JPH0345594Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はパン等の食品を焼くために使用される
電熱式の赤外線オーブンに関するものである。

（従来の技術） フランスパン等のパン類を焼くためのオーブン
としては、熱風循環式のオーブンやニクロム線ヒ
ータの表面に耐火レンガを敷き詰めたいわゆるレ
ンガ窯オーブンが知られているが、熱風循環式の
ものは炉内の温度分布が悪いうえに装置が大型化
して不経済となる欠点があつた。またレンガ窯オ
ーブンは熱容量の大きい耐火レンガを昇温するた
めに時間がかかるうえランニングコストが高く、
またヒータの温度区分が行いにくいのでやはり炉
内の温度分布が悪いという欠点があつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案はこのような従来の問題点を解決して、
炉内の温度分布の均一性に優れ、また昇温時間が
短くパン等の食品を熱効率良く焼くことができる
経済的な赤外線オーブンを目的として完成された
ものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、前面に開閉できる扉を備えた炉体の
天井内壁面に、肉薄のセラミツク板の内部に電熱
線を埋設した赤外線輻射ヒータを多数配設すると
ともに、炉体の底面には前記肉薄のセラミツク板
よりも３倍以上肉厚のセラミツクブロツクの内部
に電熱線を埋設した熱容量の大きいブロツクヒー
タを隙間なく敷設したことを特徴とするものであ
る。

（実施例） 次に本考案を図示の実施例について詳細に説明
する。

１はステンレス鋼板等の内装材とセラミツクフ
アイバ等の断熱材から構成されるバツチ式オーブ
ンの炉体であり、その前面側には炉内を監視でき
るように複層耐熱透明ガラス２が嵌込まれた扉３
が耐熱パツキンを介して開閉自在に取付けられて
いる。この炉体１の天井内壁面には多数の赤外線
輻射ヒータ４が配設されており、また炉体１の底
面には多数のブロツクヒータ５が隙間なく敷設さ
れている。

赤外線輻射ヒータ４は第２図に示すように凹面
状の肉薄のセラミツク板６の内部にコイル状ニク
ロム線のような電熱線７を埋設したもので、図示
の実施例では１枚が100Wの発熱量のものを６枚
連結して１台とし、これを６列に配置して全体が
3.6KWの発熱量を持たせてある。このセラミツ
ク板６の肉厚は実施例では８mmである。

一方、ブロツクヒータ５は第３図に示すように
レンガ状乃至はタイル状の肉厚のセラミツクブロ
ツク８の内部にコイル状ニクロム線のような電熱
線９を埋設して大きい熱容量を持たせたもので、
その肉厚は第１図に示したように前記肉薄のセラ
ミツク板６の３倍以上として十分な熱容量を持た
せてある。実施例では肉厚のセラミツクブロツク
８の厚さは32mmである。このようなセラミツクブ
ロツク８としてはシヤモツトを主成分とした多孔
質のブロツクが用いられる。このセラミツクブロ
ツク８の内部にはその底面に向つて電熱線９のコ
イル径より小さい幅の開放溝１０を開口させた電
熱線収納溝１１が形成されており、その内部に電
熱線９を挿入したうえでコロイダルシリカ系の埋
設剤に硅酸ソーダ系あるいはリン酸アルミニウム
系の接着剤を配合した常温硬化性の耐熱性充填材
で電熱線９を埋込み、更に開放溝１０内をアルミ
ナセメント等の充填材で封止してある。これによ
り電熱線９の酸化による劣化が防止されるととも
に、熱伝導性に優れたブロツクヒータ５が得られ
る。また各ブロツクヒータ５の中央部分にはアル
メル−クロメル等の熱起電材料を絶縁被覆した温
度センサ１２が埋設され、これによりブロツクヒ
ータ５の集合体の温度分布の均一化を図ることが
できる。このようなブロツクヒータ５は炉体１の
底面に隙間なく敷設されて相互間に低温部のない
均一な発熱体となるが、中心部に比較して低温と
なり易い周辺部や、扉３の開閉により冷却され易
い入口付近のブロツクヒータ５のワツト密度を大
きくしておけばより確実に温度分布の均一化を図
ることができる。なおブロツクヒータ５の集合体
の外形寸法は天井内壁面に多数配設された赤外線
輻射ヒータ４の全体の外形寸法とほぼ同一として
おくものとする。１３は炉体１の天井に設けられ
たダンパ付きの排気筒、１４は炉内周縁部に環状
に配管された蒸気吹込用のパイプでフランスパン
を焼く際にパンの生地を炉内へ挿入した直後の段
階で水蒸気を吹込むためのものである。

（作用） このように構成されたものは、先ず炉体１の天
井内壁面に多数配設された赤外線輻射ヒータ４に
通電するとともに炉体１の底面に敷設されたブロ
ツクヒータ５にも通電して炉内を加熱するもので
あるが、赤外線輻射ヒータ４は肉薄のセラミツク
板６の内部に電熱線７を埋設した熱容量の小さい
ものであるので速やかに昇温する。そして赤外線
輻射ヒータ４からの輻射エネルギは底面に隙間な
く敷設された肉薄のセラミツク板６の３倍以上の
厚みのブロツクヒータ５に吸収され、ブロツクヒ
ータ５の内部の電熱線９による発熱とともにブロ
ツクヒータ５を次第に昇温させることとなるが、
ブロツクヒータ５は吸収率及び輻射率に優れたセ
ラミツクブロツク（輻射率ε＝0.96）により構成
されているので天井からの輻射エネルギを無駄な
く吸収して速やかに昇温し、その熱容量が大きい
にもかかわらず従来のレンガ窯オーブンの昇温時
間の約1/2の30分程度でヒートアツプされる。

このようにしてブロツクヒータ５自体の温度を
約210℃、天井付近の炉内温度を約150℃としたう
えでパイプ１４から必要に応じて炉内に水蒸気を
吹込み、次にバケツト状のパン生地をキヤンバス
の上に載せて扉３から炉内に入れ、キヤンバスの
みを引出してパン生地をブロツクヒータ５の表面
に載せる。この結果、パン生地は蓄熱量の大きい
ブロツクヒータ５の表面からの伝導加熱及び輻射
加熱によつて均一かつ安定に加熱されるととも
に、赤外線輻射ヒータ４からの輻射熱を受けて加
熱されるので、パン表面に好ましい表皮を張らせ
ることができ、また注入された蒸気により円熟さ
れた炉体１内の熱度によつてパン内部に不同形の
気泡が形成されて適度に膨らみ、約25分間で外形
が良く美味なフランスパン等を焼き上げることが
できる。特に本考案においては赤外線輻射ヒータ
４に対向させて熱容量が大きくしかも輻射率の高
いブロツクヒータ５を隙間なく敷設したので、温
度の安定性及び均一性に優れるうえに、従来の熱
容量の大きいレンガ窯オーブンや石窯オーブンで
焼いた場合と同様の効果が得られるもので、冷た
いパン生地を載置しても接触部分に急激な温度低
下が生ずることもなく、継続的に熱エネルギがパ
ン生地に供給されて好ましい焼上りを得ることが
できる。また本考案においては炉体１内の各部の
温度分布を赤外線輻射ヒータ４及びブロツクヒー
タ５によつて自由に制御することができるので、
焼上りにばらつきを生ずることもなく、温度調節
計により雰囲気温度とヒータ温度を管理すれば熟
練者でなくても上質のパンを焼くことができる。
なお、本考案は以上に述べた１段式のバツチ炉の
ほか、多段炉にも適用できることはいうまでもな
い。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、炉
体の天井壁面に複数個の赤外線輻射ヒータを配設
するとともに底面には隙間なく熱容量の大きいブ
ロツクヒータを設けることにより昔からパン焼き
に理想的とされたレンガ窯オーブンや石窯オーブ
ンと同等の焼上りのオーブンを得ることに成功し
たものであり、しかもこれらの従来のオーブンに
比較してヒートアツプ時間が短いこと、熱効率に
優れランニングコストが安いこと、温度分布が均
一で焼上りにばらつきが生じないこと、熟練者を
必要としないこと、衛生的であること等の多くの
利点を有するものである。よつて本考案は従来の
問題点を解決した赤外線オーブンとして、その実
用的価値は極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部切欠正面
図、第２図は赤外線輻射ヒータの斜視図、第３図
はブロツクヒータの斜視図である。 １：炉体、３：扉、４：赤外線輻射ヒータ、
５：ブロツクヒータ、６：セラミツク板、７：電
熱線、８：セラミツクブロツク、９：電熱線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前面に開閉できる扉３を備えた炉体１の天井内
   壁面に、肉薄のセラミツク板６の内部に電熱線７
   を埋設した赤外線輻射ヒータ４を多数配設すると
   ともに、炉体１の底面には前記肉薄のセラミツク
   板６よりも３倍以上肉厚のセラミツクブロツク８
   の内部に電熱線９を埋設した熱容量の大きいブロ
   ツクヒータ５を隙間なく敷設したことを特徴とす
   る赤外線オーブン。