るものとなっていた。特
に、実施例4では比較例の2倍以上の値を示し、極めて
接合部分の強度に優れたものとなっていることが明らか
となった。実施例1及び実施例3は実施例4に次いで高
い値となり、これらにおいてはほぼ同程度の接合強度が
確保されていた。
【0041】さて、以下に実施例1〜4の特徴的な作用
効果について列挙する。 (1) 実施例1〜4は、いずれも溝7,8,9を形成
したという共通の特徴を有している。従って、セラミッ
クプレート2とセラミックピン3との界面に適当量のセ
ラミック接合剤が保持される。そのため、両者2,3同
士をより強固に接合することができる。よって、接合部
分に大きな荷重や衝撃が加わわったとしても、すぐに界
面にクラックが生じるというような不具合が起こらな
い。このため、ピン嵌入孔4からセラミックピン3が容
易に抜けてしまうという問題も解消され、高強度の接合
構造1を実現することができる。
【0042】(2) 実施例2,3では、接合剤溜まり
溝8,9が複数本形成されている。このため、界面に保
持されるセラミック接合剤の量がより増加し、アンカー
効果も増し、セラミックプレート2とセラミックピン3
とをより強固に接合することができる。
【0043】(3) 実施例1では、セラミックピン3
をピン嵌入孔4に嵌入する際、空気抜き溝7の存在によ
って、嵌合部内に取り残されている空気が除去される。
このため、界面において確実にセラミック接合剤が介在
した状態となり、セラミックプレート2とセラミックピ
ン3とをより強固に接合することができる。
【0044】(4) また、実施例4は(2)及び
(3)の作用が相乗的に奏される結果、両者2,3同士
をさらに強固に接合することができる。よって、強度に
よりいっそう優れた接合構造1を実現することができ
る。
【0045】なお、本発明は上記実施形態の各実施例1
〜4に限定されることはなく、例えば次のように変更す
ることが可能である。 ◎ 空気抜き溝7は、実施例1や実施例4のように、セ
ラミックピン3の嵌入方向に対して平行に形成されてい
なくても足りるため、斜めに形成されていてもよい。
【0046】◎ 空気抜き溝7は、セラミックプレート
2のピン嵌入孔4の内周面側に形成されてもよい。 ◎ 空気抜き溝7は1本だけ形成されるのではなく、複
数(2,3,4,5…)本形成されていることがよい。
複数本であると、界面に保持されるセラミック接合剤の
量がよりいっそう増加することに加え、空気の抜け出し
もより確実なものとなるからである。
【0047】◎ 実施例2,3,4において、接合剤溜
まり溝8,9の本数を1本または2本というように減ら
した構成としてもよく、逆に4本、5本というように増
やした構成としてもよい。
【0048】◎ 各実施例において、溝7,8,9の断
面形状を、例えば略V字状またはR形状に変更すること
も勿論許容される。 ◎ 空気抜き溝7や接合剤溜まり溝9は、凸部6の外周
面にも形成されていることがよい。また、接合剤溜まり
溝8は、大径部4aの内周面のみならず小径部4bの内
周面にも形成されていることがよい。
【0049】◎ 第1のセラミック素材は必ずしも板状
でなくてもよく、また、第2のセラミック素材は必ずし
もピン状でなくてもよい。 ◎ 接合剤として、樹脂系接着剤を用いてもよい。
【0050】ここで、特許請求の範囲に記載された技術
的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される
技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。 (1) 請求項3において、前記空気抜き溝は複数本で
あることを特徴とするセラミック素材の接合構造。この
構成であると、複数の空気抜き溝によって確実に空気が
抜けることで、よりいっそう強度に優れたものとなる。
【0051】(2) 請求項3において、前記空気抜き
溝は、その一端が完全嵌合時に一部露出する程度の長さ
に形成されていることを特徴とするセラミック素材の接
合構造。この構成であると、露出しているため確実に空
気が抜けることで、接合部界面の接合剤が押し出されて
しまうことがなくなり、よりいっそう強度に優れたもの
となる。
【0052】(3) 請求項1乃至3のいずれか1項に
おいて、前記凹部は内周面に段部を備えるピン嵌入用の
貫通孔であることを特徴とするセラミック素材の接合構
造。 (4) 請求項2,3において、前記溝は第2のセラミ
ック素材側に形成されていることを特徴とするセラミッ
ク素材の接合構造。この構成であると、第1のセラミッ
ク素材側に溝を形成する場合に比べて、形成作業を簡単
に行うことができる。
【0053】(5) 請求項1乃至3のいずれか1項に
おいて、前記溝は仮焼成後に加工形成されることを特徴
とするセラミック素材の接合構造。この構成であると、
焼成時の熱による変形が避けられるため、細かい溝であ
っても精度よく形成することができる。
【0054】なお、本明細書中において使用した技術用
語を次のように定義する。 「セラミック粉末: β型炭化珪素粉末、α型炭化珪素
粉末、窒化珪素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ほう
素粉末、ジルコニア粉末、アルミナ粉末、ムライト粉末
等をいう。」
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜3に記
載の発明によれば、接合強度に優れたセラミック素材の
接合構造を提供することができる。
【0056】特に請求項2に記載の発明によれば、界面
に保持されるセラミック接合剤の量がさらに増加するた
め、両セラミック素材同士をよりいっそう強固に接合す
ることができる。請求項3に記載の発明によれば、嵌入
時にセラミック接合剤の脱気が図られるため、両セラミ
ック素材同士をよりいっそう強固に接合することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のセラミックピン(実施例1)及びセ
ラミックプレートを示す部分破断斜視図。
【図2】(a)は実施例1のセラミックピンを接合した
ときの様子を示す部分断面図、(b)は実施例2のセラ
ミックピンを接合したときの様子を示す部分断面図。
【図3】(a)は実施例3のセラミックピンを接合した
ときの様子を示す部分断面図、(b)は実施例4のセラ
ミックピンを接合したときの様子を示す部分断面図。
【図4】強度試験の方法を説明するための概略断面図。
【図5】従来例のセラミックピンを接合したときの様子
を示す部分断面図。
【符号の説明】
1…接続構造、2…第1のセラミック素材としてのセラ
ミックプレート、3…第2のセラミック基材としてのセ
ラミックピン、4…凹部としてのピン嵌入孔、5…凸部
としてのセラミックピンの下半部、7…溝としての空気
抜き溝、8,9…溝としての接合剤溜まり溝。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1のセラミック素材に設けられた凹部
    と、第2のセラミック素材に設けられた凸部とが嵌合さ
    れ、かつ当該嵌合部が接合剤を介して接合されてなる接
    合構造において、 前記嵌合部の凹部及び凸部の少なくともいずれかの表面
    に溝が形成されてなることを特徴とするセラミック素材
    の接合構造。
  2. 【請求項2】前記溝は、セラミック素材の嵌合部に嵌入
    方向と平行でないように形成された接合剤溜まり溝であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のセラミック素材の
    接合構造。
  3. 【請求項3】前記溝は、セラミック素材の非嵌合部まで
    連続して設けられた空気抜き溝であることを特徴とする
    請求項1に記載のセラミック素材の接合構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7682273B2 (en) * 2003-03-06 2010-03-23 Borgwarner Inc. Power transmission chain with ceramic joint components
JP2017090797A (ja) * 2015-11-16 2017-05-25 日本電気硝子株式会社 波長変換素子の製造方法並びに波長変換素子及び発光装置

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