JPH10257295A - 色再現域圧縮方法および装置 - Google Patents
色再現域圧縮方法および装置Info
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Abstract
各画素の色差を最小とするように色再現域を圧縮する。 【解決手段】 色再現域圧縮部20は、入力部10から
L* a* b* 等の色彩値を入力する。入力部から送られ
た画像と、変換部での双方向変換で求められた画像の差
画像に対しフィルタリング処理を施し、フィルタリング
された画像全体の2乗ノルムと、色再現域抽出部の出力
である、変換部での変換前後の画像の各画素間の差のノ
ルムに閾値処理を施した値の画像全体の和で定義される
評価関数を最小にするという条件を満たすように変換部
22の入力が制御される。所定の条件を満足する、第1
変換部22の第1のニューラルネットの出力であるデバ
イス値が画像出力部30に送られる。
Description
置間の色合わせにおいて、入力画像の全ての色を、出力
デバイスで再現可能な色再現域内に写像する色再現域圧
縮方法および装置に関し、特に、人間の視覚の空間周波
数特性を考慮した新しい色差を色合わせの評価に用いる
ことにより、見た目に最も好ましい再現画像を得ること
が可能な色再現域圧方法及び装置に関する。
れているものには、カラーディスプレイ、昇華型プリン
タ、インクジェット型プリンタ、写真、商用印刷機など
多くの種類がある。一般にこのような装置では、色の再
現方式(混色法)やトーン再現法(網点、ディザ法、誤
差拡散法など)、又は、使用する原色の分光特性の違い
などにより、その装置が再現できる色の範囲(Color Gam
ut) が大きく異なる。例えば、ディスプレイの色再現域
は、昇華型プリンタの色再現域よりかなり広いことが知
られている。このような色再現域の大きさが異なる2つ
の装置間で色合わせを行う場合、一方のデバイスで再現
不可能な色が必ず存在する。このため、このような色再
現域外の色を、対象とするデバイスでどのように再現し
たら良いかという問題が生じる。
然画像のような隣り合った画素が何らかの複雑なコンテ
キストを持つ場合、その関係(画像の空間周波数特性)
を保持することによって、多少画素毎の色がオリジナル
と異なっていても色の違いを検知しずらくなるという特
性を有する。一方、色票のような単色の場合は、画像の
周波数特性は一定であるため、色の違いが自然画の場合
に比べて検知され易くなる。
案されてきた色再現域圧縮法では、こうした人間の視覚
系の空間周波数特性が全く考慮されていない。更に、オ
リジナルの画像と再現画像との間の画素ごとに色再現域
圧縮を行う方法であるため、自然画像の色再現域圧縮に
おいて実用に耐えうる色再現域圧縮を実現できないとい
う問題が指摘されている。
再現域圧縮法を実現することは困難であり、人間の視覚
系の空間周波数特性を考慮したより実用的な画像の色再
現域圧縮の技術が要求されている。
のであり、自然画像のような隣り合う画素が互いに何ら
かのコンテキストを持つような場合に、その関係を保持
すると同時に、各画素の色差を最小とするように色再現
域を圧縮する方法及び装置を提供することを目的とす
る。
圧縮方法は、異なる色再現装置間で画像の色合わせを行
う際の色再現域の違いを修正する方法であって、色彩値
と、装置の特性に依存する少なくとも3つの色分解値と
の間の双方向の色変換を行う変換ステップと、色合わせ
の対象となる画像内の各画素の色が、対象とする色再現
装置で再現可能な色かどうかを、前記双方向変換された
後の色彩値と変換前の色彩値とから判定する色再現域判
定ステップと、この色再現域判定ステップにおいて色再
現域外と判別された色の知覚的な差異を表す、画像の空
間周波数特性を考慮した色差と色再現域の内に対象とす
る画素の色があるかどうかを表す関数によって定義され
る評価関数を最小とするように前記変換前の色彩値を最
適化する最適化ステップとを具備することを特徴とす
る。
値)との間の双方向の色変換を行う場合に、入力された
画素の色彩値が色再現域内であれば、この双方向の変換
は恒等写像となり、双方向の変換後に中間表色系上で変
換誤差の範囲内で同じ点に写像されるのに対し、色再現
域外の場合は、中間表色系からデバイス値へ変換した際
に、デバイス値の範囲(一般には0〜255の範囲)外
の値に写像されるが、例えばニューラルネットの出力ユ
ニットの入出力特性がシグモイド特性であるため、写像
された値はデバイス値の範囲内に押し込められ、そのた
め、この値を再度中間表色系に写像した際に、中間表色
系上では、もとの与えられた点が対象のデバイスの色再
現域からはずれるほど全く違った場所に写像され、これ
によって、色再現域からどれくらい離れているか(また
は、内にあるか)を判別し、さらに、オリジナルと再現
画像の対象とする画素の色差を、画像の空間周波数成分
を考慮した色差と色再現域からの距離を表す関数との和
によって定義される評価関数を最小化するように再現画
像の色彩値を調節することによって適切な色再現域圧縮
を実現するようにしている。
層のフィードフォワード型のニューラルネットワーク、
又はルックアップテーブル(LUT)を用いることが望
ましい。
ジナル画像と前記変換ステップにおける双方向変換後の
画像(再現画像)との差の対象となる画素を中心とする
点広がり関数(Point Spread Function )、または、イ
ンパルス応答によって定義され、単に、オリジナル画像
と再現画像の対象とする画素の色差だけによって定義さ
れるのではなく、対象とする画素とその周辺の画素との
コントラストの両方を用いて定義することが望ましい。
素の色が色再現域内にあるかどうかを表す関数として、
双方向の色変換によって得られる色彩値と変換前の色彩
値との間の差に対する閾値関数を用いることが望まし
い。
CIE(Commission Internationale de I'Eclairage)
が色彩値として規定するX,Y,Z三刺激値、L* ,
a*,b* 値、L* ,u* ,v* 値、あるいは、色の見
えを予測するColor Appearance モデルによって定義さ
れる色彩値のいずれか一つを用いるよことが望ましい。
ー画像を構成するR(レッド)、G(グリーン)、B
(ブルー)値の加法混色の三原色、または、C (シア
ン)、M(マゼンタ)、Y (イエロー)、または、C
(シアン)、M (マゼンタ)、Y (イエロー)、K (ブ
ラック)値の減法混色の三原色である。
st descent method )、または、極値探索の一般的な手
法である非線形最適化法のいずれか一方を用いることが
できる。
有し、出力ユニットの入出力特性がシグモイド特性ある
いは、線形特性を有する。又、前記点広がり関数、また
は、インパルス応答の周波数特性はバンドパス特性を用
いることが望ましい。
置は、対象とする画像の各画素の色の色彩値を対応する
電気信号、または、光信号として入力する入力手段と、
前記入力手段から送られてくる少なくとも3つの色彩値
と対象とする色再現装置の少なくとも3つのデバイス値
との間の双方向の色変換を行う変換手段と、前記変換手
段による双方向の色変換における変換前の色彩値と変換
後の色彩値との間のノルムを計算し、閾値処理を施す色
再現域抽出手段と、前記変換手段による双方向の色変換
によって得られる再現画像と前記入力手段との間の差の
画像に空間周波数に対するフィルタリング処理を施した
画像の2乗ノルムを算出するフィルタリング手段と、前
記色再現域抽出手段と前記フィルタリング手段の出力の
和で表される評価関数を最小化するように再構成画像の
色彩値を調節する最適化手段と、前記最適化手段によっ
て色再現域圧縮された画像を光、あるいは、電気信号等
の任意の信号として出力する出力手段とを具備すること
を特徴とする。
は、異なる色再現装置間で画像の色合わせを行う際の色
再現域の違いを修正する装置であって、入力手段に入力
された画像の対象とする画素の前記少なくとも3つの色
彩値を、前記中間表色系とデバイス値からなる色空間と
の間の双方向の色変換を予め学習させられた2つのニュ
ーラルネット、又は2つのLUTによって色変換する変
換手段と、前記変換手段による双方向の色変換前後の色
彩値の差のノルムに閾値処理を施すことによって、前記
入力手段に入力された入力画像の対象とする画素の少な
くとも3つの色彩値が対象とする色再現装置の色再現域
の内か外かを判別する色再現域抽出手段と、前記変換手
段による双方向の色変換によって得られる再現画像と前
記入力手段の出力画像の差の画像に対し、空間周波数特
性がバンドパスになるように設計された点広がり関数
(フィルタのインパルス応答)を畳み込み演算あるい
は、周波数軸上での掛け算によってフィルタリングを施
した画像の2乗ノルムを計算するフィルタリング手段
と、前記2つのニューラルネットワークの結合係数(又
はLUTのテーブル値)とフィルタ係数を記憶しておく
記憶装置と、色再現域抽出手段とフィルタリング手段の
出力の和で表される評価関数を最小化するように再現画
像の色彩値を調節する最適化手段を具備することを特徴
とする。ここで、前記変換手段で用いられる2つのニュ
ーラルネットは、少なくとも3つの色彩値をその色彩値
に対応する少なくとも3つのデバイス値に変換する第1
のニューラルネットとそれによって得られた少なくとも
3つのデバイス値を再度少なくとも3つの色彩値に変換
する第2のニューラルネットを含み、前記2つのニュー
ラルネットは、学習機能を有する3から5層の多層フィ
ードフォワード型のニューラルネットであり、少なくと
も3つの色彩値からその色彩値に対応するデバイス値へ
の変換とデバイス値から色彩値への変換をそれぞれ学習
させられており、また、第1のニューラルネットワーク
の出力ユニットの入・出力特性はシグモイド特性であ
り、第2のニューラルネットワークの出力ユニットの入
・出力特性は線形である。前記変換手段としてLUTを
用いる場合、少なくとも3つの色彩値をその色彩値に対
応する少なくとも3つのデバイス値に変換する第1のL
UTと、これによって得られた少なくとも3つのデバイ
ス値を再度、少なくとも3つの色彩値に変換する第2の
LUTから構成される。前記色再現域抽出手段と前記フ
ィルタリング手段の出力の和で表される評価関数を最小
化するという条件のもとで変換手段の入力である対象と
する画像の各画素の少なくとも3つの色彩値を最適化手
法を用いて最適化することによって、画像の空間周波数
に基づく色再現域圧縮を実現する。
づく色再現域圧縮方法および装置においては、ニューラ
ルネットワークの学習機能を有効に利用することによ
り、対象とする色再現装置の色がCMY値、または、C
MYK値で表現される場合にも、RGB値で表現される
場合であってもこれらの色に関するデバイス値と色彩値
との間の双方向の変換を高精度に実現し、十分な精度で
対象とする色再現装置の色再現域を抽出することができ
る。
現画像と対象とする画像の差の画像に対し、空間周波数
特性がバンドパスになるように設計された点広がり関数
(フィルタのインパルス応答)を畳み込み演算あるい
は、周波数軸上での掛け算によってフィルタリングを施
した画像の2乗ノルムと、色変換前後の色彩値画像のノ
ルムに閾値処理を施した画像との和を評価関数とする最
適化処理によって、画像の空間周波数特性を考慮した色
再現域圧縮が実現できる。
縮装置の基本的な考え方について説明する。従来から、
高等動物の視覚系は、バンドパス的な空間周波数特性を
持つことが知られている。即ち、低い周波数成分や高い
周波数成分に対する感度は鈍く、2つの画像の空間周波
数成分の内バンドパス成分が良く一致していれば、高・
低周波数成分が多少異なっていても人間にはその違いを
検知しにくいことが知られている。また、色味成分と明
るさ成分を比較すると、明るさ成分の方がより高周波成
分にピーク感度をもつことが実験的に調べられている。
これは、色味に関してはかなりぼけた画像でしか違いが
判別できず、逆に、明るさ成分は色味成分に比べより高
周波成分の一致さえ十分であればその違いを判別しにく
いことを意味している。
間周波数感度に関する知見に基づくものである。即ち、
色味と明るさ成分それぞれに異なるピーク周波数を持つ
フィルタをかけ、その2乗ノルムで表される画像間の色
差が最小となるように対象とする画像の色再現域外の画
素および、対象画素近傍の画素の色を圧縮する。この処
理では、色再現域外の画素だけでなく、その画素近傍の
画素(色再現域内であっても)も色調整されるが、バン
ドパス成分がなるべく一致するように明度・色味成分別
々に修正される。このため、人間の目にはほとんどその
違いが検知できないように調整が可能な、画像の空間周
波数特性を考慮した色再現域圧縮が実現される。
慮した色再現域圧縮では、学習したニューラルネットを
用いて画像の各画素の色彩値とデバイス値との間の双方
向色変換を行う。本願で記載される双方向色変換とは、
色彩値からデバイス値(色分解値)への変換処理、及
び、変換されたデバイス値から再び色彩値への変換処理
を意味する。さらに、前記変換前後の画像の色彩値のノ
ルムに閾値処理を施した画像と、オリジナルと双方向色
変換後の色彩値画像の2乗ノルムに明るさ成分、色味成
分それぞれ別のピーク周波数を持つ空間フィルタをかけ
た画像の和を最小化するという条件が含まれるが詳細は
後述する。
態に係る、画像の空間周波数特性を考慮した色再現域圧
縮装置を説明する。この発明の実施形態である色再現域
圧縮装置の機能構成を図1に示す。図1に示されるよう
に色再現域圧縮装置は、入力部10、色再現域圧縮部2
0、画像出力部30により構成される。
受け、対応する色彩値画像を電気信号として出力する。
画像出力部30は、入力されるデバイス値に従ってディ
スプレイや紙に画像を出力する出力装置であり、カラー
DTP(Desk Top Publishing) における電子写真式プリ
ンタ等やカラーディスプレイ等の出力装置を適用するこ
とができる。
全体の制御を司る制御部21と、2つのニューラルネッ
トワーク(NN1,NN2)22a,22bにより構成
される変換部22と、双方向色変換が施される前後の色
彩値のノルムに対し、閾値処理を施すことにより色再現
域を抽出する色再現域抽出部23と、入力部からの画像
と変換部での双方向色変換によって得られる画像との差
画像に対し、その明度成分、色味成分において異なるピ
ーク周波数を持つバンドパスフィルタをかけ、その2乗
ノルムを求めるフィルタリング部24と、所定の条件の
下で色再現域抽出部とフィルタリング部の出力の和を最
小化する最適化処理部25と、前記変換部22とフィル
タリング部24に係る各種パラメータを記憶するメモリ
26とにより構成される。
部23、フィルタリング部24、最適化処理部25、及
びメモリ26を制御し、ニューラルネットワーク22
a,22bの学習処理を含む、色再現域圧縮に係る各種
処理を行う。変換部22では、後述する変換機能を有す
るように学習処理が施される。色再現域抽出部23で
は、変換部22による変換前後の画像の各画素間の差の
ノルムに閾値処理が施され、画像の各画素の色が色再現
域内に入っているかどうかの判別が行われる。フィルタ
リング部24では、メモリ26に記憶されているフィル
タ係数を用いて、入力部から送られた画像と、変換部2
2での双方向変換で求められた画像の差画像に対しフィ
ルタリング処理が施され、フィルタリングされた画像全
体の2乗ノルムが計算される。最適化処理部25では、
フィルタリング部24の出力と色再現域抽出部23の出
力の画像全体の和で定義される評価関数を最小にすると
いう条件を満たすように最適化が行われ、色再現域圧縮
された画像が求められる。
を持つ初期値の電気信号を、デバイス値(色分解値)へ
変換し、さらに、その結果を再度色彩値に変換する。こ
の変換部22に用いられる2つのニューラルネットワー
ク22aの一例を図2に、ニューラルネットワーク22
bの一例を図3に示す。ニューラルネットワーク22a
は、少なくとも3つの色彩値から少なくとも3つのデバ
イス値への変換を行う機能を有し、ニューラルネットワ
ーク22bは、少なくとも3つのデバイス値から少なく
とも3つの色彩値への変換を行う機能を有する。このよ
うな機能は学習によって実現される。図2、図3に示さ
れるニューラルネット22a,22bは、それぞれ色彩
値、デバイス値に対応する出力ユニットU1、U2、…
Un(nは色彩値、又はデバイス値で用いられる値、又
は色の数に対応する)を有し、入力層のユニット数は
3、ニューラルネットワーク22aの中間層ユニット数
が13、ニューラルネットワーク22bの中間層ユニッ
ト数は12で構成される。ここで、ニューラルネットワ
ーク22aの出力ユニットの入出力特性がシグモイド特
性であるのに対し、ニューラルネットワーク22bの出
力ユニットは線形特性を持つ。また、ニューラルネット
ワーク22a,22b共に、中間層は入出力関係がシグ
モイド関数によって表される神経回路素子により構成さ
れ、入力層は線形の神経回路素子であっても良い。ただ
し、中間ユニット数は、対象とする色再現装置の特性に
合わせて調整することができる。
部23、フィルタリング部24、最適化処理部25を用
い、変換部22から出力される各電気信号の差のノル
ム、即ち、双方向色変換前後の画像間の差のノルムに対
して閾値処理を施す。更に、制御部21は、色再現域抽
出部23において、閾値処理の施された値の画像全体の
和をとった値と、フィルタリング処理を施した差画像の
2乗ノルムの画像全体の和とから定義される評価関数を
最小化するように、色再現域外と判定された画素の色彩
値を最適化する。このような処理が行われることによ
り、適切に色再現域圧縮された画像が求められる。
処理が施された2つの3層フィードフォワード型ニュー
ラルネットワーク22a,22bの結合係数や、フィル
タリング部24で使用されるフィルタ係数を記憶する。
成される変換部22、フィルタリング部24、色再現域
抽出部23、及び最適化処理部25について詳細に説明
する。
に示される入力部10により、画像上の各画素の少なく
とも3つの色彩値がそれぞれ、対応する電気信号に変換
される。即ち、入力部10からは、変換元の色のL* a
* b* 値、L* u* v* または、XYZ三刺激値、ある
いはColor Appearance モデルのLCH値である色彩値
を示す電気信号が出力される。
彩値が図2に示されるニューラルネットワーク22aの
入力として供給される。色彩値が与えられると、図2に
示すような構造を持つニューラルネットワークの中間層
ユニットの出力Hi は以下の式に従って出力される。
とi番目の中間ユニットの結合係数を表し、またIi は
中間ユニットの出力、bj はバイアス値を表す。また、
出力層ユニットの出力Oi も同様に次式に従って出力さ
れる。
とi番目の出力ユニットの結合係数を表し、また、Hi
は前記(1)式で定義されるi番目の中間ユニットの出
力値である。また、n、m、kはそれぞれ入力層、中間
層、出力層のユニット数である。
そのまま出力するような特性であり、また、中間層ユニ
ットの関数f( x) は次式で定義される[0,1]の間
で単調増加であるシグモイド関数で表される特性であ
る。
される特性である。ただし、中間・出力層はバイアスユ
ニットからの入力があってもよい。次に、図2に示され
るニューラルネット22aの色変換によって得られたデ
バイス値は図3に示されるニューラルネット22bの入
力として与えられ、前記(1),(2)式で示される同
様な計算に従って色彩値に変換される。ただし、図3の
ニューラルネットの出力ユニットの特性はシグモイド関
数であっても良くまた線形であってもかまわない。一般
には線形特性であることが好ましい。
は、それぞれ各出力ユニットの出力と、教師信号として
与えられるデバイス値、又は、色彩値との2乗誤差が最
小となるように予め学習・修正される。学習には、ラン
メルハート(Rumelhert )が提案したバックプロパゲー
ションアルゴリズムやその改良型の学習則などが用いら
れ、それぞれ色彩値からデバイス値、デバイス値から色
彩値への変換を学習する。学習を終えたニューラルネッ
トワークの結合係数はメモリ26に記憶される。ただ
し、このメモリは装置外部で学習された結合係数をロー
ドすることも可能である。即ち、必ずしも装置内部でネ
ットワークの学習を行う必要がなく、予め別の装置で学
習して得た結合係数を有効に利用することが可能であ
る。
する。フィルタリング部24では、入力部10からのオ
リジナル画像と変換部22の出力画像との差に明度成
分、色味成分で異なる特性を持つフィルタを用いてフィ
ルタリング処理が行われる。フィルタリング部24は、
フィルタリング処理が施された値の2乗ノルムとして次
式で定義される知覚差異量PD(r,o )を出力する。
で、明度成分、色味成分にかけるフィルタを一次元で表
したものを図4(a)〜(c)に示す。ここで、フィル
タは次式で定義されるDOG関数を用いる。
に色の差異を表すCIE色差に対応する値である。ここ
で、CIE色差と知覚差異量PD(r,o )との違いを
図5(a),(b)に示す。この図からわかるように、
CIE色差はオリジナルと再現画像間の対応する画素だ
けの差を表すのに対し、知覚差異量PD(r,o )は、
対応する画素とその周辺の画素の色の違いを総合的に表
わす値である。次に、色再現域抽出部23について説明
する。色再現域抽出部23では、変換部22の双方向色
変換の精度M(r)
現域の内か外かを判別する。ここでこの閾値処理T
[・]は次式で定義される。
の最大のM(r)であるとする。図6(a),(b)は
この時の色再現域抽出部での抽出の概念を示している。
色彩値、デバイス値間の双方向色変換を行う場合、も
し、入力の色彩値が色再現域外である場合は、色彩値か
らデバイス値への変換で得られた値は、デバイス値の範
囲(0から255)を越える値となるが、色彩値からデ
バイス値への変換を行うニューラルネットワークの出力
ユニットの特性がシグモイド状であるため、範囲を越え
た値は無理矢理、0から255の範囲内に押し込められ
る。この場合、再度デバイス値から色彩値への変換を行
って得られる値は、双方向変換前の色彩値と全く違った
値となる。一方、色再現域内の色彩値は、双方向変換後
に変換前の色彩値とほぼ同じ(変換の精度範囲内で)点
に写像される。色再現域抽出部ではこうした原理を用い
て対象とする画素の色再現域の内外を判定する。図7に
実際にプリンタの色再現域を抽出した結果の3次元表示
と、対象とする色が色再現域内か外かの判定結果を示
す。
域は非常に複雑な形状を持つ。また、図7(b)からわ
かるように色再現域外に位置するデータは、双方向色変
換後では変換誤差が大きくなり、色再現域内のデータは
逆に変換誤差の範囲内の小さな誤差を持つようになる。
次に、最適化処理部25について説明する。最適化処理
部25では、PD(r,o)とT[M(r)]を用いて
定義される評価関数
即ち、次式で色彩値画像r(x,y)の更新を行う。
た画像(デバイス値)は、電気信号や光信号等任意の信
号として出力部30に送られ、出力画像として紙やディ
スプレイに出力される。
学習について説明する。図8にニューラルネットワーク
で構成される変換部22の学習処理の流れを示す。ここ
で、変換部22の2つのニューラルネット22a,22
bの学習は入力・出力が入れ替わるだけであとは全く同
じであるため、簡略のため図2に示されるニューラルネ
ット22aの学習処理についてだけ説明する。
ス値をそれぞれ0%から100%まで10%間隔で変え
て、プリンタで印刷した1331色の色票を分光測色器
で測色する。これにより得られる分光反射率を用いてL
* a* b* が算出され、色彩値として用いられる。尚、
学習データは、このデータのうちの216色だけを用い
る。
ルネットワークの入力層に少なくとも3つの色彩値を入
力する(ステップS10)。同時に、出力層に対して教
師信号として入力層に与えた色彩値に対応するデバイス
値を与える(ステップS11)。次にバックプロパゲー
ション学習則に基づく学習処理が施される(ステップS
12)。ステップS12における学習処理が、216色
票に対して行われる。即ち、出力層より出力される値が
教師信号であるデバイス値に近づくようにニューラルネ
ットワーク内のユニットの結合の強さ(結合係数)が変
更される。この後、216色票全部に対し行われたかど
うか判断される(ステップS13)。もし、全部終了し
ていなければ、次の色票のデータに変更し、ステップS
10から再度学習する(ステップS13,NO)。全部
終了したら次のステップへ進む(ステップS13,YE
S)。
所定の学習条件、例えば、結合係数を変更した回数が所
定回数に達しているかや、出力層から出力される値と教
師信号であるデバイス値との誤差が所定の誤差範囲内で
あるかどうか等が判定される(ステップS14 )。所定
の学習条件を満たしている場合には、3層のフィードフ
ォワード型ニューラルネットワーク結合係数がメモリ2
6に保存され、学習処理が終了する(ステップS14,
YES)。又、学習条件が満たされていない場合、再び
ステップS10から学習処理が実行される(ステップS
14,NO)。
縮処理を図9のフローチャートを参照して説明する。前
述の学習処理により求められた2つのニューラルネット
それぞれの結合係数を用いて、入力部10に入力された
画像の色再現域圧縮処理が行われる。これらの色再現域
圧縮処理は、前述したように制御部21の制御の下で実
施される。
像が色再現域圧縮部20に送られる(ステップ20)。
次に、色再現域圧縮部20では、変換部22とフィルタ
リング部24にそれぞれメモリ26からニューラルネッ
トの結合係数とフィルタ係数がロードされ、セットされ
る(ステップS21,ステップS22)。入力部10か
らの画像が変換部22で双方向色変換され(ステップS
23)、その出力が変換部22の入力初期画像としてセ
ットされる(ステップS24)。次に、再度変換部22
で双方向色変換がなされ、変換部出力が計算される(ス
テップS26)。
(4)式で定義される計算式に従って、変換部出力と入
力部10の出力を用いてPD(r,o)が計算される
(ステップS26)。一方、色再現域抽出部23では、
変換部22の双方向色変換前後の画像を用いて、
(7)、(8)式からT[M(r)]が計算される(ス
テップS27)。
ルタリング部24の出力と色再現域抽出部23の出力を
用いて定義される評価関数を最小化するようにPD
(r,o)の最急降下方向に変換部22の入力が制御さ
れる(ステップS27、ステップS28)。次に、評価
関数の値が最適化の条件を満たしているどうかが判定さ
れ、もし満たしていなければステップS25に戻り、処
理を繰り返す(ステップS30,NO)。もし、満たし
ていれば次のステップに進む(ステップS30,YE
S)。そして、変換部22の入力を最初のニューラルネ
ット22aによって変換することによって得られるデバ
イス値画像を出力部に転送する。ここで、この色再現域
圧縮処理における情報(データ)の流れを図10に示
す。
に対し、実際に色再現域圧縮処理を行った場合の、最適
化処理による評価関数の値の減少の様子を示している。
ここで、図12の画像で黒く塗りつぶされている部分
が、対象とする色再現装置で再現不可能な部分を示して
いる。また、図11には評価関数のL* 成分(明るさ)
と a* ,b* 成分(色味)及びそれらの和(評価関数
全体)をそれぞれ示してある。また、PD(r,o )と
T[M(r)]それぞれの変化の様子も同時に示してい
る。この図から、評価関数の値は最適化処理によって単
調減少することがわかる。こうした処理によって、入力
画像の色再現域圧縮を行う。
来法との違いを明らかにするために、一次元の場合にそ
れぞれの方法で色再現域圧縮を行った結果を図13に示
す。ここでは、従来法として、色差最小法(minimized
ΔE )、及び、正規化法(normalize )との比較を示し
ている。色差最小法では、色再現域外の画素は色再現域
の境界線状に全て写像され、色再現域内の画素値はオリ
ジナルと同じ点に写像される。また、正規化法は、全て
の画素値が変更され、色再現域内で完全に直線となるよ
うに色再現域が圧縮されている一方、コントラストがオ
リジナルに比べ減少する。これに対し、この発明による
方法では、圧縮された結果はシグモイド状の線になり、
単に色再現域外の点を内に押し込めるだけでなく、コン
トラストを保持するように色再現域内の点も同時に修正
される。こうした圧縮は、画素ごとに非線形に色再現域
を圧縮することでも同様に行うことが可能であるが、そ
の場合とこの発明との最も大きな違いは、この発明によ
る方法では、対象画素が画像内でどのように布置されて
いるかによって、修正の度合いが変化する点にある。
用いてそれぞれ色再現域圧縮した場合のオリジナル画像
と再現画像との間の色差画像の違いを比較した結果を図
14に示す。
された画像と色差画像であり、図14(b)が色差最小
法による再現画像と色差画像である。ここで色差画像
は、より大きな値を持つ部分をより黒く表示している。
双方の色差画像から、色差最小法では、色再現域外の部
分だけに色差があらわれているのに対し、この発明によ
る方法では、単に色再現域外の部分だけでなく色再現域
内の部分にも色差が生じており、色差画像がかなりぼけ
た画像となっており、これによって、再現画像のコント
ラストが保存されていることが分かる。また、この発明
による方法では、中間周波数成分の誤差が小さくなるよ
うにフィルタリング処理をして最適化しているため、色
差最小法に比べ中間周波数成分の誤差はより小さくなっ
ている。
る方法を判定するために、従来法とこの発明による方法
で色再現域圧縮した画像を一対比較法(paired comparis
on method )によって被験者にその善し悪しを判定させ
た結果を図15に示す。従来法としては、ニューラルネ
ットによって色彩値をデバイス値に変換しそのままプリ
ンタに出力する直接法、画像の彩度成分を90パーセン
ト圧縮してからニューラルネットによって色彩値をデバ
イス値に変換し、プリンタで出力した90%−正規化
法、色差最小法とした。
定した割合をパーセンテージで示している。この場合、
それぞれのパーセンテージは左から37%、47%、3
3%、83%であり、ほとんどの被験者がこの発明によ
る方法によって色再現域圧縮した画像が最も好ましいと
判定したことがこの結果から分かる。
ば、ニューラルネットワークの学習機能を有効に利用す
ることにより、画像がCIEが規定するL* a* b*
値、または、L* u * v* 値であっても、あるいは、X
YZ値であっても、さらに、ColorAppearance モデル
のLCH値の場合でも、これらの色に関する色彩値とC
MY値、または、CMYK値、あるいは、RGB値で表
現されるデバイス値との間の双方向色変換を高精度に実
現することができる。また、十分に学習させられたニュ
ーラルネットの汎化能力によって、入力に学習に用いな
かった未知のデータが入力された場合であっても、入力
データに対応する適切な出力を得ることができる。
めのフィルタリング処理とニューラルネットの出力ユニ
ットの特性を利用した双方向色変換による色域抽出を用
い、人間の視覚の空間周波数成分のうち最も感度の高い
空間周波数成分を可能な限り一致させる、即ち、画像の
コントラストを保存し、かつ、可能な限りオリジナルの
色彩値に近い色彩値に写像することによって、これまで
には実現されなかった、見た目に最も好ましい再現画像
を得ることのできる非常に信頼性の高い色再現域圧縮を
実現することが可能となる。
波数を考慮した色再現域圧縮装置の概略構成を示すブロ
ック図。
る、色彩値からデバイス値への変換を行うフィードフォ
ワード型のニューラルネットの一構成例を示す概略図。
る、デバイス値から色彩値への変換を行うフィードフォ
ワード型のニューラルネットの一構成例を示す概略図。
に用いられる空間フィルタの形状を一次元表示したグラ
フ。
来の色差との違いを示す概念図。
の双方向色変換による色再現域抽出の原理を示す概念
図。
プリンタの色再現域の3次元表示と色再現域内外での双
方向色変換による変換誤差の違いを示す模式図。
ワード型ニューラルネットワークに色彩値からデバイス
値への変換を学習させる処理を示すフローチャート。
を示すフローチャート。
結果)の流れを示す図。
置の最適化処理部における最適化処理による評価関数の
減少の様子を示すグラフ。
の減少を示すグラフの作成処理に適用されたディスプレ
イ上に表示された中間調画像の写真。
置の処理結果と従来法で圧縮した結果の1次元の場合に
ついての比較を示すグラフ。
置の処理結果と従来法で圧縮した結果のオリジナル画像
と再現画像との間の色差画像の違いを比較した結果を示
すディスプレイ上に表示された中間調画像の写真。
置の処理結果と3種類の従来法で圧縮した結果の画像を
用いてどの方法で色再現域圧縮を行った場合に最も好ま
しい画像になるかを一対比較法を用いて被験者に判定さ
せた結果を示すグラフ。
Claims (8)
- 【請求項1】 異なる色再現装置間で画像の色合わせを
行う際の色再現域の違いを修正する方法において、 色彩値と、装置の特性に依存する少なくとも3つの色分
解値との間の双方向の色変換を行う変換ステップと、 色合わせの対象となる画像内の各画素の色が、対象とす
る色再現装置で再現可能な色かどうかを、前記双方向変
換された後の色彩値と変換前の色彩値とから判定する色
再現域判定ステップと、 この色再現域判定ステップにおいて色再現域外と判別さ
れた色の知覚的な差異を表す、画像の空間周波数特性を
考慮した色差と色再現域の内に対象とする画素の色があ
るかどうかを表す関数によって定義される評価関数を最
小とするように前記変換前の色彩値を最適化する最適化
ステップとを具備することを特徴とする色再現域圧縮方
法。 - 【請求項2】 前記変換ステップにおける双方向の色変
換には、3から5層のフィードフォワード型のニューラ
ルネットワーク、又はルックアップテーブル(LUT)
のいずれかを用いることを特徴とする請求項1記載の色
再現域圧縮方法。 - 【請求項3】 前記最適化ステップの評価関数で用いる
色差は、オリジナル画像と前記変換ステップにおける双
方向変換後の画像(再現画像)との差の対象となる画素
を中心とする点広がり関数(Point Spread Function
)、または、インパルス応答によって定義され、対象
とする画素とその周辺の画素とのコントラストによって
定義されることを特徴とする請求項1記載の色再現域圧
縮方法。 - 【請求項4】 前記最適化ステップの評価関数で用い
る、対象とする画素の色が色再現域内にあるかどうかを
表す関数として、双方向の色変換によって得られる色彩
値と変換前の色彩値との間の差に対する閾値関数を用い
ることを特徴とする請求項1記載の色再現域圧縮方法。 - 【請求項5】 前記色彩値は、カラー画像を構成するC
IE(Commission Internationale de I'Eclairage)が
色彩値として規定するX,Y,Z三刺激値、L* ,a
* ,b* 値、L* ,u * ,v* 値、あるいは、色の見え
を予測するColor Appearanceモデルによって定義される
色彩値のいずれか一つを用いることを特徴とする請求項
1記載の色再現域圧縮方法。 - 【請求項6】 前記色分解値値は、カラー画像を構成す
るR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)値の加
法混色の三原色であることを特徴とする請求項1記載の
色再現域圧縮方法。 - 【請求項7】 前記デバイス値は、カラー画像を構成す
るC (シアン)、M(マゼンタ)、Y (イエロー)、ま
たは、C (シアン)、M (マゼンタ)、Y (イエロ
ー)、K (ブラック)値の減法混色の三原色であること
を特徴とする請求項1または3記載の色再現域圧縮方
法。 - 【請求項8】 対象とする画像の各画素の色の色彩値を
対応する電気信号、または、光信号として入力する入力
手段と、 前記入力手段から送られてくる少なくとも3つの色彩値
と対象とする色再現装置の少なくとも3つのデバイス値
との間の双方向の色変換を行う変換手段と、 前記変換手段による双方向の色変換における変換前の色
彩値と変換後の色彩値との間のノルムを計算し、閾値処
理を施す色再現域抽出手段と、 前記変換手段による双方向の色変換によって得られる再
現画像と前記入力手段との間の差の画像に空間周波数に
対するフィルタリング処理を施した画像の2乗ノルムを
算出するフィルタリング手段と、 前記色再現域抽出手段と前記フィルタリング手段の出力
の和で表される評価関数を最小化するように再構成画像
の色彩値を調節する最適化手段と、 前記最適化手段によって色再現域圧縮された画像を光、
あるいは、電気信号等の任意の信号として出力する出力
手段とを具備することを特徴とする色再現域圧装置。
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