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JPH10298061A - 成型製剤及びその製法 - Google Patents

成型製剤及びその製法

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Publication number
JPH10298061A
JPH10298061A JP10799197A JP10799197A JPH10298061A JP H10298061 A JPH10298061 A JP H10298061A JP 10799197 A JP10799197 A JP 10799197A JP 10799197 A JP10799197 A JP 10799197A JP H10298061 A JPH10298061 A JP H10298061A
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JP
Japan
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lubricant
molding
fluidizing agent
weight
mixture
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Application number
JP10799197A
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English (en)
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JP3296412B2 (ja
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Kingo Nakajima
欣吾 中島
Yoshiyuki Koida
義之 鯉田
Tomoyuki Uehara
朋之 上原
Masaaki Sugimoto
昌陽 杉本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tanabe Seiyaku Co Ltd
Original Assignee
Tanabe Seiyaku Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 滑沢剤の流動性を改善し、効率よく成型製剤
を製造する方法を提供する。 【解決手段】 滑沢剤と流動化剤との混合物を成型機で
成型(一次成型)し、一次成型物を排出したのち、滑沢
剤の付着した該成型機で薬物処方成分を成型(二次成
型)することにより、薬物処方成分中に滑沢剤を添加し
なくても効率よく成型製剤が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、障害を生じること
なく高速で連続的に薬物処方成分を成型する方法および
該方法により得られる成型製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬品錠剤の製造時、打錠障害の防止の
ため、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を使用す
るのが技術常識であり、多くは滑沢剤を薬物処方成分と
共に混合して打錠している。しかし、滑沢剤を多量に使
用すると錠剤の崩壊時間、溶出速度が著しく遅くなり、
極端な場合、錠剤が数時間にもわたって崩壊しない場合
もある。
【0003】このため、滑沢剤を圧縮成型機側に付着さ
せて成型する方法が考えられ、例えば、大塚ら(第11
回製剤と粒子設計シンポジウム講演要旨集(1994
年)、137頁)は、オートグラフの臼と杵にステアリ
ン酸マグネシウムを予め塗布した後、薬物処方成分を圧
縮成型することにより、薬物処方成分に滑沢剤を添加し
て得られる錠剤に比べ硬度が高く、しかも溶出速度が極
めて速い錠剤を得ている。しかしながら、この方法は、
1錠ごとにオートグラフの臼と杵に滑沢剤を塗る必要が
あるため、工業的な製法とはなりえない。
【0004】また、打錠機の上杵・下杵または上杵・下
杵及び臼に滑沢剤の粉を噴射した後、薬物処方成分を臼
内に充填し圧縮成型する方法(特公昭41−1273、
特開昭48−20103など)も知られている。この方
法は微粒子である滑沢剤をスプレーするため滑沢剤の周
辺への飛散、ノズルのつまり、スプレーした滑沢剤を回
収するには大きな装置が必要であるなどの問題に加え、
滑沢剤が均一に杵や臼に付着せず、下杵付近に不要の滑
沢剤が多く残るため多量の滑沢剤が必要であるなどの問
題点もある。
【0005】更に、潤滑剤を圧縮成型機で圧縮した後、
押型壁に残る潤滑剤を利用して加工物質を圧縮成型する
方法も知られている(特公昭47−31827号)。し
かしこの方法は、セラミックや酸化ウランなどのペレッ
ト化技術であるため、医薬品の製造に適用するには問題
がある。すなわち、医薬品錠剤において通常使用される
ステアリン酸アルカリ土類金属塩などの滑沢剤は、単独
では流動性が悪く、打錠機への安定した供給は困難であ
り、さらに、たとえ供給できたとしても、これら滑沢剤
を単独で打錠すると滑沢剤が大量に杵に付着し、ひどい
場合には杵上に固着してしまい、続く薬物処方成分の打
錠に障害をきたすおそれがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、滑沢
剤の流動性を改善し、効率よく成型製剤を製造すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、滑沢剤単
独では流動性が悪く、連続打錠において滑沢剤のみを打
錠機に供給するのは困難であるが、結晶セルロース等と
滑沢剤と混合した場合には格段に流動性が改善されるこ
と、該混合物を打錠すると、滑沢剤が打錠機の杵、臼の
表面に適度に付着すること、該打錠機で薬物処方成分を
打錠することにより、処方成分中に滑沢剤を添加しなく
ても打錠障害を起こすことなく製錠できることを見出し
た。
【0008】更に、本方法により得られた錠剤は、薬物
処方成分中に滑沢剤を添加して打錠して得た錠剤に比
べ、滑沢剤による崩壊、溶出の遅延がなくなることを見
出した。
【0009】すなわち、本発明は、滑沢剤と流動化剤と
の混合物を成型機で成型し、成型物を排出したのち、該
成型機で薬物処方成分を成型することを特徴とする成型
製剤の製法及び該製法により得られる成型製剤である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、滑沢剤と流動化
剤との混合物の成型機による成型(以下、一次成型)
と、一次成型による成型物を排出したのち該成型機で薬
物処方成分を成型(以下、二次成型)することからなる
が、一次成型において使用される滑沢剤としては、ステ
アリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸マグネシウム、
ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸またはそのア
ルカリ土類金属塩、軟質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミ
ニウム、含水二酸化ケイ素、タルクなどのケイ素化合
物、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデン
プンなどのデンプン類、ショ糖脂肪酸エステルなどがあ
げられる。なかでも、ステアリン酸マグネシウム、ステ
アリン酸カルシウムなどのステアリン酸アルカリ土類金
属塩が好ましい。
【0011】また、滑沢剤と混合する流動化剤として
は、経口投与用製剤に通常用いられる製剤添加物であっ
て流動性に優れた粉体であれば特に制限されない。流動
性に優れた粉体とは、例えば、注入法により測定した安
息角が60゜以下、好ましくは40゜以下の粉体を意味
し、このような粉体であれば、製剤添加物そのままであ
っても、粉砕、造粒したものであっても、さらにはこれ
らを混合したものであってもよい。滑沢剤との混合性の
面からは、該流動化剤の粒度は、粒子径が5〜2000
μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは
50〜750μmの範囲内である。また、成型手段とし
て圧縮成型法を用いる場合には、圧縮成型性に優れたも
のであることがより好ましい。
【0012】上記条件を満たすものであれば、いかなる
製剤添加物であっても流動化剤として好適に用いること
ができるが、製剤添加物をそのままで用いることができ
れば、粉砕や造粒などの操作が必要なく、とくに好まし
い。このような製剤添加物としては、例えば、結晶セル
ロース、乳糖、白糖、マンニトール、リン酸カルシウ
ム、クエン酸カルシウムなどがあげられ、これらは入手
容易であり、流動性、圧縮成型性、滑沢剤との混合性に
優れており、中でも結晶セルロース、乳糖が最も好まし
い。
【0013】また、そのままでは流動性、滑沢剤との混
合性、圧縮成型性などに問題がある場合であっても、粉
砕または造粒することによりそれらは改善することが可
能である。
【0014】粉砕は、ジェットミル、ハンマーミル、ボ
ールミル、振動ボールミル、ピンミルなどを用いて、常
法により実施することができる。
【0015】造粒も既知の方法、例えば撹拌造粒、押し
出し造粒、流動層造粒、転動流動層造粒などの湿式造
粒、ローラーコンパクター及びロールグラニュレーター
などによる乾式圧縮造粒などにより好適に実施すること
ができる。また、造粒に際しては、必要に応じポリビニ
ルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリンなどの結
合剤を添加してもよい。
【0016】一次成型において、滑沢剤と流動化剤との
比率は、成型方法、成型に用いる成型機の種類、滑沢
剤、流動化剤の種類、薬物処方成分の性質などによって
変動するが、滑沢剤の流動性を改善し成型機への供給を
良好にすること、成型後の成型物排出が容易であるこ
と、かつ成型物排出後の成型機内部の表面、例えば打錠
機であれば臼、杵などの表面に二次成型物が付着せず、
効率的に成型しうる程度に滑沢剤が付着するような比率
であればよく、特に限定されない。
【0017】かかる比率は当業者であれば、実際に適宜
試みに成型し、一次成型物、二次成型物及び成型機の状
態を確認すればよく、容易に決定することができるが、
一例をあげるとすれば、例えば滑沢剤1重量部に対し流
動化剤が約2〜20重量部の範囲内が好ましく、さらに
好ましくは約2〜10重量部の範囲内である。
【0018】上記の成分を使用した一次成型は、固形製
剤の成型に際して通常用いられる手段および条件で行う
ことができる。成型手段としては、例えば打錠、ロール
圧縮などの圧縮成型方法のほか、鋳型成型などの圧縮を
伴わない成型方法であってもよい。本発明の方法は、滑
沢剤を成型機の内部表面に残留させて、二次成型物の付
着を防止しようとするものであるから、この目的にかな
う方法であれば、何ら制限を受けない。
【0019】また、圧縮成型による場合には、その圧縮
圧力は成型機の内部表面に二次成型物の付着を防止でき
る程度に滑沢剤が残留し、かつ一次成型物の排出に困難
をきたさない範囲の圧力であればよい。該圧力の例を打
錠機を例にとってより具体的に説明するとすれば、例え
ば約0.01〜5000kg/杵、好ましくは約0.1
〜4000kg/杵、より好ましくは約1〜3000k
g/杵、とりわけ好ましくは約5〜2000kg/杵で
あり、約10〜1000kg/杵が最も好ましい。
【0020】なお、本発明方法においては、一次成型と
いう表現は使用しているが、一次成型物は必ずしも排出
したのち、明確な形状を維持するようなものである必要
はなく、成型機の内部表面に上記したように滑沢剤が二
次成型容易なように残留する限り、排出と同時に崩壊す
るようなものであっても、これを含むものである。
【0021】かくして一次成型された成型物は排出さ
れ、二次成型が行われる。二次成型は、通常の成型手
段、条件で容易に実施することができるが、本発明方法
においては、既に述べたとおり、一次成型により滑沢剤
が成型機の内部表面に残留しているので、滑沢剤を使用
する必要がない。また本発明方法によれば、滑沢剤を含
む薬物処方成分でも、より効率的に成型できるので、何
ら支障がない。
【0022】二次成型は、目的とする薬物、各種製剤添
加物(賦形剤、結合剤、崩壊剤など)からなる薬物処方
成分を、成型機に供給して一次成型と同様、固形製剤の
成型に際して用いられる手段および条件で行うことがで
きる。
【0023】薬物としては、経口投与可能な薬物であれ
ば特に限定されない。例えば化学療法剤、抗生物質、呼
吸促進剤、鎮咳去たん剤、抗悪性腫瘍剤、自律神経用薬
剤、精神神経用薬剤、局所麻酔剤、筋弛緩剤、消化器官
用薬剤、抗ヒスタミン剤、中毒治療剤、催眠鎮静剤、抗
てんかん剤、解熱鎮痛消炎剤、強心剤、不整脈治療剤、
利尿剤、血管拡張剤、抗脂血剤、滋養強壮剤、抗凝血
剤、肝臓用薬剤、血糖降下剤、血圧降下剤等種々の薬物
があげられる。
【0024】製剤添加物としては、特に制限されず固形
製剤として使用しうるものは全て好適に使用することが
出来る。かかる添加物としては、例えば乳糖、白糖、マ
ンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビト
ール、マルチトール、クエン酸カルシウム、リン酸カル
シウム、結晶セルロースなどの賦形剤、トウモロコシデ
ンプン、馬鈴薯デンプン、カルボキシメチルスターチナ
トリウム、部分アルファ化デンプン、カルボキシメチル
セルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキ
シメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤、ヒドロキ
シプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコー
ル、デキストリン、アルファー化デンプンなどの結合
剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウ
ム、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などの
滑沢剤、更にはリン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸
エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性
剤、或いはオレンジ、ストロベリーなどの香料、三二酸
化鉄、黄色三二酸化鉄、食用黄色5号、食用黄色4号、
アルミニウムキレートなどの着色剤、サッカリン、アス
パルテームなどの甘味剤、クエン酸、クエン酸ナトリウ
ム、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルタミン酸などの
矯味剤、シクロデキストリン、アルギニン、リジン、ト
リスアミノメタンなどの溶解補助剤が上げられる。
【0025】なお、滑沢剤は、製剤の目的に応じて全く
配合しない状態から適当量を配合した状態まで、種々の
状態を選択することが出来る。
【0026】供給される薬物処方成分中には造粒顆粒が
含まれていてもよく、造粒は既知の方法、例えば撹拌造
粒、押し出し造粒、流動層造粒、転動流動層造粒などの
湿式造粒の他、白糖、結晶セルロースなどの不活性な担
体上に薬物を被覆していくレイヤリング造粒、加熱によ
り溶融するワックス類を用いる加熱溶融造粒、乾式圧縮
造粒などにより好適に実施することができる。
【0027】更に、成型時の薬物処方成分は、水分や各
種溶媒を含まない状態であっても、また含む状態であっ
てもよい。
【0028】成型手段としては、一次成型と同一の手段
で行えばよい。
【0029】成型手段が圧縮成型による場合、その圧縮
圧力を打錠機を例にとってより具体的に説明するとすれ
ば、例えば約0.01〜5000kg/杵、好ましくは
約0.1〜4000kg/杵、より好ましくは約1〜3
000kg/杵、とりわけ好ましくは約5〜2000k
g/杵であり、約10〜1000kg/杵が最も好まし
い。
【0030】本発明の方法は、一次および二次成型を交
互に連続して行うことが最も効果的であることから、打
錠機を用いる場合には、通常の打錠機よりも多層錠剤機
(畑鐵工所の積層打錠機、菊水製作所の三層回転式錠剤
機)及び複式錠剤機(畑鐵工所の複式打錠機、菊水製作
所の複式超強圧回転式粉末成型機)などを用いた方が効
率的である。
【0031】複式錠剤機を用いる場合には、一方の圧縮
部位(以下、圧縮部位Aと称す)に滑沢剤と流動化剤と
の混合物を供給し、もう一方の圧縮部位(以下、圧縮部
位Bと称す)に薬物処方成分を供給して操作すればよ
い。圧縮部位Aに供給された滑沢剤と流動化剤との混合
物は、圧縮成型され(一次成型)、この際臼と杵の表面
に滑沢剤が付着する。一次成型物は直ちに排出され回収
される。続いて滑沢剤が付着した臼中に薬物処方成分が
供給され、圧縮部位Bにおいて圧縮成型される(二次成
型)。二次成型物、すなわち目的錠剤は直ちに排出され
回収される。そして、再び圧縮部位Aに滑沢剤と流動化
剤との混合物が供給され、上記のサイクルが繰り返され
る。
【0032】多層錠剤機として三層錠剤機を用いる場合
には、予備圧縮部位2カ所、主圧縮部位1カ所の3カ所
ある圧縮部位のうち、2カ所の予備圧縮部位のいづれか
1カ所に滑沢剤と流動化剤との混合物を供給し、主圧縮
部位に薬物処方成分を供給して操作すればよい。例え
ば、第一の予備圧縮部位に滑沢剤と流動化剤との混合物
を供給し、第二の予備圧縮部位には何も供給せず、主圧
縮部位に薬物処方成分を供給した場合について以下に説
明する。第1の予備圧縮部位に供給された滑沢剤と流動
化剤との混合物は、圧縮成型され(一次成型)、この際
臼と杵の表面に滑沢剤が付着する。一次成型物は直ちに
排出され回収される。続く第二の予備圧縮部位では何も
供給されず、主圧縮部位で薬物処方成分が供給され、圧
縮成型される(二次成型)。二次成型物、すなわち目的
錠剤は直ちに排出され回収される。そして、再び第一の
予備圧縮部位に滑沢剤と流動化剤との混合物が供給さ
れ、上記のサイクルが繰り返される。
【0033】上記装置を用いれば、同じ杵と臼で常に滑
沢剤と流動化剤との混合物と薬物処方成分が交互に打錠
されるので、常に滑沢剤の付着した杵と臼で薬物処方成
分が打錠され、処方成分中に滑沢剤を添加しなくても打
錠障害を起こすことなく連続打錠が可能である。
【0034】また、回収した一次成型物、すなわち滑沢
剤と流動化剤との混合物の圧縮成型物は、そのまま廃棄
してもよいが、粉砕して再利用した方が経済的にも好ま
しい。
【0035】本発明により得られた薬物含有錠は、その
まま素錠として経口投与可能であるが、必要に応じ、糖
衣、フィルムコーティング、圧縮コーティングなどを施
してもよく、これらはいずれも常法により実施すること
ができる。
【0036】さらに本発明の方法は、成型工程を含むも
のであれば、いかなる製剤の製造にも適用することが可
能であるが、とりわけ、最近注目されている口腔内速崩
壊性製剤の製造に際して非常に有効である。すなわち、
このような口腔内速崩壊性製剤は、口中で非常に短時間
で溶解する必要があるため、滑沢剤を処方成分中には配
合しがたいが、本発明の方法によれば、成型した固形製
剤の表面にのみ薄く滑沢剤の層が形成されているため、
連続成型に支障がなく、かつ溶解速度にも全く影響しな
い。
【0037】かかる口腔内速崩壊性製剤としては、
(a)薬物処方成分を成型したのち加湿し乾燥する方法
により得られる製剤であっても、(b)適度に湿潤させ
た薬物処方成分を成型後乾燥する方法により得られる製
剤であっても、いずれも好適に本発明と組み合わせるこ
とができる。
【0038】(a)法について具体的に説明すると、滑
沢剤と流動化剤との混合物を成型機に供給して一次成型
し、成型物を排出する。続いて薬物処方成分を成型機に
供給し、低密度に二次成型したのち、成型物を加湿下に
維持し、乾燥することにより口腔内速崩壊性製剤が得ら
れる。
【0039】薬物処方成分としては、薬物および加湿に
より成型可能に湿潤し、かつ加湿後の乾燥により形状を
維持する物質(以下、単に湿潤物質という)からなる混
合物を用いるのが好ましい。かかる混合物は、必要に応
じ常法により造粒されていてもよい。
【0040】湿潤物質としては、かかる性状を有する糖
類、糖アルコールまたは水溶性高分子物質があげられ、
糖類としては、ブドウ糖、果糖、乳糖、白糖などの単糖
類または少糖類があげられ、糖アルコールとしては、マ
ンニトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリト
ール、キシリトールなどがあげられ、水溶性高分子物質
としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デ
キストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレ
ングリコールなどがあげられる。このうち、特に、ブド
ウ糖、白糖、マンニトール、キシリトール、デキストリ
ン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールが
好ましい。
【0041】これらの物質は、通常、製剤の分野で使用
される程度のグレードのものであればよく、特に限定さ
れない。またこれらの湿潤物質は単独または任意の割合
で混合して用いることもできる。
【0042】これらの湿潤物質には、当然のことなが
ら、それぞれ吸湿性に強弱があり、例えば、ブドウ糖、
果糖、白糖、キシリトール、ソルビトール、マルチトー
ル、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシ
エチルセルロース、ポリエチレングリコールなどは強
く、マンニトール、エリスリトールなどは比較的弱いの
で、これらを適宜組み合わせることによって、好適な製
剤とすることができる。
【0043】例えば、吸湿性の強い物質を多くすれば成
型性に優れ、かつ強固な製剤を得ることができ、また吸
湿性の弱い物質を多くすれば、速く崩壊する製剤とする
ことができる。
【0044】湿潤性物質を複数組み合わせて使用する場
合の比較的好ましい組合わせとしては、例えばブドウ
糖、果糖、白糖などの単糖類または少糖類とマンニトー
ル、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコール
の組合わせ、単糖類または少糖類とポリビニルピロリド
ン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコ
ールなどの水溶性高分子物質の組合わせ、糖アルコール
と水溶性高分子物質の組合わせなどがあげられる。
【0045】更に、より好ましい組合わせをあげるとす
れば、例えば、マンニトール/白糖、エリスリトール/
ブドウ糖、マンニトール/マルチトール、キシリトール
/ポリビニルピロリドン、マンニトール/ポリビニルピ
ロリドン、エリスリトール/白糖、キシリトール/ポリ
ビニルピロリドンなどをあげることができる。これら
は、2成分に限られることなく、何成分であっても配合
して使用することが出来る。例えば、3成分の組合わせ
をあげるとすれば、好ましいものとして、マンニトール
・エリスリトール・白糖、マンニトール・エリスリトー
ル・ポリビニルピロリドンなどあげることが出来る。と
りわけ、単糖類、少糖類または糖アルコールは水に対す
る挙動が類似するものが多く、同じカテゴリーに属する
ものであれば、容易に配合の変更や追加を行うことが出
来る。
【0046】また、上記の成分、すなわち薬物と湿潤物
質以外に、製剤技術の分野で汎用される添加物を添加す
ることが出来る。
【0047】かかる添加物としては、前記の賦形剤、結
合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、香料、着色剤、甘
味剤、矯味剤、溶解補助剤を上げられる。
【0048】これらの成分は、口腔内速崩壊性製剤の崩
壊性と成型性を損なわない範囲であれば、適宜、任意の
量を単独あるいは混合して使用することができ、例えば
乳糖/白糖/ステアリン酸マグネシウム,マンニトール
/トウモロコシデンプン/ポリビニルピロリドン/オレ
ンジ香料などあげることが出来る。
【0049】薬物と湿潤物質の配合比率は、特に限定さ
れないが、薬物の水に対する溶解度のバラエティを考慮
すれば、湿潤物質1重量部に対して薬物が約0.000
01〜約3重量部含まれていればよく、とりわけ約0.
0001〜約1重量部含まれているのが好ましい。
【0050】成型は、成型物が低密度を維持しつつ所望
の形状となるよう本発明の成型法により実施することが
できる。具体的には、滑沢剤と流動化剤との混合物を成
型機に供給して一次成型し、成型物を排出したのち、薬
物、湿潤物質及びその他の製剤添加物を混合した混合物
を成型機に供給し、二次成型すればよい。成型手段とし
て圧縮成型法を用いる場合には、例えば、約1000k
g/杵以下、好ましくは約0.01kg〜500kg/
杵程度の範囲の圧力で適宜選択することができ、圧力
は、密度を所望の範囲に維持しつつ、配合される薬物と
湿潤物質の成型維持力と崩壊性を加味して決定すること
ができる。
【0051】本製法により得られる口腔内速崩壊性製剤
は、低密度に成型後、加湿し乾燥することによって、空
隙が大きく口中で高い崩壊性を得ることができるので、
この点が重要となる。かかる密度を具体的に示すとすれ
ば、約0.4〜約1.3g/cm3 であり、この範囲で
あれば、不都合はない。
【0052】加湿条件は、通常の湿度以上となる条件で
あれば、特に限定されないが、薬物と湿潤物質の混合物
の成型物が全体的にしっとりと湿り気を帯びるような条
件、あるいは成型物内の湿潤物質の一部ないし全部が吸
湿して湿り気を帯びるような条件であればよい。更には
湿潤物質の一部または特定成分が潮解するような条件で
あってもよい。要するに、加湿・乾燥後の成型物の硬度
が、加湿前よりも高くなるような条件を設定すればよ
く、作業性の面からは、湿度が高いほど所要時間が短縮
できるので、この意味からエルダーの仮説〔一番ケ瀬監
修、新しい製剤学(広川書店)平成5年9月10日発
刊、96頁〕により算出される混合物の臨界相対湿度以
上で、適宜、最適湿度を選択すればよい。
【0053】加湿は、加温下でもよく常温でもよく特に
限定されないが、配合される薬物と湿潤物質の温度に対
する影響を考慮して温度を設定すればよい。更に加湿手
段は特に限定されず、既知の手段、例えば噴霧式加湿
機、加温式加湿機(具体例をあげるとすれば、恒温恒湿
機、タバイエスペックコーポレーション製)などの加湿
機を使用すればよい。
【0054】最適な加湿条件は、混合物の見かけの臨界
相対湿度によって異なるが、加湿条件を例示するとすれ
ば、マンニトール/白糖の場合、例えば湿度が約70〜
100RH%、より好ましくは約80〜100RH%、
とりわけ好ましくは約90〜100RH%程度であり、
温度が約10〜約70℃、より好ましくは約15〜約5
0℃、とりわけ好ましくは約20〜約30℃であるよう
な条件があげられる。
【0055】乾燥は、加湿後の製剤の硬度上昇および水
分除去のために実施するものであり、常温〜加温下、常
圧〜減圧下に、適宜条件を組み合わせて実施することが
できる。
【0056】本製法において、薬物および添加物の粒子
径は特に限定されないが、粒子径が小さい方が服用感に
優れているので好ましい。
【0057】また、薬物が苦み、臭いなどの不快感が強
い場合は、これらを隠蔽することもできるコーティング
剤や矯味剤、矯臭剤で加工して使用することができる。
これらのコーティング剤や矯味剤、矯臭剤ならびに加工
方法は通常の技術分野で使用されているものであれば、
何ら制限なく使用することができる。
【0058】本製剤の形状に際しては、どのような形状
をも採用することができ、例えばタブレット型、楕円
形、球形、角型など種々の形状に成型することができ
る。更に一定の形状に成型し、加湿、乾燥の後に粉砕し
て、顆粒、細粒、散剤とすることもできる。
【0059】本製剤の空隙率は、例えば約10〜70
%,より好ましくは約15〜約65%,とりわけ好まし
くは約20〜約50%である。
【0060】また、上記(a)法の変法であるが、薬物
処方成分を成型したのちアルコールで湿潤させ、該アル
コールを除去することによっても同様の口腔内速崩壊性
製剤を得ることができる。具体的には、滑沢剤と流動化
剤との混合物を成型機に供給して一次成型し、成型物を
排出する。続いて薬物処方成分を成型機に供給し、低密
度に二次成型したのち、成型物をアルコールで湿潤さ
せ、該アルコールを除去すればよい。
【0061】本方法において、アルコールとしては、メ
タノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級ア
ルコールがあげられ、なかでもエタノールが好ましい。
【0062】薬物処方成分としては、薬物および上記ア
ルコールに可溶な結合剤(アルコール可溶性結合剤)か
らなる混合物を用いるのが好ましく、かかる混合物は、
必要に応じ常法により造粒されていてもよい。
【0063】アルコール可溶性結合剤としては、ポリビ
ニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチ
ルセルロースなどがあげられ、なかでもポリビニルピロ
リドンが好ましい。
【0064】また、上記の成分、すなわち薬物とアルコ
ール可溶性結合剤以外に、製剤技術の分野で汎用される
添加物を添加することができる。かかる添加物として
は、前記の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性
剤、香料、着色剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤があげ
られ、とりわけ、上記(a)法における糖、糖アルコー
ルが特に好ましい。これらの成分は、口腔内速崩壊性製
剤における崩壊性と成型性を損なわない範囲であれば、
適宜、任意の量を単独あるいは混合して使用することが
できる。
【0065】アルコール可溶性結合剤の配合量は、特に
限定されず、製剤の所望の崩壊性と硬度に応じて適宜決
定できるが、あえて例示するとすれば、製剤中に約0.
1〜30重量%、好ましくは約1〜10重量%である。
【0066】本方法により得られる製剤は、(a)法同
様、成型後の密度が重要であり、かかる密度を具体的に
例示すれば、約0.4〜約1.3g/cm3 が適当であ
る。
【0067】成型は(a)法と同様、低密度を維持しつ
つ所望の形状となるよう本発明の成型法により実施すれ
ばよい。
【0068】アルコールによる湿潤方法としては、特に
限定されないが、成型物中のアルコール可溶性水溶性結
合剤の一部ないし全てが湿り気を帯び、アルコール除去
後の製剤硬度がアルコール湿潤前に比べ高くなるような
条件であればよい。例えば、成型物をアルコール蒸気の
存在下に維持する、成型物にアルコールを噴霧する、成
型物にアルコールを注加する、などの方法があげられ
る。
【0069】成型物をアルコール蒸気の存在下に維持す
る場合には、アルコール蒸気で満たしたデシケータなど
の中に成型物を一定時間保存すればよい。保存時間は、
製剤の崩壊性、硬度に応じて適宜決定でき、一般に保存
時間が長いほど硬度の高い製剤が得られる。
【0070】成型物にアルコールを噴霧する場合には、
スプレーガンなど製剤機械において一般的に使用される
噴霧装置を用いて行えばよい。その噴霧量は、成型物が
崩壊してしまわない程度の範囲内で、目的とする製剤の
崩壊性、硬度に応じて決定することができる。
【0071】成型物にアルコールを注加する場合には、
一般的に使用される定量供給装置を用いて行えばよい。
その注加量は、成型物が崩壊してしまわない程度の範囲
内で、目的とする製剤の崩壊性、硬度に応じて決定する
ことができる。
【0072】アルコールの除去は、アルコールを蒸発さ
せて成型物から除去してやればよく、(a)法における
乾燥と同様、常温〜加温下、常圧〜減圧下に、適宜条件
を組み合わせて実施することができる。
【0073】次に(b)法について具体的に説明する
と、滑沢剤と流動化剤との混合物を成型機に供給して一
次成型し、成型物を排出したのち、湿潤した状態の薬物
処方成分を成型機に供給し二次成型後、成型物を乾燥さ
せることによって製造出来る。
【0074】湿潤した状態の薬物処方成分としては、薬
物と糖類と前記糖類の粒子表面が湿る程度の水分を含む
混合物であることが好ましい。
【0075】糖類としては、水溶性で薬物に対して悪影
響(例えば、薬物の分解など)を及ぼさないものであれ
ば如何なるものでもよく、例えば、白糖、ブドウ糖、麦
芽糖、果糖、乳糖などの単糖類もしくは少糖類、ソルビ
トール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、
エリスリトールなどの糖アルコールなどが用いられる。
これらの糖類は、単独、または二種以上を併用して用い
てもよい。
【0076】糖類の好ましものとしては、例えば白糖、
ブドウ糖、マルチトール、キシリトール、エリスリトー
ルなどがある。
【0077】前記糖類の平均粒子径は、通常1〜100
μm好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは40
〜60μm程度である。
【0078】薬物処方成分中の糖類の含有量は、薬物の
種類によって異なるが、通常5〜95重量%、好ましく
は10〜90重量%、さらに好ましくは20〜80重量
%程度である。
【0079】例えば、投与量の少ない薬物を用い、薬物
処方成分中の薬物の含有量を0.1〜10重量%とする
場合には、糖類の含有量は、通常20〜90重量%、好
ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは50〜9
0重量%程度である。
【0080】また、投与量の中程度の薬物を用い、薬物
処方成分中の薬物の含有量を10〜30重量%とする場
合には、糖類の含有量は、通常20〜90重量%、好ま
しくは30〜80重量%、さらに好ましくは50〜80
重量%程度である。
【0081】さらに、投与量の多い薬物を用い、薬物処
方成分中の薬物の含有量を30〜70重量%とする場合
には、糖類の含有量は、通常10〜70重量%、好まし
くは20〜60重量%、さらに好ましくは30〜50重
量%程度である。
【0082】薬物処方成分中には、本方法の効果に支障
のない限り、製剤の製造に一般に用いられる種々の製剤
添加物を含んでいてもよい。
【0083】かかる添加物としては、前記の賦形剤、結
合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、香料、着色剤、甘
味剤、矯味剤、溶解補助剤をあげられる。
【0084】これらの添加物は、1種または2種以上、
例えば、薬物と糖類との混合時、水分添加時、練合時あ
るいはそれらの前後の工程で、適宜適量添加することが
できる。
【0085】薬物処方成分中の水分量は、薬物処方成分
中に含まれる糖類の粒子表面が湿る程度の量であればよ
い。本方法では、糖類粒子の表面が湿る程度の水分が添
加されるため、成型し乾燥すると、糖類粒子同士が融着
し、口腔内速崩壊性製剤として適度な空隙率および硬度
を有する多孔性成型製剤が得られる。
【0086】水分の添加量は、薬物、糖類および添加物
の種類や量によっても異なるが、通常、薬物処方成分中
に0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜10重量
%、より好ましくは0.5〜8重量%、さらに好ましく
は0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜5重量%程度
添加されていればよい。水分の添加量が少ないと、製剤
強度が小さくなり、逆に多い場合は、成型時に薬効成分
等が成型機(例えば、杵、臼、など)に付着し易く製造
が困難となる。
【0087】より具体的には、例えば、薬物処方成分中
に糖類としてキシリトールおよび/またはマルチトール
を20〜40重量%含む場合は、通常、水分が1〜5重
量%、好ましくは2〜3重量%添加されていればよい。
また、糖類として白糖および/またはブドウ糖を60〜
80重量%含む場合は、通常、水分が2〜4重量%添加
されていればよい。さらに、糖類としてエリスリトール
を55〜75重量%含む場合は、通常、水分が1〜3重
量%添加されていればよい。
【0088】水分の添加法は特に限定されず、一度に添
加してもよく、また、滴下或いは噴霧して添加してもよ
い。
【0089】また、薬物と糖類などとの混合は、製剤の
製造において一般に用いられる混合方法、例えば、混
合、練合、篩過などにより行われる。具体的には、二重
円錐混合機、流動層造粒機、高速撹拌造粒機、振動篩な
どを用いて混合することができる。
【0090】薬物、糖類および水を含む混合物は、成型
する前に練合される。水分を含む混合物の練合には、製
剤の製造手段として一般に用いられる方法を用いること
ができる。例えば、薬効成分と糖類等とを混合する際に
用いられる上述の装置などを用いて練合できる。
【0091】成型は、本発明の成型法より実施すること
ができ、具体的には、滑沢剤と流動化剤との混合物を成
型機に供給して一次成型し、成型物を排出したのち、湿
った状態の薬物処方成分を成型機に供給し、二次成型す
ればよい。成型手段として圧縮成型法を用いる場合に
は、2〜130kg/杵、好ましくは4〜100kg/
杵、より好ましくは6〜40kg/杵程度で圧縮すれば
よい。成型時の温度は、糖類粒子が溶解又は溶融しない
程度であり、通常室温(例えば20〜30℃程度)、好
ましくは約25℃である。
【0092】また、上述のように得られた成型物を、さ
らに乾燥するのが好ましい。乾燥は、例えば真空乾燥、
凍結乾燥、自然乾燥など一般に製剤の製造において用い
られるいずれの方法によっても行うことができる。
【0093】これらの成型製剤は、さらに、それが有す
る強度、溶解性に悪影響を与えない程度に、一般に被覆
製剤の製造において用いられるコーティング法によって
被覆されていてもよい。
【0094】かくして得られる口腔内速崩壊性製剤は、
多孔性構造を有している。ここで言う多孔性構造とは、
通常空隙率が10〜70%、好ましくは15〜60%の
ものを意味する。そのため、本発明の錠剤は、口腔内で
の崩壊性および溶解性に優れ、さらに落下強度も強い。
【0095】以下、実験例および実施例によって、更に
本発明を詳細に説明する。
【0096】
【実施例】
実験例1 マンニトール193重量部、塩酸イミダプリル5重量部
を混合し、流動層造粒機中で流動下にポリビニルピロリ
ドン2重量部を5%(w/w)水溶液で噴霧して造粒
し、得られた造粒顆粒を薬物処方成分とした。また、滑
沢剤としてステアリン酸マグネシウム、流動化剤として
結晶セルロース(アビセルPH102:旭化成製)を用
い、滑沢剤1重量部に対して流動化剤を2.3、4、
9、19重量部の割合で混合し、混合比の異なる4種類
の混合物を調製した。三層錠剤機(菊水製作所製、杵サ
イズ:直径10mm)を用い、第1の予備圧縮部位に滑
沢剤と流動化剤との混合物を供給し(一次成型)、第2
の予備圧縮部位には何も供給せず、主圧縮部位に薬物処
方成分を供給(二次成型)し、連続打錠した。一次成型
物は200mg/錠、硬度が1kgになるよう打錠し、
二次成型物は300mg/錠、硬度が9kgになるよう
打錠した。
【0097】一次成型に滑沢剤と流動化剤との混合比が
異なるいづれの混合物を用いて連続打錠した場合にも、
二次成型物を100錠製錠して何ら打錠障害は発生しな
かった。
【0098】実験例2 マレイン酸トリメブチン73重量部、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース(TC−5:信越化学製)2重量
部、結晶セルロース25重量部を混合し、これを薬物処
方成分とした。また、滑沢剤としてステアリン酸マグネ
シウム、流動化剤として結晶セルロース(アビセルPH
102:旭化成製)を用い、滑沢剤1重量部に対して流
動化剤を4、9重量部の割合で混合し、混合比の異なる
2種類の混合物を調製した。実験例1と同様に、滑沢剤
と流動化剤との混合物、薬物処方成分を三層錠剤機を用
いて連続打錠した。一次成型物は200mg/錠、硬度
が1kgになるよう打錠し、二次成型物は250mg/
錠、硬度が11kgになるよう打錠した。
【0099】一次成型に滑沢剤と流動化剤との混合比が
異なるいづれの混合物を用いて連続打錠した場合にも、
二次成型物を100錠製錠して何ら打錠障害は発生しな
かった。
【0100】実験例3 滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用い、流動化
剤として結晶セルロース(アビセルPH102:旭化成
製)、β−無水乳糖もしくは造粒乳糖(乳糖G:フロイ
ント産業製)を用い、滑沢剤1重量部に対し流動化剤9
重量部を混合し、それぞれ流動化剤の種類の異なる3種
類の混合物を調製した。薬物処方成分としては、実験例
2で調製したものを用い、実験例1と同様に、滑沢剤と
流動化剤との混合物、薬物処方成分を三層錠剤機を用い
て連続打錠した。一次成型物は200mg/錠、硬度が
1kgになるよう打錠し、二次成型物は250mg/
錠、硬度が11kgになるよう打錠した。
【0101】流動化剤の種類の異なるいづれの混合物を
用いても、連続打錠中において何ら打錠障害なく製錠で
きた。
【0102】実施例1 塩酸イミダプリル5重量部、乳糖75重量部、ポリエチ
レングリコール(分子量6000)20重量部を混合
後、ハイスピードミキサー(深江工業製)中で外浴温度
80℃で加熱造粒し、薬物処方成分を調製した。また、
滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム15重量部と流
動化剤として造粒乳糖(乳糖G:フロイント産業製)8
5重量部を混合し、滑沢剤と流動化剤との混合物を調製
した。三層錠剤機(菊水製作所製、杵サイズ:直径7m
m)を用い、第1の予備圧縮部位に滑沢剤と流動化剤と
の混合物を供給し(一次成型)、第2の予備圧縮部位に
は何も供給せず、主圧縮部位に薬物処方成分を供給(二
次成型)し、連続打錠した。一次成型物は100mg/
錠、硬度が1kgになるよう打錠し、二次成型物は10
0mg/錠、硬度が4kgになるよう打錠した。連続打
錠中においても何ら打錠障害なく製錠できた。
【0103】実施例2 実施例1で調製した薬物処方成分、滑沢剤と流動化剤と
の混合物を複式錠剤機(畑鉄工所製、杵サイズ:直径7
mm)を用いて打錠した。一方の圧縮部位に滑沢剤と流
動化剤との混合物を供給し、もう一方の圧縮部位に薬物
処方成分を供給し、連続打錠した。一次成型物は100
mg/錠、硬度が1kgになるよう打錠し、二次成型物
は100mg/錠、硬度が4kgになるよう打錠した。
連続打錠中においても何ら打錠障害なく製錠できた。
【0104】実施例3 マンニトール175重量部、塩酸イミダプリル5重量部
を混合し、流動層造粒機中で流動下に白糖20重量部を
30%(w/w)水溶液で噴霧して造粒し、得られた造
粒顆粒を薬物処方成分とした。また、滑沢剤としてステ
アリン酸カルシウム20重量部と流動化剤としてマンニ
トール80重量部を混合し、滑沢剤と流動化剤との混合
物を調製した。なお、マンニトールは、ローラーコンパ
クター及びロールグラニュレーターで乾式圧縮造粒した
ものを流動化剤として用いた。実施例1と同様に上記滑
沢剤と流動化剤との混合物、薬物処方成分を三層錠剤機
を用いて連続打錠した。一次成型物は200mg/錠、
硬度が2kgになるよう打錠し、二次成型物は200m
g/錠、硬度が5kgになるよう打錠した。連続打錠中
においても何ら打錠障害なく製錠できた。
【0105】実施例4 ナプロキセン100重量部、トウモロコシデンプン1
2.5重量部を混合し、ポリビニルピロリドン6重量部
を8%(w/w)溶液(50%エタノール溶液)で加
え、品川式混合機を用いて撹拌造粒し、得られた造粒顆
粒にカルボキシメチルセルロースカルシウム6.5重量
部を加え、薬物処方成分とした。また、滑沢剤としてス
テアリン酸マグネシウム20重量部、含水二酸化ケイ素
5重量部と流動化剤として白糖75重量部を混合し、滑
沢剤と流動化剤との混合物を調製した。実施例1と同様
に上記滑沢剤と流動化剤との混合物、薬物処方成分を三
層錠剤機を用いて連続打錠した。一次成型物は150m
g/錠、硬度が3kgになるよう打錠し、二次成型物は
125mg/錠、硬度が5kgになるよう打錠した。連
続打錠中においても何ら打錠障害なく製錠できた。
【0106】実施例5 フマル酸ビソプロロール5重量部、マンニトール87重
量部を混合し、ポリエチレングリコール8重量部を10
%(w/w)溶液(50%エタノール溶液)で加え、品
川式混合機を用いて撹拌造粒し、得られた造粒顆粒を薬
物処方成分とした。また、滑沢剤としてステアリン酸マ
グネシウム10重量部、ステアリン酸5重量部と流動化
剤としてリン酸カルシウム85重量部を混合し、滑沢剤
と流動化剤との混合物を調製した。実施例1と同様に上
記滑沢剤と流動化剤との混合物、薬物処方成分を三層錠
剤機を用いて連続打錠した。一次成型物は150mg/
錠、硬度が4kgになるよう打錠し、二次成型物は10
0mg/錠、硬度が4kgになるよう打錠した。連続打
錠中においても何ら打錠障害なく製錠できた。
【0107】実施例6 塩酸イミダプリル5重量部、乳糖68重量部を混合し、
流動層造粒機中で流動下にポリエチレングリコール(分
子量6000)7重量部を20%(w/w)溶液(50
%エタノール溶液)で噴霧して造粒し、得られた造粒顆
粒を薬物処方成分とした。また、滑沢剤としてステアリ
ン酸カルシウム5重量部、合成ケイ酸アルミウム5重量
部と流動化剤としてクエン酸カルシウム90重量部を混
合し、滑沢剤と流動化剤との混合物を調製した。実施例
1と同様に上記滑沢剤と流動化剤との混合物、薬物処方
成分を三層錠剤機を用いて連続打錠した。一次成型物は
150mg/錠、硬度が2kgになるよう打錠し、二次
成型物は80mg/錠、硬度が3.5kgになるよう打
錠した。連続打錠中においても何ら打錠障害なく製錠で
きた。
【0108】実施例7 マンニトール189重量部、塩酸イミダプリル5重量部
を混合し、流動層造粒機中で流動下にポリビニルピロリ
ドン6重量部を10%(w/w)水溶液で噴霧して造粒
し、得られた造粒顆粒を薬物処方成分とした。また、滑
沢剤としてステアリン酸カルシウム10重量部と流動化
剤としてβ−無水乳糖90重量部を混合し、滑沢剤と流
動化剤との混合物を調製した。実施例1と同様に上記滑
沢剤と流動化剤との混合物、薬物処方成分を三層錠剤機
を用いて連続打錠した。一次成型物は200mg/錠、
硬度が1kgになるよう打錠し、二次成型物は200m
g/錠、硬度が0.5kgになるよう打錠した。連続打
錠中においても何ら打錠障害なく製錠できた。得られた
二次成型物を、25℃、エタノール蒸気で満たしたデシ
ケータ中に5時間放置後、箱型乾燥器中(40℃)に3
時間保持してエタノールを除去し、口腔内速崩壊性錠を
得た。
【0109】実施例8 滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム25重量部と流
動化剤として造粒乳糖(乳糖G:フロイント産業製)7
5重量部を混合し、滑沢剤と流動化剤との混合物を調製
した。上記滑沢剤と流動化剤との混合物、実施例7で調
製した薬物処方成分を、実施例1と同様に3層錠剤機を
用いて連続打錠した。一次成型物は180mg/錠、硬
度が1kgになるよう打錠し、二次成型物は200mg
/錠、硬度1kgになるよう打錠した。連続打錠中にお
いても何ら打錠障害なく製錠できた。得られた二次成型
物は、25℃、90%RHの湿度下に5時間放置後、箱
型乾燥器中(45℃)に5時間保持して乾燥し、口腔内
速崩壊性錠を得た。
【0110】実施例9 マンニトール189重量部、フマル酸ビソプロロール5
重量部を混合し、流動層造粒機中で流動下にポリビニル
ピロリドン6重量部を10%(w/w)水溶液で噴霧し
て造粒し、得られた造粒顆粒を薬物処方成分とした。ま
た、滑沢剤としてステアリン酸カルシウム10重量部と
流動化剤としてβ−無水乳糖90重量部を混合し、滑沢
剤と流動化剤との混合物を調製した。実施例1と同様に
上記滑沢剤と流動化剤との混合物、薬物処方成分を3層
打錠機を用いて連続打錠した。一次成型物は200mg
/錠、硬度が1.5kgになるよう打錠し、二次成型物
は200mg/錠、硬度が1kgになるよう打錠した。
連続打錠中においても何ら打錠障害なく製錠できた。得
られた二次成型物を、25℃、エタノール蒸気で満たし
たデシケータ中に5時間放置後、箱型乾燥器中(40
℃)で3時間保持してエタノールを除去し、口腔内速崩
壊性錠を得た。
【0111】実施例10 滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム25重量部と流
動化剤として造粒乳糖(乳糖G:フロイント産業製)7
5重量部を混合し、滑沢剤と流動化剤との混合物を調製
した。上記滑沢剤と流動化剤との混合物、実施例9で調
製した薬物処方成分を、実施例1と同様に三層錠剤機を
用いて連続打錠した。一次成型物は180mg/錠、硬
度が2kgになるよう打錠し、二次成型物は200mg
/錠、硬度が1kgになるよう打錠した。連続打錠中に
おいても何ら打錠障害なく製錠できた。得られた二次成
型物は、25℃、90%RHの湿度下に5時間放置後、
箱型乾燥器中(45℃)に5時間保持して乾燥し、口腔
内速崩壊性錠を得た。
【0112】実施例11 マンニトール160重量部、(1−メチル−L−4,5
−ジヒドロオロチル)−L−ヒスチジル−L−プロリン
アミド5重量部を混合し、流動層造粒機中で流動下に白
糖40重量部を30%(w/w)水溶液で噴霧して造粒
し、得られた造粒顆粒を薬物処方成分とした。滑沢剤と
してステアリン酸マグネシウム10重量部、ステアリン
酸カルシウム10重量部と流動化剤として結晶セルロー
ス(アビセルPH102:旭化成製)80重量部を混合
し、滑沢剤と流動化剤との混合物を調製した。実施例1
と同様に上記滑沢剤と流動化剤との混合物、薬物処方成
分を三層錠剤機を用いて連続打錠した。一次成型物は1
80mg/錠、硬度が1.5kgになるよう打錠し、二
次成型物は205mg/錠、硬度が0.4kgになるよ
う打錠した。連続打錠中においても何ら打錠障害なく製
錠できた。得られた二次成型物は、25℃、82%RH
の湿度下に一晩放置後、箱型乾燥器中(45℃)に5時
間保持して乾燥し、口腔内速崩壊性錠を得た。
【0113】実施例12 マンニトール160重量部、ニセルゴリン5重量部を混
合し、流動層造粒機中で流動下に白糖40重量部を25
%(w/w)水溶液で噴霧して造粒し、得られた造粒顆
粒を薬物処方成分とした。滑沢剤としてステアリン酸マ
グネシウム10重量部、ステアリン酸カルシウム5重量
部と流動化剤として結晶セルロース(アビセルPH10
2:旭化成製)85重量部を混合し、滑沢剤と流動化剤
との混合物を調製した。実施例1と同様に上記滑沢剤と
流動化剤との混合物、薬物処方成分を三層錠剤機を用い
て連続打錠した。一次成型物は180mg/錠、硬度が
3kgになるよう打錠し、二次成型物は205mg/
錠、硬度が0.8kgになるよう打錠した。連続打錠中
においても何ら打錠障害なく製錠できた。得られた二次
成型物は、25℃、82%RHの湿度下に一晩放置後、
箱型乾燥器中(45℃)に5時間保持して乾燥し、口腔
内速崩壊性錠を得た。
【0114】
【発明の効果】本発明の方法によれば、滑沢剤と流動化
剤とを混合して用いることにより、滑沢剤を安定して成
型機へ供給することが可能になり、まずこの滑沢剤と流
動化剤との混合物を成型機に供給して成型(一次成型)
すると、一次成型物の排出後も滑沢剤が成型機内に付着
残留しているため、一次成型後、続けて薬物処方成分を
該成型機で成型(二次成型)すれば、成型物の成型機へ
の付着などが生じることなく成型が可能となる。したが
って、一次成型と二次成型を交互に行うことにより、薬
物処方成分中に滑沢剤を添加しておかなくても効率よく
連続的な成型が可能である。
【0115】また、本方法によれば、薬物処方成分中に
全く滑沢剤を含んでいなくても連続的な成型が可能であ
り、したがって、滑沢剤による成型物の崩壊・溶出の遅
延が皆無であることから、口腔内速崩壊性製剤の製造に
本方法を適用すれば、極めて効果的である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 滑沢剤と流動化剤との混合物を成型機で
    成型し、成型物を排出したのち、該成型機で薬物処方成
    分を成型することを特徴とする成型製剤の製法。
  2. 【請求項2】 流動化剤が、結晶セルロース、乳糖、白
    糖、マンニトール、リン酸カルシウムおよびクエン酸カ
    ルシウムから選ばれる1種又は2種以上である請求項1
    記載の成型製剤の製法。
  3. 【請求項3】 滑沢剤がステアリン酸アルカリ土類金属
    塩である請求項1又は2記載の成型製剤の製法。
  4. 【請求項4】 滑沢剤と流動化剤との混合比率が、滑沢
    剤1重量部に対し、流動化剤が2〜20重量部である請
    求項1、2又は3記載の成型製剤の製法。
  5. 【請求項5】 成型機が多層錠剤機または複式錠剤機で
    ある請求項1、2、3又は4記載の成型製剤の製法。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4又は5記載の製法
    により得られる成型製剤。
  7. 【請求項7】 滑沢剤と流動化剤との混合物を成型機で
    成型し、成型物を排出したのち、該成型機に薬物および
    加湿により成型可能に湿潤しかつ加湿後の乾燥により形
    状を維持する物質からなる薬物処方成分を供給して成型
    し、得られた成型物を加湿後乾燥することを特徴とする
    口腔内速崩壊性製剤の製法。
  8. 【請求項8】 滑沢剤と流動化剤との混合物を成型機で
    成型し、成型物を排出したのち、該成型機に薬物および
    アルコール可溶性結合剤からなる薬物処方成分を供給し
    て成型し、得られた成型物をアルコールで湿潤させた
    後、該アルコールを除去することを特徴とする口腔内速
    崩壊性製剤の製法。
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