JPH038824Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、主として自動車、コンバイン、トラ
クター等の変速装置に用いられるＶベルトに関す
る。

（従来の技術） 近年、自動車、コンバイン、トラクター等の変
速装置は操作性の向上、燃費の向上等を狙いと
し、ベルト式無段変速装置の開発が進められてい
る。

この変速装置に使用されるベルトは、極めて高
トルクの伝動能力を必要とするので、従来のゴム
ベルトでは高側圧のため座屈変形を起こし、使用
に耐えない。この点を改良したＶベルトとして、
合成繊維或は無機繊維から成るコードを心体とし
たエンドレスの一対の張力帯に、複数のブロツク
をそれら両側部の係合溝を介して係合させ、両側
面をプーリ溝面と適合するほぼ面一の傾斜面とし
たものが提案されている（例えば、特開昭60−
49151号公報参照）。

（考案が解決しようとする課題） 上記従来のＶベルトは、屈曲性が良く、高側圧
を受けても座屈変形が無く、又高速度運転に対し
て安全である等優れた特徴を多々有してはいる
が、ブロツクを高強度樹脂や硬質ゴム等の比較的
熱伝導度の低い材料単独で構成した場合、運転
中、張力帯とブロツクとの係合部において発生す
る摩擦熱或は張力帯の繰返し屈曲による熱は蓄熱
され、ブロツク材料や張力帯材料を熱劣化させ耐
久性を損なうと云つた問題を有していた。

本考案は、上記従来技術の問題点に鑑みて、張
力帯にマルエージング鋼等の強靭鋼よりなる心体
を具備せしめ、かつ該心体の一部を外部に露出せ
しめることにより、ベルトに発生した熱を上記心
体の露出部分より効率良く放熱させて、ブロツク
や張力帯の熱劣化の影響を軽減して耐久性に優れ
たＶベルトを提供すると共に、ベルトの屈曲性を
更に向上してコンパクトな設計を可能にすること
を目的としている。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案の解決手段
は、エンドレスの一対の張力帯に複数のブロツク
が係合されてなるＶベルトを対象とする。上記張
力帯は、マルエージング鋼等の強靭鋼よりなる心
体と、該心体をその長手方向に一定間隔毎に一部
を露出せしめた状態で鋳ぐるむとともに上記ブロ
ツクに係合せしめられるゴム部材とからなる。上
記ブロツクは、上記張力帯の心体露出部分を外部
に露出せしめるよう張力帯に長手方向に一定間隔
をあけて並設されてなるものとする。

（作用） 上記手段による作用は、張力帯の心体がマルエ
ージング鋼等の強靭鋼で形成され、かつ該心体の
一部（露出部分）がブロツク間の間隙から外部に
露出しているため、ベルトに発生する熱は上記心
体を経てその露出部分から外部に効率良く放熱さ
れることになり、ブロツクや張力帯の熱劣化の影
響が軽減され耐久性が向上すると共に、張力帯の
心体の強度向上によるその厚みの縮小化、心体の
一部の露出及びそのためのブロツク間に設けた間
隔によりベルトの屈曲性が向上することになる。

（実施例） 以下、本考案のＶベルトの実施例を図面によつ
て詳細に説明する。

本実施例の変速プーリ用Ｖベルト１は、一対の
エンドレスの張力帯２，３と、これら張力帯２，
３に長手方向に一定ピツチでかつ一定間隔をあけ
た状態に係止された複数のブロツク４とから構成
されている。

張力帯２，３は、各々平帯状の心体９，９と、
これら心体９，９をその長手方向に一定間隔毎に
一部を露出せしめた状態で鋳ぐるみ保持するゴム
部材１０，１１と、ゴム部材１０，１１の上面及
び下面に埋設された織布１２とから構成されてい
る。張力帯２，３の外側面２ａ，３ａは、ブロツ
ク４の側面４ａ，４ｂとほぼ同一勾配の傾斜を有
し、内側面２ｂ，３ｂは鉛直を成している。外側
面２ａ，３ａは、第２図に示すようにプーリ２１
の溝に嵌合し側圧を受けていない状態においては
ブロツク４の側面４ａ，４ｂから若干突出してい
るが、第３図に示すようにプーリ２１の溝に嵌合
して動力伝達が行われるとそれぞれ圧縮ヤング率
の差によつてブロツク４の側面４ａ，４ｂと同一
平面になり、プーリ溝面に接する。

張力帯２，３の心体９，９には、マルエージン
グ鋼等の強靭鋼が使用され、ベルトの引張強度、
熱劣化に対する耐性及び熱伝導性を大幅に向上さ
せている。心体９，９は、その高強度、高剛性に
よつて比較的肉厚の薄い平帯状に形成され、ブロ
ツク４の側圧を受ける面積を増大させている。

ゴム部材１０，１１には、圧縮ヤング率の大き
い耐摩耗性等に優れ且つ短繊維で補強された周知
の合成ゴムが使用されており、心体９，９がブロ
ツク４やプーリ２１に接触しないように保持して
いる。又、ゴム部材１０，１１の上面と下面に
は、屈曲性および耐摩耗性に優れた綿繊維、ポリ
アミド繊維等の紡繊維から成る織布が埋設されて
いる。

ブロツク４は、アルミ合金等の熱伝導率の高い
金属材料からなる中央基部５と、該中央基部５の
両側面５ａ，５ｂに取着された高強度樹脂や硬質
ゴム等の耐摩耗性に優れた材料からなる外側部
６，６とから形成されている。

ブロツク４の両側面４ａ，４ｂは、変速プーリ
２１の溝角度αを成すように傾斜しており、該溝
角度αと同角度をなす中央基部５の両側面５ａ，
５ｂに接着された外側部６，６の外側面６ａ，６
ａによつて形成されている。ブロツク４の上面４
ｃおよび下面４ｄは、Ｖベルト１の軽量化を目的
としてそれぞれアーチ状の凸面および凹面に形成
されている。ブロツク４，４間の対向する面の一
方４ｅは、鉛直面を成し、他方４ｆは、張力帯と
の係合溝７，８の中心から上方において鉛直面を
成し同中心から下方においてＶベルト１の使用最
小ピツチ径に対応した角度βを成す傾斜面となつ
ている。又、これら係合溝７，８によつて、外側
部６，６は上下に分断されている。

また、詳細を第４図に示すように、ブロツク４
の両側部には、側面４ａ，４ｂに開口し上記張力
帯２，３のゴム部材１０，１１と係合する係合溝
７，８がそれぞれ形成されており、ブロツク４を
上ビーム部、センターピラー部、下ビーム部に区
画している。各係合溝の上面７ａ，８ａおよび下
面７ｂ，８ｂには凸条部７ｃ，８ｃ，７ｄ，８ｄ
がそれぞれ設けられている。これら凸条部７ｃ，
８ｃ，７ｄ，８ｄに対応して、張力帯２，３のゴ
ム部材１０，１１の上面および下面には、相互に
噛合するように凹溝部が設けられている。この構
成によつてブロツク４と張力帯２，３とはＶベル
ト１の長手方向に相互に拘束、固定し幅方向に脱
着可能な動力伝達手段を形成している。

第５図に示すように、本考案の変形例としての
Ｖベルト３０は、張力帯３１の心体３２の一部を
露出してベルト３０に発生した熱を放熱させるた
めに、強靭鋼から成る心体３２をコグつきゴム部
材３３を介してブロツク３４に係合されている。
ブロツク３４は、心体３２の一部を露出するため
に一定ピツチで隔設されている。又、コグつきゴ
ム部材３３とブロツク３４との係合を、下方にお
いて弧状の凹凸で行つている。ブロツク３４の相
互の対向面は、張力帯３１の中心から上方におい
て鉛直で、下方において長手方向で対称状態に上
記実施例における角度βを成すように傾斜してい
る。その他、中央基部および外側部の構成は、上
記実施例とほぼ同じであり、心体３２の一部露出
と熱伝導度の高い中央基部によつて放熱性が同様
に改善されている。

（考案の効果） 上記のように構成されたＶベルトにおいては、
張力帯とブロツクとの係合部における相対的なす
べり摩擦や張力帯の屈曲の繰返しによつて発生す
る熱に対して、強靭鋼製心体を経て該心体の露出
部分より外部に効率良く放熱することができるの
で、ブロツクや張力帯の熱劣化の影響を軽減して
ベルトの耐久性を向上できる。更に、心体の薄厚
化、心体の露出及びブロツク間の間隔によつてベ
ルトの屈曲性を一層向上させてコンパクト設計が
可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本考案の一実施例を示
し、第１図はＶベルトの側面図、第２図は第１図
における−線断面図、第３図はＶベルトが変
速プーリと嵌合し動力伝動状態にあるときの一部
断面図、第４図はＶベルトのブロツクの斜視図、
第５図は本考案のＶベルトの変形例の側面図であ
る。 １……Ｖベルト、２，３，３１……張力帯、４
……ブロツク、９３２……心体、１０，１１，３
３……ゴム部材、３０……Ｖベルト、３４……ブ
ロツク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 エンドレスの一対の張力帯に複数のブロツクが
   係合されてなるＶベルトであつて、 上記張力帯は、マルエージング鋼等の強靭鋼よ
   りなる心体と、該心体をその長手方向に一定間隔
   毎に一部を露出せしめた状態で鋳ぐるむとともに
   上記ブロツクに係合せしめられるゴム部材とから
   なり、 上記ブロツクは、上記張力帯の心体露出部分を
   外部に露出せしめるよう張力帯に長手方向に一定
   間隔をあけて並設されていることを特徴とするＶ
   ベルト。