JPH1034828A

JPH1034828A - 化粧板

Info

Publication number: JPH1034828A
Application number: JP8206448A
Authority: JP
Inventors: Tomiyasu Honda; 富泰本多
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1996-07-18
Filing date: 1996-07-18
Publication date: 1998-02-10

Abstract

(57)【要約】【目的】化粧材の耐剥離性および耐衝撃性に優れた化
粧材を提供する。【構成】木質材１の表面に化粧材３が貼着されてなる
化粧板であって、その化粧材の常態ピーリング試験方法
による接着力が２０．ｋｇｆ／２５ｍｍ以上であるとと
もに、曲げヤング係数が９０００〜７００００ｋｇｆ／
ｃｍ^２である。木質材の表面側の木材の硬さ試験方法に
よる硬さは１．５ｋｇｆ／ｍｍ^２であることが好まし
い。これらの条件を満たすべく、木質材の表裏には圧密
化による硬質層２、２が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は基板の表面に任意化
粧が施されてなる化粧板に関する。

【０００２】

【従来の技術】壁板、床板、天井板、階段踏板、階段側
板、棚板、カウンター、扉面材、枠材、開口部材、幅
木、廻り縁、框材、造作材等種々に用いられる化粧板と
しては、木質材、特に木材の無垢挽材、あるいは集成
材、合板、繊維板、パーティクルボード等の基板表面
に、任意塗装や柄模様印刷等を施し、または接着剤を介
して化粧紙、突板、化粧合成樹脂シート等の化粧材を貼
着して化粧層を形成したものが用いられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、化粧板
の基板として用いられる木質材は一般にその表面強度が
不十分であり、化粧層の密着強度が小さいため、化粧層
が剥離しやすいものであった。また、基板の耐衝撃性が
低いことから、衝撃による凹みや表面割れ等の傷がつき
やすいものであった。

【０００４】これらの問題は、基板の表面をシーラー処
理して強化することである程度改善することが可能であ
るが、工程が煩雑化し、コスト上昇を招いてしまう。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記従来技術の
問題点を解消することを目的として創案されたものであ
って、木質材の表面に化粧材が貼着されてなる化粧板に
おいて、該化粧材の常態ピーリング試験方法による接着
力が２．０ｋｇｆ／２５ｍｍ以上であるとともに、曲げ
ヤング係数が９０００〜７００００ｋｇｆ／ｃｍ^２であ
ることを特徴とする。

【０００６】この化粧板において、木質材の表面側の木
材の硬さ試験方法による硬さは１．５ｋｇｆ／ｍｍ^２以
上であることが好ましい。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の化粧板の基板となる木質
材としては、木材の挽材や、集成材、合板、繊維板、パ
ーティクルボード、単板積層材等の加工材が用いられ
る。その木口縁には必要に応じて実加工による相決ま
り、本実等の嵌合手段が設けられる。

【０００８】これら木質材は、針葉樹または広葉樹のい
ずれであってもよく、その比重も低比重、高比重を問わ
ずに用いることができるが、低比重のものや表面が柔ら
かい木質材を用いる場合には、表面硬化加工を施すこと
が好ましい。

【０００９】この表面硬化加工は、たとえば以下のよう
にして行うことができる。

【００１０】すなわち、まず、基板に使用する木質材を
繊維飽和点以下の含水率に調整する。ここで言う繊維飽
和点以下の含水率とは、好ましくは３５％以下の含水率
を意味する。

【００１１】木質材として挽材が用いられる場合には、
木材を製材する前に乾燥した後に挽材とするか、あるい
は、乾燥せずに挽材とした後に乾燥して上記のように含
水率調整する。

【００１２】木質材に加工材が用いられる場合には、そ
の製造過程において上記のように含水率調整する。

【００１３】繊維飽和点以下に含水率調整された木質材
に対し、必要に応じてその表裏面を予備加熱して、表裏
面材温を高める。

【００１４】この予備加熱は、木質材をドライヤーに投
入したり、熱盤間に挟む等の任意の方法で行われ、好ま
しくは、木質材の表裏面材温が８０℃以上となるように
予備加熱するものである。

【００１５】また、予備加熱することなく、あるいは予
備加熱の前または後に、木質材の少なくとも表面にロー
ルコーター装置、スプレー装置等を用いて水を塗布する
ことにより、表面の含水率を増大させることができる。
これにより、熱圧時の木質材への熱伝達が促進されると
共に、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の木質
成分の軟化が助長されるため、木質材に可塑性を与えて
成形性の向上に寄与する。

【００１６】次いで、この木質材を、上下の熱盤の間隔
を規制する一般にディスタンスバーと呼ばれる厚さ規制
治具が取り付けられたホットプレス装置の熱盤間に挿入
する。

【００１７】木質材を予備加熱した場合は、その表裏面
における材温が高いうちに、また、必要に応じて表面に
水を塗布した場合にはその水が蒸発しないうちに、ホッ
トプレス装置の熱盤間に木質材を挿入することが好まし
い。

【００１８】熱盤間の厚さ規制治具としては、木質材の
厚さの６０〜９５％、より好ましくは６５〜９２％の厚
さを有するものを用いることが好ましい。言い換えれ
ば、木質材の圧縮率が５〜４０％、より好ましくは８〜
３５％となるように、厚さ規制治具を取り付けることが
好ましい。

【００１９】木質材の圧縮率が５％未満であると表裏両
面に対する圧密化が不十分となり、木質材の表面に形成
すべき硬質層として必要な強度を得ることができない。

【００２０】逆に、木質材の圧縮率が４０％を越える
と、表裏両面の圧密化が十分になされて硬質層としての
必要強度が得られるものの、全体比重が高くなって重量
増を招く。また、このような過大な圧縮率を与えること
は、原材料のロスが大きくなるために歩留まりが低下
し、コストアップの原因となるので好ましくない。

【００２１】圧縮率は、上記範囲内において、使用木質
材の樹種、材自体の比重、得ようとする表面硬度等に応
じて任意に選択することができ、該圧縮率に対応して厚
さ規制治具をセットする。

【００２２】木質材の予備加熱をホットプレス装置の熱
盤により行う場合には、木質材をホットプレス装置の熱
盤間に挿入し、熱盤に圧力をかけずに、あるいは木質材
が変形しない程度の軽微な圧力をかけた状態で木質材に
接触させ、この接触状態を保持して予備加熱を行い、そ
の後、木質材に所定の圧縮率を与えるために必要な圧力
を該熱盤に加えて熱圧圧締して、表裏両面に圧縮化され
た高比重の硬質層を形成することができる。

【００２３】このようにホットプレス装置による木質材
の予備加熱および加熱圧締を１サイクルで行う方法によ
れば、この間において木質材を搬送する必要がなく、ホ
ットプレス装置のプレススケジュールの設定だけで容易
に一連の工程を実施することができるため、木質材の損
傷防止、熱効率の向上並びに設備の簡略化が図られる。

【００２４】また、プレススケジュールの設定条件によ
り種々の木質材に対応することができ、圧縮率等の製品
仕様の変更も容易であり、生産効率に優れ、歩留まりが
良好になる等多くの利点が発揮されるものである。

【００２５】厚さ規制治具が取り付けられたホットプレ
ス装置の上下熱盤間に挿入された木質材は、熱圧圧締に
より加熱圧縮され、その表裏両面において圧密化された
高比重の硬質層を形成する。

【００２６】圧締時間および圧締圧力は、使用木質材自
体の比重、柔らかさ等に応じて任意設定されるが、一般
に、圧締時間１〜７分、圧締圧力５〜２５ｋｇ／ｃｍ^２
とすることが好適である。

【００２７】熱圧圧締は、その熱圧温度を、木質材の結
晶成分であるセルロースの軟化点温度以上の温度として
行うことが好ましい。セルロースの軟化点温度は樹種に
よって若干異なるものの概ね２００〜２５０℃であるか
ら、２００℃以上の温度で熱圧圧締することが好まし
い。

【００２８】一方、木質材の非結晶成分であるヘミセル
ロース、リグニンの軟化点温度は絶乾状態においてそれ
ぞれ約１８０℃、約１５０℃であるが、木質材の繊維飽
和点である約３５％の含水率においてはいずれも軟化点
温度が６０℃付近まで低下する。

【００２９】したがって、繊維飽和点以下に含水率調整
された木質材であって、さらに必要に応じて表面に水が
塗布された木質材を上記のようにセルロースの軟化点温
度以上の温度で熱圧圧締することにより、結晶成分であ
るセルロースが軟化すると共に、非結晶成分であるヘミ
セルロースおよびリグニンも軟化溶融する。

【００３０】ホットプレス装置の上下熱盤間にて加熱圧
縮された木質材は、熱盤と直に接する表裏面より徐々に
中心部に向けて熱軟化および圧締力による圧密化が進行
するが、繊維飽和点以下の低含水率に調整されているこ
とからその熱伝達は比較的緩慢に行われ、このため木質
材の表裏部分のみが圧密化される。

【００３１】このように、熱圧時においても木質材自体
の温度が全体に高くなることがないため、その後の解圧
によって容易に冷却される。

【００３２】熱圧圧締に先立って予備加熱および／また
は水の塗布が行われる場合は、熱圧圧締時における熱盤
から木質材表面への熱伝達が促進されるため、木質材表
面の可塑化が顕著となり、木質材表裏部分の圧密化が促
進される。

【００３３】熱圧圧締後、解圧し、冷却することによ
り、表裏に硬質層を有する木質材が得られる。

【００３４】このようにして得られた木質材の表面に、
ロールコーター、スプレッダー等の塗布装置を用いて接
着剤を塗布する。接着剤としては、酢酸ビニル樹脂系、
ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、ア
クリル樹脂系、ウレタン樹脂系、イソシアネート等の合
成樹脂接着剤またはその変性した接着剤よりなる単独の
接着剤または任意混合した混合型接着剤が好適に用いら
れる。この接着剤として、透明または硬化すると透明と
なる接着剤を用いることができる。また、必要に応じて
増量剤、着色剤等の添加剤が添加混合される。

【００３５】木質材の接着剤塗布面に化粧材を載置し、
ラミネート装置、真空プレス、ホットプレス、コールド
プレス等の圧締装置により圧締して、木質材の表面に化
粧材を貼着する。

【００３６】化粧材としては、化粧紙、化粧合成樹脂シ
ート、突板、裏打ち材を設けた突板等の任意のものが用
いられる。

【００３７】木質材の表面には必要に応じてワイヤブラ
シ掛け、サンダー掛け等により微細溝を形成することが
できる。微細溝は木質材の表面積を増大させ、またそれ
による投錨効果が発揮されるので、その表面に設けられ
る化粧材の接着力を向上させる。

【００３８】以上のようにして、本発明による化粧板が
得られるものであるが、本発明の化粧板において、化粧
材の常態ピーリング試験方法（ＡＳＴＭＤ９０３ Pee
l orStripping Strength of Adhesives に規定されてい
る試験方法に準拠した１８０゜常態ピーリング試験方
法）による接着力は２．０ｋｇｆ／２５ｍｍ以上である
とともに、化粧板としての曲げヤング係数が９０００〜
７００００ｋｇｆ／ｃｍ^２である。

【００３９】また、木質材の表面側（すなわち化粧材が
貼着される側）は、ＪＩＳＺ−２００７による木材の
硬さ試験方法において１．５ｋｇｆ／ｍｍ^２以上である
ことが好ましい。したがって、比重の低いものや柔らか
いものが木質材として用いられる場合には、前述のよう
な表面硬化加工による圧密化を行って表裏に１．５ｋｇ
ｆ／ｍｍ^２以上の硬さの硬質層を形成する。

【００４０】化粧材の常態ピーリング試験方法による接
着力が２．０ｋｇｆ／２５ｍｍに満たなかったり、化粧
板の曲げヤング係数が９０００未満であったり、あるい
は表面硬さが１．５ｋｇｆ／ｍｍ^２に満たない木質材が
用いられる場合には、化粧板表面の耐衝撃性が不十分と
なって外部からの衝撃や押圧等の力が加わったときに化
粧材に割れ、剥離、凹み等の傷がつきやすいものとな
る。

【００４１】化粧板の表面には必要に応じて上塗り塗装
を施すことができる。上塗り塗装において、その塗料中
にアルミナ、グリーンカーボン等の耐摩耗材を添加混合
することにより、化粧層自体の表面強度を向上させるこ
とができる。

【００４２】図１は本発明による化粧板の概略構成例を
示し、表裏に圧密化による高比重の硬質層２、２を有す
る木質材１の一表面に接着剤層３を介して化粧材４が貼
着されている。

【００４３】

【発明の効果】本発明によれば、木質材の表面に化粧材
が強固に貼着され、化粧板としての耐剥離性、耐衝撃性
に優れ、外部から衝撃や押圧等の力が加わった場合であ
っても化粧材に割れ、剥離、凹み等の傷が生ずることを
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による化粧板の概略構成例を示す断面図
である。

【符号の説明】

１木質材２硬質層３接着剤層４化粧材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】木質材の表面に化粧材が貼着されてなる化
粧板において、該化粧材の常態ピーリング試験方法によ
る接着力が２．０ｋｇｆ／２５ｍｍ以上であるととも
に、曲げヤング係数が９０００〜７００００ｋｇｆ／ｃ
ｍ^２であることを特徴とする化粧板。
【請求項２】前記木質材の表面側の木材の硬さ試験方法
による硬さが１．５ｋｇｆ／ｍｍ^２以上であることを特
徴とする請求項１の化粧板。