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JPH10504842A - 二重担体免疫原性構築物 - Google Patents

二重担体免疫原性構築物

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Publication number
JPH10504842A
JPH10504842A JP9501635A JP50163597A JPH10504842A JP H10504842 A JPH10504842 A JP H10504842A JP 9501635 A JP9501635 A JP 9501635A JP 50163597 A JP50163597 A JP 50163597A JP H10504842 A JPH10504842 A JP H10504842A
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JP
Japan
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carrier
vaccine
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dex
bsa
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Ceased
Application number
JP9501635A
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Inventor
ジェームス ジェイ. モンド
アンドリュー リース
Original Assignee
ヘンリー エム. ジャクソン ファウンデーション フォー ザ アドバンスメント オブ ミリタリー メディスン
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Filing date
Publication date
Application filed by ヘンリー エム. ジャクソン ファウンデーション フォー ザ アドバンスメント オブ ミリタリー メディスン filed Critical ヘンリー エム. ジャクソン ファウンデーション フォー ザ アドバンスメント オブ ミリタリー メディスン
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Abstract

(57)【要約】 分子量が70kDa以上である高分子量の分子を含む少なくとも一つの第一担体と、該第一担体に複合化したT-依存性抗原を含む少なくとも一つの第二担体とから構成される二重担体免疫原性構築物が開示される。該二重担体免疫原性構築物は、ハプテンや抗原のような成分をさらに含んでいてもよい。該免疫原性構築物は、疾患の診断、治療、及び予防に用いるのに適している。

Description

【発明の詳細な説明】 二重担体免疫原性構築物 I .関連出願の相互参照 本出願は1995年3月13日に提出された出願番号08/402,565の一部継続出願であ って、さらにその出願は1993年9月24日に提出されて既に放棄された出願番号08/ 126,017の継続出願であり、さらにその出願は1992年2月11日に提出されて既に放 棄された出願番号07/834,067の継続出願である。 II .政府の利権 本明細書に記載された発明は、本発明についての特許権使用料を本出願者らに 支払うことなく政策上の目的で製造、許可、及び使用することができる。 III .発明の分野 本発明は、動物及びヒトのための、そして受動的な免疫防御又は治療のために 用いられる化学的試薬又は診断用試薬としての抗体を開発するための、能動免疫 の効力を強化する二重担体免疫原性構築物に関する。 IV .発明の背景 予防接種の過程において、医学的には、疾患を発症させることなく疾患に対す る防御をする抗体の形成を刺激するような抗原を用いて生体を免疫することによ って、外から侵入してくる薬物から自らを保護することができるという生体の生 来の能力を利用している。例えば、死滅した微生物が腸チフス及び百日咳のよう な細菌性疾患から保護するために注射され、毒素が破傷風及びボツリヌス中毒か ら保護するために注射され、弱毒化微生物が急性灰白髄炎及び麻疹のようなウイ ルス性疾患から保護するために注射される。 しかし単に外来の薬物を注射するだけで抗体形成を刺激することが常に可能な わけではない。ワクチン調製物は免疫原性を有している、即ち免疫応答を誘導す る能力を有している必要がある。破傷風トキソイドのようなある種の薬物は生来 免疫原性であり、改変せずにワクチンの形で投与することができる。しかし他の 重要な薬物は、免疫原性でないため、免疫原性の分子に変換されて初めて免疫応 答を誘導することができるようになる。 免疫応答は、一般に以下に記載されるような一連の複合反応である。 1.抗原が体内に侵入し、その抗原を処理し表面に抗原断片を保持する抗原提 示細胞と出会う反応、 2.抗原提示細胞に保持された抗原断片が、B細胞を補助するT細胞によって認 識される反応、及び、 3.B細胞が増殖し、その抗原に対する抗体を分泌する抗体産生細胞へと分裂す る反応。 ほとんどの抗原は、T細胞からの協力がある場合にのみ抗体を誘導し、したが ってT−依存性(TD)であるとわかっている。これらの抗原は例えばタンパク質 であり、抗原提示細胞によって作用を受け、そのために前述したような工程でT 細胞が活性化される。このようなT−依存性抗原の例は、破傷風トキソイド及び ジフテリアトキソイドである。 多糖類のようないくつかの抗原は、抗原提示細胞によって適切に処理されるこ とができず、T細胞によって認識されない。これらの抗原は抗体産生を誘導する ためにT細胞の協力を必要としないが、直接的にB細胞を活性化することができ、 したがってT−非依存性抗原(TI)として知られている。このようなT−非依存性 抗原には、b型H.インフルエンザ(H .influenzae)ポリリボシル−リビトール− ホスフェート(polyribosyl-ribitol-phosphate)、及び肺炎双球菌の莢膜多糖 類が含まれる。 T−依存性抗原は、多くの点でT−非依存性抗原と異なっている。最も顕著な点 は、これらの抗原は、アジュバント、即ち免疫応答性を非特異的に高めることの できる化合物に対する必要性が異なることである。大多数の可溶性のT−依存性 抗原は、アジュバンドとともに投与しない限り低いレベルの抗体応答しか誘導し ない。従って、標準的なDPTワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)は、アル ミニウムアジュバントとともに投与される。TD抗原を凝集した形にして不溶化す ると、アジュバントを用いない場合であっても免疫原性を高めることができる( Golub ES 及び WO Weigle,J.Immunol.102: 389,1969参照)。対照的にT−非 依存性抗原は、アジュバントを用いずに投与しても抗体応答を刺激することがで きるが、この応答は一般的には程度が低く、期間が短い。 T−非依存性抗原とT−依存性抗原との間のその他の4つの相違点は、 a)T−依存性抗原は、同じ抗原で二次的な攻撃を受けた場合に記憶細胞が誘導 されるような免疫応答を開始させることができる。記憶応答、即ち二次応答は非 常に急速に刺激されて、一次応答で見られる抗体の力価よりも有意に高い力価を 獲得する。T−非依存性抗原は二次応答を起こす免疫系を開始させることはでき ない。 b)抗原に対する抗体の親和性は、T−依存性抗原で免疫した後、時間の経過と ともに増加するがT−非依存性抗原では増加しない。 c)T−依存性抗原は、T−非依存性抗原よりもより効果的に未成熟の、即ち新 生児の免疫系を刺激する。 d)T−依存性抗原は通常IgM、IgG1、IgG2a、及びIgE抗体を刺激し、一方T−非 依存性抗原はIgM、IgG1、IgG2b、及びIgG3抗体を刺激する。 これらのT−依存性抗原とT−非依存性抗原との対照的な特徴により、それらは いずれも、有効なワクチンとしての使用において、異なる利点及び欠点の両方を 示す。T−依存性抗原は、成体の免疫系においても、また新生児の免疫系におい ても、一次応答及び長く継続する二次応答を刺激することができるが、それらは しばしばアジュバントとともに投与しなくてはならない。従って、ワクチンはジ フテリアトキソイド又は破傷風トキソイドのような抗原だけを用いて調製されて いるが、このようなワクチンは、最適な応答を刺激するためには、例えばアルミ ニウムのようなアジュバントを使用することが必要である可能性がある。アジュ バントは、しばしば毒性と関連しており、免疫系を非特異的に刺激し、したがっ て望ましくない特異性の抗体を誘導することが示されている。 T−依存性抗原に関するもう一つの欠点は、ペプチドのような非常に小さなタ ンパク質は、アジュバントとともに投与した場合でさえも免疫原性となることが 極めて少ないことである。このことは、さまざまな病原体の主要な抗原決定基を 表すよう入念に合成された多くの合成ペプチドが今日では入手可能であり、上記 の理由がなければ非常に特異的で効果の高いワクチンとなり得る、と考えられる ため特に残念である。 対照的に例えば多糖類のようなT−非依存性抗原は、アジュバントの非存在下 でも免疫応答を刺激することができる。しかし、残念ながらこのようなT−非依 存性 抗原は、レベルの高い、又は期間の長い抗体応答を刺激することができない。さ らに大きな欠点は、末成熟な免疫系又はB細胞を欠損した免疫系を刺激する能力 がないことである(Mond JJ.,Immunological Reviews 64: 99,1992)(Mosier DEら、J.Immunol.119: 1874,1977)。このようにT−非依存性抗原に対する 免疫応答もT−依存性抗原に対する免疫応答も、多くの応用の際に満足できるも のではない。 T−非依存性抗原に関しては、子供にこのような抗原に対する防御免疫、特にH .インフルエンザ(H .influenzae)及びS.ニューモニエ(S .pneumoniae)のよ うな多糖類に対する防御免疫が成立することが重要である。T−依存性抗原に関 しては、種々の病原体の主要な抗原決定基を表す合成ペプチドに基づいてワクチ ンを開発することが重要である。 T−非依存性抗原に対する免疫応答を高めるための一つの方法として、H.イン フルエンザPRPのような多糖抗原(Cruse JM,Lewis RE Jr.編、微生物学及び免 疫学に寄与する複合ワクチン(Conjugate vaccines in Contributions to Micro biology and Immunology)、第10巻、1989)又はオリゴ糖抗原(Anderson PWら 、J.Immunol.142: 2464,1989)を破傷風トキソイドもしくはジフテリアトキ ソイドのような単独のT−依存性抗原と複合化させることが含まれる。このよう にしてT細胞の協力が補充されると、免疫された多くの幼児の免疫が強化される ことが示されている。残念なことに、ほんの低レベルの力価の抗体が誘導される にすぎず、一次免疫処置に応答するのは一部の幼児のみである。したがって数回 の免疫処置が必要であって、防御免疫成立には何カ月もかかることがしばしばで ある。さらに免疫処置を受けるために何度も通院することも、医療期間から遠く 離れた場所(特に低開発の田舎)に住んでいる家族にとっては難題である。最後 に、2カ月に満たない乳児では免疫処置を繰り返しても抗体応答がほとんど又は 全く起こらない可能性がある。 タンパク質又はペプチドのT−依存性抗原に対して現在用いられている溶液に も同様の欠点がある。T−依存性抗原は、アジュバント又は他の輸送系に組み入 れられることが多い。しかしこのような方法では、毒性がもたらされるか、又は 抗体応答が非特異的に誘導される可能性がある(Dancey GFら、J.Immunol.122 : 63 8,1979参照)。 さらに、T−依存性抗原及びT−非依存性抗原を用いるこれらの方法では、免疫 応答を強化する単一のT−依存性の担体のみが組み入れられている。このような 方法ではT−細胞の協力の補充が最大にならない。その上これらの方法は、一つ の担体に多数の抗原を載せて投与することができないために著しく限定され制限 されたものであり、したがって多数回の注射が必要である。 他の方法において研究者らは、分子量400Kのフィコール(Ficoll)(登録商標 )(不活性な合成非イオン化高分子ポリマー)のようなT−非依存性担体にトリ ニトロフェニル(TNP)のようなハプテンを複合化した。このような複合体は、 アジュバントの非存在下で、マウスでT−非依存性応答を刺激することがわかっ ている(Mosier DEら、J.Exp.Med.139: 1354(1974)参照)。しかしこの複合 体は単独では、生まれたばかりのマウスにおいて又はB細胞免疫不全マウスにお いて免疫応答を刺激することはできなかった(Mosier DEら、J.Immunol.119: 1874,1977参照)。この複合体に対する免疫不全マウスの応答は、特定のアジュ バントの存在下でのみ誘導することができた(Ahmad A 及び Mond JJ,J.Immun ol.136: 1223,1986参照)。このことは前に述べた理由から欠点となる。 さらに進んだ研究では、TNPは不溶性粒子に複合化され、そして生まれたばか りのマウス及び免疫不全マウスにとってインビトロで有効な免疫原となることが わかっている。ただしそれは一粒子当りのハプテンが非常に高い密度の場合のみ である(Mond JJら、J.Immunol.123:239,1979参照)。他の研究室ではディン ティス(Dintzis)らが、担体分子の重さと同様に、担体に対するハプテンの比 率も、T−非依存性複合体の免疫原性及びそれが刺激する抗体応答に強く影響を 与えることを明らかにした(Dintzis RZら、J.Immunol.143: 1239,1989参照 )。 この他の試行の複合体には、高分子量(2×106ダルトン)のデキストラン(グ ルコースポリマー)に複合して「抗Ig Dex」複合体を形成する抗免疫グロブリン 抗体(抗Ig)が含まれる。この複合体は、新生児のB細胞及び成熟したB細胞、並 びに免疫不全マウス由来のB細胞を非常に低濃度で活性化することが示された(B runswick Mら、J.Imunol.140: 3364,1988参照)。しかし抗Ig Dexは、T−細 胞による補助をほとんど又は全く刺激しないため、又は特異性に関わらずすべて の B細胞を活性化するため、ワクチンにとって効果的な担体を提供することができ なかった。 これらの方法のうちの何れも、その構築物は一つの型の免疫応答しか最適化し ないため、この問題を解決できなかった。例えばT−非依存性担体に複合化した 低分子量のハプテンは、抗ハプテン応答のT−非依存性の成分のみを最適化する であろうし、またT−依存性担体に複合化した免疫原性の弱いT−非依存性分子は T−依存性免疫の刺激に依存しているに違いなく、可溶型ではこの複合体のT細胞 の活性化は非常に制限されるであろう。このように、両方の成分に適合する構築 物がこの技術において依然として必要とされている。このような構築物は、抗原 特異的なB細胞における高い活性化レベルを特異的に刺激するT−非依存性成分と 、T細胞の協力を同時に補充するようなT−依存性成分との両方を最適化する。さ らにこのような二重の構築物は、新生児、成人、ならびに免疫欠陥のある動物及 びヒトにおいてT−依存性抗原及びT−非依存性抗原の両方に対する高いレベルの 抗体を急速に誘導することができる。 また多くの抗原が一回の注射で注入できるように、多くの抗原が結合できる構 築物が当業者には必要である。一つの構築物に結合した多くの抗原で個体を免疫 することのできるワクチンは、非常に価値が高い。 要約すると、この技術には、(a)T−非依存性抗原及びT−依存性抗原の成分 の両方を最大限に活用することによって、免疫欠陥のある個体においてだけでな く子供及び大人のいずれにおいても長期間にわたって維持される非常に急速で大 きな抗体応答を刺激することのできる構築物、(b)多くの抗原又は他の免疫増 強アジュバントが結合できる構築物、ならびに(c)受動的な免疫防御もしくは 治療のため、そして診断もしくは研究のために用いることのできる、モノクロー ナル抗体又はポリクローナル抗体を急速に刺激する構築物、に対する必要性が存 在している。 V .発明の概要 本発明は、免疫原性を改善する二重担体免疫原性構築物を提供することによっ て、従来の構築物の問題点及び欠点を解決する。この二重担体免疫原性構築物は 、T−依存性抗原である少なくとも一つの第二担体に複合化した分子量の大きい 分 子である少なくとも一つの第一担体を含む。該第一担体は、T細胞及びB細胞の両 方に対して比較的高い抗原密度で多数コピーの第二担体を提示できる。さらに、 一つの構築物に複数の抗原特異性を含ませることができるように、該大きいバッ クボーン基質は多くの第二担体の効果的な担体として作用する。好ましい態様に おいて、第一担体は、それ自体でB細胞を直接的にそして強く活性化することが でき、かつ多くの第二担体を運搬するための、大きいが比較的非崩壊性のバック ボーンとして用いることのできる高分子量のT−非依存性抗原である。 第二担体はT−依存性抗原である。T−依存性抗原として、第二担体は、それ自 体又は第一担体に複合化できる他の決定基に対する抗体産生だけでなく、それ自 身に対する抗体産生をも増大させるようにT細胞を活性化し補充する。第二担体 の多数のコピーを第一担体に複合化させることによって、T細胞活性化を有意に 増強し、それにより第二担体に対する抗体産生を増大させることができる。 好ましい態様において、本発明はまた、第一担体又は第二担体に複合化した例 えばハプテン及び抗原のような少なくとも一つの成分を含んでいる。該成分は、 複合化により第二担体によって生じるT細胞の補助を得られるようになる。 本発明の二重担体免疫原性構築物はまた、非免疫原性の分子又は免疫原性の弱 い分子を二重担体構築物に複合化させることによって、強い免疫原性の分子へ変 換することができる。さらに、より免疫原性を高めるために、いずれかの担体に 免疫増強アジュバントを複合化させることが可能である。好ましくはこのような 二重担体免疫原性構築物は、非毒性の成分から提供される。さらに、例えばデキ ストランのような第一担体へのタンパク質の複合化は担体に対する最小限の変化 を含むため、このような二重担体免疫原性構築物は、抗原部位の変化を減少させ ることができる。 最後に、本発明にかかる二重担体免疫原性構築物は、治療、予防、診断、及び 研究に応用することができる。 本発明のさらなる利点及び局面は、次の詳細な説明に記載されているか、詳細 な説明から導き出されるか、又は本発明の実施によって習得される。 本明細書において具体的にそして広く記載されているような本発明の利点を達 成するために、そして本発明の目的に従い、本発明は、分子量が70kDaより大き い 高分子量の分子である少なくとも一つの第一担体に、T−依存性抗原である少な くとも一つの第二担体が複合化したものから構成される二重担体免疫原性構築物 を含む。この構築物の免疫原性は、少なくとも一つの担体単独よりも大きい。好 ましい態様において、第一担体はT−非依存性抗原であり、第二担体はタンパク 質である。他の好ましい態様において、少なくとも一つの成分が、この構築物の 少なくとも一つの担体に複合化されている。複合化された成分の免疫原性は、複 合化されていない成分の免疫原性よりも大きい。 本発明の他の局面は、少なくとも一つの二重担体免疫原性構築物及び薬学的に 許容される担体を含むワクチンに関する。本発明のもう一つの局面は、免疫刺激 量のワクチンを投与することによって患者を治療する方法に関する。 本発明のもう一つの局面は、免疫原に対する抗体が産生されるようにワクチン で宿主を免疫し、その後その抗体を単離するか、又はモノクローナル抗体を産生 するために用いることができるB細胞を単離することにより、抗体を調整する方 法に関する。さらに他の局面において、本発明は、このような抗体を含む免疫治 療用組成物に関する。またさらに他の局面において、本発明は、治療上有効な量 の免疫治療用組成物を投与することによって患者を治療する方法に関する。もう 一つの局面によると本発明は、このような抗体を含む診断用又は研究用の試薬に 関する。 本明細書に組み入れられそして本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発 明のいくつかの例示的な態様を示しており、それらは詳細な説明とともに本発明 の原理を説明するために用いられている。 本発明にかかる前述の及び他の種々の目的、特徴、及び多くの付随する利点は 、添付した図面と関連づけて考慮しながら以下の詳細な説明を読んだ上でよりよ く理解できるであろう。 VI .図面の簡単な説明 図1 T細胞の必要性に基づいて二つの古典的なタイプに分類した抗原の図解描 写である。T−非依存性抗原(及びハプテン化されたTI抗原)はT細胞の非存在下 で応答を刺激し、そしてT−依存性抗原(及びハプテン化されたTD抗原)は最適 の抗体応答を誘導するためにT細胞の関与を必要とする。 図2 二重担体免疫原性構築物の一態様を示す概略図である。 −第一担体は高分子のポリマー(HMWP)、例えばデキストラン(Dex)である。 −Dexに複合化した第二担体は高レベルのT細胞活性化を刺激するいかなる物質で あってもよい。 −ハプテンは例えばオリゴ糖類、多糖類、ペプチド、薬物などのいかなる低分子 量の分子であってもよく、それらは第二担体に複合化させられる。 図3 BSA−Dex複合体に対する用量応答性をグラフ表示したものである。ウシ 血清アルブミン(BSA)に対する血清IgG1抗体力価は、静脈注射によりPBS複合体 中のBSA−Dexを10〜500μg/マウスの範囲の用量で免疫したマウスで測定した。 マウスは免疫した後14日目に採血し、抗体力価をELISAによって測定した。複合 化していないBSAはマウスにおいて免疫原性ではない。この図は、Dexへの複合化 により、BSAが非常に有力な免疫原へと変換されることを示している。 図4 Dexに複合化し、示された用量でマウスに静脈注射(IV)されたさまざま な大きさのタンパク質を示す表である。血清IgG1抗体の力価はELISAによって測 定した。複合化されたタンパク質とは対照的に、デキストランに結合していない 抗原でマウスの免疫を行うと、Dex複合体よりは有意に少ないが検出可能な力価 をもたらしたコレラ毒素の免疫以外は、検出できるほどの抗体形成をもたらさな かった(その力価は10未満であった)。この図は、いろいろなタンパク質のDex への複合化により、そのタンパク質が有効な免疫原に変化することを示している 。 図5 ハプテン化したBSAに対する応答について表したグラフである。マウスを 、トリニトロフェニル化したBSA(TNP-BSA)(50μg)で又はDexに複合化したTN P−BSA(TNP−BSA Dex)(50μg)で免疫し、21日後に採血した。抗TNP力価はEL ISAによって測定した。この図から、BSA及びTNPの両方に対する良好な抗体応答 が、第一担体としてDex、かつ第二担体としてBSAを用いることによって誘導され ることが示される。このように第2タンパク質担体分子へのTNPの複合化を、第一 担体へのこの複合体の複合化と組み合わせると、TNPが効果的な免疫原へと変換 された。 図6 抗ペプチド応答について表したグラフである。この実験は図5に示された 前記の実験を支持している。第二担体であるBSAにマラリア由来ペプチドP74(配 列番号:1)を複合化し、そしてDex第一担体にこの複合体を複合化させることに より、非免疫原性のペプチド(p74、配列番号:1)が効果的な免疫原へと変換さ れることを示している。このことは、合成ペプチドについてのこの構築物の利用 性の証明に特に関連する。 図7 デキストランに結合した複数の抗原について表したグラフである。この 実験では、Dexに抗原性の異なる三つの分子を複合化させて調製したDex複合体に ついて抗体応答性を評価している。この研究においては、オブアルブミン(OVA )と結合したTNPとリゾチーム(LYS)とをDexに複合化させ、この複合体を50μg マウスに静脈注射した。9日後にマウスを採血し、抗OVA、抗TNP及び抗LYS抗体力 価について血清をELISAで測定した。この実験から、第1Dex担体に複数の関連の ない抗原を複合化させることによって、ワクチン調製物を製造できることが示さ れる。 図8 ハプテン化されたBSA−Dexの追加刺激を表すグラフである。マウスを(T NP−BSA)Dex(50μg)で免疫し、次にTNP−BSA単独又はDexに複合化したTNP−B SAのいずれかを用いて二度目の注射をして追加刺激した。マウスを14日後に採血 し、その血清を抗TNP及び抗BSA抗体について力価測定した。この図は、マウスが 一旦Dex複合体(第一担体及び第二担体の両方を含む構築物)で免疫されると良 好な二次応答が現れること、及び抗体の追加刺激が、完全なワクチン構築物複合 体と同様に、複合化されていないTNP−BSA(第二担体のみ)でも効果的に達成さ れることを示している。このことは、一旦一次応答が複合体で刺激されると、大 きな二次応答が、複合化されていない抗原又は天然の抗原によって誘導されうる ことを証明している。 図9 BSAで追加刺激したBSA−Dexの速度論を表したグラフである。マウスを50 μgのBSA−Dex(第一担体及び第二担体)で免疫し、5週目に50μgのBSA(第二担 体のみ)で追加刺激した。マウスを種々の時間経過後に採血し、その血清をELIS Aにより第二担体のBSAに対する抗体の力価について測定した。この図は、二次抗 体応答がBSAのみによって、即ちデキストランに複合化していない第二担体によ って誘導されうること、及びこの応答が非常に長く継続し11週よりも長い間維持 されることを示している。 図10 担体に対する抗体応答を表したグラフである。BSA−Dex複合体(50μg ) を、正常マウス又はDexに対して応答しない免疫不全マウスに注射した。マウス を11日後、20日後、及び29日後に採血し、血清中の抗BSAの力価をELISAによって 測定した。この研究は、Dex担体は単に多価で細胞に抗原を提示するマトリック スを提供しているだけであること、Dex複合体に対する抗体応答がデキストラン 担体に対する抗体応答を開始させるマウスの能力と無関係であること、Dexが有 効な担体として機能するために、免疫系の細胞はそれに対する免疫原としてDex を認識する必要がないこと、そして、さらに重要なことは、BSA−Dex複合体が免 疫不全マウスにおける応答を刺激できることを証明している。 図11 子供のマウスにおけるBSA−Dexの免疫原性を表したグラフである。生後 2週目のマウス及び大人のマウスの両方に対して50μgのBSA−Dexを用いて腹腔内 注射を行い、12日目に採血した。血清の抗BSAの力価をELISAによって測定した。 この研究により、免疫学的に未成熟のマウスでさえこのDexタンパク質−担体複 合体で効果的に免疫することができ、そして第二担体(BSA)に対する良好な抗 体応答が誘導されることが示されている。 図12 分子量の効果を表したグラフである。BSA−Dex複合体は、分子量70K、4 00K、又は2000Kの異なる大きさのDexを用いて作られた。マウスには50μgの種々 の複合体を静脈注射し、14日後に採血した。血清中の抗体の力価はELISAによっ て測定した。この図は、有効な担体分子を提供するためにはDexの大きさが>70k Daでなくてはならないこと、及び400kDaのDexは良好な応答を誘導するが、分子 量の大きい担体分子ほどさらに効果的であることを示している。 図13 注入方法の効果について表したグラフである。マウスを三つの異なる経 路、即ち静脈注射(IV)、皮下注射(SC)、又は筋肉注射(IM)によりBSA−Dex で免疫した。マウスを14日後に採血し、その血清の力価をELISAによって測定し た。この研究は、Dexタンパク質−担体複合体(第一担体及び第二担体の複合体 )が、IV、SC、又はIMのいずれかによっても同等の応答を刺激することを示して いる。 図14 複数の第二担体(破傷風トキソイド、髄膜炎菌の外膜タンパク質、及び ウイルスタンパク質)が、少なくとも一つの第一担体に複合化されている二重担 体免疫原性構築物について図示した模式図である。第二担体はさらにハプテン化 されていてもよいし、ハプテン化されていなくてもよい。 VII .好ましい態様の詳細な説明 ここで、本発明の現時点における好ましい態様を詳細に参照する。また、その 具体例は添付の図面に例示される。 本発明は、図2に示されるような、少なくとも二つの担体、即ち分子量が70kDa 以上の高分子量の分子である少なくとも一つの第一担体と、該第一担体に複合化 したT−依存性抗原である第二担体とから構成された免疫原性の構築物に関する 。担体は、結合した物質の免疫原性が増強されるように他の物質が結合すること のできるいかなる物質であってもよい。 好ましい態様において、この構築物の免疫原性は少なくとも一つの担体の単独 の免疫原性よりも大きい。免疫原性を測定する方法は当業者にとって周知であり 、その方法には主に、構築物を注入した後の様々な時間における血清抗体の、量 、アビディティ、及びアイソタイプ分布などの測定が含まれる。免疫原性が大き くなることは、力価が高くなること及び/又は抗体の存続期間が増加することに よって反映されるであろう。免疫原性はまた、有毒物質又は有毒微生物による攻 撃に対する保護作用を誘導する能力によって測定することもできる。また免疫原 性は、生まれて間もないマウス及び/又は免疫不全のマウスを免疫する能力によ って測定することもできる。免疫原性は治療が行われる患者の集団において、又 は患者の集団と免疫応答がよく似た集団において測定してもよい。 両タイプの担体の寄与の結果として、この二重担体構築物は、B細胞、マクロ ファージ、又は他の抗原提示細胞によって抗原提示を増強するような機序を経て T細胞の補助を著しく強く活性化する。このような構築物は、大人、子供、及び 免疫系が未成熟であるかもしくは免疫不全のヒトにおいて、非常に急速にかつ長 期間持続する抗体形成を誘導するであろう。 本発明の構築物は好ましくは、水溶性であるか、又は水性溶媒中で維持するこ とができる。溶解性は、この構築物を合成する際に溶解剤を使用することによっ てもたらされてもよい。さらに本発明の構築物は、溶解剤を使用して水性溶媒中 で維持することもできる。 本発明の構築物を合成する工程は、最終産物の物理的特徴及び化学的特徴を都 合よく調節できるようになっている。この特徴は、第一担体及び第二担体の電荷 を変化させたり(カチオン性のタンパク質は免疫原性がより強いであろうという 根拠を考慮した利点)、第一担体の大きさを変化させることによってその構築物 の大きさを変化させたり、その構築物の架橋の程度を選択したり(大きさ及び循 環系における半減期を変化させるため)、第一担体に複合化させる第二担体のコ ピー数を選択したり、選択された細胞集団(例えば、抗原提示を高めるためにマ クロファージ)を標的としたりして調節することができる。 本発明の構築物に対する免疫応答は、免疫モジュレーター及び/又は細胞標的 のための成分を付加することによりさらに高めることができる。これらの物質( entities)には例えば、(1)無毒化されたリポ多糖又はその誘導体、(2)ムラ ミルジペプチド、(3)免疫学上関連のある細胞にこの構築物を指向させる、細 胞表面の決定基と相互作用することのできる炭水化物、脂質、及びペプチド、( 4)インターロイキン、並びに(5)細胞表面の成分と相互作用できる抗体、が含 まれる。 図2に示されているように、本発明の構築物は、一コピー又は複数コピーの第 二担体が複合化することのできる大きなバックボーン基質を提供する少なくとも 一つの第一担体から構成される。後述のように、一つ又は複数の第一担体又は第 二担体はさらに成分に複合化させることができる。複合化する方法は当業者にと って周知であり、それには「Brunswick M.ら、J.Immunol.140: 3364(1988)」 に記載されたヘテロ連結反応が含まれる。この文献は参照として本明細書に特に 組み入れられる。また、「Wong,S.S.Chemistry of Protein Conjugates and Crosslinking CRC Press、ボストン(1991)」も参照のこと。この文献も参照とし て本明細書に特別に組み入れられる。本発明における担体の複合化では、例えば デキストランのような担体にタンパク質が複合化した場合そのデキストランに最 小限の変化が起こるため、担体上の重要なエピトープに最小限の崩壊が生じるで あろう。 また本発明の第一担体には官能基が含まれていてもよいし、又は別の方法とし て、官能基を有するように化学的に操作してもよい。官能基の存在により、一個 以上の第二担体への第一担体の共有結合を容易にすることができる。このような 官能基にはアミノ基、カルボキシル基、アルデヒド、ヒドラジド、エポキシ、及 びチオールが含まれるが、これらに限られるわけではない。 一つのワクチンが多くの抗原特異性を含むことができるように、それぞれの第 一担体の大きなバックボーンは、多くの異なる第二担体のための理想的な基質を 提供する。そのうえ第一担体は、B細胞及びT細胞の両方に対して比較的高い抗原 密度で多コピーの第二担体を提示することによって抗体産生を刺激する。また抗 原の作用を高めることができるように、この構築物をマクロファージ又は他の型 の細胞に指向させることを含む他の利点も提供することができる。 好ましい態様において、少なくとも一つの第一担体の分子量は、70,000より大 きく2,000,000ダルトンまでの範囲、又はそれ以上である。図12に示されている ように、より好ましい分子量は400,000ダルトン又はそれ以上であり、さらに好 ましい分子量は2,000,000ダルトンである。第一担体の少なくとも一つの第二担 体への複合化は、結果的に第一担体の架橋を引き起こすであろう。このような架 橋により、最終構築物が高分子量でありさえすれば、低分子量の担体(例えば70 ,000ダルトン)を使用することも可能である。当技術分野で通常行われる技術と ともに本明細書に含まれる技術に基づいて、当業者には目的とする特定の構築物 に対して最適の分子量を選択する方法が明らかとなるであろう。 他の好ましい態様において、少なくとも一つの第一担体はT−非依存性抗原で あり、それによりT−非依存性抗原及びT−依存性抗原の利点が結び付く。このよ うな担体は、それ自体がB細胞を直接的に強く活性化でき、かつ多くの第二担体 を運搬することのできる大きいが比較的非崩壊性のバックボーンとして作用でき る。しかし下記に説明するように、それ自体には免疫原性がない第一担体を用い て本発明を実施することもできる。 第一担体は、天然、半合成、又は全合成いずれかの高分子量の分子である。好 ましい態様において、少なくとも一つの第一担体は、デキストラン、カルボキシ メチルセルロース、アガロース、肺炎双球菌III型多糖類、フィコール、ポリア クリルアミド、及びそれらの組合せからなる群より選択されるポリマーである。 最も好ましい態様において第一担体は、デキストランである。本明細書で用いら れるように、デキストラン(「dex」)は単糖からなる多糖類のことであり、フ ァル マシア(Pharmacia)などのいくつかの供給元から入手することができる。フィ コールは半合成ポリマーの一例であり、それは不活性な合成の非イオン化高分子 ポリマーである。合成ポリマーには、ポリアクリルアミド(アクリル樹脂の水溶 性高分子ポリマー)、ポリ(ラクチド−コ−グリコライド(lactide-co-glycoli de))、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリビニル酢酸、及び ポリビニルピロリジンが含まれる。 この構築物の第二担体はまた、良好な抗体応答を誘導するための特別な利点を 提供する。第二担体はT−依存性抗原としてT細胞を活性化して補充し、それによ ってT細胞依存性の抗体産生を増大させる。しかし、強い免疫原性の担体は本発 明の範囲内に含まれるが、第二担体はそれ自体強い免疫原性である必要はない。 多コピーの第二担体を第一担体に結合させると、アジュバントの非存在下でさえ も第二担体に対する抗体産生が有意に増大する。 好ましい態様において、第二担体は、タンパク質、ペプチド、T細胞アジュバ ント、又はT細胞の援助を活性化し補充することができる他の化合物である。こ のタンパク質は、ウイルスタンパク質、細菌タンパク質、寄生虫タンパク質、動 物タンパク質、及び真菌タンパク質からなる群より選択することができるが、こ れらに限定されない。さらに好ましい態様において第二担体は、アルブミン(ウ シ血清アルブミンなど)、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、又は細菌 の外膜タンパク質であり、それらはすべて生化学関連会社もしくは製薬学関連会 社より入手することもできるし、又は標準的な方法論(「Cruse,JM編、微生物 学及び免疫学に寄与する複合ワクチン(Conjugate Vaccines in Contributions to Microbiology and Immunology)第10巻(1989)」参照、この文献は特別に本明 細書に参照として組み入れられる)によって調製することもできる。第二担体と して機能することのできる他のタンパク質は、免疫学分野の通常の技術者には既 知であろう。 本発明の第二担体は、少なくとも一つの第一担体に複合化させることができる 。第二担体は、第一担体と反応できる官能基を含んでいるか、又は前述した第一 担体と反応する能力をもつように化学的に操作することのできる第二担体である かのいずれかであればよい。 前述したように、多コピーの特定の第二担体を第一担体に複合化させることも できるし、様々な種類の第二担体を第一担体に複合化することもできる。多コピ ーの第二担体を第一担体に結合させると、第二担体に対する抗体産生が有意に増 大する。 本発明の第二担体は、複合化されているか複合化されていないか、また下記の 免疫原に結合しているかいないかに関わらず、好ましくは水溶性である。 他の態様において、図2に示されているように、成分が一つ以上の第一担体及 び/又は第二担体にさらに複合化されていてもよい。このような複合化はその成 分に対する増強された抗体応答を促進する。第一担体又は第二担体のいずれかに 該成分を複合化させる方法は当業者にとって周知であり、その一つとしては、有 用な官能基(例えばアミノ基、カルボキシル基、チオ基及びアルデヒド基)を介 する結合が含まれる。「S.S.Wong,Chemistry of Protein Conjugate and Cro sslinking CRC Press(1991)」、及び「Brenkeleyら、色素、ハプテン、及び架橋 試薬を用いるタンパク質複合体の調製法の簡便な概略(Brief Survey of Method s for Preparing Protein Conjugates With Dyes,Hapten and Cross-Linking A gents)、Bioconjugate Chemistry 3 #1(Jan,1992)」参照、これらの文献は特 別に本明細書に参照として組み入れられる。 本明細書で用いられているように、成分は、それ自体で、又は結合後に免疫系 を刺激することができる物質である。成分としては、ハプテン、抗原又はそれら の組合せが含まれる。ハプテンは、それ自体によって抗体応答を誘導することは できないが、担体に結合すると誘導できるようになる、例えば化学物質、ダスト 、及びアレルゲンのような小分子を意味する。抗原とは、適当な環境下で抗体の 形成を誘導することができる分子である。これらのハプテン及び抗原は細菌、リ ケッチア、真菌、ウイルス、寄生虫、薬物、又は化学物質から誘導することがで きるが、これらに限定されるわけではない。それらには例えば、ペプチド、オリ ゴ糖(例えば、H.インフルエンザのポリリボシル−リビトール−ホスフェート) 、毒素、内毒素などの低分子が含まれる。 他の態様において本発明は、二重担体免疫原性構築物と薬学的に許容される担 体とからなるワクチンに関する。このようなワクチンは、患者に適切な投与を行 うための製剤形態を提供すべく、治療に有効な量の二重担体免疫原性構築物を適 当量の担体とともに含んでいる。 薬学的に許容される担体は水及び油のような安定な液体であって、石油、動物 、植物、又は合成物を起源とする液体、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱物油、 ごま油などが含まれる。薬学的組成物が静脈投与される場合、水が好ましい担体 である。生理食塩水、デキストロース水溶液、及びグリセロール水溶液を、液体 担体として、特に注射可能溶剤のために用いることも可能である。好適な薬学担 体は、「マーチンE.W.(Martin E.W.)、レミントンの薬剤学(Remington's P hamaceutical Sciences)」に記載されており、この文献は特別に参照として本 明細書に組み入れられる。 本発明の二重担体免疫原性構築物から構築することができるワクチンには、表 1に列挙されたものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。 本発明はまた、免疫刺激量のワクチンを投与することによる患者の治療に関す る。患者とは、有効な治療法を行う対象を意味し、哺乳動物、特にヒト、ウマ、 ウシ、イヌ、及びネコ、ならびにニワトリなどの他の動物が含まれる。免疫刺激 量とは、疾患を予防、改善、又は治療する際にその患者の免疫応答を刺激できる ワクチン量を示している。本発明のワクチンはいかなる経路でも投与することが できるが、好ましくは静脈注射、筋肉注射、皮下注射、又は例えばエアロゾル粒 子を用いた鼻腔内免疫によって投与される。 本発明はまた、ドナーが前述のワクチンに対する抗体を産生するよう、ワクチ ンで宿主を免疫することにより、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌、又は化学物質 によって引き起こされる感染に対する免疫治療薬を調製する方法にも関する。抗 体を単離してもよいし、又はB細胞を得てその後骨髄腫細胞と融合させてモノク ローナル抗体を作製してもよい。モノクローナル抗体を製造する方法は当業者に は周知であり、それは「Kohler及びMilstein Nature 256: 495(1975)」に記載さ れていて、本明細書においてさらに説明する必要はない。なおこの文献は参照と して本明細書に特別に組み入れられる。本明細書で用いられる免疫治療薬とは、 患者の受動的治療の際に用いられる特定の免疫原に対して特異的な抗体の組成物 を意味する。血しょうドナーとは、ワクチンに含まれる免疫原に対する抗体を産 生させるために、ワクチン注入を受ける対象である。 本発明はまた、防御可能な量の免疫治療薬を投与することによって患者を治療 する方法にも関する。このような治療は、免疫原に対する抗体を産生させるため に患者を必要とせず、むしろこの免疫原に対する血しょうドナーによって産生さ れた抗体を用いるという点で受動的である。免疫原によって発症する疾患を予防 、改善、又は治療できる程度に充分に多い抗体を示す場合、その治療用抗体の量 は防御可能である。このような量は当業者によって決定できる量であり、患者の 特徴及び病気の特性に基づいて変化する。 本発明のもう一つの局面は、アレルギーを患っている患者を治療するための、 二重複合体又はその複合体を基本とするワクチンの使用に関する。アレルゲンは 弱い免疫原であることが多いため、二重複合体によってアレルゲンを強い免疫原 へと変換することが可能である。二重複合体に包含することによってアレルゲン を投与すると、不要なIgE応答を阻止することができ、その一方で目的とする高 レベルのIgGを刺激することができる。本発明のさらに他の局面は、不要なIgE応 答をさらに抑制するため、さらにTGF−βを複合化することに関する。 本発明はまた、宿主が抗原に対する抗体(又はB細胞)を産生するように、前 述のワクチンでその宿主を免疫することによって、例えば細菌、ウイルス、真菌 、寄生虫、又は化学物質により発症する疾患の特徴である病原体を検出するため の診断用試薬及び/又は研究用試薬を製造する方法にも関する。抗体及び/又は B細胞は、前述のようにして単離することができる。本明細書で用いられるよう に、診断用試薬とは、疾患の特徴である病原体を検出するために利用することの できる抗体(ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体)の組成物を意味する 。本明細書で用いられるように、研究用試薬とは、実験室で用いることのできる 抗体(ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体)の組成物を意味する。 本明細書に記載の実施例は、能動的又は受動的な予防又は治療を行うため、そ して診断又は研究を行うために用いることができるモノクローナル又はポリクロ ーナルいずれかの抗体を産生するためのワクチン製造における本発明の実施を例 示する方法を提供するものであり、本発明を限定するものではない。 代表的な実施例の特徴は、新規な二重担体ワクチンを産生するための方法及び 機能の概念を例示するために選択された。 方法 I.マウス(DBA/2J)は別記しない限り生後8週目のものを用い、種々の抗原 の食塩水溶液を0.1mlずつ、静脈、皮下、又は筋肉に注射することによって免疫 した。全ての実験において、一グループあたり5匹のマウスを用いた。採血は尻 尾の血管から行った。 II.アミノエチル カルバミルデキストラン(AECM Dex) アミノ−エチルカルバミルデキストラン(AECM Dex)は本質的に、「Brunswic kら、J.Immunol.140: 3363(1988)」に記載されているようにして調製した。こ の文献は本明細書に参照として特別に組み入れられている。AECM T2000デキスト ラン(ファルマシア)は、ゲル浸透カラム(CL2Bカラム 2.5×105cm)に載せて 通過させた。このカラムの初めから三分の1より得られる物質を集めて、その物 質が 平均分子量2,000,000ダルトンであることを検出した。以降この物質をHMW AECM デキストランと呼ぶ。AECMデキストランはまた、T70及びT500のデキストラン( ファルマシア)からも調製され、それらはそれぞれCL6B及びCL4Bカラム上で分画 した。中心の画分を採取して濃縮し、そして比較的同質の調製物を得るために繰 り返した。デキストラン一分子あたりのアミノ基の平均数を測定するために、ト リニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いた。高分子量のデキストラン調製物 は、2,000,000ダルトンあたり150から200個のアミノ基を有していた。AECM T500 調製物は400,000ダルトンあたり平均150個のアミノ基を有しており、AECM T70 調製物は70,000ダルトンあたり平均35個のアミノ基を有していた。デキストラン 濃度の測定を容易にするために、AECMデキストランを少量のN−サクシニミジル [3H−2,3]プロピオネート[N-succinimidyl[3H-2,3]propionate:3H−NSP] (アマシャム(Amersham))と反応させることによって通常の手順で放射標識し た。10,000デキストラン分子のうちのほぼ一つを修飾した。(3H−AECM HMW Dex )は次のように簡単にトリニトロフェニル化した。0.01Mのホウ酸ナトリウム中 で新しく調製した0.01M、pH9.3のTNBS溶液50μlを、0.5mlの0.1Mホウ酸ナト リウム緩衝液を加えたpH9.3のHEPES緩衝液2ml中に20mgのHMW AECM−Dexを入れ て攪拌した溶液中に添加した。暗所、室温で2時間経過した後、試薬をP6DG脱塩 カラム(バイオラド(BioRad))で除去し、標識したデキストランをセントリコ ン(Centricon)30(アミコン(Amicon))を用いて限外濾過して濃縮した。366 nmで11,000のモル吸光度係数を用いることで、HMWデキストランに対するTNPの比 が40:1であることが検出された。これには、さらに反応することのできる約100 から150個の遊離アミノ基が残存していた。 III.タンパク質のAECM Dexへの複合化 タンパク質を、ヘテロ連結反応を用いてAECMデキストランに複合化させた(Br unswick Mら、J.Immunol.140: 3364,1988、特別に参照として本明細書に組み 入れられる)。タンパク質をアセチルチオール化し、デキストランはSIAP試薬を 用いてヨードアセチル化した(Brunswick Mら、J.Immunol.140: 3364,1988、 特別に参照として本明細書に組み入れられる)が、ヨード酢酸n−ハイドロキシ サクシニミドエステル(IANHS)のような他の試薬を用いることができた。 タンパク質を、典型的には4〜8倍モルの過剰のSATA(カルバイオケム)と1〜2 時間反応させた。この活性化したデキストラン及びタンパク質を、過剰の試薬を 除去するため、酢酸緩衝液(10mMの酢酸ナトリウム、0.1MのNaCl、2mMのEDTA、0 .02%のアジ化ナトリウムpH5.0)に入れてそれぞれ脱塩化し、セントリコン30を 用いて濃縮した。タンパク質及びデキストランを典型的には、30〜60:1のモル 比率で混合し、HEPES緩衝液+ヒドロキシルアミンを用いてpHを7.5まで上昇させ た。最終濃度はHEPES 75mM、EDTA 2mM、アジ化物 0.02%、及びヒドロキシルア ミン 50mMとなった。4℃で一晩反応させた後、その複合体を0.2mMのメルカプト エタノールで1時間の処理(残存しているヨウ化アセチル基を消費するため)を 行った後、10mMのヨウ化アセトアミドによって処理(全てのチオール基を消費す るため)し、さらに必要であれば濃縮してからタンパク質の分子量によりS200SF 、S300SF、又はS400SF(ファルマシア)を含むPBSで平衡化した1×58cmのゲル濾 過カラムを通過させた。カラムの非放射性のピークを集めて、必要に応じて濃縮 した。溶液は、ミレックス(Millex)GV又はHVフィルター(ミリポア)を通過さ せることによって滅菌した。 P74ペプチド(Cys−Asn−Ile−Gly−Lys−Val−Pro−Asn−Val−Gln−Asp−Gl n−Asn−Lys)(配列番号:1)は次のようにBSAに複合化した。400μlのHEPES緩 衝液中の11.6mgのBSA(ペンテックス(Pentex))を、ヨウ化アセトアミド中で1 0mMにした。これは、ヘテロ二官能基の試薬と反応して重合化反応を引き起こす 可能性のある天然のチオール基を阻害するためである。10分間インキュベートし た後で、そのタンパク質を12倍モルの過剰量のIANHSを添加することによってヨ ウ化アセチル化した。1時間後その溶液を酢酸緩衝液に入れて脱塩化し、39mg/ml にまで濃縮した。 BSAに複合化したチオールペプチドの量を評価できるように、そのチオールペ プチドを放射標識した。このペプチドをHEPES緩衝液に溶解し、1.5倍モルの過剰 量のエルマン(Ellman's)試薬をそのチオールを阻害するために添加した。30分 後、放出された半−エルマン(half-Elliman's)試薬のチオールを消費するため 、10倍モルの過剰量のN−エチルマレイミドを添加した。1時間後、チオールを保 護したペプチドをN−サクシニミジル[3H-2,3]−プロピオネート(3H-NSP)( アマ シャム)を用いて放射標識した。複合化させる直前にそのペプチド溶液を50mMの ジチオスレイトール溶液にし、全ての試薬を1×38cmのG-10カラム(ファルマシ ア)にかけて除去した。放射活性のない溶液で流出する放射活性のピークを集め た。このペプチドの特異的な活性は、約2.5×1011cpm/モルであった。放射標識 したチオールペプチドを、モル比15:1でヨウ化アセチル化した4.5mgのBSAに添加 し、pHを5×HEPES緩衝液を添加することによって7.5にまで上昇させた。最終容 積は0.2mlであった。一晩反応させた後その溶液を0.2mMのメルカプトエタノール で1時間処理し、PBSで平衡化した1×15cmのP6DGカラムにかけて未反応のペプチ ドを除去した。最終的に得られたペプチドBSAの比は、6:1であることが検出され た。続いてこのペプチド−タンパク質複合体を、BSAについて記載したのと同様 にデキストランに結合させた。 B−ラクトグロブリンB、アプロチニン、オブアルブミン(OVA)及びリゾチー ムをシグマ社(Sigma)より入手した。ウシ血清アルブミン(BSA)は、ペンテッ クス(Pentex)又はアムレスコ(Amresco)(バイオテク等級(Biotech grade) )より入手した。ワクチニアタンパク質は、イザベラ・クアルキー博士(Dr.Is abella Quarkyi)(ジョージタウン医科大学(Georgetown University Medical School))の好意により提供された。 TNP−OVA及びTNP−BSAは、0.1Mのホウ酸ナトリウム、0.2MのNaCl、0.02%のア ジ化ナトリウムに混合してpH9.1に調整した4〜12倍モル過剰のTNBS(0.25Mのス トックより)を、同じ緩衝液にそれぞれOVA又はBSAを混合した50mg/ml溶液に添 加することによって調製した。4℃で一晩反応させた後、そのタンパク質をHEPES 緩衝液に透析した。その比率は、366nmにおける吸光度、及び280nmでのハプテン による吸光度の補正量から決定した。(OD280= .32×OD366) IV.血清IgG1、及びIgM 抗TNPの力価をELISAによって測定した。アルカリホス フェートを複合化した抗体を用いたこと、及びマイクロタイターウェルを、抗TN P抗体を測定するために10μg/mlのTNP フィコールで2時間コーティングするか 又は抗BSA抗体を測定するために10μg/mlのBSAで2時間コーティングしたことを 除けば、このアッセイは前述のアッセイと同様に行った。アルカリホスフェート を複合化した抗体を用いて処理を行った後で、マイクロタイタープレートのウェ ル を200μlのp−ニトロフェニルホスフェート(1Mのトリス中1mg/ml、pH9.8)で満 たし、室温で半時間から1時間インキュベートし、各ウェル内の溶液のA405を、 タイターテック・マルチスカン光度計(Titertek Multiskan Spectrophotometer )(フロー・ラボラトリーズ(Flow Laboratories)、バージニア州マクリーン (McLean))を用いて測定した。ELISAに対する力価は、前述したように算出し た(免疫学における最新プロトコール(Current Protocols in Immunology)、 第I巻、J.Coligan,A.Kruisbeck,D.Margulies,E.Shevach及びW.Strober .J.Wiley & Sons編、1991参照。なおこの文献は本明細書に参照として特別に 組み入れられる)。実施例1 従来のワクチンは、免疫原性が弱かったり、それぞれの抗原毎に別のワクチン 構築物が必要であったり、良好な抗体産生を誘導するためには何回もの注入が要 求されたりといった多くの不都合な点をかかえていた。高分子量のポリマー(HM WP)を、ワクチンのバックボーンとなる第1抗原担体として用いた。いかなるHMW Pを用いることもできるが、Dexを本実験のために選択した。Dex HMWPは、T細胞 及びB細胞に第二担体の高密度の提示がなされるよう、そして他の多くの異なる 抗原に対する担体を提供するよう用いられた(図1及び2参照)。 抗原がHMWP第一担体に結合すると、これらの抗原に対する抗体応答が増強され る(図3及び4参照)。複合化されていないBSAを一度注入しただけでは検出でき るほどの抗体応答が誘導されないのに対して、DexにBSAを複合化すると、一回の 投与当たり10〜500μgという良好な抗体応答が誘導される(図3参照)。Dex、即 ち第一担体に異なるタンパク質を複合化させると、それらのタンパク質は強い免 疫原性を有するようになる(図4参照)。これらの研究では、ウイルス性抗原( ワクチニア−Dex)、細菌性抗原及び毒素(コレラ毒素−Dex)、及び免疫原性の 弱い他の物質について行われた。したがって第2タンパク質担体としては、BSAな どの非常に多くのタンパク質、又はコレラ、破傷風、もしくはジフテリアのよう な毒素/トキソイドが含まれる。Dex第一担体の分子量は様々に変えることがで きるが、>70kDaでなくてはならず、約400及び2000kDaの大きさの担体分子が最 も有効である(図12参照)。しかしHMWPについての最適な大きさは、使用する特 定の第一 担体により異なるであろう。Dex HMWPは多糖類であり、免疫不全のマウスはそれ に対して抗体応答を起こさない。しかし正常のマウス及び免疫不全のマウスのい ずれにおいても、Dexに結合したBSAに対しては同程度の良好な抗体応答が生じる (図10参照)。このことは、第一担体としてのDexは多価で細胞に抗原を提示す るための基質を単に提供しているのであって、それ自体が免疫原性である必要が ないことを明らかにしている。これらの研究はまた、種々のタンパク質を第二担 体として用いることができ、かつ第二担体をワクチン抗原としても、非免疫原性 抗原のための担体としても用いることができることを示している。実施例2 二重担体ワクチン構築物を、TNPを用いて充分に説明する(図5参照)。マウス が第二担体であるBSAに結合したTNP(TNP−BSA)で免疫され、TNP−BSAはさらに HMWP第一担体(Dex)に結合している。TNPを第二担体のBSAだけに複合化させた 場合は、TNPに対する抗体応答は増強されなかった。しかし[(TNP−BSA)−Dex ]を生産するため第二担体/TNP複合体を第一担体に結合すると、TNPの免疫原性 が増強された。さらにBSA(第二担体)は、Dexのみと結合、又はDex及びTNPと結 合させた場合、免疫原性であった。したがって、二重担体ワクチン構築物を用い ると、HMWPは第二担体を運搬することができ、かつ他の抗原を第二担体に結合す ることができる。抗体は、第二担体に複合化した抗原に対してだけでなく、第二 担体に対しても誘導され、非免疫原性のハプテン化された分子を免疫原性にする であろう。第二担体が、その抗体により防御免疫が成立する、破傷風トキソイド 又はジフテリアトキソイドのような抗原である場合に、このことは特に重要とな るに違いない。また、このワクチン構築物により、多数の関連のない抗原を第一 担体に複合化することが可能となる(図7参照)。TNPをOVA(第二担体)に結合 させてからDex(第一担体)に複合化させた。LYSも独立にDexに直接複合化させ た。抗体はそれぞれの抗原に対して誘導された。このように、ワクチン構築物の HMWPバックボーンは、複数の第二担体タンパク質を有する多価のワクチン、及び 又は第二担体に結合した多くの異なる抗原を有する多価のワクチンを製造する際 に適当である。(多重担体/多重抗原ワクチン)実施例3 前述した実施例において、二重担体ワクチン構築物は種々の抗原について有効 であることが示された。このデータは、寄生虫(マラリア)由来のペプチド抗原 (P74、配列番号:1)を用いて確認され、拡張される。二重担体ワクチン構築物 は、ペプチド抗原単独又は第二担体のBSAに複合化したペプチドよりも有意に良 好であることが示された(図6参照)。P74−BSA複合体をHMWP第一担体(Dex)に 結合したあとでのみ、この小さな抗原に対して良好な抗体応答が誘導された。し かしHMWP担体は、単に細胞に抗原を提示するための基質を提供するだけであって 、免疫原性である必要はない(図10参照)。実施例4 長期間にわたって免疫性を有効に増強するようなワクチンを作製するには、適 当な追加抗原刺激による応答が重要である。二重担体ワクチンを用いて一次免疫 処置を行ったあとでの追加抗原刺激による抗体応答は、複合化されていない第二 担体を用いた場合であっても誘導することができる(図8参照)。さらにハプテ ン化した担体を用いた場合では、追加抗原刺激による応答は、TNPに対してもBSA 第二担体に対しても観察された。さらに行った分析では、BSA第二担体に対する 一次抗体応答及び二次抗体応答が長く持続することが示されている(図9参照) 。実施例5 BSA−Dex複合体を、宿主の免疫状態の効果を評価するため、及び抗体応答につ いての免疫処置の経路を評価するために分析した。免疫学的に成熟している大人 のマウス及び免疫学的に未成熟の子供のマウスの両方とも、二重担体ワクチンが 未成熟の免疫性をもつ乳児及び幼児ですら抗体応答を誘導できることが明らかに なっている第一担体及び第二担体の複合体を用いることで有効に免疫された(図 11参照)。BSA(第二担体)に対する抗体応答は、大人のマウスも子供のマウス も同様である。さらに、静脈、筋肉、及び皮下の全ての経路で、BSAに対する良 好な抗体応答が誘導された(図13参照)。従ってワクチンの投与経路は、前述し たいずれか一種類の接種法に限定されるわけではなく、被ワクチン接種者の年齢 又は免疫状態によって制限されるわけでもない。しかしHMWPの大きさは、有効な ワクチン構築物を提供するために重要である。例えばHMWP Dexの大きさは、>70 ,000D、好ましくは>400,000Dであるべきである(図12参照)。実施例6 多重担体ワクチンの調製物が図14に示されている。この系では三つの第二担体 が用いられており、そのうち二つがもう一つの成分にさらに複合化されている。 H.インフルエンザPRPは破傷風トキソイド第二担体に結合しており、マラリア由 来ペプチドは髄膜炎菌の外膜タンパク質に結合しており、ウイルスタンパク質( 例えばRSV−Fタンパク質)は結合されないままである。それぞれの第二担体のう ち一つ以上が、続いて高分子量のポリマーバックボーンに複合化される。実施例7 ワクチンは、以下の4つの方法のうちのいずれかを行って複数の特異性を有す るように設計することができる。 (1)それぞれ、同一の第一担体に複合化した異なる第二担体を含む、二つ以上 の構築物、 (2)それぞれ、成分が異なっている以外は同一の第一担体及び第二担体を含む 、二つ以上の異なる構築物、 (3)それぞれ、異なる第一担体、同一の第二担体、及び異なる成分を含む、二 つ以上の異なる構築物、 (4)それぞれ、異なる第一担体及び第二担体、ならびに異なる成分を含む、二 つ以上の異なる構築物。実施例8 下記の表2及び表3に列挙されているように、TNP-BSAにデキストランを複合化 させたもので免疫すると、応答の大きさ、持続性などを含む抗体応答についての 多くのパラメーターが、非常に高められる(表2参照)。同様にBSA−デキストラ ン又はTNP−BSAデキストランで免疫しても、抗体応答の多くのパラメーターが大 きく高められる(表3参照)。 実施例9 鼻腔内免疫処置では、濃度が100μg/ml〜500μg/mlの抗原10μlを、仰向けの (背中を下にした)状態に保ったマウスの鼻孔に入れた。この方法を用いると当 然のことながら、飲み込まれる接種原又は非特異的に排泄される接種原の、免疫 応答を刺激するため適切な部位に到達する量に対する割合を定量することは困難 である。好ましい投与方法は、胃腸管への分散量が最小になるように、エアロゾ ル化した粒子によるものである。 マウスを、皮下又は鼻腔内のいずれか(それぞれの二つの注入)の経路より、 1.0μgの破傷風トキソイド−肺炎双球菌莢膜の多糖類14(TT−Pn14)(皮下の場 合)で、又は6.0μgのTT−Pn14(鼻腔内の場合)で免疫した。血清抗Pn14の力価 は、14日後に標準的な方法によって測定した。 このように、鼻腔内経路での二重複合化ワクチンの投与は、免疫の有効な経路で あり、非経口の注射を行った場合と同じ程度に有効であると考えられる。 現在進行中の実験では、より頻繁に、即ち3〜4回鼻腔内注入を行う方が、あま り頻繁に行わない場合、即ち2〜3回しか行わない場合よりも、より有効でありう る。注入を行う最適の間隔及び用量は、未だ明らかにはなっていないが、当業者 が日常的に行う範囲内である。しかしながら、1.0μgから20μgの範囲内の用量 を、毎週から毎月といった間隔で注入することが有効である可能性が高い。 鼻腔内投与において、二重複合化ワクチンには生理学的アジュバント(サイト カイン、並びに種々のT細胞及び/又はB細胞活性化分子)を、その成分の一つと して含んでいてもよい。さらにこのワクチン調製物は、その効果を高めるための 吸収剤と同様に、高められた粘膜の吸収性を促進することのできる何らかの薬剤 を混合することもできる。 日毎に得られるデータから、二重複合体を用いた鼻腔内免疫により、多糖類に 対する抗体応答、及び抗体応答をさらに高めるようなタンパク質成分に対する抗 体応答が刺激されることが、明らかにされている。実施例10 当業者は、アレルギー患者に対して行う脱感作注射は、非アトピー性の中和抗 体を刺激することによって作用すると考えている。季節周期的なアレルゲン及び 薬物が関与するアレルゲンの両方とも免疫原性が弱いため、IgE応答を刺激する ことなくそれらを強い免疫原に変換させる方法を開発することは有用である。二 重複合化ワクチンの方法を利用して、本発明者らは例えば破傷風トキソイドのよ うなタンパク質担体へよく定義されたアレルゲン(ハプテン、ペプチド、又はタ ンパク質)を複合化し、続いて高分子量の多糖類担体に複合化することができる 。 他のハプテン化分子を用いた実験から導かれた証拠により、この複合体が、望 ましくないIgE応答も刺激してしまう傾向のあるアルミニウム又はその他のアジ ュバントを用いずに高レベルのIgG抗体を刺激することが示唆される。多糖類担 体に複合した複合体が存在しない場合に、T細胞依存性担体に複合化するこのア レルゲンを用いても、IgE応答の刺激が助長される可能性がある。 本方法の他の利点は、この二重複合化ワクチンによって刺激される応答が持続 性であることがわかっているため、これまでに用いられてきたワクチンよりも注 射の頻度を少なくして間隔を広げることが可能なことである。 本発明の他の特徴は、TGF−βのようなサイトカインをさらに複合化すること であろう。このようなサイトカインはIgの分泌を抑制することができるため、サ イトカインの複合体はアレルギー反応の原因となる不要なIgE応答を抑制するこ とができるはずである。サイトカインを複合化するために、開示された複合化の 方法又は当技術分野の他の方法を用いることができる。 本発明の他の態様は、本明細書及び本明細書に開示した発明の実施法を考慮す れば当業者には明らかであろう。本明細書及び本実施例は説明のためだけのもの であり、本発明の真の範囲及び精神は、以下の請求の範囲によって示されること が考慮されるべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 リース アンドリュー アメリカ合衆国 メリーランド州 シルバ ースプリング グレン ロス ロード 1910

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.免疫刺激量の二重担体免疫原性構築物を含むワクチンであって、該構築物が 、 (1)分子量が70kDa以上である高分子量の分子を含む少なくとも一つの第一担 体、 (2)該第一担体に複合化したT−依存性抗原を含む少なくとも一つの第二担体 、 (3)該少なくとも一つの第一担体又は該少なくとも一つの第二担体のいずれか に複合化した、ハプテン、ペプチド、及びタンパク質、並びにそれらの組合せか らなる群より選択される少なくとも一つのアレルゲン、及び (4)薬学的に許容されるキャリア を含む、ワクチン。 2.サイトカインをさらに含む、請求項1のワクチン。 3.サイトカインがTGF−βである、請求項2のワクチン。 4.少なくとも一つの第一担体の分子量が400kDaより大きい、請求項1、2、又は3 いずれかのワクチン。 5.少なくとも一つの第一担体の分子量が2000kDaより大きい、請求項1、2、又は 3いずれかのワクチン。 6.脱感作できる量の請求項1、2、又は3のワクチンを患者に投与することを含む 、患者を治療する方法。 7.脱感作できる量の請求項4のワクチンを患者に投与することを含む、患者を治 療する方法。 8.脱感作できる量の請求項5のワクチンを患者に投与することを含む、患者を治 療する方法。 9.ワクチンが静脈、筋肉、鼻腔内、又は皮下に投与される、請求項6の方法。 10.ワクチンが静脈、筋肉、鼻腔内、又は皮下に投与される、請求項7の方法。 11.ワクチンが静脈、筋肉、鼻腔内、又は皮下に投与される、請求項8の方法。 12.免疫刺激量の二重担体免疫原性構築物を含むワクチンを患者に投与すること を含む、患者を治療する方法であって、該構築物が、 (1)分子量が70kDa以上である高分子量の分子を含む少なくとも一つの第一担 体、 (2)該第一担体に複合化したT−依存性抗原を含む少なくとも一つの第二担体 、及び (3)薬学的に許容されるキャリア を含み、かつ該投与段階が鼻腔内投与を含む、方法。 13.少なくとも一つの第一担体の分子量が400kDaより大きい、請求項12の方法。 14.少なくとも一つの第一担体の分子量が2000kDaより大きい、請求項12の方法 。 15.免疫刺激量の二重担体免疫原性構築物を含むワクチンを患者に投与すること を含む、患者を治療する方法であって、該構築物が、 (1)分子量が70kDa以上である高分子量の分子を含む少なくとも一つの第一担 体、 (2)該第一担体に複合化したT−依存性抗原を含む少なくとも一つの第二担体 、 (3)該少なくとも一つの第一担体又は該少なくとも一つの第二担体のいずれか に複合化した、第二担体以外である、ハプテン、抗原、及びそれらの組合せから なる群より選択される少なくとも一つの成分、及び (4)薬学的に許容されるキャリア を含み、かつ該投与段階が鼻腔内投与を含む、方法。 16.少なくとも一つの第一担体の分子量が400kDaより大きい、請求項15のワクチ ン。 17.少なくとも一つの第一担体の分子量が2000kDaより大きい、請求項15のワク チン。
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