JPH10128908A - 金属蒸着フィルム、その製造方法、およびそれを用いたコンデンサ - Google Patents
金属蒸着フィルム、その製造方法、およびそれを用いたコンデンサInfo
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- JPH10128908A JPH10128908A JP8292503A JP29250396A JPH10128908A JP H10128908 A JPH10128908 A JP H10128908A JP 8292503 A JP8292503 A JP 8292503A JP 29250396 A JP29250396 A JP 29250396A JP H10128908 A JPH10128908 A JP H10128908A
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Abstract
く、耐湿性能が改善された金属蒸着フィルムとその製造
方法を提供すること。 【解決手段】基材上の少なくとも片面に金属蒸着層を有
し、かつ該蒸着層上に厚さ1オングストローム以上10
00オングストローム未満の有機化合物層を有する金属
蒸着フィルム。
Description
いは包装用に適した金属蒸着フィルム、特にコンデンサ
用として最適な金属蒸着フィルムと該金属蒸着フィルム
の製造方法、さらには、該フィルムを用いてなるコンデ
ンサに関するものである。
自己回復性(セルフヒーリング性)を有することから、
特に有機高分子フィルムを誘電体とするフィルムコンデ
ンサの約8割を占めている。しかし、これらの金属蒸着
フィルムは100〜500オングストロームの極薄層の
金属蒸着層よりなるため、全層が十分な結晶状態になっ
ていず、湿度の高い空気によって容易に酸化物になり、
絶縁体化し、容量の低下、tanδの上昇に伴う熱爆走
による絶縁破壊を起こす危険性を含んでいる。特にZ
n、Snなどの金属を蒸着した金属蒸着フィルムではこ
の傾向が強い。
て電気回路素子を高温高湿下においても使用するように
なり、金属蒸着フィルム、特にAlを蒸着した金属蒸着
フィルムを用いたコンデンサに対しても従来の40℃×
85%RHから60℃×95%RH、または85℃×8
5%RHの耐湿性能を要求されるようになってきた。近
年、これらの欠点の改良あるいは新たな要求に対し、い
くつかの改善提案がなされている。
は、特開昭57−206013号公報にZn蒸着層上に
Al蒸着層を設け、耐湿性能を改善する提案がなされて
いるが、Zn蒸着層のみに比べて改善されるものの、未
だ十分とは言い難い。また、特公平5−63092号公
報、特開昭60−224211号公報にはZn、あるい
はAl蒸着金属の上に無機Si、あるいは無機酸化物の
SiO2 を蒸着し、耐湿性能を改善することが提案され
ている。該方法によって作られた金属蒸着フィルムの耐
湿性能は明らかに向上することが認められるが、耐湿性
能にばらつきが生じる欠点があり、更にSi、あるいは
SiO2 の蒸着速度が極めて遅いため、ZnやAlとの
蒸着速度に差がありすぎ、生産上の困難が伴う。なお、
耐湿性能のばらつきもZnやAlの蒸着速度に追随させ
たとき、SiあるいはSiO2 の蒸発量が極く微量のた
め、均一層を形成できないことに起因するものと思われ
る。
して、特開昭59−227115号公報、特公昭63−
15737号公報(USP4785374号明細書)、
特開平3−143629号公報に金属蒸着層上に真空蒸
気内でシリコーンオイル等を蒸着する方法が提案されて
いる。
上するものの、近年の厳しい要求には性能が不十分であ
るとともに、さらに扁平型コンデンサにするためのプレ
ス成形性あるいは積層コンデンサにおいて、金属蒸着フ
ィルムの層間密着が悪いという不都合がある。近年、素
子成形速度が速くなるにつれ、かかる不都合が重要な問
題としてクローズアップされてきた。
開平2−218716号公報、特開平4−245414
号公報、特開平5−275276号公報、特開平6−1
40281号公報の如く、基材上に有機高分子の薄層を
設け、その上にAlを蒸着する方法が提案されている
が、該方法の耐湿性能の改善効果は目標レベルに対し不
十分であり、かつ界面分極によるものと思われるtan
δ上昇が生じる欠点があり、未だ要求に答うる製品が開
発されていない。
3000のフッ素系二官能性アクリレート(fulor
inated diacrylate)をZn蒸着層の
上に4000オングストローム厚さで蒸着し、次いで電
子線で架橋することによってZnの耐湿性能を向上させ
ているが(16th Capacitor and Re
sistor Technology Symposiu
m,1996)、この方法ではプレス性が悪く、さらに
電子線によると思われる帯電が起きること、および金属
蒸着フィルム間の滑り性が悪くなり、コンデンサの素子
巻き特性が悪化する欠点がある。
性、あるいは積層性を損うことなく、耐湿性能を改善す
ることを課題として成し遂げられたものである。また本
発明の付随効果として、従来から冬になるとAl蒸着フ
ィルムのIR(絶縁抵抗)が低下していた問題点も改良
できることを見出したものである。
達成する本発明の金属蒸着フィルムは、基材上の少なく
とも片面に金属蒸着層を有し、かつ該蒸着層上に1オン
グストローム以上1000オングストローム以下の有機
化合物層を有することを特徴とする金属蒸着フィルムで
ある。
と該金属蒸着フィルムの製造方法、さらに該フィルムを
用いてなるコンデンサについて、さらに詳しく説明をす
る。
ルムの概略図を図1に示す。
ものではない。
ルムであり、2は基材、3は金属蒸着層、4は有機化合
物層、5は金属蒸着層が形成されていないか、あるいは
金属酸化物等から形成された絶縁層でコンデンサにした
ときの金属蒸着層と対極との絶縁を保持するための絶縁
部(「耳幅」または「マージン」と呼称されるが、以
下、マージンと呼ぶ)である。なお、6はマージンを形
成するためのマージンオイルである。
層4、マージン5は基材2の片側しか設けられていない
が、基材2の両側に設けてもよい。また、マージン5は
金属蒸着フィルム1の幅方向の金属蒸着層3の片側の端
に設けられているが、特公平1−30285号公報のご
とく、シリーズコンデンサでは両側、あるいは中央、特
公平4−225508号公報(USP5136462号
明細書)のごとく保安機構付コンデンサでは種々のパタ
ーンをしたマージン5を金属蒸着層3中に設けることが
できる。
ム以上1000オングストローム未満がよい。1000
オングストローム以上になると界面分極が発生し、ta
nδが上昇する。より好ましくは5オングストローム以
上500オングストローム以下、より好ましくは10オ
ングストローム以上100オングストローム以下であ
る。10オングストローム以上になると十分な耐湿効果
が認められ、かつ100オングストローム以下であれ
ば、プレス性も極めて良好である。
電子顕微鏡で観察するか、Arイオンにてイオンエッチ
ングしながらオージェ電子分光法(AES)にて、例え
ば炭素原子などの有機化合物を形成する原子量を測定
し、有機化合物表面から金属蒸着層に至るエッチング時
間から有機化合物の既知のエッチング速度を用いて有機
化合物層の厚さを算出することによって、定量できる。
合物であればよく、特に限定されないが、架橋した有機
高分子層であることがより好ましい。そのような架橋し
た有機高分子層を用いれば、コンデンサを形成する際の
プレス加工などによる変形、熱処理に伴う収縮などの変
形にて架橋膜に亀裂等を生じさせることなく変形し、耐
湿性能の悪化を招くことが少ないのである。本発明者ら
の知見によれば、中でも架橋したシリコーン樹脂が好ま
しく、特に、下記式1の二官能シロキサン結合、式2の
三官能シロキサン結合、
性も良好である。この原因は、三官能シロキサン結合、
および四官能シロキサン結合が耐湿性能、プレス性を向
上させ、プレス加工、熱処理などに伴う変形応力に二官
能シロキサン結合部分が対応しているものと考えられ
る。
チルポリシロキサン、あるいはメチルフェニルシリコー
ンオイルよりなり、かつ上記のごとく二、三、四官能の
シロキサン結合を有する架橋したシリコーン樹脂である
ことがより好ましい。
化合物層表面の表面張力が38dyne/cm以上であ
ることがプレス性に有効で、中でも二、三、四官能のシ
ロキサン結合を有するシリコーン樹脂で、かつ該表面の
表面張力が38dyne/cm以上の架橋シリコーン樹
脂層であることが、耐湿性能、プレス性の点から最も好
ましい。
が、紙、有機高分子フィルムなどを好ましく用いること
ができる。特に有機高分子フィルムが可撓性、電気絶縁
性に優れより好ましい。
然、半合成、合成高分子樹脂をフィルム状に成型したも
ので、中でも合成高分子樹脂からなる有機高分子フィル
ムが耐熱性、機械特性、電気特性、物理化学的特性の点
からより好ましい。
ィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイ
ミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネイト樹
脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリア
リレート樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリア
リレン樹脂などを用いることができる。特にポリプロピ
レン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネ
リト、ポリスチレンが機械特性、電気特性の点からより
好ましい。中でもポリプロピレン、ポリエチレンテレフ
タレート、およびポリエチレンナフタレートが交流耐電
圧(AC耐電圧)が高いことから好ましい。
ート、ポリエチレンテレフタレート、およびポリフェニ
レンサルファイドが特に好ましい。
力を38dyne/cm以上に上げることは、蒸着金属
の付着性あるいは含浸剤の含浸性を上げることができる
ことができるのでより好ましい。
u、Ag、Au、Su、Feあるいはこれらの合金等で
導電性を有するものであれば特に限定されることなく使
用することができるが、Al、Zn、Cu、Suなどが
耐コロナ劣化性が少なく好ましい。中でもAl−Znの
合金が耐湿性能、耐コロナ劣化性および自己回復特性の
点でより好ましく、中でも蒸着合金膜中のAl含有量比
{(Al含有量×100)/(Al含有量+Zn含有
量)}が、金属蒸着層表面C1 、金属蒸着層中央C2 、
高分子フィルム界面でC3 とすると、図2のごとくC2
<C1 、かつC2 <C3 と連続的に変化する金属蒸着層
が好ましい。さらに金属蒸着層全体のAlの含有量比が
0.5〜15wt%、より好ましくは8〜12wt%と
なるAl−Znの合金からなる金属蒸着層が特に好まし
い。中でもAlの含有量比C2 <C1≦C3 となる分布
をするAl−Znの合金が自己回復性の劣化が少なくよ
り好ましい。
は特に限定されないが、真空蒸着機内で基材に金属を蒸
着後、次いで、該蒸着金属層上に有機化合物を蒸着し、
さらに該有機化合物表面をグロー放電処理することによ
って著しく耐湿性能を向上させることができ、さらにプ
レス性を改善することができる。
ルムにAlを蒸着膜抵抗2Ω/□の厚さに蒸着後、特公
昭63−15737号公報の方法にてシリコーンオイル
(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 SH7
02)を蒸着した場合、耐湿性能が向上するが、さらに
シリコーンオイル蒸着後、酸素ガスを用いたグロー放電
処理を行うと、130℃×90%RH中(オートクレー
ブ中)に放置してさえも蒸着膜の消失もなく、蒸着膜抵
抗の増加も50%以内におさまるほど、著しく耐湿性が
向上することは驚くべき知見である。
ルを蒸着していないAl蒸着フィルム、あるいはシリコ
ーン蒸着したのみのAl蒸着フィルムでは、130℃×
90%RHの雰囲気に放置すると1時間以内に蒸着膜が
消失(蒸着膜が透明になる)してしまっていたのに対し
て、上述の如く蒸着膜の消失もないことは驚くべきこと
である。
蒸着フィルムではプレス性が悪化し、Al蒸着のみの金
属蒸着フィルムに比べ、より高温で長時間プレスする必
要があるが、シリコーンオイル蒸着後グロー放電処理し
た金属蒸着フィルムの表面をX線光電子分光法(XP
S、あるいはESCAと一般的に呼称される)にて表面
を分析するとシリコーンオイル固有の二官能シロキサン
結合に加え、三および四官能シロキサン結合成分が生成
しており、該シリコーンオイルが架橋していることがわ
かった(なお、一部のシロキサン結合はAl蒸着膜と化
学反応しているものと考えられる。)。このことが耐湿
性能を著しく改善していると考えられる。さらにシリコ
ーンオイル蒸着後、グロー放電処理した金属蒸着フィル
ムの表面張力は38dyne/cm以上になっており、
このことがプレス性を著しく改善していると考えられ
る。
は1000オングストローム未満が好ましく、1000
オングストロームを超えると金属蒸着フィルムのtan
δが上昇し、また有機化合物の下層の架橋が起こらず、
さらにプレス性の改善効果も少ない。
とは真空中で電磁場の印加によって開始、持続する放電
で、真空中で放電開始または/および放電持続ガスに直
流電圧、低、中、高周波電圧、マイクロ波を印加するこ
とによって形成できる。また磁場を併用印加することに
よって、放電をより低い電圧でより安定化できる。
ないが、酸素原子を含むガスがより好ましい。例えばO
2 、CO、CO2 、あるいはこれらと他のガスとの混合
ガスなどを好ましく用いることができる。
マージンを形成する。マージンの形成方法にはテープを
用いるテープマージン法とオイルを蒸発させて作るオイ
ルマージン法があり、オイルマージン法で作った金属蒸
着フィルムの方が耐電圧が高くなるが、プレス性が低下
する欠点がある。しかるに、本発明方法のように金属蒸
着層上に有機化合物を蒸着後、グロー放電処理した金属
蒸着フィルムはオイルマージン法でマージンを形成して
もプレス性を低下させない特徴がある。また、本発明方
法においてマージンを形成するオイル(マージンオイ
ル)としてはシリコーンオイルを用いることが特に好ま
しい。中でも、重量平均分子量MWが300≦MW≦8
00のジメチルポリシロキサンオイル、あるいはメチル
フェニルシリコーンオイルが好ましく、特に数平均分子
量MNとの比が1.0≦MW/MN≦1.1のメチルフ
ェニルシリコーンオイルが好ましい。また、このシリコ
ーンオイルは金属蒸着層上に蒸着する有機化合物として
も好ましく使用できるものである。
放電処理、あるいはグロー放電処理し、該表面の表面張
力を38dyne/cm以上にするとプレス性がさらに
向上し、またコンデンサを含浸する際の含浸剤の含浸性
が良くなり好ましい。
回、あるいはさらにプレスし、場合によっては含浸し、
外装することによって良好なコンデンサを作ることがで
きる。なお、本発明の金属蒸着フィルムを用いるコンデ
ンサの含浸剤としては特に限定されないが、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、またはシリコーン樹脂等を好ましく
使用することができる。
コンデンサに限定されるものではない。
後、20mlに定溶し、この定溶液をICP発光分光分
析法にてAlおよびZnを定量した。ICP発光分光分
析装置はセイコー電子工業(株)製SPS1200VR
型を用いた。
装置にて、蒸着層の表面よりArイオンエッチングしな
がらAlおよびZnの定量分析を行った。
ーム/min 測定条件 加速電圧:3kV スリットNo.:5 試料電流:8×10-8 A 試料傾斜角度:72度 ビーム径:10μm なお、フィルム界面とは蒸着膜中央よりフィルム界面に
かけAl含有量が多くなり、最大になった後減少してい
く、最大点の位置をフィルム界面とし、最大点の含有量
比をC3とする。
って、有機化合物の存在を確認できる。
α1.2線(1486.6ev) 光電子脱出角度(θ):35度 エネルギー補正:C1S メインピークの結合エネルギー
値を284.6evに合わせた。
有機物を検出することがあるが、蒸着表面上に形成され
た架橋有機化合物からの信号が著しく高く、汚染の有機
物とは区別できる。
S)、検出器:示差屈折率検出器R−401(WATE
RS)を用い測定し、分子量校正はポリスチレンで行っ
た。
場合はカラムはTSK−gel−G3000HXL
(1)、G2500HXL(1)(東ソー(株))を用
いた。 (5)耐湿性能 タバイ(株)製PRESSURE COOKER TP
C−211に金属蒸着フィルムを入れ、130℃×90
%RHで1時間、または3時間高温高圧水蒸気中に放置
し、放置前後の蒸着膜の抵抗変化、あるいは蒸着膜の消
失具合を目視にて判断した。
プロピレンフィルムのぬれ試験方法に準じた。
た素子にテンシロンにて荷重をかけ、巻芯が開いた(成
型が崩れた)時の荷重を読みとった。荷重が大きいほ
ど、プレス性は良い。
lを蒸着し、マージン5の幅=2mm、金属蒸着層の抵
抗値2Ω/□のコンデンサ用蒸着フィルムを作成した。
着後、次いでフェニル・メチル・ジメチル・ポリシロキ
サンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)
製SH702)を加熱し、Alの上に蒸着し、さらにそ
の表面を1次側電圧280V、電流1.1A、2次側周
波数15kHz、出力0.32kWの条件でO2ガスを
用いてグロー放電を行った後巻き取った。比較例1では
Alを蒸着後、同様にシリコーンオイルを蒸着した。比
較例2では従来の方法であるAl蒸着のみとした。
スリットした後、130℃、90%RHの圧力釜に3時
間入れ耐湿性能の評価を行った。その結果を表1に示
す。
フィルムは、他が膜抵抗が測定できないまで蒸着金属が
消失(透明化)したにもかかわらず、約14%の抵抗値
上昇にとどまっており良好な耐湿性能を示した。
回、125℃、30kgf/cm2の圧力で5分間プレ
スし1.6μFのコンデンサ素子を作成した。このコン
デンサ素子のプレス性を評価した。
ごとく本発明の金属蒸着フィルムは従来の蒸着フィルム
(比較例2)同様の良好なプレス性を示していることが
わかる。
lを蒸着し、図1の金属蒸着フィルムを作成した。なお
マージン幅(スリット後)=0.4mm、金属蒸着層の
抵抗値2Ω/□とした。
着後、次いでMW=520、MW/MN=1.0のフェ
ニル・メチル・ジメチル・ポリシロキサンオイル(東レ
・ダウコーニング・シリコーン(株)製 SH702)
を加熱し、Al蒸着膜の上に約70オングストローム厚
さで蒸着し、さらに13.56MHz、500Wの条件
でArとO2の混合ガス(40:60v%)を用いてグ
ロー放電を行った後巻き取った。この金属蒸着フィルム
の表面をXPSで観察したところ、2官能シロキサン結
合以外に3官能シロキサン結合、4官能シロキサン結合
が多量に観測された。また表面張力は56dyne/c
m以上であった。
・メチル・ジメチル・ポリシロキサンオイルを蒸着した
金属蒸着フィルム(比較例3)と、従来のAl蒸着のみ
の金属蒸着フィルム(比較例4)を実施例2と同一条件
で作成した。
リットし、各々2枚を重ね積層し、0.01μFのコン
デンサを作成した。なお、含浸剤としてはエポキシ樹脂
を用いた。
高温、湿度雰囲気下に置き、100VDCの電圧をかけ
1000時間後の容量変化(△C={(C1000−C0)
/C0}×100(%))を調べた。この結果を表2に
示した。表2のごとく、実施例2にかかる本発明の金属
蒸着フィルムを用いたコンデンサは最も容量変化が少な
く、良好な耐湿性能を示すことがわかる。
Alを蒸着し、すぐにZnを蒸着して、Alの平均含有
量=8wt%、C1=16wt%、C2=0.5wt%、
C3=25wt%のAl−Zn合金蒸着フィルムを作成
した。なお、幅2mmのマージン(スリット後)をシリ
コーンオイルにて形成した。金属蒸着層はヘビーエッジ
タイプで各々の膜抵抗値はヘビーエッジ部3Ω/□、高
膜抵抗部9Ω/□とした。
着後、次いでジメチルポリシロキサンオイル(東レ・ダ
ウコーニング・シリコーン(株)製 SH200 10
cst)を蒸発器内の圧力が一定になるように加熱し、
Al−Zn蒸着膜の上に約10オングストローム厚さで
蒸着し、次いでArとO2の混合ガスを用いてマイクロ
波にてグロー放電を開始、持続させマイクロ波プラズマ
にて処理した。
様にジメチルポリシロキサンオイルを蒸着した金属蒸着
フィルム(比較例5)とAl−Zn蒸着のみの金属蒸着
フィルム(比較例6)である。これらの金属蒸着フィル
ムを14mm幅にスリットした。さらに、各々スリット
後の金属蒸着フィルムを130℃、90%RHの高温高
水蒸気圧中に3時間放置し、放置後の蒸着膜抵抗を測定
した結果を表3に示す。また各々の金属蒸着フィルムを
巻回し、120℃で25kgf/cm2の圧力をかけ5
分間プレスし、コンデンサ素子を作成した。各々のコン
デンサ素子のプレス性を測定した結果を表3に示す。
着フィルムは極めて優れた耐湿性能を有し、かつ比較例
6と同じ良好なプレス性を有していた。
機中でCO2ガスを用いたグロー放電によって表面処理
した後、次いで核付金属としてCuを蒸着、引き続きZ
nを蒸着し、金属蒸着フィルムを作成した。なお、マー
ジン幅(スリット後)3mm、金属蒸着層はヘビーエッ
ジタイプで各々の膜抵抗値はヘビーエッジ部2Ω/□、
高膜抵抗部8Ω/□とした。
着後ジメチルポリシロキサンオイル(東レ・ダウコーニ
ング・シリコーン(株)製 SH200 10cst)
を蒸発器内の圧力を制御しながら加熱し、Zn蒸着膜の
上に約50オングストローム厚さで蒸着し、さらに11
0kHz、400Wの条件でArとO2の混合ガスを用
いてグロー放電処理した。
表面張力は56dyne/cm以上、反対のフィルム表
面の表面張力は42dyne/cmであった。
スリットした後、130℃、90%RHの圧力釜に3時
間入れ耐湿性能の評価を行った。その結果を表4に示
す。
巻回して、95℃で25kgf/cm2の圧力で5分間
プレスし、5μFのコンデンサ素子を作成した。これら
のプレス特性を表4に示す。
処理、リード付け、エポキシ樹脂を真空含浸後、ウレタ
ン樹脂をポッティングしてコンデンサを作成した。これ
らのコンデンサの絶縁破壊電圧、コロナ開始電圧を測定
したところ、実施例4の本発明のコンデンサは比較例に
比べていずれも2割高かった。
属蒸着フィルムは耐湿性能に優れ、さらにプレス性は従
来のZn蒸着品と同等のものであった。
少なくとも片面に金属蒸着層を有し、かつ該蒸着層上に
厚さ1オングストローム以上1000オングストローム
以下の有機化合物層を有することによって、プレス成形
性、あるいは積層性を損うことなく、耐湿性を改善する
ものである。また本発明の付随効果として、Al蒸着フ
ィルムが季節によりIR(絶縁抵抗)が低下する問題点
も改善するものである。
有する金属蒸着フィルムの一例を示した概略断面図であ
る。
AlとZnの組成量分布の一例を示した概略図である。
Claims (20)
- 【請求項1】基材上の少なくとも片面に金属蒸着層を有
し、かつ該金属蒸着層上に厚さ1オングストローム以上
1000オングストローム未満の有機化合物層を有する
ことを特徴とする金属蒸着フィルム。 - 【請求項2】有機化合物層の厚さが、5オングストロー
ム以上500オングストローム以下であることを特徴と
する請求項1記載の金属蒸着フィルム。 - 【請求項3】有機化合物層の厚さが、10オングストロ
ーム以上100オングストローム以下であることを特徴
とする請求項記載1の金属蒸着フィルム。 - 【請求項4】有機化合物層が、架橋した有機高分子層で
あることを特徴とする請求項1、2または3記載の金属
蒸着フィルム。 - 【請求項5】架橋した有機高分子層を構成する有機高分
子が、シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項4
記載の金属蒸着フィルム。 - 【請求項6】シリコーン樹脂が、二官能シロキサン結合
と三官能シロキサン結合または/および四官能シロキサ
ン結合とを有するものであることを特徴とする請求項5
記載の金属蒸着フィルム。 - 【請求項7】架橋した有機高分子層が、ジメチルポリシ
ロキサン、あるいはメチルフェニルシリコーンオイルの
架橋物よりなることを特徴とする請求項4記載の金属蒸
着フィルム。 - 【請求項8】架橋した有機化合物層の表面の表面張力が
38dyne/cm以上であることを特徴とする請求項
4、5、6または7記載の金属蒸着フィルム。 - 【請求項9】基材が有機高分子フィルムからなることを
特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8
記載の金属蒸着フィルム。 - 【請求項10】有機高分子フィルムの片面に金属層を有
し,かつ金属層を有する反対面の表面張力が38dyn
e/cm以上であることを特徴とする請求項9記載の金
属蒸着フィルム。 - 【請求項11】金属蒸着層の金属が、Al、Zn、C
u、Sn、An、Ag、Feから選ばれた一種以上の金
属、あるいは該一種以上の金属の合金からなることを特
徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9ま
たは10記載の金属蒸着フィルム。 - 【請求項12】金属蒸着層がAl、またはAlとZnの
合金からなることを特徴とする請求項11記載の金属蒸
着フィルム。 - 【請求項13】金属蒸着層がAlとZnの合金からな
り、かつ金属層表層のAl濃度をC1 、基材との界面の
Al濃度をC3 、金属表層と基材との界面の金属蒸着層
の中間位置のAl濃度をC2 、とした場合、金属蒸着層
中でAlの濃度が厚さ方向に実質的に連続的に変化し、
かつC1 >C2 、C3 >C2 の関係が成立するものであ
ることを特徴とする請求項12記載の金属蒸着フィル
ム。 - 【請求項14】基材表面の少なくとも片側にシリコーン
オイルによって形成された金属蒸着層のない部分(マー
ジン部)を有することを特徴とする請求項1、2、3、
4、5、6、7、8、9、10、11、12または13
記載の金属蒸着フィルム。 - 【請求項15】真空蒸着機内において基材上に金属を蒸
着し、次いで該金属蒸着層上に所定の厚さの有機化合物
または有機高分子を蒸着した後、該有機化合物または有
機高分子層をグロー放電にさらすことを特徴とする金属
蒸着フィルムの製造方法。 - 【請求項16】グロー放電を維持するガスが酸素原子を
有するガスまたは酸素原子を有するガスを含む混合ガス
であることを特徴とする請求項15記載の金属蒸着フィ
ルムの製造方法。 - 【請求項17】基材として、少なくとも金属蒸着層を設
ける反対の面をコロナ放電処理に供した有機高分子フィ
ルムを用いることを特徴とする請求項15または16記
載の金属蒸着フィルムの製造方法。 - 【請求項18】グロー放電処理が、真空蒸着機内で行な
われ、有機高分子フィルムの少なくとも片面に対して処
理されるものであることを特徴とする請求項15または
16記載の金属蒸着フィルムの製造方法。 - 【請求項19】請求項1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、11、12、13または14記載の金属
蒸着フィルムが、積層または巻回されてなることを特徴
とするコンデンサ。 - 【請求項20】請求項1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、11、12、13または14記載の金属
蒸着フィルムが、積層または巻回されてなり、かつ、含
浸剤として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂またはシリコ
ーン樹脂が用いられてなることを特徴とするコンデン
サ。
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JP29250396A JP3769842B2 (ja) | 1996-11-05 | 1996-11-05 | 金属蒸着フィルム、その製造方法、およびそれを用いたコンデンサ |
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- 1996-11-05 JP JP29250396A patent/JP3769842B2/ja not_active Expired - Lifetime
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