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JPH10225609A - パラメトリックガスクロマトグラフィーによる気体のバルク分離方法 - Google Patents

パラメトリックガスクロマトグラフィーによる気体のバルク分離方法

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Publication number
JPH10225609A
JPH10225609A JP9032156A JP3215697A JPH10225609A JP H10225609 A JPH10225609 A JP H10225609A JP 9032156 A JP9032156 A JP 9032156A JP 3215697 A JP3215697 A JP 3215697A JP H10225609 A JPH10225609 A JP H10225609A
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JP
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gas
pressure
adsorption tower
adsorption
component
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JP9032156A
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Yutaka Noguchi
豊 野口
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Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
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Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
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Publication date
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  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)
  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で、エネルギー要求量を減らし、
酸素原単位、吸着剤生産性、総合効率を向上させた方法
で、例えば空気から安価に大量に酸素と窒素を併産でき
る気体のバルク分離方法を提供すること。 【解決手段】 難吸着成分(A)及び易吸着成分(B)
を含む原料混合ガスを成分(B)を選択的に吸着する吸
着剤を充填した吸着塔を少なくとも2つ含む吸着分離シ
ステムの前記吸着塔の一端(入口端)から他端(出口
端)へ通じ、各吸着塔は特定の工程〜のシーケンス
操作を循環的にうけることにより他端(出口端)から一
定時間毎に、交互に製品として成分(A)及び/または
成分(B)を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパラメトリックガス
クロマトグラフィーによる気体のバルク分離方法に関す
るものであり、さらに詳しくは、例えば空気より酸素と
窒素を分離生産するなど、難吸着成分(A)と易吸着成
分(B)を含む原料混合ガスを吸着剤カラムの入口端か
ら出口端へ通して出口端部から一定周期毎に、難吸着成
分(A)と易吸着成分(B)が分離されて交互に出てく
るようにした、少ない動力消費と高い総合効率で、難吸
着成分(A)と易吸着成分(B)を分離生産できる気体
のバルク分離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、酸素、窒素の工業的生産は主とし
て空気液化分離法(深冷法と略す)で行われ、パイプラ
インまたは液酸輸送等の手段により、主として酸素は鉄
鋼冶金方面へ、窒素はLSI製造の雰囲気ガスなどとし
て電子工業へ供給、使用されている。また、中小規模用
途の一部は空気より公知のオンサイト圧力スイング吸着
法(Pressure Swing Adsorption 、以下PSAと称す)
を用いて酸素と窒素を分離してパイプライン供給されて
いる。
【0003】深冷法は、高純度酸素と高純度窒素を大量
に併産できる現行唯一の方法であるが、装置構成が複雑
かつ高級材料を使用するため装置価格が割高な点が問題
である。この深冷法は1900頃に発明された技術で、
1955頃迄に工業装置として基本的なことは完成の域
に達しており、現在も、構成装置部品や機械の効率向
上、低価格化、精留塔の改善等、部分的改良は続けられ
ているが、基本的な効率向上は期待できない状況にあ
る。
【0004】それに対してPSAは簡単な構成の装置と
常温操作で90〜95%の酸素を製造する方法であり、
深冷法が経済的に引合わないような中小規模の用途、例
えば電炉、廃水処理、パルプ漂白、オゾナイザー付加装
置等として使われている。このPSAは1957頃に発
明された技術で、当初より最近に至る迄、省エネ改善努
力が続けられ、多数の特許が出願されてきた。また特に
近年傾向として吸着剤生産性[リットル(酸素)/kg
−(吸着剤)(H)](PSAにおける省資材の指標と
なるもの)が大幅に改善されてきた。また、最近、従来
の吸着剤であるMS−5Aゼオライトより吸着性能の優
れたLiX型ゼオライトの採用及び/またはプロセスの
高速化等により、総合効率の高められた新しいPSAが
提案されている(例えば、特開平2−68111号公
報、特開平7−185247号公報、特開平3−526
15号公報、特開平6−55027号公報など)。
【0005】近年、エネルギー、環境問題の高まりとと
もに、省エネ、省資材を追究した新発電システムや新製
鉄法の工業化を目指して各種開発プロジェクトが進行中
である。これらの開発プロジェクトの例としては、例え
ば、石炭ガス化複合発電、高温燃料電池、酸素高炉法、
溶融還元製鉄法等があり、実用システムにおいては大量
の酸素や窒素が消費される。従って、省エネと省資材
(もしくは、簡単な構成、低価格の装置など)を総合し
た総合効率の高い酸素・窒素製造装置や酸素・窒素製造
方法に対する期待は大きいものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】吸着分離システム(装
置)の評価尺度について述べる。次のとの2つの指
標値の小さいもの程よい吸着分離システムである。他の
混合ガスでも同様であるが、酸素製造を例にとって説明
する。 酸素原単位=KWH/m3 (NTP)(酸素)→ 省
エネ尺度 酸素製造能力当たりの装置価格 装置価格/m3 (NTP)(酸素)/H → 省資材
尺度 結局、上記の、をひっくるめた酸素製造原価[円/
3 (酸素)]の小さい程よい。上記の、が共に小
さい場合に総合効率が高いと定義し以下に用いる。
【0007】現在の“空気分離方法”を代表する深冷法
は、−200℃近傍の超低温プロセスを主とするもの
で、長年、省エネが追究され、装置部品や機械類の改良
は略限界に到達しており、大幅な総合効率の向上は期待
し難い。他方のPSAは、開発初期は収率向上(省エ
ネ)、最近は“吸着剤生産性”[リットル(90%酸
素)/kg(吸着剤)H](省資材)[1kgの吸着剤
で1時間に何リットルが生産できるか、の値でこの値が
大きい程、製置がコンパクト(省資材)になる。PSA
の省資材的尺度として専ら使用されている。]の向上が
追究され、省エネ、省資材が進んだ。PSAは40年近
い開発で略完成の域に到達しているが、尚、次の検討課
題がある。 酸素の純度は、深冷法が99.5%以上であるのに対
して、PSAは90〜95%と低いにもかかわらず酸素
原単位が略同程度[0.35〜0.5KWH/m3 (N
TP)酸素]であるので改善余地がある、また、この値
は空気の完全分離の半透膜仕事(理論値)の0.069
(KWH/m3 酸素)に比較してかなり大きな値であ
り、もっと酸素原単位を小さくすること。 初期のPSAの吸着剤生産性は、10〜15[リット
ル(90%酸素)/kg−(吸着剤)(H)]程度であ
り、最新のPSAの吸着剤生産性は、40〜60[リッ
トル(90%酸素)/kg−(吸着剤)(H)]程度で
あり、もっと吸着剤生産性値を大きくすること。 酸素−窒素が併産できること。現行のPSAは酸素の
みまたは窒素のみ生産する単能機である。現行のPSA
は酸素−窒素併産は可能であるが、システムが複雑化
し、PSAの長所が損なわれる。
【0008】本発明の目的は、簡単な構成で、エネルギ
ー要求量を減らし、酸素原単位を小さくし、吸着剤生産
性を向上させ、総合効率を格段に向上させた方法で、例
えば原料空気から安価に酸素と窒素とを併産できるよう
な気体のバルク分離方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は小型酸素−P
SAのコンパクト化極限を追究し、幾多の実験・評価を
行った結果“パルス流制御式PSA”(PF−PSAと
略す)を見いだし先に16件の特許出願を行った。即
ち、一定の吸着剤量で酸素生産量を増やすためには、よ
り大きなポンプに変え吸着剤への空気負荷を大きくする
必要がある。その結果、吸着塔へ出入するガス流の変動
が激しくなる。そこで、PF−PSAは、高速オン−オ
フ弁を一定シーケンスに基づいて断続的に開閉すること
によにり、ガス流を圧力波に変換し、吸着塔へ出入する
ガス流の迅速精密制御に成功し、2塔構成の最も簡単な
システムで吸着剤生産性400[リットル(90%酸
素)/kg−(吸着剤)(H)](世界最高値)を達成
した。
【0010】このPF−PSA制御法を大型PSAに適
用して、大型機においても高い吸着剤生産性を達成した
が、さらに常用PSAに比し一層の収率向上を企図し
て、実験・評価を重ね、ここに、常用PSAとは異な
り、PSAを構成するすべての個別操作を並流で行う本
発明の「全並流域の新しい吸着分離法」を成すに到っ
た。
【0011】本発明の「全並流域の新しい吸着分離法」
は並流吸着分離操作である点ではガスクロマトグラフィ
ーに似ているが、キャリヤーガスとして非吸着性ガス
(Heなど)を使用しない点、ガスクロマトグラフィー
が通常すべての条件が一定で行われるのに対してキャリ
ヤーガスの使用条件(圧力、温度、組成、流速など)の
すべてが時々刻々変動する点(パラメトリック、パラメ
ーター変動的)において常用ガスクロマトグラフィーと
も異なるので、以下本発明を“パラメトリックガスクロ
マトグラフィー”と称す(PGCと略す)。
【0012】本発明の請求項1の発明は、難吸着成分
(A)及び易吸着成分(B)を含む原料混合ガスを、そ
の中の成分(A)、成分(B)に比して少量でかつ吸着
性の著しく強い水分、炭酸ガス、その他の易凝縮性ガス
を前処理装置にて予め除いた後、成分(B)を選択的に
吸着できる吸着剤をカラム状あるいは層状に充填した吸
着塔を少なくとも2つ含む吸着分離システムの前記吸着
塔の一端(入口端)から他端(出口端)へ通じて成分
(A)及び/または成分(B)を得るための気体のバル
ク分離方法であって、各吸着塔は下記の工程〜のシ
ーケンス操作を循環的にうけることにより他端(出口
端)から、少ない動力消費と高い総合効率で、一定時間
毎に、交互に製品として成分(A)及び/または成分
(B)を得ることを特徴とするパラメトリックガスクロ
マトグラフィーによる気体のバルク分離方法である。 原料混合ガスを吸着塔の入口端に通じ、塔内圧力を中
間圧力から、最高操作圧まで上げ原料混合ガス中の成分
(B)を選択的に吸着し、高められた圧力のもとで他端
(出口端)から成分(A)及び/または成分(A)に富
んだガスを取り出す。 原料供給を続行しつつ、最高操作圧近傍において出口
端から成分(A)及び/または成分(A)に富んだガス
を取り出す。 原料供給を停止し、この吸着塔を並流方向に減圧し、
減圧ガスは同一循環操作中の圧力近似かつ圧力上昇中の
他の吸着塔の入口端へ通ず。 減圧を続行し、大気圧または大気圧を経て真空圧にし
て、この吸着塔から放出及び/または吸引されたガスは
大気へ放出するか、他の吸着塔へ回収するかあるいは成
分(B)製品としてシステム外へ取出す。 最低操作圧下の吸着塔に対し、同一循環操作中の他の
吸着塔から、成分(A)に富むガス及び/または成分
(A)を並流方向にパージガスとして導入し、吸着塔内
の成分(B)を成分(A)に置換し、成分(B)及び/
または成分(B)に富んだガスを吸着塔出口端から取出
す。 上記操作終了後、同一循環操作中の圧力近似かつ圧力
下降中の他の吸着塔よりのガスを入口端に通じ、操作の
中間圧まで昇圧する。
【0013】本発明の請求項2の発明は、請求項1記載
の方法において、原料混合ガスの供給を続行しつつ工程
を行うことを特徴とする。
【0014】本発明の請求項3の発明は、請求項1記載
の方法において、上記工程、工程の減圧操作と工程
の昇圧操作を段階的に行うことを特徴とする。
【0015】本発明の請求項4の発明は、請求項1記載
の方法において、原料混合ガスが空気であり、製品ガス
が90%以上の酸素及び/または90%以上の窒素であ
ることを特徴とする。
【0016】本発明の請求項5の発明は、請求項1記載
の方法において、上記吸着剤が窒素選択吸着性のゼオラ
イト系モレキュラシーブ物質であることを特徴とする。
【0017】本発明の請求項6の発明は、請求項1記載
の方法において、吸着分離システムが2つの吸着塔から
なることを特徴とする。
【0018】本発明の請求項7の発明は、請求項1記載
の方法において、吸着分離システムが3つ以上の吸着塔
からなることを特徴とする。
【0019】本発明の請求項8の発明は、請求項1記載
の方法において、工程の流出ガスを工程のパージガ
スとして他の吸着塔へ供与し、工程の成分(A)を製
品とすることを特徴とする。
【0020】本発明の請求項9の発明は、請求項1記載
の方法において、工程の流出ガスを工程のパージガ
スとして他の吸着塔へ供与し、工程の成分(A)を製
品とすることを特徴とする。
【0021】本発明の請求項10の発明は、請求項1記
載の方法において、工程の並流減圧ガス及び/または
ポンプで吸引される成分(B)を製品とすることを特徴
とする。
【0022】本発明の請求項11の発明は、請求項1記
載の方法において、吸着分離システム内にシリカゲル、
活性炭、アルミナゲル、活性アルミナ、ゼオライトから
選ばれる前処理用吸着剤を充填した前処理塔を設け、工
程および工程における減圧及び/またはパージ放出
ガスの一部をこの前処理塔の再生用パージガスとして供
与することを特徴とする。
【0023】本発明の請求項12の発明は、請求項1記
載の方法において、工程、工程の1吸着塔流出ガス
中の有効成分[目的製品が成分(A)のときは成分
(A)、目的製品が成分(B)のときは成分(B)]を
ポンプを介して同一システム内の他の吸着塔へリサイク
ル回収することを特徴とする。
【0024】本発明の請求項13の発明は、請求項7記
載の方法において、3塔以上で構成される吸着分離シス
テムで、2つの吸着塔を接続する個別操作は、操作圧近
似の2吸着塔を対象とし、1吸着塔から他の吸着塔へ圧
力差を利用して、並流方向にガスを流し、1吸着塔の圧
力降下と他の吸着塔の圧力上昇を行い、そして最低操作
圧下の吸着塔に対して、パージ操作を行うことを特徴と
する。
【0025】本発明の請求項14の発明は、請求項1記
載の方法において、2塔以上で構成される吸着分離シス
テムで2吸着塔を接続する際、吸着塔内圧力が上昇過程
にある吸着塔内気相濃度分布は出口端に向かって成分
(A)がリッチになるようにし、吸着塔内圧力が下降過
程にある吸着塔内気相濃度分布は出口端に向かって成分
(B)がリッチになるようにし、1つの吸着塔の出口濃
度と他の吸着塔の入口濃度の間に段差がないようガスの
移送量を制御することを特徴とする。
【0026】本発明の請求項15の発明は、請求項10
記載の方法において、工程の成分(B)を一旦中間槽
へ回収し、工程に先立って、この中間槽内の成分
(B)をポンプを介して吸着塔の入口端部へ再循環させ
塔内を成分(B)に置換し、しかるのち、吸着塔内ガス
及び吸着剤中の成分(B)をポンプにて吸引し、成分
(B)を高純度品として回収することを特徴とする。
【0027】本発明の請求項16の発明は、請求項6記
載の方法において、2塔構成の吸着分離システムにおい
て、2つの吸着塔を並流方向接続して均圧または部分均
圧することを特徴とする。
【0028】本発明の請求項17の発明は、請求項1記
載の方法において、工程、の降圧を膨張機関などの
圧力エネルギー回収手段を介して行い、圧力エネルギー
を電気及び/または機械エネルギーとして回収すること
を特徴とする。
【0029】本発明の請求項18の発明は、請求項1記
載の方法において、圧力差のある2つの吸着塔を自動オ
ン−オフ弁を介して接続して、ガスを移動さすためのシ
ミュレーター試験において、この自動オン−オフ弁の開
放時間(△ti)をパラメーターとし、下流側の吸着塔
の入口端部と出口端部の差圧(△P)の時間(t)的変
化を測定し、図形化し(タテ軸:△P、ヨコ軸:t)、
この図形が正弦波もしくは正弦波近似波型のときの△t
iをパルス時間、半波長幅より△tiを引いた値を△Z
iとし、上記自動オン−オフ弁を通過するガス量(V
i)を次式(1)により定めたとき△t1 (開)−△Z
1 (閉)−△t2 (開)−△Z2 (閉)・・・・−△t
i(開)−△Zi(閉)の弁開閉シーケンス(弁開放時
間−時間関係)により上記工程〜の個別操作に必要
かつ十分な気体の移動量(ΣVi)と気体の移動速度
[ΣVi/(Σti+ΣZi)]を制御することを特徴
とする。
【0030】
【数2】
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の方法は吸着剤カラム一の
端から他端へ原料混合ガスを通じ、出口端部から一定周
期毎に例えば酸素と窒素が交互に出てくる点では常用ガ
スクロマトグラフィー操作に似ているが、次の点で異な
る。 キャリヤーガスとして第3のガス[成分(A)、成分
(B)以外のガス]を使用していない。ガスクロマトグ
ラフィーで酸素−窒素分離を行うときは、非吸着性のH
eガスなどを使用している。 本発明の方法においてはキャリヤーガスに相当するガ
スは成分(A)、成分(B)またはこれらの混合ガスで
ある。また一定流速で供給するものでない。 上記に示す本発明の方法におけるキャリヤーガスの
組成・圧力・温度・流量等は一定のパターンで周期的に
変動し、パラメーター変動的である。 また、本発明の方法は圧力変動による吸脱着効果を利用
する循環操作であって常用PSA(圧力変動吸着法)と
似ているが、全操作を通じ、ガスの流れは一方向(並
流)のみであるので、並流と向流の2つの操作が結合し
た常用PSAとは異なる。
【0032】以下に常用PSAよりパラメトリックガス
クロマトグラフィーへ到る経過を簡単に記す。空気より
酸素製造を例にとって説明する。常用PSAの基本プロ
セスは次の4つの個別操作より成る。一つの塔に着目し
て、原料空気加圧→製品酸素取出→向流減圧→
パージそしてへ戻る。常用PSAには約2000件の
特許があるが、その殆どは上記4工程プロセスの変形態
様である。次に代表的なプロセスを説明する。 1) のパージ工程の後で製品酸素の一部を向流方向
(還流)に流し、塔内圧力を操作の中間圧以上まで復圧
させる。 2) 減圧を例えば並流2〜3段と向流1段とに分けて行
い、並流減圧ガスは別の塔へ回収し、向流減圧ガスは大
気へ放出する。 3) との工程の間およびとの工程の間に均圧操
作を入れて塔を減圧または昇圧する。 4) 上記の向流減圧をポンプを用いて促進する(真空
法と称す)。操作の最低圧が真空になる。
【0033】上記常用PSAにおける非効率の主因(収
率低下)は主として前記との“向流”操作にあり、
“向流”減圧操作で有効成分の酸素が系外へ放出され
る。この酸素ロスをできるだけ減らすため、長年に亘
り、幾多の改良が加えられ、今日迄多数のPSA特許が
提案されることになった。
【0034】そこで本発明者はパルス流制御法の手法の
一部を応用して前記との向流操作におけるガスの量
と純度の時々刻々の変化を詳細に追跡した結果、上記
の向流減圧ロスは上記のパージロスに比較して格段に
大きいこと、向流減圧を初期、中期、後期の3ステップ
に分けたとき、初期ロスが大きいこと、パージ効果は大
きく、かつパージロスは少ないので、この効果を積極的
に活用すべきであることなどが判明した。
【0035】減圧ロスの回収のため、減圧を並流と向流
のいくつかの個別操作に分割して“多段化”し、有効成
分に富んだ減圧ガスをシステム内に回収することは先行
技術で確立しているが、この場合塔数が3〜4個必要と
なり、構成が複雑化する。そこで本発明においては、減
圧はすべて並流方向とし、有効成分は原則としてすべて
回収すること、吸着塔の再生には“パージ”を積極的に
活用すること、パージ損失を防止するため、塔内濃度勾
配は個別操作間を通じて一定に保持し、混合によるエン
トロピーロスを最小にすること、また特に大容量機にお
いては圧力エネルギーをできるだけ回収すること、ま
た、構成材料が鉄と石(ゼオライト)で、深冷法のごと
き高級材料(銅、アルミ)は全く使用しないことなどに
より、省エネ、省資材性に優れ、かつ酸素−窒素が併産
できるという、従来PSAにない特長が得られ、将来の
廃棄処分費等のすべてを含めた総合効率は従来の空気分
離方法(深冷法、常用PSA)に比較して格段に向上す
る。
【0036】空気分離を例にとって、本発明の方法を具
体的に説明する。図1は本発明の方法を実施するための
基本システムを示す。この基本システムは、ポンプ
(1)、前処理装置(3)、分離装置(またはシステ
ム)(5)の3部分と接続配管(2,4,6)、製品取
出弁(27,28)から成る。 1) 原料空気はポンプ(1)により加圧され、管路
(2)を経て前処理装置(3)へ送られる。 2) 原料空気中の水分、炭酸ガス等は前処理装置(3)
にて除かれ、乾燥空気(DA)として管路(4)へ送出
される。前処理方法は、吸着式、冷媒式、膜式またはこ
れらの併用式の何れであってもよいが、総括効率の低下
を来さないよう、低価格、省エネで製品ロスの少ないも
のを選択することが好ましい。 3) 乾燥空気(DA)は分離装置(またはシステム)
(5)へ送られる。DAはこの装置(5)で酸素と窒素
に分離され、一定時間毎、交互に管路(6)に送出され
る。 4) 管路(6)に接続する自動弁(27)と(28)を
一定時間毎に交互に開閉することにより製品酸素(O
2 )、製品窒素または排窒素(N2 )として捕集され、
製品ガスは各弁の下流に接続される製品貯槽(記載せ
ず)に貯蔵され、そこから消費端へ送られる。 そして分離態様としては、下記1〜3の場合がある。 1.酸素のみ製品とし、排窒素は大気へ放出する。 2.窒素のみ製品とし、排酸素は大気へ放出する。 3.酸素−窒素併産製品とする。 但し、窒素純度が90%以上のときと、99%以上のと
きの2通りがある。
【0037】本発明の方法の主旨は、図1に示す分離装
置または吸着分離システム(5)における次に示す操作
手順にある。なお吸着分離システム(5)には、図4〜
6に示す吸着分離システム内に前処理装置を含まないも
の(大型機対象)、図7〜8に示す吸着分離システム内
に前処理装置を含むもの(中および小型機対象)、その
他分離仕様により異なるものなどいくつかの基本態様が
あるが、基本操作(本発明の方法)は同じである。図7
に示す吸着分離システムは酸素のみ製品とするシステム
例であり、図8に示す吸着分離システムは酸素と低純度
窒素(90%以上)を製品とするシステム例であり、図
9に示す吸着分離システムは酸素と高純度窒素(99%
以上)を製品とするシステム例である。
【0038】本発明の気体のバルク分離方法を、図4
(A)に示す2塔構成の吸着分離システム(装置)を用
いて空気より酸素と窒素を分離する例により説明する。
図4(B)は、後に詳述するが、圧力エネルギー回収手
段(EX)を用いて降圧過程の圧力エネルギーを膨張機
関または発電機で回収する場合のシステム例を示す。図
2(A)は、[吸着塔(A)および吸着塔(B)内の圧
力〜時間]関係を示す圧力シーケンスであり、図2
(B)は各工程〜の終期における吸着塔(A)およ
び吸着塔(B)内の気相酸素濃度を模型的に示す説明図
である。なお、図2(B)中の記号1〜4は酸素濃度を
示し、1は酸素濃度21%以下、2は酸素濃度21%、
3は酸素濃度21〜90%、4は酸素濃度90%以上を
示す。この記号1〜4と酸素濃度の関係をまとめて表1
に示す。
【0039】
【表1】
【0040】本発明においては、吸着塔(A)、吸着塔
(B)において次の工程〜の個別操作を順次繰返す
ことにより、吸着塔出口端部から酸素と窒素が一定時間
間隔をおいて交互に取出される。なお、吸着分離システ
ムの供給空気は予め前処理装置で水分、炭酸ガス等を除
去した“乾燥”空気とする。
【0041】次に工程〜順序を示す。 原料加圧 原料空気はポンプにて加圧され、吸着塔(A)へ入口端
より送入される。そして吸着塔(A)の圧力を中間圧
(PM )から上昇さす。出口端部からは酸素リッチガス
が取出され、最低操作圧(PL )下にある吸着塔(B)
へ、パージガスとして並流供給される。 製品送出 吸着塔(A)内圧力が最高操作圧(PH )に到達した
ら、原料空気の送入を停止する。最高操作圧(PH )近
傍で製品取出弁が開放され、製品酸素が取出され、図示
しない製品貯槽へ送られる。また、製品酸素の一部は吸
着塔(B)のパージガスまたは再加圧用のガスとして並
流供給される。 並流減圧(1) 吸着塔(A)の均圧弁を開放して、吸着塔(A)と吸着
塔(B)を並流接続する。この操作により吸着塔(A)
内圧力は降下し、吸着塔(B)内圧力は上昇する。この
操作は通常、2つの塔の圧力が平衡化するまで行うが、
(均圧)、平衡化の途中で停止する場合もある(部分均
圧)。 並流減圧(2) 上記工程終了後、吸着塔(A)の出口端を大気へ開放
し、塔内残留ガスを大気へ並流放出し、またさらに真空
ポンプにより吸引し大気圧以下にし、最低操作圧(P
L )にする。 パージ 最低の操作圧下にある吸着塔(A)に対して、吸着塔
(B)出口端部から酸素リッチガスを並流送入し、吸着
塔(A)内に残留した窒素を並流パージする。 再加圧
【0042】上記工程〜を終了後、工程と同様、
吸着塔(A)と吸着塔(B)を並流接続し、吸着塔
(A)は中間圧(PM )迄復圧するとともに吸着塔
(B)は降圧する。以上の工程−の操作を1サイク
ル操作(1サイクル時間、T秒)と云う。2塔構成のと
きは、吸着塔(A)と吸着塔(B)はT/2時間遅れて
同一の操作を繰返す。3塔構成のときは、吸着塔
(A)、吸着塔(B)、吸着塔(C)はT/3時間遅れ
て同一の操作を繰返す。
【0043】図2(B)により吸着塔(A)および吸着
塔(B)内の酸素濃度の変化を説明する。工程、工程
において、吸着塔(A)に、原料空気を送入する(矢
印で示す)ことにより吸着塔(A)内ガス濃度分布は入
口−出口側に向かって図2(B)に示したように2−3
−4となる。以下同様の記載方法とする。出口端部の製
品酸素は製品として捕集される。一部は吸着塔(B)へ
パージガスとして供給される(矢印で示す)。
【0044】工程、工程の並流減圧工程により窒素
の脱着が始まり、吸着塔(A)内ガスの濃度分布は図2
(B)に示したように1−2−3から1−1−2のごと
く変化する。空気濃度(O2 =21%)以下のガスは排
窒素として、大気中へ放出する(粗窒素として回収して
もよい)。
【0045】工程(パージ)において、吸着塔(A)
入口端部から酸素が並流方向に導入されることにより、
入口端部に吸着されている窒素から順次脱着が始まり、
出口端部方向へ押しやられる。吸着塔(A)内気相濃度
は図2(B)に示したように1−1−2から4−1−1
のごとく変化する。2塔構成システムでは、この工程で
濃度段差が生じるので、入口端部より乾燥空気(DA)
をリークさせて、1−1−2→2−1−1→4−2−1
のごとくしてもよい。
【0046】工程(再加圧または復圧) 吸着塔(B)を減圧しつつ、吸着塔(A)へ並流供給す
ることにより吸着塔(A)内の酸素濃度は図2(B)に
示したように4−1−1から3−4−1のごとく変化す
る。次第に出口端へ酸素リッチガスが移動する。工程
に引続き工程(原料空気供給)が始まり図2(B)に
示したように、3−4−1から2−3−4のごとく圧力
上昇とともに、出口端部は酸素リッチになる。吸着塔
(A)の昇圧工程においては、出口端部へ向かって次第
に酸素リッチになるよう、また降圧工程においては、出
口端部へ向かって次第に窒素リッチになるよう配慮し
て、吸着塔(A)、吸着塔(B)間の気体移動量を制御
する。また吸着塔(A)と吸着塔(B)、吸着塔(B)
と吸着塔(A)を並流接続するとき、接続部で濃度段差
がおきないよう(濃度差による混合がおきないよう)操
作する。
【0047】本発明の気体のバルク分離方法を、図5に
示す3塔構成の吸着分離システム(装置)を用いて空気
より酸素と窒素を分離する例により説明する。図3
(A)は、[吸着塔(A)、吸着塔(B)および吸着塔
(C)内の圧力〜時間]関係を示す圧力シーケンスであ
り、図3(B)は各工程〜の終期における吸着塔
(A)、吸着塔(B)および吸着塔(C)内の気相酸素
濃度を模型的に示す説明図である。なお、図3(B)中
の記号1〜4は酸素濃度を示し、1は酸素濃度21%以
下、2は酸素濃度21%、3は酸素濃度21〜90%、
4は酸素濃度90%以上を示す。この記号1〜4と酸素
濃度の関係をまとめて前記表1に示す。
【0048】この場合においても原料ガスは前処理すみ
の乾燥空気である。前記の2塔構成システムにおけると
同様、吸着塔(A)、吸着塔(B)、吸着塔(C)の各
塔はT/3時間おくれて次の〜の6工程操作を順次
繰返す。 原料ガス加圧→製品酸素送出 並流減圧(1) 並流減圧(2) パージ 再加圧(1) 再加圧(2)
【0049】3塔構成システムにおける操作と2塔構成
システムにおける操作の対比を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】即ち、2塔構成システムにおける、の
操作が3塔構成システムにおいては1つの個別操作に
なり、2塔構成システムにおけるの操作が3塔構成シ
ステムではとの2つの個別操作になる。
【0052】次に、前記2塔構成システムの説明と重複
しないよう3塔構成システムの個別操作を説明する。吸
着塔(A)に着目して、工程では原料空気を吸着塔
(A)へ加圧送入し、吸着塔(A)内圧力を上昇させつ
つ、製品酸素を取出す。残部は吸着塔(B)内圧力をP
L →PM1(中間圧(1))へ加圧する。工程では原料
空気の送入を続行しつつ出口端部より酸素リッチガスを
吸着塔(B)入口端部へ並流方向送入し、吸着塔(A)
を減圧しつつ、吸着塔(B)の圧力を中間圧PM1→中間
圧PM2(中間圧(2))へ昇圧する。さらに吸着塔
(B)と吸着塔(C)とを並流接続することにより吸着
塔(A)→吸着塔(B)→吸着塔(C)とガスを流し、
吸着塔(C)をパージする。このとき各塔気相濃度は図
3(B)の工程に示したように次のごとくなり吸着塔
(A)[2−2−3]→吸着塔(B)[3−4−3]→
吸着塔(C)[3−2−1]各塔接続部で酸素濃度の段
差がおきないよう、塔間流れを制御する。
【0053】工程では中間圧PM2から操作の最低圧P
L 迄減圧する。減圧放出ガスは大気へ放出するか、粗窒
素として回収する。またはポンプ(10)を介して、減
圧流出ガス中の有効成分を、図5中に点線で示した経路
を通じて、同一システム内の他塔へリサイクル回収して
もよい。この際、製品として酸素を目的とする場合は主
として減圧初期と後期の流出分を回収し、窒素を目的と
する場合は、減圧中間期の流出分をリサイクル回収す
る。工程では吸着塔(B)出口端の酸素リッチガスが
吸着塔(B)→吸着塔(C)→吸着塔(A)と並流方向
に流れ、吸着塔(A)内残留窒素をパージする。このと
きの各塔気相濃度は図3(B)の工程に示したように
次のごとくなり吸着塔(B)[2−2−3]→吸着塔
(C)[3−4−3]→吸着塔(A)[3−2−1]各
塔接続部で酸素濃度の段差が生じないよう、塔間ガス流
れを制御する。
【0054】工程では吸着塔(C)からの製品酸素の
一部が最低操作圧(PL )下にある吸着塔(A)へリー
クし、吸着塔(A)内圧力をPL →PM1へ再加圧する。
工程では、吸着塔(C)→吸着塔(A)→吸着塔
(B)の接続により、吸着塔(A)は中間圧PM1→PM2
迄昇圧する。同時にまた少しおくれて、吸着塔(A)よ
りの酸素リッチガスにより、吸着塔(B)がパージされ
る。このときの各塔気相濃度は図3(B)の工程に示
したように次のごとくなり吸着塔(C)[2−2−3]
→吸着塔(A)[3−4−3]→吸着塔(B)[3−2
−1]各塔接続部で酸素濃度の段差が生じないよう塔間
流れを制御する。以上で3塔構成システムにおける分離
操作を説明した。
【0055】3塔構成システムにおける分離操作は2塔
構成システムにおける分離操作に比較して、吸着塔間で
著しい酸素濃度の段差が生じない点、ポンプの空運転期
間がない点で有利である。4塔式以上になると3塔構成
システムより一層酸素濃度の段差が生じにくいが塔数が
増えるとシステムが複雑化し、装置価格の上昇につなが
る。従って、2〜4塔構成システムが適当である。
【0056】本発明の気体のバルク分離方法を前記説明
の2塔構成システムと3塔構成システムについて一般化
して述べると、(1)2塔間操作は全て並流流れ操作と
する、(2)2塔間接続は圧力近似であって、一つの塔
の昇圧過程と、他の塔の降圧過程を組合わせて行うこ
と、(3)2つの塔の接続にあたり、気体濃度の段差が
おきないよう、各塔間の流れを制御することなどを特徴
とする。
【0057】本発明においては常温操作を基準とするの
で、エンタルピー損失は最小にすることができる。但
し、季節間における酸素生産量変動を平滑化するため、
原料空気温度を例えば15〜25℃の一定温度に保つこ
とは差支えない。また、常温より10〜15℃高めの温
度にて操作することも差支えない。操作温度を少し高く
することは物質移動速度を早め、多くの場合操作上好ま
しい影響がある。本発明における操作圧力範囲は、一般
には、ポンプに過大な負荷がかからない大気圧近傍であ
るが下記の2通りに分類される。 (1)最低圧PL が大気圧かそれ以上の場合“加圧法”
と称す。この場合は、加圧用ポンプのみでよい。 (2)最低圧PL が真空圧である場合“真空法”と称
す。この場合は、加圧用と真空用と2種のポンプが必要
となる。
【0058】本発明における作動圧力範囲(中・小型機
対象の場合)の例としては次の例を挙げることができ
る。 (1)0〜7kg/cm2 G(ゲージ圧)、標準的には
0〜4.5kg/cm2G(ゲージ圧) (2)0.1〜4kg/cm2 abs(絶対圧)、標準的
には0.2〜3.5kg/cm2 abs (絶対圧)。
【0059】本発明の気体のバルク分離方法の実施に適
した吸着分離システム(ハード)例を図4〜図9を用い
てさらに詳細に説明する。図4(A)に示した2塔構成
システムや、図5に示した3塔構成システムによる気体
分離操作は上記の通りである。本発明の方法では、各塔
から酸素リッチガスと窒素リッチガスが交互にでてく
る。この際、次の(1)〜(3)の3つのケースがあ
る。 (1)酸素のみ製品とし、窒素は大気へ放出する場合の
吸着分離システム例を図7に示す。 (2)酸素と低純度窒素を製品とする場合の吸着分離シ
ステム例を図8に示す。 (3)酸素と高純度窒素を製品とする場合の吸着分離シ
ステム例を図9に示す。 窒素を製品とする上記(2)および(3)のケースで
は、一般に真空法が好ましい。中、小規模の生産システ
ムでは、一般に前処理装置と分離装置を別置せずに、前
処理装置(乾燥塔)を後者の分離装置(吸着分離システ
ム)内に含めて1つのシステムとすることが好ましい。
【0060】このような例を図6、図7に示す。この場
合一般に循環操作毎に乾燥塔の再生を行う。多くの例は
酸素のみを製品とするので、残りの排窒素分を乾燥塔に
対して向流方向に流し乾燥剤をパージ再生する。大型・
超大型装置では最高操作圧を高めて(PH を高くすると
装置がコンパクト化できるメリットがある)、降圧過程
の圧力エネルギーを膨張機関または発電機で回収するこ
とが望ましい。実際には、図4(B)に示すごとく、吸
着塔から他の吸着塔へガスを降圧しつつ移送する際、高
い圧力から両塔間に設けたEx(圧力エネルギー回収手
段)を介して低い圧力へと膨張する。また、減圧最終段
のガスの圧力エネルギーを回収するときは、弁14a
(14b)−Ex−14cのごとく流れる。Exは膨張
機関または発電機で、圧力エネルギーはExにより、機
械的エネルギーまたは電気エネルギーとして回収され、
システム内に保存され、システムの省エネ化に役立てら
れる。図4(B)のVはバイパス弁を示す。
【0061】前処理装置が吸着分離システム内に含まれ
る例について2つのケースを説明する(空気分離例)。 1)図7は酸素の生産のみを目的とする2塔構成システ
ムの例を示す。図7に示した吸着分離システムの操作の
ための“弁シーケンス”を図13に示す。図7の各部記
号は図4(A)に示したものと同一の動作を示すものは
同一の記号とした。図7において、DA 、DB は乾燥塔
(シリカゲル、アルミナゲル、活性アルミナ等の乾燥剤
が充填される)、ARは原料空気、O2 :製品酸素、W
Nは排棄窒素、WAは排棄空気を示す。図7には乾燥塔
操作のため弁15a、15b、16a、16b、17
a、17bが付加される。また弁18は図4(A)の弁
15と同一の動作(管路(4)内異常圧力上昇の開放)
を行う弁である。図7による分離操作は基本的には図4
(A)、図10(A)に示す分離操作と同一である。図
7の吸着分離システムにおける各弁の1サイクルにおけ
る開閉操作(弁シーケンス)を図13に示す。並流減圧
2段及びパージ工程の不用ガスが、弁15a→DA
→弁16aとDA 内を向流方向に流れ、DA 内の乾燥剤
に吸着されている水分、炭酸ガス等の脱着を促進し、パ
ージガス(WN)として大気へ放出される。パージに必
要なガスの量は、操作圧PH とPL などに関係するが吸
着塔(A)に供給される乾燥空気の5〜30%である。
【0062】2)図8は酸素と粗製(低純度)窒素を目
的とする2塔構成システムの例を示す。図8の吸着分離
システムの操作のための“弁シーケンス”例を図14に
示す。図8の吸着分離システムと図7の吸着分離システ
ムの相違点は、真空ポンプ(10)がつき、真空ポンプ
(10)の作動の円滑化のため、真空ポンプ(10)廻
りに弁19、20、21がつく点、および弁14a、1
4bがつく点である。図8による分離操作は、図4
(A)、図10(A)及び図7、図13で説明した通り
基本的には同じである。吸着塔(A)について、並流減
圧操作を弁15a−DA −弁16a→真空ポンプ(1
0)→弁21→大気と通じる再生操作と、その後、真空
圧迄引く操作とを分けて実施する。後段のガスは窒素成
分に富むのでこれを弁14a−真空ポンプ(10)−弁
20を介して図示しない窒素貯留槽へ回収する。
【0063】本発明の気体のバルク分離方法を実施する
好適態様としては次のような態様を挙げることができ
る。 1.空気を原料として酸素(酸素濃度90%以上)を製
品とする。 2.空気を原料として酸素(酸素濃度90%以上)およ
び/または窒素(窒素濃度99%以上)を製品とする。 3.分離のためのシステムは2〜4塔構成とする。 4.吸着分離システムを操作する自動弁は電気力および
/または空気圧で作動する、オン−オフ弁とする。 5.小容量機では原料混合ガスの前処理装置と分離装置
を一体化したシステムとして構成し、一体化、循環操作
を行う。 6.気体分離操作温度は常温近傍(25±10℃)とす
ること。 7.気体分離操作圧力は加圧法にあっては、0〜4.5
kg/cm2 G、真空法にあっては−0.8〜+3.5
kg/cm2 とすること(但し、中・小容量機対象)。 8.成分(A)を目的製品とするときは、塔内への原料
気体送入において、成分(B)の吸着帯域前縁が塔の末
端に到達する直前で、原料気体送入を停止するのが好ま
しい。また、成分(B)を目的製品とするときは、塔末
端よりの流出ガス中の成分(A)の濃度が次第に減少
し、入口濃度と出口濃度が等しくなる直前で原料気体送
入を停止するのが好ましい。
【0064】
【作用】 1.本発明においては、PSAロス原因である向流減圧
操作を並流減圧操作とし有用成分は原則として全てシス
テム内に回収したこと、システム内に形成された濃度勾
配は各個別操作を通じて、維持することによりエントロ
ピーロスを極小化したこと、システム内で発生する温熱
および冷熱エネルギーは、全てシステム内での有効活用
をはかりエンタルピーロスを極小化したこと、圧力エネ
ルギーは他の吸着塔もしくは膨張機関などの圧力エネル
ギー回収手段で回収したことにより、省エネ性が著しく
向上した。 2.本発明においては、簡単な構成を用い、かつ安い構
成材料(主とて鉄と吸着剤)を用い、オン−オフ弁とパ
ルス流制御法(PF)の採用による高負荷運転により、
吸着剤生産性が向上し、コンパクト化が達成されたこと
により、省資材性が著しく向上した。 3.省エネ性および省資材性の向上をひっくるめた総合
効率が、従来の深冷法や従来のPSAに比して著しく改
善され、例えば原料空気から大量、安価な酸素、窒素の
供給が可能になった。 4.本発明の方法により、深冷法では達成できない、小
容量機のための超コンパクトユニットも可能となった。 5.本発明の方法により、従来のPSAでは著しく困難
な酸素、窒素の併産が可能となった。
【0065】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明の主旨を逸脱しない限り実施例に限定さ
れるものでない。 (実施例1)本発明の気体のバルク分離方法を、図4
(A)に示す2塔構成の吸着分離システム(装置)、図
2(A)の[吸着塔(A)および吸着塔(B)内の圧力
〜時間]関係を示す圧力シーケンス、および図10
(A)、(B)に示す弁シーケンスを用いて空気より酸
素(有用ガス)と窒素(不用ガス)を分離する例により
説明する。吸着塔(A)、吸着塔(B)にはそれぞれ、
不用ガスを選択的に吸着する吸着剤a、bを収納してい
る。吸着塔(A)、吸着塔(B)はそれぞれ、同一仕様
のものである。
【0066】図4(A)の下方側から混合気体(乾燥空
気)(DA)を送入し、不用気体(窒素)を吸着させ上
方側に送出する。ポンプ(1)は、原料空気(AR)を
吸引、加圧して管路(2)に送出し、前処理装置(3)
にて、空気中の水分、炭酸ガス、微量不純成分等を除去
し、加圧乾燥空気(DA)として管路(4)に送出し、
管路(5a)、管路(5b)を経て吸着塔(A)、吸着
塔(B)の下方の入口端部から送入する。吸着塔
(A)、吸着塔(B)の上方側(出口端部)から得られ
る有用気体(酸素)は管路(6a)、管路(6b)から
管路(7)を経て製品貯槽(記載せず)に貯留される。
管路(6a)、管路(6b)には有用気体(酸素)と不
用気体(窒素)が一定時間間隔をおいて交互に送出され
る。管路(8)は不用気体を放出するための経路であ
る。なお、管路(8)に真空ポンプ(10)を設けて、
不用気体の脱着を促進してもよい。各開閉弁、11a、
11b、12a、12b、13a、13b、14a、1
4bはそれぞれが配置された管路の気体の通過を開閉す
るための弁であって、制御部(図示せず)によって所要
の工程を成し遂げるよう開閉動作するものである。
【0067】・開閉弁11a、11bは上記の送入操作
に寄与し、 ・開閉弁12a、12bは所要気体(酸素)の採取操作
に寄与し、 ・開閉弁13a、13bは吸着塔(A)と吸着塔
(B)、または吸着塔(B)と吸着塔(A)の並流接続
操作のための弁で、「均圧操作」と「パージ操作」に寄
与する。 ・開閉弁14a、14bは不用気体(窒素)の大気放出
に寄与する。 ・開閉弁(15)は上記各弁切換操作時における管路
(4)の過度的圧力上昇の緩和ないし、開放に寄与す
る。 ・圧力計(PA )、(PB )はそれぞれ吸着塔(A)、
吸着塔(B)の内部の圧力を監視する。
【0068】本実施例1では各開閉弁は1サイクルの工
程中、弁シーケンスでみると図10(A)、(B)のよ
うに制御しており、また圧力計(PA )、(PB )でみ
た圧力変化は図2(A)に示したようになっている。図
10(A)、(B)において各開閉弁はハッチングを施
した期間だけ開通し、他の期間は停止している。図2
(A)の圧力変化は模型的線図を示したもので、実際に
は各開閉弁の開閉による各管路内や各吸着塔内の過渡的
な変動を伴った変形曲線になる。
【0069】1サイクル工程における各操作の順序を説
明する。基本的には各吸着塔(A)、吸着塔(B)の各
圧力変化を1サイクル期間(T秒)の例えば、T=60
秒の1/2、即ち30秒の位相差による2相の変化曲線
をもって、運転操作しているものであり、具体的には、
吸着塔(A)内の圧力変化は図2(A)の上部の折れ線
で示す変化をもった第1相の圧力変化を行うように、吸
着塔(B)の圧力変化は図2(A)の下部の折れ線で示
す変化をもった第2相の圧力変化を行うように運転操作
している。また各圧力変化は最高圧PH と最低圧PL
と、これらの間をほぼ2等分した中間の圧力PM の3つ
の圧力点を経移するように動作している。
【0070】そしてまず、動作を開始すると、数サイク
ルの間は各吸着塔(A)、吸着塔(B)内の各圧力は種
々の過渡的経過をたどるが、やがて、図2(A)の1サ
イクルの開始点(TS )において吸着塔(A)の圧力は
上昇途中でPM に、吸着塔(B)の圧力は下降途中でP
M もしくはその近傍にある。始点TS からの動作を、吸
着塔(A)に対する操作、つまり図2(A)の上部に示
す圧力変化を主体にして、以下工程順に説明する。
【0071】工程 原料加圧操作 0(=TS )〜2
5秒 開閉弁11aを始点TS より25秒間、開放する。乾燥
空気つまり原料気体を吸着塔(A)に加圧送入する操作
を行い、吸着塔(A)の圧力を中間圧PM から最高操作
圧PH に移行し、不用気体(窒素)を吸着剤(a)で吸
着して、有用気体(酸素)を吸着塔(A)の上方側(出
口端部)に送出する。また、これと同時に開閉弁14b
を20秒開通して吸着塔(B)の圧力を管路(8)に排
出しうる状態にすることにより、吸着塔(B)の圧力を
中間圧PM から最低操作圧PL に移行する。この際、真
空ポンプ(10)にて吸引し、最低操作圧PL を大気圧
以下にすることもできる。なお本操作期間中において
も、始点(TS )から、15秒後、開閉弁(13a)を
5秒間開通して、吸着塔(A)出口端部の酸素リッチガ
スを最低操作圧PLにある吸着塔(B)に対して、その
入口端部から並流方向に流し、吸着塔(B)内のパージ
を行う。この操作により吸着塔(B)内残留不用ガス
(窒素)の脱着が促進され、弁(14b)、管路(8)
を経て大気へ放出される。なおパージ操作終了後も開閉
弁13aを短時間開放しておき、吸着塔(B)内圧力を
大気圧より高めに保持する[図10(A)、(B)の5
aで示す]。
【0072】工程 製品取出操作(20〜25秒) 工程の操作により、吸着塔(A)の圧力が上昇し、最
高操作圧近傍に達したら、開閉弁(12a)を開通し、
有用成分(酸素)の採取を行う。即ち、開始時点(T
S )から20秒後、開閉弁(12a)を5秒間開通し、
吸着塔(A)出口端部から有用成分(酸素)を取出す。
【0073】工程 並流減圧(1)操作(25〜30
秒(TM )) 始点TS から25秒経過したら、開閉弁11aを閉止
し、弁13aを開放、吸着塔(A)と吸着塔(B)を並
流接続する。この操作により吸着塔(A)の圧力は最高
操作圧(PH )から中間圧(PM )へ降下し、吸着塔
(B)の圧力は最低操作圧(PL )から中間圧(PM
迄上昇する。即ち、吸着塔(A)と吸着塔(B)の圧力
が平衡化することで吸着塔(A)→吸着塔(B)のガス
の移行が停止する(均圧という)。なお、均圧操作期間
は開閉弁(15)を5秒間開放し、管路(4)内の圧力
の異常上昇回避する。
【0074】工程 並流減圧(2)操作(30(T
M )−45秒) 始点(TS )から30秒で、中間点(TM )に達する。
S 〜TM (30秒)で工程〜の操作が終わる。工
程の操作終了後、弁(14a)を20秒間開放する。
吸着塔(A)の圧力は15秒後に中間圧(PM )から最
低操作圧(PL)へ降下する。
【0075】工程 パージ操作(45−50秒) 工程の操作に続いて行われる工程の操作は15秒で
停止するが、なお弁(14a)は開放しておく。即ち吸
着塔(A)は20秒間最低操作圧(PL )に保持され
る。1サイクルの中間点(TM )より15秒後、弁(1
3b)が5秒間開放され吸着塔(B)出口端部の酸素リ
ッチガスが吸着塔(A)入口端部から並流方向に導入さ
れ、吸着塔(A)内残留不用成分の脱着を促進する。脱
着された不用ガス(排窒素)は弁(14a)を介して管
路(8)へ送出され大気に放出される。
【0076】工程 再加圧操作[55−60秒(T
E )] TM で開放された弁14aは20秒後閉止される。再加
圧操作に入る迄の5秒間、弁13bを短時間開放し、内
部を正圧(大気圧以上)に保つ[図11(B)の5aで
示す]。TM から25秒後、弁13bを5秒間開放し、
再加圧操作が行われる。この操作の間、吸着塔(A)、
吸着塔(B)の入口〜出口端部の弁は弁13bを除き全
て閉止される。弁13bの開放により、吸着塔(B)出
口−吸着塔(A)入口の並流方向に2つの塔が接続さ
れ、吸着塔(B)はPH →PM へ降圧し、吸着塔(A)
はPL →PM まで復圧し、原料送入のための準備が整
う。工程操作終了後、再び弁11aが開放され、第2
周期が始まる。始点TS から55秒−60秒間、弁15
を開放し、管路(4)の異常圧力上昇を回避する。
【0077】以上主として吸着塔(A)に着目して1サ
イクルにおける各弁の開閉操作を示したが、吸着塔
(B)についても同様な操作が30秒遅れて行われる。
吸着塔(A)、吸着塔(B)間の関連操作等は図10
(A)、(B)に示す通りである。上記並流減圧(1)
操作で並流接続された2つの塔の圧力が平衡する途中
で、操作を止め工程の操作に入る別の例もある(部分
均圧法)。また、高い圧力の塔への加圧を続行しつつ、
または低い圧力の塔の減圧を続行しつつ、2つの塔を接
続する別の例もある。
【0078】本発明の方法における操作では、総合効率
向上のためには、吸着塔に流出入するガス量を迅速精密
に制御する必要がある。一般に、上記の自動開閉弁近傍
の管路にオリフィス等の絞り機構、ダイヤフラム調節弁
等を付設し、弁の開閉時に該管路を流れるガス流量を連
続運転に入る前に調整しておくが、運転開始作業が複雑
になったり、自動開閉弁の他に調節手段を付加すること
は装置の構成を複雑化して装置価格の上昇となったり、
流路抵抗によるエネルギー損失につながる恐れがあるの
で、本発明においては、使用する弁をすべてオン−オフ
弁に統一し、前記6つの工程〜の個別操作のための
最適のガス量をオン−オフ弁の精密シーケンスに基づく
断続的開閉操作により制御することが好ましい。
【0079】図10(A)において、パージ供与弁13
aまたは13bを図10(B)に示すごとく断続的に開
閉する。実施例1においては弁13aを15.0−1
5.5、17.5−18.0、20.0−20.5のご
とく開閉操作し、酸素リッチガスを最低操作圧PL にあ
る吸着塔(B)に3つの継続する圧力波として送り込ん
でいる。そして第1パルスと第2パルスの2波の合計流
量が「パージ操作」に必要なガス量になるよう制御して
いる。第3パルス(5aで示す)は吸着塔内圧力を大気
圧より高く保持するための操作である。以上の迅速精密
な流量制御法を“パルス流制御法”(Pulsed Flow Cont
rol Method)という(PF)。
【0080】このPFを図16および図17により詳細
に説明する。図16は本発明の個別操作のための小型シ
ミュレーターの模型図である。図16においてAは吸着
塔、V1 ,V2 はオン−オフ弁、aは吸着剤、P1 ,P
2 は圧力センサー、Rはリザーバー、△Pは差圧を示
す。実験操作例を次に示す。吸着剤aは活性化後、窒素
を充填し、大気圧下もしくは真空圧下におき初期条件を
そろえる。初期圧力P2 とする。リザーバ(R)の中に
酸素を入れ、一定圧力(P1 )にしておく(P1
2)。オン−オフ弁V1 を0.1秒あけ、吸着塔
(A)の差圧△Pの時間的変化を図形記録する。結果を
図17のAに示す。オン−オフ弁V1 を0.2、0.3
秒・・・等とあけ、吸着塔(A)の△Pの時間的変化を
図形記録する。0.2秒あけたときの結果を図17のB
に示す。
【0081】図17のAとBの山形、波形を比較する。
図17のAに示されているように、△t=0.1のとき
は山形頂部がくずれた鋭角状となる。図17のBに示さ
れているように、△t=0.2のときは山形頂部がほぼ
対称的で正弦波に近似する。後者の場合、一定量のガス
塊がカラム内を圧力波として円滑に伝播していることを
示す。このときのガス塊またはガス波の量は、最小最適
なガス量を示す。図17のBの波形図のHB はガス伝播
速度に関係し、TB は第1波と第2波の待ち時間(ポー
ズ)を示す。実施例1の工程のパルス操作におけるパ
ルス流制御は、0.5パルス−2.0ポーズ(第1パル
ス)の操作を第2、第3と3操作行っている。このとき
の1パルスの流量は下記式(1)(実験式)で示され
る。
【0082】
【数3】
【0083】(実施例2)本発明の気体のバルク分離方
法を、図5に示す3塔構成の吸着分離システム(装
置)、図3(A)に示す[吸着塔(A)、吸着塔(B)
および吸着塔(C)内の圧力〜時間]関係を示す圧力シ
ーケンス、および図11に示す弁シーケンスを用いて空
気より酸素と粗窒素を分離製造する例により説明する。
吸着塔(A)、吸着塔(B)、吸着塔(C)はそれぞ
れ、同一仕様のものである。吸着塔(A)、吸着塔
(B)および吸着塔(C)の内部には窒素ガスを選択的
に吸着する吸着剤(MS−5A)がカラム状に充填され
ている。図5の記号の中、実施例1(図4(A))で説
明したのと同一記号は同様の機能を示す。DAは加圧乾
燥空気を示す。 ・開閉弁21a、21b、21cは加圧乾燥空気の送入
操作に寄与し、 ・開閉弁22a、22b、22cは製品酸素の採取操作
に寄与し、 ・開閉弁23a、23b、23cは2塔間の並流接続操
作に寄与し、 ・開閉弁24a、24b、24cは粗製窒素の採取操作
に寄与する。 ・開閉弁26a、26b、26cは有効成分の回収操作
に寄与する。 ・管路9a、9b、9cは2塔間を並流接続さすための
管路である。 ・PA 、PB 、PC はそれぞれ吸着塔(A)、吸着塔
(B)、吸着塔(C)の内部の圧力を監視する圧力計で
ある。
【0084】各開閉弁は1サイクルの工程中、弁シーケ
ンスでみると図11のように制御しており、また圧力計
A 、PB 、PC でみた圧力変化は図3(A)に示した
ようにしてある。図11において、各開閉弁はハッチン
グを施した期間だけ開通し、他の期間は停止している。
図11において、ハッチング部内の数字は吸着塔(A)
に着目した工程〜順を示す。図3(A)の圧力変化
は模型的線図を示したもので、実際には各開閉弁の開閉
による各管路や、各吸着塔内の過渡的変動を伴った変形
曲線になる。1サイクル工程における各操作順に従って
説明する。始点TS からの動作を吸着塔(A)に対する
操作、即ち図3(A)の上部に示す圧力変化を主体にし
て説明する。
【0085】工程 原料加圧 0(=TS )〜20
秒 乾燥空気を吸着塔(A)に加圧送入し、吸着塔(A)内
の圧力(PA にて示す)を中間圧PM2から最高操作圧P
H に迄上げる。空気中の窒素を吸着剤カラムで吸着し、
酸素を吸着塔(A)の出口端部に送出する。またこの操
作期間中で、吸着塔(A)内圧力がPH 近傍に達したら
酸素送出弁22aを5秒間あけて所定量の酸素を管路
(7)へ送出する。管路(7)には製品酸素の貯留槽
(記載せず)が接続されており、そこから消費端へ送ら
れる。また、弁23aを1.0秒間開放し、最低操作圧
L 下にある吸着塔(B)の再加圧(1)を行う(図1
1中5aで示す)。
【0086】工程 並流減圧(1) 10〜20秒 吸着塔(A)に対して乾燥空気の送入を続行しつつ、弁
23aを10秒間開放し、吸着塔(A)と吸着塔(B)
を並流接続し、吸着塔(A)出口端部の酸素リッチガス
を吸着塔(B)に回収する、少しおくれて弁23bが開
放される、吸着塔(B)を中間圧PM1からPM2迄、再加
圧を行う。同時に、吸着塔(A)は最高操作圧PH から
M2迄降圧する。
【0087】工程 並流減圧(2) 20〜30秒 弁24aを10秒間開放する。吸着塔(A)に残留する
窒素リッチガスは、管路(8)へ送出される。そこから
窒素貯留槽(記載せず)へ送られる。酸素生産が目的の
ときは管路(8)を経て大気中へ放出される。吸着塔
(A)内圧力は最低操作圧PL に降下する。減圧流出ガ
ス中の酸素分を回収する場合は、弁20b−ポンプ(1
0)−弁26bと点線で示す経路を通じて吸着塔(B)
へリサイクル回収する。
【0088】工程パージ 30〜40秒 この操作期間中、吸着塔(A)は最低操作圧PL 下にあ
る。図3(A)に示すごとく、パージ用の酸素リッチガ
スが吸着塔(B)→吸着塔(C)→吸着塔(A)と並流
方向に流れ、吸着塔(A)内に残留する窒素リッチガス
を吸着塔(A)へ出口端部へ押し出し、弁24aを介し
て管路(8)へ送出される。この操作で重要なことは、
2塔間接続部で濃度勾配の段差がおきないよう、各塔内
の圧力変化が圧力シーケンス図[図3(A)]に沿うよ
う流量調節しなければならないことである。
【0089】工程 再加圧(1) 41〜42.0秒 弁23cを1.0秒間開放し、吸着塔(A)の再加圧
(1)を行う。図12中の工程で示す。吸着塔(A)
内の圧力は約0.25kg/cm2 Gへ上昇する。
【0090】工程 再加圧(2) 50.0〜60.
0秒 弁23cを10秒間開放し、吸着塔(C)と吸着塔
(A)を並流接続し、吸着塔(C)を減圧しつつ、吸着
塔(A)の再加圧(2)を行う。少しおくれて吸着塔
(A)と吸着塔(B)を並流接続し、吸着塔(A)→吸
着塔(B)へパージガスを供給する。吸着塔(A)内圧
力は0.25kg/cm2 →2.5kg/cm2 迄昇圧
する。
【0091】以上、主として吸着塔(A)に着目して1
サイクル時間60秒における各弁の開閉操作を示した
が、吸着塔(B)、吸着塔(C)についても各々60/
3=20秒遅れて同様な操作が行われる。吸着塔
(A)、吸着塔(B)、吸着塔(C)間の関連操作等は
図11に示す通りである。
【0092】3塔構成以上のシステムの動作において
は、3つの塔が並流接続してガスが流れるので、流量調
節は大切である。2塔式に常用される減圧操作は2つの
塔を並流接続して圧力が平衡化したら操作を停止する。
このときには、ガスの移送量(全量)の制御について
は、考慮する必要がない。但し、圧力の降下(上昇)が
圧力シーケンス図上で直線的で、かつ所定時間で丁度終
わるようにするための流速の調節は必要である。3塔構
成のシステムの場合は、移動さすガスの量(全量)およ
び移動速度(圧力シーケンス間に沿うように)の双方が
最適値であるよう、配慮しなければならない。
【0093】4塔構成のシステムと分離操作も3塔構成
のシステムの場合と同様の考え方で実行できる。図6に
示す4塔構成の吸着分離システム(装置)および図12
に示す弁シーケンスを用いて空気より酸素と粗窒素を分
離製造する例により説明する。4塔構成のシステムの場
合も3塔構成のシステムの場合と同様〜の6工程を
行う。4塔構成のシステムの場合の〜の6工程と3
塔構成のシステムの場合の〜の6工程を比較した結
果を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】“並流減圧と再加圧が3段階に分かれる”
ところが3塔構成のシステムと異なる。但し考え方の基
本は同一である。
【0096】(実施例3)図9に示す2塔構成の吸着分
離システム(装置)および図15に示す弁シーケンスを
用いて空気より酸素と高純度窒素を製造する例を説明す
る。 吸着塔:内径53m/m×長さ230m/m×2塔 吸着剤:MS−5A(吸着塔(A)への充填量;298
g、吸着塔(B)への充填量;305g) 図9に示す2塔構成の吸着分離システム(装置)と図4
に示す2塔構成の基本吸着分離システムとは、図9の場
合は高純度窒素製造のため、弁と窒素リザーバー(窒素
貯留槽)がつく以外は同じであり、記号説明で図4の記
号と重複する箇所は省く。 DA:加圧乾燥空気 O2 :製品酸素(純度93%以上) HN2 :高純度窒素(純度99.5%以上) WA:排気空気 RO :製品酸素貯留槽 RN :製品窒素貯留槽 10:真空ポンプ 各弁はすべて開閉弁である。実施例3では各弁は1サイ
クル工程中、弁シーケンスでみると図15のように制御
しており、ハッチングを施した期間だけ開通している。
ハッチング部の番号は吸着塔(A)に関しての工程順を
示す。
【0097】1サイクル操作は次の〜の8つの工程
から成る。実施例1で示した2塔構成の基本シーケンス
との相違点は、基本シーケンスの工程並流減圧(2)
と工程パージ操作の間に、高純度窒素製造のための
「窒素置換操作」と「窒素回収操作」が入るのみであ
る。説明の重複をさけ以下に吸着塔(A)に着目して本
例の分離操作を説明する。 (1サイクルにおける弁開放時間) 工程 原料加圧 0〜25秒 工程 製品酸素取出 15〜20秒 工程 並流減圧(1) 25〜30秒 工程 並流減圧(2) 30.0〜32.5秒 工程 窒素置換 30.0〜37.5秒 工程 窒素回収 37.5〜50.0秒 工程 パージ 50.0〜50.5、52.
5〜53.0秒 工程 再加圧 55.0〜60.0秒
【0098】工程、、、、、については実
施例1で説明した通りである。工程、について説明
する。 工程 窒素置換 30.0〜37.5秒 1サイクルの開始時点TS から30.0秒後、弁20
a、20b、17a、18aの4つの弁を開け、窒素貯
留槽RN 内の高純度窒素を吸着塔(A)入口端から並流
方向に送入し、吸着塔(A)内気相部に残留する酸素分
を出口端部へ押しやり、弁18aを経て、空気中へ放出
される。この操作は高純度窒素が吸着塔(A)出口端へ
到達した時点で停止する。
【0099】工程 窒素回収 37.5〜50.0秒 工程の操作が終了したら、弁14a、20cを開放
し、吸着塔(A)を真空ポンプ(10)により真空吸引
する。この操作により吸着塔(A)内気相と吸着層に存
在する窒素は吸引され窒素貯留槽(RN )へ送られる。
そこから加圧され高純度窒素(HN2 )として、消費端
に送られる。なお、窒素貯留槽は可撓性構造であること
が好ましい。工程、の操作終了後の真空下の吸着塔
(A)に対して、弁13bの断続的開放操作(PF制御
法)により、酸素がパージ供給される。本例では、0.
5秒のパルスを2パルス操作している。以上の1サイク
ル操作における、吸着塔(A)、吸着塔(B)へのガス
の流出入及びポンプの作動状況は図15に示した弁シー
ケンスで明らかである。かくして30秒毎に吸着塔
(A)、吸着塔(B)から交互に90%以上の酸素と9
9.5%以上の窒素が生産された。
【0100】実施例3の分離操作は2塔システムのみに
限定されるものでなく、3塔構成以上のシステムでも実
施することができる。3塔以上のシステムでは、ポンプ
(1)、真空ポンプ(10)の空転期間をなくすことが
容易となる。
【0101】上記の実施例1〜実施例3、図10〜図1
5に示す弁シークエンスは代表例を示すものであり、他
にも種々の変形態様での実施が可能であるが、本発明の
主旨を逸脱しない限り、全て本発明の範囲に属するもの
である。
【0102】
【発明の効果】本発明の気体のバルク分離方法は、構成
が簡単な吸着分離システム(装置)を用い、安価な材料
を使用を用い、吸着分離システム(装置)がコンパクト
であるので、従来の深冷法に比し、装置価格が著しく安
くなり、構成材料は環境に無害な鉄と石(吸着剤)であ
るので、廃棄処分費を考慮すると格段に経済的である。
本発明の気体のバルク分離方法は、気体が一定周期の圧
力変動しつつ、一定方向に流れ、この流れ過程を通じ、
濃度勾配を一定に維持すること(等エントロピー過
程)、吸着分離システム内で発生する吸着熱及び脱着熱
(冷熱)をシステム内で有効活用すること(等エンタル
ピー過程)、圧力エネルギーを他の吸着塔の昇圧に使用
するか、または膨張機関などにより機械的および/また
は電気エネルギーとして回収することにより熱力学的省
エネプロセスとなる。以上のように本発明の気体のバル
ク分離方法は、省エネ、省資材的プロセスであるので、
総合効率が著しく向上し、原料混合ガスから大量、安価
な酸素や窒素あるいは水素等を分離して供給することが
可能になった。
【0103】近年エネルギー、環境問題の高まりととも
に、酸素高炉法、溶融還元製鉄法、石炭ガス化複合発
電、高温燃料電池等の新製鉄法、新発電システムの大規
模開発プロジェクトが進行中であるが、これら次世代型
技術は大量の酸素・窒素等のガスを消費する。本発明の
気体のバルク分離方法は、上記次世代型技術のための大
量・安価なガス供給手段として、その経済的成立に大き
く寄与するものである。
【0104】また、本発明の気体のバルク分離方法は、
自動車に搭載可能な小型コンパクトなガス分離器を可能
にした。即ち、ディーゼル車に搭載して、パティキュレ
ートバーンアウトのための酸素炎として、あるいは燃料
電池電気自動車の酸素、窒素源、水素分離器等として電
池のコンパクト化、省エネ化に役立つ効果も期待され
る。
【0105】本発明の気体のバルク分離方法は、空気よ
り酸素と窒素の分離のみならず、他の混合ガス(例えば
2 −CO2 、H2 −N2 、N2 −CO等)の分離にも
適用可能である。以上により本発明の気体のバルク分離
方法は産業上の利用価値が甚だ大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法を実施するための基本システム
を示す説明図である。
【図2】 (A)は本発明に係わる2塔構成システムの
各塔の圧力シーケンスを示し、(B)は各吸着塔内の気
相濃度分布の変化を示す説明図である。
【図3】 (A)は本発明に係わる3塔構成システムの
各塔の圧力シーケンスを示し、(B)は各吸着塔内の気
相濃度分布の変化を示す説明図である。
【図4】 (A)は、本発明に係わる基本システム例
(2塔構成)を示す説明図であり、(B)は、圧力エネ
ルギー回収手段(EX)を用いて降圧過程の圧力エネル
ギーを膨張機関または発電機で回収する場合の(A)に
示した基本システム例(2塔構成)の変形態様を示す説
明図である。
【図5】 本発明に係わる3塔構成の基本システム例を
示す説明図である。
【図6】 本発明に係わる4塔構成の基本システム例を
示す説明図である。
【図7】 本発明に係わる2塔構成で乾燥塔を備えた基
本システム例を示す説明図である。
【図8】 本発明に係わる2塔構成で乾燥塔および真空
ポンプを備えた基本システム例を示す説明図である。
【図9】 本発明に係わる2塔構成で、真空ポンプ、製
品酸素貯留槽および製品窒素貯留槽を備えた基本システ
ム例を示す説明図である。
【図10】 図4に示した基本システム操作のための弁
シーケンス例を示す説明図である。
【図11】 図5に示した基本システム操作のための弁
シーケンス例を示す説明図である。
【図12】 図6に示した基本システム操作のための弁
シーケンス例を示す説明図である。
【図13】 図7に示した基本システム操作のための弁
シーケンス例を示す説明図である。
【図14】 図8に示した基本システム操作のための弁
シーケンス例を示す説明図である。
【図15】 図9に示した基本システム操作のための弁
シーケンス例を示す説明図である。
【図16】 “パルス流制御法”(PF)による自動弁
のパルス的開閉操作試験を行うための小型シミュレータ
ーの模型図である。
【図17】 図16に示した小型シミュレーターを用い
て試験した時の吸着塔内差圧(△P)の時間的変化を示
すグラフである。
【符号の説明】
DA 乾燥空気 A、B、C、D 吸着塔 a、b 吸着剤 AR 原料空気(加圧乾燥空気) DA 、DB 乾燥塔 Ex 圧力エネルギー回収手段 V バイパス弁 O2 製品酸素 N2 製品窒素 HN2 高純度窒素 WA 排気空気 WN 排気窒素 1 ポンプ 2、4、5a、5b、5c、6、6a、6b、6c、
7、7a、7b、8、9a、9b、9c 管路 3 前処理装置 5 分離装置(またはシステム) 27、28 製品取出自動弁 10 真空ポプ 11a〜17a、11b〜17b、14c、15、1
8、18a、18b、20a〜20e、19〜21、2
1a〜25a、21b〜25b、21c〜25c、26
a〜26d、31a〜34a、31b〜34b、31c
〜34c、31d〜34d、35a、35b、36a、
36b 自動(開閉)弁

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難吸着成分(A)及び易吸着成分(B)
    を含む原料混合ガスを、その中の成分(A)、成分
    (B)に比して少量でかつ吸着性の著しく強い水分、炭
    酸ガス、その他の易凝縮性ガスを前処理装置にて予め除
    いた後、成分(B)を選択的に吸着できる吸着剤をカラ
    ム状あるいは層状に充填した吸着塔を少なくとも2つ含
    む吸着分離システムの前記吸着塔の一端(入口端)から
    他端(出口端)へ通じて成分(A)及び/または成分
    (B)を得るための気体のバルク分離方法であって、各
    吸着塔は下記の工程〜のシーケンス操作を循環的に
    うけることにより他端(出口端)から、少ない動力消費
    と高い総合効率で、一定時間毎に、交互に製品として成
    分(A)及び/または成分(B)を得ることを特徴とす
    るパラメトリックガスクロマトグラフィーによる気体の
    バルク分離方法。 原料混合ガスを吸着塔の入口端に通じ、塔内圧力を中
    間圧力から、最高操作圧まで上げ原料混合ガス中の成分
    (B)を選択的に吸着し、高められた圧力のもとで他端
    (出口端)から成分(A)及び/または成分(A)に富
    んだガスを取り出す。 原料供給を続行しつつ、最高操作圧近傍において出口
    端から成分(A)及び/または成分(A)に富んだガス
    を取り出す。 原料供給を停止し、この吸着塔を並流方向に減圧し、
    減圧ガスは同一循環操作中の圧力近似かつ圧力上昇中の
    他の吸着塔の入口端へ通ず。 減圧を続行し、大気圧または大気圧を経て真空圧にし
    て、この吸着塔から放出及び/または吸引されたガスは
    大気へ放出するか、他の吸着塔へ回収するかあるいは成
    分(B)製品としてシステム外へ取出す。 最低操作圧下の吸着塔に対し、同一循環操作中の他の
    吸着塔から、成分(A)に富むガス及び/または成分
    (A)を並流方向にパージガスとして導入し、吸着塔内
    の成分(B)を成分(A)に置換し、成分(B)及び/
    または成分(B)に富んだガスを吸着塔出口端から取出
    す。 上記操作終了後、同一循環操作中の圧力近似かつ圧力
    下降中の他の吸着塔よりのガスを入口端に通じ、操作の
    中間圧まで昇圧する。
  2. 【請求項2】 原料混合ガスの供給を続行しつつ工程
    を行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 上記工程、工程の減圧操作と工程
    の昇圧操作を段階的に行うことを特徴とする請求項1記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 原料混合ガスが空気であり、製品ガスが
    90%以上の酸素及び/または90%以上の窒素である
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 上記吸着剤が窒素選択吸着性のゼオライ
    ト系モレキュラシーブ物質であることを特徴とする請求
    項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 吸着分離システムが2つの吸着塔からな
    ることを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 吸着分離システムが3つ以上の吸着塔か
    らなることを特徴とする請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 工程の流出ガスを工程のパージガス
    として他の吸着塔へ供与し、工程の成分(A)を製品
    とすることを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 工程の流出ガスを工程のパージガス
    として他の吸着塔へ供与し、工程の成分(A)を製品
    とすることを特徴とする請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 工程の並流減圧ガス及び/またはポ
    ンプで吸引される成分(B)を製品とすることを特徴と
    する請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 吸着分離システム内にシリカゲル、活
    性炭、アルミナゲル、活性アルミナ、ゼオライトから選
    ばれる前処理用吸着剤を充填した前処理塔を設け、工程
    および工程における減圧及び/またはパージ放出ガ
    スの一部をこの前処理塔の再生用パージガスとして供与
    することを特徴とする請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 工程、工程の1吸着塔流出ガス中
    の有効成分[目的製品が成分(A)のときは成分
    (A)、目的製品が成分(B)のときは成分(B)]を
    ポンプを介して同一システム内の他の吸着塔へリサイク
    ル回収することを特徴とする請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 3塔以上で構成される吸着分離システ
    ムで、2つの吸着塔を接続する個別操作は、操作圧近似
    の2吸着塔を対象とし、1吸着塔から他の吸着塔へ圧力
    差を利用して、並流方向にガスを流し、1吸着塔の圧力
    降下と他の吸着塔の圧力上昇を行い、そして最低操作圧
    下の吸着塔に対して、パージ操作を行うことを特徴とす
    る請求項7記載の方法。
  14. 【請求項14】 2塔以上で構成される吸着分離システ
    ムで2吸着塔を接続する際、吸着塔内圧力が上昇過程に
    ある吸着塔内気相濃度分布は出口端に向かって成分
    (A)がリッチになるようにし、吸着塔内圧力が下降過
    程にある吸着塔内気相濃度分布は出口端に向かって成分
    (B)がリッチになるようにし、1つの吸着塔の出口濃
    度と他の吸着塔の入口濃度の間に段差がないようガスの
    移送量を制御することを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 工程の成分(B)を一旦中間槽へ回
    収し、工程に先立って、この中間槽内の成分(B)を
    ポンプを介して吸着塔の入口端部へ再循環させ塔内を成
    分(B)に置換し、しかるのち、吸着塔内ガス及び吸着
    剤中の成分(B)をポンプにて吸引し、成分(B)を高
    純度品として回収することを特徴とする請求項10記載
    の方法。
  16. 【請求項16】 2塔構成の吸着分離システムにおい
    て、2つの吸着塔を並流方向接続して均圧または部分均
    圧することを特徴とする請求項6記載の方法。
  17. 【請求項17】 工程、の降圧を膨張機関などの圧
    力エネルギー回収手段を介して行い、圧力エネルギーを
    電気及び/または機械エネルギーとして回収することを
    特徴とする請求項1記載の方法。
  18. 【請求項18】 圧力差のある2つの吸着塔を自動オン
    −オフ弁を介して接続して、ガスを移動さすためのシミ
    ュレーター試験において、この自動オン−オフ弁の開放
    時間(△ti)をパラメーターとし、下流側の吸着塔の
    入口端部と出口端部の差圧(△P)の時間(t)的変化
    を測定し、図形化し(タテ軸:△P、ヨコ軸:t)、こ
    の図形が正弦波もしくは正弦波近似波型のときの△ti
    をパルス時間、半波長幅より△tiを引いた値を△Zi
    とし、上記自動オン−オフ弁を通過するガス量(Vi)
    を次式(1)により定めたとき△t1 (開)−△Z1
    (閉)−△t2 (開)−△Z2 (閉)・・・・−△ti
    (開)−△Zi(閉)の弁開閉シーケンス(弁開放時間
    −時間関係)により上記工程〜の個別操作に必要か
    つ十分な気体の移動量(ΣVi)と気体の移動速度[Σ
    Vi/(Σti+ΣZi)]を制御することを特徴とす
    る請求項1記載の方法。 【数1】
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