JPH0231050Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ≪産業上の利用分野≫ 本考案はコンパクト容器に関するもので、より
具体的には容器本体と蓋体とをそれぞれの後方部
において開閉自在に蝶着し、該容器本体の前端縁
部に凹所を形成するとともに該凹所内にプツシユ
ピースを前後方向に移動可能に配設し、この凹所
の奥面に形成した第１の係合突起と蓋体に形成し
た第２の係合突起とが係合して蓋体が閉止するよ
うにし、この閉止位置においてこのプツシユピー
スを内方へ押圧すると蓋体を押し上げ開放する分
力が生じるようにしてなるコンパクト容器に関す
る。

≪従来の技術≫ 従来、この種のコンパクト容器としてはプツシ
ユピースを比較的硬いプラスチツク片として形成
し、このプラスチツク片の内端部に上方から下方
後部に向けて漸次降下した傾斜面を形成し、この
傾斜面が蓋体の前端部から垂下した爪片の下端に
当接するようにし、蓋体の聞止位置においてこの
プツシユピースを内方に押圧すると上記傾斜面の
垂直分力が爪片に作用して蓋体を押上げて開放す
るようにしたものが公知となつている。

或いはまた実開昭60−44708号公報に示されて
いるように、容器本体の奥面突部に後方に向けて
一定角度で上昇する傾斜面を形成し、プツシユピ
ースには押圧用前壁の後面中央から水平方向に延
長するとともにその後端が上記傾斜面に当接する
作動片を設け、プツシユピースを後方に押圧する
とその作動片が傾斜面に沿つて上昇し、作動腕の
直上に位置する蓋体の爪片を押し上げて蓋体と容
器本体との止錠を解除するようにしたものが公知
となつている。

≪考案が解決しようとする課題≫ しかしながらこれら公知のコンパクト容器で
は、プツシユピース或いは容器本体に形成される
傾斜面は一定角度となつている。この傾斜角度が
小さいほど蓋体の爪片に作用する垂直分力は大き
くなり解錠力は小さくてすむが、この爪片の上昇
量は小さいため蓋体の解錠後の蓋体の開放角度が
小さく、蓋体の前端縁に親指を掛けて蓋体を開放
する操作性が悪いものとなる。一方、この蓋体の
開放角度を大きくして開放操作性を良いものにし
ようとすると前記傾斜角度が大きくなり、プツシ
ユピースに大きな押圧力（解錠力）を加える必要
があり、この点において解錠操作性が悪いものと
なる。

本考案は上記のような問題点を鑑みてなされた
もので、その目的は蓋体の解錠時には小さな傾斜
角度で蓋体の解錠力を小さくすることができる一
方、解錠後は大きな傾斜角度で蓋体の開放角度を
大きくとることのできる解錠及び開放操作性に優
れたコンパクト容器を提供するにある。

≪課題を解決するための手段≫ 上記の目的を達成するため、本考案のコンパク
ト容器によれば容器本体の前端部に形成した凹所
内にプツシユピースを前後方向に移動可能に配設
し、このプツシユピースは押圧用前壁の後面に前
方上端縁を摺動自在に当接させた状態で前方上方
から後方下方へ傾斜して配設された作動片を有
し、この作動片の後方下端縁を凹所内にて枢動可
能に支持し、該蓋体の閉止位置において該作動片
の上面部を該蓋体の該爪片の下面に近接させてな
り、該蓋体の閉止位置から該プツシユピースを後
方に押圧すると、該作動片が該後方下端縁を支点
として徐々に立ち上がりながら該蓋体の該爪片を
押し上げるようにしてなるのである。

≪実施例≫ 以下に本考案の好適な実施例について添付図面
を参照にして説明する。

第１図イ〜ニは本考案の第１実施例を示し、１
は内部に化粧料等を収納するようにした合成樹脂
製の容器本体を示し、この容器本体１の後端縁部
にはピン２を介して蓋体３が開閉自在に蝶着され
ている。蓋体３の内面には鏡４が接着され、また
その前端縁部には爪片５が一体的に垂下形成され
ている。この爪片５に対応して容器本体１の前端
部には凹所６が形成されている。この凹所６の奥
面上方には第１の係合突起７が突設され、一方爪
片５の後方内面には第２の係合突起８が形成さ
れ、蓋体３を閉じるとその爪片５が容器本体１の
凹所内に入るとともに爪片５に形成した第２の係
合突起８が凹所６の奥面に形成した第１の係合突
起７を乗り越えて係合し蓋体は閉止位置を占める
ことになる。凹所６の奥面下方には内奥部に向け
て案内孔９が形成され、また凹所６の底面にはガ
イド凹部１０が形成されている。

本考案においては上記凹所６内にプツシユピー
ス１５が配設されるのであるが、このプツシユピ
ース１５は略垂直に形成された押圧用前壁１６
と、この前壁１６の上端から後方へ向けて延長し
た平面略逆コ字形の上部突出部１７と、前壁１６
の下端から後方へ向けて水平に延長した底壁１８
とからなるプツシユピー本体と、該本体とは別体
に形成された板状の作動片２０とからなつてい
る。底壁１８は凹所６の案内孔９に挿入されるよ
う突出部１７よりも長く形成され、その下面には
ガイド凹部１０と嵌合してプツシユピース１５を
凹所６内にスライド自在に支持するフツク状突部
１９が一体的に突設されている。板状の作動片２
０は凹所６内に装着されたプツシユピース本体の
前壁１６と凹所奥面との間に、前方上方から後方
下方へ向けて傾斜させた状態で配設されている。
この作動片２０の前方上端縁２０ａは前壁１６の
後面に摺動自在に当接しており、一方その後方下
端縁２０ｂは凹所奥面の下端と底壁１８の上面と
によつて形成される角部に当接支持されている。
そして、蓋体３が容器１に対して閉止した状態で
は、作動片２０の傾斜した上面部が蓋体３の爪片
５の下端面に近接または当接している。

今、第１図ロに示したように蓋体が閉止した状
態から、プツシユピース１５の押圧用前壁１６に
指を押し当ててこれを内部後方へ押圧すると、作
動片２０はその後方下端縁２０ｂが角部に当接し
ているため、この下端縁２０ｂを支点として移動
しながら徐々に立ち上がりその前方上端縁２０ａ
が前壁１６の後面に沿つて上方へ摺動する。これ
によつて作動片２０の上面部が爪片５の下端面に
圧接してこれを上方へ押上げようとするため、こ
の押上力によつて第１の係合突起７と第２係合突
起８の係合が解除されて蓋体３が解錠されるとと
もに、引き続きこの作動片２０の傾動によつて蓋
体３がかなりの角度まで開放されるのである。こ
こで注意すべきは、プツシユピース１５の押圧当
初においては作動片２０の傾斜角θが小さいた
め、水平方向への分力が小さい一方で垂直方向へ
の押上げ分力が大であり、従つて上記係合を解除
するのにそれ程大きな力を要しないが、一旦係合
が解除されると作動片２０がプツシユピース１５
の移動につれて自由に傾動するため蓋体３の開放
角度が大きくなることである。

第２図イ〜ニは本考案の第２実施例を示し、第
１図イ〜ニと同一部分は同一符号で表わし重複し
た説明は省略するが、この実施例にあつてはプツ
シユピース１５′が作動片２０′を含めて一体的に
形成されている点で、第１の実施例と異なつてい
る。即ち、この実施例におけるプツシユピース１
５′はヒンジ特性のある樹脂から一体的に形成さ
れ、その底壁１８′は中央部が切欠されていて、
この切欠中央部の後端２２から肉薄の可撓片２１
が後方へ一体的に延長形成され、該可撓片の後端
が作動片２０′の中央部下面と接続一体化されて
いる。そして、作動片２０′はこの可撓片２１を
上方へ湾曲させて撓ませた状態で配され、その前
方上端縁２０′ａで前壁１６′の後面に摺動自在に
当接している一方、その後方下端縁２０′ｂで凹
所６の奥面と底面によつて形成された角部に当接
支持されている、また、凹所６の奥面下方部両側
には底壁１８′の両側部が挿入される案内孔９′が
穿設され、ガイド凹部１０′は底面の両側に形成
されて各フツク状突部１９′と嵌合するようにな
つている。この第２の実施例における蓋体３の開
放操作は前記第１の実施例の場合と同様であるの
で、説明は省略する。

尚、上記した各実施例では解錠時に作動部片２
０，２０′が蓋体の爪片５の下面に作用するよう
にしたが、蓋体３のその他の下面に作用するよう
にしても良い。

≪考案の効果≫ 以上のように本願考案に係るコンパクト容器で
は、プツシユピースの前壁を内部後方へ押圧する
と作動片がその後方下端縁を中心として上方へ傾
動しながら立ち上がるため、蓋体と容器本体との
係合を解錠する時には作動片の傾斜角度を比較的
小さくして僅かな押圧力で解錠でき、解錠後は作
動片の傾斜角度が大きくなるから蓋体の開放角度
を大きくとることができ、解錠操作性と開放操作
性に優れたコンパクト容器とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図イ〜ニは本考案のコンパクト容器の第１
の実施例を示し、第１図イは閉止状態を示す側断
面図、第１図ロは第１図イの止錠部を拡大して示
す部分断面図、第１図ハは第１図ロの状態からプ
ツシユピースを内部後方へ押し込んで蓋体を解錠
した状態を示す部分断面図、第１図ニは該実施例
におけるプツシユピースおよび凹所を示す斜視
図、第２図イ〜ニは本考案のコンパクト容器の第
２の実施例を示すそれぞれ第１図イ〜ニと同様な
図である。 １……容器本体、３……蓋体、５……爪片、６
……凹所、７……第１の係合突起、８……第２の
係合突起、１５，１５′……プツシユピース、１
６，１６′……前壁、２０，２０′……作動片、２
１……可撓片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 容器本体と蓋体とをそれぞれの後方部におい
   て開閉自在に蝶着し、該容器本体の前端縁部に
   凹所を形成するとともに該凹所の奥面に第１の
   係合突起を形成し、該蓋体の前端縁部から垂下
   した爪片に第２の係合突起を形成し、該第１の
   係合突起と該第２の係合突起の係合によつて蓋
   体が閉止位置を占めるようにしてなるコンパク
   ト容器において、該凹所内にプツシユピースを
   前後方向に移動可能に配設し、該プツシユピー
   スは押圧用前壁の後面に前方上端縁を摺動自在
   に当接させた状態で前方上方から後方下方へ傾
   斜して配設された作動片を有し、該作動片の後
   方下端縁を該凹所内にて枢動可能に支持し、該
   蓋体の閉止位置において該作動片の上面部を該
   蓋体の該爪片の下面に近接させてなり、該蓋体
   の閉止位置から該プツシユピースを後方に押圧
   すると、該作動片が該後方下端縁を支点として
   徐々に立ち上がりながら該蓋体の該爪片を押し
   上げるようにしてなることを特徴とするコンパ
   クト容器。 (2) 前記作動片が前記プツシユピースの前壁と別
   体に形成されていることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のコンパクト容器。 (3) 前記プツシユピースの前壁の後方下方部に肉
   薄の可撓片を形成し、該可撓片を介して前記作
   動片を前記前壁と一体的に形成するとともに、
   該可撓片を撓ませた状態で該プツシユピースを
   前記凹所内に配設してなることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載のコンパクト
   容器。