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JPH10119608A - 移動体用ヘッドアップディスプレイ - Google Patents

移動体用ヘッドアップディスプレイ

Info

Publication number
JPH10119608A
JPH10119608A JP8271093A JP27109396A JPH10119608A JP H10119608 A JPH10119608 A JP H10119608A JP 8271093 A JP8271093 A JP 8271093A JP 27109396 A JP27109396 A JP 27109396A JP H10119608 A JPH10119608 A JP H10119608A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
light
crystal panel
layer
crystal layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8271093A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Ishikawa
岳史 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP8271093A priority Critical patent/JPH10119608A/ja
Publication of JPH10119608A publication Critical patent/JPH10119608A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 前方散乱型のままにて、光分散液晶を利用し
たパネル構造に工夫を凝らし、良好なコントラストを確
保するようにした移動体用ヘッドアップディスプレイを
提供することを目的とする。 【解決手段】 液晶パネルPへの電圧の無印加時には、
電極基板80内にその外表面側から入射する光源40か
らの光(符号L参照)が、透明山形層110と液晶層1
00との境界面で、運転者の視線方向に屈折され、PD
LC層90により散乱されて散乱光として電極基板70
から出射する(符号L1参照)。一方、電圧の印加時に
は、電極基板80内にその外表面側から入射する光源4
0からの光は、屈折することなく、そのまま透過光とし
て直進し電極基板70から出射する(符号L2参照)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、船舶、鉄
道車両等の移動体に採用するに適したヘッドアップディ
スプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、自動車用ヘッドアップデ
ィスプレイにおいては、当該自動車のフロントウインド
シールドの内側下縁近傍に立設した透過型液晶パネルを
備え、この液晶パネルの表示情報に併せて、自動車の前
方の景色をも液晶パネルを通して運転者に視認させるよ
うになっている。これにより、運転者は、視線移動を少
なくして安全運転できる。
【0003】このようなヘッドアップディスプレイにお
ける液晶パネルに相当するものとしては、特開平7−1
40886号公報にて示す前方散乱型表示素子を採用す
ることが考えられる。この前方散乱型表示素子において
は、図11にて示すごとく、透過型ホログラム1の後方
に、高分子分散液晶を用いた液晶パネル2(以下、高分
子分散液晶パネル2という)を配置して、ホログラム1
の前方下部に位置する光源3からの光をホログラム1に
より屈折させて、高分子分散液晶パネル2を通し運転者
に向けて透過させるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記前方散乱
型表示素子においては、光源3の光に対する利用率は高
いものの、高分子分散液晶パネル2において光が散乱し
ていない領域では、光源3からの光に基づく透過光とな
る。このため、高分子分散液晶パネル2の全面が明るい
表示となり、その結果、高分子分散液晶パネル2の表示
コントラストが低下するという不具合がある。
【0005】そこで、本発明は、このようなことに対処
するため、前方散乱型のままにて、光分散液晶を利用し
たパネル構造に工夫を凝らし、良好なコントラストを確
保するようにした移動体用ヘッドアップディスプレイを
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1、3、4に記載の発明によれば、液晶パネ
ルが、光分散液晶層と、この光分散液晶層にその前側に
て並行に設けられて互いに接合してなる透明層及び液晶
層とを有する。そして、液晶パネルの駆動時に、透明層
及び液晶層が、両第1接合層領域にて液晶パネルへの入
射光を操縦者の視線方向に屈折し、両第2接合層領域に
て前記入射光を上記操縦者の視線方向から外れるように
進行する。
【0007】また、液晶パネルの駆動時に、光分散液晶
層が、第1液晶層領域にて、第1接合層領域からの光を
移動体の情報を表す散乱光として出射し、第2液晶層領
域にて第2接合層領域からの光をその進行方向に透過光
として出射する。これにより、液晶パネルの情報の表示
領域以外の領域から出射する光源からの光は、液晶パネ
ルを透過する透過光として操縦者の視線方向から外れる
方向に進行する。その結果、前方散乱型液晶パネルで
も、液晶パネルの表示コントラストを良好に維持しつ
つ、移動体の情報を、移動体の前方の景色と共に液晶パ
ネルを介し視認できる。
【0008】また、請求項2乃至4に記載の発明におい
ては、請求項1に述べた透明層及び液晶層が光分散液晶
層の後側に設けられている。そして、液晶パネルの駆動
時に、光分散液晶層が、第1液晶層領域にて、上記液晶
パネルへの入射光を移動体の情報を表す散乱光として進
行し、第2液晶層領域にて上記入射光を透過光として進
行する。
【0009】また、液晶パネルの駆動時に、透明層及び
液晶層が、両第1接合層領域にて第1液晶層領域からの
散乱光を操縦者の視線方向に屈折して出射し、両第2接
合層領域にて第2液晶層領域からの透過光を操縦者の視
線方向から外れるように出射する。これによっても、請
求項1に記載の発明と同様の作用効果を達成できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につき
図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る車両用
ヘッドアップディスプレイの一例を示している。このヘ
ッドアップディスプレイは、当該車両のフロントウイン
ドシールド10の下縁11から車室内へ延出するダッシ
ュボード20の上壁21上に配設されており、このヘッ
ドアップディスプレイは、当該車両の運転席に着座した
運転者Mの視線方向前方に位置している。
【0011】当該ヘッドアップディスプレイは、図1及
び図2にて示すごとく、ケーシング30と、透過型液晶
パネルPと、光源40と、駆動装置50とを備えてい
る。ケーシング30は、ダッシュボード20の上壁21
上に装着されている。液晶パネルPは、ケーシング30
の上壁31の後部31a上に立設されている。光源40
は、ケーシング30内前端部に収納されており、この光
源40は、ケーシング30の上壁31の前端部に形成し
た開口部31bを通して液晶パネルPの前面(液晶パネ
ルPの裏面)の全体に投光する。また、駆動装置50
は、ケーシング30内後部に収納されており、この駆動
装置50は、ケーシング30の上壁31を通し液晶パネ
ルPにこれを駆動すべく接続されている。なお、図2に
て符号60は、光源40のリフレクタを示している。
【0012】液晶パネルPは、図4にて示すごとく、互
いに対向する両電極基板70、80を有しており、これ
ら両電極基板70、80は、ケーシング30の上壁31
の後部31a上にて鉛直状に位置している。但し、電極
基板70が運転者M側にあり、電極基板80がフロント
ウインドシールド10側にある。また、電極基板70
と、電極基板80に後述のように形成した透明山形層1
10との間には、高分子分散液晶層90(以下、PDL
C層90という)及び液晶層100が、多数のスペーサ
(図示しない)と共に介装されている。
【0013】電極基板70は、透明基板71(ガラス又
はポリエステル或いはポリカーボネード等の樹脂からな
る)を有しており、この透明基板71の内表面には、単
一膜の透明電極72(ITO或いはSnO2 等からな
る)が形成されている。一方、電極基板80は、透明基
板81(透明基板71と同様の材料からなる)を有して
おり、この透明基板81の内表面には、単一膜の透明電
極82(透明電極72と同様の材料からなる)が形成さ
れている。
【0014】なお、透明基板81の内表面には、複数の
薄膜トランジスタ(図示しない)が液晶パネルPの複数
のマトリクス状画素に対応する位置にてこれら画素を駆
動すべくマトリクス状に配設されている。これにより、
液晶パネルPは、当該車両の走行速度やナビゲーション
データ(図3参照)等を表示し得るようになっている。
【0015】PDLC層90は、透明電極72の内表面
に接して設けられており、このPDLC層90は、マト
リクス樹脂91中に多数の液晶滴92を分散させて形成
されている。このPDLC層90では、電圧無印加時に
は、不透明状態の各液晶滴92の屈折率とマトリクス樹
脂91の屈折率とが互いに異なる。一方、電圧印加時に
は、透明状態になる各液晶滴92の屈折率とマトリクス
樹脂91の屈折率とが同じになる。
【0016】マトリクス樹脂91は、PDLCを形成で
きる紫外線硬化型樹脂(例えば、モノマ、オリゴマ及び
重合開始剤を混合したもの)を高圧水銀ランプの紫外線
照射により硬化させた物からなる。また、液晶滴92と
しては、シアノビフェニル系、フッ素系或いは塩素系等
のネマティック液晶が採用されている。透明山形層11
0は、後述する樹脂或いは無機材料により、透明電極8
2の内表面に形成されており、この透明山形層110の
断面山形状の内表面111は、液晶層100を介しPD
LC層90に対向している。
【0017】液晶層100は、後述のごとく、PDLC
層90と一体に形成されており、この液晶層100の透
明山形層110に対する対向面101は、透明山形層1
10の断面山形状内表面111と接合するように断面山
形状に形成されている。ここで、この液晶層100の屈
折率は、電圧無印加時には、ランダムな値となり、透明
山形層110の屈折率より大きい値をとる。また、この
液晶層100の屈折率は、電圧印加時には、透明山形層
110の屈折率と同じになる。
【0018】なお、液晶層100は、PDLC層90の
液晶と共に、マトリクス状の薄膜トランジスタにより駆
動される。また、液晶層100を構成する液晶として
は、上記各液晶滴92を形成するネマティック液晶が採
用されている。次に、このように構成した液晶パネルP
の製造方法について説明する。まず、透明山形層110
を作製する。この透明山形層110の作製方法には、以
下のような方法があるが、いずれの方法によって作製し
てもよい。 (1)作製したい山形形状の型に紫外線硬化樹脂や熱硬
化樹脂、2液反応型樹脂等を塗布し、透明電極82の内
表面上にて硬化させて転写する。 (2)作製したい山形形状の型に熱可塑性樹脂を流し込
み冷却して固化させた後、透明電極82の内表面上にの
せる。 (3)容易に酸、アルカリ、有機溶剤等に溶解する材料
で、作製したい山形形状の型を形成し、この型上にCV
D、スパッタ等によりSiO2 やSiNX 等の無機材料
を成膜し、透明電極82の内表面上に接着剤等により貼
り付け、その後、型を、形成した無機材料層を溶かさな
いもので溶解させて透明山形層とする。
【0019】なお、作製したい型は、回折を利用したマ
イクロフレネルレンズ、いわゆるグレーティングレンズ
の型の形成方法として一般的に採用される超精密旋盤法
を利用して加工しても、作製できる。この場合、作製の
容易さを考慮すると、透明山形層の材料としては樹脂材
料が好ましい。また、透明山形層の材料は、マトリクス
樹脂91と同じにすれば、屈折率の整合性をとり易い。
【0020】このようにして透明電極82の内表面に透
明山形層110を作製した後は、予め作製した両電極基
板70、80を多数のスペーサ(多数のプラスチックビ
ーズ)を介して貼り合わせる。この貼り合わせは、透明
電極72の内表面と透明山形層110の内表面111と
が互いに対向するように行う。然る後、次のようにし
て、PDLC層90及び液晶層100を一体に形成す
る。
【0021】概略的には、通常のPDLCの作製条件よ
りも低い強度の紫外線照射により紫外線照射側にPDL
C層90を形成する。これに伴い、その反対側に液晶層
100が形成される。より具体的には、樹脂成分を構成
するモノマ及びオリゴマとして、2エチルヘキシルアク
リレート及び東亞合成株式会社製M1200型ウレタン
系アクリレートをそれぞれ採用し、光重合開始剤とし
て、2ヒドロキシ2メチル1フェニルプロパン1オンを
採用し、これらモノマ、オリゴマ及び光重合開始剤を
7:3:0.1の割合で混合して混合物とした。そし
て、液晶として、メルク社製BL002型シアノビフェ
ニル系液晶を採用し、この液晶と上記混合物とを7:3
の割合で混合して均一の混合液体であるPDLC原料を
作製した。
【0022】ついで、このように作製したPDLC原料
を、電極基板70の透明電極72と透明山形層110と
の間に注入した。そして、高圧水銀ランプにより電極基
板70を通してPDLC原料に0.5mW/cm2 の強
度にて紫外線を照射した。これにより、図4にて示すご
とく、電極基板70側にはPDLC層90を形成し、透
明山形層110側には液晶層100を形成することがで
きた。
【0023】ここで、上述のように紫外線照射強度を
0.5mW/cm2 と低くしたのは以下の理由による。
通常のPDLCを作製する場合の紫外線照射強度は、2
乃至50mW/cm2であるが、これより低い照射強度
にすると、重合時間を長くし得る。この重合時間は、例
えば、通常のPDLCを作製する場合、1分であるが、
低い照射強度の場合、5分以上にし得る。
【0024】これに伴い、PDLC原料のうち紫外線照
射側部分(電極基板70側部分)で多く重合するため、
その反対側部分(透明山形層110側部分)には、液晶
が押し出される形で、液晶だけの液晶層100が形成さ
れる。これにより、液晶パネルPの製造が完了する。と
ころで、液晶パネルPにおいて液晶層100及び透明山
形層110を除いた構成の液晶パネルPa(図7参照)
を準備して、この液晶パネルPa及び本実施形態におけ
る液晶パネルPの各出射光強度の出射角依存性について
実験してみた。
【0025】但し、液晶パネルPaは、上記液晶パネル
Pにおいて液晶層100及び透明山形層110を除いた
構成にて、液晶パネルPの製造方法と実質的に同様にし
て製造されている。なお、この液晶パネルPaのPDL
C層90に対する紫外線照射強度は、通常の2乃至50
mW/cm2 とした。また、上記出射角依存性に関し、
液晶パネルP或いは液晶パネルPaの電極基板70に対
し法線方向に入射する光の出射方向を基準とする。この
出射方向の出射角θ(図5(a)参照)はθ=0°とす
る。
【0026】上記実験によれば、図5(b)、(c)に
て示すような結果が得られた。ここで、図5(b)は、
液晶パネルPaにおける出射光強度の出射角θに対する
依存性を示し、また、図5(c)は、液晶パネルPにお
ける出射光強度の出射角θに対する依存性を示す。これ
によれば、液晶パネルPaの場合、出射強度のピーク
は、電圧印加の有無に関係なく、出射角θ=0°に位置
する。一方、液晶パネルPの場合には、出射光強度のピ
ークは、電圧印加時には、θ=0°に位置するが、電圧
無印加時には、θ>0°の範囲の位置にずれる。
【0027】換言すれば、例えば、出射角θが+2°或
いは−2°のとき、電圧無印加時には、ピークが、液晶
層100及び透明山形層110の屈折率差のために、θ
=+2°或いはθ=−2°よりもさらに外側にずれる。
従って、液晶パネルPaの場合のコントラストは、液晶
パネルPの場合のコントラストに比べて非常に高くなる
ことが分かる。
【0028】なお、上述した紫外線照射強度が1mW/
cm2 のときには、図5(c)にて示すような結果が得
られなかったが、0.5mW/cm2 の強度にすること
により、図5(c)にて示すような結果が得られた。ま
た、0.1mW/cm2 の紫外線照射強度以下では、P
DLC層90の特性が良好にはならなかった。本実施形
態において、以上のような液晶パネルPの出射角依存性
を前提とすれば、前方散乱型のままで、液晶パネルPを
ヘッドアップディスプレイに採用しても、表示コントラ
ストの低下を招くことなく、当該ヘッドアップディスプ
レイを提供できることを本発明者等は確認した。
【0029】即ち、液晶パネルPの入射角αを光源40
の光(図4(a)及び図6にて符号L参照)の入射角と
して、θ=0の方向を運転者Mの視線方向とするように
入射角αを設定すれば、液晶パネルPからの散乱光が運
転者Mの視野に入り、透過光は運転者Mの視野に入らな
いようにできることが分かった。このように光源40の
光の入射角及び運転者Mの視線方向をとれば、液晶パネ
ルPは次にような光学的働きをする。
【0030】両電極基板70、80に対する電圧の無印
加時には、上述のごとく、液晶層100の屈折率が透明
山形層110の屈折率よりも大きく、液晶滴92の屈折
率は、マトリクス樹脂91の屈折率とは異なる。従っ
て、透明山形層110からの光は液晶層100に屈折し
て入射した後、PDLC層90内で散乱光となる。この
ため、上記電圧の無印加時には、電極基板80内にその
外表面側から入射する光源40からの光(図1及び図4
(a)にて符号L参照)が、透明山形層110と液晶層
100との境界面で、ほぼ、運転者Mの視線方向に屈折
される。ついで、この屈折光がPDLC層90により散
乱されて散乱光として電極基板70から運転者Mの視線
方向に出射する(図1及び図4(a)にて符号L1参
照)。
【0031】一方、両電極基板70、80に対する電圧
の印加時には、マトリクス樹脂91の屈折率及び透明山
形層110の屈折率が、液晶滴92の透明状態の屈折率
と同じになる。このため、電極基板80内にその外表面
側から入射する光源40からの光(図4(b)にて符号
L参照)は、屈折することなく、そのまま透過光として
直進し電極基板70から出射する(図4(b)にて符号
L2参照)。このことは、当該透過光は運転者Mの視線
には入らないことを意味する。
【0032】但し、透明山形層110の内表面111の
傾斜角度及び透明山形層110の厚さは次のように定め
られている。ここで、図8にて示すように、内表面11
1の傾斜面部(以下、傾斜面部111aという)の透明
基板81の内表面に対する傾斜角をβとする。出射角θ
(図5(a)参照)と傾斜角βとの関係を調べてみたと
ころ、傾斜角βと出射角θとはほぼ比例関係にあること
が分かった。従って、出射角θが大きい程、液晶パネル
Pの表示がが明るくなる。この明るさを考慮すると、θ
は1°以上必要であるから、透明山形層110の傾斜角
度βは、10°以上必要とする。
【0033】また、図7の液晶パネルPaの両電極基板
70、80の間の間隔(いわゆるセルギャップ)は約5
μm乃至20μmである。これ以上にすると、液晶の駆
動電圧が高くなるため、上記薄膜トランジスタでは駆動
不能となる。また、5μm以下では、光を散乱させる能
力が低下して、コントラストを高くできない。このよう
なことから、透明山形層110の最大厚さは、5μm以
下とするのが好ましい。一方、透明山形層110が薄す
ぎると、光を屈折させることができない。このため、透
明山形層110の厚さは1μm以上であることが好まし
い。
【0034】また、このような透明山形層110の内表
面111の傾斜角度及び透明山形層110の厚さのもと
で、入射角α、傾斜角β及び出射角θの間の関係は、次
のように設定する。これを、図9及び図表10に基づい
て詳細に説明する。電圧の無印加時に、光源40からの
光が電極基板80にその外表面から入射角αにて入射す
ると、この入射光は、透明基板81により屈折される。
ついで、この屈折光は透明山形層110と液晶層100
との境界面にて屈折され、最後に透明基板71からの出
射時に屈折されて出射角θにて出射する。
【0035】このような過程における入射角α、傾斜角
β及び出射角θの間の関係は計算により求められる。α
=30°とすると、傾斜角βにより出射角θは、図表1
0(a)にて示すように変化する。今、電極基板70か
らの出射光の方向を運転者Mの視線方向(図1及び図4
(a)にて符号L1参照)に一致させるようにしたいの
で、出射角θ=0°とする必要がある。
【0036】このときの入射角α及び傾斜角βを図表1
0(b)にて示した。以上のことから、ヘッドアップデ
ィスプレイを図2にて示すような構成及び配置とする
と、液晶パネルPに対する光源40からの光の入射角α
は、液晶パネルPの下端で10°であることが望まし
く、また、液晶パネルPの上端で62°であることが望
ましい。このとき、傾斜角βは40°であることが望ま
しい。
【0037】このように構成した本実施形態において、
両電極基板70、80を駆動装置50により駆動するも
のとする。すると、これら両電極基板70、80のうち
電圧無印加の表示領域(上記複数の薄膜トランスタのう
ちオフ状態にあるトランジスタに対応する画素領域)で
は、図4(a)にて示すような光源40に対する液晶パ
ネルPの光学的作用に基づき、図3にて示すような速度
や簡易なナビゲーションデータ等が表示される。
【0038】一方、両電極基板70、80のうち電圧印
加の表示領域(上記複数の薄膜トランスタのうちオン状
態にあるトランジスタに対応する画素領域)では、図4
(b)にて示すような光源40に対する液晶パネルPの
光学的作用に基づき、光源40からの光は液晶パネルP
を透過して直進する。このため、運転者Mは、上記速度
や簡易なナビゲーションデータ等の表示を視認するとと
もに、この表示の周りにて液晶パネルPを通し当該車両
の前方風景(図1にて符号L3参照)を視認し得る。
【0039】この場合、液晶パネルPを透過する光源4
0からの光は、上述のごとく、運転者Mの視界には入ら
ない方向に直進するから、液晶パネルPの表示面が不必
要に明るくなることがなく、上記速度やナビゲーション
データ等の表示コントラストを良好に維持できる。ま
た、液晶パネルPによる表示光は、PDLC層90で散
乱されるため、視野角が広くなり、視認性がよい。
【0040】また、PDLC層90及び液晶層100
を、上述のごとく、一体で形成したので、液晶パネルP
としての製造工程が簡単となる。なお、本発明の実施に
あたり、液晶材料としては、メルク社製BL002型液
晶を採用した例について説明したが、これに代えて、T
L205型やTL215型等のネマチック液晶を採用し
て実施してもよい。
【0041】また、樹脂材料としては、光硬化製樹脂で
あればよく、上記実施形態にて述べた樹脂以外の、例え
ば、ベンゼン環型単官能アクリルモノマ、2官能、3官
能或いは多官能のモノマ、ポリエステルアクリレートオ
リゴマ、ビニールエーテルモノマ等を採用して実施して
もよい。また、光重合開始剤としては、上記実施形態に
て述べたもの以外の、1ヒドロキスシクロヘキシルフェ
ニルケトンやベンジルジメチルケタール等を採用して実
施してもよい。
【0042】また、上記実施形態では、光源40からの
光を電極基板80側から液晶パネルPに入射させる例に
ついて説明したが、これに代えて、光源40からの光を
電極基板70側から液晶パネルPに入射させるようにし
て実施してもよい。但し、電極基板70から入射した光
源40の光が、運転者Mの視線方向に沿い電極基板80
から出射するように、光源40の電極基板70に対する
入射角度を調整しておく。
【0043】また、本発明の実施にあたっては、PDL
C層を用いた液晶パネルに限ることなく、光分散液晶層
を用いた液晶パネルに本発明を適用して実施してもよ
い。また、本発明の実施にあたっては、PDLC層の作
製にあたり紫外線を照射するようにしたが、これに代え
て、可視光の照射によりPDLC層を作製するようにし
てもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヘッドアップディスプレイの一実
施形態を示す概略全体構成図である。
【図2】上記ヘッドアップディスプレイの拡大部分破断
側面図である。
【図3】図1の液晶パネルの表示例示図である。
【図4】(a)は、図1の液晶パネルの電圧無印加時の
光散乱状態及び光の進行方向を表す部分断面を示し、
(b)は、同液晶パネルの電圧印加時の光透過方向を表
す部分断面を示す。
【図5】(a)は図4或いは図7に示す液晶パネルに直
角に光を入射させた場合の入射光の出射角θを表す側面
を示し、(b)は、図7の液晶パネルの電圧の印加時及
び無印加時の出射光強度と出射角θとの関係を示し、
(c)は、図4の液晶パネルの電圧印加時及び電圧無印
加時の出射光強度と出射角θとの関係を示す図である。
【図6】図4の液晶パネルに対する光の入射角を所定角
αとした場合の液晶パネルからの光の出射角を表す側面
及びその液晶パネルの電圧の印加時及び無印加時の出射
光強度と出射角θとの関係を示す図である。
【図7】図4の液晶パネルにおいて液晶層及び透明山形
層を除いた構成とした液晶パネルの断面図である。
【図8】透明山形層の内表面の傾斜面部の傾斜角βを示
す要部断面図である。
【図9】図4(a)における光の屈折方向を詳細に示す
液晶パネルの拡大部分断面図である。
【図10】(a)、(b)は、それぞれ、図9における
α、β及びθの間の関係を示す図表である。
【図11】従来の前方散乱型表示素子の概略側面図であ
る。
【符号の説明】
M…運転者、P…透過型液晶パネル、40…光源、50
…駆動装置、90…PDLC層、100…液晶層、10
1…対向面、110…透明山形層、111…内表面。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両等の移動体にその操縦者(M)の前
    側にて鉛直状に設けられる透過型液晶パネル(P)と、 この液晶パネルに前記移動体の前方から光を入射する光
    源(40)と、 前記光の入射状態にて前記移動体の情報を表示するとと
    もにこの情報の表示領域以外の領域にて前記移動体の前
    方からの景色を表す光を透過させるように前記液晶パネ
    ルを駆動する駆動手段(50)とを備え、 前記液晶パネルが、光分散液晶層(90)と、この光分
    散液晶層にその前側にて並行に設けられて互いに接合し
    てなる透明層(110)及び液晶層(100)とを有
    し、 前記液晶パネルの駆動時に、前記透明層及び液晶層が、
    前記液晶パネルの前記情報の表示領域に対応する両第1
    接合層領域(101、111)にて前記入射光を前記操
    縦者の視線方向に屈折し、前記液晶パネルの前記情報の
    表示領域以外の領域に対応する両第2接合層領域(10
    1、111)にて前記入射光を前記操縦者の視線方向か
    ら外れるように進行し、 前記液晶パネルの駆動時に、前記光分散液晶層が、前記
    第1接合層領域に対応する第1液晶層領域にて、前記第
    1接合層領域からの光を前記情報を表す散乱光として出
    射し、前記第2接合層領域に対応する第2液晶層領域に
    て前記第2接合層領域からの光をその進行方向に透過光
    として出射するようにした移動体用ヘッドアップディス
    プレイ。
  2. 【請求項2】 車両等の移動体にその操縦者(M)の前
    側にて鉛直状に設けられる透過型液晶パネル(P)と、 この液晶パネルに前記移動体の前方から光を入射する光
    源(40)と、 前記光の入射状態にて前記移動体の情報を表示するとと
    もにこの情報の表示領域以外の領域にて前記移動体の前
    方からの景色を表す光を透過させるように前記液晶パネ
    ルを駆動する駆動手段(50)とを備え、 前記液晶パネルが、光分散液晶層(90)と、この光分
    散液晶層にその後側にて並行に設けられて互いに接合し
    てなる透明層(110)及び液晶層(100)とを有
    し、 前記液晶パネルの駆動時に、前記光分散液晶層が、前記
    液晶パネルの前記情報の表示領域に対応する第1液晶層
    領域にて、前記入射光を前記情報を表す散乱光として進
    行し、前記液晶パネルの前記情報の表示領域以外の領域
    に対応する第2液晶層領域にて前記入射光を透過光とし
    て進行し、 前記液晶パネルの駆動時に、前記透明層及び液晶層が、
    前記第1液晶層領域に対応する両第1接合層領域(10
    1、111)にて前記第1液晶層領域からの散乱光を前
    記操縦者の視線方向に屈折して出射し、前記第2液晶層
    領域に対応する両第2接合層領域(101、111)に
    て前記第2液晶層領域からの透過光を前記操縦者の視線
    方向から外れるように出射するようにした移動体用ヘッ
    ドアップディスプレイ。
  3. 【請求項3】 前記光源が、前記透過光が前記液晶パネ
    ルから前記操縦者の頭上方向に出射するように配設され
    ていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体
    用ヘッドアップディスプレイ。
  4. 【請求項4】 前記透明層と液晶層との接合境界が所定
    傾斜角にて複数の山形状に形成されており、 前記所定傾斜角が、前記散乱光を前記液晶パネルから前
    記操縦者の視線方向に出射するように設定されているこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の
    移動体用ヘッドアップディスプレイ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016157694A1 (ja) * 2015-03-27 2016-10-06 パナソニックIpマネジメント株式会社 液晶光学素子及びその製造方法
WO2020203767A1 (ja) * 2019-04-04 2020-10-08 マクセル株式会社 情報表示システムとそれを利用した車両用情報表示システム

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