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JPH1036210A - ファイトアレキシン誘導剤 - Google Patents

ファイトアレキシン誘導剤

Info

Publication number
JPH1036210A
JPH1036210A JP8194332A JP19433296A JPH1036210A JP H1036210 A JPH1036210 A JP H1036210A JP 8194332 A JP8194332 A JP 8194332A JP 19433296 A JP19433296 A JP 19433296A JP H1036210 A JPH1036210 A JP H1036210A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nigerooligosaccharide
agent
phytoalexin
active ingredient
inducing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8194332A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Konishi
豊 小西
Keiji Ideuchi
桂二 出内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kirin Brewery Co Ltd filed Critical Kirin Brewery Co Ltd
Priority to JP8194332A priority Critical patent/JPH1036210A/ja
Publication of JPH1036210A publication Critical patent/JPH1036210A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有す
ることを特徴とするファイトアレキシン誘導剤。 【効果】 新規なファイトアレキシン誘導剤を提供す
る。このファイトアレキシン誘導剤は、安全性の高い農
薬や可食性の鮮度保持剤などとして利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニゲロオリゴ糖を
有効成分として含有するファイトアレキシン誘導剤に関
する。本発明のファイトアレキシン誘導剤は、安全性の
高い農薬や可食性の鮮度保持剤などとして利用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、農作物の栽培において使用される
農薬等の大量施用により、人体及び環境への悪影響、農
薬に対する耐性菌の出現などの様々な問題が生じてお
り、低農薬、減農薬への取組みとともに、環境に優しい
新たな植物防御法の開発が強く期待されていた。
【0003】このため、病原菌に対する抵抗性を誘導す
る物質を施用したり、こうした物質に感受性の高い植物
の育種など、植物自身が本来有している免疫機能を活用
した新たな感染防御技術の開発が試みられている。植物
の病原抵抗性に関する研究から、植物が微生物汚染を受
け、微生物と接触するとカルコーン合成酵素やキチナー
ゼ等の各種酵素系が特異的に活性化され、健全な植物体
ではほとんど検出されない抗菌物質、即ちファイトアレ
キシンが誘導蓄積し、病原抵抗性の発揮に強く関与して
いることが解明された。
【0004】このファイトアレキシンは病原菌である微
生物菌体の細胞壁構成成分或いは微生物汚染を受けた植
物細胞壁構成成分の分解物質によって誘導蓄積される。
一般に、このファイトアレキシンを誘導蓄積する物質
を、エリシターと呼んでいる。エリシター活性を有する
物質としては、ダイズ病原菌の菌糸細胞壁の分解物であ
るヘプターβ−グルコシド(Pms エリシター)や植物細
胞壁のペクチン多糖類の分解物であるオリゴガラクチュ
ロナイド、双子葉植物の主要なヘミセルロースであるキ
シログルカンの分解物であるキシログルカンオリゴ糖等
が知られている(T.Ishii et al, APAST, NO.7,15-19,19
93) 。
【0005】しかし、従来より知られていた上述のエリ
シターは、そのほとんどが微生物菌体分解物或いは微生
物産生多糖の分解物、植物細胞壁分解物等であるため、
原料となる多糖類の価格、供給量、調製法等に関して多
くの問題を抱えており、工業的レベルでの農薬としての
実用化は困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術が抱える問題点を踏まえ、工業的レベルで安価に且つ
安定的に供給できるファイトアレキシン誘導剤を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を重ねた結果、、ニゲロオリゴ糖
がエリシター活性を有し、ファイトアレキシン誘導剤と
して極めて有用であることを見いだし、本発明を完成し
た。すなわち、本発明はニゲロオリゴ糖を有効成分とし
て含有することを特徴とするファイトアレキシン誘導剤
である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
有効成分であるニゲロオリゴ糖は、ニゲロース、ニゲロ
シルグルコース、ニゲロシルマルトースなどのように、
少なくとも1つ以上のα−1,3グルコシド結合を含む
グルコース重合度2以上のオリゴ糖を意味し、α−1,
3グルコシド結合のみからなるオリゴ糖の他、α−1,
3グルコシド結合とそれ以外の結合とからなるオリゴ糖
も包含する。
【0009】ニゲロオリゴ糖の調製法としては、以下の
ような方法が知られている。例えば、(M.Stacey and J.
M.Webber:Methods in Carbohydrate Chemistry, I,339-
341,Academic Press 1962)には、微生物の生産する多糖
類である、ニゲラン、エルシナン等を基質として、酵素
或いは酸類などを用いて加水分解してニゲロオリゴ糖を
製造する方法が提案されている。また、公知のα−グル
コシダーゼの糖転移・縮合反応を用いてニゲロースを調
製する方法も知られている。更に、特開平3-22958号に
は、澱粉加水分解物に、サイクロデキストリン生成酵素
を作用させてニゲロースを製造する方法が開示されてい
る。その他に、α−1,4グルコシド結合したポリサッ
カライド又はオリゴサッカライドを含む基質にα−1,
3グルコシド結合をもたらす糖転移酵素のうち1種また
は2種以上を作用させてニゲロオリゴ糖を製造する方法
も開示されている(特開平7-59559号公報)。
【0010】本発明のファイトアレキシン誘導剤に使用
するニゲロオリゴ糖はいずれの方法で調製されたもので
もよく、以上の方法に限定されない。ただし、現在まで
に知られている方法の中で最も経済的な面で優れている
と考えられているのは特開平7-59559号公報に記載され
た糖転移酵素を用いた方法であり、本発明で用いるのも
この方法を用いたニゲロオリゴ糖を使用するのが最も好
ましい。
【0011】以上のような方法で製造した糖類(シラッ
プ)中には、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲ
ロシルマルトース等のように少なくとも1つ以上のα−
1,3グルコシド結合を含むグルコース重合度2以上の
オリゴ糖(ニゲロオリゴ糖)のほかに、グルコース単
糖、α−1,3結合以外の結合からなる各種オリゴ糖
(マルトースなど)あるいはデキストリンなども含有し
ている場合があるが、ニゲロオリゴ糖が含まれていれ
ば、本発明に使用可能である。
【0012】更に、我々は従来より今日に至るまでの永
い間、ニゲロオリゴ糖を意識しないで飲食してきてい
る。清酒中の全糖質の1〜3%がニゲロースであり(K.
Iwanoet al, J. Brew. Soc. Japan, 74, 53-55, 1979)
、また蜂蜜中のオリゴ糖画分の約2%がニゲロースで
あるとも言われており(R.S. Tipson, Advances in Carb
ohydrate Chemistry and Biochemistry, 25, 297-, 197
0)、清酒或いは蜂蜜中のまろやかな甘味の付与やこくの
ある芳醇な風味の付与に大きく寄与している。また、澱
粉酸糖化水飴やイソマルトオリゴ糖などの市販分岐オリ
ゴ糖中にも数%程のニゲロオリゴ糖が含有されている
(特開平3-31294号公報、特開昭60-30695号公報)。
【0013】このようにニゲロオリゴ糖は、人体に対し
ても、外界の環境に対しても悪影響を及ぼすことのない
極めて安全性の高い物質であり、また、まろやかな甘味
の付与やこくのある芳醇な風味の付与などの特徴的な甘
味・調味効果を有している。このため、安全性の高い農
薬として、あるいは可食性の鮮度保持剤として極めて有
用である。
【0014】本発明のファイトアレキシン誘導剤を農薬
として用いる場合、通常、ニゲロオリゴ糖を水に溶解さ
せて用いる。この際のニゲロオリゴ糖の濃度は、高けれ
ば高いほど効果が強い。ニゲロオリゴ糖は極めて安全性
の高いものであるから経済性と有効性およびハンドリン
グを考慮して濃度を決定すればよいことになる。また、
作用機作が異なる既存の農薬、例えば化学合成農薬や生
物農薬などを添加してもよく、この場合には併用効果も
期待できる。このようにして調製された農薬を圃場に散
布することにより農作物の疫病を防止することができ
る。
【0015】一方、本発明をファイトアレキシン誘導剤
を鮮度保持剤として用いる場合も通常、水で溶解した状
態で使用する。この際、水溶液中のニゲロオリゴ糖濃度
は0.5〜20%が好ましく、1〜10%が特に好ましい。水
溶液中には、ニゲロオリゴ糖のほか、従来より広く用い
られている鮮度保持剤、例えば、ビタミンCやエタノー
ルなどを添加してもよく、作用機作が異なれば、併用効
果も期待できる。鮮度保持剤の使用形態としては、対象
植物の全体又は一部を鮮度保持剤中に浸漬する形態や対
象植物に鮮度保持剤を噴霧散布する形態などがあるが、
本発明では、いずれの使用形態でもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明につい
て更に具体的に開示するが、当該実施例の内容により本
発明の技術的範囲が限定解釈されるべきものではない。
【0017】
【実施例】
〔実施例1〕固形分30重量%のマルトース溶液を基質と
し、特開平7-59559号公報記載の方法で調製したアクレ
モニウム属の菌株(FERM BP-4373)が生産するニゲロオ
リゴ糖生成酵素を、1単位/g基質の量で添加して、p
H、55℃の条件下で48時間反応させてニゲロオリゴ糖シ
ラップを調製した。得られたニゲロオリゴ糖シラップの
糖組成を表1に示した。
【0018】〔実施例2〕コーンスターチを常法により
α−アミラーゼを用いて液化させ、濃度30重量%、グル
コース当量7の澱粉糖化液を調製した。次いでこの澱粉
糖化液をpH5に調整した後、原料とした澱粉1重量部に
対して0.001 重量部のβ−アミラーゼ(商品名“β−ア
ミラーゼ1500”、ナガセ生化学工産業株式会社製)と、
0.0001重量部のイソアミラーゼ(林原生化学研究所株式
会社)とを添加して、55℃下に、24時間反応させて基質
を得た。
【0019】その後、この基質に、特開平7-59559号公
報記載の方法で調製したアクレモニウム属の菌株(FERM
BP-4373)が生産するニゲロオリゴ糖生成酵素を0.8単
位/g基質の量で添加して、55℃下に48時間反応させて
ニゲロオリゴ糖含有シラップを調製した。得られたニゲ
ロオリゴ糖シラップの糖組成を表1に示した。
【0020】
【表1】
【0021】なお、表中の数値は、糖固形分当たりの重
量%を示す。また、三糖類、四糖類以上の糖類中の括弧
内は、糖固形分当たりのニゲロオリゴ糖含量を示してい
る。よって、ニゲロオリゴ糖合計は、ニゲロース、三糖
類、四糖類以上のニゲロオリゴ糖の合計量である。
【0022】〔実施例3〕実施例1、2で調製したニゲ
ロオリゴ糖のエリシター活性を測定した。大豆(商品名
“グリンホーマー”)種子を浸水させた後、バーミキュ
ライト:堆肥=3:1に混合したものに播種する。播種
8日後の開いた子葉を採集し、流水で洗浄し水分を除去
した。
【0023】更に、子葉の裏側1mm分をカッターで切除
し、水で湿らせた濾紙をひいたシャーレ1枚当たり、10
枚の子葉を設置した。対象群には、10μg/mlリファンピ
シン、500μ/ml アンピシリン溶液80μl を投与し、試
験群には、実施例1、2で調製したニゲロオリゴ糖シラ
ップを各々40μg (固形分)含む10μg/mlリファンピシ
ン、500μg/mlアンピシリン溶液80μlを投与した。その
後シャーレに蓋をして25℃、24時間、200ルクス下に放
置した。
【0024】試験群では、ニゲロオリゴ糖が投与された
部分が赤茶色を示す過敏化反応が観察されたが、対象群
では認められなかった。更に、95%エタノール溶液を10
ml(1g 湿潤子葉当たり)加えて、ワーリングブレンダ
ーでホモゲナイズし、上記懸濁液を濾過して減圧濃縮に
より濃縮乾固した。上記濃縮乾固サンプルを適量の95%
エタノール溶液に溶解した後、TLC(シリカゲルGF
254)にアプライし、ヘキサン:エタノール:メタノ
ール=60:40:1の溶媒で展開・分離した。
【0025】ファイトアレキシンであるグリセオリンに
相当する部分の薄層をかきとり、95%エタノールに溶出
させた後、286nm での吸光度により誘導されたグリセオ
リンを定量した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】〔実施例4〕スライサーでキャベツは千切
りに、レタスは2cm四方に細断してカット野菜を調製し
た。これらを実施例1および2で調製したニゲロオリゴ
糖シラップ10%w/v 水溶液(ニゲロオリゴ糖濃度はそれ
ぞれ6.1 %w/v 、3.3 %w/v )に含浸させて水分を除い
た後、室温に放置して経時変化を観察した。対象群はニ
ゲロオリゴ糖溶液の代わりに水に含浸させた。結果を表
3に示す。
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】本発明は、新規なファイトアレキシン誘
導剤を提供する。このファイトアレキシン誘導剤の有効
成分であるニゲロオリゴ糖は、人体に対しても、外界の
環境に対しても悪影響を及ぼすことがなく、また、まろ
やかな甘味の付与やこくのある芳醇な風味の付与などの
特徴的な甘味・調味効果を有している。このため、本発
明のファイトアレキシン誘導剤は、安全性の高い農薬、
可食性の鮮度保持剤として極めて有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有す
    ることを特徴とするファイトアレキシン誘導剤。
  2. 【請求項2】 ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有す
    ることを特徴とする鮮度保持剤。
JP8194332A 1996-07-24 1996-07-24 ファイトアレキシン誘導剤 Pending JPH1036210A (ja)

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JP8194332A JPH1036210A (ja) 1996-07-24 1996-07-24 ファイトアレキシン誘導剤

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JP8194332A JPH1036210A (ja) 1996-07-24 1996-07-24 ファイトアレキシン誘導剤

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JPH1036210A true JPH1036210A (ja) 1998-02-10

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JP (1) JPH1036210A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000016622A1 (fr) * 1998-09-22 2000-03-30 Hiroshi Kawai Compositions permettant de prevenir les maladies des plantes, et utilisation de ces compositions
WO2005112638A1 (ja) * 2004-05-24 2005-12-01 National University Corporation Kagawa University 植物または微生物への希少糖の使用
JP2006008669A (ja) * 2004-05-24 2006-01-12 Kagawa Univ 植物または微生物への希少糖の使用

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