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JPH10102120A - 製鋼方法 - Google Patents

製鋼方法

Info

Publication number
JPH10102120A
JPH10102120A JP25436796A JP25436796A JPH10102120A JP H10102120 A JPH10102120 A JP H10102120A JP 25436796 A JP25436796 A JP 25436796A JP 25436796 A JP25436796 A JP 25436796A JP H10102120 A JPH10102120 A JP H10102120A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
manganese
slag
hot metal
furnace
added
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25436796A
Other languages
English (en)
Inventor
Masafumi Hanao
方史 花尾
Toru Matsuo
亨 松尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP25436796A priority Critical patent/JPH10102120A/ja
Publication of JPH10102120A publication Critical patent/JPH10102120A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高マンガン鋼の安価な製鋼方法を提供する。 【解決手段】下記の〜の工程順で処理する製鋼方
法。第1工程:取鍋(1)内の溶銑(2)にマンガン鉱石、
生石灰および蛍石を添加して撹拌し、脱硫、脱珪および
マンガン濃度上昇処理を行う。第2工程:第1工程後
の溶銑を転炉形式の脱りん炉(7) に装入し、下記第3工
程で発生した脱炭炉滓(8) 、マンガン鉱石、生石灰およ
び蛍石のうちの少なくとも前二者を含む脱りん造滓剤を
添加して吹錬し、温度を1450℃以下に保ちつつ脱りんお
よびマンガン濃度上昇処理を行う。第3工程:第2工
程後の溶銑を転炉形式の脱炭炉(12)に装入し、造滓剤お
よびマンガン鉱石を添加して吹錬し、脱炭およびマンガ
ン濃度上昇処理を行う。 【効果】各工程でマンガン鉱石を添加して溶融還元させ
るので、脱炭炉終点のマンガン濃度を上昇させることが
できる。そのために、出鋼時に添加するマンガン合金鉄
を節減できるので、安い製造コストで高マンガン鋼を製
造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶銑に脱珪と脱
硫、脱りん、脱炭処理を順次施す工程を用いて、マンガ
ン鉱石を安価なマンガン源として添加し、マンガンを溶
融還元することにより、高マンガン鋼を安価に溶製する
製鋼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、厚板鋼材の品質安定化および低コ
スト化の要求が強まっている中で、この鋼材のうち主要
な鋼種である高マンガン鋼をできるだけ安価に溶製する
ための製鋼方法が望まれている。
【0003】現状では、高マンガン鋼を溶製する場合に
は、次のような方法を用いるのが一般的である。すなわ
ち、まず脱りん溶銑を用いる転炉吹錬(以下、脱りん銑
吹錬ともいう)において、マンガン鉱石を添加して溶融
還元し、吹錬終了時のマンガン濃度を上昇させる。次い
で、吹錬後の出鋼の際、高価なマンガン合金鉄を添加
し、製品規格濃度に対する不足分を調整する。
【0004】この方法は、脱りん銑吹錬において、脱炭
反応を起こさせる際に、溶鋼中の炭素によって、マンガ
ン鉱石中の酸化マンガンを還元し、溶鋼中マンガン濃度
を上昇させるものである。
【0005】マンガン鉱石の添加による温度降下を考慮
した場合、添加可能なマンガン鉱石量は、脱りん銑吹錬
前の溶銑温度および炭素濃度、吹錬終点の溶鋼温度およ
び炭素濃度により熱量バランス的に決定される。このた
め、その添加量に限界が生じ、添加できるマンガン鉱石
量は15〜20kg/t程度にとどまっている。
【0006】本発明者らは特開平1-142009号公報で、製
鋼工程においてマンガン鉱石の添加量を合計で40■/t程
度に大幅に増加させることができる方法を開示した。こ
の方法は、本発明者らが特開昭62-290815 号公報で開示
した、2基の上下吹き転炉を用い、一方の転炉(以下、
脱りん炉という)内で脱りんおよび脱珪処理を施した
後、処理後の溶銑を他方の転炉(以下、脱炭炉という)
で脱炭および仕上げ脱りん処理する方法を基本として、
脱りん炉および脱炭炉のそれぞれの処理の際に、マンガ
ン鉱石を添加するというものである。
【0007】この方法では、脱炭処理に先立って脱りん
処理を実施するため、脱炭炉における脱りんの負担は軽
く、投入する造滓剤が少量ですみ、発生する脱炭炉滓も
少量となる。しかも、発生した脱炭炉滓はP2O5の濃度が
低くまだ脱りん能を有しているため、脱りん処理におい
て生石灰系造滓剤の代替として再利用しても十分な脱り
ん効果が得られる。この再利用により、脱りん炉および
脱炭炉の両方で造滓剤の節減効果が得られるため、製鋼
工程全体を通じて造滓剤の使用量を節減することが可能
である。
【0008】上記方法によって、脱りん炉および脱炭炉
において合計40■/t程度のマンガン鉱石を添加し、溶鋼
中のマンガン濃度上昇をより効果的に行うことが可能と
なった。
【0009】しかしながら、上記の方法で達成可能な脱
炭炉終点のマンガン濃度は1.1 重量%程度であり、 マン
ガンの製品規格濃度が 1.2〜1.5 重量%またはそれ以上
であるような高マンガン鋼を安価に溶製するためには、
さらにマンガン鉱石の添加量を増加させる必要がある。
【0010】前述のように、40kg/t程度が従来の方法で
のマンガン鉱石添加量の上限であり、これ以上の添加量
を望む場合は、当然、添加するマンガン鉱石の増加量に
相当する熱源を付与することが必要となる。コークスな
どの炭素材を添加、燃焼させて熱源とすることが考えら
れるが、この場合、炭素源には硫黄も少なからず含有さ
れるために溶銑中の硫黄濃度も上昇すること、炭素材燃
焼時の着熱効率があまり良くないことおよび処理時間が
長くなること等の問題が生じる。
【0011】また、溶銑中の珪素濃度が高い(例えば
0.3〜0.5 重量%またはそれ以上)場合には、脱りん炉
処理において添加する造滓剤の量を増加する必要があ
る。これは、溶銑中の珪素が酸化して生じるSiO2量が増
大するので、CaO 源である石灰系造滓剤の添加量を増量
して、発生するスラグの塩基度(CaO/SiO2、重量比)を
一定値以上に保持し、スラグの脱りん能を確保する必要
があることに起因する。さらに、脱りん処理において発
生する脱りん炉滓の量が増大し、造滓剤節減という本来
の効果が薄れるだけでなく、発生した脱りん炉滓の廃棄
に伴うマンガン分のロスも増大する。このため、脱りん
炉においてマンガン鉱石を添加しても、溶銑中のマンガ
ン濃度の上昇効果が小さくなる。
【0012】本発明者らは特開平6-271920号公報におい
て、脱りん処理前に予め溶銑中の珪素濃度を適正レベル
まで低減し、脱硫とともにマンガン濃度上昇処理を行う
方法を開示した。この方法は、次のようなものである。
【0013】珪素の酸化は発熱反応であり、溶銑中の珪
素濃度が高い場合、それだけ脱珪処理時の発熱量も大き
いので、溶銑中の珪素濃度に対応して脱珪剤の添加量を
増加しても熱量的に不利にはならない。しかも、脱珪剤
としてマンガン鉱石を利用することにより、脱珪処理時
に溶銑中のマンガン濃度の上昇が可能となる。
【0014】さらに、マンガン鉱石とともにCaO および
CaF2を添加することにより、脱珪およびマンガン濃度上
昇の際、同時に脱硫反応が進行する。これは、マンガン
鉱石のみまたはマンガン鉱石および生石灰等の塩基性酸
化物源の添加による従来の溶銑脱珪処理と比較して、蛍
石(CaF2)の添加により脱珪滓の滓化性が向上するた
め、マンガン鉱石の溶融還元が効果的に進行し、最終的
な脱珪滓中のMnO 濃度が2〜3重量%またはそれ以下に
低下できること、およびスラグ塩基度を従来よりも高く
設定できる(例えば2.0 以上)ことによるものである。
【0015】したがって、この方法、すなわち脱りん処
理前の溶銑脱硫工程を利用することにより、脱珪のため
に新たな処理工程を設けることなく、溶銑中の珪素濃度
を適正レベルまで低減させ、同時にマンガン濃度を上昇
させることが可能となった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】前記のマンガン濃度の
ような高マンガン鋼をさらに安価に製造するために、安
価なマンガン鉱石の使用量をいっそう増加させる必要が
ある。そのためには、製鋼工程中において、いかにして
マンガン鉱石添加量の増加を実現し、その溶融還元によ
り脱炭炉終点のマンガン濃度を高マンガン鋼レベルまで
上昇させるかが、課題である。
【0017】本発明は上記の課題を解決するためになさ
れたものである。本発明の目的は、安価なマンガン鉱石
をマンガン源として添加し、溶銑処理および脱炭処理中
に溶銑または溶鋼中のマンガン濃度をできるだけ高い濃
度まで上昇させ、脱炭炉の出鋼時に添加する高価なマン
ガン合金鉄を節減することにより、高マンガン鋼を安価
に製造することができる製鋼方法を提供することにあ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の製
鋼方法にある。
【0019】取鍋と上下吹き機能を備えた転炉形式の2
基の炉とを用いて、下記の第1工程からの第3工程
の処理を施す製鋼方法。
【0020】 取鍋内に溶銑を装入し、溶銑にマンガ
ン鉱石、生石灰および蛍石を添加して撹拌することによ
り、脱硫、脱珪およびマンガン濃度上昇処理を行う第1
工程。
【0021】 第1工程で得られた脱硫脱珪マンガン
富化溶銑を転炉形式の脱りん炉に装入し、第3工程で発
生した脱炭炉滓、マンガン鉱石、生石灰および蛍石のう
ちの少なくとも脱炭炉滓およびマンガン鉱石を含む脱り
ん造滓剤を添加し、底吹きガス撹拌を行いつつ酸素ガス
を上吹きして溶銑温度を1450℃以下に保ちながら、脱り
んおよびマンガン濃度上昇処理を行う第2工程。
【0022】 第2工程で得られた脱りんマンガン富
化溶銑を転炉形式の脱炭炉に装入し、造滓剤およびマン
ガン鉱石を添加して底吹きガス撹拌を行いつつ酸素ガス
を上吹きして、脱炭およびマンガン濃度上昇処理を行う
第3工程。
【0023】上記の第2工程における脱りん造滓剤を構
成する成分の組合せについては、脱炭炉滓とマンガン鉱
石とを必須とし、次の(イ)〜(ニ)のような4種類が
可能である。
【0024】 (イ)脱炭炉滓およびマンガン鉱石 (ロ)脱炭炉滓、マンガン鉱石および生石灰 (ハ)脱炭炉滓、マンガン鉱石および蛍石 (ニ)脱炭炉滓、マンガン鉱石、生石灰および蛍石 本発明者らは、溶銑中の珪素濃度が高い(例えば 0.3〜
0.5 重量%またはそれ以上)場合、前記の特開平1-1420
09号公報の方法により高マンガン鋼を溶製する際、同時
に前記の特開平6-271920号公報の方法の事前脱珪を実施
することにより、脱りん処理後の溶銑中のマンガン濃度
上昇に大きな効果が得られることを見い出した。これを
図1により説明する。
【0025】図1は、第2工程の脱りん処理における脱
りん造滓剤の添加量および同じく脱りん処理後における
マンガン歩留と脱りん処理前における溶銑中の珪素濃度
との関係を示す図である。図示するように、溶銑中の珪
素濃度が高い場合には、脱りん炉でのスラグ量が増大し
てマンガン歩留が低下する。溶銑中の初期珪素濃度が高
い場合には、脱りん炉滓量が増加して同時に溶銑中マン
ガンの酸化ロスが増大する。
【0026】しかし、予め珪素濃度を適正にしておけ
ば、脱りん処理前の溶銑脱硫時の脱珪およびマンガン濃
度上昇が可能となり、図1に示すとおり脱りん処理後の
マンガン歩留が向上し、マンガン濃度の上昇が達成され
る。しかも、事前脱珪により脱りん炉滓量が減少してマ
ンガン歩留が向上し、マンガン鉱石の効果的な溶融還元
が可能となるため、溶銑脱硫時だけでなく、脱りん炉で
のマンガン濃度上昇効果も増大するという相乗効果が得
られる。
【0027】この理由により、製鋼工程を通じて添加で
きるマンガン鉱石の総量をいっそう増加させ、脱炭炉終
点のマンガン濃度を効果的に上昇させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明方法は、例えば高炉から出
銑された溶銑に対して溶銑脱硫を実施する第1工程、1
基の上下吹き転炉形式の炉を用いて脱りん処理を実施す
る第2工程、および別のもう1基の上下吹き転炉形式の
炉を用いて脱炭処理を実施する第3工程から構成され
る。そして、3つの工程のすべてにおいてマンガン鉱石
を添加して、溶銑中のマンガン濃度を段階的に上昇さ
せ、第3工程後の溶鋼中マンガン濃度を可能な限り高め
る。
【0029】本発明方法では、前後の工程間において、
前工程の処理により後工程のスラグ量が低減されるとい
う連鎖関係が成り立っており、各工程でのスラグ量の低
減とともにマンガン濃度上昇が効果的に達成されるよう
になっている。
【0030】図2に基づいて本発明方法の一例を工程順
に説明する。図2は、本発明方法を示す概略のフロー図
である。図2(a) は第1工程、図2(b) は第2工程およ
び図2(c) は第3工程である。
【0031】第1工程における添加では、少なくともマ
ンガン鉱石は最初に添加する。望ましい方法例は次のと
おりである。図2(a) に示すように、まず、取鍋1内の
溶銑2にマンガン鉱石3を添加し、インペラー撹拌装置
4を用いて撹拌することにより、脱珪およびマンガン濃
度上昇処理を行う。その後、生石灰および蛍石を添加し
て同様に撹拌することにより、さらに脱硫およびマンガ
ン濃度上昇処理を行い、溶銑2を脱硫脱珪マンガン富化
溶銑(脱硫溶銑6)とする。
【0032】上記の撹拌では、インペラー撹拌法の他
に、ガスバブリング撹拌法、粉体インジェクション法な
どを適用してもよい。
【0033】ここでの脱珪処理の目的は、後述する第2
工程の脱りん処理の際に溶銑中の珪素濃度に応じて添加
する造滓剤を減らして、スラグ量を抑制し、マンガン鉱
石の溶融還元時のマンガン歩留を高位に維持することに
ある。従来の溶銑脱珪は鉄鉱石等の酸化鉄源の添加によ
り実施されているが、この場合には溶銑中のマンガンも
同時に酸化されるので、高マンガン鋼溶製には適してい
ない。したがって本発明方法では、脱珪剤としてマンガ
ン鉱石を用いる。マンガン鉱石は鉄マンガン鉱石であっ
てもよい。マンガン鉱石を添加する方法では、酸化鉄に
よる脱珪の際同時に起こるマンガンロスがなくなるばか
りでなく、逆に溶銑中のマンガン濃度を高めることが可
能である。
【0034】まず、溶銑にマンガン鉱石を添加して撹拌
し、鉱石中の酸化マンガンを酸化剤として溶銑中の珪素
を次式(1) により酸化させ、脱珪およびマンガン濃度上
昇処理を行う。
【0035】 2(MnO) +〔Si〕=2〔Mn〕+(SiO2) ・・・・・・ (1) 脱珪後のスラグを構成する酸化物の主要成分は、マンガ
ン鉱石から溶解してきたMnO および珪素が酸化して生成
したSiO2である。MnO-SiO2の二元系スラグにおいては、
MnO がスラグ中に安定して存在し、還元反応はある程度
以上進まなくなる。
【0036】そこで、脱珪後のスラグ中のMnO の還元反
応促進と脱硫反応促進を目的として、スラグ中へ生石灰
を添加する。生石灰はスラグへのCaO 源であり、スラグ
中のCaO の存在により、MnOの活量が大きくなるので、M
nOの還元反応がさらに進行する。また、次式(2) により
脱硫反応が進行する。
【0037】Ca2+ +S2- = CaS ・・・・・・・・・ (2) このとき、蛍石(CaF2)を添加する。CaF2がスラグ中に
存在すると、スラグの融点が低下して流動性が向上する
ため、マンガン鉱石のスラグへの溶融、スラグ中のMnO
の還元反応および脱硫反応が促進される。
【0038】第1工程において最も留意すべき点は、マ
ンガン鉱石の溶融還元による脱珪反応および脱硫反応を
いかに効率よく進行させるかである。すなわち、スラグ
中MnO の還元反応および脱硫反応を順調に進行させるた
めには、スラグが液相で流動性の良い状態を常に維持す
ることが重要である。マンガン鉱石の添加後に生成する
MnO-SiO2系のスラグは液相であり、このスラグを基本に
して、高融点であるCaO を徐々に溶解していくように添
加順序を考慮するのがよい。したがって、マンガン鉱石
を先行して溶銑に添加し、液相スラグの形成を待って生
石灰を添加する。
【0039】一方、蛍石の添加順序は次のように行って
もよい。蛍石はスラグの滓化促進剤であるので、どの順
番に添加してもよいが、生石灰の添加と同時期または生
石灰の添加に先行して添加するのが望ましい。もっとも
よいのはマンガン鉱石とともに初期に添加することであ
る。
【0040】マンガン鉱石の添加は一括して実施しても
よいが、分割または連続添加することにより、溶銑上に
未反応のまま存在する高融点のマンガン鉱石を低減し、
液相スラグの形成およびスラグ中のMnO の還元反応をよ
り効率よく起こすことが可能である。
【0041】生石灰の添加もマンガン鉱石の場合と同様
に一括添加でもよいが、分割または連続添加することが
より好ましい。溶銑上に未溶解のまま存在する生石灰量
の低減により、液相スラグのCaO 飽和による高融点化を
回避するためである。スラグの塩基度を2.0 以上の高い
範囲に上昇させる場合には、連続添加が望ましい。
【0042】蛍石はスラグの滓化促進剤としての役割を
果たすので、その添加は、一括、分割または連続のいず
れでもよい。重要なことは、前述のように生石灰と同時
にまたは生石灰に先行して添加し、スラグの高融点化を
回避することである。
【0043】第2工程では、図2(b) に示すように、第
1工程で得られた脱硫脱珪マンガン富化溶銑(脱硫溶銑
6)を脱りん炉7に装入する。そして、マンガン鉱石3
および後述する第3工程で発生した脱炭炉滓8からなる
脱りん造滓剤、さらに必要に応じて生石灰と蛍石の少な
くとも一方を加えた脱りん造滓剤を添加する。つぎに、
底吹きガス9による撹拌を行いつつ上吹きランス10から
酸素ガスを上吹きして溶銑温度を1450℃以下に保ちなが
ら、脱りんおよびマンガン濃度上昇処理を行い、脱りん
溶銑11とする。脱りん炉7としては、1基の上下吹き転
炉形式の炉を用いる。
【0044】現状では、脱りん処理時の精錬剤としては
鉄鉱石等の酸化鉄源が一般的に利用されているが、本発
明方法においては造滓剤の一部としてマンガン鉱石を用
いる。これは、脱りん反応の酸化剤である鉄鉱石をマン
ガン鉱石に置き換えても、鉄鉱石を用いる場合と同様の
脱りん効率が得られるとともに、処理中の温度推移や同
時に起こる脱炭量等にも大差がないからである。これに
より、酸化剤である酸化マンガンが還元され、溶銑中の
マンガン濃度が上昇する。
【0045】脱炭炉滓は、CaO を含んでいるため生石灰
の代替源となり、さらに脱炭処理時において一度溶融し
たものであるので、再利用時の滓化性が非常に良好であ
ることも大きな利点となる。CaO 源として生石灰のみを
用いる場合には、生石灰、マンガン鉱石等の別個の造滓
剤が徐々に融合するため、スラグの滓化に時間がかか
る。脱炭炉滓の優れた滓化性により、脱りん反応が速く
進行するとともに、同時に添加するマンガン鉱石の溶融
還元を迅速に進行させる効果においても、その有利性が
発揮される。
【0046】脱りんスラグの滓化性を良好にして、脱り
ん反応およびマンガン鉱石溶融還元反応を促進させるた
めに蛍石を添加してもよい。その場合の具体的効果は第
1工程の場合と同様である。
【0047】処理温度は1450℃以下に調整する。溶銑温
度が1450℃を超えて高くなると、脱炭反応が優先して進
行するとともに、スラグ中の酸化鉄および酸化マンガン
の還元反応が進行しすぎるため、脱りん反応が進行しな
い。一方、処理温度が極端に低い場合にはスラグの流動
性が低下するので、溶銑がスラグ中へ粒鉄として懸濁
し、そのままスラグとともに廃棄され、鉄分のロスを招
く。また、処理温度が低い場合には、第3工程における
熱量の余裕がなくなるため、マンガン鉱石の添加量に制
約が生じるという問題がある。したがって、第2工程に
おける処理温度は1450℃以下で、できるだけ高い方が望
ましい。
【0048】第2工程において留意すべき事項は、第1
工程を経た脱硫脱珪マンガン富化溶銑に対して、効率よ
く脱りん処理およびマンガン鉱石の溶融還元を実施する
上で、添加する造滓剤を減らして脱りんスラグ量を適正
なレベルに抑制することである。脱りん処理前、すなわ
ち第1工程終了後の溶銑中の珪素濃度は、脱りんスラグ
の量及ぼす影響が大きい。
【0049】脱りん処理前の溶銑中の珪素濃度が過度に
低い場合には、下記の(a)〜(c)などの問題が生じる。
【0050】(a) 脱珪によるSiO2の生成量が少ないため
にスラグの滓化が遅く、脱りん反応の進行も遅れる。
【0051】(b) Si酸化反応は発熱反応であるため、Si
酸化時の発熱量の減少により脱りん処理時の熱量が不足
する。
【0052】(c) 脱炭反応が発生し始めるため、溶銑中
の炭素濃度の減少により第3工程における脱炭反応によ
る発熱が減少し、添加できるマンガン鉱石量が減少する
ため、脱炭炉終点において十分なマンガン濃度の上昇効
果が得られない。
【0053】したがって脱りん処理前、すなわち第1工
程終了後の溶銑中の珪素濃度には適正範囲が存在し、望
ましいのは0.10〜0.30重量%、さらに望ましいのは0.15
〜0.25重量%である。つまり、第1工程において溶銑中
の珪素濃度を上記の適正範囲に調整することが、第2工
程における効果的な脱りん処理をもたらす。
【0054】第3工程では、図2(c) に示すように、上
記の第2工程で得られた脱りんマンガン富化溶銑(脱り
ん溶銑11)を脱炭炉12に装入し、造滓剤およびマンガ
ン鉱石3を添加して底吹きガス9による撹拌を行いつ
つ、上吹きランス10から酸素ガスを上吹きして脱炭およ
びマンガン濃度上昇処理を行う。脱炭炉12としては、脱
りん炉7とは別の1基の上下吹き転炉形式の炉を用い
る。造滓剤は、通常の転炉吹錬で用いるものと同様の生
石灰およびドロマイトなどである。
【0055】造滓剤およびマンガン鉱石の望ましい添加
方法および順序は、炉上の添加用ホッパーから炉口へ投
入する方法がよく、かつマンガン鉱石を先に添加するの
がよい。マンガン鉱石を先に添加するのは、マンガン鉱
石と造滓剤との焼結を防止し、溶銑と効率よく反応させ
るためである。
【0056】この工程は、基本的には通常の上下吹き転
炉における脱炭精錬と同様であるが、前工程で事前に脱
りん処理されているので、造滓剤の添加量を少なくする
ことが可能である。このため、スラグ量の少ない状態で
マンガン鉱石を添加し、効果的な溶融還元および吹錬終
点の溶鋼中マンガン濃度の上昇が達成される。
【0057】本発明方法におけるその他の望ましい条件
は、次のとおりである。
【0058】添加剤の粒径の範囲は、マンガン鉱石は1
〜50mm 程度、生石灰は1〜10mm 程度、蛍石および脱炭
炉滓は1〜50mm 程度である。スラグ塩基度の範囲は、取
鍋および脱りん炉で1.5〜2.5程度、脱炭炉で3.5〜5.0程
度である。
【0059】望ましい添加量の範囲は、第1工程のマン
ガン鉱石は5〜15kg/t 程度、生石灰は5〜15kg/t 程度、
蛍石は2〜6kg/t程度である。同じく第2工程の脱炭炉滓
は15〜25kg/t程度、マンガン鉱石は3〜15kg/t程度、生
石灰は10〜20kg/t 程度、蛍石は5〜15kg/t程度である。
同じく第3工程の造滓剤は10〜20kg/t 程度、マンガン
鉱石は10〜20kg/t程度である。
【0060】底吹き撹拌用のガスは、Ar、N2、C
O、CO2等がよく、その流量の望ましい範囲は0.1〜0.
3Nm/min・t程度である。
【0061】上吹きランスの構造は、外向き3〜8孔の
ラバールノズルとするのが望ましい。
【0062】
【実施例】
<比較例> 溶銑脱硫工程:高炉溶銑250ton(温度1350℃)を対象と
して、取鍋内でインペラー撹拌を行う方法によって処理
した。インペラー回転数100rpmで撹拌を開始した後、1
分から3分にかけて粒径10mm以下の生石灰10kg/tおよび
粒径50mm以下の蛍石2kg/tをホッパーから溶銑に連続的
に添加し、撹拌状態を継続した後、インペラー撹拌開始
から15分後に処理を終了した。
【0063】溶銑脱りん工程:次いで、脱硫溶銑250ton
を上下吹き転炉形式の脱りん炉に注銑し、別の脱炭炉で
発生した脱炭炉滓25kg/t、粒径10mm以下の生石灰10kg/
t、粒径50mm以下の蛍石8kg/t、粒径50mm以下のマンガ
ン鉱石15kg/tを添加し、表1に示す条件で13分間の脱り
ん処理を行った。
【0064】
【表1】
【0065】脱炭工程 さらに脱りん溶銑を脱炭炉に注銑し、生石灰8kg/t、ド
ロマイト6kg/t、粒径50mm以下の蛍石1kg/tおよび粒径
50mm以下のマンガン鉱石20kg/tを添加して16分間の脱炭
吹錬を行った。吹錬終点の溶鋼中マンガン濃度は1.04重
量%であった。表2に溶銑および溶鋼の化学組成を示
す。
【0066】
【表2】
【0067】<本発明例> 第1工程:高炉溶銑250ton(温度1350℃)を対象とし
て、取鍋内でインペラー撹拌を行う方法によって処理し
た。回転数100rpmでインペラー撹拌を開始した後、1分
から3分にかけて粒径50mm以下のマンガン鉱石15kg/tを
ホッパーから溶銑に連続的に添加した。さらに撹拌開始
後、3分から6分にかけて粒径10mm以下の生石灰15kg/t
および粒径50mm以下の蛍石5kg/tを別のホッパーから連
続的に添加した。撹拌状態を継続した後、撹拌開始から
15分後に脱硫脱珪マンガン富化処理を終了した。
【0068】第2工程(生石灰添加なしの脱りん処
理):次いで、脱硫脱珪マンガン富化溶銑250tonを脱り
ん炉に注銑し、脱炭炉で発生した脱炭炉滓25kg/t、粒径
50mm以下のマンガン鉱石15kg/tおよび粒径50mm以下の蛍
石8kg/tを添加し、表1と同じ条件で脱りんマンガン富
化処理を行った。
【0069】第3工程:さらに脱りんマンガン富化溶銑
を別の脱炭炉に注銑し、前記比較例の脱炭工程と同様の
条件で脱炭およびマンガン濃度上昇吹錬を行った。表3
に溶銑および溶鋼の化学組成を示す。
【0070】
【表3】
【0071】表3に示すとおり、第1工程後において溶
銑中マンガン濃度は0.93重量%まで上昇し、脱硫処理も
比較例と同程度まで達成できた。その後、マンガン濃度
は、第2工程終了後の溶銑中で1.12重量%、第3工程終
了後の溶鋼中で1.50重量%まで上昇した。
【0072】第1工程において溶銑中の珪素濃度を0.20
重量%まで低減したことにより、第2工程では脱りん
は、生石灰を添加することなく比較例と同程度まで進ん
だ。このように、本発明方法では脱りん工程において添
加する生石灰を全て節減することも可能である。
【0073】
【発明の効果】本発明方法によれば、溶銑の脱硫、脱り
んおよび脱炭処理の三つの工程において、それぞれマン
ガン鉱石を添加して溶融還元することにより、段階的か
つ効果的に溶銑中のマンガン濃度を上昇させ、脱炭炉終
点のマンガン濃度を上昇させることができる。その脱炭
炉終点のマンガン濃度上昇分に応じて、脱炭炉の出鋼時
に添加する高価なマンガン合金鉄の使用量を節減ができ
るので、安いコストで高マンガン鋼を製造することが可
能である。さらに、脱りん処理前に適正レベルまで脱珪
することにより、脱りん処理時に添加する造滓剤の量を
節減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2工程の脱りん処理における脱りん造滓剤の
添加量および同じく脱りん処理後におけるマンガン歩留
と脱りん処理前における溶銑中の珪素濃度との関係を示
す図である。
【図2】本発明方法を示す概略のフロー図である。(a)
は第1工程、(b) は第2工程および(c) は第3工程であ
る。
【符号の説明】
1:取鍋、 2:溶銑、3:マンガン鉱石、4:
インペラー撹拌装置、6:脱硫溶銑、 7:脱りん
炉、8:脱炭炉滓、 9:底吹きガス、10:ランス、
11:脱りん溶銑、12:脱炭炉、 13:造滓剤

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】取鍋と上下吹き機能を備えた転炉形式の2
    基の炉とを用いて、下記の第1工程からの第3工程
    の処理を施すことを特徴とする製鋼方法。 取鍋内に溶銑を装入し、溶銑にマンガン鉱石、生石
    灰および蛍石を添加して撹拌することにより、脱硫、脱
    珪およびマンガン濃度上昇処理を行う第1工程。 第1工程で得られた脱硫脱珪マンガン富化溶銑を転
    炉形式の脱りん炉に装入し、第3工程で発生した脱炭炉
    滓、マンガン鉱石、生石灰および蛍石のうちの少なくと
    も脱炭炉滓およびマンガン鉱石を含む脱りん造滓剤を添
    加し、底吹きガス撹拌を行いつつ酸素ガスを上吹きして
    溶銑温度を1450℃以下に保ちながら、脱りんおよびマン
    ガン濃度上昇処理を行う第2工程。 第2工程で得られた脱りんマンガン富化溶銑を転炉
    形式の脱炭炉に装入し、造滓剤およびマンガン鉱石を添
    加して底吹きガス撹拌を行いつつ酸素ガスを上吹きし
    て、脱炭およびマンガン濃度上昇処理を行う第3工程。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100883820B1 (ko) * 2002-11-28 2009-02-16 주식회사 포스코 제강공정중 래들내에서의 탈인 정련방법
KR100885117B1 (ko) * 2002-11-14 2009-02-20 주식회사 포스코 고청정 저인 저탄소강의 제조방법
CN114574641A (zh) * 2022-03-02 2022-06-03 北京科技大学 一种冶炼中-低碳锰铁的方法

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KR100883820B1 (ko) * 2002-11-28 2009-02-16 주식회사 포스코 제강공정중 래들내에서의 탈인 정련방법
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