JPH0141490B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は多リブベルト、Ｖベルト、特に主とし
てポリＶベルトの製造過程において表面リブの型
付を良好ならしめると共に、抗張体が均一に配列
し、横方向のウエーブのない、しかもベルト周長
が一定した品質良好な製品を能率的かつ経済的に
得るための伝動ベルトの加硫方法ならびにこの方
法を実施するためのベルト加硫機に関するもので
ある。

従来、ポリＶベルトを製造するには、通常、円
筒ドラムの外周面にゴム付帆布、接着ゴムシー
ト、スパイラル状の抗張体ローブ、一定厚みのゴ
ムシートを順次無端状に巻付けて広幅の未加硫ベ
ルトスリーブを逆成形し、これをドラムと共に加
硫後、ベルトスリーブ表面を断面三角状のグライ
ンダーで切削して複数のリブを形成する方法がと
られているが、この方法では切削したゴムがスク
ラツプになるばかりでなくグラインダーの回転時
に微少の振れを生じても正確にリブを形成できな
い問題点がある。

そこで、このような問題を解決すべく、さきに
実公昭45−30621号公報により、広幅の円筒状未
加硫ベルトスリーブを内周面にＶ溝を刻設したリ
ングモールドの内面に挿入し、更にその内面に可
撓性円筒状パツキングを内装し、上下部を密閉し
てパツキング内部に蒸気を送入して未加硫ベルト
表面をリングモールドのＶ溝に圧着せしめポリＶ
ベルトを形成する加硫方法が提案されているが、
この方法では未加硫ベルトスリーブを別のドラム
で成形後、ドラムより取外してリングモールドの
内面に挿入する工程がとられている関係上未加硫
ベルトスリーブの成形周長がリングモールドより
長過ぎるとパツキングを介して押圧加硫する際、
Ｖリブの型付（リブ形状の形成）は良好であるに
しても、抗張体層がベルト横方向にウエーブし、
所定幅に切断して得られたポリＶベルトの両サイ
ドに抗張体層がまばらに露出して製品の美観を損
うのみならず、抗張体がウエーブしているための
ベルト駆動中ベルトの伸びを生じ、更にベルト振
動を起すなでの問題があり、又未加硫ベルトスリ
ーブの成形周長が短い場合には抗張体のウエーブ
の問題はないが、ベルト表面のＶ形リブの形状を
正確に形成できない難点があり、更にリングモー
ルド内に柔軟な未加硫ベルトスリーブを単独で挿
入するためスリーブ自体の保形が困難で形くずれ
をするなどの各種問題点がある。

本発明はこのような従来の問題点に着目し、前
記加硫ベルトの周長を一定にし、かつＶ形リブを
正確に形成せしめることを目的として発明された
もので、その特徴とするところは流体流通口を備
えた上下開放の内型円筒ドラムの外周面に円筒状
可撓性ジヤケツトを介して無端状未加硫ベルトス
リーブを巻付け、次いでこのスリーブを巻付けた
状態のまま内周面に周方向に延びる複数の溝を有
し、内部に加熱機構を備えた上下開放の外型円筒
モールド内部所定位置に所要間隙を存して配置
し、その後、前記内型円筒ドラムの流体流通口に
圧力流体送入機構をパイプならびにジヨイントを
用いて連結し、圧力流体を前記内型円筒ドラム外
周面と円筒状可撓性ジヤケツト内面との間に送入
して前記無端状未加硫ベルトスリーブを上記可撓
性ジヤケツトを介して膨張加熱せしめ、外型円筒
モールド内周面の複数の溝部に押圧し成形する第
１の発明と前記第１の発明の実施に使用するベル
ト加硫機からなる第２の発明によつて構成される
点にある。

以下、前記各発明に係るベルトの加硫方法なら
びにベルト加硫機を添付図面により順次説明する
が、ベルト加硫方法の説明の都合上、先ずベルト
加硫機について説明する。

第１図は本発明に係るベルト加硫機の加硫前の
状態を示す横断面図、第２図は同じく加硫後の状
態を示す横断面図で、これら各図において、１は
基台７上に載置されている鉄製の上下開放された
内型円筒ドラムで、このドラム１の中央部には後
述する圧力流体送入、排出のための流体流通口Ａ
が設けられ、又上下部外周面には夫々凹溝１′，
１′がドラム１の円周面に沿つて刻設されている。

そして、２は前記ドラム１の外周に装着された
弾性体よりなる膨張収縮可能な円筒状可撓性ジヤ
ケツトであり、その上下部はフラツト部より厚く
内方に鈎部が前記内型ドラム１の前記凹溝１′，
１′に嵌入されていると共に、夫々の上下部にお
いて鉄製ワツパー３，３が挿入され、更にワツパ
ー３，３円周上の複数個所にボルト４，４を通し
て前記内型ドラム１上に締付固定されている。従
つて、可撓性ジヤケツト２は上下部で固定され、
中央のフラツト部は内型ドラム１と通常時は密着
された状態となつている。一方、図中５は逆成形
により成形された未加硫ベルトスリーブで、前記
内型ドラム１に装着された可撓性ジヤケツト２の
外周面にゴム付帆布Ｃ、接着ゴムＲ、ポリエステ
ル又はポリアミド繊維よりなる低伸度高強力の抗
張体ロープＴ、圧縮ゴムR′を順次無端状に巻付
けることによつてフラツト状に形成されている。

又、前記内型円筒ドラム１は、その中央付近に
設けられた流体流通口ＡがジヨイントJ₁、流体送
入排出パイプ又は可撓性ホースK₁、ジヨイント
J₂を経て切替えバルブＶと連結され、この切替え
バルブＶから一方のパイプK₂により高圧蒸気又
は高圧空気のような流体送入機Ｍと連結されると
共に、他方のパイプK₃により真空ポンプＰと連
結されている。

以上は、内型ドラム１の構成であるが、この外
周には内周面に周方向にのびる複数横条のＶ形溝
Ｇが刻設されていると共に内部に加熱ヒーター、
スチームパイプなどの加熱機構（図示せず）を内
装した上下が開放された所定寸法の外型円筒モー
ルド６が前記ドラム１に対応してドラム１を包囲
し一定の間隔Ｗをおいて基台７上に固定されてい
る。

この外型円筒モールド６は通常は分割不可能な
円筒体であるが、第３図に示すように軸方向に複
数個（例えばＤ，D′で２分割）に分割可能にす
ることもできる。

本発明ベルト加硫機は以上のような構成よりな
るものであり、次にこのベルト加硫機を使用して
実施する伝動ベルトの加硫方法について説明す
る。

先ず、成形工程で内型円筒ドラム１に外装され
ている前記円筒状可撓性ジヤケツト２の外周にフ
ラツト状の広幅未加硫ベルトスリーブ５を巻付
け、次いでこのスリーブ５をドラム１に巻付けた
状態のままで第１図に示す如く、外型モールド６
の内側所定位置に空隙部Ｗを形成して基台７上に
載置固定する。この場合、内型ドラム１は別の成
形工程より移動してくる関係上、流体流通口Ａと
パイプK₁とは分離しており、内型ドラム１を基
台７に載置後、流体流通口ＡをジヨイントJ₁でパ
イプK₁と連結する。

次いで、流体送入機Ｍを作動して高圧空気もし
くは高圧蒸気をパイプK₂、バルブＶ、パイプK₁、
流通口Ａを経て可撓性ジヤケツト２の内部に送入
すると、可撓性ジヤケツト２は、その上下部が内
型ドラム１上にワツパー３，３及びボルト４，４
で密閉固定されているため、可撓性ジヤケツト２
の内面と内型ドラム１の外面の間にエヤーが充満
して可撓性ジヤケツト２は次第に膨脹し、その外
周面に装着されている未加硫ベルトスリーブ５を
半径方向にＷだけ均一に膨脹して加熱ヒーター若
しくは高温蒸気で加熱した外型モールド６のＶ形
突起Ｈと接触せしめる。

このとき、可撓性ジヤケツト２の膨脹押圧力に
より未加硫ベルトスリーブ５の表面圧縮ゴム層
R′は外型モールド６の熱で次第に流動状態を呈
しながら加硫されると共に外型モールド６のＶ溝
Ｇ中に喰い込み、第２図の如くスリーブ５の表面
に複数のＶ形突条を有する加硫ポリＶベルトスリ
ーブ５′を形成するに至る。

そして、加硫後はバルブＶを真空ポンプＰの方
へ切替えて、真空ポンプＰを作動させ可撓性ジヤ
ケツト２内に充満しているエヤーを排気し、次い
で吸引作用でジヤケツト２を第１図の元の位置に
収縮復帰せしめる。

次いで、内型ドラム１、加硫ポリＶベルトスリ
ーブ５′を取出すが、取出された加硫ポリＶベル
ト５′は、以後別のドラムに挿入し、スリーブ
５′の表面を円周方向に所定幅に切断し、ドラム
より取出して反転することにより周長が一定で、
Ｖ形リブが正確に型付形成された第４図の如き複
数本のポリＶベルトが得られる。

尚、ここで使用する外型円筒モールド６は前述
の如く第３図のような分割式モールドを使用する
こともでき、このような分割モールド６を使用す
れば未加硫スリーブ５の挿入ならびに加硫スリー
ブ５′の外型モールド６より取外しが容易にでき、
かつこの分割面Ｄ，D′が一種のエヤー抜きの機
能を果し、Ｖ形リブをより一層正確に型付形成す
ることができる。

又、ここでは主としてポリＶベルトの加硫方法
について述べたが、本発明はポリＶベルトに限定
するものではなく、例えば断面台形状のＶベルト
を連結した多リブベルトの場合には第５図の如く
外型モールド６の内周面に台形溝を連設すること
により第６図の如き多リブベルトを得ることがで
き、又、リブ部を１本宛切断することにより第７
図の如き複数本のＶベルトを得ることができる。

以上の如く、本発明は上下開放の円筒ベルトの
外周面に可撓性ジヤケツトを介して装着されたフ
ラツトな未加硫ベルトスリーブを流体圧力により
スリーブ全周面を一時に膨脹伸張せしめると同時
に内周面に複数溝を形成し、加熱された外型モー
ルドに押圧してスリーブ表面にリブを形成加硫す
る方法であるから得られたベルトは周長が一定で
伸びが少く、かつリブ面は正確に型付形成される
ためベルトの伝動効率を増大せしめることができ
ると共に従来法に比し操作が極めて簡単でかつス
クラツプも皆無になり大幅なコストダウンできる
など数多くの利点を有している。又、本発明は前
述の如く内型円筒ドラム及び外型円筒モールドを
上下開放型として圧力流体を内型円筒ドラムのベ
ルト外周と可撓性ジヤケツトとの間に直接送入せ
しめるため圧力流体の無駄がなく、流体圧を効率
的に作用せしめると共に、内型円筒ドラムを外型
との間に適宜、空隙を有して配置可能であるた
め、上部よりエアは抜け、従来の密閉型の如くエ
ア抜きの必要もなく極めて簡単であり、ベルト加
硫成型を容易かつ簡易となし、実用性を増大す
る。しかも、本発明の前記方法を実施する装置は
簡単な機構で、取扱い易く、かつコンパクトで前
記有効なベルトを得るのに頗る好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るベルト加硫機の加硫前の
横断面図、第２図は第１図の加硫後の横断面図、
第３図は本発明加硫機に使用する外型モールドの
別の実施例を示す平面図、第４図は本発明加硫機
によつて得られたポリＶベルトの部分横断斜視
図、第５図は本発明加硫機に使用する外型モール
ドの別の実施例を示す横断面図、第６図は第５図
の外型モールドによつて得られた多リブベルトの
部分横断斜視図、第７図は第６図多リブベルトを
切断して得られたＶベルトの部分横断斜視図であ
る。 １……内型円筒ドラム、１′……内型ドラムの
凹溝、２……可撓性ジヤケツト、３……ワツパ
ー、５……未加硫ベルトスリーブ、６……外型円
筒モールド、Ａ……流体流通口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 流体流通口を備えた上下開放の内型円筒ドラ
   ムの外周面に円筒状可撓性ジヤケツトを介して無
   端状未加硫ベルトスリーブを巻付け、次いで、こ
   のスリーブを巻付けた状態のまま、内周面に周方
   向に延びる複数の溝を有し、内部に加熱機構を備
   えた上下開放の外型円筒モールド内部所定位置に
   所要間隙を存して配置し、その後、前記内型円筒
   ドラムの流体流通口に圧力流体送入機構をパイプ
   ならびにジヨイントを用いて連結し、圧力流体を
   前記流体流通口を通じて前記内型円筒ドラム外周
   面と、円筒状可撓性ジヤケツト内面との間に送入
   して前記無端状未加硫ベルトスリーブを上記可撓
   性ジヤケツトを介して膨張加熱せしめ、外型円筒
   モールド内周面の複数の溝部に押圧し成形するこ
   とを特徴とする伝動ベルトの加硫方法。 ２ 基台上に載置固定され、内周面に周方向に延
   びる複数の溝を有し、かつ内部に加熱機構を備え
   た上下開放の外型円筒モールドと、前記外型円筒
   モールドに対し独立し、前記基台上で外型円筒モ
   ールド内部に載置固定、かつ取り出し可能であつ
   て、流体流通口を設けた円筒ドラムの外周面に膨
   張収縮可能な円筒状可撓性ジヤケツトを配設して
   なる上下開放型の内型円筒ドラムと、前記内型円
   筒ドラムの流体流通口に連結、取り外し可能な圧
   力流体送入機構とからなることを特徴とする伝動
   ベルト加硫機。 ３ 外型円筒モールドが軸方向に複数個に分割可
   能である特許請求の範囲第２項記載の伝動ベルト
   加硫機。