JPH1030095A - ポリオールエステル系潤滑油 - Google Patents
ポリオールエステル系潤滑油Info
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- JPH1030095A JPH1030095A JP9086713A JP8671397A JPH1030095A JP H1030095 A JPH1030095 A JP H1030095A JP 9086713 A JP9086713 A JP 9086713A JP 8671397 A JP8671397 A JP 8671397A JP H1030095 A JPH1030095 A JP H1030095A
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- lubricating oil
- polyol
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Abstract
(57)【要約】
【課題】40℃における動粘度が28〜40cstの範
囲において代替フロンとの相溶性が良好で、耐加水分解
性に優れ、かつ流動点が低い高性能のポリオールエステ
ル系潤滑油を提供する。 【解決手段】A)酸残基のα炭素が3級に分岐してお
り、該α炭素につながる炭素数4以上のアルキル基が全
て1つ以上の枝分かれを持つ炭素数6〜17の酸残基
と、ネオペンチルポリオールのアルコール残基から構成
されるポリオールエステルと、B)酸残基のα炭素が2
級または3級に分岐しており、該α炭素につながるアル
キル基が全て直鎖である炭素数6〜17の酸残基と、ネ
オペンチルポリオールのアルコール残基から構成される
ポリオールエステルの混合物であり、40℃における動
粘度が28〜40cstの範囲であることを特徴とする
ポリオールエステル系潤滑油。
囲において代替フロンとの相溶性が良好で、耐加水分解
性に優れ、かつ流動点が低い高性能のポリオールエステ
ル系潤滑油を提供する。 【解決手段】A)酸残基のα炭素が3級に分岐してお
り、該α炭素につながる炭素数4以上のアルキル基が全
て1つ以上の枝分かれを持つ炭素数6〜17の酸残基
と、ネオペンチルポリオールのアルコール残基から構成
されるポリオールエステルと、B)酸残基のα炭素が2
級または3級に分岐しており、該α炭素につながるアル
キル基が全て直鎖である炭素数6〜17の酸残基と、ネ
オペンチルポリオールのアルコール残基から構成される
ポリオールエステルの混合物であり、40℃における動
粘度が28〜40cstの範囲であることを特徴とする
ポリオールエステル系潤滑油。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍機油等の潤滑
油に用いられるポリオールエステルに関し、詳しくは代
替フロンとの相溶性が良好で耐加水分解性に優れ且つ流
動点の低いポリオールエステルに関する。
油に用いられるポリオールエステルに関し、詳しくは代
替フロンとの相溶性が良好で耐加水分解性に優れ且つ流
動点の低いポリオールエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】冷凍機に使用される冷媒フロンには、塩
素を含有するクロロフルオロカーボン類、ハイドロクロ
ロフルオロカーボン類が広く使用されてきている。しか
し近年フロンに含まれる塩素が成層圏のオゾン層を破壊
するとして世界的にフロンの使用規制が厳しくなりつつ
ある。そのため新規冷媒として塩素を含有しないハイド
ロフルオロカーボン類が使用され始めている。一方、こ
れまで使用されてきた鉱油系ならびにアルキルベンゼン
系の冷凍機油は上記の新規冷媒との相溶性が悪く使用す
ることが難しい。そこで代替冷凍機油として新規冷媒と
の相溶性が良好なポリオールエステル系の冷凍機油が検
討されてきている。
素を含有するクロロフルオロカーボン類、ハイドロクロ
ロフルオロカーボン類が広く使用されてきている。しか
し近年フロンに含まれる塩素が成層圏のオゾン層を破壊
するとして世界的にフロンの使用規制が厳しくなりつつ
ある。そのため新規冷媒として塩素を含有しないハイド
ロフルオロカーボン類が使用され始めている。一方、こ
れまで使用されてきた鉱油系ならびにアルキルベンゼン
系の冷凍機油は上記の新規冷媒との相溶性が悪く使用す
ることが難しい。そこで代替冷凍機油として新規冷媒と
の相溶性が良好なポリオールエステル系の冷凍機油が検
討されてきている。
【0003】従来ポリオールエステルは、特開平5−2
5484号および特開平5−70789号に記載される
ように、脂肪酸と多価アルコールを加熱下でエステル化
反応させることにより製造される。この反応は、200
℃以上の高温下で反応させても反応速度が遅いことは知
られており、工業的に製造する場合には、容量の大きな
反応器を使用する必要がある。
5484号および特開平5−70789号に記載される
ように、脂肪酸と多価アルコールを加熱下でエステル化
反応させることにより製造される。この反応は、200
℃以上の高温下で反応させても反応速度が遅いことは知
られており、工業的に製造する場合には、容量の大きな
反応器を使用する必要がある。
【0004】このように高温で長時間反応させることを
避けるために、特開平4−314793号、特開平5−
271676号および特開平5−1291号には、酸ク
ロライドを経由してポリオールエステルを製造する方法
が開示されている。しかし酸クロライドを経由する方法
は、脂肪酸から酸クロライドを製造するために三塩化リ
ン、五塩化リン、塩化チオニル等の酸塩化物が必要とな
り、その取り扱いは煩雑であり、製造プロセスが複雑と
なる。
避けるために、特開平4−314793号、特開平5−
271676号および特開平5−1291号には、酸ク
ロライドを経由してポリオールエステルを製造する方法
が開示されている。しかし酸クロライドを経由する方法
は、脂肪酸から酸クロライドを製造するために三塩化リ
ン、五塩化リン、塩化チオニル等の酸塩化物が必要とな
り、その取り扱いは煩雑であり、製造プロセスが複雑と
なる。
【0005】ポリオールエステルを代替フロン用の冷凍
機油として使用する場合、コンプレッサーがレシプロタ
イプの冷蔵庫では主として40℃における動粘度が1
3.5〜16.5cstのもの(VG15)、コンプレ
ッサーがロータリータイプの冷蔵庫ではVG32のポリ
オールエステルが使用される。またエアコン用ではVG
32、VG56、VG68グレードのポリオールエステ
ルが用いられる。これらの粘度グレードのうち、VG1
5のポリオールエステルは2−エチルヘキサン酸とネオ
ペンチルグリコールより得られるポリオールエステルと
2−エチルヘキサン酸とペンタエリスリトールより得ら
れるポリオールエステルの混合により冷凍機油として使
用可能な製品を製造することができる。
機油として使用する場合、コンプレッサーがレシプロタ
イプの冷蔵庫では主として40℃における動粘度が1
3.5〜16.5cstのもの(VG15)、コンプレ
ッサーがロータリータイプの冷蔵庫ではVG32のポリ
オールエステルが使用される。またエアコン用ではVG
32、VG56、VG68グレードのポリオールエステ
ルが用いられる。これらの粘度グレードのうち、VG1
5のポリオールエステルは2−エチルヘキサン酸とネオ
ペンチルグリコールより得られるポリオールエステルと
2−エチルヘキサン酸とペンタエリスリトールより得ら
れるポリオールエステルの混合により冷凍機油として使
用可能な製品を製造することができる。
【0006】一方、冷蔵庫とエアコン向けに用途のある
40℃の動粘度が28.8〜35.2cstであるVG
32の粘度グレードについては例えば特開平5−209
171号には3,5,5−トリメチルヘキサン酸とネオ
ペンチルグリコールより得られるポリオールエステルと
3,5,5−トリメチルヘキサン酸とトリメチロールプ
ロパンより得られるポリオールエステルの混合エステル
(混合重量比35/65)、2−メチルヘキサン酸/2
−エチルヘキサン酸(60/40重量比)混合酸とペン
タエリスリトールより得られるポリオールエステル、2
−メチルヘキサン酸/3,5−ジメチルヘキサン酸(8
0/20重量比)とペンタエリスリトールより得られる
ポリオールエステル、3,5−ジメチルヘキサン酸とト
リメチロールプロパンより得られるポリオールエステル
等が挙げられている。これらのポリオールエステルは流
動点は−40℃以下と優れているものの、代替フロンの
一候補である1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(R−134a)とポリオールエステルが重量比9/1
の混合物の時の低温側二相分離温度は高いものが多く、
更に耐加水分解性については上記全てのエステルが満足
できる性能とはいえず、ロータリータイプの冷蔵庫なら
びにエアコン用の冷凍機油として使用することは困難で
ある。
40℃の動粘度が28.8〜35.2cstであるVG
32の粘度グレードについては例えば特開平5−209
171号には3,5,5−トリメチルヘキサン酸とネオ
ペンチルグリコールより得られるポリオールエステルと
3,5,5−トリメチルヘキサン酸とトリメチロールプ
ロパンより得られるポリオールエステルの混合エステル
(混合重量比35/65)、2−メチルヘキサン酸/2
−エチルヘキサン酸(60/40重量比)混合酸とペン
タエリスリトールより得られるポリオールエステル、2
−メチルヘキサン酸/3,5−ジメチルヘキサン酸(8
0/20重量比)とペンタエリスリトールより得られる
ポリオールエステル、3,5−ジメチルヘキサン酸とト
リメチロールプロパンより得られるポリオールエステル
等が挙げられている。これらのポリオールエステルは流
動点は−40℃以下と優れているものの、代替フロンの
一候補である1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(R−134a)とポリオールエステルが重量比9/1
の混合物の時の低温側二相分離温度は高いものが多く、
更に耐加水分解性については上記全てのエステルが満足
できる性能とはいえず、ロータリータイプの冷蔵庫なら
びにエアコン用の冷凍機油として使用することは困難で
ある。
【0007】また上記のようにVG15のポリオールエ
ステルは2−エチルヘキサン酸とネオペンチルグリコー
ルより得られるポリオールエステルと2−エチルヘキサ
ン酸とペンタエリスリトールより得られるポリオールエ
ステルの混合により製造されるが、この混合比を変える
ことによってVG32のポリオールエステルを得ること
もできる。しかし混合比を変えることにより流動点が高
くなりすぎるため冷凍機油として使用することはできな
い。
ステルは2−エチルヘキサン酸とネオペンチルグリコー
ルより得られるポリオールエステルと2−エチルヘキサ
ン酸とペンタエリスリトールより得られるポリオールエ
ステルの混合により製造されるが、この混合比を変える
ことによってVG32のポリオールエステルを得ること
もできる。しかし混合比を変えることにより流動点が高
くなりすぎるため冷凍機油として使用することはできな
い。
【0008】更にこれまでエアコン用冷媒であるモノク
ロロジフルオロメタン(R−22)の代替としてジフル
オロメタン(R−32)、ペンタフルオロエタン(R−
125)等の混合冷媒が考えられており、R−407C
(R−32/R−125/R−134aの混合重量比が
23/25/52)やR−410A(R−32/R−1
25の混合重量比が50/50)等の混合冷媒が有力候
補に挙がっている。これらの代替フロンは、R−134
a単独に比べて一般にポリオールエステルとの相溶範囲
が狭くなる傾向にあり、特に低温側では顕著である。特
開平5−17789号にはR−22の代替冷媒としてR
−32、R−125を使ってエステルの評価がなされて
いる。R−32、R−125と良く相溶するエステルも
提案されているが、動粘度がVG32よりも低いもの、
耐加水分解性に劣っているものがありロータリータイプ
の冷蔵庫、エアコン用冷凍機油としての使用は難しい。
以上のようにVG32のポリオールエステルは冷蔵庫だ
けでなくエアコン用途もあるためR−407C、R−4
10Aといった新規冷媒とも広範囲において相溶する必
要があるが、既存の脂肪酸と多価アルコールより得られ
るポリオールエステルでは相溶性だけを満足させること
は出来るものの耐加水分解性、流動点など他の基本特性
全てを満足させられるものは得られていない。
ロロジフルオロメタン(R−22)の代替としてジフル
オロメタン(R−32)、ペンタフルオロエタン(R−
125)等の混合冷媒が考えられており、R−407C
(R−32/R−125/R−134aの混合重量比が
23/25/52)やR−410A(R−32/R−1
25の混合重量比が50/50)等の混合冷媒が有力候
補に挙がっている。これらの代替フロンは、R−134
a単独に比べて一般にポリオールエステルとの相溶範囲
が狭くなる傾向にあり、特に低温側では顕著である。特
開平5−17789号にはR−22の代替冷媒としてR
−32、R−125を使ってエステルの評価がなされて
いる。R−32、R−125と良く相溶するエステルも
提案されているが、動粘度がVG32よりも低いもの、
耐加水分解性に劣っているものがありロータリータイプ
の冷蔵庫、エアコン用冷凍機油としての使用は難しい。
以上のようにVG32のポリオールエステルは冷蔵庫だ
けでなくエアコン用途もあるためR−407C、R−4
10Aといった新規冷媒とも広範囲において相溶する必
要があるが、既存の脂肪酸と多価アルコールより得られ
るポリオールエステルでは相溶性だけを満足させること
は出来るものの耐加水分解性、流動点など他の基本特性
全てを満足させられるものは得られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】発明者は、特に高粘度
グレードに注目して代替フロンとの相溶性が良好で、耐
加水分解性に優れ、高い体積抵抗率、低流動点である高
性能のポリオールエステルを見出し、特許出願を行った
(特願平7−320233号、特願平7−320234
号、特願平7−320236号、特願平8−39998
号)。従来のポリオールエステルの製造法では、前述の
ように脂肪酸と多価アルコールを反応させる場合には、
200℃以上の高温下でも反応速度が著しく遅く、酸ク
ロライドを経由する方法では酸塩化物を用いるため、そ
の取り扱いおよび製造プロセスの煩雑さが問題となる。
またVG32のポリオールエステルはこれまでに脂肪酸
と多価アルコールの組み合わせにより数種のポリオール
エステルが提案されているが、R−407C、R−41
0Aといった新規冷媒との相溶性、耐加水分解性、流動
点(−40℃以下)など要求される基本特性を全て満た
すものは得られておらず、VG32(40℃の動粘度が
28〜40cst)における高性能のポリオールエステ
ルの開発が切望されている。本発明の目的は、従来の潤
滑油用ポリオールエステルの上記のような課題を解決
し、代替フロンとして有力なハイドロフルオロカーボ
ン、特にR−407C、R−410Aといったポリオー
ルエステルと相溶しにくい冷媒との相溶性が良好で、耐
加水分解性に優れ、かつ流動点が低く、40℃の動粘度
が28〜40cstである高性能のポリオールエステル
を提供することにある。
グレードに注目して代替フロンとの相溶性が良好で、耐
加水分解性に優れ、高い体積抵抗率、低流動点である高
性能のポリオールエステルを見出し、特許出願を行った
(特願平7−320233号、特願平7−320234
号、特願平7−320236号、特願平8−39998
号)。従来のポリオールエステルの製造法では、前述の
ように脂肪酸と多価アルコールを反応させる場合には、
200℃以上の高温下でも反応速度が著しく遅く、酸ク
ロライドを経由する方法では酸塩化物を用いるため、そ
の取り扱いおよび製造プロセスの煩雑さが問題となる。
またVG32のポリオールエステルはこれまでに脂肪酸
と多価アルコールの組み合わせにより数種のポリオール
エステルが提案されているが、R−407C、R−41
0Aといった新規冷媒との相溶性、耐加水分解性、流動
点(−40℃以下)など要求される基本特性を全て満た
すものは得られておらず、VG32(40℃の動粘度が
28〜40cst)における高性能のポリオールエステ
ルの開発が切望されている。本発明の目的は、従来の潤
滑油用ポリオールエステルの上記のような課題を解決
し、代替フロンとして有力なハイドロフルオロカーボ
ン、特にR−407C、R−410Aといったポリオー
ルエステルと相溶しにくい冷媒との相溶性が良好で、耐
加水分解性に優れ、かつ流動点が低く、40℃の動粘度
が28〜40cstである高性能のポリオールエステル
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記のごとき
課題を有する潤滑油用ポリオールエステルについて鋭意
検討した結果、フッ化水素の存在下、イソオクテン、一
酸化炭素とネオペンチルポリオールを反応させて得られ
たポリオールエステルと、フッ化水素の存在下、1−オ
クテン、一酸化炭素とネオペンチルポリオールを反応さ
せて得られたポリオールエステルを混合して得られるポ
リオールエステルが40℃の動粘度が28〜40cst
の範囲にあり、代替フロンとの相溶性が良好で、耐加水
分解性に優れ、かつ流動点が低いことを見出し本発明に
到達した。
課題を有する潤滑油用ポリオールエステルについて鋭意
検討した結果、フッ化水素の存在下、イソオクテン、一
酸化炭素とネオペンチルポリオールを反応させて得られ
たポリオールエステルと、フッ化水素の存在下、1−オ
クテン、一酸化炭素とネオペンチルポリオールを反応さ
せて得られたポリオールエステルを混合して得られるポ
リオールエステルが40℃の動粘度が28〜40cst
の範囲にあり、代替フロンとの相溶性が良好で、耐加水
分解性に優れ、かつ流動点が低いことを見出し本発明に
到達した。
【0011】即ち本発明は、A)酸残基のα炭素が3級
に分岐しており、該α炭素につながる炭素数4以上のア
ルキル基が全て1つ以上の枝分かれを持つ炭素数6〜1
7の酸残基と、ネオペンチルポリオールのアルコール残
基から構成されるポリオールエステルと、B)酸残基の
α炭素が2級または3級に分岐しており、該α炭素につ
ながるアルキル基が全て直鎖である炭素数6〜17の酸
残基と、ネオペンチルポリオールのアルコール残基から
構成されるポリオールエステルの混合物であり、40℃
における動粘度が28〜40cstの範囲であることを
特徴とするポリオールエステル系潤滑油である。
に分岐しており、該α炭素につながる炭素数4以上のア
ルキル基が全て1つ以上の枝分かれを持つ炭素数6〜1
7の酸残基と、ネオペンチルポリオールのアルコール残
基から構成されるポリオールエステルと、B)酸残基の
α炭素が2級または3級に分岐しており、該α炭素につ
ながるアルキル基が全て直鎖である炭素数6〜17の酸
残基と、ネオペンチルポリオールのアルコール残基から
構成されるポリオールエステルの混合物であり、40℃
における動粘度が28〜40cstの範囲であることを
特徴とするポリオールエステル系潤滑油である。
【0012】
【発明の実施形態】本発明のポリオールエステル混合物
は、フッ化水素中でイソオクテンまたは1−オクテンと
一酸化炭素およびネオペンチルポリオールを反応させて
製造され、このイソオクテンおよび1−オクテン由来の
ポリオールエステルの酸残基の炭素数は6〜17個とな
る。本発明のポリオールエステル混合物を構成するネオ
ペンチルポリオールにはネオペンチルグリコールが好適
に用いられる。フッ化水素中でイソオクテンまたは1−
オクテンと一酸化炭素を反応させて得られた脂肪酸フロ
ライドとネオペンチルポリオールとの反応により、イソ
オクテン由来の場合にはA)の枝分かれアルキル基を持
つ脂肪酸とネオペンチルポリオールとのポリオールエス
テルが得られ、1−オクテン由来の場合にはB)の直鎖
アルキル基を持つポリオールエステルが得られる。
は、フッ化水素中でイソオクテンまたは1−オクテンと
一酸化炭素およびネオペンチルポリオールを反応させて
製造され、このイソオクテンおよび1−オクテン由来の
ポリオールエステルの酸残基の炭素数は6〜17個とな
る。本発明のポリオールエステル混合物を構成するネオ
ペンチルポリオールにはネオペンチルグリコールが好適
に用いられる。フッ化水素中でイソオクテンまたは1−
オクテンと一酸化炭素を反応させて得られた脂肪酸フロ
ライドとネオペンチルポリオールとの反応により、イソ
オクテン由来の場合にはA)の枝分かれアルキル基を持
つ脂肪酸とネオペンチルポリオールとのポリオールエス
テルが得られ、1−オクテン由来の場合にはB)の直鎖
アルキル基を持つポリオールエステルが得られる。
【0013】本発明のポリオールエステルの製造に用い
られるイソオクテンは、2,4,4−トリメチル−1−
ペンテン、2,4,4−トリメチル−2−ペンテンの他
に、2,4,4−トリメチル−1−ペンテンと2,4,
4−トリメチル−2−ペンテンの約7:3混合物である
市販品を使用することも出来る。イソオクテンを原料に
用いることによりイソオクテンと一酸化炭素が反応する
前にイソオクテンが二量化する反応とイソオクテンのア
ルキル鎖が切れる反応が同時に起こり、様々な炭素数を
持つ脂肪酸フロライドが得られ、酸残基のα炭素が3級
に分岐するようになり、また該α炭素につながるアルキ
ル基の炭素数が4以上の場合には該アルキル基は全て1
つ以上の枝分かれを持つようになる。このようにイソオ
クテンを原料に用いることにより、脂肪酸残基が高度に
分岐しているようになるため、これより得られるエステ
ルと代替フロンとの相溶範囲、特に低温側での相溶範囲
が広くなる。またイソオクテンを原料に用いることによ
り、様々な炭素数を持つ脂肪酸フロライドがネオペンチ
ルポリオールと反応することになるので、ポリオールエ
ステル1分子中の2つの酸残基の炭素数と分岐度が異な
っているポリオールエステルが非常に多くなり(ハイブ
リッドエステル)、このことも代替フロンとの相溶範囲
を広げることに大きく寄与している。更にイソオクテン
を原料に用いることにより、酸残基のα炭素の殆ど全て
が3級に分岐するため、製造されるポリオールエステル
は加水分解を極めて受けにくくなる。このイソオクテン
由来のポリオールエステルは水添処理、高沸カット蒸留
等の精製を行うことにより流動点を更に下げることがで
きるが、流動点を−40℃以下とすることは困難であ
る。
られるイソオクテンは、2,4,4−トリメチル−1−
ペンテン、2,4,4−トリメチル−2−ペンテンの他
に、2,4,4−トリメチル−1−ペンテンと2,4,
4−トリメチル−2−ペンテンの約7:3混合物である
市販品を使用することも出来る。イソオクテンを原料に
用いることによりイソオクテンと一酸化炭素が反応する
前にイソオクテンが二量化する反応とイソオクテンのア
ルキル鎖が切れる反応が同時に起こり、様々な炭素数を
持つ脂肪酸フロライドが得られ、酸残基のα炭素が3級
に分岐するようになり、また該α炭素につながるアルキ
ル基の炭素数が4以上の場合には該アルキル基は全て1
つ以上の枝分かれを持つようになる。このようにイソオ
クテンを原料に用いることにより、脂肪酸残基が高度に
分岐しているようになるため、これより得られるエステ
ルと代替フロンとの相溶範囲、特に低温側での相溶範囲
が広くなる。またイソオクテンを原料に用いることによ
り、様々な炭素数を持つ脂肪酸フロライドがネオペンチ
ルポリオールと反応することになるので、ポリオールエ
ステル1分子中の2つの酸残基の炭素数と分岐度が異な
っているポリオールエステルが非常に多くなり(ハイブ
リッドエステル)、このことも代替フロンとの相溶範囲
を広げることに大きく寄与している。更にイソオクテン
を原料に用いることにより、酸残基のα炭素の殆ど全て
が3級に分岐するため、製造されるポリオールエステル
は加水分解を極めて受けにくくなる。このイソオクテン
由来のポリオールエステルは水添処理、高沸カット蒸留
等の精製を行うことにより流動点を更に下げることがで
きるが、流動点を−40℃以下とすることは困難であ
る。
【0014】1−オクテン由来のポリオールエステルで
は、1−オクテンを原料に用いることにより、1−オク
テンに一酸化炭素が反応する前に1−オクテン自体が異
性化したり、1−オクテン同士が二量化する反応などが
生ずることにより種々の脂肪酸フロライドが得られるた
め、イソオクテンと同様にポリオールエステル1分子中
の2つの酸残基の炭素数と分岐度が異なるポリオールエ
ステルが増加するため、代替フロンとの相溶範囲が広く
なる。また1−オクテンを原料に用いることにより酸残
基のα炭素は2級または3級に分岐するため製造される
ポリオールエステルは加水分解を極めて受けにくくな
る。この1−オクテン由来のポリオールエステルは、イ
ソオクテン由来のポリオールエステルに比べ酸残基の分
岐度が低いため流動点が更に下がる。従ってイソオクテ
ン由来のポリオールエステルへ1−オクテン由来のポリ
オールエステルを混合することにより容易に流動点を下
げることができる。
は、1−オクテンを原料に用いることにより、1−オク
テンに一酸化炭素が反応する前に1−オクテン自体が異
性化したり、1−オクテン同士が二量化する反応などが
生ずることにより種々の脂肪酸フロライドが得られるた
め、イソオクテンと同様にポリオールエステル1分子中
の2つの酸残基の炭素数と分岐度が異なるポリオールエ
ステルが増加するため、代替フロンとの相溶範囲が広く
なる。また1−オクテンを原料に用いることにより酸残
基のα炭素は2級または3級に分岐するため製造される
ポリオールエステルは加水分解を極めて受けにくくな
る。この1−オクテン由来のポリオールエステルは、イ
ソオクテン由来のポリオールエステルに比べ酸残基の分
岐度が低いため流動点が更に下がる。従ってイソオクテ
ン由来のポリオールエステルへ1−オクテン由来のポリ
オールエステルを混合することにより容易に流動点を下
げることができる。
【0015】一方、イソオクテン由来のポリオールエス
テルは、1−オクテン由来のポリオールエステルに比べ
酸残基が高度に分岐しているので、イソオクテン由来の
ポリオールエステルの方が代替フロンとの相溶範囲は広
くなる。イソオクテン由来のポリオールエステルと1−
オクテン由来のポリオールエステルの混合比率は制限さ
れないが、好ましくはイソオクテン由来のポリオールエ
ステルが70〜85重量%であり、1−オクテン由来の
ポリオールエステルが15〜30重量%である。1−オ
クテン由来のポリオールエステルをイソオクテン由来の
ポリオールエステルへ15〜30重量%の範囲で混合す
ることにより代替フロンとの相溶範囲を殆ど変えること
なく流動点を下げることが出来る。
テルは、1−オクテン由来のポリオールエステルに比べ
酸残基が高度に分岐しているので、イソオクテン由来の
ポリオールエステルの方が代替フロンとの相溶範囲は広
くなる。イソオクテン由来のポリオールエステルと1−
オクテン由来のポリオールエステルの混合比率は制限さ
れないが、好ましくはイソオクテン由来のポリオールエ
ステルが70〜85重量%であり、1−オクテン由来の
ポリオールエステルが15〜30重量%である。1−オ
クテン由来のポリオールエステルをイソオクテン由来の
ポリオールエステルへ15〜30重量%の範囲で混合す
ることにより代替フロンとの相溶範囲を殆ど変えること
なく流動点を下げることが出来る。
【0016】本発明のポリオールエステル混合物を構成
するネオペンチルポリオールにはネオペンチルグリコー
ルが好適に用いられ、本発明のポリオールエステル系潤
滑油は、次のような化学式で示されるポリオールエステ
ル混合物の組成物であることが好ましい。すなわちA)
のポリオールエステル混合物は、一般式(I)で示さ
れ、
するネオペンチルポリオールにはネオペンチルグリコー
ルが好適に用いられ、本発明のポリオールエステル系潤
滑油は、次のような化学式で示されるポリオールエステ
ル混合物の組成物であることが好ましい。すなわちA)
のポリオールエステル混合物は、一般式(I)で示さ
れ、
【化3】 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル
が52.0〜58.0重量%、5≦m≦8かつ8<n
≦16であるポリオールエステルが38.0〜44.0
重量%、8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオ
ールエステルが3.0〜7.0重量%である(mとnは
整数)。
が52.0〜58.0重量%、5≦m≦8かつ8<n
≦16であるポリオールエステルが38.0〜44.0
重量%、8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオ
ールエステルが3.0〜7.0重量%である(mとnは
整数)。
【0017】A)のイソオクテン由来のポリオールエス
テル混合物は、の割合が増加して、の割合が減少
すると動粘度が低下し、その結果1−オクテン由来のポ
リオールエステルの添加量が15重量%よりも少なくな
り、流動点の改善が困難となる。またの割合が減少し
、の割合が増加すると動粘度が高くなり、40℃に
おける動粘度を28〜40cstの範囲とするために
は、1−オクテン由来のポリオールエステルの添加量が
30重量%よりも多くなるので代替フロンとの相溶範囲
が徐々に狭くなる。
テル混合物は、の割合が増加して、の割合が減少
すると動粘度が低下し、その結果1−オクテン由来のポ
リオールエステルの添加量が15重量%よりも少なくな
り、流動点の改善が困難となる。またの割合が減少し
、の割合が増加すると動粘度が高くなり、40℃に
おける動粘度を28〜40cstの範囲とするために
は、1−オクテン由来のポリオールエステルの添加量が
30重量%よりも多くなるので代替フロンとの相溶範囲
が徐々に狭くなる。
【0018】またB)のポリオールエステル混合物は一
般式(II)で示され、
般式(II)で示され、
【化4】 5≦p≦8かつ5≦q≦8であるポリオールエステル
が93.0〜97.0重量%、5≦p≦8かつ8<q
≦16であるポリオールエステルが3.0〜5.0重量
%、8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオール
エステルが0.1〜4.0重量%である。
が93.0〜97.0重量%、5≦p≦8かつ8<q
≦16であるポリオールエステルが3.0〜5.0重量
%、8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオール
エステルが0.1〜4.0重量%である。
【0019】B)の1−オクテン由来のポリオールエス
テル混合物は、の割合が増加して、の割合が減少
すると動粘度が低下し、その結果1−オクテン由来のポ
リオールエステルの添加量が30重量%よりも多くなる
ため代替フロンとの相溶範囲が徐々に狭くなる。また
の割合が減少し、の割合が増加すると動粘度が徐々
に高くなり、40℃における動粘度を28〜40cst
の範囲とするためには、1−オクテン由来のポリオール
エステルの添加量が15重量%よりも少なくなり、流動
点の改善が困難となる。
テル混合物は、の割合が増加して、の割合が減少
すると動粘度が低下し、その結果1−オクテン由来のポ
リオールエステルの添加量が30重量%よりも多くなる
ため代替フロンとの相溶範囲が徐々に狭くなる。また
の割合が減少し、の割合が増加すると動粘度が徐々
に高くなり、40℃における動粘度を28〜40cst
の範囲とするためには、1−オクテン由来のポリオール
エステルの添加量が15重量%よりも少なくなり、流動
点の改善が困難となる。
【0020】本発明のポリオールエステルを製造する方
法には、1)フッ化水素中でイソオクテンまたは1−オ
クテンと一酸化炭素を反応させた後、ネオペンチルポリ
オールを反応させる方法、2)フッ化水素、一酸化炭素
及びネオペンチルポリオールの存在下に、イソオクテン
または1−オクテンを供給して反応させる方法、3)フ
ッ化水素と一酸化炭素の存在下に、イソオクテンまたは
1−オクテンとネオペンチルポリオールを同時に供給し
て反応させる方法などを行うことが出来る。これらの方
法の中で1)の方法によれば最も高いポリオールエステ
ルの収率が得られる。
法には、1)フッ化水素中でイソオクテンまたは1−オ
クテンと一酸化炭素を反応させた後、ネオペンチルポリ
オールを反応させる方法、2)フッ化水素、一酸化炭素
及びネオペンチルポリオールの存在下に、イソオクテン
または1−オクテンを供給して反応させる方法、3)フ
ッ化水素と一酸化炭素の存在下に、イソオクテンまたは
1−オクテンとネオペンチルポリオールを同時に供給し
て反応させる方法などを行うことが出来る。これらの方
法の中で1)の方法によれば最も高いポリオールエステ
ルの収率が得られる。
【0021】イソオクテン由来のポリオールエステルを
製造する場合、使用するフッ化水素量は使用するイソオ
クテンに対し2倍モル以上、5倍モル未満である。2倍
モル未満にするとカルボニル化反応速度が低下し副反応
量が増加するので経済的に有利とならない。また5倍モ
ル以上にしてもカルボニル化反応速度は変わらず、フッ
化水素を蒸留で回収する際の熱負荷が大きくなり有利に
ならない。
製造する場合、使用するフッ化水素量は使用するイソオ
クテンに対し2倍モル以上、5倍モル未満である。2倍
モル未満にするとカルボニル化反応速度が低下し副反応
量が増加するので経済的に有利とならない。また5倍モ
ル以上にしてもカルボニル化反応速度は変わらず、フッ
化水素を蒸留で回収する際の熱負荷が大きくなり有利に
ならない。
【0022】本発明におけるイソオクテンと一酸化炭素
の反応温度は−50〜−10℃であり、好ましくは−4
0〜−20℃である。反応温度が低すぎると反応速度が
低下するだけでなく動粘度も高くなり過ぎ、また冷却の
際に要するエネルギーが大きくなるため経済的ではな
い。一方、反応温度が−10℃以上になると所望の動粘
度よりも動粘度が低下する。
の反応温度は−50〜−10℃であり、好ましくは−4
0〜−20℃である。反応温度が低すぎると反応速度が
低下するだけでなく動粘度も高くなり過ぎ、また冷却の
際に要するエネルギーが大きくなるため経済的ではな
い。一方、反応温度が−10℃以上になると所望の動粘
度よりも動粘度が低下する。
【0023】1−オクテン由来のポリオールエステルを
製造する場合、使用するフッ化水素量は使用する1−オ
クテンに対し5倍モル以上、30モル倍以下、好ましく
は7倍モル以上、15倍モル以下である。5倍モル未満
にするとカルボニル化反応速度が低下し副反応量が増加
するので経済的に有利とならない。また15倍モル以上
にしてもカルボニル化反応速度は変わらず、反応器の容
量が大きくなりまたフッ化水素を蒸留で回収する際の熱
負荷が大きくなるため経済的ではない。
製造する場合、使用するフッ化水素量は使用する1−オ
クテンに対し5倍モル以上、30モル倍以下、好ましく
は7倍モル以上、15倍モル以下である。5倍モル未満
にするとカルボニル化反応速度が低下し副反応量が増加
するので経済的に有利とならない。また15倍モル以上
にしてもカルボニル化反応速度は変わらず、反応器の容
量が大きくなりまたフッ化水素を蒸留で回収する際の熱
負荷が大きくなるため経済的ではない。
【0024】1−オクテンと一酸化炭素の反応温度は−
30〜50℃であり、好ましくは−20〜40℃であ
る。反応温度が低すぎると反応速度が低下し、また冷却
の際に要するエネルギーが大きくなるため経済的ではな
い。一方、反応温度が20℃以上になると副反応量が増
加するとともに徐々に動粘度が上昇する。
30〜50℃であり、好ましくは−20〜40℃であ
る。反応温度が低すぎると反応速度が低下し、また冷却
の際に要するエネルギーが大きくなるため経済的ではな
い。一方、反応温度が20℃以上になると副反応量が増
加するとともに徐々に動粘度が上昇する。
【0025】フッ化水素中でのイソオクテンまたは1−
オクテンと一酸化炭素の反応圧力は、10〜100kg
/cm2 G以下であり、好ましくは10〜80kg/c
m2Gである。反応圧力が低い場合には、中間体の酸フ
ロライドの収率が低下する。しかし圧力を100kg/
cm2 Gより高くしても収率は殆ど変わらず、設備費が
高くなるので工業的に有利にならない。なお該反応圧力
は高純度の一酸化炭素を用いた場合であり、もし使用す
る一酸化炭素ガスに相当量の不活性ガスが含まれる場合
には、一酸化炭素の分圧が該反応圧力となるように決定
される。また反応に用いられる一酸化炭素の量は、反応
圧力により決定される。
オクテンと一酸化炭素の反応圧力は、10〜100kg
/cm2 G以下であり、好ましくは10〜80kg/c
m2Gである。反応圧力が低い場合には、中間体の酸フ
ロライドの収率が低下する。しかし圧力を100kg/
cm2 Gより高くしても収率は殆ど変わらず、設備費が
高くなるので工業的に有利にならない。なお該反応圧力
は高純度の一酸化炭素を用いた場合であり、もし使用す
る一酸化炭素ガスに相当量の不活性ガスが含まれる場合
には、一酸化炭素の分圧が該反応圧力となるように決定
される。また反応に用いられる一酸化炭素の量は、反応
圧力により決定される。
【0026】エステル化反応でのネオペンチルポリオー
ルの使用量はイソオクテン由来のポリオールエステルを
製造する場合、カルボニル化反応において吸収された一
酸化炭素のモル数に対して1.0〜1.1モル倍(ネオ
ペンチルポリオールのOH基のモル数基準)とすること
が好ましい。ネオペンチルポリオールの使用量が少なす
ぎると未反応酸フロライドが残存することになる。ネオ
ペンチルポリオールの使用量が多すぎる場合にはモノエ
ステルが多量に生成する。1−オクテン由来のポリオー
ルエステルを製造する場合、エステル化反応でのネオペ
ンチルポリオールの使用量はカルボニル化反応において
吸収された一酸化炭素のモル数に対して0.9〜1.1
モル倍(ネオペンチルポリオールのOH基のモル数基
準)、好ましくは0.95〜1.05モル倍とすること
が好ましい。ネオペンチルポリオールの使用量が少なす
ぎると未反応酸フロライドの回収量が増加する。ネオペ
ンチルポリオールの使用量が多すぎる場合にはモノエス
テルが多量に生成する。
ルの使用量はイソオクテン由来のポリオールエステルを
製造する場合、カルボニル化反応において吸収された一
酸化炭素のモル数に対して1.0〜1.1モル倍(ネオ
ペンチルポリオールのOH基のモル数基準)とすること
が好ましい。ネオペンチルポリオールの使用量が少なす
ぎると未反応酸フロライドが残存することになる。ネオ
ペンチルポリオールの使用量が多すぎる場合にはモノエ
ステルが多量に生成する。1−オクテン由来のポリオー
ルエステルを製造する場合、エステル化反応でのネオペ
ンチルポリオールの使用量はカルボニル化反応において
吸収された一酸化炭素のモル数に対して0.9〜1.1
モル倍(ネオペンチルポリオールのOH基のモル数基
準)、好ましくは0.95〜1.05モル倍とすること
が好ましい。ネオペンチルポリオールの使用量が少なす
ぎると未反応酸フロライドの回収量が増加する。ネオペ
ンチルポリオールの使用量が多すぎる場合にはモノエス
テルが多量に生成する。
【0027】エステル化の反応温度は、−50〜10
℃、好ましくは−30〜10℃であり、加圧または常圧
で反応が行われる。本発明のエステル化反応は、回分式
でも連続式でも行うことができるが、工業的に行う場合
には連続式が有利である。従来の脂肪酸と多価アルコー
ルから生成水を除去しながらエステルを製造する方法で
は、基本的に回分式でしか実施できず、さらにα炭素の
分岐度が異なる数種の脂肪酸を多価アルコールと反応さ
せる場合には、脂肪酸の分岐の度合いによって反応速度
に差が生じるためエステル化がうまく行われないことも
あり、これらの点においても本発明のエステル製造法が
有利である。
℃、好ましくは−30〜10℃であり、加圧または常圧
で反応が行われる。本発明のエステル化反応は、回分式
でも連続式でも行うことができるが、工業的に行う場合
には連続式が有利である。従来の脂肪酸と多価アルコー
ルから生成水を除去しながらエステルを製造する方法で
は、基本的に回分式でしか実施できず、さらにα炭素の
分岐度が異なる数種の脂肪酸を多価アルコールと反応さ
せる場合には、脂肪酸の分岐の度合いによって反応速度
に差が生じるためエステル化がうまく行われないことも
あり、これらの点においても本発明のエステル製造法が
有利である。
【0028】エステル化反応後、フッ化水素とポリオー
ルエステルの分離を工業的に行う場合には、飽和炭化水
素還流下の蒸留によりフッ化水素を回収する方法が採用
される。蒸留によって回収されたフッ化水素はカルボニ
ル化反応器へ循環使用する。飽和炭化水素としては、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が用い
られる。該飽和炭化水素はフッ化水素とポリオールエス
テルの分解熱の供給と塔底でポリオールエステルを希釈
する役割を果たす。
ルエステルの分離を工業的に行う場合には、飽和炭化水
素還流下の蒸留によりフッ化水素を回収する方法が採用
される。蒸留によって回収されたフッ化水素はカルボニ
ル化反応器へ循環使用する。飽和炭化水素としては、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が用い
られる。該飽和炭化水素はフッ化水素とポリオールエス
テルの分解熱の供給と塔底でポリオールエステルを希釈
する役割を果たす。
【0029】エステル化反応により得られたポリオール
エステルは、フッ化水素回収蒸留の後、通常行われる蒸
留精製や耐加水分解性を更に向上させるために水を添加
して行う加水分解処理、吸着剤による吸着処理、白土処
理等を行うことができる。また流動点、体積抵抗率、色
価等を改善するために高沸カット蒸留や水添処理等を必
要に応じて行うことも効果的である。
エステルは、フッ化水素回収蒸留の後、通常行われる蒸
留精製や耐加水分解性を更に向上させるために水を添加
して行う加水分解処理、吸着剤による吸着処理、白土処
理等を行うことができる。また流動点、体積抵抗率、色
価等を改善するために高沸カット蒸留や水添処理等を必
要に応じて行うことも効果的である。
【0030】なお本発明のポリオールエステル系潤滑油
には、従来の冷凍機油の添加剤として使用されている酸
化防止剤、摩耗防止剤、エポキシ化合物などの添加剤を
必要に応じて添加することができる。イソオクテン由来
のポリオールエステルは、上記反応条件を組み合わせる
ことにより40℃における動粘度を60〜80cstの
範囲とすることができる。また同様に、1−オクテン由
来のポリオールエステルは、上記反応条件を組み合わせ
ることにより40℃における動粘度は8〜15cstの
範囲とすることができる。
には、従来の冷凍機油の添加剤として使用されている酸
化防止剤、摩耗防止剤、エポキシ化合物などの添加剤を
必要に応じて添加することができる。イソオクテン由来
のポリオールエステルは、上記反応条件を組み合わせる
ことにより40℃における動粘度を60〜80cstの
範囲とすることができる。また同様に、1−オクテン由
来のポリオールエステルは、上記反応条件を組み合わせ
ることにより40℃における動粘度は8〜15cstの
範囲とすることができる。
【0031】本発明のポリオールエステル系潤滑油は代
替フロンの潤滑油基油として用いられ、代替フロンとし
て最も一般的な1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(R−134a)だけでなく、ポリオールエステルと溶
解しにくいジフルオロメタン/ペンタフルオロエタン/
1,1,1,2−テトラフルオロエタンの重量比が15
〜30/15〜30/50〜70である組成物(R−4
07C等)や、ジフルオロメタン/ペンタフルオロエタ
ンの重量比が40〜50/50〜60である組成物(R
−410A等)にも用いられる。このため代替フロンと
の二相分離温度、耐加水分解性を測定するシールドチュ
ーブテストおよび流動点が規定され、イソオクテン由来
のポリオールエステルと1−オクテン由来のポリオール
エステルの混合比率を前述の好ましい範囲とした場合、
本発明のポリオールエステル系潤滑油の物性は以下のよ
うになる。流動点はJIS K−2269による方法で
測定され、本発明のポリオールエステル系潤滑油の流動
点は−40℃以下である、シールドチューブテストは、
触媒として鉄、銅、アルミニウム、を用い、予め水分1
000ppm以下、酸価0.01mgKOH/g以下に
調製された試料と冷媒(代替フロン)を封管し、200
℃で28日間加熱した後の酸価を測定する方法であり、
本発明のポリオールエステル系潤滑油では冷媒に1,
1,1,2−テトラフルオロエタン(R−134a)を
用いた場合の該酸価が0.02mgKOH/g以下であ
る。
替フロンの潤滑油基油として用いられ、代替フロンとし
て最も一般的な1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(R−134a)だけでなく、ポリオールエステルと溶
解しにくいジフルオロメタン/ペンタフルオロエタン/
1,1,1,2−テトラフルオロエタンの重量比が15
〜30/15〜30/50〜70である組成物(R−4
07C等)や、ジフルオロメタン/ペンタフルオロエタ
ンの重量比が40〜50/50〜60である組成物(R
−410A等)にも用いられる。このため代替フロンと
の二相分離温度、耐加水分解性を測定するシールドチュ
ーブテストおよび流動点が規定され、イソオクテン由来
のポリオールエステルと1−オクテン由来のポリオール
エステルの混合比率を前述の好ましい範囲とした場合、
本発明のポリオールエステル系潤滑油の物性は以下のよ
うになる。流動点はJIS K−2269による方法で
測定され、本発明のポリオールエステル系潤滑油の流動
点は−40℃以下である、シールドチューブテストは、
触媒として鉄、銅、アルミニウム、を用い、予め水分1
000ppm以下、酸価0.01mgKOH/g以下に
調製された試料と冷媒(代替フロン)を封管し、200
℃で28日間加熱した後の酸価を測定する方法であり、
本発明のポリオールエステル系潤滑油では冷媒に1,
1,1,2−テトラフルオロエタン(R−134a)を
用いた場合の該酸価が0.02mgKOH/g以下であ
る。
【0032】二相分離温度はポリオールエステルと冷媒
(代替フロン)を冷媒/ポリオールエステルを重量比9
/1で混合して常温で溶解し、徐々に冷却または昇温し
た時のポリオールエステルと冷媒が分離する温度で、ポ
リオールエステル系では通常、低温側と高温側に二相分
離温度がある。本発明のポリオールエステル系潤滑油で
は、a)冷媒に1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(R−134a)を用い、R−134a/ポリオールエ
ステル系潤滑油を重量比9/1で混合させたときの二相
分離温度が低温側で−60℃以下、高温側で100℃以
上であり、b)冷媒にジフルオロメタン/ペンタフルオ
ロエタン/1,1,1,2−テトラフルオロエタンが重
量比23/25/52のフロン混合物(R−407C)
を用い、R−407C/ポリオールエステル系潤滑油を
重量比9/1で混合させたときの二相分離温度が低温側
で−45℃以下、高温側で80℃以上であり、c)冷媒
にジフルオロメタン/ペンタフルオロエタンが重量比5
0/50の混合物(R−410A)を用い、R−410
A/ポリオールエステル系潤滑油を重量比9/1で混合
させたときの二相分離温度が低温側で−30℃以下、高
温側で60℃以上である。
(代替フロン)を冷媒/ポリオールエステルを重量比9
/1で混合して常温で溶解し、徐々に冷却または昇温し
た時のポリオールエステルと冷媒が分離する温度で、ポ
リオールエステル系では通常、低温側と高温側に二相分
離温度がある。本発明のポリオールエステル系潤滑油で
は、a)冷媒に1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(R−134a)を用い、R−134a/ポリオールエ
ステル系潤滑油を重量比9/1で混合させたときの二相
分離温度が低温側で−60℃以下、高温側で100℃以
上であり、b)冷媒にジフルオロメタン/ペンタフルオ
ロエタン/1,1,1,2−テトラフルオロエタンが重
量比23/25/52のフロン混合物(R−407C)
を用い、R−407C/ポリオールエステル系潤滑油を
重量比9/1で混合させたときの二相分離温度が低温側
で−45℃以下、高温側で80℃以上であり、c)冷媒
にジフルオロメタン/ペンタフルオロエタンが重量比5
0/50の混合物(R−410A)を用い、R−410
A/ポリオールエステル系潤滑油を重量比9/1で混合
させたときの二相分離温度が低温側で−30℃以下、高
温側で60℃以上である。
【0033】
【実施例】次に実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明は、これらの実施例により限定される
ものではない。各実施例および比較例において得られた
エステルの耐加水分解試験および相溶性試験を下記のよ
うに行った。流動点はJISK−2269により測定し
た。 (耐加水分解試験)ガラス製試験管に、触媒として鉄、
銅、アルミニウム線各8cm、水分を1000ppmに
調整したエステル試料10g、冷媒(R−134a)2
gを注入後密閉し、密閉ガラス管を200℃、28日間
加熱後の酸価を測定する。 (相溶性試験)試料のエステル0.2gと各冷媒(R−
134a、R−407C、R−410A)1.8gをガ
ラスチューブに各々入れ封管した。20℃より1℃/分
の割合で冷却又は加熱し低温側および高温側での二相分
離温度を測定した。
る。ただし本発明は、これらの実施例により限定される
ものではない。各実施例および比較例において得られた
エステルの耐加水分解試験および相溶性試験を下記のよ
うに行った。流動点はJISK−2269により測定し
た。 (耐加水分解試験)ガラス製試験管に、触媒として鉄、
銅、アルミニウム線各8cm、水分を1000ppmに
調整したエステル試料10g、冷媒(R−134a)2
gを注入後密閉し、密閉ガラス管を200℃、28日間
加熱後の酸価を測定する。 (相溶性試験)試料のエステル0.2gと各冷媒(R−
134a、R−407C、R−410A)1.8gをガ
ラスチューブに各々入れ封管した。20℃より1℃/分
の割合で冷却又は加熱し低温側および高温側での二相分
離温度を測定した。
【0034】実施例1 ナックドライブ式撹拌機と上部に3個の入口ノズル、底
部に1個の出口ノズルを備え、ジャケットにより内部温
度を制御できるステンレス製オートクレーブを用いてイ
ソオクテン由来のエステルの製造を行った。まずオート
クレーブの内部を一酸化炭素で置換した後、フッ化水素
100モル(2000g)を導入し温度−30℃に冷却
し、一酸化炭素で20 kg/cm2 まで加圧した。反応温度
を−30℃に、かつ反応圧力を20 kg/cm2 に保持する
ように一酸化炭素を供給しながら、イソオクテン混合物
(2,4,4−トリメチル−1−ペンテンと2,4,4
−トリメチル−2−ペンテンの約7:3混合物)31.
3モル(3506g)をオートクレーブの気相部より供
給し、酸フロライド混合物の合成を行った。イソオクテ
ン混合物供給終了後、一酸化炭素の吸収が無くなるまで
約20分間撹拌を継続した。一酸化炭素の吸収量は、2
8.8モルであった。オートクレーブ内の温度を−10
℃とし圧力を常圧まで落圧した後、反応で吸収された一
酸化炭素と等モル量(ネオペンチルグリコールのOH基
のモル数基準)のネオペンチルグリコールをオートクレ
ーブへ供給して2時間反応させた。反応液をフッ化水素
回収蒸留塔へ供給してフッ化水素を塔頂から、クルード
ポリオールエステルを塔底より回収した。塔底より回収
されたクルードエステルは精留塔にて精留を行った後、
得られたエステルに対し5重量%の水を添加し 200℃に
て3時間攪拌して加水分解処理を行った。吸着剤で処理
後、5%Ru/Cで水添処理し、窒素バブリングで脱水
して精製ポリオールエステルを取得した。得られたポリ
オールエステルの酸価は0.01mgKOH/g、水分
は90ppmであった。40℃の動粘度をウベローデ粘
度計を用いて測定したところ、80cstであった。
部に1個の出口ノズルを備え、ジャケットにより内部温
度を制御できるステンレス製オートクレーブを用いてイ
ソオクテン由来のエステルの製造を行った。まずオート
クレーブの内部を一酸化炭素で置換した後、フッ化水素
100モル(2000g)を導入し温度−30℃に冷却
し、一酸化炭素で20 kg/cm2 まで加圧した。反応温度
を−30℃に、かつ反応圧力を20 kg/cm2 に保持する
ように一酸化炭素を供給しながら、イソオクテン混合物
(2,4,4−トリメチル−1−ペンテンと2,4,4
−トリメチル−2−ペンテンの約7:3混合物)31.
3モル(3506g)をオートクレーブの気相部より供
給し、酸フロライド混合物の合成を行った。イソオクテ
ン混合物供給終了後、一酸化炭素の吸収が無くなるまで
約20分間撹拌を継続した。一酸化炭素の吸収量は、2
8.8モルであった。オートクレーブ内の温度を−10
℃とし圧力を常圧まで落圧した後、反応で吸収された一
酸化炭素と等モル量(ネオペンチルグリコールのOH基
のモル数基準)のネオペンチルグリコールをオートクレ
ーブへ供給して2時間反応させた。反応液をフッ化水素
回収蒸留塔へ供給してフッ化水素を塔頂から、クルード
ポリオールエステルを塔底より回収した。塔底より回収
されたクルードエステルは精留塔にて精留を行った後、
得られたエステルに対し5重量%の水を添加し 200℃に
て3時間攪拌して加水分解処理を行った。吸着剤で処理
後、5%Ru/Cで水添処理し、窒素バブリングで脱水
して精製ポリオールエステルを取得した。得られたポリ
オールエステルの酸価は0.01mgKOH/g、水分
は90ppmであった。40℃の動粘度をウベローデ粘
度計を用いて測定したところ、80cstであった。
【0035】次にイソオクテン由来のエステルの製造に
使用したオートクレーブを用いて1−オクテン由来のエ
ステルの製造を行った。オートクレーブの内部を一酸化
炭素で置換した後、フッ化水素100モル(2000
g)を導入し温度−15℃に冷却し、一酸化炭素で20
kg/cm2 まで加圧した。反応温度を−15℃に、かつ反
応圧力を20 kg/cm2 に保持するように一酸化炭素を供
給しながら、1−オクテン8.3モル(933g)をオ
ートクレーブの気相部より供給し酸フロライド混合物の
合成を行った。1−オクテン供給終了後、一酸化炭素の
吸収が見られなくなるまで約20分間撹拌を継続した。
一酸化炭素の吸収量は、6.5モルであった。オートク
レーブ内の温度を−10℃とし圧力を常圧まで落圧した
後、反応で吸収された一酸化炭素と等モル量(ネオペン
チルグリコールのOH基のモル数基準)のネオペンチル
グリコールをオートクレーブへ供給して2時間反応させ
た。反応液をフッ化水素回収蒸留塔へ供給してフッ化水
素を塔頂から、クルードポリオールエステルを塔底より
回収した。塔底より回収されたクルードエステルは精留
塔にて低沸点成分のカットを行った後、得られたエステ
ルに対し5重量%の水を添加し200℃にて3時間攪拌
して加水分解処理を行った。吸着剤で処理後、5%Ru
/Cで水添処理し、窒素バブリングで脱水して精製ポリ
オールエステルを取得した。得られたポリオールエステ
ルの酸価は0.01mgKOH/g、水分は90ppm
であった。また40℃の動粘度をウベローデ粘度計を用
いて測定したところ、11cstであった。
使用したオートクレーブを用いて1−オクテン由来のエ
ステルの製造を行った。オートクレーブの内部を一酸化
炭素で置換した後、フッ化水素100モル(2000
g)を導入し温度−15℃に冷却し、一酸化炭素で20
kg/cm2 まで加圧した。反応温度を−15℃に、かつ反
応圧力を20 kg/cm2 に保持するように一酸化炭素を供
給しながら、1−オクテン8.3モル(933g)をオ
ートクレーブの気相部より供給し酸フロライド混合物の
合成を行った。1−オクテン供給終了後、一酸化炭素の
吸収が見られなくなるまで約20分間撹拌を継続した。
一酸化炭素の吸収量は、6.5モルであった。オートク
レーブ内の温度を−10℃とし圧力を常圧まで落圧した
後、反応で吸収された一酸化炭素と等モル量(ネオペン
チルグリコールのOH基のモル数基準)のネオペンチル
グリコールをオートクレーブへ供給して2時間反応させ
た。反応液をフッ化水素回収蒸留塔へ供給してフッ化水
素を塔頂から、クルードポリオールエステルを塔底より
回収した。塔底より回収されたクルードエステルは精留
塔にて低沸点成分のカットを行った後、得られたエステ
ルに対し5重量%の水を添加し200℃にて3時間攪拌
して加水分解処理を行った。吸着剤で処理後、5%Ru
/Cで水添処理し、窒素バブリングで脱水して精製ポリ
オールエステルを取得した。得られたポリオールエステ
ルの酸価は0.01mgKOH/g、水分は90ppm
であった。また40℃の動粘度をウベローデ粘度計を用
いて測定したところ、11cstであった。
【0036】イソオクテン由来のポリオールエステルと
1−オクテン由来のポリオールエステルの各組成は次の
通りであった。 イソオクテン由来のポリオールエステル 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 52.3重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 41.4重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 6.3重量% 1−オクテン由来のポリオールエステル 5≦p≦8かつ5≦q≦8であるポリオールエステル 95.2重量% 5≦p≦8かつ8<q≦16であるポリオールエステル 4.0重量% 8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオールエステル 0.8重量% このイソオクテン由来のポリオールエステル/1−オク
テン由来のポリオールエステルを重量比70/30で混
合したところ、40℃の動粘度が33cstのポリオー
ルエステルが得られた。
1−オクテン由来のポリオールエステルの各組成は次の
通りであった。 イソオクテン由来のポリオールエステル 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 52.3重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 41.4重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 6.3重量% 1−オクテン由来のポリオールエステル 5≦p≦8かつ5≦q≦8であるポリオールエステル 95.2重量% 5≦p≦8かつ8<q≦16であるポリオールエステル 4.0重量% 8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオールエステル 0.8重量% このイソオクテン由来のポリオールエステル/1−オク
テン由来のポリオールエステルを重量比70/30で混
合したところ、40℃の動粘度が33cstのポリオー
ルエステルが得られた。
【0037】実施例2 イソオクテンの供給量を29.4モル、1−オクテンの
カルボニル化温度を−10℃とした以外は実施例1と同
様にしてイソオクテン由来のポリオールエステルと 1
−オクテン由来のポリオールエステルの合成を行なっ
た。得られたポリオールエステルの酸価は各々0.01
mgKOH/g、水分は90ppmであった。40℃の
動粘度をウベローデ粘度計を用いて測定したところ、各
々74cst、12cstであった。
カルボニル化温度を−10℃とした以外は実施例1と同
様にしてイソオクテン由来のポリオールエステルと 1
−オクテン由来のポリオールエステルの合成を行なっ
た。得られたポリオールエステルの酸価は各々0.01
mgKOH/g、水分は90ppmであった。40℃の
動粘度をウベローデ粘度計を用いて測定したところ、各
々74cst、12cstであった。
【0038】イソオクテン由来のポリオールエステルと
1−オクテン由来のポリオールエステルの各組成は次の
通りであった。 イソオクテン由来のポリオールエステル 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 54.2重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 40.6重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 5.2重量% 1−オクテン由来のポリオールエステル 5≦p≦8かつ5≦q≦8であるポリオールエステル 94.5重量% 5≦p≦8かつ8<q≦16であるポリオールエステル 4.3重量% 8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオールエステル 1.2重量% このイソオクテン由来のポリオールエステル/1−オク
テン由来のポリオールエステルを重量比85/15で混
合したところ、40℃の動粘度が40cstのポリオー
ルエステルが得られた。
1−オクテン由来のポリオールエステルの各組成は次の
通りであった。 イソオクテン由来のポリオールエステル 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 54.2重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 40.6重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 5.2重量% 1−オクテン由来のポリオールエステル 5≦p≦8かつ5≦q≦8であるポリオールエステル 94.5重量% 5≦p≦8かつ8<q≦16であるポリオールエステル 4.3重量% 8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオールエステル 1.2重量% このイソオクテン由来のポリオールエステル/1−オク
テン由来のポリオールエステルを重量比85/15で混
合したところ、40℃の動粘度が40cstのポリオー
ルエステルが得られた。
【0039】実施例3 イソオクテンの供給量を26.3モルとした以外は実施
例1と同様にしてイソオクテン由来のポリオールエステ
ルと1−オクテン由来のポリオールエステルの合成を行
なった。得られたポリオールエステルの酸価は各々0.
01mgKOH/g、水分は90ppmであった。また
40℃の動粘度をウベローデ粘度計を用いて測定したと
ころ、各々65cst、11cstであった。
例1と同様にしてイソオクテン由来のポリオールエステ
ルと1−オクテン由来のポリオールエステルの合成を行
なった。得られたポリオールエステルの酸価は各々0.
01mgKOH/g、水分は90ppmであった。また
40℃の動粘度をウベローデ粘度計を用いて測定したと
ころ、各々65cst、11cstであった。
【0040】イソオクテン由来のポリオールエステルと
1−オクテン由来のポリオールエステルの各組成は次の
通りであった。 イソオクテン由来のポリオールエステル 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 56.8重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 39.4重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 3.8重量% 1−オクテン由来のポリオールエステル 5≦p≦8かつ5≦q≦8であるポリオールエステル 95.2重量% 5≦p≦8かつ8<q≦16であるポリオールエステル 4.0重量% 8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオールエステル 0.8重量% このイソオクテン由来のポリオールエステル/1−オク
テン由来のポリオールエステルを重量比85/15で混
合したところ、40℃の動粘度が31cstのポリオー
ルエステルが得られた。
1−オクテン由来のポリオールエステルの各組成は次の
通りであった。 イソオクテン由来のポリオールエステル 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 56.8重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 39.4重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 3.8重量% 1−オクテン由来のポリオールエステル 5≦p≦8かつ5≦q≦8であるポリオールエステル 95.2重量% 5≦p≦8かつ8<q≦16であるポリオールエステル 4.0重量% 8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオールエステル 0.8重量% このイソオクテン由来のポリオールエステル/1−オク
テン由来のポリオールエステルを重量比85/15で混
合したところ、40℃の動粘度が31cstのポリオー
ルエステルが得られた。
【0041】実施例4 イソオクテンの供給量を25.0モルとした以外は実施
例2と同様にしてイソオクテン由来のポリオールエステ
ルと1−オクテン由来のポリオールエステルの合成を行
った。得られたポリオールエステルの酸価は各々0.0
1mgKOH/g、水分は90ppmであった。また4
0℃の動粘度をウベローデ粘度計を用いて測定したとこ
ろ、各々56cstと12cstであった。
例2と同様にしてイソオクテン由来のポリオールエステ
ルと1−オクテン由来のポリオールエステルの合成を行
った。得られたポリオールエステルの酸価は各々0.0
1mgKOH/g、水分は90ppmであった。また4
0℃の動粘度をウベローデ粘度計を用いて測定したとこ
ろ、各々56cstと12cstであった。
【0042】イソオクテン由来のポリオールエステルと
1−オクテン由来のポリオールエステルの各組成は次の
通りであった。 イソオクテン由来のポリオールエステル 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 60.5重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 36.9重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 2.6重量% 1−オクテン由来のポリオールエステル 5≦p≦8かつ5≦q≦8であるポリオールエステル 94.5重量% 5≦p≦8かつ8<q≦16であるポリオールエステル 4.3重量% 8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオールエステル 1.2重量% このイソオクテン由来のポリオールエステル/1−オク
テン由来のポリオールエステルを重量比95/5で混合
したところ、40℃の動粘度が31cstのポリオール
エステルが得られた。
1−オクテン由来のポリオールエステルの各組成は次の
通りであった。 イソオクテン由来のポリオールエステル 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 60.5重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 36.9重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 2.6重量% 1−オクテン由来のポリオールエステル 5≦p≦8かつ5≦q≦8であるポリオールエステル 94.5重量% 5≦p≦8かつ8<q≦16であるポリオールエステル 4.3重量% 8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオールエステル 1.2重量% このイソオクテン由来のポリオールエステル/1−オク
テン由来のポリオールエステルを重量比95/5で混合
したところ、40℃の動粘度が31cstのポリオール
エステルが得られた。
【0043】実施例5 イソオクテンの供給量を38.5モルとした以外は実施
例1と同様にしてイソオクテン由来のポリオールエステ
ルと1−オクテン由来のポリオールエステルの合成を行
った。得られたポリオールエステルの酸価は各々0.0
1mgKOH/g、水分は90ppmであった。また4
0℃の動粘度をウベローデ粘度計を用いて測定したとこ
ろ、各々100cstと11cstであった。
例1と同様にしてイソオクテン由来のポリオールエステ
ルと1−オクテン由来のポリオールエステルの合成を行
った。得られたポリオールエステルの酸価は各々0.0
1mgKOH/g、水分は90ppmであった。また4
0℃の動粘度をウベローデ粘度計を用いて測定したとこ
ろ、各々100cstと11cstであった。
【0044】イソオクテン由来のポリオールエステルと
1−オクテン由来のポリオールエステルの各組成は次の
通りであった。 イソオクテン由来のポリオールエステル 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 47.2重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 44.3重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 8.5重量% 1−オクテン由来のポリオールエステル 5≦p≦8かつ5≦q≦8であるポリオールエステル 95.2重量% 5≦p≦8かつ8<q≦16であるポリオールエステル 4.0重量% 8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオールエステル 0.8重量% このイソオクテン由来のポリオールエステル/1−オク
テン由来のポリオールエステルを重量比62/38で混
合したところ、40℃の動粘度が31cstのポリオー
ルエステルが得られた。
1−オクテン由来のポリオールエステルの各組成は次の
通りであった。 イソオクテン由来のポリオールエステル 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 47.2重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 44.3重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 8.5重量% 1−オクテン由来のポリオールエステル 5≦p≦8かつ5≦q≦8であるポリオールエステル 95.2重量% 5≦p≦8かつ8<q≦16であるポリオールエステル 4.0重量% 8<p≦16かつ8<q≦16であるポリオールエステル 0.8重量% このイソオクテン由来のポリオールエステル/1−オク
テン由来のポリオールエステルを重量比62/38で混
合したところ、40℃の動粘度が31cstのポリオー
ルエステルが得られた。
【0045】比較例1 イソオクテンの供給量を25.0モル、カルボニル化反
応温度を0℃とした以外は実施例1と同様にしてイソオ
クテン由来のポリオールエステルの合成を行った。得ら
れたポリオールエステルの酸価は0.01mgKOH/
g、水分は90ppmであった。また40℃の動粘度を
ウベローデ粘度計を用いて測定したところ、32cst
であった。得られたポリオールエステルの組成は次の通
りであった。 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 62.3重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 23.6重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 1.1重量% 、、以外のポリオールエステル 13.0重量% なお、1−オクテン由来のポリオールエステルは混合し
なかった。
応温度を0℃とした以外は実施例1と同様にしてイソオ
クテン由来のポリオールエステルの合成を行った。得ら
れたポリオールエステルの酸価は0.01mgKOH/
g、水分は90ppmであった。また40℃の動粘度を
ウベローデ粘度計を用いて測定したところ、32cst
であった。得られたポリオールエステルの組成は次の通
りであった。 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル 62.3重量% 5≦m≦8かつ8<n≦16であるポリオールエステル 23.6重量% 8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオールエステル 1.1重量% 、、以外のポリオールエステル 13.0重量% なお、1−オクテン由来のポリオールエステルは混合し
なかった。
【0046】比較例2 1リットルの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素吹
き込み管および冷却器付きの脱水管を取り付けた。トリ
メチロールプロパン1.2モル(161g)と3,5−
ジメチルヘキサン酸3.6モル(475g)を上記フラ
スコに取り、窒素気流下240℃で10時間エステル化
反応させトリエステルを取得した。得られたトリエステ
ルを窒素バブリングで脱水した。ポリオールエステルの
酸価は0.01mgKOH/g、水分は90ppmであ
った。また40℃の動粘度をウベローデ粘度計を用いて
測定したところ、30cstであった。
き込み管および冷却器付きの脱水管を取り付けた。トリ
メチロールプロパン1.2モル(161g)と3,5−
ジメチルヘキサン酸3.6モル(475g)を上記フラ
スコに取り、窒素気流下240℃で10時間エステル化
反応させトリエステルを取得した。得られたトリエステ
ルを窒素バブリングで脱水した。ポリオールエステルの
酸価は0.01mgKOH/g、水分は90ppmであ
った。また40℃の動粘度をウベローデ粘度計を用いて
測定したところ、30cstであった。
【0047】比較例3 2−メチルヘキサン酸と2−エチルヘキサン酸を重量比
で60/40となるように比較例4と同じフラスコへ仕
込み、同様にペンタエリスリトールを2−メチルヘキサ
ン酸、2−エチルヘキサン酸の合計モルと等モル(ペン
タエリスリトールのOH基のモル数基準)となるように
仕込んで比較例4と同様にしてエステル化反応を行っ
た。得られたテトラエステルを窒素バブリングで脱水し
た。ポリオールエステルの酸価は0.01mgKOH/
g、水分は90ppmであった。また得られたテトラエ
ステルを40℃の動粘度をウベローデ粘度計を用いて測
定したところ、33cstであった。
で60/40となるように比較例4と同じフラスコへ仕
込み、同様にペンタエリスリトールを2−メチルヘキサ
ン酸、2−エチルヘキサン酸の合計モルと等モル(ペン
タエリスリトールのOH基のモル数基準)となるように
仕込んで比較例4と同様にしてエステル化反応を行っ
た。得られたテトラエステルを窒素バブリングで脱水し
た。ポリオールエステルの酸価は0.01mgKOH/
g、水分は90ppmであった。また得られたテトラエ
ステルを40℃の動粘度をウベローデ粘度計を用いて測
定したところ、33cstであった。
【0048】比較例4 2−メチルヘキサン酸と3,5−ジメチルヘキサン酸を
重量比で80/20となるように比較例4と同じフラス
コへ仕込み、同様にペンタエリスリトールを2−メチル
ヘキサン酸、3,5−ジメチルヘキサン酸の合計モルと
等モル(ペンタエリスリトールのOH基のモル数基準)
となるように仕込んで比較例4と同様にしてエステル化
反応を行った。得られたテトラエステルを窒素バブリン
グで脱水した。ポリオールエステルの酸価は0.01m
gKOH/g、水分は90ppmであった。また得られ
たテトラエステルを40℃の動粘度をウベローデ粘度計
を用いて測定したところ、30cstであった。
重量比で80/20となるように比較例4と同じフラス
コへ仕込み、同様にペンタエリスリトールを2−メチル
ヘキサン酸、3,5−ジメチルヘキサン酸の合計モルと
等モル(ペンタエリスリトールのOH基のモル数基準)
となるように仕込んで比較例4と同様にしてエステル化
反応を行った。得られたテトラエステルを窒素バブリン
グで脱水した。ポリオールエステルの酸価は0.01m
gKOH/g、水分は90ppmであった。また得られ
たテトラエステルを40℃の動粘度をウベローデ粘度計
を用いて測定したところ、30cstであった。
【0049】各実施例および比較例において得られたエ
ステルの耐加水分解試験の結果と、流動点および動粘度
を表1に、R−134a、R−407C、R−410A
との相溶性試験の結果を表2に示す。なお比較例2、
3、4においてはR−134aとの低温側二相分離温度
が−60℃以下に達していなかったのでR−134aよ
りも更に溶解性の悪いR−407C、R−410A冷媒
との相溶性試験は行っていない。
ステルの耐加水分解試験の結果と、流動点および動粘度
を表1に、R−134a、R−407C、R−410A
との相溶性試験の結果を表2に示す。なお比較例2、
3、4においてはR−134aとの低温側二相分離温度
が−60℃以下に達していなかったのでR−134aよ
りも更に溶解性の悪いR−407C、R−410A冷媒
との相溶性試験は行っていない。
【0050】
【表1】 耐加水分解試験(酸価 mgKOH) 流動点 動粘度(40℃) 試験前 試験後 ℃ cst 実施例1 0.01 0.01 −42.5 33 実施例2 0.01 0.01 −40.0 40 実施例3 0.01 0.01 −40.0 31 実施例4 0.01 0.01 −35.0 31 実施例5 0.01 0.05 −42.5 31 比較例1 0.01 0.01 −32.5 32 比較例2 0.01 2.82 −55.0> 30 比較例3 0.01 0.93 −55.0> 33 比較例4 0.01 2.93 −55.0> 30
【0051】
【表2】相溶性試験 R−134a R−407C R−410A 分離温度℃ 低温側 高温側 低温側 高温側 低温側 高温側 実施例1 −60> 100< −50 80< −38 60< 実施例2 −60> 100< −54 80< −42 60< 実施例3 −60> 100< −52 80< −40 60< 実施例4 −60> 100< −58 80< −47 60< 実施例5 −60> 100< −38 80< −26 60< 比較例1 −60> 100< −60> 80< −50 60< 比較例2 −40 100< 測定せず 測定せず 測定せず 測定せず 比較例3 −40 100< 測定せず 測定せず 測定せず 測定せず 比較例4 −48 100< 測定せず 測定せず 測定せず 測定せず
【0052】
【発明の効果】以上の結果から明らかなように、フッ化
水素の存在下で合成されたイソオクテン由来のポリオー
ルエステルと1−オクテン由来のポリオールエステルを
混合して40℃における動粘度が28〜40cstの範
囲に調製した本発明のポリオールエステル系潤滑油は、
従来のポリオールエステルと相溶しにくい新規代替フロ
ンR−407C、R−410Aとも広範囲にわたって相
溶性が良好で、耐加水分解性および流動性に極めて優れ
た高性能のポリオールエステルが得られる。既存の脂肪
酸と多価アルコールより得られるポリオールエステルで
は、40℃の動粘度が28〜40cstの範囲において
上記のような新規代替フロンにも使用できる高性能のポ
リオールエステルは見出されていない。本発明のポリオ
ールエステル系潤滑油は冷凍機油などの潤滑油として極
めて優れた性能を有しており、本発明の工業的意義は大
きい。
水素の存在下で合成されたイソオクテン由来のポリオー
ルエステルと1−オクテン由来のポリオールエステルを
混合して40℃における動粘度が28〜40cstの範
囲に調製した本発明のポリオールエステル系潤滑油は、
従来のポリオールエステルと相溶しにくい新規代替フロ
ンR−407C、R−410Aとも広範囲にわたって相
溶性が良好で、耐加水分解性および流動性に極めて優れ
た高性能のポリオールエステルが得られる。既存の脂肪
酸と多価アルコールより得られるポリオールエステルで
は、40℃の動粘度が28〜40cstの範囲において
上記のような新規代替フロンにも使用できる高性能のポ
リオールエステルは見出されていない。本発明のポリオ
ールエステル系潤滑油は冷凍機油などの潤滑油として極
めて優れた性能を有しており、本発明の工業的意義は大
きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 20:00 20:02 30:00 30:08 40:30
Claims (12)
- 【請求項1】A)酸残基のα炭素が3級に分岐してお
り、該α炭素につながる炭素数4以上のアルキル基が全
て1つ以上の枝分かれを持つ炭素数6〜17の酸残基
と、ネオペンチルポリオールのアルコール残基から構成
されるポリオールエステルと、B)酸残基のα炭素が2
級または3級に分岐しており、該α炭素につながるアル
キル基が全て直鎖である炭素数6〜17の酸残基と、ネ
オペンチルポリオールのアルコール残基から構成される
ポリオールエステルの混合物であり、40℃における動
粘度が28〜40cstの範囲であることを特徴とする
ポリオールエステル系潤滑油 - 【請求項2】A)のポリオールエステルが70〜85重
量%であり、B)のポリオールエステルが15〜30重
量%である請求項1記載のポリオールエステル系潤滑
油。 - 【請求項3】A)のポリオールエステルが一般式(I)
で示され、 【化1】 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル
が52.0〜58.0重量%、5≦m≦8かつ8<n
≦16であるポリオールエステルが38.0〜44.0
重量%、8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオ
ールエステルが3.0〜7.0重量%の混合物であり、
B)のポリオールエステルが一般式(II)で示され、 【化2】 5≦m≦8かつ5≦n≦8であるポリオールエステル
が93.0〜97.0重量%、5≦m≦8かつ8<n
≦16であるポリオールエステルが3.0〜5.0重量
%、8<m≦16かつ8<n≦16であるポリオール
エステルが0.1〜4.0重量%の混合物である請求項
2記載のポリオールエステル系潤滑油。 - 【請求項4】流動点が−40℃以下である請求項2記載
のポリオールエステル系潤滑油。 - 【請求項5】触媒として鉄、銅、アルミニウムを用い、
予め水分1000ppm以下、酸価0.01mgKOH
/g以下に調製された試料と1,1,1,2−テトラフ
ルオロエタンを封管し、200℃で28日間加熱した後
の酸価が0.02mgKOH/g以下である請求項2記
載のポリオールエステル系潤滑油。 - 【請求項6】1,1,1,2−テトラフルオロエタン/
ポリオールエステル系潤滑油を重量比9/1で混合させ
たときの二相分離温度が低温側で−60℃以下、高温側
で100℃以上である請求項1記載のポリオールエステ
ル系潤滑油。 - 【請求項7】ジフルオロメタン/ペンタフルオロエタン
/1,1,1,2−テトラフルオロエタンが重量比23
/25/52のフロン混合物とポリオールエステル系潤
滑油をフロン混合物/ポリオールエステル系潤滑油の重
量比9/1で混合させたときの二相分離温度が低温側で
−45℃以下、高温側で80℃以上である請求項2記載
のポリオールエステル系潤滑油。 - 【請求項8】ジフルオロメタン/ペンタフルオロエタン
が重量比50/50の混合物のフロン混合物とポリオー
ルエステル系潤滑油をフロン混合物/ポリオールエステ
ル系潤滑油の重量比9/1で混合させたときの二相分離
温度が低温側で−30℃以下、高温側で60℃以上であ
る請求項2記載のポリオールエステル系潤滑油。 - 【請求項9】請求項1のポリオールエステル系潤滑油
と、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタンおよび
1,1,1,2−テトラフルオロエタンの混合物からな
る冷凍機作動流体用組成物 - 【請求項10】ジフルオロメタン/ペンタフルオロエタ
ン/1,1,1,2−テトラフルオロエタンの重量比
が、15〜30/15〜30/50〜70である請求項
9記載の冷凍機作動流体用組成物 - 【請求項11】請求項1のポリオールエステル系潤滑油
と、ジフルオロメタンおよびペンタフルオロエタンの混
合物からなる冷凍機作動流体用組成物 - 【請求項12】ジフルオロメタン/ペンタフルオロエタ
ンの重量比が、40〜50/50〜60である請求項1
1記載の冷凍機作動流体用組成物
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9086713A JPH1030095A (ja) | 1996-04-09 | 1997-04-04 | ポリオールエステル系潤滑油 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8-86596 | 1996-04-09 | ||
JP8659696 | 1996-04-09 | ||
JP9086713A JPH1030095A (ja) | 1996-04-09 | 1997-04-04 | ポリオールエステル系潤滑油 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1030095A true JPH1030095A (ja) | 1998-02-03 |
Family
ID=26427711
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9086713A Pending JPH1030095A (ja) | 1996-04-09 | 1997-04-04 | ポリオールエステル系潤滑油 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1030095A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008239800A (ja) * | 2007-03-27 | 2008-10-09 | Nippon Oil Corp | 冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物 |
KR101280701B1 (ko) * | 2010-07-29 | 2013-07-01 | 히타치 어플라이언스 가부시키가이샤 | 냉동 공조용 압축기 및 냉동 공조 장치 |
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WO2019194195A1 (ja) * | 2018-04-02 | 2019-10-10 | Jxtgエネルギー株式会社 | 冷凍機、冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物 |
US10836973B2 (en) | 2015-10-07 | 2020-11-17 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Freezer oil, composition for freezers, freezer, and method for selecting freezer oil |
-
1997
- 1997-04-04 JP JP9086713A patent/JPH1030095A/ja active Pending
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2020059854A (ja) * | 2014-02-20 | 2020-04-16 | Agc株式会社 | 熱サイクルシステム用組成物および熱サイクルシステム |
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