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JPH1077209A - 化粧品及びその製造方法 - Google Patents

化粧品及びその製造方法

Info

Publication number
JPH1077209A
JPH1077209A JP23567796A JP23567796A JPH1077209A JP H1077209 A JPH1077209 A JP H1077209A JP 23567796 A JP23567796 A JP 23567796A JP 23567796 A JP23567796 A JP 23567796A JP H1077209 A JPH1077209 A JP H1077209A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
keratin
hydrolysis product
keratose
skin
cosmetic
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP23567796A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoko Kuwabara
陽子 桑原
Takatoshi Nomura
恭稔 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NAKANIHON SENI KOGYO KYODO KUM
NAKANIHON SENI KOGYO KYODO KUMIAI
Original Assignee
NAKANIHON SENI KOGYO KYODO KUM
NAKANIHON SENI KOGYO KYODO KUMIAI
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NAKANIHON SENI KOGYO KYODO KUM, NAKANIHON SENI KOGYO KYODO KUMIAI filed Critical NAKANIHON SENI KOGYO KYODO KUM
Priority to JP23567796A priority Critical patent/JPH1077209A/ja
Publication of JPH1077209A publication Critical patent/JPH1077209A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケラチン加水分解生成物の保湿性を保持しな
がら、毛髪や皮膚に使用した際に生じるべたつき感を少
なくし、かつ毛髪や皮膚の表面の皮脂とのなじみが良
く、毛髪や皮膚に浸透しやすく、保湿性、抗酸化性及び
安全性に優れた化粧品を得る。 【解決手段】 平均分子量5500〜30000のγ−
ケラトースのような、タンパク質分子に特有の三次構造
を形成するケラチン加水分解生成物を配合した化粧品で
ある。ケラチン加水分解生成物がその内部に親水性の置
換基を疎水性の置換基より多く有し、その外部に疎水性
の置換基を親水性の置換基より多く有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は毛髪や皮膚に対して
べたつきが少なく、毛髪や皮膚の表面の皮脂膜に対して
親和性が高い化粧品及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】化粧品に配合される保湿剤として、コラ
ーゲン、シルク、ケラチン、ミルクなどの動物性のタン
パク質の加水分解生成物や、大豆や小麦などの植物性の
タンパク質の加水分解生成物が多く利用されている。特
公昭60−27680号公報及び特開平5−22210
0号公報には、これらのタンパク質のペプチド結合を強
酸などを用いた過酷な条件下で切断することにより、ア
ミノ酸が数個連結されただけの低分子量のペプチドを主
成分としたタンパク質分解物からなる保湿剤が提案され
ている。こうした保湿剤は、ペプチド1分子に対してア
ミノ酸やカルボキシル基などの親水性の官能基が多いた
めに、水とのなじみが良く、保湿効果が高いことが知ら
れている(北山雅一、小牧保之:FRAGRANCE JOURNAL 19
95-1,P99-103)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の低分子
量のペプチドは、表面の親水性官能基が多いために水と
の親和性が高く、化粧品に多く配合し、これを毛髪や皮
膚に洗い流さない状態で使用した際に、毛髪あるいは皮
膚にべたつき感が残るという問題があった。また毛髪や
皮膚の表面は皮脂などによって被膜されているので、親
水性の高い低分子量ペプチドは、毛髪や皮膚の皮脂膜と
なじみが悪いので、毛髪や皮膚に浸透しにくく、かつ水
で容易に洗い流されやすい問題があった。
【0004】本発明の目的は、ケラチン加水分解生成物
の保湿性を保持しながら、毛髪や皮膚に使用した際に生
じるべたつき感を少なくし、かつ毛髪や皮膚の表面の皮
脂とのなじみが良く、毛髪や皮膚に浸透しやすい化粧品
及びその製造方法を提供することにある。本発明の別の
目的は、保湿性、抗酸化性及び安全性に優れた化粧品及
びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
タンパク質分子に特有の三次構造を形成するケラチン加
水分解生成物を配合した化粧品であって、ケラチン加水
分解生成物がその内部に親水性の置換基を疎水性の置換
基より多く有し、その外部に疎水性の置換基を親水性の
置換基より多く有することを特徴とする化粧品である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、
ケラチン加水分解生成物が平均分子量5500〜300
00のγ−ケラトースである化粧品である。アミノ酸や
低分子量のペプチドと異なり、γ−ケラトースは三次構
造をとる高分子量タンパク質であるため、本発明の目的
を達成する上で好ましい。
【0006】請求項3に係る発明は、平均分子量550
0〜30000の三次構造を形成するγ−ケラトースか
らなるケラチン加水分解生成物を親水性の低い状態に置
くことにより、ケラチン加水分解生成物の内部に親水性
の置換基を疎水性の置換基より多く存在させ、ケラチン
加水分解生成物の外部に疎水性の置換基を親水性の置換
基より多く存在させる化粧品の製造方法である。請求項
4に係る発明は、請求項3に係る発明であて、ケラチン
加水分解生成物をアルコール類と水との混合液に溶解し
てこのケラチン加水分解生成物を親水性の低い状態に置
く化粧品の製造方法である。請求項5に係る発明は、請
求項3に係る発明であって、ケラチン加水分解生成物を
オイルとアルコール類と水との混合液に溶解してこのケ
ラチン加水分解生成物を親水性の低い状態に置く化粧品
の製造方法である。
【0007】タンパク質はアミノ酸が50以上連結され
た高分子(ポリペプチド)であり、その1分子構造には
一次構造から三次構造までが知られている。一次構造は
タンパク質を構成する数種類のアミノ酸がペプチド結合
によって連結されたアミノ酸配列を示し、このアミノ酸
の並び方がタンパク質の機能や構造に基本的には大きな
影響を及ぼしている。二次構造はポリペプチド鎖中の連
続して隣接し合ったアミノ酸残基の空間的配置、即ち、
立体配座をいう。三次構造とは、そのポリペプチド鎖が
とりうる最も安定な三次元のコンフォーメーションで、
これは剛直に固定されているものではなく、生物学的機
能を現す過程で変化することが知られている。ケラチン
を加水分解する際にポリペプチド鎖の切断を少なくした
高分子量のγ−ケラトースに代表されるケラチン加水分
解生成物は三次構造を形成するタンパク質である。これ
を水溶液中に置くと、図2に示すように三次構造の外部
では親水性の置換基が疎水性の置換基より多くなり、そ
の内部ではその逆になる。一方これを親水性の低い状態
に置くと、図1に示すように、三次構造の内部では親水
性の置換基が疎水性の置換基より多くなり、その外部で
はその逆になる。タンパク質分子表面の親水性基が少な
くなると、化粧品使用時のべたつき感が減少し、さらっ
とした使用感になる。一方タンパク質分子内部では親水
性置換基が多いために内部に湿気を保有する。またタン
パク質分子表面の疎水性基が多くなると、毛髪や皮膚の
表面の皮脂膜に対する親和性が増して、結果として毛髪
や皮膚に浸透しやすくなり、加水分解ケラチンが保有す
る抗酸化効果を向上させることができる。
【0008】一般に皮膚は外気や紫外線などに曝されや
すい箇所であり、絶えずその表面である皮脂膜の酸化が
起こり、過酸化脂質が発生し、これが皮膚の老化の原因
となるけれども、本発明のγ−ケラトースに代表される
ケラチン加水分解生成物は不飽和脂肪酸の酸化を抑制す
る抗酸化性を有する上、毛髪や皮膚の表面の皮脂膜に対
する親和性があるため、本発明の化粧品は、皮脂膜の表
面をコートするだけではなく、皮脂膜を浸透して、皮膚
内部の過酸化脂質を分解したり、その発生を抑えること
ができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるケラチン原料
としては、主成分としてケラチンを含有するものであれ
ば限定されない。例示すれば、人毛、羊毛、アルパカ等
の獣毛や、アイガモや鶏等に代表される鳥類の羽毛、牛
や馬等の蹄などが挙げられる。この中でも羊毛が原料と
して入手しやすく好ましい。本発明のケラチン加水分解
生成物は、5500〜30000の平均分子量を有する
ものであれば、特に限定されないが、例示すればγ−ケ
ラトース、還元型加水分解ケラチン等が挙げられるが、
水溶液中の安定性の観点からγ−ケラトースが好まし
い。このケラチン加水分解生成物を製造するには、ケラ
チンを弱反応により加水分解する。γ−ケラトースを製
造する方法として、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0010】氷酢酸と過酸化水素(35%)を重量比で
8:2〜9:1に混合することにより、過酢酸溶液を調
製する。この過酢酸溶液とケラチン原料を重量比で3
0:1〜10:1になるように混合して、40〜60℃
で、2時間〜5時間加水分解する。このようにして得ら
れたケラチン加水分解生成物を回収し、これを水洗し、
0.5モルのアンモニア水に溶解させ、続いて酸によっ
てpHを4以下に調製し、沈殿物を遠心分離によって除
去し、透明な上清を得る。これを分子量分画5000の
透析膜により、低分子量のペプチドや不純物を除去して
γ−ケラトース溶液を調製する。この溶液を凍結乾燥或
いは噴霧乾燥することにより、平均分子量が5500〜
30000の粉末状のγ−ケラトースを得る。この方法
では収率は20〜40%である。γ−ケラトースのアミ
ノ酸組成例を表1に示す。このγ−ケラトースはシステ
インがシステイン酸に変換されているため、比較的高分
子量であるにもかかわらず酸性条件下でも安定して水に
溶解し、保湿性も高く、塩に対しても安定である。
【0011】
【表1】
【0012】本発明の特徴ある点は、平均分子量が55
00〜30000に調製されたγ−ケラトースのよう
な、ケラチン加水分解生成物である三次構造を、表面に
疎水性置換基が多くなるように、内部に親水性の置換基
が多くなるようにコンフォーメーションを変換させるこ
とにある。この変換方法には、ケラチン加水分解生成物
の三次構造を予め変換させておいてから、化粧品に配合
する方法や、化粧品に配合した後に、ケラチン加水分解
生成物の三次構造を変換させる方法が考えられる。いず
れの方法を採るにしても、結果として三次構造が変換さ
れた状態で化粧品に入っていれば本発明の目的を達成す
る。
【0013】ケラチン加水分解生成物の三次構造をその
表面に疎水性置換基が多くなるように、また内部に親水
性の置換基が多くなるように変換させるには、メタノー
ル、エタノールなどのアルコールやアセトン、DMSO
(dimetyl sulfoxide)、DMF(N-N-dimethylfolmami
de)などの水と良く混じり合う溶剤を用意して、この溶
剤と水との混合液を調製し、これにケラチン加水分解生
成物を溶解させる。この溶剤には、化粧品基材として使
用されているエタノールやブチレングリコール、或いは
プロピレングリコールなどのアルコール類が最適であ
る。このときケラチン加水分解生成物が混合液に溶解し
ている必要がある。例えば、エタノール水の場合、エタ
ノールを20〜50容積%の割合で水に混合してエタノ
ール水を調製し、これにケラチン加水分解生成物を溶解
させる。このエタノール水の混合液にケラチン加水分解
生成物を溶解させるだけで、表面に疎水性の置換基が多
くなるように、また内部に親水性の置換基が多くなるよ
うにコンフォーメーションが変換される。
【0014】本発明の化粧品は、このようにケラチン加
水分解生成物を上記混合液に溶解した溶液を、アルコー
ル類又はオイルとアルコール類を含んでいる化粧品に配
合するか、或いはアルコール類又はオイルとアルコール
類を含む化粧品を調合する際に、この調合と同時にケラ
チン加水分解生成物の溶液を添加することにより製造さ
れる。いずれの方法でも同様の効果が得られるが、他の
化粧品原料との相互作用において立体構造の変換ができ
ないことも考えられるため、前者の方法の方が好まし
い。本発明のケラチン加水分解生成物は化粧品の全重量
に対して、0.1〜10重量%配合される。抗酸化性や
保湿性を効果的に付与するためには、0.5〜2重量%
が適当である。
【0015】本発明の化粧品は、液状、ゲル状などいろ
いろな形態を有する。この化粧品にはアルコール又はオ
イルのいずれか一方又は双方が含まれていることが必要
である。例示すれば、ヘアートニック、ヘアーローショ
ン、ヘアークリーム、ヘアートリートメント、セットロ
ーション、毛髪補修剤等の毛髪用化粧品や、パック、化
粧水、乳液、アクネローション、ハンドクリーム、アフ
ターシェーブローション、シェービングクリーム、コー
ルドクリーム、モイスチャークリーム、制汗剤、ボディ
ーローション等の皮膚用化粧品、ネイルエナメル、口紅
等のその他の化粧品が挙げられる。本発明の化粧品に
は、ケラチン加水分解生成物、アルコール類、オイル以
外にも通常の化粧品で用いられているいろいろな化粧品
基材を、抗酸化性或いは保湿性等の本発明の機能を損な
わない範囲で配合することが可能である。このような化
粧品基材としてはゲル剤、界面活性剤、多価アルコー
ル、香料、色素、顔料、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸
水材、紫外線散乱剤、保湿剤、精製水、美容成分等が挙
げられる。
【0016】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに説明す
るが、これらは本発明の技術範囲を限定するものではな
い。 <実施例1>先ず氷酢酸を用意し、この氷酢酸と過酸化
水素水(濃度35%)とを重量比で8:2に採取して、
これらを均一に混合して過酢酸溶液液100gを調製す
る。この過酢酸溶液中によく洗浄した脱脂羊毛を10g
入れ、撹拌しながら羊毛ケラチンを60℃で3時間加水
分解した。次に加水分解された羊毛ケラチンを取り出
し、水で洗浄し、これを50℃に保温した0.5モルの
アンモニア水100gによく撹拌しながら溶解させた。
このアンモニア水溶液から濾過布でアンモニア水溶液に
溶解しないものを除き、濾過液を硫酸を用いてpHを4
以下に調整した。これを遠心分離し、上清の透明なγ−
ケラトース液を得た。これをエバポレーターで濃縮後、
透析により精製し、スプレードライヤーで粉末化した。
得られたγ−ケラトースの平均分子量を高速液体クロマ
トグラフィーで測定した結果、9800であった。この
γ−ケラトースのアミノ酸組成を調べた。その結果を表
1(前出)に示す。これより、システインがシステイン
酸に変化していることが判った。上記未処理のγ−ケラ
トース1gを50%エタノール水に溶解し、1Nの苛性
ソーダでpH12に調整し、全量を100mlに溶解し
たγ−ケラトース・エタノール水溶液を実施例1とし
た。
【0017】<比較例1>実施例1における未処理のγ
−ケラトース1gを水に溶解し、1Nの苛性ソーダでp
H12に調整し、全量を100mlに溶解したγ−ケラ
トース水溶液を比較例1とした。 <比較例2>アミノ酸の1種であるグルタミン酸ソーダ
1gを水に溶解し、1Nの苛性ソーダでpH12に調整
し、全量を100mlに溶解したグルタミン酸ソーダ水
溶液を比較例2とした。 <比較例3>アミノ酸の1種であるグルタミン酸ソーダ
1gを50%エタノール水に溶解し、1Nの苛性ソーダ
でpH12に調整し、全量を100mlに溶解したグル
タミン酸ソーダ・エタノール水溶液を比較例3とした。
【0018】実施例1、比較例1〜3の4種類のエタノ
ール水或いは水溶液に2.5Nの塩酸を滴下して酸滴定
試験を行った。その結果を図3に示す。図3から明らか
なように、比較例1では塩酸の滴下量が0.6mlまで
はpHが12から10までゆっくり低下し、その後急激
に低下した。これに対して実施例1では酸の添加に対す
る緩衝作用は全く働かず、pHが急に低下する傾向がは
っきりと現れた。これはγ−ケラトースが水溶液の比較
例1よりも疎水性が高いアルコール水溶液の実施例1と
いう環境に置かれると、表面の親水性基が立体構造の内
部に多く移行し、疎水性基が外部に多く移行する図1に
示す三次構造が変化し、見かけの表面の親水性基が減少
したものと考えられる。一方、低分子量のアミノ酸であ
るグルタミン酸ソーダでは、水溶液(比較例2)でもア
ルコール水溶液(比較例3)でも滴定曲線は変化しなか
った。これは低分子量ではタンパク質のような立体構造
を取ることができないためと考えられた。
【0019】<実施例2>実施例1で得られた未処理の
γ−ケラトース1mgを40%エタノール水溶液25m
l中に溶解したγ−ケラトース・エタノール水溶液を実
施例2とした。この溶液のリノール酸に対する抗酸化性
能を調べた。抗酸化性物質のコントロールとしてビタミ
ンEを用いた。先ずリノール酸0.13mlを99%エ
タノールで10mlにし、それに50mMリン酸緩衝液
(pH7)10mlを加えた。次にこのリノール酸溶液
に対して抗酸化性を調べるビタミンE及びγ−ケラトー
スを表2に示した量だけ採取し、0.1mlの水に溶解
し、それぞれに添加して、蒸留水で全量を25mlにし
た。
【0020】被検体である2種類のリノール酸溶液を4
0℃で5日間放置した。サンプルを全く添加しないリノ
ール酸溶液は40℃で5日間、及び5℃に保たれた冷蔵
庫内に保管した。抗酸化性の測定にはチオシアネート法
を用いた。5日間放置した4種類のリノール酸溶液を
0.1mlずつ取り、これらに75%エタノールと30
%ロダンアンモンを加え、良く撹拌した。塩化第1試薬
(20mMのFeCl2,3.5%HCL溶液10m
l)を0.1ml加え、正確に3分後に、500nmに
おける吸光度を測定した。酸化度は[(5日目の40℃
のサンプル)−(5日目の4℃のコントロール)]/
[(リノール酸のみの5日間の40℃のサンプル)−
(5日目の4℃のコントロール)]で算出した。その結
果を表2に示す。酸化度の値が小さいほど抗酸化性が高
いことを意味する。表2から明らかなように、ビタミン
Eには劣るものの、実施例2のγ−ケラトース溶液は優
れた抗酸化性を示すことが判った。本実施例ではγ−ケ
ラトースは40%エタノール水溶液中に非常に微量
(0.004%)で効果を示しているため、化粧品に配
合する場合、保湿剤としての役割も考えて0.1〜5重
量%程度の含有量で抗酸化性能は十分である。
【0021】
【表2】
【0022】<実施例3>実施例1で得られた未処理の
γ−ケラトース5gを50%エタノール水100mlに
溶解したγ−ケラトース・エタノール水溶液を実施例3
とした。 <比較例4>実施例1で得られた未処理のγ−ケラトー
ス5gを水100mlに溶解したγ−ケラトース水溶液
を比較例4とした。
【0023】実施例3及び比較例4の溶液をそれぞれ皮
膚に延ばして乾燥させた。その結果、比較例4の水溶液
の方はべたつきが残り、乾燥後に皮膚が引っ張られる感
触を覚えた。これに対して実施例3のアルコール水溶液
の方は、べたつきがほとんどなく、また乾燥後も引っ張
られる感触もなかった。引っ張られる感触は、比較例4
が皮膚の上で乾燥し、乾燥による被膜の収縮に伴い、皮
膚が引っ張られるためであるのに対して、実施例3は皮
膚に浸透しているために、こうした現象が起こらないと
考えられた。またべたつきについては、上記実施例1及
び比較例1で考察した表面の親水性置換基の違いによる
ものと考えられた。
【0024】<化粧品としての評価試験> (1) 化粧水 実施例1で得られた未処理のγ−ケラトース20gを5
0%エタノール水に溶解し、全量を100mlとしたγ
−ケラトース・エタノール水溶液を用いて、次の組成の
化粧水を調製し、これを実施品1とした。単位は重量%
である。 ・γ−ケラトース(実施例1) 5.0 ・プロピレングリコール 5.0 ・グリセリン 5.0 ・ポリエチレングリコール 1500 2.0 ・ポリオキシエチレンオレイルエーテル(15E.O.) 2.0 ・エタノール 15.0 ・水酸化カリウム 0.03 ・防腐剤 適 量 ・精製水 65.97 また上記組成中でエタノールを含まない化粧水を調製
し、これを比較品1とした。この実施品1と比較品1の
化粧水をそれぞれ10人のモニターの顔に使用して貰
い、これらのモニターにより実施品1と比較品1を評価
させた。その結果を表3に示す。
【0025】
【表3】
【0026】表3から明らかなようにエタノールととも
にγ−ケラトースを配合した実施品1の化粧水の方がエ
タノールを含まない比較品1の化粧水に比べて優れてい
ることが判った。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、従来のケラチンの加
水分解生成物が「べたつき感」や「皮脂膜への親和性に
よる毛髪や皮膚への浸透性」などの問題点を有していた
のに対し、本発明によれば、ケラチン加水分解生成物を
三次構造をとるタンパク質にし、かつ親水性の低い状態
にケラチン加水分解生成物を置くことにより、ケラチン
加水分解生成物であるタンパク質分子に特有の三次構造
を、内部に親水性、外部に疎水性の置換基を多く存在さ
せるように変換させたので、毛髪や皮膚の皮脂膜に対す
る親和性が増し、結果として化粧品使用時のべたつき感
が減少し、さらっとした使用感を有する優れた効果があ
る。また本発明の化粧品は皮膚に浸透しやすく、ケラチ
ン加水分解生成物が保有する抗酸化効果を向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のケラチン加水分解生成物であるタンパ
ク質分子のアルコール溶液中の置換基の配列を示す模式
図。
【図2】ケラチン加水分解生成物であるタンパク質分子
の水溶液中の置換基の配列を示す模式図。
【図3】実施例1及び比較例1〜3の4種類のγ−ケラ
トースのpH12の水溶液を酸滴定したときのpHの変
化を示す図。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質分子に特有の三次構造を形成
    するケラチン加水分解生成物を配合した化粧品であっ
    て、 前記ケラチン加水分解生成物がその内部に親水性の置換
    基を疎水性の置換基より多く有し、その外部に疎水性の
    置換基を親水性の置換基より多く有することを特徴とす
    る化粧品。
  2. 【請求項2】 ケラチン加水分解生成物が平均分子量5
    500〜30000のγ−ケラトースである請求項1記
    載の化粧品。
  3. 【請求項3】 平均分子量5500〜30000の三次
    構造を形成するγ−ケラトースからなるケラチン加水分
    解生成物を親水性の低い状態に置くことにより、前記ケ
    ラチン加水分解生成物の内部に親水性の置換基を疎水性
    の置換基より多く存在させ、前記ケラチン加水分解生成
    物の外部に疎水性の置換基を親水性の置換基より多く存
    在させる化粧品の製造方法。
  4. 【請求項4】 ケラチン加水分解生成物をアルコール類
    と水との混合液に溶解して前記ケラチン加水分解生成物
    を親水性の低い状態に置く請求項3記載の化粧品の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 ケラチン加水分解生成物をオイルとアル
    コール類と水との混合液に溶解して前記ケラチン加水分
    解生成物を親水性の低い状態に置く請求項3記載の化粧
    品の製造方法。
JP23567796A 1996-09-06 1996-09-06 化粧品及びその製造方法 Withdrawn JPH1077209A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005343887A (ja) * 2004-05-28 2005-12-15 Kao Corp エラスターゼ阻害剤
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