JPH0243639Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、工作機械の駆動軸に工具を連結す
る際に用いるツールホルダに関する。

〔従来の技術とその問題点〕 マシニングセンタは、多数の工具を収納できる
ツールマガジンと自動工具交換装置を備え、予め
作業手順に対応させてツールマガジンに取付けた
工具を、上記自動工具交換装置の作動により機械
主軸に順に取付けて、一連の加工を連続的に行な
うようになつている。

工具交換の操作は、ツールマガジンの内部で必
要な工具を割り出して自動工具交換装置の交換位
置まで移動させ、その工具を保持した交換装置が
主軸近傍の位置まで移動し、主軸に装着されてい
る工具と交換する。その後、交換された工具を交
換装置がツールマガジンまで搬送して交換動作が
完了するが、その工具の搬送と主軸への交換の間
は機械が休止した状態におかれる。

このため、工具交換の回数が増えるに従つて機
械の休止時間が多くなり、例えば、タツプ穴加工
やドリル穴加工が連続して工具交換を頻繁に行な
う必要がある被加工物においては、多軸専用機な
どを用いた加工に比較して、加工時間が大幅に長
くなる場合がある。

また、被加工物の加工形状が複雑で製品を完成
させるまでの加工工程数が著しく多い場合、ツー
ルマガジンに収納する工具本数だけでは対応でき
ないことがある。この場合、収納本数の制約によ
り加工の為のツーリングが不十分になり、能率の
悪い加工になつたり、自動運転が出来なくなる問
題がある。

上記のような問題に対処するため、複数の工具
を取付可能で、その工具を加工位置に順に割り出
すようにした回転装置が、実公昭38−2100号公報
により提案されている。

この装置は、固定部材から突出したラツク軸を
下方に押し、そのラツク軸に連結した作動杆の作
動により円錐クラツチを働かせて、割出し盤と工
具を取付ける回転軸受とを加工位置に回転させる
もので、複数取付けた工具のうち必要な工具を自
動的に作業位置に移動させることができるので、
工具交換時間の短縮と工具収納本数の増大が図れ
る利点がある。

ところが、上記回転装置においては、作動のた
びにラツク軸を押し下げる必要があるため、主軸
回転中に割り出し動作を行なうためには、主軸を
移動させてラツク軸を主軸ヘツドに押し当てる
か、機械側にラツク軸の押下装置を取付ける等の
方法をとる必要がある。

しかしながら、通常のマシニングセンタは、主
軸ヘツド又はテーブルの一方が移動可能となり、
主軸自体は移動できない構造になつているため
に、主軸を動かしてラツク軸を自動的に押し下げ
ることができない不具合がある。

一方、機械の主軸にラツク軸の押し下げ装置を
設けることは、大きなコストがかかると共に、マ
シニングセンタの主軸には取付けるスペースがほ
とんど無く、実際上設置が困難である場合が多
い。したがつて、マシニングセンタに装着して工
具の自動割り出しを行なう作業には、上記回転装
置が適用できない問題がある。

また、上記の回転装置では、割出し盤と作動杆
が接触して回転すると共に、円錐クラツチがスリ
ツプしながら割出し盤が割り出されるため、割出
し盤や円錐クラツチ等の接触部に摩耗が生じやす
く、作動が不安定になつたり、摩耗部品の頻繁な
交換が必要になる欠点がある。

〔考案の目的〕

この考案は、上記の問題点を解決し、マシニン
グセンタ等に装着して自動的に工具の割り出しが
できると共に、機械的な接触による摩耗を少なく
して安定した作動が行なえるツールホルダを提供
することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決するため、この考案は、工
作機械の駆動軸に着脱自在に連結されるシヤンク
に、ケース本体を回転可能に支持し、そのケース
本体に、シヤンクの軸線に対して傾斜する軸線を
中心に回転するタレツト本体を取付け、このタレ
ツト本体の回転中心線上に取付けたタレツト軸
に、回転伝達軸を回転可能に取付けると共に、そ
の回転伝達軸に、トルク伝達機構を介して上記回
転中心線の回りに複数配置した工具回転軸を連結
し、上記ケース本体に、割り出し軸を上記回転中
心線に沿つて移動可能に駆動するシリンダを設
け、上記タレツト本体には、工具回転軸に対応し
て上記割り出し軸が係合する係合孔を設け、上記
割り出し軸に連結したギヤ軸に、シヤンクの回転
を常時ギヤ軸に伝達するギヤと、割り出し軸が係
合孔に係合した位置で伝達軸に連結するギヤと、
割り出し軸と係合孔の係合が外れれた位置でタレ
ツト軸に連結するギヤとを取付け、上記ケース本
体に、シヤンクを駆動軸に連結した状態で工作機
械に設けた圧力流体吐出口に連通する流体導入孔
を設ける共に、その流体導入孔と上記シリンダと
を連通させた構成としたのである。

〔作用〕

上記構成において、工作機械の駆動軸にシヤン
クを連結すると、機械の圧力流体吐出口に流体導
入孔を介してケース本体のシリンダが連通する。

いま、シリンダに圧力流体を導入し、割り出し
軸を係合孔から外した状態でシヤンクを回転する
と、ギヤ軸を介してタレツト軸が回転し、タレツ
ト本体が回転する。所要の工具の工具回転軸が加
工位置まで旋回すると、シヤンクの回転を止め、
シリンダから圧力流体を排出する。これにより割
り出し軸が係合孔に係合し、上記工具回転軸が割
り出される。

一方、シリンダから圧力流体を排出し、割り出
し軸を係合孔に係合した状態でシヤンクを回転さ
せると、駆動軸の回転は、ギヤ軸のギヤから伝達
軸及びトルク伝達機構を介して各工具回転軸に伝
達される。

なお、上記とは逆に、シリンダに圧力流体を導
入させることにより、割り出し軸と係合孔を係合
させるようにしてもよい。

〔実施例〕

第１図は実施例のツールホルダをマシニングセ
ンタの主軸に取付けた状態を示す。

図に示すように、シヤンク１は、テーパ部１ａ
が主軸２内部に嵌合して位置決めされ、後端のプ
ルボルト３が図示しないドローボルト機構により
主軸２内方に引張られて固定される。このシヤン
ク１には、第１図及び第４図に示すように、フラ
ンジ部４とＶ字溝５が形成され、そのフランジ部
４の両側に設けたキー溝４ａに、主軸２の端面に
設けたキー２ａが嵌入して主軸２の回転に伝達さ
れ、Ｖ字溝５には、工具交換装置のグリツプが嵌
装してシヤンク１を主軸２から引き出すようにな
つている。

上記シヤンク１の先端部には、ベアリング６を
介してケース本体７が回転可能に支持されてい
る。このケース本体７は、円形の開口部８を有
し、その開口部８にタレツト本体１０が嵌り、ベ
アリング９により回転可能に取付けられている。
このタレツト本体１０は、シヤンク１の軸線に対
して所要の角度で傾斜した軸線を中心に回転可能
になつている。

上記タレツト本体１０の回転中心部には、タレ
ツト軸１１の一端が固定され、そのタレツト軸１
１の他端は、ケース本体７の支持板１２に回転可
能に支持されている。このタレツト軸１１の外側
には、筒状の回転伝達軸１３が嵌合して回転可能
に支持されている。

また、タレツト本体１０には、回転中心のまわ
りに複数の工具回転軸の挿入孔１４が形成され、
各挿入孔１４の軸心は、タレツト本体１０の回転
中心に対して所要の角度をもつて傾斜し、その各
挿入孔１４に、工具回転軸１５が挿入されて回転
可能に支持されている。

上記工具回転軸１５の先端部は、タレツト本体
１０の外部に突出し、その先端部に、コレツトチ
ヤツクやタツプホルダなどのツール保持具１６が
取付けられる。

前記ケース本体７に設けた支持板１２には、ス
リーブ１７が回転可能に支持され、そのスリーブ
１７に設けたギヤ１８は、前記シヤンク１の先端
部に設けたギヤ１９と噛み合い、シヤンク１が回
転するとスリーブ１７も回転する。

このスリーブ１７の内側には、ギヤ軸２０が挿
入され、そのギヤ軸２０の外周に設けた軸方向の
キー溝２１にキー２２が嵌り、そのキー２２がキ
ー溝２１の両端に当接する範囲内においてギヤ軸
２０は軸方向に移動可能になつている。また、上
記キー２２とキー溝２１の係合によつて、スリー
ブ１７の回転がギヤ軸２０に伝達される。

上記ギヤ軸２０に設けたギヤ２３は、ギヤ軸２
０の軸方向の移動によつて前記タレツト軸１１の
後端に設けたギヤ２４、又は伝達軸１３の後端に
設けたギヤ２５のいずれか一方に係合する。

この場合、ギヤ軸２０のギヤ２３を伝達軸１３
のギヤ２５に係合すると、ギヤ軸２０の回転が伝
達軸１３に伝えられ、その伝達軸１３の回転は、
トルク伝達機構２６を介して前記の各工具回転軸
１５に伝達される。上記トルク伝達機構２６は、
伝達軸１３にベベルギヤ２７を設け、そのベベル
ギヤ２７を工具回転軸１５のベベルギヤ２８に係
合させて構成される。

また、ギヤ軸２０のギヤ２３を回転軸１１のギ
ヤ２４に係合すると、ギヤ軸２０の回転はタレツ
ト軸１１に伝達され、タレツト本体１０が回転す
る。

このタレツト本体１０は、割出し機構２９の作
動によつて回り止めされ、そのタレツト本体１０
に支持された複数の工具回転軸１５のうち、１つ
の工具回転軸１５が、前記シヤンク１の軸線と平
行又は直交する状態に保持される。

上記割出し機構２９は、ケース本体７の支持板
１２にシリンダ３０を取付け、そのシリンダ３０
の内部に、割り出し軸３１に形成したピストン３
１ａと、このピストン３１ａを押し戻すスプリン
グ３２とを収納し、割り出し軸３１の下部ロツド
３３の先端を、タレツト本体１０に設けた係合孔
３４に対して着脱自在に挿入して構成され、その
挿入時においてタレツト本体１０をケース本体７
に回り止めしている。なお、この係合孔３４は、
工具回転軸１５の数だけ設けられている。

また、上記割り出し軸３１の上部ロツド３５
と、前記ギヤ軸２０とは、連結板３６を介して連
結され、下部ロツド３３が係合孔３４より外れた
とき、ギヤ軸２０のギヤ２３がタレツト軸１１の
ギヤ２４と噛み合う。

前記ピストン３１ａは、シリンダ３０の下部に
圧力流体が押し込まれることによつて軸方向に移
動される。このピストン３１ａ下部のシリンダ３
０には、圧力流体である高圧エアの流入口３７が
設けられ、その流入口３７は、ケース本体７の主
軸ヘツドＨに対向する部分に設けた流体導入孔３
８に連通している。

この流体導入孔３８には、内部に貫通孔３９を
備えたプラグ４０が軸方向に移動可能に取付けら
れている。また、上記プラグ４０は、流体導入孔
３８の内部に収納されたスプリング４１により常
時抜け出し方向に付勢され、第１図に示すように
ツールホルダを主軸２に取付けた状態で、先端部
が主軸ヘツドＨの端に設けたブロツク４２の溝４
２ａに嵌入する。

この溝４２ａには、図示しないエアポンプから
機械内部の配管を介して導かれるエア吐出口４４
が設けられており、このエア吐出口４４に上記プ
ラグ４０の先端部が圧接される。

なお、ツールホルダが自動工具交換装置に保持
されて主軸２から引き出されると、第３図に示す
ように、スプリング４１の付勢によりプラグ４０
の一端がシヤンク１のフランジ部に設けられた溝
４３に嵌まり込み、シヤンク１に対してケース本
体７を回り止めする。このため、ツールホルダの
交換中やツールマガジンへの搬送中にケース本体
７が不都合に動くことが防止され、安全な工具交
換を行なうことができる。

次に、工具回転軸１５の割出し方法について説
明する。

主軸２を所定の位置で停止させた状態で、高圧
エアをブロツク４２のエア吐出孔４４と流体導入
孔３８を通してピストン３１ａ下部のシリンダ３
０内に導入すると、第２図に示すように、割り出
し軸３１とギヤ軸２０は矢印方向に移動する。こ
の場合、ギヤ軸２０のギヤ２３は、伝達軸１３の
ギヤ２５との噛み合いが外れて、タレツト軸１１
のギヤ２４と噛み合うと共に、ピストン３１ａの
下部ロツド３３の先端部がタレツト本体１０の係
合孔３４から外れて、タレツト本体１０は回転可
能な状態になる。

この状態で、主軸２を回転させると、主軸２の
回転は、ギヤ軸２０を介してタレツト軸１１に伝
達され、そのタレツト軸１１に固定したタレツト
本体１０を、タレツト軸１１の回りに回転させ
る。このとき、伝達軸１３には回転が伝わらない
ので、工具回転軸１５は回転しない。

工具の割出しは、主軸２を、シヤンク１と伝達
軸１３間のギヤ比から導き出される所定の数だけ
回転させることにより行なうことができる。すな
わち、主軸２を所定の数だけ回転させることによ
り、所要の工具回転軸１５をシヤンク１の軸線と
平行又は直交する加工位置に割出すことができ
る。

次に、エアの供給を止めてシリンダ３０内部を
減圧すると、スプリング３２の弾性力によりピス
トン３１ａは押し戻され、割り出し軸３１の下部
ロツド３３の先端は、新たに割り出されたタレツ
ト本体１０の係合孔３４に嵌入して、タレツト本
体１０を固定する。同時に、ギヤ軸２０が押し下
がつてギヤ２３が伝達軸１３のギヤ２５と噛み合
い、シヤンク１の回転は、各工具回転軸１５に伝
達される。

上記のように構成されたツールホルダは、各工
具回転軸１５に、例えばタツプ加工に関連させて
下穴用のドリルと下穴入口の面取り工具及びタツ
プを取付け、加工の順序にしたがつて工具を割り
出して、一連のタツプ作業を連続して行なうこと
ができる。

なお、実施例の場合は、タレツト本体１０に２
本の工具回転軸１５を示したが、その回転軸の数
は任意であり、第５図に示すように４本にしたり
３本にすることもできる。

また、シヤンク１に平行な位置で停止する工具
回転軸を加工軸としたが、工具回転軸の１つをシ
ヤンク１に対して直交する位置で停止させて、そ
の軸を加工軸としてもよい。

さらに、上記のツールホルダはマシニングセン
タだけに限定されるのではなく、フライス盤やボ
ール盤など、工具に回転を行なわせる工作機械に
も広く適用することができる。

〔効果〕

以上のように、この考案によれば、ケース本体
に割り出し軸を駆動するシリンダを設け、工作機
械からシリンダに導入・排出する圧力流体によ
り、割り出し軸を係合孔に係合又は離脱させてタ
レツト本体を割り出すようにしたので、ラツク軸
の押下げ装置や主軸の移動機能を持たない工作機
械に装着しても、自動的な工具の割り出しを行な
うことができる。

この場合、工作機械には圧力流体の供給口だけ
を設ければよいので、主軸回りにスペースが無く
ても簡単に適用することができる。

また、シリンダの作動により割り出し軸を移動
させて係合孔に係合又は離脱させるので、機械的
な接触回転やスリツプによる摩耗を無くすことが
でき、部品消耗の少ない安定した作動を行なうこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例に係るツールホルダ
を機械主軸に取付けた状態で示す一部縦断正面
図、第２図は同上の割出し時の状態を示す一部縦
断正面図、第３図は同実施例のツールホルダを主
軸から取外した状態の要部を示す一部縦断面図、
第４図はフランジ部におけるキー溝とプラグとの
位置関係を示す図、第５図は４軸のツールホルダ
を示す図である。 １……シヤンク、２……主軸、７……ケース本
体、１０……タレツト本体、１１……タレツト
軸、１３……伝達軸、１５……工具回転軸、２０
……ギヤ軸、２３……ギヤ、２４……ギヤ、２５
……ギヤ、２６……トルク伝達機構、２９……割
出し機構、３０……シリンダ、３１……割り出し
軸、３１ａ……ピストン、３４……係合孔、３６
……連結板、３８……流体導入孔、４４……エア
吐出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工作機械の駆動軸に着脱自在に連結されるシヤ
   ンクに、ケース本体を回転可能に支持し、そのケ
   ース本体に、シヤンクの軸線に対して傾斜する軸
   線を中心に回転するタレツト本体を取付け、この
   タレツト本体の回転中心線上に取付けたタレツト
   軸に、回転伝達軸を回転可能に取付けると共に、
   その回転伝達軸に、トルク伝達機構を介して上記
   回転中心線の回りに複数配置した工具回転軸を連
   結し、上記ケース本体に、割り出し軸を上記回転
   中心線に沿つて移動可能に駆動するシリンダを設
   け、上記タレツト本体には、工具回転軸に対応し
   て上記割り出し軸が係合する係合孔を設け、上記
   割り出し軸に連結したギヤ軸に、シヤンクの回転
   を常時ギヤ軸に伝達するギヤと、割り出し軸が係
   合孔に係合した位置で伝達軸に連結するギヤと、
   割り出し軸と係合孔の係合が外れた位置でタレツ
   ト軸に連結するギヤとを取付け、上記ケース本体
   に、シヤンクを駆動軸に連結した状態で工作機械
   に設けた圧力流体吐出口に連通する流体挿入孔を
   設けると共に、その流体挿入孔と上記シリンダと
   を連通させて成るツールホルダ。