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JPH10315450A - インクジェット記録装置及びその方法 - Google Patents

インクジェット記録装置及びその方法

Info

Publication number
JPH10315450A
JPH10315450A JP12741997A JP12741997A JPH10315450A JP H10315450 A JPH10315450 A JP H10315450A JP 12741997 A JP12741997 A JP 12741997A JP 12741997 A JP12741997 A JP 12741997A JP H10315450 A JPH10315450 A JP H10315450A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
ink
recording material
ink jet
heating means
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP12741997A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Maeda
浩行 前田
Isao Kimura
勲 木村
Hidemi Kubota
秀美 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP12741997A priority Critical patent/JPH10315450A/ja
Publication of JPH10315450A publication Critical patent/JPH10315450A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被記録材の厚さや材質を選ぶことなく安定、
かつ、色表現性の高い記録画像を得る。 【解決手段】 記録装置に送給された被記録材を所定の
温度範囲に加熱し、所定の温度範囲において熱可逆型を
示す増粘性高分子ないし曇点を有する界面活性剤を含む
インクを記録ヘッドのインク吐出口から記録装置に送給
された被記録材に向けて吐出して記録を行う際に、制御
部61にて被記録材の記録面と被記録面の両面を加熱す
る記録シート加熱部67を、被記録材への加熱が所定の
温度範囲になるように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録装置に送給さ
れた被記録材を所定の温度範囲に加熱し、該所定の温度
範囲において熱可逆型を示す増粘性高分子ないし曇点を
有する界面活性剤を含むインクを記録ヘッドのインク吐
出口から前記記録装置に送給された被記録材に向けて吐
出して記録を行うインクジェット記録装置及びその方法
に関する。
【従来の技術】インクジェット記録方法は、種々の方式
により記録液であるインクを飛翔的液滴として紙等被記
録材に着弾させ、ドット記録を行うもので、非接触式で
あるために低騒音で、しかも高密度高速記録が可能なこ
とと、特に普通紙等の被記録材に対しても現象や定着な
どの格別な処理を要せず、装置としても量産に適し廉価
で得られることから、近年ではその用途が広く普及しつ
つある。特に、オンデマンド型のインクジェット記録装
置はそのカラー化が容易で、しかも装置自体の小型化、
簡略化が可能なことから、将来の需要について有望視さ
れている。また、上述のようなカラー化の普及につれ
て、被記録材(以下では記録シートと呼ぶ)上に記録さ
れる画像の色表現性が益々求められるようになった。
【0002】そこで、本発明者等は、特願平6−259
023号、特願平7−161525号において、記録液
(以下ではインクという)に使用される染料や顔料など
の色材及び液媒体について提案を行い、転移温度以上で
熱可逆的にゲル化する感温性高分子や、曇点を有する界
面活性剤を含むインクを用いることで、記録シート上に
てその粘性を急激に高めると共に、安定した表面定着を
行うことにより色表現性の向上が達成されるようにし
た。また、その粘性を急激に高める一方法として、記録
シートを加熱することを提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の記録シートを加熱する手段は、記録シートの記録面
の裏側(以下では非記録面という)からのみ加熱してい
た。上記発明のインクを用いるためには、記録面の表面
上にて所望の温度を実現することが必要であったので、
記録シートの厚さ方向の熱伝導性を考慮して、非記録面
からは所望の温度以上の温度で記録シートを加熱してい
た。特に、厚さが厚く、熱伝導性が悪い記録シートを用
いる場合には、上記発明のインクの効果を実現するため
に、非記録面からの加熱をさらに上げる必要があったの
で、記録シート自身の熱による影響の限界を越える、つ
まり、焦げたり、変形したり、黄変したりすることが生
じた。
【0004】本発明の目的は、上述のような問題に着目
し、上述のインク使用のために記録シートが記録位置で
加熱されるものにおいて、記録シートに記録ヘッドにて
記録される直前の記録面の表面温度を所望の温度に加熱
し、非記録面からは所望の温度以上、記録シート自身の
熱による影響温度未満にて加熱する手段を用いることに
より、種々の記録シート上に上記発明のインクにより良
好な記録画像を非記録面からの加熱温度を低くしても得
られるようにするインクジェット記録装置及びその方法
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、記録装置に送給された被記録材を所定の
温度範囲に加熱し、該所定の温度範囲において熱可逆型
を示す増粘性高分子ないし曇点を有する界面活性剤を含
むインクを記録ヘッドのインク吐出口から前記記録装置
に送給された被記録材に向けて吐出して記録を行うイン
クジェット記録装置において、前記被記録材の記録面と
非記録面の両面位置に少なくとも一つずつ設置され、前
記被記録材を加熱する被記録材加熱手段と、前記被記録
材加熱手段による被記録材への加熱が所定の温度範囲に
なるように制御する制御手段とを有することを特徴とす
る。
【0006】かかる構成において、加熱された被記録材
上にインクを吐出して記録を行う際に、被記録材に記録
ヘッドにて記録される直前の記録面の表面温度を所望の
温度に加熱し、非記録面からは所望の温度以上、記録シ
ート自身の熱による影響温度未満に加熱することによ
り、被記録材の厚さや材質を選ぶことなく安定、かつ、
色表現性の高い記録画像を非記録面からの加熱温度を低
くしても得ることができる。
【0007】また、上記目的を達成するために、本発明
は、記録装置に送給された被記録材を所定の温度範囲に
加熱し、該所定の温度範囲において熱可逆型を示す増粘
性高分子ないし曇点を有する界面活性剤を含むインクを
記録ヘッドのインク吐出口から前記記録装置に送給され
た被記録材に向けて吐出して記録を行うインクジェット
記録方法において、前記被記録材の記録面と被記録面の
両面を加熱する被記録材加熱手段を前記被記録材への加
熱が所定の温度範囲になるように制御することを特徴と
する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る実施の形態
を詳細かつ具体的に説明するが、その説明に先立ち、本
発明に適用するインクの特性について述べておく。
【0009】本発明に用いる熱可逆的に転移温度以上で
感温ゲル化する高分子(以下、熱可逆型増粘性高分子と
する)とは、転移温度以下におけるインク中では溶解解
離している水溶性高分子が、転移温度以上になると高分
子同士が会合、即ち、1つの分子のように結合を起こす
ことによってインクの粘度を増加させる物質である。し
かして、この時の高分子の会合率は温度によって変化す
るため、転移温度以上でのインクの粘度は温度変化に応
じて変化する。そして、この会合した高分子を含むイン
クが所定の温度範囲に加熱された記録シート上に着弾し
た時、会合した高分子の粘度が高められるために記録シ
ートの表面部分に留まることになる。また、会合してい
ない高分子は、水性インク中に溶解しているため粘度が
低くなり記録シート内に浸透する。
【0010】よって、会合した高分子の割合が多いほど
記録シート表面部分に留まる高分子が多くなり、この会
合した高分子に色材を結合させることで、記録シート表
面部分に密度の高い色材層を形成することができる。
【0011】また、この記録シート上に留まる高分子の
量を温度制御により変化させ、記録シートの表面部分の
色材層厚みを変化させることにより中間色の形成能力を
高め色再現性向上を達成させることが可能となる。
【0012】この際の記録シートの記録面温度は、好ま
しくは35℃〜150℃、より好ましくは35℃〜10
0℃の範囲に保持するのが好ましい。35℃未満だと上
述のインクの効果を十分に引き出すことができず、また
150℃を越えると記録シートを変形、変質若しくは変
色しやすくする。
【0013】一方の曇点を有する界面活性剤とは、それ
自身が熱可逆的増粘性を有し、重量平均分子量が比較的
低分子量であって挙動変化の早い界面活性剤である。し
かして、その転移温度以上でインクの粘度は温度変化に
応じて変化する。この特性を利用して、上述した熱可逆
型増粘性高分子を含有したインクと同じ様な記録方法を
用いることにより、記録シート表面部分に密度の高い色
材層を形成することができる。
【0014】以下に、本発明のインクジェット記録装置
に用いられるインクに好適な熱可逆型増粘性高分子につ
いて説明する。
【0015】熱可逆型増粘性高分子は、上述したよう
に、その水溶液や水懸濁液等が一定の温度(転移温度)
以上の時に増粘し、かつ温度−粘度の関係が可逆的であ
る高分子であって、本発明で使用する高分子の好ましい
具体例としては、窒素含有環を有する活性水素化合物の
アルキレンオキシド付加物のビニル系カルボン酸エステ
ル(a)を構成単位とし、かつ、このビニル系カルボン
酸エステル(a)が50重量%以上含有されている水溶
性ビニル系重合体(A)等が挙げられ、更に好ましく
は、このビニル系カルボン酸エステル(a)が、(置
換)モルホリンのエチレンオキシド及び/又はプロピレ
ンオキシド1〜20モル付加物のメタクリル酸エステル
又はアクリル酸エステルである化合物等が挙げられる。
【0016】尚、上記の窒素含有環を有する活性水素化
合物としては、窒素含有環とこれにアルキレンオキシド
が付加するための活性水素を有する化合物であり、例と
して、窒素含有脂環式化合物、例えばアジリジン環を有
するもの(アジリジン、2−メチルアジリジン等)、ピ
ロリジン環を有するもの(ピロリジン、2−メチルピロ
リジン、2−ピロリドン、スクシンイミド等)、ピペリ
ジン環を有するもの(ピペリジン、2−メチルピペリジ
ン、3,5−ジメチルピペリジン、2−エチルピペリジ
ン、4−ピペリジノピペリジン、4−ピロリジノピペリ
ジン、エチルピペコリネート等)、ピペラジン環を有す
るもの(1−メチルピペラジン、1−メチル−3−エチ
ルピペラジン、モルホリン環を有するもの;モルホリ
ン、2−メチルモルホリン、3,5−ジメチルモルホリ
ン等)、及びε−カプロラクタム、窒素含有不飽和環状
化合物(3−ピロリン、2,5−ジメチル−3−ピロリ
ン、2−ヒドロキシピリジン、4−ピリジルカルビノー
ル、2−ヒドロキシピリミジン等)等が挙げられる。
【0017】これらのうち、好ましいものは窒素含有脂
環式化合物であり、更に好ましくはピペリジン環を有す
るもの及びモルホリン環を有するものであり、最も好ま
しいものはモルホリン環を有するものである。
【0018】また、発明におけるアルキレンオキシドは
エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオ
キシドが好適である。
【0019】更にまた、かかる熱可逆型増粘性高分子の
転移温度の調整は、アルキレンオキシドの種類やその付
加モル数を調節することで容易であり、例えばエチレン
オキシドの場合は、付加モル数を多くすると転移温度は
上昇し、プロピレンオキシドやブチレンオキシドの場合
は付加モル数の増加で転移温度は低くなる。アルキレン
オキシドの付加モル数としては1〜20モルが好まし
く、より好ましくは1〜5モルである。
【0020】上記のビニル系カルボン酸エステル(a)
は、上述したアルキレンオキシド付加物とビニル系カル
ボン酸との混合エステルであり、ビニル系カルボン酸と
してはメタクリル酸、アクリル酸(以下、これを総称し
て(メタ)アクリル酸と称す)、マイレン酸、ビニル安
息香酸及びこれらの誘導体が好ましく、特に好ましく
は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体
が挙げられる。
【0021】更に、上述の水溶性ビニル系重合体(A)
は、上記のビニル系カルボン酸エステル(a)の1種類
以上の重合体、又は、ビニル系カルボン酸エステル
(a)の1種類以上と他のビニル系モノマー(b)との
共重合体で、ビニル系カルボン酸エステル(a)の1種
類以上をその構成単位として50重量%以上含有すれば
良い。
【0022】他のビニル系ポリマー(b)としては、例
えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリル
アミド、N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリ
ル酸、(無水)マレイン酸、スチレンスルホン酸、N,
N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,
N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、メ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート、N−ブチル(メ
タ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アク
リルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、酢
酸ビニル、塩化ビニル、ブタジエン、イソプレン等が好
適である。
【0023】尚、水溶性ビニル系重合体(A)を構成す
るモノマーでは、ビニル系カルボン酸エステル(a)の
構成比により、増粘の温度幅が変化する。そこで、この
温度幅をできる限り小さくするためには、ビニル系カル
ボン酸エステル(a)の構成比を、水溶性ビニル系重合
体(A)全体の好ましくは50重量%以上、より好まし
くは、70重量%以上であることが望ましい。
【0024】また、上記高分子を水溶液とした場合、一
定の転移温度までは温度上昇に伴って粘度は低下する
が、転移温度を越えると高い勾配で粘度は上昇する。そ
の上、温度−粘度関係がヒステリシスをほとんど持たな
いのが特徴である。
【0025】また、転移温度は前述したように、熱可逆
型増粘性高分子を構成するビニル系カルボン酸エステル
(a)中のアルキレンオキシドの種類や付加モル数を変
化させることで、容易に任意の温度に調整できるため、
温度上昇特性がヘッド形態や記録方法等によって変化す
る種々の記録ヘッドに適用可能である。
【0026】但し、熱可逆型増粘性高分子の転移温度は
インク中の塩、界面活性剤、溶剤などの添加成分の種
類、量によって変化するので適用するインク組成での転
移温度を用いる必要がある。
【0027】また、実施形態においては、インク中に添
加する熱可逆型増粘性高分子の分子量及び添加量をイン
クジェット記録用インク粘度の許容範囲内(20mPa
・s以下)に納める必要があるため、上記の高分子の重
量平均分子量は2000以上50万以下の範囲が良い。
但し、重量平均分子量が50万を越えると、分子鎖が長
くなりすぎ、再溶解速度が低下したり、曳糸性が出るの
で好ましくない。そこで、重量平均分子量が比較的低分
子量の範囲、例えば重量平均分子量が2000程度のよ
うな場合には、増粘効果が弱いので添加量を多くする必
要があり、好ましくは2〜10重量%添加する。また重
量平均分子量が比較的高分子量の範囲、例えば重量平均
分子量が50万に近い場合には、少量の添加で十分な増
粘効果を示すため、好ましい添加量としては0.005
〜5重量%である。つまり、熱可逆型増粘性高分子の好
ましい添加量は、熱可逆型増粘効果を最大限に引き出し
つつ、かつ、インク全体の粘度がインクジェット記録用
インク粘度の許容範囲を越えないようにすることであ
る。尚、重量平均分子量が異なる熱可逆型増粘性高分子
を混合使用しても本発明の効果は十分に得られる。
【0028】また、実施形態で使用する曇点を有する界
面活性剤とは、この界面活性剤を含有した水溶液や水懸
濁液などが一定の温度(曇点Tc)以下で増粘し、粘度
の極大点温度Tpを持ち、かつ、この極大点Tp以上の
温度では粘度が下降する特性を有し、温度−粘度の関係
が可逆的の界面活性剤をいう。また、その界面活性剤と
しては、以下に示す化合物が使用に好適である。 (A)下記一般式(1)で示される、高級アルコール−
エチレンオキシド付加型界面活性剤
【0029】
【数1】
【0030】(B)下記一般式(2)で示される、プロ
ピレングリコール−エチレンオキシド付加型界面活性剤
【0031】
【数2】
【0032】上記の界面活性剤を水溶液とした場合、曇
点Tcまでは温度上昇にともなって粘度はほとんど変化
せず一定であり、曇点Tcを越えると高い勾配で粘度が
上昇するが、更に、温度を上昇させると粘度の極大点温
度Tpがあり、その時の温度Tp以上では粘度が下降
し、粘度の下降速度、即ち再溶解速度が増粘速度とほぼ
等しく、温度−粘度関係がヒステリシスをほとんど持た
ない特徴がある。
【0033】また、曇点Tcは界面活性剤分子を構成す
るアルキレンオキシドの種類や付加モル数を変化させる
ことで、任意の温度に容易に調整できるため、温度上昇
特性がヘッド形態や記録方法などによって変化するよう
な、種々の記録ヘッドに適用可能である。
【0034】但し、曇点Tcは併用する高分子、インク
中の塩、他の界面活性剤、溶剤などの添加成分の種類、
量によって変化するので適用するインク組成での曇点T
cを利用するようにする。
【0035】実施形態では、添加する界面活性剤の構成
官能基として、分子構造において、そのインクジェット
記録用インク粘度の許容範囲内(20mPa・s以下)
に納める必要があり、一般式(1)の界面活性剤では上
述のようにRが炭素数8以上22以下のアルキル基、n
が6以上20以下の整数の範囲のものが好ましい。
【0036】更に、一般式(2)の界面活性剤ではプロ
ピレングリコール部が疎水部として機能し、mが20以
上80以下の整数で、かつ、親水部であるエチレンオキ
シドはnが5以上200以下(全分子中の10〜80w
t%)の整数の範囲のものが好ましい。
【0037】尚、エチレンオキシドの全分子中の比率を
上げていくと曇点Tcが上昇するので、エチレンオキシ
ド比率、プロピレンオキシド比率で曇点Tcを自由に設
定可能である。
【0038】また、上記の界面活性剤のインク中への添
加量は、比較的その分子量が小さいため添加量範囲が広
く設定できるが、0.1〜10重量%の範囲が好まし
い。
【0039】0.1重量%未満の場合は増粘効果が弱
く、10重量%を越えるとインクの粘度が高くなりすぎ
ることと、紙などへ浸透性が高くなりすぎて発色性を低
下させるので好ましくはない。
【0040】また、一般式(1)、(2)に示す異なる
界面活性剤を混合使用してもそれぞれの曇点が近いもの
であれば本発明の効果は十分に得られる。
【0041】尚、以上に述べた化合物はそれぞれ単体で
使用しても良いし、また、混合して使用しても効果に影
響は与えない。
【0042】実施形態のインクで用いる色材は公知のも
ので良く、以下に述べるような直接染料、酸性染料、塩
基性染料、反応性染料、食品用色素の水溶性染料、顔料
又は分散染料の不溶性色素を用いることができる。
【0043】例えば、水溶性染料としては、 C.I.ダイレクトブラック,−17,−19,−22,−
32,−38,−51,−62,−71,−108,−
146,−154; C.I.ダイレクトイエロー,−12,−24,−26,−
44,−86,−87,−98,−100,−130,
−142; C.I.ダイレクトレッド,−1,−4,−13,−17,
−23,−28,−31,−62,−79,−81,−
83,−89,−227,−240,−242,−24
3; C.I.ダイレクトブルー,−6,−22,−25,−7
1,−78,−86,−90,−106,−199; C.I.ダイレクトオレンジ,−34,−39,−44,−
46,−60; C.I.ダイレクトバイオレット,−47,−48; C.I.ダイレクトブラウン,−109; C.I.ダイレクトグリーン,ー59等の直接染料、 C.I.アシッドブラック,−2,−7,−24,−26,
−31,−52,−63,−112,−118,−16
8,−172,−208; C.I.アシッドイエロー,−11,−17,−23,−2
5,−29,−42,−49,−31,−71; C.I.アシッドレッド,−1,−6,−8,−32,−3
7,−51,−52,−80,−85,−87,−9
2,−94,−115,−180,−254,−25
6,−289,−315,−317; C.I.アシッドブルー,−9,−22,−40,−59,
−93,−102,−104,−113,−117,−
120,−167,−229,−234,−254; C.I.アシッドオレンジ,−7,−19; C.I.アシッドバイオレット,−49等の酸性染料、 C.I.リアクティブブラック,−1,−5,−8,−1
3,−14,−23,−31,−34,−39; C.I.リアクティブイエロー,−2,−3,−13,−1
5,−17,−18,−23,−24,−37,−4
2,−57,−58,−64,−75,−76,−7
7,−79,−81,−84,−85,−87,−8
8,−91,−92,−93,−95,−102,−1
11,−115,−116,−130,−131,−1
32,−133,−135,−137,−139,−1
40,−142,−143,−144,−145,−1
46,−147,−148,−151,−162,−1
63; C.I.リアクティブレッド,−3,−13,−16,−2
1,−22,−23,−24,−29,−31,−3
3,−35,−45,−49,−55,−63,−8
5,−106,−109,−111,−112,−11
3,−114,−118,−126,−128,−13
0,−131,−141,−151,−170,−17
1,−174,−176,−177,−183,−18
4,−186,−187,−188,−190,−19
3,−194,−195,−196,−200,−20
1,−202,−204,−206,−218,−22
1; C.I.リアクティブブルー,−2,−3,−5,−8,−
10,−13,−14,−15,−18,−19,−2
1,−25,−27,−28,−38,−39,−4
0,−41,−49,−52,−63,−71,−7
2,−74,−75,−77,−78,−79,−8
9,−100,−101,−104,−105,−11
9,−122,−147,−158,−160,−16
2,−166,−169,−170,−171,−17
3,−174,−176,−179,−184,−19
0,−191,−194,−195,−198,−20
4,−211,−216,−217; C.I.リアクティブオレンジ,−5,−7,−11,−1
2,−13,−15,−16,−35,−45,−4
6,−56,−62,−70,−72,−74,−8
2,−84,−87,−91,−92,−93,−9
5,−97,−99; C.I.リアクティブバイオレット,−1,−4,−5,−
6,−22,−24,−33,−36,−38; C.I.リアクティブグリーン,−5,−8,−12,−1
5,−19,−23; C.I.リアクティブブラウン,−2,−7,−8,−9,
−11,−16,−17,−18,−21,−24,−
26,−31,−32,−33等の反応染料、 C.I.ベーシックブラック,−2; C.I.ベーシックレッド,−1,−2,−9,−12,−
13,−14,−27; C.I.ベーシックブルー,−1,−3,−5,−7,−
9,−24,−25,−26,−28,−29; C.I.ベーシックバイオレット,−7,−14,−27; C.I.フードブラック,−1,−2 等が挙げられる。
【0044】尚、これら上記の色材の例は、実施形態の
インクに対して特に好ましいものであるが、本発明のイ
ンクに使用する色材は上記の色材に特に限定されるもの
ではない。
【0045】また、以下に示すような顔料も実施形態の
効果に影響を与えないので使用可能である。
【0046】即ち、カーボンブラック(三菱化学製のN
o.2300,No.900,MCF88,No.33,No.4
0,No.45,No.52,MA7,MA8,#2200
B,MA−100、コロンビヤカーボン社製Raven 12
55,Raven 1060、キャボット社製Regal330
R,Regal1660R,Mogul L、DEGUSSA 社製Color
Black FW18,Printex 35,Printex Uなど)、のカ
ーボンブラックの表面を酸化処理、プラズマ処理したも
の、不溶性アゾ系顔料、溶性アゾ系顔料、フタロシアニ
ン系顔料、イソインドリノン系高級顔料、キナクリドン
系高級顔料、ジオキサンバイオレット、ペリノン・ペリ
レン系高級顔料などの有機顔料、更に、群青(ウルトラ
マリン)、紺青(プルシアンブルー)、チタニウムイエ
ロー、モリブデンレッドなどの無機顔料等が挙げられ
る。
【0047】更に、上記の顔料に分類される色材料とし
て、染料を体質顔料に染め付けた、いわゆる染色レーキ
も実施形態の色材として使用可能である。
【0048】このような色材は、インク中において一般
には、インク全量に対して約0.1〜25重量%を占め
る割合で使用することが好ましい。
【0049】液媒体としては、水、及び必要に応じて水
溶性有機溶剤を使用する。
【0050】水溶性有機溶剤としては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−
ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブ
チルアルコール、terf−ブチルアルコール、n−ペ
ンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミ
ド類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまた
はケトール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ
ーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール等のポリアルキレングリコール類、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサント
リオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、
ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類、エ
チレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメ
チルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテ
ル類、その他、グリセリン、N−メチル−2−ピロリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、モノエ
タノールアミン、トリエタノールアミン、スルホラン、
ジメチルサルフォキサイド、尿素、1,3−ビス(β−
ヒドロキシエチル)尿素等が挙げられる。
【0051】これら水溶性有機溶剤のインク中に占める
割合は、特に制限はないが、一般的にはインク全量の1
〜80重量%、好ましくは2〜60重量%が好ましい範
囲である。
【0052】また、インク中の水の含有量は、上記の溶
剤の種類や組成等に依存して広い範囲で決定されるが、
一般的にはインク全量に対して10.0〜98.0重量
%、好ましくは35.0〜95.0重量%の範囲で使用
される。
【0053】この他、実施形態のインクには、インクの
特性を損なう損なうことが無ければ必要に応じて分散
剤、粘度調節剤、PH調節剤、防腐剤、酸化防止剤、湿
潤剤、他の界面活性剤などの添加剤を含有することもで
きるが、生産コストを重視するならば用いる必要はな
い。尚、上述の添加剤としては例えば、ポリビニルアル
コール、セルロース類、水溶性樹脂等の粘度調節剤、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン類等の表面張
力調節剤、緩衝液によるPH調節剤、防カビ剤などを挙
げることができる。
【0054】更に、実施形態のインクは、25℃におけ
る粘度が1〜20mPa・s、表面張力が20mN/m
以上、pHが6〜10程度の物性を有するのが好まし
い。
【0055】以上のようなインクは、実施形態によるイ
ンクジェット記録で用いられる際、色表現を高めるため
に効果的なものである。
【0056】次に、上述したようなインクを用いてイン
クに吐出エネルギを供給し、インク滴を吐出させて記録
を行う実施形態によるインクジェット記録ヘッド及びイ
ンクジェット記録装置の構成例を図1〜図6を参照しな
がら説明する。
【0057】図1は、インクジェット記録装置の構成を
示す外観斜視図である。図中、1は記録ヘッドユニット
であり、2は記録ヘッドユニット1を搭載し、サイド軸
3に沿って移動走査するキャリッジ、4はキャリッジ2
に連結され、キャリッジ2を移動させるタイミングベル
ト、5はそのキャリッジ駆動モータである。不図示の記
録シートは送給部6から送給ローラ7によって送出さ
れ、記録ヘッドユニット1のインク吐出面対向位置に導
かれて、ここで記録が行われた上、キャリッジ2による
1回の主走査毎に搬送手段(不図示)によるシート送り
がなされ、排出ローラ8によって装置外に排出される。
【0058】また、10は記録ヘッドユニット1の記録
ヘッドインク吐出面にかかわり記録ヘッドに対して吐出
機能の維持・回復を行う吐出回復部、11はインク吐出
面の掃拭を行うブレード部材、12はブレード部材11
によって拭き取られたインクを吸収保持するインク吸収
体、13はインク吐出面に接してインクの蒸発を抑制す
ると共に、昇温した記録ヘッドの吐出口周辺部の熱をと
ったり、不図示の吸収手段によりインク吐出口から排出
されるインクを受け取るキャップ部材である。尚、キャ
ップ部材13としては後述するようにヘッド冷却に好適
なように吸熱性の高い材料によって形成されることが望
ましい。かくして、ブレード部材11、インク吸収体1
2及びキャップ部材13によって構成される吐出回復部
10により記録ヘッドのインク吐出面に付着したインク
やゴミなど後の記録の妨げになるものを清掃除去すると
共に、増粘インクの吸引による回復動作が行われ、ま
た、後述するようにインク吐出口周辺部の冷却にも貢献
する。
【0059】20は記録シートを記録位置に保持し、か
つ記録シートの非記録面を加熱するプラテン、21は記
録シートの記録面を加熱しながらプラテン20に導くガ
イドである。本例では、記録シートを記録位置直前で記
録面を所望の温度に加熱し、記録位置で加熱された記録
面の温度をできるだけ低下させないように非記録面から
加熱することにより、記録シート上に吐出された上述の
インク中に含まれる高分子同士を会合させると共に浸透
溶剤を蒸発させて色材層の厚さを変化させ、色表現性の
向上を図るようにしている。そこで、かかる加熱温度と
しては先にも述べたように35℃〜150℃の範囲に保
持する必要がある。
【0060】このような加熱手段としては、例えばプラ
テン20とガイド21自体若しくはその裏面側にシート
加熱部(ここでは不図示)を設けることにより記録開始
指令と同時にシート加熱部を作動し、記録シートを例え
ば35℃以上150℃以下の所定の温度範囲に加熱す
る。尚、このようなシート加熱部としては、サーマルヘ
ッド、赤外線ヒータ、ランプヒータ、ヒータ用コイルな
ど適切に温度制御が可能、かつ、接地できるものであれ
ば、どのような形態のものであってもよい。
【0061】次に、上述した装置の記録制御を実行する
ための制御構成について説明する。図2は、記録ヘッド
ユニット1に組み込まれるインクカートリッジ31の構
成を示す図である。インクカートリッジ31はその筐体
32内に可撓性材料、例えばインクに直接触れる内面が
ポリオレフィン好ましくはポリエチレンなどで形成さ
れ、内部にインクを収容するインク収容部33と、逆に
記録ヘッド側から排出されたインクを収容するインク吸
収体34とを保持するものである。また35はインク収
容部33と一体に形成され、インク収容部33からイン
クを記録ヘッド側に供給するための栓体であり、例えば
弾性体で形成されており、この栓体35に針状の供給口
(不図示)が差し込まれることで記録ヘッド側に接続さ
れ、インクを供給することができる。
【0062】尚、インクカートリッジはこのようなもの
に限らず、図3に示すようなものでもよい。図3は記録
ヘッドユニットの構成を示す図である。同図において、
41は記録ヘッド部、42はインク収容部(インクタン
ク部)であり、記録ヘッド部41と一体に構成される。
43はその内部のインクタンク部42に連通する大気連
通口である。
【0063】図4は、記録ヘッド部41の詳細な構成を
示す図である。また、図5は図4に示すA−A’断面図
であり、図6は外観の概要を示す図である。
【0064】図4に示すように、記録ヘッド部41は発
熱素子基板44上に設けられる液路(ノズル)45と、
液路45内のインク46に吐出エネルギとして熱エネル
ギを発生する発熱素子47と、液路45上を覆蓋する天
板48とで構成されるものである。49はインク吐出
口、46Aはインク吐出口49から吐出され記録シート
Pに向けて飛翔するインク滴である。また、発熱素子基
板44は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等
で形成される保護層44A、アルミニウム、金、アルミ
ニウム−銅合金等で形成される電極44B、HfB2、
TaN、TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵
抗体層44C、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で
形成される蓄熱層44D及びシリコン、アルミニウム、
窒化アルミニウム等放熱性の良い材料で形成される基板
材44Eにより構成されている。
【0065】図7は、力学的な吐出エネルギ発生素子と
して圧電素子を用いた記録ヘッド部41の構成を示す図
である。同図において、50は圧電素子、51は圧電素
子50の伸縮に応じて振動する振動板、52は基体、5
3は基体52に形成された圧電素子50の伸縮による振
動板51の変位を許容するための空間、54はインク吐
出口49が形成されているオリフィスプレートであり、
オリフィスプレート54はステンレスやニッケル等の金
属材料で形成されており、複数のインク吐出口46が穿
設されている。また、振動板51はステンレス、ニッケ
ル、チタン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等
で形成される。
【0066】一方、圧電素子50はチタン酸バリウム、
PZT等の誘電体材料で形成されるものである。尚、液
路45は不図示の共通液室に連通しており、これらは感
熱性樹脂材などを用いた公知の半導体技術により作製さ
れる。
【0067】このような構成からなる記録ヘッド部41
では、各液路45の吐出口46対向位置に配設されてい
る圧電素子50がパルス状電圧の駆動信号によって選択
的に駆動され、その結果発生するひずみ応力により振動
板51を変位させる。そして、その変位によって液路4
5内のインクを加圧し、インク吐出口46からインク滴
とみなして吐出させるものである。
【0068】尚、実施形態のインクジェット記録装置で
は、基本的構成のみで、カラー記録にかかる構成につい
ては述べなかったが、公知のカラー記録装置として構成
可能なものである。
【0069】次に、実施形態における制御系の構成につ
いて説明する。図8は、実施形態における制御部の構成
を示す図である。同図において、61は制御部、62は
記録制御を含め種々の制御用プログラムが格納されてい
るROM、63は記録データ等が一時格納されているリ
フレッシュ可能なRAMである。また、制御部61はド
ライバ64を介してキャリッジ駆動モータ5や搬送モー
タ等のモータ類65を駆動すると共に、ヘッドドライバ
66を介して記録ヘッド部41を駆動し、記録を行う。
【0070】67は記録位置に保持される記録シートP
を所定の温度の範囲に加熱する記録シート加熱部、68
は加熱された記録シートPの温度を検出する記録シート
温度検出部である。そして、69は記録ヘッド部41が
記録シート加熱部67により加熱された状態の記録シー
トPに沿って記録を継続する時間(存在時間)を計時す
るヘッド存在計時部である。尚、ヘッド存在計時部69
としては、記録ヘッド加熱部67の設置領域に沿って記
録ヘッドにより継続して記録が行われる時間を計時する
ものであれば良い。
【0071】次に、以下に示す表1及び表2は、実施形
態におけるインク中の熱可逆型増粘特性を有する高分子
及び効果的に増粘を可能とする曇天を有する界面活性剤
の例を示すものである。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】尚、インクの作成手順は、予め適切な濃度
(10〜40%)の高分子イオン交換水水溶液をそれぞ
れ調製しておき、以下に述べる方法で作成する。
【0075】即ち、それぞれ、高分子溶剤にイオン交換
水、溶剤、染料水溶液、及び曇点を有する界面活性剤の
順に撹拌しながら添加し、各組成物の所定の濃度に調製
し、3時間撹拌した後、ポアサイズ0.45μmのメイ
ンブレンフィルタで濾過して、表3に示す例1〜7のイ
ンクを作製する。
【0076】
【表3】
【0077】表4に上述のインクを用い、プラテン20
とガイド21に取付けた加熱手段の温度を変化させて行
った評価検討の結果を示す。尚、この評価方法は、にじ
みが無く、発色性が良い等色表現性の高い記録画像を得
ることができた場合を「○」、記録品位(にじみ、発色
性)が少しでも低下した場合は「×」とし、被験者20
人に対してパネルテストを行い、90%以上の被験者が
支持した結果を表わした。また、記録シート加熱手段と
しては、記録シートの表面温度を1〜6の各例のインク
中に含まれる界面活性剤曇点Tc’(例7のインク中に
含まれる高分子の転移温度Ts)よりも低めにその温度
を調節した。
【0078】また、プラテン20に組み込まれる加熱手
段から記録シート表面までの距離を0.5mmとし、記
録シートには評価検討を行うために材質と厚さを考慮し
て、事務機用標準紙である電子写真用紙(以下、PPC
紙とする)と、厚手のボンド紙、インクジェット用OH
Pフィルム(以下、OHPとする)を使用した。
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】以上の実施形態は、特にインクジェット記
録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用され
るエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例え
ば、電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネル
ギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いる
ことにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。そ
の代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第
4723129号明細書、同第4740796号明細書
に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ま
しい。この方式は、いわゆるオンデマンド型、コンティ
ニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特にオンデ
マンド型の場合には、液体(インク)が保持されている
シートや液路に対応して配置されている電気熱変換体
に、記録情報に対応していて膜沸騰を越える急速な温度
上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加すること
により、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記
録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこ
の駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡
を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮に
より吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、
少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス
形状をすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるの
で、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成で
き、より好ましい。
【0082】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第4463359号明細書、同第4345262号
明細書に記載されているようなものが適している。尚、
上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4
313124号明細書に記載されている条件を採用する
と、更に優れた記録を行うことができる。
【0083】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開
示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第
4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれ
るものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、
共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を
開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構
成としても良い。
【0084】更に、記録装置が記録できる最大記録媒体
の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘ
ッドとしては、上述した明細書に開示されているような
複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす
構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての
構成のいずれでもよい。
【0085】加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘ
ッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリ
ッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着さ
れることで、装置本体との電気的な接続や装置本体から
のインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの
記録ヘッドを用いてもよい。
【0086】また、以上説明した記録装置の構成に、記
録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加する
ことは記録動作を一層安定にできるので好ましいもので
ある。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対して
のキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは
吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子
あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などが
ある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを
備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0087】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッド
を一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも
良いが、異なる色の複色カラー又は混色によるフルカラ
ーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0088】更に加えて、本発明に係る記録装置の形態
としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端
末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ
等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有す
るファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
加熱された被記録材上にインクを吐出して記録を行う際
に、被記録材に記録ヘッドにて記録される直前の記録面
の表面温度を所望の温度に加熱し、非記録面からは所望
の温度以上、記録シート自身の熱による影響温度未満に
加熱することにより、被記録材の厚さや材質を選ぶこと
なく安定、かつ、色表現性の高い記録画像を非記録面か
らの加熱温度を低くしても得ることができる。
【0090】
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置の構成を示す外観斜視
図である。
【図2】記録ヘッドユニット1に組み込まれるインクカ
ートリッジ31の構成を示す図である。
【図3】記録ヘッドユニットの構成を示す図である。
【図4】本発明の適用が可能な記録ヘッド部の構成を示
す図である。
【図5】図4に示す記録ヘッド部のA−A’断面図であ
る。
【図6】図4に示す記録ヘッド部の外観斜視図である。
【図7】本発明の適用が可能な記録ヘッド部の他の構成
を示す図である。
【図8】実施形態における制御部の構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 記録ヘッドユニット 2 キャリッジ 5 キャリッジ駆動モータ 10 吐出回復部 11 ブレード部材 13 キャップ部材 20 プラテン 21 ガイド 41 記録ヘッド部 47 発熱素子 49 インク吐出口 P 被記録材(記録シート) 50 圧電素子 51 振動板

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録装置に送給された被記録材を所定の
    温度範囲に加熱し、該所定の温度範囲において熱可逆型
    を示す増粘性高分子ないし曇点を有する界面活性剤を含
    むインクを記録ヘッドのインク吐出口から前記記録装置
    に送給された被記録材に向けて吐出して記録を行うイン
    クジェット記録方法において、 前記被記録材の記録面と非記録面の両面を加熱する被記
    録材加熱手段を前記被記録材への加熱が所定の温度範囲
    になるように制御することを特徴とするインクジェット
    記録方法。
  2. 【請求項2】 前記被記録材の非記録面にある前記被記
    録材加熱手段の位置は、前記記録ヘッドのインク吐出口
    と前記被記録材を挟んで対向する位置に少なくとも一つ
    設置されていることを特徴とする請求項1記載のインク
    ジェット記録方法。
  3. 【請求項3】 前記被記録材の記録面にある前記被記録
    材加熱手段の位置は、前記被記録材に前記記録ヘッドが
    記録を行う記録領域の未記録領域部の位置に少なくとも
    一つ設置されていることを特徴とする請求項1記載のイ
    ンクジェット記録方法。
  4. 【請求項4】 前記未記録領域部の位置は、前記非記録
    面の被記録材加熱手段と、並行位置関係にあることを特
    徴とする請求項3記載のインクジェット記録方法。
  5. 【請求項5】 前記記録面の被記録材加熱手段と前記非
    記録面の被記録材加熱手段は、それぞれ独立に温度制御
    が可能であることを特徴とする請求項1記載のインクジ
    ェット記録方法。
  6. 【請求項6】 前記インクは、染料や顔料などの色剤と
    液媒体を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか
    記載のインクジェット記録方法。
  7. 【請求項7】 前記熱可逆型の増粘性高分子は、窒素含
    有環を有する活性水素化合物のアルキレンオキシド付加
    物であるビニル系カルボン酸エステルを、50重量%以
    上含有する水溶性ビニル系重合体であることを特徴とす
    る請求項1乃至6の何れか記載のインクジェット記録方
    法。
  8. 【請求項8】 前記熱可逆型の増粘性高分子は、非イオ
    ン型界面活性剤であることを特徴とする請求項1乃至6
    の何れか記載のインクジェット記録方法。
  9. 【請求項9】 前記熱可逆型の増粘性高分子は、曇点を
    有し、前記被記録材が加熱される前記所定の温度範囲
    が、前記曇点以上であることを特徴とする請求項1乃至
    8の何れか記載のインクジェット記録方法。
  10. 【請求項10】 前記インクの温度は、前記記録ヘッド
    から吐出されるまで前記熱可逆型の増粘性高分子の曇点
    以下であることを特徴とする請求項9記載のインクジェ
    ット記録方法。
  11. 【請求項11】 前記記録ヘッドは、熱エネルギを作用
    して前記インクを前記インク吐出口からインク滴として
    吐出させることを特徴とする請求項1乃至10の何れか
    記載のインクジェット記録方法。
  12. 【請求項12】 前記記録ヘッドは、力学的エネルギを
    作用して前記インクを前記インク吐出口からインク滴と
    して吐出させることを特徴とする請求項1乃至10の何
    れか記載のインクジェット記録方法。
  13. 【請求項13】 記録装置に送給された被記録材を所定
    の温度範囲に加熱し、該所定の温度範囲において熱可逆
    型を示す増粘性高分子ないし曇点を有する界面活性剤を
    含むインクを記録ヘッドのインク吐出口から前記記録装
    置に送給された被記録材に向けて吐出して記録を行うイ
    ンクジェット記録装置において、 前記被記録材の記録面と非記録面の両面位置に少なくと
    も一つずつ設置され、前記被記録材を加熱する被記録材
    加熱手段と、 前記被記録材加熱手段による被記録材への加熱が所定の
    温度範囲になるように制御する制御手段とを有すること
    を特徴とするインクジェット記録装置。
  14. 【請求項14】 前記被記録材の非記録面にある前記被
    記録材加熱手段の位置は、前記記録ヘッドのインク吐出
    口と前記被記録材を挟んで対向する位置に少なくとも一
    つ設置されていることを特徴とする請求項13記載のイ
    ンクジェット記録装置。
  15. 【請求項15】 前記被記録材の記録面にある前記被記
    録材加熱手段の位置は、前記被記録材に前記記録ヘッド
    が記録を行う記録領域の未記録領域部の位置に少なくと
    も一つ設置されていることを特徴とする請求項13記載
    のインクジェット記録装置。
  16. 【請求項16】 前記未記録領域部の位置は、前記非記
    録面の被記録材加熱手段と並行位置関係にあることを特
    徴とする請求項15記載のインクジェット記録装置。
  17. 【請求項17】 前記記録面の被記録材加熱手段と前記
    非記録面の被記録材加熱手段は、それぞれ独立に温度制
    御が可能であることを特徴とする請求項13記載のイン
    クジェット記録装置。
  18. 【請求項18】 前記インクは染料や顔料などの色剤と
    液媒体を含むことを特徴とする請求項13乃至17の何
    れか記載のインクジェット記録装置。
  19. 【請求項19】 前記熱可逆型の増粘性高分子は、窒素
    含有環を有する活性水素化合物のアルキレンオキシド付
    加物であるビニル系カルボン酸エステルを、50重量%
    以上含有する水溶性ビニル系重合体であることを特徴と
    する請求項13乃至18の何れか記載のインクジェット
    記録装置。
  20. 【請求項20】 前記熱可逆型の増粘性高分子は、非イ
    オン型界面活性剤であることを特徴とする請求項13乃
    至18の何れか記載のインクジェット記録装置。
  21. 【請求項21】 前記熱可逆型の増粘性高分子は、曇点
    を有し、前記被記録材が加熱される前記所定の温度範囲
    が、前記曇点以上であることを特徴とする請求項13乃
    至20の何れか記載のインクジェット記録装置。
  22. 【請求項22】 前記インクの温度は、前記記録ヘッド
    から吐出されるまで前記熱可逆型の増粘性高分子の曇点
    以下であることを特徴とする請求項21記載のインクジ
    ェット記録装置。
  23. 【請求項23】 前記記録ヘッドは、熱エネルギを作用
    して前記インクを前記インク吐出口からインク滴として
    吐出させることを特徴とする請求項13乃至22の何れ
    か記載のインクジェット記録装置。
  24. 【請求項24】 前記記録ヘッドは、力学的エネルギを
    作用して前記インクを前記インク吐出口からインク滴と
    して吐出させることを特徴とする請求項13乃至22の
    何れか記載のインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7278725B2 (en) 2002-04-19 2007-10-09 Seiko Epson Corporation Layer forming method, layer forming apparatus, device, manufacturing method for device, and electronic apparatus

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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