JPH11104441A

JPH11104441A - 排ガス中の酸性ガス除去方法および装置

Info

Publication number: JPH11104441A
Application number: JP9273020A
Authority: JP
Inventors: Kiichi Nagaya; 喜一長屋; Kenji Yasuda; 賢士保田; Yoshimasa Miura; 祥正三浦; Hirotoshi Yanagi; 浩敏柳; Takeshi Katagiri; 健片桐; Katsutoshi Matsunaga; 勝利松永; Hironaka Tanaka; 博仲田中
Original assignee: Hitachi Zosen Corp
Current assignee: Kanadevia Corp
Priority date: 1997-10-06
Filing date: 1997-10-06
Publication date: 1999-04-20

Abstract

(57)【要約】【課題】固形物の反応器内滞留時間を長くし、反応器
内の固形物濃度を高くすることによって、酸性ガス吸収
効率および吸収剤利用率を向上させる。【解決手段】排ガスが上向きに流れている垂直反応器
1 内に吸収剤スラリーを噴射して、排ガスの熱で吸収剤
スラリーを乾燥させながら排ガス中に含まれる酸性ガス
を吸収剤に吸収させ、反応器1 から出た排ガス中に含ま
れる乾燥した固形物を分離し、分離された固体物の一部
を反応器1 に再循環させることからなる排ガス中の酸性
ガス除去方法において、反応器1 内の固形物の一部を、
反応器1 内の上部に配置したバッフル7Aによって器内に
滞留させるものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、石炭焚ボイラやゴ
ミ焼き燃焼炉等から排出される排ガス中に含まれる硫黄
酸化物、塩化水素等の酸性ガスを除去して、大気中に放
出される排ガスを無害化するための方法および装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術および発明が解決しようとする課題】この
種の排ガス中の硫黄酸化物等を除去する手段としては、
例えば特公平６−６３２０９号公報に示されているよう
に、排ガスが上向きに流れている垂直反応器内に消石灰
スラリー等の吸収剤スラリーを噴射して、排ガスの熱で
吸収剤スラリーを乾燥させながら排ガス中に含まれる硫
黄酸化物等の酸性ガスを吸収剤に吸収させ、反応器から
出た排ガス中に含まれる乾燥した反応生成物、未反応吸
収剤およびその他の固形物を分離し、分離された固体物
の一部を反応器に再循環させることからなる、いわゆる
半乾式脱流プロセスが、従来より知られている。

【０００３】この半乾式脱流プロセスについては、酸性
ガス吸収効率および吸収剤利用率を更に改善することが
要望されている。硫黄酸化物等の酸性ガスと消石灰等の
吸収剤との吸収反応は、主として反応器内を浮遊する固
形物の表面で行われる。したがって、酸性ガス吸収効率
および吸収剤利用率を高めるためには、固形物の反応器
内での滞留時間を長くし、反応器内の固形物濃度を高く
することによって、反応器内を浮遊する固形物の総表面
積を増加させることが必要となる。

【０００４】しかしながら、従来の半乾式脱流プロセス
の場合、反応器内を浮遊する固形物は、一部重力によっ
て下降するものを除いて、その大半が排ガスとともに反
応器の上部から排出されるので、固形物の反応器内滞留
時間が短かった。特に、反応器の軸線付近の排ガス流は
垂直上向きとなるので、この部分における浮遊固形物の
滞留時間が短かった。

【０００５】本発明の目的は、上記の問題点を解決し
て、固形物の反応器内滞留時間を長くし、反応器内の固
形物濃度を高くすることによって、酸性ガス吸収効率お
よび吸収剤利用率を向上させることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明による排ガス中の
酸性ガス除去方法は、排ガスが上向きに流れている垂直
反応器内に吸収剤スラリーを噴射して、排ガスの熱で吸
収剤スラリーを乾燥させながら排ガス中に含まれる酸性
ガスを吸収剤に吸収させ、反応器から出た排ガス中に含
まれる乾燥した反応生成物、未反応吸収剤およびその他
の固形物を分離し、分離された固体物の一部を反応器に
再循環させることからなる排ガス中の酸性ガス除去方法
において、反応器内の固形物の一部を、反応器内の上部
に配置したバッフルによって器内に滞留させることを特
徴とするものである。

【０００７】また、本発明による排ガス中の酸性ガス除
去装置は、下端に排ガス入口を有し、上端に排ガス出口
を有する垂直反応器と、反応器に吸収剤スラリーを噴射
する手段と、反応器から出た排ガス中に含まれる乾燥し
た固形物を分離する分離装置と、分離された固形物の一
部を反応器に再循環させる再循環路とを備えた排ガス中
の酸性ガス除去装置において、反応器内の上部に、反応
器内の固形物の一部を器内に滞留させるバッフルが配置
されていることを特徴とするものである。

【０００８】上記装置において、バッフルが、間隔をお
いて平行に配置された複数の板状体または棒状体からな
る場合がある。また、バッフルが、間隔をおいて同心状
に配置された複数の円環状体からなる場合もある。

【０００９】本発明によれば、反応器内を浮遊する固形
物の一部を、反応器内の上部に配置されたバッフルに当
てることにより、これらの固形物が反応器の上端出口か
ら外に出ていくのを阻止することができる。これによ
り、固形物の反応器内滞留時間を長くして、反応器内の
固形物濃度を高くすることができる。

【００１０】反応器の形状は、通常円筒状とされるが、
横断面多角形の角筒状であってもよい。また、反応器の
下端部を、下方にいくにつれて細くなるテーパ状に形成
してもよい。

【００１１】バッフルは、反応器の上部に水平に配置す
る他、やや傾斜して配置してもよい。また、バッフルを
構成する板状体、棒状体、円環状体等の横断面形状を例
えば逆Ｕ形や逆Ｖ形のように下方に凹んだものとすれ
ば、固形物が反応器の外に出ていくのをより確実に阻止
することができる。

【００１２】吸収剤は、例えばカルシウムの酸化物およ
び水酸化物、マグネシウムの酸化物および水酸化物、な
らびにアルカリ金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩の
中から選ぶことができる。

【００１３】反応器に吸着剤スラリーを噴射する手段と
しては、例えば噴射ノズル、加圧ポンプ等を備えた噴射
装置が挙げられる。吸収剤スラリーは、通常反応器内の
下端部から上向きに噴射される。

【００１４】反応器から出た排ガス中には、硫黄酸化物
等と吸収剤との化学反応により生成した反応生成物、未
反応の吸収剤、灰等の固形物が含まれている。これらの
固形物は、排ガスの熱により乾燥させられていて、排ガ
ス中に浮遊している。これらの固形物を排ガスから分離
する分離装置としては、サイクロンが好適に用いられ
る。

【００１５】排ガスは、その後、例えば電気集塵器、バ
グフィルタ等の集塵装置に送られ、そこでダスト、灰粒
子等が除去されて浄化されてから、煙突より大気中に放
出される。

【００１６】サイクロン等によって排ガスから分離され
た固形物の一部は反応器に再循環させられるが、その再
循環量は反応器へのフレッシュな吸収剤の供給量の５０
〜１００倍となされる。固形物の残部は、副生物として
系外に取り出される。

【００１７】固形物の一部を反応器に再循環させる再循
環路は、導管、スクリューフィーダ等の供給装置または
これらを組み合わせることによって形成される。また、
サイクロンと固形物再循環路との間に固形物タンクが設
けられる場合がある。再循環固形物は、通常反応器の下
部に供給される。

【００１８】固形物の一部が反応器に再循環される結
果、反応器内において浮遊する固形物と吸収剤とが排ガ
ス流により混合されて排ガス中に均質に分散される。反
応器内における固形物濃度は、好ましくは５００〜１０
００ｇ／Ｎｍ³に維持される。

【００１９】

【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施形態
を図面を参照しながら説明する。

【００２０】ａ．第１実施形態図１において、本発明による排ガス中の酸性ガス除去装
置は、下端に排ガス入口(2) を有し、上端に排ガス出口
(3) を有する垂直反応器(1) と、反応器(1) に吸収剤ス
ラリーを噴射する噴射装置(4) と、反応器(1) から出た
排ガス中に含まれる乾燥した固形物を分離するサイクロ
ン(5) と、サイクロン(5) で分離された固形物の一部を
反応器(1) に再循環させる再循環路(6) とを備えてお
り、反応器(1) 内の上部に、反応器内の固形物の一部を
器内に滞留させるバッフル(7A)が配置されている。

【００２１】反応器(1) は、これの下端部(11)が横断面
円形をなしかつ下方にいくにつれて細くなるテーパ状に
形成され、残りの部分(12)が円筒状に形成されている。

【００２２】バッフル(7A)は、図２および図３に示すよ
うに、横断面逆Ｕ形をなしかつ間隔をおいて平行に配置
された複数のチャンネル形鋼製板状体(71)からなる。バ
ッフル(71)は、水平よりもやや傾斜して配置されてい
る。

【００２３】吸収剤スラリーは、消石灰の水性スラリー
からなる。このスラリーは、消化機(44)において生石灰
を水で消化することによって調製される。

【００２４】噴射装置(4) は、吸収剤スラリーを加圧す
る加圧ポンプ(41)と、噴射ノズル(42)と、噴射空気供給
用ブロワ(43)とを備えている。噴射ノズル(42)は、反応
器(1) のテーパ部(11)の下端部分において反応器(1) の
軸線方向上向きに配置されている。

【００２５】サイクロン(5) の下方には固形物タンク(2
0)が設けられている。固形物タンク(20)内には、反応器
に再循環されない一部の固形物を副生物として系外に取
り出すためのスクリューコンベヤ(8) が設けられてい
る。サイクロン(5) の上部には、上記固形物が除去され
た排ガスを電気集塵器(9) に送る導管(21)が配置されて
いる。電気集塵器(9) の下部には、排ガスから分離され
たダスト等を副生物として系外に取り出すためのスクリ
ューコンベヤ(22)が設けられている。

【００２６】固形物の再循環路(6) は、入口が固形物タ
ンク(20)に通じるスクリューフィーダ(61)と、一端がス
クリューフィーダ(61)の出口に接続され、他端が反応器
(1)の円筒部(12)の下部に接続された導管(62)とで構成
されている。

【００２７】上記装置において、石炭焚ボイラから出た
排ガスは、排ガス入口(2) から反応器(1) 内に流入して
反応器(1) 内を上向きに流れる。そして、排ガス流によ
って、噴射ノズル(42)から反応器(1) 内に噴射された吸
収剤スラリーと、再循環路(6) を経て反応器(1) 内に再
循環された反応生成物、未反応吸収剤等の固形物とが混
合され、排ガス中に吸収剤および固形物が分散する。そ
して、排ガスの熱により吸収剤スラリーが乾燥させられ
ながら、排ガス中に含まれる硫黄酸化物、塩化水素等の
酸性ガスが、主として水の膜で覆われて濡れた状態の固
体物表面上で吸収剤と吸収反応を起こし、吸収剤に吸収
される。

【００２８】反応器(1) 内を浮遊する固形物のうち、そ
の一部は重力により下降し、他の一部はバッフル(7A)に
よって器内に滞留させられる。残りの固形物は、排ガス
とともに排ガス出口(3) から反応器(1) の外に出る。

【００２９】反応器(1) から出た排ガスは、サイクロン
(5) に送られ、ここで排ガス中に含まれる乾燥した反応
生成物、未反応吸収剤および灰等の固形物が分離され
る。サイクロン(5) で固形物が除去された排ガスは、導
管(21)を経て電気集塵器(9) に送られ、ここでダスト、
灰粒子等が除去されて浄化された後、煙突より大気中に
放出される。電気集塵器(9) で排ガスから分離されたダ
スト等は、副生物としてスクリューコンベヤ(22)により
系外に取り出される。

【００３０】サイクロン(5) により分離された固形物の
約９９％は、再循環路(6) を経て反応器(1) に再循環さ
せられる。固形物の残り約１％は、副生物としてスクリ
ューコンベヤ(8) により系外に取り出される。

【００３１】ｂ．第２実施形態この実施形態は、図４〜図６に示すものである。

【００３２】図４〜図６に示す排ガス中の酸性ガス除去
装置は、これの反応器(1) 内の上部に配置されたバッフ
ル(7B)が、横断面逆Ｖ形をなしかつ間隔をおいて同心状
に配置された複数の金属製円環状体(72)からなる。円環
状体(72)どうしは、連結部材（図示略）により連結され
ている。バッフル(7B)は、水平に配置されている。その
他は、第１実施形態と同じである。

【００３３】

【発明の効果】本発明の排ガス中の酸性ガス除去方法お
よび装置によれば、反応器内の固形物の一部を、反応器
内の上部に配置したバッフルによって器内に滞留させる
ことにより、固形物の反応器内滞留時間を長くし、反応
器内の固形物濃度を高くすることができるので、酸性ガ
ス吸収効率および吸収剤利用率を向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態を示すフロー図である。

【図２】第１実施形態の反応器の水平横断面図である。

【図３】第１実施形態のバッフルの一部を拡大して示す
断面斜視図である。

【図４】本発明の第２実施形態を示すフロー図である。

【図５】第２実施形態の反応器の水平横断面図である。

【図６】第２実施形態のバッフルの一部を拡大して示す
断面斜視図である。

【符号の説明】

(1) …反応器 (2) …排ガス入口 (3) …排ガス出口 (4) …吸収剤スラリー噴射装置 (5) …サイクロン (6) …固形物再循環路 (7A)…バッフル (71)…板状体 (7B)…バッフル (72)…円環状体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者三浦祥正大阪市此花区西九条５丁目３番28号日立造船株式会社内 (72)発明者柳浩敏大阪市此花区西九条５丁目３番28号日立造船株式会社内 (72)発明者片桐健大阪市此花区西九条５丁目３番28号日立造船株式会社内 (72)発明者松永勝利大阪市此花区西九条５丁目３番28号日立造船株式会社内 (72)発明者田中博仲大阪市此花区西九条５丁目３番28号日立造船株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】排ガスが上向きに流れている垂直反応器
内に吸収剤スラリーを噴射して、排ガスの熱で吸収剤ス
ラリーを乾燥させながら排ガス中に含まれる酸性ガスを
吸収剤に吸収させ、反応器から出た排ガス中に含まれる
乾燥した反応生成物、未反応吸収剤およびその他の固形
物を分離し、分離された固体物の一部を反応器に再循環
させることからなる排ガス中の酸性ガス除去方法におい
て、反応器内の固形物の一部を、反応器内の上部に配置した
バッフルによって器内に滞留させることを特徴とする、
排ガス中の酸性ガス除去方法。
【請求項２】下端に排ガス入口を有し、上端に排ガス
出口を有する垂直反応器と、反応器に吸収剤スラリーを
噴射する手段と、反応器から出た排ガス中に含まれる乾
燥した固形物を分離する分離装置と、分離された固形物
の一部を反応器に再循環させる再循環路とを備えた排ガ
ス中の酸性ガス除去装置において、反応器内の上部に、反応器内の固形物の一部を器内に滞
留させるバッフルが配置されていることを特徴とする、
排ガス中の酸性ガス除去装置。
【請求項３】バッフルが、間隔をおいて平行に配置さ
れた複数の板状体または棒状体からなることを特徴とす
る、請求項２記載の装置。
【請求項４】バッフルが、間隔をおいて同心状に配置
された複数の円環状体からなることを特徴とする、請求
項２記載の装置。