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JPH1028928A - ポリオレフィン被覆鋼材 - Google Patents

ポリオレフィン被覆鋼材

Info

Publication number
JPH1028928A
JPH1028928A JP18504696A JP18504696A JPH1028928A JP H1028928 A JPH1028928 A JP H1028928A JP 18504696 A JP18504696 A JP 18504696A JP 18504696 A JP18504696 A JP 18504696A JP H1028928 A JPH1028928 A JP H1028928A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
resin
steel material
polyolefin
epoxy resin
Prior art date
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Granted
Application number
JP18504696A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3747522B2 (ja
Inventor
Yasuhiro Harada
泰宏 原田
Keiji Sugawara
啓司 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP18504696A priority Critical patent/JP3747522B2/ja
Publication of JPH1028928A publication Critical patent/JPH1028928A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3747522B2 publication Critical patent/JP3747522B2/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防食性能に優れたポリオレフィン被覆鋼材を
提供する。 【解決手段】 鋼材表面からクロメート処理層、プライ
マー層、変性ポリオレフィン接着層、ポリオレフィン樹
脂層を順次鋼材表面に被覆した被覆鋼材であって、その
プライマー層を形成するに際し、以下の(1)と(2)
を含有する熱硬化性樹脂組成物を用いたことを特徴とす
るポリオレフィン被覆鋼材。 (1)エポキシ当量156〜エポキシ当量280のビス
フェノールA系エポキシ樹脂あるいはビスフェノールF
系エポキシ樹脂のいずれか一方または両者の混合物から
なるエポキシ樹脂。 (2)キシリレンジアミンと不飽和カルボン酸または不
飽和カルボン酸アルキルエステルとの反応生成物である
変性ポリアミンと、エチルトリス(アミノプロピルオキ
シメチル)メタンとの混合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン樹
脂層−鋼材間の密着力が高く、防食性能に優れたポリオ
レフィン被覆鋼材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン樹脂を表面に被覆した鋼
材(以下、ポリオレフィン被覆鋼材という)は、長期間
の防食性能が優れているため、従来より鋼管、鋼管杭、
鋼矢板等の用途に加えて、近年、海底、極寒冷地、熱帯
などで使用される建材用鋼材や原油・重質油、天然ガス
を輸送するパイプライン用鋼材としても使用されるよう
になってきた。
【0003】このように幅広い温度環境下や高温接水環
境下で使用されるようになってきたため、従来にも増し
て防食性能の向上、即ち、耐温水性、耐ヒートショック
性の向上が要求されている。加えて、電気防食が併用さ
れる環境下では、過防食電流による陰極剥離が問題とな
るため、耐陰極剥離性の向上も課題となっている。
【0004】ポリオレフィン被覆鋼材に関する従来技術
として、特開昭54−120681号公報、特開平1−
280545号公報(先行文献1という)には、鋼材と
変性ポリオレフィン樹脂接着剤層の間にクロメート処理
層を施す方法が、特開昭56−143223号公報、特
開昭59−222275号公報(先行文献2という)に
はエポキシプライマー層を介在させる方法が、開示され
ている。
【0005】また、特開昭60−245544号公報
(先行文献3という)にはクロメート処理層上に、プラ
イマー層を介在させて、より防食性能を向上させる方法
が開示されている。この方法では、防食層としてポリプ
ロピレンが用いられている。プライマー層に関しては具
体的な記載はなく、ただ漠然と芳香族アミン系硬化剤と
だけ記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行文
献1に開示されたクロメート処理を施す方法や、先行文
献2に開示されたエポキシプライマー処理を施す方法
は、60℃以下の接水環境下に対しては満足した性能が
得られるが、60℃を越える接水環境下では、耐温水
性、耐陰極剥離性において満足した性能が得られない。
【0007】先行文献3に開示されたクロメート処理と
プライマー処理を併用する方法は、80℃以下の接水環
境下に対しては満足した性能が得られるが、80℃を越
える接水環境下では、耐温水性、耐陰極剥離性において
満足した性能が得られない。特にポリオレフィン樹脂層
−鋼材間の密着力は著しく低下して、長期間の防食性能
を維持することは困難である。
【0008】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るために提案されたものであって、ポリオレフィン樹脂
層−鋼材間の密着力の向上が得られ、80℃を越える高
温接水環境下での耐温水性、耐陰極剥離性、耐ヒートシ
ョック性が良好な、防食性能に優れたポリオレフィン被
覆鋼材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係わる発明
は、鋼材表面からクロメート処理層、プライマー層、変
性ポリオレフィン接着層、ポリオレフィン樹脂層を順次
鋼材表面に被覆した被覆鋼材であって、そのプライマー
層を形成するに際し、以下の(1)と(2)を含有する
熱硬化性樹脂組成物を用いたことを特徴とするポリオレ
フィン被覆鋼材である。
【0010】(1)エポキシ当量156〜エポキシ当量
280のビスフェノールA系エポキシ樹脂あるいはビス
フェノールF系エポキシ樹脂のいずれか一方または両者
の混合物からなるエポキシ樹脂。
【0011】(2)キシリレンジアミンと不飽和カルボ
ン酸または不飽和カルボン酸アルキルエステルとの反応
生成物である変性ポリアミンと、エチルトリス(アミノ
プロピルオキシメチル)メタンとの混合物。
【0012】本発明者らは、上記課題を解決するため鋭
意検討した。その結果、本発明による被覆層は、鋼材表
面から、クロメート処理層、上記(1)、(2)を配合
してなる熱硬化性樹脂組成物から形成されるプライマー
層、変性ポリオレフィン樹脂から成る接着層(これを変
性ポリオレフィン接着層という)、ポリオレフィン樹脂
層の順序で積層させた構成とする。
【0013】このような構成かつ順序で積層させた被覆
層としたのは、以下の理由による。先ず、ポリオレフィ
ン樹脂は無極性であるため、直接、鋼材表面と接着しな
い。そこで、本発明では、極性基を持ち、接着性を有す
る変性ポリオレフィン接着層を、鋼材とポリオレフィン
樹脂層との間に介在させることにより、両者の密着力向
上をはかっている。
【0014】次に、変性ポリオレフィン接着剤層と鋼材
との間に、クロメート処理層とプライマー層を設けるこ
とにより更に両者の密着力は向上する。つまり、クロメ
ート処理層を設けることにより、耐陰極剥離性は向上
し、またプライマー層を形成する事により高温接水環境
下での長期防食性能がある程度確保できる。ここで、陰
極剥離とは、電気防食が施される環境下での過防食電流
によって、被覆欠陥を起点として容易に被覆樹脂が剥離
することである。
【0015】本発明に係わるプライマー層は、主剤とし
て(1)に示したエポキシ樹脂と、硬化剤として(2)
に示したアミン類とを配合、硬化させて形成される層で
ある。
【0016】ここで、上記(1)のエポキシ樹脂は、エ
ポキシ当量156〜エポキシ当量280のビスフェノー
ルA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂
の一方または両者の混合物から成るエポキシ樹脂であ
る。また、それらは化学式1、化学式2の分子構造をも
つ材料である。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】上記材料から成る(1)のエポキシ樹脂
は、対称性の高い、しかも剛直なビスフェノール骨格を
持つため、安定した高温特性(耐温水性)を有する。ま
た骨格中にエーテル結合を有するため適度の可撓性を有
する。さらに、エポキシ基が反応した結果、水酸基が生
成することから接着力が上がる。
【0020】同様に、本発明者らは、硬化剤に関して
も、耐温水性及び可撓性を有する材料を得るべく検討し
た。その結果、硬化剤をキシリレンジアミンとするだけ
では、高温特性(耐温水性)を有するものの、可撓性を
欠くことがわかった。
【0021】そこで更に鋭意検討した結果、キシリレン
ジアミンと不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸ア
ルキルエステルとを反応して得られる変性ポリアミン
と、エチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタ
ンとの混合物を硬化剤として用いることにより、高い可
撓性を示す硬化物(プライマー層)が得られることがわ
かった。また、このプライマー層を有する被覆鋼材は長
期間に亘る耐温水性、ヒートショック性に優れたもので
あることを見いだした。ここで、上記の変性ポリアミン
とエチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタン
は、それぞれ化学式3、化学式4の分子構造を有する材
料である。
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】請求項2に係わる発明は、前記不飽和カル
ボン酸または不飽和カルボン酸アルキルエステルを、ア
クリル酸またはアクリル酸アルキルエステル、あるい
は、メタクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステル
とすることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン
被覆鋼材である。
【0025】不飽和カルボン酸及びそのエステルは種々
あるが、上記のアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸
アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルを用
いた場合は、キシリレンジアミンと容易に反応し、副反
応も少なく、生成する不純物も少ない。そして、得られ
る変性ポリアミンは硬化剤として使用した場合、十分な
可撓化効果を与える。
【0026】このような変性ポリアミンを硬化剤とし、
前述の特性を有するエポキシ樹脂を主剤とすることによ
り、80℃を越える耐温水性、及び耐ヒートショック性
が良好なプライマー層が形成される。
【0027】このように本発明では、鋼材表面を上述し
た構成で被覆し、プライマー層として上述した組成物を
用いることで、ポリオレフィン樹脂層−鋼材間の密着力
が向上し、80℃を越える高温接水環境下における耐温
水性、耐陰極剥離性、耐ヒートショック性が良好な防食
性能に優れたポリオレフィン被覆鋼材が得られる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明に係わる鋼材は、炭素鋼、
低合金鋼等を形鋼、鋼板、棒鋼、鋼管杭、鋼矢板、原油
・重質油輸送用、天然ガス輸送用の鋼管などに加工した
ものを対象とし、屋外、地中、海水中等で用いられるも
のを対象とする。
【0029】材料(1)のエポキシ樹脂に、酸化チタ
ン、シリカ、タルク、白雲母、酸化クロム、リン酸亜鉛
等の無機顔料を添加しても良い。また無機顔料にエポキ
シ樹脂との接着性を良くするために、シランカップリン
グ処理等の化学処理を施しても良い。さらに、性能を変
えない範囲で他のエポキシ樹脂を添加しても良い。
【0030】ビスフェノールA系エポキシ樹脂としては
エポキシ当量170〜エポキシ当量280のものが使用
できるが、取り扱い作業性を考慮すると好ましくは、エ
ポキシ当量が184〜194の範囲のもの(例えば、油
化シェルエポキシ(株)製の商品名エピコート828)
が望ましい。
【0031】ビスフェノールF系エポキシ樹脂としては
エポキシ当量156〜エポキシ当量280のものが使用
できるが取り扱い作業性を考慮すると好ましくは、エポ
キシ当量が160〜175の範囲のもの(例えば、油化
シェルエポキシ(株)製の商品名エピコート807)が
望ましい。
【0032】材料(2)の硬化剤を構成する変性ポリア
ミンは、主として化学式3の分子構造を有するキシリレ
ンジアミンの変性物であるが、この変性物を合成すると
きに生成する不純物及び未反応のキシリレンジアミンが
残留していても良い。またキシリレンジアミンは、O−
(オルト−)、m−(メタ−)、p−(パラ−)の異性
体の内、どれでも良いが、好ましくは取扱いの容易さ
(作業性)、反応性の良好な点からメタキシリレンジア
ミンが望ましい。
【0033】また、変性ポリアミンは、化学式3の分子
構造を有しておればよく、これを合成するためには、不
飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸アルキルエステ
ルの他に、不飽和カルボン酸の酸無水物、酸ハロゲン化
物を用いても良い。
【0034】ここで、不飽和カルボン酸アルキルエステ
ルを原料として変性ポリアミンを合成する際には、原料
のエステルがアミンとの反応で分解し、アルコールを生
成する。このアルコールが系外に出ることにより反応は
円滑に進む。従って、生成するアルコールは沸点が低い
ものがよく、原料である不飽和カルボン酸アルキルエス
テルは、メチルエステル、エチルエステルがよい。また
上記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、上記の範囲よりも
小さくなると満足した性能が得られず、また大きくなる
と取扱い作業性が悪くなる。
【0035】エチルトリス(アミノプロピルオキシメチ
ル)メタンは活性水素当量が70〜85のものであれば
よい。
【0036】配合に関しては、(1)のエポキシ樹脂
(主剤)中のエポキシ基のモル数(a)と(2)の混合
物(硬化剤)中の全活性水素のモル数(b)の比(b/
a)が0.7〜1.2の範囲になるように配合する。ま
た、(2)の混合物(硬化剤)を構成している変性ポリ
アミン(重量c)とエチルトリス(アミノプロピルオキ
シメチル)メタン(重量d)との混合比(c/d)が1
00/0〈c/d〈60/40で好ましくは、90/1
0〈c/d〈70/30の範囲になるように混合するこ
とにより、80℃を越える耐温水性、耐陰極剥離性、耐
ヒートショック性に優れたプライマー層が得られる。
【0037】ここで、モル数の比(b/a)が0.7未
満、または1.2を越える場合、混合比(c/d)が1
00/0〈c/d〈60/40の範囲から外れる場合、
または、エチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)
メタンの活性水素当量が70〜85の範囲から外れる場
合には、硬化物のガラス転移温度が低下してしまい、耐
温水性が低下するので好ましくない。
【0038】クロメート処理剤としては、高分子有機質
の還元剤で全クロムに対する6価クロムの重量比を、
0.35〜0.65の範囲になるよう部分還元したクロ
ム酸水溶液にシリカ微粉末を添加したシリカ系クロメー
ト処理剤を用いることが出来る。
【0039】本発明に係わるポリオレフィン樹脂層の材
料となるポリオレフィン樹脂とは、低密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状
低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の従来より公知
のポリオレフィン等である。
【0040】また、変性ポリオレフィン接着層の材料と
なる変性ポリオレフィン樹脂とは、上記のポリオレフィ
ン樹脂をマレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの
不飽和カルボン酸またはその酸無水物で変性したもの、
あるいはその変性物をポリオレフィン樹脂で適宜希釈し
たもの等であり、従来より公知の変性ポリオレフィンで
ある。
【0041】次に、本発明のポリオレフィン被覆鋼材の
一実施形態として、ポリエチレン被覆鋼管の製造方法を
説明する。図1は、被覆鋼管の製造装置の構成を示す図
である。ここで、1は鋼管、2はクロメート処理剤塗布
装置、3は加熱装置、4はクロメート処理層、5はプラ
イマー塗布装置、6は後加熱装置、7はプライマー層、
8は丸形ダイ、9はポリエチレン樹脂、10は変性ポリ
エチレン樹脂、11は冷却装置、12はクロメート処理
剤供給容器、13はプライマー供給容器、14はエポキ
シ樹脂供給容器、15は変性ポリアミンとポリオキシプ
ロピレントリアミンとの混合物供給容器(以下、硬化剤
供給容器という)、16は混合容器、17はポリエチレ
ン樹脂供給容器、18は変性ポリエチレン樹脂供給容
器、19はしごき治具である。
【0042】先ず、錆を除去した鋼管1の表面に、クロ
メート処理剤塗布装置2によってクロメート処理剤を塗
布し、加熱装置3によって加熱しクロメート処理剤を焼
き付けて、クロメート処理層4を形成させる。クロメー
ト処理剤塗布装置2の出口には、しごき治具19を設け
て、クロメート処理層の表面は均一にされる。
【0043】次に、エポキシ樹脂供給容器14からは
(1)の材料であるエポキシ樹脂が、硬化剤供給容器1
5からは、(2)の材料である硬化剤が、それぞれ所定
の割合(重量比)で切り出され、混合容器16に供給さ
れ、混合されてプライマーが生成する。生成したプライ
マーは、プライマー供給容器13を経由してプライマー
塗布装置5に供給される。
【0044】上述のようにして生成したプライマーは、
クロメート処理層4が形成された鋼管1aの表面上に、
プライマー塗布装置5によって塗布され、後加熱装置6
によって加熱硬化して、プライマー層7が形成される。
【0045】プライマー塗布装置5の出口には、しごき
治具19を設けて、プライマー層7の表面は均一にされ
る。次に、プライマー層7が形成された鋼管1bの表面
上に、丸型ダイ8(又はT型ダイでも良い)によって変
性ポリエチレン樹脂10とポリエチレン樹脂9を二層同
時に押出し被覆する。この後、冷却装置11によって冷
却し、ポリエチレン被覆鋼管1cを得る。この際に、変
性ポリエチレン樹脂10とポリエチレン樹脂9とをそれ
ぞれ単層毎押し出し被覆しても良い。
【0046】上記製造法の場合、鋼管1の表面にクロメ
ート処理剤を塗布し、焼き付けてから後、鋼管1aが丸
形ダイ8に達するまでの間に鋼管1aの表面にプライマ
ー層7が形成され、十分硬化していればよい。上記エポ
キシプライマーの塗布方法は、スプレー塗装機によるス
プレー塗布、ロール塗布、しごき塗り等の従来公知の方
法の中から適宜選択して用いることができる。また、後
加熱装置6による鋼管1bの加熱方法は、高周波誘導加
熱、遠赤外線加熱、ガス加熱等の従来公知の方法の中か
ら適宜選択することができる。
【0047】
【実施例】本発明の効果を確認するため、上述の被覆鋼
管製造法によりポリエチレン被覆鋼管を製造し、これよ
り試験片を採取して、防食性能を確性した。
【0048】ポリエチレン被覆鋼管の製造は、先ず鋼管
(SGP 80A)を、予めショットブラストしてクロ
メート処理剤を塗布し焼付けた。このクロメート処理層
上に、後述する表1に示す主剤および硬化剤から成るプ
ライマーを40〜50ミクロン厚に塗布し、130℃に
加熱硬化させて、プライマー層を形成させた。
【0049】その後、プライマー層上に、無水マレイン
酸変性ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層の順に
丸型ダイを使用して二層同時に溶融押出し、被覆層を形
成させた。この際の変性ポリエチレン接着層、ポリエチ
レン樹脂層の厚みはそれぞれ0.5mm、3.0mmで
あった。
【0050】表1は、前述のエポキシプライマーの生成
に用いたエポキシ樹脂(主剤)、硬化剤およびこれらの
配合割合を示す。
【0051】
【表1】
【0052】実施例では、エポキシ樹脂(主剤)として
前述のエピコート828、エピコート807の2種類を
使用し、変性ポリアミンとして、キシリレンジアミンと
アクリル酸とを反応生成させた変性ポリアミンA(活性
水素当量65)、キシリレンジアミンとメタクリル酸と
を反応生成させた変性ポリアミンB(活性水素当量6
8)の2種類、そして、エチルトリス(アミノプロピル
オキシメチル)メタン(活性水素当量80)を使用し
た。
【0053】さらに、変性ポリアミン(重量c)と、エ
チルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタン(重
量d)との混合比(c/d)を95/5、80/20、
60/40の3水準とした。
【0054】比較例では、エポキシ樹脂(主剤)として
エピコート828の1種類、硬化剤をB002、または
P002を使用した。ここで、B002は、特開昭56
−143223に開示されているように、化学式5の分
子構造を有する複素環状アミン2モルに対してブチルグ
リシジルエーテル1モルを反応させた変性複素環状アミ
ンである。P002は、化学式5の分子構造を有する複
素環状アミン2モルに対してフェニルグリシジルエーテ
ル1モルを反応させた変性複素環状アミンである。
【0055】
【化5】
【0056】また配合割合=主剤/硬化剤とは、(1)
のエポキシ樹脂(主剤)100重量部に対して、(2)
の混合物(硬化剤)の重量を比で表したものである。ま
た、b/aは(1)のエポキシ樹脂(主剤)中のエポキ
シ基のモル数(a)と(2)の混合物(硬化剤)の活性
水素のモル数(b)の比を示したものである。
【0057】製造されたポリエチレン被覆鋼管から、所
定の大きさの試験片を採取して、温水浸漬試験、陰極剥
離試験、熱サイクル試験を行った。表2に試験結果を示
す。なお各試験法の詳細は後述する。
【0058】
【表2】
【0059】実施例1〜36では、温水浸漬試験による
ピール強度は10kg/cmを越え、高温陰極剥離試験
による塗膜剥離面積は8cm2 以下が得られ、熱サイク
ル試験による端部剥離は認められなかった。従って、8
0℃を越える耐温水性、耐陰極剥離性、耐ヒートショッ
ク性の何れも良好で、防食性能に優れたポリエチレン被
覆鋼管であると評価できた。
【0060】比較例1は、ピール強度が1kg/cmで
あり、塗膜剥離面積値は8cm2 を越え又、熱サイクル
試験での端部剥離もみられた。従って、80℃を越える
耐温水性、耐陰極剥離性、そして耐ヒートショック性は
良好と判定できず、防食性能に優れたポリエチレン被覆
鋼管は得られない。
【0061】比較例2では、ピール強度は3kg/cm
で80℃を越える耐温水性は良好であるが、塗膜剥離面
積は8cm2 を越え、熱サイクル試験による端部剥離も
認められ、耐陰極剥離性、耐ヒートショック性は良好と
判定できず、防食性能に優れたポリエチレン被覆鋼管は
得られない。
【0062】(試験方法の詳細) 1.温水浸漬試験 耐温水性を評価するための試験である。
【0063】製造したポリエチレン被覆鋼管から幅10
mm、長さ200mm、厚さ20mmの試験片を切出し
てサンプルとした。
【0064】この試験片を、試験温度:85℃の水槽内
に、浸漬時間:10000Hr浸漬した後、被覆樹脂層
を少し剥がし、これを掴みしろとして引張試験機で引張
り、剥離させた場合の引張強度(これをピール強度とい
う)を測定する。引張試験の測定条件は、温度:室温、
剥離角:90度、剥離速度:10mm/minとし、単
位はkg/cm。
【0065】ピール強度が2kg/cmを越えると、8
0℃を越える耐温水性が良好であると判定する。
【0066】2.高温陰極剥離試験 耐陰極剥離性を評価するための試験である。
【0067】試験温度:85℃、電解液:3%食塩水、
印加電圧:−1.5V、(標準電極:Cu/CuSO4
とする)、初期ホリデー径:直径11mm、試験時間:
50日間、試験終了後の塗膜剥離面積を測定する。
【0068】被覆樹脂剥離面積が8cm2 以下である
と、耐陰極剥離性が良好であると判定する。
【0069】3.熱サイクル試験 耐ヒートショック性を評価するための試験である。
【0070】試験条件:−70℃(8Hr)→23℃水
中(8Hr)→+45℃(8Hr)を1サイクルとし、
25サイクル繰り返した後の試験片の端部剥離の有無を
目視観察する。端部剥離が無いと、耐ヒートショック性
が良好であると判定する。
【0071】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン被覆鋼材は、上
述した構成でかつ順序で積層させた被覆層を鋼材表面に
被覆形成させるので、ポリオレフィン樹脂層−鋼材間の
密着力が向上し、80℃を越える耐温水性、耐陰極剥離
性、耐ヒートショック性が良好な、防食性能に優れたポ
リオレフィン被覆鋼材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリオレフィン被覆鋼管の製造装置の構成を示
す図である。
【符号の説明】
1 鋼管 4 クロメート処理層 7 プライマー層 9 ポリエチレン樹脂 10 変性ポリエチレン樹脂 12 クロメート処理剤供給容器 13 プライマー供給容器 14 エポキシ樹脂供給容器 15 硬化剤供給容器 16 混合容器 17 ポリエチレン樹脂供給容器 18 変性ポリエチレン樹脂供給容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/32 B32B 27/32 Z C08L 63/00 NJD C08L 63/00 NJD C23C 28/00 C23C 28/00 C

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼材表面からクロメート処理層、プライ
    マー層、変性ポリオレフィン接着層、ポリオレフィン樹
    脂層を順次鋼材表面に被覆した被覆鋼材であって、その
    プライマー層を形成するに際し、以下の(1)と(2)
    を含有する熱硬化性樹脂組成物を用いたことを特徴とす
    るポリオレフィン被覆鋼材。 (1)エポキシ当量156〜エポキシ当量280のビス
    フェノールA系エポキシ樹脂あるいはビスフェノールF
    系エポキシ樹脂のいずれか一方または両者の混合物から
    なるエポキシ樹脂。 (2)キシリレンジアミンと不飽和カルボン酸または不
    飽和カルボン酸アルキルエステルとの反応生成物である
    変性ポリアミンと、エチルトリス(アミノプロピルオキ
    シメチル)メタンとの混合物。
  2. 【請求項2】 前記不飽和カルボン酸または不飽和カル
    ボン酸アルキルエステルを、アクリル酸またはアクリル
    酸アルキルエステル、あるいは、メタクリル酸またはメ
    タクリル酸アルキルエステルとすることを特徴とする請
    求項1記載のポリオレフィン被覆鋼材。
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