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JPH11137974A - スパイラル型膜エレメント - Google Patents

スパイラル型膜エレメント

Info

Publication number
JPH11137974A
JPH11137974A JP31067697A JP31067697A JPH11137974A JP H11137974 A JPH11137974 A JP H11137974A JP 31067697 A JP31067697 A JP 31067697A JP 31067697 A JP31067697 A JP 31067697A JP H11137974 A JPH11137974 A JP H11137974A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane element
spiral
outer peripheral
membrane
hollow tube
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31067697A
Other languages
English (en)
Inventor
Hajime Hisada
肇 久田
Yuji Nishida
祐二 西田
Shinichi Jizo
眞一 地蔵
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP31067697A priority Critical patent/JPH11137974A/ja
Publication of JPH11137974A publication Critical patent/JPH11137974A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コスト化が可能でかつ洗浄が容易で信頼性
の高いスパイラル型膜エレメントを提供することであ
る。 【解決手段】 集水管2の外周面に独立または連続した
封筒状膜3を巻回するとともに、封筒状膜3の間に原水
スペーサ4を挿入し、スパイラル状膜要素1aを形成す
る。集水管2の外周面には、軸方向に延びるスリット状
の長孔2aが設けられている。スパイラル状膜要素1a
の外周面を外周部流路材5で被覆する。スパイラル型膜
エレメント1の少なくとも外周部側から原水を供給し、
集水管2の開口端から透過水を取り出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低圧逆浸透膜分離
装置、限外濾過装置、精密濾過装置等の膜分離装置に用
いられるスパイラル型膜エレメントおよびその運転方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、浄水技術へ膜分離技術が適用され
るとともに、海水淡水化等で用いられる逆浸透膜分離シ
ステムの前処理として膜分離技術が適用されつつある。
このような膜分離に使用される膜の種類としては、高透
過水量が得られる精密濾過膜や限外濾過膜が多く使用さ
れているが、最近、10kgf/cm2 以下の超低圧力
で高透過水量が得られる逆浸透膜も開発されてきた。
【0003】また、前記膜分離に使用される膜エレメン
トの形態としては、単位体積当たりの膜面積(体積効
率)の点から中空糸膜エレメントが多く使用されてい
る。しかしながら、中空糸膜エレメントは、膜が折れや
すく、膜が折れると、原水が透過水に混ざり、分離性能
が低下するという欠点を有している。
【0004】一方、膜面積を多くとれる膜エレメントの
形態としてスパイラル型膜エレメントがある。このスパ
イラル型膜エレメントは、中空糸膜エレメントと比較す
ると、分離性能を維持でき、信頼性が高いという利点を
有している。
【0005】図7は従来のスパイラル型膜エレメントの
一部切欠き斜視図、図8は図7のスパイラル型膜エレメ
ントに用いられる集水管の斜視図である。図9は従来の
スパイラル型膜エレメントの外観斜視図である。
【0006】図7に示すように、スパイラル型膜エレメ
ント21は、透過水スペーサ25の両面に分離膜26を
重ね合わせて3辺を接着することにより封筒状膜(袋状
膜)23を形成し、その封筒状膜23の開口部を有孔中
空管からなる集水管22に取り付け、ネット状(網状)
の原水スペーサ24とともに集水管22の外周面にスパ
イラル状に巻回することにより構成される。
【0007】図8に示すように、集水管22の外周面に
は、ある程度の強度を保つために、一定間隔で複数の円
形の孔22aが設けられている。
【0008】原水スペーサ24は、封筒状膜23間に原
水が通る流路を形成するために設けられる。原水スペー
サ24の厚みが小さいと、分離膜26の充填効率は高く
なるが、懸濁物質による詰まりが生じる。そのため、通
常、原水スペーサ24の厚みは約0.7mm〜3.0m
mに設定される。
【0009】なお、河川水のように懸濁物質を多く含む
原水を処理するためにジグザグ状の波板状原水スペーサ
(いわゆるコルゲートスペーサ)を用いたスパイラル型
膜エレメントがすでに公知となっている。
【0010】図9に示すように、スパイラル型膜エレメ
ント21の外周面は、FRP(繊維強化プラスチッ
ク)、収縮チューブ等からなる外装材27で被覆され、
両端部にはアンチテレスコープと呼ばれるパッキンホル
ダ28がそれぞれ取り付けられている。
【0011】図10は従来のスパイラル型膜エレメント
の運転方法の一例を示す断面図である。図10に示すよ
うに、圧力容器(耐圧容器)30は、筒形ケース31お
よび1対の端板32a,32bにより構成される。一方
の端板32aには原水入口33が形成され、他方の端板
32bには濃縮水出口35が形成されている。また、他
方の端板32bの中央部には透過水出口34が設けられ
ている。
【0012】外周面の一端部近傍にパッキン37が取り
付けられたスパイラル型膜エレメント21を筒形ケース
31内に装着し、筒形ケース31の両方の開口端をそれ
ぞれ端板32a,32bで封止する。集水管22の一方
の開口端は端板32bの透過水出口34に嵌合され、他
方の開口端にはエンドキャップ36が装着される。
【0013】スパイラル型膜エレメント21の運転時に
は、原水51を圧力容器30の原水入口33から第1の
液室38内に導入する。図7に示すように、原水51
は、スパイラル型膜エレメント21の一方の端面側から
供給される。この原水51は原水スペーサ24に沿って
軸方向に流れ、スパイラル型膜エレメント21の他方の
端面側から濃縮水53として排出される。原水51が原
水スペーサ24に沿って流れる過程で分離膜26を透過
した透過水52が透過水スペーサ25に沿って集水管2
2の内部に流れ込み、集水管22の端部から排出され
る。
【0014】その透過水52は、図10の圧力容器30
の透過水出口34から外部へ取り出される。また、濃縮
水53は、圧力容器30内の第2の液室39から濃縮水
出口35を通して外部へ取り出される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】膜エレメントを運転す
ると、原水中の濁質物質により膜の目詰まりが生じ、透
過流束が低下する。そのため、薬品洗浄等を行って目詰
まりを取り除き、透過流束を回復させるが、薬品洗浄に
要する手間およびコストが問題となる。そこで、目詰ま
りが生じないように、例えば中空糸膜エレメントでは、
透過水または空気による逆流洗浄が定期的に行われる。
【0016】しかし、従来のスパイラル型膜エレメント
21では、集水管22に巻回された封筒状膜23の外周
面が外装材27で被覆されているので、逆流洗浄を行っ
ても、膜の目詰まりの原因となっている濁質物質等の汚
染物質が、膜エレメント21の端部から排出されるまで
に原水スペーサ24に捕捉されやすく、十分に除去され
ないという問題がある。
【0017】また、図10の圧力容器30の筒形ケース
31の内周面とスパイラル型膜エレメント21との間に
存在する空隙がデッドスペースSとなり、流体の滞留
(液溜まり)が生じる。スパイラル型膜エレメント21
を長期間使用すると、デッドスペースに滞留している流
体が変性を起こす。特に、流体が有機物を含有する液体
である場合には、微生物等の雑菌が繁殖し、この雑菌が
有機物を分解して悪臭を発生したり、分離膜を分解して
しまうことがあり、信頼性の低下につながる。
【0018】さらに、従来のスパイラル型膜エレメント
21では、原水がスパイラル型膜エレメント21の一端
部から供給され、他端部から排出されるので、集水管2
2に巻回された封筒状膜23が竹の子状に変形すること
を防止するために、パッキンホルダ28が必要となる。
また、原水スペーサ24による圧力損失および目詰まり
による圧力損失によって原水流入側と濃縮水出口側との
間に圧力差が生じ、スパイラル型膜エレメント21に変
形が生じる。この変形を防止するために、集水管22に
巻回された封筒状膜23の外周面をFRP、収縮チュー
ブ等の外装材27で被覆している。これらにより、部品
コストおよび製造コストが高くなる。
【0019】また、原水中の汚染物質によるケークの形
成を防ぐために十分な膜面線速を得ることが必要であ
り、そのためには十分な濃縮側流量が必要となる。濃縮
側流量を大きくすると、膜エレメント当たりの回収率が
低くなる上、原水を供給するポンプが大きいものとな
り、システムコストも非常に大きくなる。
【0020】本発明の目的は、低コスト化が可能でかつ
洗浄が容易で信頼性の高いスパイラル型膜エレメントを
提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段および発明の効果】第1の
発明に係るスパイラル型膜エレメントは、軸方向に延び
るスリット状の長孔を有する有孔中空管の外周面に独立
または連続した複数の封筒状膜が原液流路材を介して巻
回されてスパイラル状膜要素が形成され、スパイラル状
膜要素の外周部側および両端部側から原液が供給され、
有孔中空管の少なくとも一方の開口端から透過液が導出
されるものである。
【0022】本発明に係るスパイラル型膜エレメントに
おいては、スパイラル状膜要素の外周面および両端面が
外装材で被覆されずに開放状態にされているため、原液
を膜エレメントの外周部側および両端部側から供給し、
全量濾過を行うことができる。これにより、単位膜面積
当たりの透過流束が高くなる。
【0023】この場合、有孔中空管に軸方向に延びるス
リット状の長孔が設けられているので、封筒状膜を透過
した透過液が有孔中空管の内部に流れ込む際の抵抗が小
さくなる。したがって、膜エレメントの効率が高くな
り、初期の膜間差圧が小さくて済む。
【0024】このように、原液が膜エレメントの外周部
側および両端部側から供給されるので、汚染物質が膜エ
レメントの外周部および両端部で捕捉される。したがっ
て、例えば透過水等の洗浄液による逆流洗浄で汚染物質
を均一に除去することが可能となる。
【0025】逆流洗浄時に、有孔中空管の少なくとも一
方の開口端から洗浄液を導入すると、有孔中空管のスリ
ット状の長孔から導出される洗浄液が、封筒状膜を透過
して原液流路材に沿って流れ、スパイラル型膜エレメン
トの外周部および両端部から排出される。それにより、
膜エレメントの外周部および両端部に捕捉された汚染物
質が膜エレメントから剥離し、洗浄液とともに系外に排
出される。したがって、膜エレメントの外周部および両
端部に捕捉された汚染物質を均一に除去することができ
る。
【0026】この場合、有孔中空管の内部に導入された
洗浄液が軸方向に延びるスリット状の長孔を通して分離
膜の全域に均等に行き渡るため、逆流洗浄が効果的に行
なわれる。したがって、分離膜の目詰まりが防止され、
長期間安定した運転が行なわれる。
【0027】また、本発明の構造によれば、全量濾過に
より膜エレメントと圧力容器との間の空隙部にデッドス
ペースが形成されないので、膜エレメントと圧力容器と
の間の空隙部において流体の滞留が生じない。したがっ
て、有機物を含有する流体の分離に使用した場合でも、
微生物等の雑菌の繁殖、有機物の分解による悪臭の発
生、分離膜の分解等の問題が起こらず、高い信頼性が得
られる。
【0028】さらに、膜エレメントの外周部側および両
端部側から原液が供給され、膜エレメントに全方向から
圧力が加わり、軸方向に変位を起こさせるような圧力が
加わらないので、有孔中空管に巻回された封筒状膜が竹
の子状に変形することがない。それにより、パッキンホ
ルダが不要となり、外装材も不要であるので、部品コス
トおよび製造コストが低減される。また、全量濾過が行
われるので、原液を供給するポンプに大きなものを用い
ることなく、高い回収率が得られる。それにより、シス
テムコストが低減される。
【0029】また、膜エレメントに全方向から圧力が加
わるので、原液の供給圧力を高くしても膜エレメントの
変形が生じない。したがって、高い耐圧性が得られる。
【0030】第2の発明に係るスパイラル型膜エレメン
トは、軸方向に延びるスリット状の長孔を有する有孔中
空管の外周面に独立または連続した複数の封筒状膜が原
液流路材を介して巻回されてスパイラル状膜要素が形成
され、スパイラル状膜要素の一端部が封止され、スパイ
ラル状膜要素の外周部側および他端部側から原液が供給
され、有孔中空管の少なくとも一方の開口端から透過液
が導出されるものである。
【0031】本発明に係るスパイラル型膜エレメントに
おいては、スパイラル状膜要素の外周面および一端面が
外装材で被覆されずに開放状態にされているため、原液
を膜エレメントの外周部側および一端部側から供給し、
全量濾過を行うことができる。これにより、単位膜面積
当たりの透過流束が高くなる。
【0032】この場合、有孔中空管に軸方向に延びるス
リット状の長孔が設けられているので、封筒状膜を透過
した透過液が有孔中空管の内部に流れ込む際の抵抗が小
さくなる。したがって、膜エレメントの効率が高くな
り、初期の膜間差圧が小さくて済む。
【0033】このように、原液が膜エレメントの外周部
側および一端部側から供給されるので、汚染物質が膜エ
レメントの外周部および一端部で捕捉される。したがっ
て、例えば透過水等の洗浄液による逆流洗浄で汚染物質
を均一に除去することが可能となる。
【0034】逆流洗浄時に、有孔中空管の少なくとも一
方の開口端から洗浄液を導入すると、有孔中空管のスリ
ット状の長孔から導出される洗浄液が、封筒状膜を透過
して原液流路材に沿って流れ、スパイラル型膜エレメン
トの外周部および一端部から排出される。それにより、
膜エレメントの外周部および一端部に捕捉された汚染物
質が膜エレメントから剥離し、洗浄液とともに系外に排
出される。したがって、膜エレメントの外周部および一
端部に捕捉された汚染物質を均一に除去することができ
る。
【0035】この場合、有孔中空管の内部に導入された
洗浄液が軸方向に延びるスリット状の長孔を通して分離
膜の全域に均等に行き渡るため、逆流洗浄が効果的に行
なわれる。したがって、分離膜の目詰まりが防止され、
長期間安定した運転が行なわれる。
【0036】特に、膜エレメントの封止された端部側に
原液を供給するスペースが不要となるので、膜エレメン
トを収納する圧力容器を小型化することができる。ま
た、圧力容器の原液入口の側に膜エレメントの封止され
た端部を配置することにより、原液導入時に原液の動圧
によりスパイラル状膜要素の端面に汚れが付着すること
を防止することができる。
【0037】また、本発明の構造においても、全量濾過
により膜エレメントと圧力容器との間の空隙部にデッド
スペースが形成されないので、微生物等の雑菌の繁殖、
有機物の分解による悪臭の発生、分離膜の分解等の問題
が起こらず、高い信頼性が得られる。
【0038】さらに、膜エレメントの全方向から圧力が
加わり、軸方向に変位を起こさせるような圧力が加わら
ないので、有孔中空管に巻回された封筒状膜が竹の子状
に変形することがない。それにより、パッキンホルダが
不要となり、外装材も不要であるので、部品コストおよ
び製造コストが低減される。また、全量濾過が行われる
ので、原液を供給するポンプに大きなものを用いること
なく、高い回収率が得られる。それにより、システムコ
ストが低減される。
【0039】また、膜エレメントに全方向から圧力が加
わるので、原液の供給圧力を高くしても膜エレメントの
変形が生じない。したがって、高い耐圧性が得られる。
【0040】第3の発明に係るスパイラル型膜エレメン
トは、軸方向に延びるスリット状の長孔を有する有孔中
空管の外周面に独立または連続した複数の封筒状膜が原
液流路材を介して巻回されてスパイラル状膜要素が形成
され、スパイラル状膜要素の両端部が封止され、スパイ
ラル状膜要素の外周部側から原液が供給され、有孔中空
管の少なくとも一方の開口端から透過液が導出されるも
のである。
【0041】本発明に係るスパイラル型膜エレメントに
おいては、スパイラル状膜要素の外周面が外装材で被覆
されずに開放状態にされているため、原液を膜エレメン
トの外周部側から供給し、全量濾過を行うことができ
る。これにより、単位膜面積当たりの透過流束が高くな
る。
【0042】この場合、有孔中空管に軸方向に延びるス
リット状の長孔が設けられているので、封筒状膜を透過
した透過液が有孔中空管の内部に流れ込む際の抵抗が小
さくなる。したがって、膜エレメントの効率が高くな
り、初期の膜間差圧が小さくて済む。
【0043】このように、原液が膜エレメントの外周部
側から供給されるので、汚染物質が膜エレメントの外周
部で捕捉される。したがって、例えば透過水等の洗浄液
による逆流洗浄で汚染物質を均一に除去することが可能
となる。
【0044】逆流洗浄時に、有孔中空管の少なくとも一
方の開口端から洗浄液を導入すると、有孔中空管のスリ
ット状の長孔から導出される洗浄液が、封筒状膜を透過
して原液流路材に沿って流れ、スパイラル型膜エレメン
トの外周部から排出される。それにより、膜エレメント
の外周部に捕捉された汚染物質が膜エレメントから剥離
し、洗浄液とともに系外に排出される。したがって、膜
エレメントの外周部に捕捉された汚染物質を均一に除去
することができる。
【0045】この場合、有孔中空管の内部に導入された
洗浄液が軸方向に延びるスリット状の長孔を通して分離
膜の全域に均等に行き渡るため、逆流洗浄が効果的に行
なわれる。したがって、分離膜の目詰まりが防止され、
長期間安定した運転が行なわれる。
【0046】特に、膜エレメントの封止された両端部側
に原液を供給するスペースが不要となるので、膜エレメ
ントを収納する圧力容器を小型化することができる。ま
た、圧力容器の原液入口の側に膜エレメントの封止され
た両端部の一方を配置することにより、原液導入時に原
液の動圧によりスパイラル状膜要素の端面に汚れが付着
することを防止することができる。
【0047】また、本発明の構造においても、全量濾過
により膜エレメントと圧力容器との間の空隙部にデッド
スペースが形成されないので、微生物等の雑菌の繁殖、
有機物の分解による悪臭の発生、分離膜の分解等の問題
が起こらず、高い信頼性が得られる。
【0048】さらに、膜エレメントの全方向から圧力が
加わり、軸方向に変位を起こさせるような圧力が加わら
ないので、有孔中空管に巻回された封筒状膜が竹の子状
に変形することがない。それにより、パッキンホルダが
不要となり、外装材も不要であるので、部品コストおよ
び製造コストが低減される。また、全量濾過が行われる
ので、原液を供給するポンプに大きなものを用いること
なく、高い回収率が得られる。それにより、システムコ
ストが低減される。
【0049】また、膜エレメントに全方向から圧力が加
わるので、原液の供給圧力を高くしても膜エレメントの
変形が生じない。したがって、高い耐圧性が得られる。
【0050】第1、第2または第3の発明に係るスパイ
ラル型膜エレメントにおいて、有孔中空管のスリット状
の長孔の幅は、2mm以上6mm以下であることが好ま
しい。これにより、十分な強度を保ちつつ透過液が有孔
中空管の内部に流れ込む際の抵抗を小さくすることがで
きる。
【0051】また、第1、第2のまたは第3の発明に係
るスパイラル型膜エレメントにおいて、有孔中空管は、
金属、繊維強化プラスチック、プラスチックまたはセラ
ミックスからなることが好ましい。これにより、十分な
強度を得ることが可能となる。
【0052】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例における
スパイラル型膜エレメントの一部切欠き斜視図である。
図2は図1のスパイラル型膜エレメントに用いられる集
水管の斜視図である。また、図3は図1のスパイラル型
膜エレメントの封筒状膜の一例を示す横断面図であり、
図4は図1のスパイラル型膜エレメントの封筒状膜の他
の例を示す横断面図である。
【0053】図1に示すスパイラル型膜エレメント1
は、有孔中空管からなる集水管2の外周面にそれぞれ独
立した複数の封筒状膜3または連続した複数の封筒状膜
3を巻回することにより構成されるスパイラル状膜要素
1aを含む。封筒状膜3の間には、封筒状膜3どうしが
密着して膜面積が狭くなることを防止するため、および
原水の流路を形成するために原水スペーサ(原液流路
材)4が挿入されている。また、スパイラル状膜要素1
aの外周面は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリス
チレン等のプラスチック、金属、ゴムまたは繊維等によ
り形成されるネットからなる外周部流路材5で覆われて
いる。
【0054】図2に示すように、円筒形状の集水管2の
外周面には、軸方向に延びるスリット状の長孔2aが設
けられている。本実施例では、図3および図4に示すよ
うに、集水管2に4つの長孔2aが設けられる。この集
水管2は、金属、FRP(繊維強化プラスチック)、プ
ラスチック、セラミックス等の比較的強度を有する材質
により形成されている。
【0055】各長孔2aの幅Wが2mmよりも小さい
と、封筒状膜3を透過した透過水が集水管2の内部に流
れ込む際の抵抗が大きくなる。一方、各長孔2aの幅W
が6mmよりも大きいと、十分な強度が得られなくな
る。したがって、各長孔2aの幅Wは2mm以上6mm
以下であることが好ましい。
【0056】図3および図4に示すように、封筒状膜3
は、透過水スペーサ(透過液流路材)6の両面に2枚の
分離膜7を重ね合わせて3辺を接着することにより形成
され、その封筒状膜3の開口部が集水管2の外周面に取
り付けられている。分離膜7としては、10kgf/c
2 以下で運転される低圧逆浸透膜、限外濾過膜、精密
濾過膜等が用いられる。
【0057】図3の例では、複数の封筒状膜3がそれぞ
れ独立した分離膜7により形成される。図4の例では、
複数の封筒状膜3が連続した分離膜7を折り畳むことに
より形成される。
【0058】原水スペーサ4の厚みが0.5mmよりも
大きいと、原水中の汚染物質を膜エレメント1の少なく
とも外周部で捕捉しにくくなる。一方、原水スペーサ4
の厚みが0.1mmよりも小さいと、封筒状膜3どうし
が接触しやすくなり、膜面積が小さくなる。したがっ
て、原水スペーサ4の厚みは0.1mm以上0.5mm
以下であることが好ましい。
【0059】また、外周部流路材5の厚みが30mmよ
りも大きいと、膜エレメント1を収納する圧力容器に対
する膜エレメント1の容積効率が小さくなる。一方、外
周部流路材5の厚みが0.6mmよりも小さいと、透過
水の逆流洗浄時に膜エレメント1の少なくとも外周部に
付着した汚染物質を系外に排出するための原水の流速が
小さくなる。したがって、外周部流路材5の厚みは0.
6mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0060】図5は本実施例のスパイラル型膜エレメン
トの運転方法の一例を示す断面図である。図5に示すよ
うに、圧力容器(耐圧容器)10は、筒形ケース11お
よび1対の端板12a,12bにより構成される。一方
の端板12aには原水入口13が形成され、他方の端板
12bには原水出口15が形成されている。また、他方
の端板12bの中央部には透過水出口14が設けられて
いる。
【0061】スパイラル型膜エレメント1が筒型ケース
11内に収納され、筒状ケース11の両方の開口端がそ
れぞれ端板12a,12bで封止される。集水管2の一
方の端部は端板12bの透過水出口14に嵌合され、他
方の端部にはエンドキャップ16が装着される。端板1
2bの原水出口15には、配管17およびバルブ18が
接続される。
【0062】スパイラル型膜エレメント1の運転時に
は、原水51を圧力容器10の原水入口13から圧力容
器10の内部に導入する。原水51は、スパイラル型膜
エレメント1の少なくとも外周部側から原水スペーサ4
に沿って封筒状膜3間に浸入する。図4の例では、原水
51がスパイラル型膜エレメント1の外周部側および両
端部側から封筒状膜3間に浸入する。分離膜7を透過し
た透過水が透過水スペーサ6に沿って集水管2の内部に
流れ込む。それにより、圧力容器10の透過水出口14
から透過水52が取り出される。このようにして、全量
濾過が行われる。
【0063】この場合、濁質物質等の汚染物質は膜エレ
メント1の少なくとも外周部(図5の例では外周部およ
び両端部)で捕捉されるほど原水スペーサ4の厚さが薄
いため、膜エレメント1の少なくとも外周部に汚染物質
によりケーク層が形成される。膜エレメントの少なくと
も外周部ではケーク層によるケーク濾過が行なわれ、膜
エレメント1の内部では分離膜7により膜濾過が行なわ
れる。
【0064】なお、バルブ18を開いて原水出口15か
ら一部原水を取り出してもよい。この場合、膜エレメン
ト1の外周部で原水の流れを形成することができる。そ
れにより、原水中の汚染物質の沈降を抑制しつつ汚染物
質の一部を圧力容器10の外部に排出することができ
る。
【0065】一定時間濾過を行った後、透過側から透過
水による逆流洗浄を行う。逆流洗浄時の透過水は、集水
管2から原水スペーサ4に沿って少なくとも外周部に向
かって流れる。それにより、膜エレメント1の少なくと
も外周部に捕捉された汚染物質が容易に剥離する。この
とき、原水入口13から原水を供給しつつバルブ18を
開放すると、剥離した汚染物質が系外に排出される。そ
の結果、膜流束が逆流洗浄前と比較して格段に回復す
る。
【0066】本実施例のスパイラル型膜エレメント1に
おいては、集水管2に軸方向に延びるスリット状の長孔
2aが設けられているので、封筒状膜3を透過した透過
水が集水管2の内部に流れ込む際の抵抗が小さくなる。
それにより、膜エレメント1の効率が高くなり、初期の
膜間差圧が小さくて済む。
【0067】また、逆流洗浄時に、集水管2の内部に導
入された透過水が軸方向に延びるスリット状の長孔2a
を通して分離膜7の全域に行き渡るため、逆流洗浄が効
果的に行なわれる。したがって、分離膜7の目詰まりが
防止され、長期間安定した運転が行なわれる。
【0068】さらに、本実施例のスパイラル型膜エレメ
ント1においては、前述のような濾過形態により膜エレ
メント1と圧力容器10との間の空隙部にデッドスペー
スが形成されないので、微生物等の雑菌の繁殖、有機物
の分解による悪臭の発生、分離膜の分解等の問題が発生
せず、高い信頼性が得られる。
【0069】また、膜エレメント1に全方向から圧力が
加わるので、膜エレメント1の変形の問題が生じず、パ
ッキンホルダおよび外装材が不要となる。それにより、
部品コストおよび製造コストが低減される。
【0070】また、全量濾過が行われるので、原水を供
給するポンプに大きなものを用いる必要がない。それに
より、システムコストが低減される。
【0071】図6は本発明の他の実施例におけるスパイ
ラル型膜エレメントの正面図である。図6では、外周部
流路材の図示が省略されている。
【0072】図6(a)のスパイラル型膜エレメント1
においては、スパイラル状膜要素1aの両端部が樹脂層
19で封止されている。図6(b)のスパイラル型膜エ
レメント1においては、スパイラル状膜要素1aの一端
部が樹脂層19で封止されている。
【0073】図5(a),(b)のスパイラル型膜エレ
メント1では、製造時の作業工程が増加するが、膜エレ
メント1の両端部または一端部に原水を供給するスペー
スが不要となる。したがって、圧力容器を小型化するこ
とができ、圧力容器内に膜エレメント1を収納してなる
スパイラル型膜モジュールを小型化することができる。
【0074】また、膜エレメント1の樹脂層19で封止
された端部を圧力容器の原水入口の側に配置することに
より、原水導入時に原水の動圧により膜エレメント1の
端面に汚れが付着することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるスパイラル型膜エレ
メントの一部切欠き斜視図である。
【図2】図1のスパイラル型膜エレメントに用いられる
集水管の斜視図である。
【図3】図1のスパイラル型膜エレメントの封筒状膜の
一例を示す横断面図である。
【図4】図1のスパイラル型膜エレメントの封筒状膜の
他の例を示す横断面図である。
【図5】図1のスパイラル型膜エレメントの運転方法の
一例を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施例におけるスパイラル型膜エ
レメントの正面図である。
【図7】従来のスパイラル型膜エレメントの一部切欠き
斜視図である。
【図8】図7のスパイラル型膜エレメントに用いられる
集水管の斜視図である。
【図9】従来のスパイラル型膜エレメントの外観斜視図
である。
【図10】従来のスパイラル型膜エレメントの運転方法
の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 スパイラル型膜エレメント 1a スパイラル状膜要素 2 集水管 2a 長孔 3 封筒状膜 4 原水スペーサ 5 外周部流路材 6 透過水スペーサ 7 分離膜 10 圧力容器 13 原水入口 14 透過水出口 51 原水 52 透過水

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に延びるスリット状の長孔を有す
    る有孔中空管の外周面に独立または連続した複数の封筒
    状膜が原液流路材を介して巻回されてスパイラル状膜要
    素が形成され、前記スパイラル状膜要素の外周部側およ
    び両端部側から原液が供給され、前記有孔中空管の少な
    くとも一方の開口端から透過液が導出されることを特徴
    とするスパイラル型膜エレメント。
  2. 【請求項2】 軸方向に延びるスリット状の長孔を有す
    る有孔中空管の外周面に独立または連続した複数の封筒
    状膜が原液流路材を介して巻回されてスパイラル状膜要
    素が形成され、前記スパイラル状膜要素の一端部が封止
    され、前記スパイラル状膜要素の外周部側および他端部
    側から原液が供給され、前記有孔中空管の少なくとも一
    方の開口端から透過液が導出されることを特徴とするス
    パイラル型膜エレメント。
  3. 【請求項3】 軸方向に延びるスリット状の長孔を有す
    る有孔中空管の外周面に独立または連続した複数の封筒
    状膜が原液流路材を介して巻回されてスパイラル状膜要
    素が形成され、前記スパイラル状膜要素の両端部が封止
    され、前記スパイラル状膜要素の外周部側から原液が供
    給され、前記有孔中空管の少なくとも一方の開口端から
    透過液が導出されることを特徴とするスパイラル型膜エ
    レメント。
  4. 【請求項4】 前記有孔中空管の前記スリット状の長孔
    の幅は、2mm以上6mm以下であることを特徴とする
    請求項1、2または3記載のスパイラル型膜エレメン
    ト。
  5. 【請求項5】 前記有孔中空管は、金属、繊維強化プラ
    スチック、プラスチックまたはセラミックスからなるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスパイ
    ラル型膜エレメント。
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