[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JPH10103271A - 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置 - Google Patents

密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置

Info

Publication number
JPH10103271A
JPH10103271A JP25955296A JP25955296A JPH10103271A JP H10103271 A JPH10103271 A JP H10103271A JP 25955296 A JP25955296 A JP 25955296A JP 25955296 A JP25955296 A JP 25955296A JP H10103271 A JPH10103271 A JP H10103271A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refrigerant
oil
hermetic compressor
vane
carbodiimide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25955296A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinobu Obokata
芳信 小保方
Sachiko Hasebe
佐知子 長谷部
Takashi Sunaga
高史 須永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Electric Co Ltd filed Critical Sanyo Electric Co Ltd
Priority to JP25955296A priority Critical patent/JPH10103271A/ja
Publication of JPH10103271A publication Critical patent/JPH10103271A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エーテル系冷凍機油とHFC系冷媒を使用し
た場合でも、ベーンの摺動面にスラッジが発生せず、密
閉型圧縮機の電動要素に使用したプラステイック絶縁フ
ィルムやエーテル系冷凍機油が劣化せず、長期に亘り安
定して運転できる密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍
装置を提供すること。 【解決手段】 冷凍機油としてエポキシあるいはカルボ
ジイミドを添加したエーテル系潤滑油を使用し、ベーン
としてアルミニウムとカーボンの複合材料あるいは表面
硬化処理を施した高速度工具鋼製ベーンを用い、前記プ
ラステイック絶縁フィルムとしてカルボジイミドで被覆
したポリエステルフィルムを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は密閉型圧縮機およ
びそれを用いた冷凍装置に関し、さらに詳しくは、冷媒
として1,1,1,2−テトラフルオロエタン(以下R
134aという)単体又はR134aとジフルオロメタ
ン(以下R−32という)とペンタフルオロエタン(以
下R−125という)との混合冷媒、R−32とR−1
25との混合冷媒などのHFC系冷媒およびこの冷媒と
相溶性のある冷凍機油を使用した密閉電動型圧縮機およ
びそれを用いた冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】冷蔵庫、自動販売機及びショーケース用
の圧縮機は従来冷媒としてジクロロジフルオロメタン
(以下R12という)を多く使用していた。このR12
は、その高いオゾン破壊の潜在性により、大気中に放出
されて地球上空のオゾン層に到達すると、このオゾン層
を破壊する問題からフロン規制の対象となっている。こ
のオゾン層の破壊は冷媒中の塩素基(Cl)により引き
起こされる。そこで、この塩素基を含有しない冷媒、例
えばR32、R125やR134a、あるいはこれらの
混合物が代替冷媒として考えられており、前記R12の
代替冷媒としてR134aなどが冷凍機用として検討さ
れている(例えば、特開平1−271491号公報を参
照)。
【0003】また、空気調和機等は従来冷媒としてクロ
ロジフルオロメンタ(R22)が使用されていたが、や
はり、オゾン層の破壊の環境問題の観点からHFC系冷
媒が着目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たR134a等のHFC系冷媒は現在使われている鉱物
油やアルキルベンゼン油等の冷凍機油との相溶性が悪
く、圧縮機への油の戻りの悪化や寝込み起動時の分離冷
媒の吸い上げなどから圧縮機の潤滑不良に至る問題があ
った。
【0005】このため、本発明者らはR134a等のH
FC系冷媒と相溶性のある冷凍機油としてエステル系油
を検討した。しかし、このエステル系油は圧縮機に使用
する場合に、圧縮機内部の摺動部材の摩擦・摩耗で温度
が上昇しやすく、その熱により加水分解したり、酸化鉄
などの作用で分解したりして、脂肪酸や金属石鹸などが
生じ、この脂肪酸などにより摺動部材に腐食を起こさせ
たり、摩耗によってスラッヂ成分が発生してキャピラリ
チューブなどを詰まらせたり、また、これらにより圧縮
機の電動要素の固定子の鉄芯とマグネットワイヤ(主コ
イル、副コイル)の間に介在させるプラステイック絶縁
フィルムなどの有機系材料からオリゴマーが抽出された
り、加水分解されるなどの悪影響がでるなど、圧縮機の
耐久性を損なう問題があった。
【0006】本発明の第一の目的は、冷媒としてR13
4aなどのHFC系冷媒を使用しても、摺動部材の摩擦
熱による冷凍機油の熱分解や加水分解によるカルボン酸
の発生、及びこれに伴うスラッジの発生を抑え、摺動部
材の腐食の発生やスラッヂによるキャピラリチューブな
どの詰りがなく、圧縮機の電動要素のプラステイック絶
縁フィルムなどの有機系材料への悪影響などの問題のな
い、長期に亘り安定して運転することができる耐久性に
優れた高性能な密閉型圧縮機を提供すること、および本
発明の第二の目的はその密閉型圧縮機を用いた冷凍装置
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、冷媒とし
てHFC系冷媒を用い、そしてHFC系冷媒と相溶性の
ある冷凍機油としてエステル系油よりも耐加水分解性の
大きいエーテル系油を組み合わせて圧縮機に使用すべく
研究を重ねた結果、圧縮機の摺動部材の摩擦熱によって
この摺動部材を潤滑する冷凍機油が加水分解し、生じた
脂肪酸で摺動部材が腐食することが明らかとなり、そし
て、エーテル系油と特定の添加剤と特定の摺動材料と特
定のプラステイック絶縁フィルムの限定した組み合わせ
によって前記摺動部材で発生する摩擦熱によるエーテル
系油の熱分解や加水分解が抑えられ、プラステイック絶
縁フィルムの劣化も抑えられることを見出し、この発明
を完成するに至った。
【0008】即ち、耐久試験の結果、回転式圧縮機の場
合、その摺動部材であるベーンやローラーが激しく摩耗
し、エーテル系油の全酸価が高くなり、ローラー表面に
ピットが発生し、腐食摩耗が起きることが観察された。
この原因は、この摺動部材の摩擦熱によってエーテル系
油が加水分解してカルボン酸が発生し、これが鉄系材料
を腐食させたり、鉄系材料と反応して金属石鹸やスラッ
ジとなることが推測できた。
【0009】本発明の請求項1の発明は、密閉容器内の
上側に回転軸を有する電動要素と、下側にこの電動要素
の回転軸によって駆動される圧縮要素とを収納し、吸入
したHFC系冷媒あるいはHFC系冷媒を主体とする冷
媒をこの圧縮要素により圧縮して前記密閉容器内に吐出
して、前記密閉容器外に吐出するようにした密閉型圧縮
機であって、前記圧縮要素はシリンダと、前記回転軸の
偏心部によりこのシリンダ内を回転するローラと、この
ローラに接してシリンダ内を分けるベーンと、前記シリ
ンダの開口を封じる上軸受部と下軸受部などから構成さ
れており、冷凍機油としてグリシジルエーテルからなる
エポキシあるいはカルボジイミドを添加したエーテル系
潤滑油を使用し、前記ベーンとしてアルミニウムとカー
ボンの複合材料あるいは表面硬化処理を施した高速度工
具鋼製ベーンを用い、前記電動要素の固定子の鉄芯と主
コイルおよび副コイルとの間、および、主コイルと副コ
イルの間に介在させるプラステイック絶縁フィルムとし
てカルボジイミドで被覆したポリエステルフィルムを用
いることを特徴とする密閉型圧縮機である。
【0010】本発明の請求項2の発明は、請求項1記載
の密閉型圧縮機において、前記ベーンが窒化クロムで表
面処理された高速度工具鋼製ベーンであることを特徴と
する。
【0011】本発明の請求項3の発明は、請求項1ある
いは請求項2記載の密閉型圧縮機において、前記絶縁フ
ィルムがカルボジイミド樹脂を積層したポリエステルフ
ィルムであることを特徴とする。
【0012】本発明の請求項4の発明は、請求項1記載
の冷媒を凝縮液化する凝縮器、同冷媒の圧力を調整する
キャピラリーチューブ、液化冷媒を蒸発させる蒸発器、
アキュムレータおよび蒸発気化した同冷媒を圧縮して凝
縮器に吐出する密閉型圧縮機などを備えた冷凍装置であ
って、前記密閉型圧縮機として請求項1記載の密閉型圧
縮機を用いることを特徴とする冷凍装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で基油として用いるエーテ
ル系潤滑油は特に限定されない。具体的には例えば、下
記の一般式(1)で表されるポリビニルエーテル系油は
好ましく使用できる。式中、R1 〜R3 は各々水素原子
または炭素数1〜8の炭化水素基を示し、それらは同一
でもよく、異なっていてもよい。R4 は炭素数1〜4の
炭化水素基を示す。nは1以上の整数である。
【0014】
【化1】
【0015】エーテル系油に対して0.01〜10重量
%のグリシジルエーテルからなるエポキシを添加するこ
とが好ましいが、この範囲未満であるとエポキシの効果
が現れないため、熱化学的安定性が劣る。この範囲を超
えるとエポキシが重合し、スラッジ化して堆積する恐れ
がある。エーテル系油に対するエポキシの好ましい添加
範囲は0.1〜2.0重量%である。
【0016】エーテル系油に対して0.01〜10重量
%のカルボジイミドを添加することが好ましいが、この
範囲未満であるとカルボジイミドの効果が現れないた
め、熱化学的安定性が劣る。この範囲を超えるとカルボ
ジイミドが重合し、スラッジ化して堆積したり、安定性
を悪くする恐れがある。エーテル系油に対するカルボジ
イミドの好ましい添加範囲は0.1〜2.0重量%、さ
らに好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲である。
【0017】エーテル系油には、長期保存下の酸化劣化
を防止する目的で、添加剤としてフェノール系酸化防止
剤を加えることが好ましく、その量は0.01〜1.0
重量%、さらに好ましくは0.05〜0.3重量%であ
る。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−パ
ラクレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−フェノール、
2,4,6−トリ−t−ブチル−フェノール等を用いる
ことができる。
【0018】また、エーテル系油には、必要に応じてベ
ンゾトリアゾール系の銅不活性化剤を加えることが好ま
しく、その量は1〜100ppm、さらに好ましくは5
〜50ppmである。ベンゾトリアゾール系の銅不活性
化剤としては例えば、具体的には5−メチル−1H−ベ
ンゾトリアゾール、1−ジオクチルアミノメチルベンゾ
トリアゾール等を用いることができる。
【0019】上記潤滑油組成物に対して本発明の主旨を
逸脱しない範囲において他の公知の添加剤を配合しても
差し支えない。
【0020】尚、エポキシであるグリシジルエーテル
は、ヘキシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシル
グリシジルエーテル、イソオクタデシルグリシジルエー
テル等の群から選ばれる。
【0021】以下本発明を図1〜4に基づいて説明す
る。図1に、蒸発気化したHFC系冷媒を圧縮して凝縮
器に吐出する本発明の密閉型圧縮機a、同冷媒を凝縮液
化する凝縮器b、同冷媒の圧力を減じるキャピラリチュ
ーブc、液化冷媒を蒸発させる蒸発器dなどを順次冷媒
管でつないで形成した本発明の冷凍装置の冷凍サイクル
を示す。
【0022】図2は、本発明の密閉型圧縮機の一例の縦
断面図である。図3は、図2に示した本発明の密閉型圧
縮機の横断面図である。図4は、図2に示した本発明の
密閉型圧縮機のA−A断面図である。図2及び図3にお
いて1は密閉容器で、この容器内には上側に電動要素2
が、下側にこの電動要素によって駆動される回転圧縮要
素3が夫々収納されている。電動要素2は有機系材料で
絶縁された巻線4(主コイル4−1、副コイル4−2)
と鉄芯4Aを備えた固定子5とこの固定子の内側に設け
られた回転子6とで構成されている。回転圧縮要素3は
シリンダ7と、回転軸8の偏心部9によってシリンダ7
の内壁に沿って回転させるローラー10と、このローラ
ーの周面に圧接されてシリンダ7内を吸込側と吐出側と
に区画するようにバネ11で押圧されるベーン12と、
シリンダ7の開口を封じるとともに、回転軸8を軸支す
る上部軸受13及び下部軸受14とで構成されている。
【0023】図4に、巻線4と鉄芯4Aを備えた固定子
5のB部を拡大して示したように、固定子5の鉄芯4A
と主コイル4−1の間および鉄芯4Aと副コイル4−2
との間にはカルボジイミドで被覆したポリエステル(ポ
リエチレンテレフタレート)絶縁フィルム22を介在さ
せてあり、また主コイル4−1と副コイル4−2との間
にも同プラステイック絶縁フィルム23を介在させてあ
る。
【0024】カルボジイミドで被覆したポリエステル絶
縁フィルムの製法は特に限定されないが、具体的には例
えば、液状カルボジイミドを使用する場合はスプレーコ
ーテイング法、浸漬法、ロールコーテイング法、はけ塗
り法など、カルボジイミド樹脂を使用する場合は同樹脂
フィルムをドライラミする方法、同樹脂フィルムを押出
ラミする方法あるいは共押出ラミする方法、同樹脂フィ
ルムを接着剤を用いて積層する方法などを挙げることが
できる。ポリエステル絶縁フィルムをカルボジイミドで
被覆する際、ポリエステル絶縁フィルムの片面を被覆し
ても、ポリエステル絶縁フィルムの両面を被覆してもよ
く、またポリエステル絶縁フィルムの片面に被覆したも
のを被覆してない面同志を積層してもいずれでもよい。
【0025】このようにしてカルボジイミドで被覆した
ポリエステル絶縁フィルムを用いることにより、同絶縁
フィルムの劣化を抑えることができるとともに、同絶縁
フィルムから抽出されるなどによりHFC系冷媒中に入
ったカルボジイミド成分は安定剤として作用しエーテル
系潤滑油の劣化防止に貢献する。
【0026】そして、上部軸受13にはシリンダ7の吐
出側と連通する吐出孔15が設けられている。また、上
部軸受13には吐出孔15を開閉する吐出弁16と、こ
の吐出弁を覆うように吐出マフラ17とが取付けられて
いる。
【0027】ローラー10は鋳鉄等の鉄系材料で形成さ
れており、ベーン12はアルミニウムとカーボンの複合
材料、あるいは窒化クロムなどで表面硬化処理された高
速度鋼で形成されている。
【0028】密閉容器1内の底部にはHFC系冷媒、例
えば、R134aとR32とR125との3種混合冷媒
あるいはR32とR125との2種混合冷媒が封入され
ており、この冷媒と相溶性のある冷凍機油であるエーテ
ル系油を基油とし、この基油に対して0.1〜2.0重
量%のトリクレジルフォスフェート(TCP)からなる
リン酸トリエステルや0.01〜10重量%のグリシジ
ルエーテルからなるエポキシあるいは0.01〜10重
量%のカルボジイミドが添加含有されたオイル18が封
入されている。
【0029】そして、オイル18は回転圧縮要素3の摺
動部材であるローラー10とベーン12との摺動面を潤
滑している。
【0030】回転圧縮要素3のシリンダ7内に流入して
ローラー10とベーン12との協働で圧縮される冷媒は
上述のようにエーテル系油のオイル18との相溶性のあ
る例えばR407C[R134aとR32とR125と
の混合冷媒]、R410A[R32とR125との混合
冷媒]などである。
【0031】19は密閉容器1に取付けてシリンダ7の
吸込側に冷媒を案内する吸込管、20は密閉容器1の上
壁に取付けられて回転圧縮要素3で圧縮されて電動要素
2を介して密閉容器1外に冷媒を吐出する吐出管であ
る。
【0032】前記オイル18を使用した密閉型圧縮機に
おいて、吸込管19からシリンダ7内の吸込側に流入し
た冷媒はローラー10とベーン12との協働で圧縮さ
れ、吐出孔15を通って吐出弁16を開放して吐出マフ
ラ17内に吐出される。この吐出マフラ内の冷媒は電動
要素2を介して吐出管20から密閉容器1外に吐出れさ
る。そして、オイル18は回転圧縮要素3のローラー1
0やベーン12等の摺動部材の摺動面に供給されて潤滑
を行っている。また、シリンダ7内で圧縮された冷媒が
低圧側にリークしないようにしている。
【0033】
【実施例】以下本発明を実施例および比較例により具体
的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例1)アルミニウムを溶浸させたカーボンの複合
材[組成:C:55,Al:36,Si:6、その他
(Mg等):3(いずれも重量%)]で形成されたベー
ン12を備えた本発明の密閉型回転式圧縮機(排除容積
7.65cc)、凝縮機、膨張弁、蒸発器を配管で連結
した本発明の冷凍装置(ベンチスタンド試験装置)を使
用し下記の試験条件で耐久試験を行い、シリンダ7、回
転軸8、ローラー10、ベーン12、上部軸受13、下
部軸受14の摺動部の摩耗度、吐出管20に設けた図示
しないデイスチャージバルブにおけるスラッジ量、オイ
ルの色相(測定法:JISK2580記載のASTM法
による)、密閉容器1の底部に戻ったオイル量、圧縮機
の電動要素2に使用したポリエステル絶縁フィルム2
2、23などの劣化を測定した。ベーン12の摺動部に
スラッジは発生しなかった。ポリエステル絶縁フィルム
に劣化は生じなかった。試験結果を表1に示す。
【0034】表1中の摩耗度の項のAは、摩耗が少なく
新品同様の状態を示し、Bは、摩耗が通常の程度である
ことを示し、ABは、AとBとの中間の摩耗の状態を示
し、Cは、摩耗が激しく実用にならない摩耗の状態を示
す。表1中のスラッジの項のAは、スラッジの発生量が
少ない状態を示し、Bは、スラッジの発生量が通常の程
度であることを示し、ABは、AとBとの中間のスラッ
ジの発生量の状態を示し、Cは、スラッジの発生量が大
く実用にならない状態を示す。
【0035】 圧力条件:高圧23.0kg/cm2 ・G、低圧:1.0kg/cm2 ・G 運転周波数:100HZ、運転時間:200hr、 冷媒:R134a ケース上部温度:110〜120℃ ポリエステル絶縁フィルム:カルコートEフィルム(PETフィルムの表面に カルボジイミド樹脂をコーテイングしたフィルム。日清紡社製) ローラー:鋳鉄 組成(wt%):T.C(トータルカーボン):3.2〜3.6 Si:2.2〜2.9,Mn:0.6〜1.0, P:0.18max,S:0.08max Ni:0.1〜0.2,Cr:0.20max MO:0.07〜0.2,Ti:0.25max 残部は鉄
【0036】潤滑油組成物(オイル):ポリビニルエー
テル系油(FVC68DX3、出光興産社製)を基油と
し、この基油に対して0.1〜2.0重量%のトリクレ
ジルフォスフェート(TCP)と0.01〜10重量%
のエポキシとの添加剤(EP)を添加含有したもの(さ
らに、基油には0.05〜0.3重量%の2,6−ジ−
t−ブチル−パラクレゾールが添加されている)(使用
前の色相はL0.5)(仕込量:230cc)。
【0037】(比較例1)オイル中にエポキシを添加し
なかった以外は実施例1と同様に試験した結果を、表1
に示す。
【0038】(比較例2)表面にカルボジイミド樹脂を
コーテイングしていないPETフィルムを用いた以外は
実施例1と同様に試験した結果を、表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1から、実施例1においては各摺動部の
摩耗がなく、スラッジ量が少なく、オイルの色相は仕込
時と変化がなく、戻りオイル量も多いことが判る。それ
に対して比較例1においては各摺動部の摩耗がやや見ら
れ、スラッジ量は実用レベルを超え、ベーン12の摺動
部にスラッジが発生した。またオイルの色相は仕込時よ
り悪化した。比較例2においては各摺動部の摩耗がやや
見られ、PETフィルムが劣化した。
【0041】実施例1で使用したカルコートEフィルム
および比較例2で使用したPETフィルム3.1gを実
施例1で使用したエーテル系潤滑油50ml(初期水分
量:100ppm)に入れて、175℃、10日間処理
した後の析出物の有無および各フィルムからのオリゴマ
ー抽出量を測定した結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2から、表面にカルボジイミド樹脂をコ
ーテイングしたPETフィルム(カルコートEフィル
ム)の場合は、析出物がなく、オリゴマーの抽出量が少
ないことが判る。それに対してPETフィルムは析出物
があり、オリゴマーの抽出量が多い。
【0044】実施例1で使用したカルコートEフィルム
および比較例2で使用したPETフィルム3.1gを実
施例1で使用したエーテル系潤滑油50ml(初期水分
量:50ppmおよび100ppm)に入れて、175
℃、10日間処理した後の各潤滑油の全酸価を測定した
結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】表3から、表面にカルボジイミド樹脂をコ
ーテイングしたPETフィルム(カルコートEフィル
ム)は、エーテル系潤滑油の劣化を抑制する効果がある
ことが判る。それに対してPETフィルムの場合はエス
テル系潤滑油のみの場合より、全酸価が高くなった。
【0047】
【発明の効果】この発明の密閉型圧縮機およびそれを用
いた冷凍装置は上記のように構成したことにより、冷凍
機油としてエーテル系冷凍機油を用い、HFC系冷媒を
使用した場合でも、ベーンの摺動部にスラッジが発生せ
ず、密閉型圧縮機の電動要素に使用したポリエステル絶
縁フィルムや使用したエーテル系冷凍機油が劣化せず、
生成したスラッジが冷凍回路中のキャピラリーチューブ
に堆積して閉塞する問題もなく、長期に亘り安定して運
転できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の冷凍装置の一例の冷凍回路図であ
る。
【図2】 本発明の密閉型圧縮機の一例の縦断面図であ
る。
【図3】 図2の本発明の密閉型圧縮機の横断面図であ
る。
【図4】 図2の本発明の密閉型圧縮機のA−A断面図
である。
【符号の説明】
1 密閉容器 2 電動要素 3 回転圧縮要素 4 巻線 4A 鉄芯 4−1 主コイル 4−2 副コイル 5 固定子 6 回転子 7 シリンダ 8 回転軸 9 偏心部 10 ローラー 11 バネ 12 ベーン 13 上部軸受 14 下部軸受 15 吐出孔 16 吐出弁 17 吐出マフラ 18 オイル 19 吸込管 20 吐出管 21 中空孔 22、23 ポリエステル絶縁フィルム

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器内の上側に回転軸を有する電動
    要素と、下側にこの電動要素の回転軸によって駆動され
    る圧縮要素とを収納し、吸入したHFC系冷媒あるいは
    HFC系冷媒を主体とする冷媒をこの圧縮要素により圧
    縮して前記密閉容器内に吐出して、前記密閉容器外に吐
    出するようにした密閉型圧縮機であって、前記圧縮要素
    はシリンダと、前記回転軸の偏心部によりこのシリンダ
    内を回転するローラと、このローラに接してシリンダ内
    を分けるベーンと、前記シリンダの開口を封じる上軸受
    部と下軸受部などから構成されており、冷凍機油として
    グリシジルエーテルからなるエポキシあるいはカルボジ
    イミドを添加したエーテル系潤滑油を使用し、前記ベー
    ンとしてアルミニウムとカーボンの複合材料あるいは表
    面硬化処理を施した高速度工具鋼製ベーンを用い、前記
    電動要素の固定子の鉄芯と主コイルおよび副コイルとの
    間、および、主コイルと副コイルの間に介在させるプラ
    ステイック絶縁フィルムとしてカルボジイミドで被覆し
    たポリエステルフィルムを用いることを特徴とする密閉
    型圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記ベーンが窒化クロムで表面処理され
    た高速度工具鋼製ベーンであることを特徴とする請求項
    1記載の密閉型圧縮機。
  3. 【請求項3】 前記絶縁フィルムがカルボジイミド樹脂
    を積層したポリエステルフィルムであることを特徴とす
    る請求項1あるいは請求項2記載の密閉型圧縮機。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の冷媒を凝縮液化する凝縮
    器、同冷媒の圧力を調整するキャピラリーチューブ、液
    化冷媒を蒸発させる蒸発器、アキュムレータおよび蒸発
    気化した同冷媒を圧縮して凝縮器に吐出する密閉型圧縮
    機などを備えた冷凍装置であって、前記密閉型圧縮機と
    して請求項1記載の密閉型圧縮機を用いることを特徴と
    する冷凍装置。
JP25955296A 1996-09-30 1996-09-30 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置 Pending JPH10103271A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25955296A JPH10103271A (ja) 1996-09-30 1996-09-30 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25955296A JPH10103271A (ja) 1996-09-30 1996-09-30 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10103271A true JPH10103271A (ja) 1998-04-21

Family

ID=17335706

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25955296A Pending JPH10103271A (ja) 1996-09-30 1996-09-30 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10103271A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006342357A (ja) * 2006-08-04 2006-12-21 Japan Energy Corp 冷凍機用潤滑油組成物
KR100741803B1 (ko) 2005-08-11 2007-07-25 엘지전자 주식회사 스크롤 압축기 및 이를 적용한 에어콘

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100741803B1 (ko) 2005-08-11 2007-07-25 엘지전자 주식회사 스크롤 압축기 및 이를 적용한 에어콘
JP2006342357A (ja) * 2006-08-04 2006-12-21 Japan Energy Corp 冷凍機用潤滑油組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5553465A (en) Refrigeration apparatus containing lubricant composition
US6035661A (en) Refrigerant compressor and cooling apparatus comprising the same
US6029459A (en) Refrigeration cycle
EP0715079B1 (en) Refrigerating apparatus and lubricating oil composition
KR19990029541A (ko) 냉동기유와 그것을 사용한 냉동장치 및 압축기
JPH10103271A (ja) 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置
JPH09189453A (ja) 冷凍装置
JP3373879B2 (ja) 冷凍装置
JPH09188891A (ja) 潤滑油組成物
JP3208335B2 (ja) 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置
JPH10103272A (ja) 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置
JPH08231972A (ja) 冷凍装置
JP3437177B2 (ja) 冷蔵庫
JP2962676B2 (ja) 冷凍装置
JPH10103269A (ja) 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置
JPH10103270A (ja) 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置
JPH10102079A (ja) 潤滑油組成物
JP3208334B2 (ja) 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置
JPH10103241A (ja) 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置
JP2962677B2 (ja) 冷凍装置
JPH10103239A (ja) 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置
JP2000154943A (ja) 冷凍装置
JP3219520B2 (ja) 冷凍装置
JPH10103276A (ja) 冷凍装置
JP3469876B2 (ja) 冷凍装置