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JPH1024784A - 車両及び車両カルテシステム並びに車両メインテナンス方法 - Google Patents

車両及び車両カルテシステム並びに車両メインテナンス方法

Info

Publication number
JPH1024784A
JPH1024784A JP8178834A JP17883496A JPH1024784A JP H1024784 A JPH1024784 A JP H1024784A JP 8178834 A JP8178834 A JP 8178834A JP 17883496 A JP17883496 A JP 17883496A JP H1024784 A JPH1024784 A JP H1024784A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
information
computer
maintenance
driving
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8178834A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Shimizu
宏 清水
Teiji Kuwabara
禎司 桑原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP8178834A priority Critical patent/JPH1024784A/ja
Publication of JPH1024784A publication Critical patent/JPH1024784A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Vehicle Cleaning, Maintenance, Repair, Refitting, And Outriggers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本課題は、自動車等の車両において、ドライバ
ーの知識にたよることなく、常に運転に係る要因による
異常または異常に近い状況をコンピュータによって把握
して安全運転が実行できるようにした車両及び車両カル
テシステムを提供することになる。 【解決手段】本発明は、内部に設置されたセンサから得
られる運転状況に関する情報を監視し、前記運転に係る
要因において異常の状況または異常に近い状況が発生し
たときこの発生した時間帯よりも前後に広げた時間帯に
おける前記監視された運転状況に関する情報と走行環境
に関する情報とを記憶手段または記録手段に蓄積するコ
ンピュータを備えたことを特徴とする車両及び車両カル
テシステムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、故障や最悪の場合
事故にならないように、常時メインテナンスができるよ
うにした自動車等の車両及び車両カルテシステム並びに
車両メインテナンス方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両を安全に運行するため
に、重要な項目として、車両のコンディションを常に正
常に保つためのメインテナンス(保全)が必要である。
従来、車両のメインテナンスは、主に整備工場で行われ
ドライバーとは別な人間(整備技術者)が、該当車両に
指定のマニュアルに基づいて整備・点検を行っていた。
そのため、整備工場の担当者(整備技術者)は、ドライ
バーから整備・点検に必要な確実な情報を入手する必要
がある。この確実な情報として、例えばドライバーが車
両にトラブルが生じたのを自覚した際、そのトラブルの
状況やトラブルが発生した場所等をドライバーは整備・
点検するまで正確に記憶しておくことが必要となる。し
かしながら、ドライバーがトラブルの状況やトラブルが
発生した場所等を正確に記憶していたとしても、ドライ
バーは一般に車両の構造に関してはそれほど精通してい
るものではないため、整備・点検に必要な情報を、整備
工場の担当者(整備技術者)に確実に伝えることは、現
実には困難な状況であった。これに対応するために、車
両にはエンジンの水温、油温の異常を表示するワーニン
グランプが装備されているが、これだけでは例えば車両
のブレーキやハンドル等の運転の状況を把握することは
困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、整
備工場の担当者(整備技術者)は、車両から直接異常と
思われる状況における運転の状況に関する情報を入手す
ることはできず、ドライバーから伝えられる不確実な情
報を当てにせざるを得ない状況であった。そのため、規
定の定期点検や車検において、整備工場の担当者(整備
技術者)は、指定のマニュアルを頼りにして全ての点に
ついて整備・点検をせざるをえなかった。また規定の定
期点検や車検以外においては、車両に異常が生じた場合
でも、ドライバーがその異常に気付かない限りは車両は
そのまま走り続けことになり、安全性の点で課題を有す
ることになった。
【0004】本発明の目的は、上記課題を解決すべく、
自動車等の車両において、ドライバーの知識にたよるこ
となく、常に運転に係る要因による異常または異常に近
い状況をコンピュータによって把握して安全運転が実行
できるようにした車両及び車両カルテシステムを提供す
ることになる。また本発明の他の目的は、自動車等の車
両の運転に係る要因の異常もしくは異常の前触れとなる
情報を正しくドライバーまたは整備技術者に伝え、緊急
度に応じて車両のメインテナンスを実行して常に安全運
転が保たれるようにした車両及び車両カルテシステム並
びに車両メインテナンス方法を提供することにある。ま
た本発明の他の目的は、携帯型情報端末装置を用いて自
動車等の車両に係るメンテナンス情報を早期に得られる
ようにして緊急度に応じて車両のメインテナンスを容易
に実行できるようにして常に安全運転が保たれるように
した車両及び車両カルテシステムを提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、内部に設置されたセンサから得られる運
転状況に関する情報を監視し、前記運転に係る要因(ハ
ンドル、ブレーキ、アクセル、エンジン自体等)におい
て異常の状況または異常に近い状況が発生したとき少な
くとも前記監視された運転状況に関する情報を記憶手段
または記録手段に蓄積するコンピュータを備えたことを
特徴とする自動車等の車両である。また本発明は、内部
に設置されたセンサから得られる運転状況に関する情報
を監視し、前記運転に係る要因(ハンドル、ブレーキ、
アクセル、エンジン自体等)において異常の状況または
異常に近い状況が発生したとき少なくとも前記監視され
た運転状況に関する情報と走行環境に関する情報とを記
憶手段または記録手段に蓄積するコンピュータを備えた
ことを特徴とする自動車等の車両である。また本発明
は、内部に設置されたセンサから得られる運転状況に関
する情報を監視し、前記運転に係る要因において異常の
状況または異常に近い状況が発生したときこの発生した
時間帯よりも前後に広げた時間帯における前記監視され
た運転状況に関する情報を記憶手段または記録手段に蓄
積するコンピュータを備えたことを特徴とする自動車等
の車両である。
【0006】また本発明は、内部に設置されたセンサか
ら得られる運転状況に関する情報を監視し、前記運転に
係る要因において異常の状況または異常に近い状況が発
生したときこの発生した時間帯よりも前後に広げた時間
帯における前記監視された運転状況に関する情報と走行
環境に関する情報とを記憶手段または記録手段に蓄積す
るコンピュータを備えたことを特徴とする自動車等の車
両である。また本発明は、内部に設置されたセンサから
得られる運転状況に関する情報を監視し、この監視され
た運転状況に関する情報に基づいて異常診断を行って前
記運転に係る要因において異常の状況または異常に近い
状況が発生したことを検知し、この検知に基づいて何ら
かの要因において異常の状況または異常に近い状況が発
生したとき少なくとも前記監視された運転状況に関する
情報を記憶手段または記録手段に蓄積するコンピュータ
を備えたことを特徴とする自動車等の車両である。また
本発明は、内部に設置されたセンサから得られる運転状
況に関する情報を監視し、この監視された運転状況に関
する情報に基づいて異常診断を行って前記運転に係る要
因において異常の状況または異常に近い状況が発生した
ことを検知し、この検知に基づいて何らかの要因におい
て異常の状況または異常に近い状況が発生したとき少な
くとも前記監視された運転状況に関する情報と走行環境
に関する情報とを記憶手段または記録手段に蓄積するコ
ンピュータを備えたことを特徴とする自動車等の車両で
ある。
【0007】また本発明は、内部に設置されたセンサか
ら得られる運転状況に関する情報を監視し、前記運転に
係る要因において異常の状況または異常に近い状況が発
生したとき少なくとも前記監視された運転状況に関する
情報を記憶手段または記録手段に蓄積し、この蓄積され
た情報に基づいて解析してメンテナンス情報を得て出力
するコンピュータを備えたことを特徴とする自動車等の
車両である。また本発明は、内部に設置されたセンサか
ら得られる運転状況に関する情報を監視し、前記運転に
係る要因において異常の状況または異常に近い状況が発
生したとき少なくとも前記監視された運転状況に関する
情報と走行環境に関する情報とを記憶手段または記録手
段に蓄積し、この蓄積された情報に基づいて解析してメ
ンテナンス情報を得て出力するコンピュータを備えたこ
とを特徴とする自動車等の車両である。また本発明は、
前記自動車等の車両において、前記コンピュータに、表
示機能を有する携帯情報端末を接続可能に構成したこと
を特徴とする。また本発明は、前記自動車等の車両にお
いて、前記コンピュータに、表示機能と入力機能を有す
る携帯情報端末を接続可能に構成し、該携帯情報端末に
おいて前記記憶手段または記録手段に蓄積した情報を閲
覧可能であることを特徴とする。また本発明は、前記自
動車等の車両において、前記記憶手段または記録手段に
蓄積した情報は、複数の項目を同時に記録したものであ
って、取得した時刻に於ける該項目及び過去に蓄積した
情報を総合的に解析可能であることを特徴とする。
【0008】また本発明は、前記自動車等の車両におい
て、前記記憶手段または記録手段に蓄積された情報を表
示するための表示手段を前記コンピュータに接続したこ
とを特徴とする。また本発明は、前記自動車等の車両に
おいて、前記記憶手段または記録手段に蓄積された情報
の内、少なくとも所望の情報を読出して記録または記憶
する記録媒体または記憶媒体を着脱可能に前記コンピュ
ータに接続して構成したことを特徴とする。また本発明
は、前記自動車等の車両において、前記コンピュータは
カーナビゲーションの機能を有することを特徴とする。
また本発明は、車両から得られる少なくとも運転に係る
要因において異常の状況または異常に近い状況が発生し
たときの運転状況に関する情報を解析して前記車両のメ
インテナンス情報を得てそれを出力するメインテナンス
コンピュータを備えたことを特徴とする車両カルテシス
テムである。また本発明は、車両から得られる少なくと
も運転に係る要因において異常の状況または異常に近い
状況が発生したときの運転状況に関する情報と走行環境
に関する情報とを解析して前記車両のメインテナンス情
報を得てそれを出力するメインテナンスコンピュータを
備えたことを特徴とする車両カルテシステムである。
【0009】また本発明は、車両から得られる少なくと
も運転に係る要因において異常の状況または異常に近い
状況が発生したときの運転状況に関する情報を解析して
前記車両のメインテナンス情報を得てそれを出力し、緊
急を要する場合にはその旨を前記車両に送信するメイン
テナンスコンピュータを備えたことを特徴とする車両カ
ルテシステムである。また本発明は、車両から得られる
少なくとも運転に係る要因において異常の状況または異
常に近い状況が発生したときの運転状況に関する情報と
走行環境に関する情報とを解析して前記車両のメンテナ
ンス情報を得てそれを出力し、緊急を要する場合にはそ
の旨を前記車両に送信するメンテナンスコンピュータを
備えたことを特徴とする車両カルテシステムである。ま
た本発明は、車両から得られる少なくとも運転に係る要
因において異常の状況または異常に近い状況が発生した
ときの運転状況に関する情報を解析して前記車両のメイ
ンテナンス情報を得てそれを出力し、早期点検が必要な
場合にはその旨を前記車両またはドライバーが住んでい
る家に送信するメインテナンスコンピュータを備えたこ
とを特徴とする車両カルテシステムである。
【0010】また本発明は、車両から得られる少なくと
も運転に係る要因において異常の状況または異常に近い
状況が発生したときの運転状況に関する情報と走行環境
に関する情報とを解析して前記車両のメンテナンス情報
を得てそれを出力し、早期点検が必要な場合にはその旨
を前記車両またはドライバーが住んでいる家に送信する
メンテナンスコンピュータを備えたことを特徴とする車
両カルテシステムである。また本発明は、前記車両カル
テシステムにおいて、解析結果を、車両のコンピュータ
に転送してドライバーに提示することを特徴とする。ま
た本発明は、前記車両カルテシステムにおいて、情報の
解析結果により車両が故障する前兆を示している場合に
は、その旨を車両のコンピュータに転送してドライバー
に車両の即時停止を指示することを特徴とする。また本
発明は、前記車両カルテシステムにおいて、情報の解析
結果により車両が故障する前兆を示している場合には、
その旨を車両のコンピュータに転送してドライバーに近
隣の整備工場に行くよう勧告を行うことを特徴とする。
また本発明は、内部に設置されたセンサから得られる運
転状況に関する情報を監視し、前記運転に係る要因にお
いて異常の状況または異常に近い状況が発生したとき少
なくとも前記監視された運転状況に関する情報を記憶手
段または記録手段に蓄積するコンピュータを備えた車両
から前記記憶手段または記録手段に蓄積された運転状況
に関する情報を、メインテナンスコンピュータに転送
し、前記メインテナンスコンピュータは転送を受けた運
転状況に関する情報を解析して前記車両のメインテナン
ス情報を得てそれを出力し、この出力されたメインテナ
ンス情報に基づいて前記車両に対してメインテナンスを
施すことを特徴とする車両メインテナンス方法である。
【0011】また本発明は、前記車両メインテナンス方
法において、車両の現在位置を車両に搭載したナビゲー
ション機能を基に、車両に搭載したコンピュータから、
他のコンピュータに転送し、車両の停車位置にサービス
カー等の派遣の手配を行うことを特徴とする。また本発
明は、車両に発生した揺れ等のあらかじめ設定された通
常値を越える情報をトリガとし、これが発生した時に車
両の各所に設けられたセンサから検知されるハンドルの
切り方、ブレーキの踏み方、アクセルの開ける量、その
他アンチロックブレーキシステム等から得られたブレー
キの実際の効きのバランスデータ、エンジンの水温、油
温等の状況、並びにGPS等の現在位置測定システムか
ら得られた車両が走行している場所の標高等の情報を記
憶手段または記録手段に蓄積する車両コンピュータを車
両に有し、前記記憶手段または記録手段に蓄積された情
報を読出して整備工場のコンピュータに渡して(転送し
て)、メインテナンスの指針とすることを特徴とする。
また本発明は、運転に係る要因において通常値をはるか
に越えた危険な値(異常な値)が所定の頻度で発生した
とき、直ちにこれを通信手段により整備工場のメインテ
ナンスコンピュータに転送し、整備工場のメインテナン
スコンピュータはこれを解析し、この解析結果において
メインテナンスが必要な場合には通信手段を用いて車両
のコンピュータに転送して警告を発し、直ちに例えば最
寄りの整備工場に行くような指示を出してメインテナン
スを実行することを特徴とする。
【0012】以上説明したように、前記構成により、自
動車等の車両において、ドライバーの知識にたよること
なく、常に運転に係る要因による異常または異常に近い
状況をコンピュータによって把握することによって、ド
ライバーが関知しない状況での故障を未然に検知するこ
とができ、その結果そのまま走り続けるのを防止して安
全運転を実行することができる。また前記構成により、
自動車等の車両の運転に係る要因の異常もしくは異常の
前触れとなる情報を正しくドライバーまたは整備技術者
に伝え、緊急度に応じて車両のメインテナンスを実行し
て常に安全運転を保つことができる。また前記構成によ
り、携帯型情報端末装置を用いて自動車等の車両に係る
メンテナンス情報を早期に得られるようにして緊急度に
応じて車両のメインテナンスを容易に実行できるように
して常に安全運転を保つことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車両カルテシ
ステムの実施の形態について図面を用いて具体的に説明
する。図1は、本発明に係る車両カルテシステムの全体
の構成を示すブロック図である。自動車8には車載コン
ピュータ9が搭載されており、ここには自動車8の受け
た加速度Gや、ハンドル、アクセル、ブレーキ、エンジ
ン等の情報を検出する各種センサ10からの情報が入力
される。入力された情報はその内容によって記憶装置1
1に蓄積される。また、同時にGPS(Global Positio
ning System:グローバル ポジショニング システム
(カーナビゲーション)12から得られた自動車の走行
環境(場所、標高等)も同時に蓄積することができる。
通常の自動車のメインテナンスは、自動車を運転するド
ライバー6が、直接自動車の状況を感じ取り、メカニッ
ク(整備技術者)4に口頭や文書で伝えることで、自動
車の状況をメカニック4に伝え、メカニック4はその状
況より自動車の異常を発生する原因を検討し、その部分
の修理を行う。本発明では、車載コンピュータ9は記憶
装置11に蓄積した自動車の運転状況を示すデータを、
自動車の点検時に整備工場に於いて、ICカードのよう
な着脱可能な記憶装置(記憶媒体)3に前記情報をコピ
ーし、この記憶装置3をメインテナンスコンピュータ1
に接続することで自動車の状況を示すデータを整備工場
のメインテナンスコンピュータ1に送る。自動車の整備
を担当するメカニック(整備技術者)4は、メインテナ
ンスコンピュータ1に送られてきた情報を元に、自動車
のメインテナンスを行う。また、メインテナンスコンピ
ュータ1を経由せずに、車載コンピュータ9と接続可能
な表示機能および入力機能を持つ携帯情報端末(以下P
DA(Personal Digital Assistant)と呼ぶ)5に、前
記自動車の状況を示すデータをコピーし、これをPDA
上で表示することでメカニック4に情報を提示し、自動
車の状況をメカニック4に伝達する。また、携帯電話回
線7及び公衆電話回線2を用いて、整備の事前に自動車
に関する情報を整備工場に送ることも出来る。
【0014】メインテナンスコンピュータ1が受信した
自動車の状況を示す情報が、自動車の異常を示すもので
あれば、車載コンピュータ9は直ちに、自動的もしくは
ドライバーの許可を得た時点で携帯電話回線7を用い、
公衆電話回線2を経由して、整備工場のメインテナンス
コンピュータ1に送る。メインテナンスコンピュータ1
は自動的に、もしくは転送された情報をメカニック4に
提示し、自動車8に緊急度の高い異常が発生したと判断
した場合には、公衆電話回線2から携帯電話回線7を通
じて、自動車8に搭載された車両コンピュータ9に送信
してモニター36や携帯情報端末5等に出力して表示等
して運転中のドライバー6に対して、異常の発生を勧
告、即時その場に停車するか、近隣の整備工場に早急に
行くように指示を出す。メインテナンスコンピュータ1
には、様々な自動車の車両コンピュータ9から異常と診
断されたときの前後を含めた時間帯における自動車の運
転に関係する情報が転送されてくることになり、それら
が外部記憶装置(図示せず)に格納されることになる。
従って、メインテナンスコンピュータ1の外部記憶装置
には、様々な自動車の車両コンピュータ9から異常と診
断されたときの前後を含めた時間帯における自動車の運
転に関係する情報が蓄積されていくことになる。またこ
の外部記憶装置には、様々な車種に応じた運転に関係す
る特性値のデータベースおよび様々な車種に応じた異常
診断データベースも構築され、更に様々な車種に応じた
整備・点検のマニアルも格納されている。そして、メイ
ンテナンスコンピュータ1のプログラムメモリ(図示せ
ず)には、車種に応じたメインテナンス解析プログラム
も記憶されている。従って、メインテナンスコンピュー
タ1の外部記憶装置には、様々な自動車の車両コンピュ
ータ9から異常と診断されたときの前後を含めた時間帯
における自動車の運転に関係する情報が蓄積されていく
ことになると共に車種に応じたメインテナンス解析結果
も蓄積される。そしてメインテナンスコンピュータ1
は、ある自動車の車両コンピュータ9から転送されてき
た運転に関係する情報に基づいてメインテナンスが緊急
を要するか否かをまず解析し、緊急を要する場合には、
この旨を該自動車の車両コンピュータ9に送信して運転
中のドライバー6に対して適切な指示を与えることがで
きる。またメインテナンスコンピュータ1は、メカニッ
ク(整備技術者)4に対して整備・点検するための適切
な指示を提供することができる。
【0015】なお、車両コンピュータ9において、異常
と診断されたときの前後を含めた時間帯における自動車
の運転に関係する情報に基づいて、メインテナンスが緊
急を要するか否かの解析を行えるようにした方が、直ち
にドライバーにその旨を伝えることができる。図2は、
自動車に実際に発生する状況と、そのデータの内容の例
を示した説明図である。図2(a)は、自動車を上から
見た図であり、自動車内の矢印は進行方向である。ここ
で右前輪のブレーキが効きすぎるという異常がある場
合、ブレーキを踏んだときに自動車は直進中でも右に回
ろうとする動きをする。図2(b)は、自動車に発生し
た異常を、自動車自身が受けた横加速度Gをイベントと
して、このときの状況を車載コンピュータ9により例え
ば記憶装置11に記録するデータの例である。図2
(a)で示した如く、右前輪のブレーキが効きすぎると
き、車には左方向の横加速度Gが発生する。なお、自動
車自身が受けた横加速度Gは、加速度センサから直接検
出してもよいし、またセンサで検出されるハンドルに加
わる力に基づいて車載コンピュータ9において算出する
こともできる。ここでは、左方向の横加速度Gが0.3
Gかかったときの自動車の状況を、車載コンピュータ9
によりデータとして例えば記憶装置11に蓄積する。ハ
ンドルの向きは中立であり、自動車が直進していること
を示す。またアクセルは0%であり、アクセルは全く踏
んでいない。そしてブレーキは20%であり、ややブレ
ーキを踏んでいる状況を示す。参考データとして取得可
能であれば、路面の摩擦係数μを車載コンピュータ9に
より例えば記憶装置11に記録し(記憶し)、ブレーキ
ロックの発生等の情報として利用することができる。路
面の摩擦係数μについても、既知の自動車の重量につい
て入力されているので、ブレーキの掛け具合に基づく自
動車の速度変動をセンサから検出することにより車載コ
ンピュータ9において算出して取得することができる。
このような状況下では、車載コンピュータ9はハンドル
がまっすぐ(中立)にも係わらず、車には左方向への加
速度Gが働いており、それがブレーキを踏んだときに発
生していることがわかる。これより車載コンピュータ9
は右前輪のブレーキの効きすぎが原因と推測することが
できる。また、右方向に0.5Gの横Gがかかったとき
の状況データは、ハンドルを左に10%切っており、ア
クセルも10%程開けているため、車が左カーブに差し
かかっている状態であるため、右方向に加速度Gがかか
るのは当然であるため、車載コンピュータ9は格別問題
となる情報ではないと判断する。後述するように、車載
コンピュータ9が例えば記憶装置11に対して実際に蓄
積する情報からは、この情報は削除される。
【0016】図2(c)は、車載コンピュータ9または
メインテナンスコンピュータ1において、右前輪ブレー
キが効きすぎるという現象から、故障診断プログラムに
基づいて実際に自動車のどこに問題があるかを探ってい
く探索フローを示す。自動車が左右に振られる現象から
は、前輪ブレーキバランスの他に、パワーステアリング
の異常、ドライバーのハンドリングの悪さ、タイヤの空
気圧、タイヤハブのガタ等の原因が挙げられる。ここで
は、図2(b)の説明の如く、前輪のブレーキバランス
に問題があるので、次にその詳細な原因について故障診
断プログラムに基づいて探っていく。前輪のブレーキバ
ランスの不良の原因として、ブレーキ自体の問題、そし
てタイヤホイールとハブが何らかの原因によって歪み、
接触を起こしてブレーキとなっている場合、また左タイ
ヤの極端な磨耗による相対的に右タイヤの接地力が上が
ってブレーキが効きすぎるという現象となる場合等があ
る。この他にも図示しないがアンチロックブレーキシス
テムのような、ブレーキの電子制御システムの異常等が
挙げられる。ここでハブの接触や、タイヤ磨耗は、後述
するエンジンの効率などの他の情報より可能性が低いと
判断出来るので、今回の異常はブレーキ自体に異常があ
ることがわかる。そこで次はブレーキ自体のブレーキパ
ッドや、ブレーキ液のいずれかの異常を検討すれば良
く、ここで実際に自動車をメインテナンスすれば、自動
車の他の部分も含めて捜すことなく、素早く目的の場所
を捜し出し、修理することが出来る。
【0017】図3は、本発明に係る車両カルテシステム
の車載コンピュータ=携帯型情報端末装置の一実施の形
態を示すブロック図である。CPU31のバス39を中
心に、図示のような各種機器が接続されている。メモリ
11は、車載コンピュータ9の記憶装置であり、車両の
運転状況を示す車両挙動ログデータ11aと、図2
(c)で示した自動車の故障も含む異常または異常に近
い状況(通常値をはるかに所定の頻度で越えた状況)を
診断するための異常診断データベース11bが記憶され
ている。ところで、自動車の構造・動作、即ち車種によ
って各種センサ10から検出される運転に係る特性値
(例えば図7および図8に示す)は異なってくるので、
異常で有るか否かの判断基準も異なってくることにな
る。そこで、異常診断データベース11bとして、予め
自分自身の自動車の構造・動作、即ち車種に合わせて入
力して構築しておくことが必要となる。通常車両運転状
況入手用各種センサ10から入力された情報は、センサ
I/F32を通して車両挙動ログデータ11aに記憶さ
れる。しかし、各種センサ10で検出される運転に関係
する情報を全て車両挙動ログデータ11aとして記憶装
置11に記憶するには、記憶装置11の記憶容量を厖大
にしなければならなくなる。そこで、各種センサ10で
検出される運転に関係する情報の内、図11(a)に示
すようにドライバーが感知していない場合も含めて異常
診断データベース11bに基づいて異常と判断されたイ
ベント発生時間Teの前後を含めた車両情報記録時間T
rの間の情報を車両挙動ログデータ11aとして記憶装
置11に記憶すれば、記憶装置11の記憶容量を低減す
ることができる。そして記憶されたログデータ11a
は、自分自身の自動車の構造・動作、即ち車種に合った
異常診断データベース11bに基づいて、入力された車
両の挙動が異常に値するかどうかを判断して、必要に応
じてディスプレイ36によりドライバーに提示、またモ
デム等の変・復調回路35を通して通信用の信号に変換
された後、通信手段34を通して整備工場に転送され
る。車載コンピュータ9は、車内ではリモコンI/F3
7を通して、図4に示すリモコン装置40から入力され
て制御される。また、ICカードI/F37により、車
両挙動ログデータ11aをICカード(着脱可能な記憶
装置)3にコピーして、整備工場のメインテナンスコン
ピュータ1に転送することも出来る。さらに、車載コン
ピュータ9のディスプレイ36を直接整備工場の担当者
が見ることにより、車両挙動ログデータ11aを担当者
に渡すことが出来る。また、自動車にGPS12及び位
置検出手段33が設けられているときは、車載コンピュ
ータ9が各種センサ10から入力された情報と併せて、
情報を入手した時点での自動車の場所、標高等の情報も
記録することが出来る。ここで位置検出手段33は、G
PS12からの人工衛星による座標情報だけでなく、各
種センサ10のうちの自動車の走行距離、自動車自身が
受けた横加速度Gを入力して、これを元にGPS12に
より得られた座標を補正して、より正しい座標値とし
て、自動車の現在位置を把握することが出来る。また、
本車載コンピュータ9は、カーナビゲーションシステム
を構成し、そのコンピュータを利用して、本車両カルテ
システムを構築するという形態をとっても良い。
【0018】図4は、本発明に係る車両カルテシステム
における機器構成の一実施の形態を示す説明図である。
車載コンピュータ9には車両状況センサ10より自動車
の状況を示す情報が入力される。この情報は車載コンピ
ュータ9内で必要な解析が行われた後、その結果がモニ
ター36に表示される。モニター36は通常はカーナビ
ゲーションシステムと同様に自動車のダッシュボードや
等に固定されている。車内ではリモコン40により車載
コンピュータ9を操作制御する。車載コンピュータ9に
は携帯電話41が接続され、図3にて前記した車両挙動
ログデータ11aを図示しない整備工場のメインテナン
スコンピュータ1に向けて送信することが出来る。ま
た、車両挙動ログデータ11aをICカード3にコピー
し、整備工場に於いて、整備工場のメインテナンスコン
ピュータ1に入力することも出来る。本実施の形態で
は、車載コンピュータ9は、PDA(Personal Digital
Assistant:携帯情報端末)ドッキングステーション4
2を有し、PDA5に対して直接車両挙動ログデータ1
1aをコピーすることが出来る。このPDA5は、車載
目的専用である必要はなく、例えば電子手帳やノートパ
ソコンでも良いが、車両挙動ログデータ11aを格納、
表示等を行うアプリケーションプログラムが載っている
ものである。PDA5への車両挙動ログデータ11aの
コピーは、前記したICカード3を用いても良く、これ
により(PDA5により)自動車に固定されたモニター
36ではなく、自動車の周りや、整備工場の事務所な
ど、車内と異なる場所でも車両挙動ログデータを閲覧す
ることが出来る。このことは例えば整備担当者が、PD
A5の画面に車両挙動ログデータを表示することによ
り、車両挙動ログデータを見ながら、同時にエンジンル
ームをチェックするという作業に於いて、データを見る
ためにいちいち特定のモニターの場所まで行く必要がな
く、作業効率を上げる効果を持つ。
【0019】図5は、本発明に係る車両カルテシステム
における自動車走行中の動作フローチャートの一実施の
形態を示す図である。即ち、走行中50は、自動車のキ
ーがONになっている状態で、走行時、停車時等の全て
を含む。この間、本フローチャートの全ての手順を繰返
す。走行中にドライバー6が車に異常を感じた(ステッ
プ51)時、ドライバー6はその異常が、ブレーキがお
かしいのか、車体がぶれるのか、まっすぐ走らないのか
等の主観判断(ステップ52)により、リモコン40等
の入力手段を用いて車載コンピュータ9に対して該当す
る項目のデータ取得フラグをONにする(ステップ5
3)。走行中50において、通常時は車載コンピュータ
9は通常項目ログ取得を行う(ステップ54)。車載コ
ンピュータ9における通常項目ログ取得は、各種センサ
10から車体センサ信号を取得し(ステップ55)、そ
の信号の中で図2(b)に示した例えば一定量以上の横
加速度Gを検出した等の所定イベントが発生(ステップ
56)したときに、車体センサ信号からの情報をログ取
得する(ステップ57)。ここで、ログバッファ(記憶
装置)11が一杯になった(ステップ58)時は、最新
の情報をログ上書き(ステップ59)して、過去のログ
は削除する。これによりログバッファ(記憶装置)11
に記憶されて最終的に整備工場に渡す情報は、この自動
車の最新の挙動を示す情報となる。もし、ログバッファ
(記憶装置)11が一杯になって、最新の情報をログ上
書きして過去のログデータを削除できない場合には、過
去のログデータを通信手段を用いてメインテナンスコン
ピュータ1に送信すればよい。
【0020】次に車載コンピュータ9は特定項目ログ取
得(ステップ60)を行う。データ取得フラグがONに
なった項目を特に重点的に測定するために、車載コンピ
ュータ9はフラグのONのチェックを行い(ステップ6
1)、該当する項目、ここではブレーキが効きすぎてロ
ックしてしまう状況を調べるために、ブレーキロック情
報、具体的には例えばアンチロックブレーキのアクティ
ブとなる状態を重点的に取得する(ステップ62)。こ
こでログバッファ(記憶装置)11が一杯になったとき
(ステップ63)、車載コンピュータ9はログデータを
捨てずに、まずログ圧縮(ステップ64)を行い、整備
工場のメインテナンスコンピュータ1に転送する(ステ
ップ65)。そして整備工場のメインテナンスコンピュ
ータ1からの指示を受けて、車載コンピュータ9は必要
に応じてドライバー6に対して整備工場持込みを勧告す
る(ステップ66)。車載コンピュータ9が通常項目や
特定項目で取得したログデータについて、ドライバー6
がリモコン40等の入力手段を用いて情報開示を希望し
た場合(ステップ67)には、車載コンピュータ9は取
得情報を見やすく整理し(ステップ68)、整理した情
報をモニター36に表示する(ステップ69)。
【0021】図6は、本発明に係る車両カルテシステム
における車載コンピュータ9及び整備工場のメインテナ
ンスコンピュータ1の動作フローチャートの一実施の形
態を示す図である。図6(a)は車載コンピュータ9の
動作を示す。即ち、車載コンピュータ9が自動車に搭載
した各種センサー10から加速度Gや、ハンドル、アク
セル、ブレーキ、エンジン等の運転に関する情報が検出
されて異常診断データベース11bに基づいて運転に係
る要因の異常を検出したら(認識されたら)(ステップ
70)、まず車載コンピュータ9は異常が検出された要
因のデータに関連する特定項目データの取得を行う(ス
テップ71)。具体的には、異常に関連するデータ項目
を選出し(ステップ72)、図5の52、53に示す如
くこれらの項目に関するフラグをたてる。そして項目の
選択に従って(ステップ73)、関連項目データの詳細
を取得する(ステップ74)。運転に係る要因において
異常が生じたと認識された状況では、車載コンピュータ
9はこの運転に関係する情報を取得する。即ち、例えば
ブレーキを踏んだときに異常な振動が起こるという状況
では、車載コンピュータ9はブレーキの効きに関する情
報を取得する。次に車載コンピュータ9は、取得したデ
ータを整備工場のメインテナンスコンピュータ1に即時
転送し(ステップ75)、図6(b)で説明する如く整
備工場のメインテナンスコンピュータ1から送られてき
た指示に従う(ステップ76)。ドライバーがリモコン
40等の入力手段を用いて自動車に発生した異常に関す
る情報開示を希望した場合(ステップ77)には、車載
コンピュータ9は取得した情報を見やすく整理し(ステ
ップ78)、整理した情報をモニター36に表示する
(ステップ79)。
【0022】図6(b)は、整備工場のメインテナンス
コンピュータ1が自動的に、もしくは担当整備技術者4
に情報を開示して、整備技術者(メカニック)4の判断
を受けて行う動作を示す。まずメインテナンスコンピュ
ータ1は自動車からのデータを受信し(ステップ8
0)、そのデータをメインテナンス解析プログラムに基
づいて解析する(ステップ81)。そしてメインテナン
スコンピュータ1は、受信したデータが不足だったり、
詳細なデータが必要と判断した場合(ステップ82)に
は、指定した特定項目のデータの取得を車載コンピュー
タ9に対して指示する(ステップ83)。そしてメイン
テナンスコンピュータ1は、車載コンピュータ9から得
られた情報により、自動車の異常が深刻であり、即時メ
インテナンスが必要であれば(ステップ84)、公衆電
話回線2や無線等の通信手段を用いてモニター36や携
帯情報端末5に表示する等して自動車に対して所定の指
示を行う。特にメインテナンスコンピュータ1が緊急を
要すると判断した場合(ステップ85)には、即時停車
をモニター36や携帯情報端末5に表示する等してドラ
イバーに対して指示し、公衆電話回線2や無線等の通信
手段を用いて該当車両の場所確認、そしてサービスカー
の派遣手続きを行う(ステップ86)。メインテナンス
コンピュータ1が異常が深刻ではあるがまだ走行が出来
る状態であると判断した場合には、メインテナンスコン
ピュータ1は、公衆電話回線2や無線等の通信手段を用
いて自動車内のモニター36や携帯情報端末5に表示し
たり、ドライバーが住んでいる家に連絡してドライバー
に最寄りの整備工場に行くよう指示を出し、公衆電話回
線2や無線等の通信手段を用いて該当車両の場所確認、
そして最寄りの工場を選択し、その場所をドライバーに
指示し、その工場に、受信した自動車の状態を示す解析
データを転送する(ステップ87)。メインテナンスコ
ンピュータ1が自動車の異常が特に緊急ではないが、出
来るだけ早期の点検が必要だと判断した場合(ステップ
88)には、車載コンピュータ9とメインテナンスコン
ピュータ1の間で、スケジュール調整を行い、入庫可能
日を指定して返答を貰う(ステップ89)。この時、車
載コンピュータ1に図4で示したドライバー個人が所有
する電子手帳のような個人スケジュール管理を行うPD
A5が接続されている場合には、車載コンピュータ1が
自動的にPDA内の個人スケジュールをドライバーに提
示、空いている日付・時間を提案して、ドライバーに入
庫可能日を選択させ、整備工場に連絡することが出来
る。
【0023】以上説明したように、メインテナンスコン
ピュータ1には、様々な自動車の車両コンピュータ9か
ら異常と診断されたときの前後を含めた時間帯における
自動車の運転に関係する情報が転送されてくることにな
り、それらが外部記憶装置(図示せず)に格納されるこ
とになる。従って、メインテナンスコンピュータ1の外
部記憶装置には、様々な自動車の車両コンピュータ9か
ら異常と診断されたときの前後を含めた時間帯における
自動車の運転に関係する情報が蓄積されていくことにな
る。またこの外部記憶装置には、様々な車種に応じた運
転に関係する特性値のデータベースおよび様々な車種に
応じた異常診断データベースも構築され、更に様々な車
種に応じた整備・点検のマニアルも格納されている。そ
して、メインテナンスコンピュータ1のプログラムメモ
リ(図示せず)には、車種に応じたメインテナンス解析
プログラムも記憶されている。従って、メインテナンス
コンピュータ1の外部記憶装置には、様々な自動車の車
両コンピュータ9から異常と診断されたときの前後を含
めた時間帯における自動車の運転に関係する情報が蓄積
されていくことになると共に車種に応じたメインテナン
ス解析結果も蓄積される。そしてメインテナンスコンピ
ュータ1は、ある自動車の車両コンピュータ9から転送
されてきた運転に関係する情報に基づいてメインテナン
スが緊急を要するか否かをまず解析し、緊急を要する場
合には、ステップ87に示すように、この旨を該自動車
の車両コンピュータ9に送信して運転中のドライバー6
に対して適切な指示を与えることができる。またメイン
テナンスコンピュータ1は、自動車の異常が特に緊急で
はないが、出来るだけ早期の点検が必要だと判断した場
合においても、ステップ89に示すようにドライバーと
の間において適切な指示を与えることができる。またメ
インテナンスコンピュータ1は、メカニック(整備技術
者)4に対しても整備・点検するための適切な指示を提
供することができる。
【0024】図7は、本発明に係る車両カルテシステム
において車載コンピュータ9が取得するログデータの第
1の実施の形態を示す図である。即ち、車載コンピュー
タ9が取得する第1の実施の形態のログデータのフォー
マットは、トリガが発生した時刻、気温、場所、該当時
刻からの経過時間を、例えば0.1秒間隔でサンプリン
グして得られた例えば自動車が受けた横加速度G、ハン
ドル向き、ハンドル油圧、ブレーキ量およびアクセル量
からなる。自動車が受けた横加速度Gについては、自動
車の要所に設置された加速度センサーからの信号に基づ
いて自動車の左右に傾く方向(ロール)をR方向、前後
に傾く方向(ピッチ)をP方向、上下軸を中心に回転す
る方向(ヨー)をY方向としてあるが、この他に自動車
の前後場所それぞれに独立して加速度Gの検出を行った
りしても良い。これらの情報の種類の組み合わせは、相
互に算出出来るものであり、自動車の要所に設置された
加速度センサーからの信号から必要なフォーマットを算
出すればよい。次にハンドル向きについてもセンサによ
って検出され、ハンドルの方向を右=R、左=Lで切り
角をパーセント表示する。またハンドル油圧は、実際に
ハンドルを切った力が車輪に伝わっているかどうかを示
す値でセンサによって検出でき、正常であればハンドル
向きとほぼ同じ値を示すが、例えばパワーステアリング
の故障があればステア油圧は低くなったり、位相遅れを
生じる。ブレーキ量は、右前輪=FR、左前輪=FL、
右後輪=RR、左後輪=RLそれぞれに関して、ブレー
キの効き具合をパーセントで示したものであり、ブレー
キ油圧やアンチロックブレーキシステムから情報を入手
する。そしてアクセル量はドライバーがアクセルを踏ん
だ量をパーセントで示したもので、センサによって検出
することができる。自動車の走行状態を示すための情報
を列記したが、この他にも必要な情報があれば、それは
本フォーマットに追加してもよく、逆に不要な情報は削
除をしてもよい。本実施の形態においては、ある時刻1
4:05に於いて、横加速度GのP方向に基準外の入力
が0.3G発生した場合を想定する。データは図11で
後述するが、実際のイベント発生(運転に係る要因にお
ける異常の発生)に先だって記憶装置11に記録されて
おり、ここを基準時刻0として、0.1秒ピッチにて情
報のサンプリングを行う。R方向に加速度Gがかかった
瞬間は、ハンドルを右に10%切っているが、その0.
1秒前にハンドルを3%右に切り始めていることが情報
に現われている。その結果としてR方向の加速度Gが発
生、同時に車が右に曲がっているのでY方向の加速度G
が発生し始めている。0.1秒後にハンドルはさらに1
2%まで切っており、Y方向の加速度Gが0.3まで増
加している、0.2秒後には車が流れて、ハンドルを逆
の左方向に5%切り戻している。同時にブレーキを踏ん
でおりP方向の加速度Gが発生していることが分かる。
そして0.3秒後には自動車の姿勢が落ち着いて加速度
Gの値も減少していることがこれらのデータから分か
る。以上説明した現象を車載コンピュータ9は取得した
ログデータに基づいて判定することができる。
【0025】図8は、本発明に係る車両カルテシステム
において車載コンピュータ9が取得するログデータの第
2の実施の形態を示す図である。本第2の実施の形態で
は、特に自動車のエンジンに関する情報を取得してお
り、データは10秒おきに読み出され、逐次ログデータ
に保存されているが、図5に示す通常項目ログ取得54
に相当するデータであり、ステップ58においてログバ
ッファ11が一杯になれば自動的に次に取得した情報に
より上書きされる。しかし図7で示したような所定の値
を越える入力が発生した(運転に係る要因において異常
が発生した)時刻から、その手前数ステップ(例えば1
分前)から、所定の値が基準値まで戻るまでをログとし
て取得し、図6に示した如く即時整備工場のメインテナ
ンスコンピュータ1に転送する。即ち、車載コンピュー
タ9が取得する第1の実施の形態のログデータのフォー
マットは、図7と同じ時刻、気温、場所、経過時間に次
いで、この10秒の間の平均アクセル量をパーセント
で、燃料のエンジン内への吸入量を最大値に対する比率
で、同じく空気の吸入量をパーセントで、そしてエンジ
ンの平均回転数、エンジンが受けた負荷、燃料消費率を
毎分当たりの体積で取得される。ここで例えばアクセル
量が多く、負荷も多いに係わらず空気流入量が減ってい
る場合には、エアインテークに何かがかぶさったり、エ
アフィルターが汚れて空気透過量が減った等の異常を示
す値として取得することが出来る。
【0026】図9は、本発明に係る車両カルテシステム
において車載コンピュータ9が取得するログデータの第
3の実施の形態を示す図である。本第3の実施の形態は
図8で示したエンジンに関する情報を書き換えたもので
あるが、車載コンピュータ9が走行距離の情報を用い
て、一定距離(10km)毎の区間燃費を算出してい
る。自動車の燃費という形でコンディションを記録し、
場所データとの組み合わせにより、特定の高度や上り坂
等の状況下での燃費を把握することが出来る。
【0027】図10は、本発明に係る車両カルテシステ
ムにおいて車載コンピュータ9と整備工場との連携によ
るオンラインメインテナンスの一実施の形態を示したブ
ロック図である。自動車8に搭載された車載コンピュー
タ9は、各種センサ10やエンジンの制御コンピュータ
44から得られる情報43を記憶装置11に記録(記
憶)して、必要に応じて取得情報43をモニター36上
に表示を行う。そして、自動車に異常が発生した場合
や、異常ではないが例えば高地での長期使用中で、エン
ジンの微調整により性能や動作効率を上げることが必要
と判断した場合には、車載コンピュータ9は取得情報4
5を整備工場のメインテナンスコンピュータ1に転送す
る。通常は整備工場においてメインテナンスコンピュー
タ1に接続されたモニター(表示手段)に表示された情
報46を、整備するメカニック4が見て、必要な調整作
業を自動車に対して行うが、上記したような整備工場が
自動車の近くになく、且つエンジン制御コンピュータ4
4の調整等のリモートコントロールによる調整が可能な
場合は、整備工場のメインテナンスコンピュータ1が、
公衆電話回線2等の通信手段を用いて自動車8の車載コ
ンピュータ9に対して調整情報47を転送する。調整情
報47を受けた自動車8の車載コンピュータ9はエンジ
ンの制御コンピュータ44に調整情報47を提供し、エ
ンジンの制御コンピュータ44は提供された調整情報を
用いてエンジンを自動調整する。この調整情報として、
例えば高地での長期使用中でエンジンの微調整により性
能や動作効率を上げる場合にはエンジンの制御コンピュ
ータ44は燃料混合比や点火タイミング等の変更を行う
ことで、使用する状況での最適なエンジン性能、動作効
率を得ることが出来る。また車載コンピュータ9が取得
情報43に基づいて異常ではないが例えば高地での長期
使用中で、エンジンの微調整により性能や動作効率を上
げることが必要と判断した場合には、この調整情報を直
接エンジンの制御コンピュータ44に送信してエンジン
を自動調整することもできる。
【0028】図11は、本発明に係る車両カルテシステ
ムにおいて車載コンピュータ9が車両に関する情報を記
録する時間帯を制御する方法と記録装置の一実施の形態
を示した図である。図11(a)は、時間軸に沿って、
運転に係る要因において異常が発生して運転に関係する
情報の取得が必要な時間帯(イベント発生時間帯)Te
と、本発明に係る車両カルテシステムの車載コンピュー
タ9が実際にデータの記録を行う時間帯Trの関係を示
したものである。イベント発生時間Teは、図7で示し
たR方向の横加速度Gが基準より高くなった状態のよう
に、自動車に設置した各種センサ10が自動車の挙動と
して異常な値を検出したことを示している。この時間帯
Teでは実際に自動車に横加速度Gが発生している間の
情報は記録できるが、その原因となる現象は記録の対象
となっていない。本発明に係る車両カルテシステムの車
載コンピュータ9では、イベント発生時間Teよりも広
い時間帯で、イベント発生時間に先だって記録を開始す
るように、車両情報記録時間Trを設定出来るようにな
っている。イベント発生時間Teに対して車両情報記録
時間Trをどれだけ先行させるかは、自動車の大きさ、
運動性等の要素により適当な値に設定することが可能で
ある。
【0029】図11(b)は、このような記録を行うよ
うな記録方式の構成の一実施の形態を示すブロック図で
ある。即ち、各種センサ10からの情報91を一時記録
するリングバッファ92、実際に情報を記録する車両挙
動データログ記憶装置11、そしてこれらをコントロー
ルする記録タイミングコントローラ95で構成されてい
る。リングバッファ92への情報の書込みは、書込みポ
インタ93によって行われ、一単位の書込みが行われる
度に書込みポインタは本図において時計周りに進む。ポ
インタの移動はリングバッファを一周して再び元の場所
に戻ってくるような構成であり、エンドレスに書込みが
行われる。従って一周した後は前回に書込んだデータに
上書きして書込みを行う構成となっているが、リングバ
ッファ一周分は過去の記録が残っている。各種センサ1
0からの情報91は常にリングバッファ92に書込まれ
ているため、リングバッファ一周分のサイズだけは、実
際にログデータとして記録する情報を、時間をさかのぼ
って参照することが出来る。リングバッファ92からの
情報の読み出しは読み出しポインタ94より行われ、読
み出しポインタ94は書込みポインタの位置に対して一
定の長さだけ後を追いかける形でリングバッファ92の
中を時計周りに進んでいる。一定の長さは図11(a)
で説明したイベント発生時間Teに対して車両情報記録
時間Trを先行させる時間に当たる。各種センサ10か
らの情報91は記録タイミングコントローラ95にも送
られており、この出力が一定の値以上となり、自動車の
異常を示す値となったとき、記録タイミングコントロー
ラ95は、車両挙動データログ記憶装置11に対して記
録開始・終了制御信号96により記録開始を指示する。
これにより車両挙動データログ記憶装置11は、読み出
しポインタ94からの情報のログデータとしての記憶を
開始し、書込みポインタの位置が読み出しポインタの位
置よりも先行しているため、実際に自動車の異常を示す
値となる前の各種センサ10からの情報91の記録を行
う。各種センサ10からの情報91が、車の異常を示す
一定の値よりも小さくなった時、記録タイミングコント
ローラ95は、この変化を検出して、その後一定時間、
具体的には書込みポインタと読み出しポインタの時間差
に加えて、余裕を持った時間の経過後に記録開始・終了
制御信号96を用いて、車両挙動データログ記憶装置1
1に、記録の終了を指示する。この構成により、図11
(a)に示したイベント発生時間Teに対して、その前
後一定時間の余裕を持って、車両情報記録時間Trを設
定することが可能となる。以上説明したように、車載コ
ンピュータ9にリングバッファ92と記録タイミングコ
ントローラ95とを備えた場合の実施の形態について説
明したが、車載コンピュータ9内のCPUによってソフ
トによって図11(a)に示す記録方式で実行すること
もできる。即ち、メモリに対して書き込みポイントと読
み出しポイントとを時間的にシフトした形で書き込みと
読み出しとが実行できれば、図11(a)に示す記録方
式を実現することができる。
【0030】図12は、本発明に係る車載コンピュータ
9から取得データを読み出す構成の一実施の形態を示し
たブロック図である。自動車に発生した異常をさらに詳
細に調査するため、整備工場がある特定の情報を入手す
るために、専用のHDD(Hard Disk Drive)カード
(記録媒体または記憶媒体)101を用いて、これを車
載コンピュータ6に装着することで情報の入手を行う。
まず、HDDカード101にはログ取得手順101aが
記録されており、この手順を用いてデータの取得を行
う。この手順は大変特殊なもので一般利用者が閲覧して
はいけないような、エンジンのコンピュータ44の内部
情報の参照を行うための手段である。従って、HDDカ
ード101は、ログ取得手順101aが記録された記録
媒体または記憶媒体であればよい。次に、HDDカード
101にはワークスID101bが記録されており、こ
れが一種のパスワードとなり、車載コンピュータ9のI
D確認手段97に送られる。このパスワードが正規のも
のであれば、先の特殊な手順に基づいて取得されたデー
タ98は、ID確認手段97の許可を得た形で、HDD
カードまたはICカード101内部のログデータエリア
101cに直接書込まれる。通常のログ読み出し手段1
02では、ワークスIDがないので、ID確認手段97
が取得データ98の外部への出力を止めるため、特にエ
ンジン内部の極秘情報に相当するものを、自動車メーカ
ーの整備工場が参照するのに適している。取得データ9
8も車載コンピュータ9の内部の記録装置11ではな
く、整備工場が供与したHDDカード101に直接書込
まれるため、車載車載コンピュータ9にこの情報が残る
こともない。また、図示しないが、HDDカード101
からの情報の読み出しも、HDDカード101の内部に
ID確認手段を有するか、特定の方法で暗号化した形で
ログデータを記録し、整備工場のメインテナンスコンピ
ュータ1との間で同様な手続きを取ることで、仮に第三
者がこのHDDカード101を車載コンピュータ9から
取り出して、情報を読み出そうとしても、読み出すこと
は不可能で、エンジン内部の情報の守秘が行われる。
【0031】図13は、本発明に係る車載コンピュータ
9の情報の整理の方法を示す説明図である。図13
(a)に示す取得データ(取得情報)45は、例えば図
7〜図9に示すような、指定のフォーマットの表形式に
はなるものの、数字の羅列であり、直接の閲覧には適し
ていない情報である。この蓄積情報を、車載コンピュー
タ9またはメンテナンスコンピュータ1によって統計的
なグラフ情報に変換して車載コンピュータ9に接続され
たモニター36またはメンテナンスコンピュータ1に接
続されたモニターに表示することによってドライバー6
または整備する担当者4に見やすく提示する。またドラ
イバー6または整備する担当者4が、車載コンピュータ
9に接続されたモニター36またはメンテナンスコンピ
ュータ1に接続されたモニターに表示された統計的なグ
ラフ情報を見たという情報を、モニター上に表示された
アイコン等を使った確認スイッチをリモコン40やマウ
ス等を用いて操作することによって車載コンピュータ9
またはメンテナンスコンピュータ1に対して回答するこ
とができる。
【0032】図13(b)は、取得したログデータから
ブレーキの踏み込み量とその頻度を示したグラフであ
る。横軸のブレーキ量はここではドライバーが実際にブ
レーキを踏み込んだ量であり、縦軸の頻度は、それぞれ
の踏み込み量で踏み込んだブレーキ操作の回数を示す。
本グラフによれば、比較的小さな大きさのブレーキは適
当な頻度で行っているが、かなり強いブレーキの踏み込
みの回数が大変多いことが分かる。即ち、車載コンピュ
ータ9またはメンテナンスコンピュータ1は、統計的な
グラフ情報に基づいて、ドライバーがかなり急ブレーキ
をかける癖があることを認識することができ、その結果
車載コンピュータ9に接続されたモニター36に例えば
「もっと手前でゆっくりブレーキを踏むような」警告情
報を表示することによって、ドライバーに対して指導を
行うことが出来る。通常ドライバーは急ブレーキをよく
かける人でも、その自覚がないので、このような指導を
受けても聞かないことがあるが、本発明に係る車両カル
テシステムを応用すれば実際の取得したログデータを元
にドライバーに指導を行うことが出来る。また本グラフ
に於いて、さらに小さなブレーキ頻度がほとんどなく
て、且つブレーキ操作に対する自動車が受けるピッチ方
向の加速度Gが小さかった場合、これは、車載コンピュ
ータ9またはメンテナンスコンピュータ1においてドラ
イバーの癖ではなくて、ブレーキ自体の効きが甘いとい
う情報と解釈し、直ちに車載コンピュータ9に接続され
たモニター36またはメンテナンスコンピュータ1に接
続されたモニターに「ブレーキ自体の効きが甘いとい
う」警告情報を表示することによってドライバー6また
は整備技術者4が直ちにブレーキ装置自体のメインテナ
ンスを行うことが出来る。図13(c)は、自動車が受
ける最大横加速度G(ロール方向G)と、その頻度を示
したグラフである。即ち、車載コンピュータ9またはメ
ンテナンスコンピュータ1は、統計的なグラフ情報に基
づいて、このドライバーは最大横加速度Gがかなり大き
な値での運転を行うケースと認識することができ、その
結果車載コンピュータ9に接続されたモニター36に、
図13(b)と同様に、例えば「もっとゆっくりカーブ
に進入するようにという」警告情報を表示することによ
って、ドライバーに対して指導を行うことが出来る。し
かし、車載コンピュータ9は、更にGSP12等から得
られる運転を行う場所の情報や、センサから得られるハ
ンドル操作の情報をかけあわせ、最大横加速度Gが大き
な領域でのドライブについて一般道路ではなく専用のス
ポーツ走行コースでのみ行われておると認識し、更に各
種センサ10やエンジンの制御コンピュータ44から得
られるカーブでの旋回中の逆ハンドルや微妙なアクセル
コントロールを行っているデータを用いて、明らかに一
般道路との走行とは異なるスポーツ走行を行っているこ
とを認識し、図13(c)に示すグラフ情報を編集して
図13(d)に示すようにスポーツ走行を行っている範
囲のデータを非表示とすることで、このドライバーは一
般道路に於いては丁寧な走りをしていることを確認する
ことが出来る。この際、図13(d)に示すグラフ情報
を、必ずしも車載コンピュータ9に接続されたモニター
36に表示する必要はなく、「一般道路に於いては丁寧
な走りをしている旨」の表示に代えることもできる。ま
たドライバーが、車載コンピュータ9に接続されたモニ
ター36に表示された図13(c)に示す自動車が受け
る最大横加速度G(ロール方向G)とその頻度を示した
グラフを見て、最大横加速度Gが大きな領域でのドライ
ブの要因が分かっている場合には、リモコン40等の入
力手段を用いて最大横加速度Gが大きな領域でのデータ
を消去することによって、モニター36に表示された例
えば「もっとゆっくりカーブに進入するようにという」
警告情報を消去することができる。いずれにしても、車
載コンピュータ9に接続されたモニター36に警告情報
が表示された場合、ドライバーは確認情報を、モニター
上に表示されたアイコン等を使った確認スイッチをリモ
コン40やマウス等を用いて操作することによって車載
コンピュータ9またはメンテナンスコンピュータ1に対
して回答することが必要となる。
【0033】図14は、本発明に係る車両カルテシステ
ムにおいて車の異常に対して車載コンピュータ9が自己
診断を行う場合の一実施の形態を示す動作フローチャー
ト図である。即ち、自動車に搭載した各種センサー10
が自動車の異常を検出したら(ステップ111(7
0))、まず車載コンピュータ9は異常を検出したデー
タに関連する特定項目データの取得を行う(ステップ1
12(71))。具体的には、異常に関連するデータ項
目を選出し(ステップ113(72))、図5の52、
53に示す如くこれらの項目に関するフラグをたてる。
そして項目の選択に従って(ステップ114(7
3))、関連項目データの詳細を取得する(ステップ1
15(74))。例えばブレーキを踏んだときに異常な
振動が起こるという状況では、車載コンピュータ9はブ
レーキの効きに関する情報を取得する。ドライバーがリ
モコン40等の入力手段を用いて自動車に発生した異常
に関する情報開示を希望した場合(ステップ116(7
7))には、車載コンピュータ9は取得した情報を見や
すく整理し(ステップ117(78))、整理した情報
をモニター36に表示する(ステップ118(7
9))。
【0034】次に車載コンピュータ9は取得したデータ
を解析プログラムに基づいて解析する(ステップ11
9)。そして車載コンピュータ9は解析に要するデータ
が不足だったり、特定の項目に対する詳細なデータが必
要と判断した場合(ステップ120)には、指定した特
定項目のデータの取得を行う(ステップ121)。具体
的には特定項目データの取得と同じ動作においてデータ
項目の追加を行う。そして車載コンピュータ9は、得ら
れた情報により、自動車の異常が深刻であり、即時メイ
ンテナンスが必要であれば(ステップ122)、その旨
をモニター36に表示する等してドライバーに対して所
定の指示を行う。特に車載コンピュータ9が緊急を要す
ると判断した場合(ステップ123)には、即時停車を
モニター36に表示する等してドライバーに対して指示
し、公衆電話回線2や無線等の通信手段を用いて車両の
場所をサービスセンター等に連絡し、そしてサービスカ
ーの派遣依頼を行う(ステップ124)。車載コンピュ
ータ9が異常が深刻ではあるが、まだ走行ができる状態
であると判断した場合には、車載コンピュータ9は、モ
ニター36に表示する等してドライバーに最寄りの整備
工場に行くよう指示を出し、そして最寄りの工場を選択
し、その場所をモニター36に表示する等してドライバ
ーに指示し、その工場に、公衆電話回線2や無線等の通
信手段を用いて自動車の状態を示す解析データを転送す
る(ステップ125)。車載コンピュータ9が自動車の
異常が特に緊急ではないが、出来るだけ早期の点検が必
要だと判断した場合(ステップ126)には、車載コン
ピュータ9とメインテナンスコンピュータ1の間でスケ
ジュール調整を行い、入庫可能日を指定して返答を貰う
(ステップ127)。この時、車載コンピュータ1に図
4で示したドライバー個人が所有する電子手帳のような
個人スケジュール管理を行うPDA5が接続されている
場合には、車載コンピュータ1が自動的にPDA内の個
人スケジュールをドライバーに提示、空いている日付・
時間を提案して、ドライバーに入庫可能日を選択させ、
整備工場に連絡することが出来る。車載コンピュータ1
において異常の解析が不可能な場合(ステップ128)
には、取得したデータを公衆電話回線2や無線等の通信
手段を用いて整備工場のメンテナンスコンピュータ1に
転送し(ステップ129)、整備工場から送られてきた
指示に従う(ステップ130)。具体的には図6(b)
に示すが如くやり取りを、自動車8と整備工場の間で行
う。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、自動車等の車両におい
て、ドライバーの知識にたよることなく、常に運転に係
る要因による異常または異常に近い状況をコンピュータ
によって把握することによって、ドライバーが関知しな
い状況での故障を未然に検知することができ、その結果
そのまま走り続けるのを防止して安全運転を実行するこ
とができる効果を奏する。また本発明によれば、自動車
等の車両の運転に係る要因の異常もしくは異常の前触れ
となる情報を正しくドライバーまたは整備技術者に伝
え、緊急度に応じて車両のメインテナンスを実行して常
に安全運転を保つことができる効果を奏する。
【0036】また本発明によれば、携帯型情報端末装置
を用いて自動車等の車両に係るメンテナンス情報を早期
に得られるようにして緊急度に応じて車両のメインテナ
ンスを容易に実行できるようにして常に安全運転を保つ
ことができる効果を奏する。また本発明によれば、整備
工場に於いて点検・整備されていた自動車が、その動作
状態のログデータを統計値として蓄積、リアルタイム転
送による迅速な対応により、ドライバーが関知しない状
態での故障も未然に検出し、一般道路通行中の故障によ
る停止、さらに事故の防止も行うことができる効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両カルテシステムの一実施の形
態を示す全体の構成ブロック図である。
【図2】自動車を運転する際に実際に発生する状況と、
そのデータの内容の一実施の形態を示した説明図であ
る。
【図3】本発明に係る車両カルテシステムの車載コンピ
ュータおよび携帯情報端末の一実施の形態を示すブロッ
ク図である。
【図4】本発明に係る車両カルテシステムにおける機器
構成の一実施の形態を示す説明図である。
【図5】本発明に係る車両カルテシステムにおける自動
車走行中の動作フローチャートの一実施の形態を示す図
である。
【図6】本発明に係る車両カルテシステムにおける車載
コンピュータ及び整備工場のメインテナンスコンピュー
タの動作フローチャートの一実施の形態を示す図であ
る。
【図7】本発明に係る車両カルテシステムにおける車載
コンピュータが取得するログデータの第1の実施の形態
を示す図である。
【図8】本発明に係る車両カルテシステムにおける車載
コンピュータが取得するログデータの第2の実施の形態
を示す図である。
【図9】本発明に係る車両カルテシステムにおける車載
コンピュータが取得するログデータの第3の実施の形態
を示す図である。
【図10】本発明に係る車両カルテシステムにおける車
載コンピュータと整備工場との連携によるオンラインメ
インテナンスの一実施の形態を示したブロック図であ
る。
【図11】本発明に係る車両カルテシステムにおける車
両に関する情報を記録する時間帯を制御する方法と記録
装置の一実施の形態を示した図である。
【図12】本発明に係る車載コンピュータから取得デー
タを読み出す手続きの一実施の形態を示したブロック図
である。
【図13】本発明に係る車載コンピュータの情報の整理
の方法を示す説明図である。
【図14】本発明に係る車両カルテシステムにおける車
載コンピュータ及び整備工場のメインテナンスコンピュ
ータの動作フローチャートの他の一実施の形態を示す図
である。
【符号の説明】
1…メインテナンスコンピュータ、2……公衆電話回線 3…ICカード(記憶媒体)、4…メカニック(整備技
術者) 5…PDA(携帯情報端末)、6…ドライバー、7…携
帯電話回線 8…自動車(車両)、9…車載コンピュータ、10…各
種センサ 11…記憶装置(メモリ)、11a…車両挙動ログデー
タ 11b…異常診断データベース 12…GSP(グローバル ポジショニング システ
ム) 31…CPU、36…モニター(ディスプレイ)、33
…位置検出手段 35…変・復調回路、34…通信手段、40…リモコ
ン、41…携帯電話 42…PDAドッキングステーション、44…エンジン
の制御コンピュータ 91…各種センサ情報、92…リングバッファ 95…記録タイミングコントローラ、97…ID確認手
段、98…取得データ 101…HDDカード

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に設置されたセンサから得られる運転
    状況に関する情報を監視し、前記運転に係る要因におい
    て異常の状況または異常に近い状況が発生したとき少な
    くとも前記監視された運転状況に関する情報を記憶手段
    または記録手段に蓄積するコンピュータを備えたことを
    特徴とする車両。
  2. 【請求項2】内部に設置されたセンサから得られる運転
    状況に関する情報を監視し、前記運転に係る要因におい
    て異常の状況または異常に近い状況が発生したとき少な
    くとも前記監視された運転状況に関する情報と走行環境
    に関する情報とを記憶手段または記録手段に蓄積するコ
    ンピュータを備えたことを特徴とする車両。
  3. 【請求項3】内部に設置されたセンサから得られる運転
    状況に関する情報を監視し、前記運転に係る要因におい
    て異常の状況または異常に近い状況が発生したときこの
    発生した時間帯よりも前後に広げた時間帯における前記
    監視された運転状況に関する情報を記憶手段または記録
    手段に蓄積するコンピュータを備えたことを特徴とする
    車両。
  4. 【請求項4】内部に設置されたセンサから得られる運転
    状況に関する情報を監視し、前記運転に係る要因におい
    て異常の状況または異常に近い状況が発生したときこの
    発生した時間帯よりも前後に広げた時間帯における前記
    監視された運転状況に関する情報と走行環境に関する情
    報とを記憶手段または記録手段に蓄積するコンピュータ
    を備えたことを特徴とする車両。
  5. 【請求項5】内部に設置されたセンサから得られる運転
    状況に関する情報を監視し、この監視された運転状況に
    関する情報に基づいて異常診断を行って前記運転に係る
    要因において異常の状況または異常に近い状況が発生し
    たことを検知し、この検知に基づいて何らかの要因にお
    いて異常の状況または異常に近い状況が発生したとき少
    なくとも前記監視された運転状況に関する情報を記憶手
    段または記録手段に蓄積するコンピュータを備えたこと
    を特徴とする車両。
  6. 【請求項6】内部に設置されたセンサから得られる運転
    状況に関する情報を監視し、この監視された運転状況に
    関する情報に基づいて異常診断を行って前記運転に係る
    要因において異常の状況または異常に近い状況が発生し
    たことを検知し、この検知に基づいて何らかの要因にお
    いて異常の状況または異常に近い状況が発生したとき少
    なくとも前記監視された運転状況に関する情報と走行環
    境に関する情報とを記憶手段または記録手段に蓄積する
    コンピュータを備えたことを特徴とする車両。
  7. 【請求項7】内部に設置されたセンサから得られる運転
    状況に関する情報を監視し、前記運転に係る要因におい
    て異常の状況または異常に近い状況が発生したとき少な
    くとも前記監視された運転状況に関する情報を記憶手段
    または記録手段に蓄積し、この蓄積された情報に基づい
    て解析してメンテナンス情報を得て出力するコンピュー
    タを備えたことを特徴とする車両。
  8. 【請求項8】内部に設置されたセンサから得られる運転
    状況に関する情報を監視し、前記運転に係る要因におい
    て異常の状況または異常に近い状況が発生したとき少な
    くとも前記監視された運転状況に関する情報と走行環境
    に関する情報とを記憶手段または記録手段に蓄積し、こ
    の蓄積された情報に基づいて解析してメンテナンス情報
    を得て出力するコンピュータを備えたことを特徴とする
    車両。
  9. 【請求項9】前記コンピュータに、表示機能を有する携
    帯情報端末を接続可能に構成したことを特徴とする請求
    項1または2または3または4または5または6または
    7または8記載の車両。
  10. 【請求項10】前記記憶手段または記録手段に蓄積され
    た情報を表示するための表示手段を前記コンピュータに
    接続したことを特徴とする請求項1または2または3ま
    たは4または5または6または7または8記載の車両。
  11. 【請求項11】前記記憶手段または記録手段に蓄積され
    た情報の内、少なくとも所望の情報を読出して記録また
    は記憶する記録媒体または記憶媒体を着脱可能に前記コ
    ンピュータに接続して構成したことを特徴とする請求項
    1または2または3または4または5または6または7
    または8記載の車両。
  12. 【請求項12】車両から得られる少なくとも運転に係る
    要因において異常の状況または異常に近い状況が発生し
    たときの運転状況に関する情報を解析して前記車両のメ
    インテナンス情報を得てそれを出力するメインテナンス
    コンピュータを備えたことを特徴とする車両カルテシス
    テム。
  13. 【請求項13】車両から得られる少なくとも運転に係る
    要因において異常の状況または異常に近い状況が発生し
    たときの運転状況に関する情報と走行環境に関する情報
    とを解析して前記車両のメインテナンス情報を得てそれ
    を出力するメインテナンスコンピュータを備えたことを
    特徴とする車両カルテシステム。
  14. 【請求項14】車両から得られる少なくとも運転に係る
    要因において異常の状況または異常に近い状況が発生し
    たときの運転状況に関する情報を解析して前記車両のメ
    インテナンス情報を得てそれを出力し、緊急を要する場
    合にはその旨を前記車両に送信するメインテナンスコン
    ピュータを備えたことを特徴とする車両カルテシステ
    ム。
  15. 【請求項15】車両から得られる少なくとも運転に係る
    要因において異常の状況または異常に近い状況が発生し
    たときの運転状況に関する情報と走行環境に関する情報
    とを解析して前記車両のメンテナンス情報を得てそれを
    出力し、緊急を要する場合にはその旨を前記車両に送信
    するメンテナンスコンピュータを備えたことを特徴とす
    る車両カルテシステム。
  16. 【請求項16】車両から得られる少なくとも運転に係る
    要因において異常の状況または異常に近い状況が発生し
    たときの運転状況に関する情報を解析して前記車両のメ
    インテナンス情報を得てそれを出力し、早期点検が必要
    な場合にはその旨を前記車両またはドライバーが住んで
    いる家に送信するメインテナンスコンピュータを備えた
    ことを特徴とする車両カルテシステム。
  17. 【請求項17】車両から得られる少なくとも運転に係る
    要因において異常の状況または異常に近い状況が発生し
    たときの運転状況に関する情報と走行環境に関する情報
    とを解析して前記車両のメンテナンス情報を得てそれを
    出力し、早期点検が必要な場合にはその旨を前記車両ま
    たはドライバーが住んでいる家に送信するメンテナンス
    コンピュータを備えたことを特徴とする車両カルテシス
    テム。
  18. 【請求項18】内部に設置されたセンサから得られる運
    転状況に関する情報を監視し、前記運転に係る要因にお
    いて異常の状況または異常に近い状況が発生したとき少
    なくとも前記監視された運転状況に関する情報を記憶手
    段または記録手段に蓄積するコンピュータを備えた車両
    から前記記憶手段または記録手段に蓄積された運転状況
    に関する情報を、メインテナンスコンピュータに転送
    し、 前記メインテナンスコンピュータは転送を受けた運転状
    況に関する情報を解析して前記車両のメインテナンス情
    報を得てそれを出力し、 この出力されたメインテナンス情報に基づいて前記車両
    に対してメインテナンスを施すことを特徴とする車両メ
    インテナンス方法。
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