JPH0133219B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、静電電極装置に関し、その目的は
空間に浮遊する微粒子に対して帯電作用を付与あ
るいは除去する例えば静電塗装、静電除去装置、
あるいは電気集じん装置等において、効果的かつ
安全なる静電気発生方法とその装置を提供するこ
とにある。

以下、本発明の一実施例を図面に従つて説明す
ると、図中１はスプレーガンを示し、その先端に
は本例の静電塗装用の電極体２を有し、この電極
体２は塗料用のノズルを図示右方に開口した本体
４と、塗料の流出量を調節するための噴出子３
と、空気量を調節するためのキヤツプ５とを主体
としてなり、とくに本例では上記した各部材に硬
質陽極酸化処理による絶縁が施されている。ただ
し本体４とキヤツプ５および噴出子３はアルミニ
ウムまたはアルミニウム系の合金より形成されて
いる。

そして、本体４内部の中央付近には、噴出子３
のネジ部３ｂが調節可能に螺合されるネジ孔部４
ａを設けるとともに図示右方外周には空気を噴出
するための空気溝６が複数個斜状に凹設されてい
る。

次に、前記噴出子３は図示左方が開口された有
底円筒状に形成され、その図示右方には塗料口３
ａが半径方向へ複数個（本例は４個を示す。）開
設され、また図示左方に設けたネジ部３ｂが本体
４のネジ部４ａ内に螺合されているため、この噴
出子３の図示右端面に設けたドライバ（図示しな
い）のための掛合溝７にてこの噴出子３が左右へ
回動されると、塗料噴出口８の塗料流出量が調節
される。

５は前記本体４に対し調節可能に螺合されるキ
ヤツプであつて、前記本体１の図示右端の空気噴
出口９の空気流出量が調整される。

次に静電用電極に高電圧を供給する電源装置を
第６図において示す。

１０は入力トランス、１１は発振回路１２へ供
給する電圧の調整器であつて、該電圧調整器の調
整によつて、前記発振回路１２の発振周波数を変
化させることができる。

１３は昇圧トランスで、前記発振回路１２で発
振された高周波電圧を必要な電圧に昇圧する。

１４はコツククロツト回路であつて、前記昇圧
トランス１３によつて昇圧された前記高周波電圧
を多段昇圧するとともに、高周波リプルを含んだ
直流高電圧に変換する。

次に本実施例での、前記電極体２を構成する前
述の各部材表面に被装された高低抗被膜のもつ抵
抗Ｒと容量Ｃの様子を第７図に示す。

図において示されている一対の抵抗Ｒと容量Ｃ
は、被膜の微小部分を考えた場合の抵抗Ｒと容量
Ｃを示す、模式的な図であつて、これらをすべて
加えたものが電極体のもつＲとＣとなり、特に本
例ではこのＲとＣが並列共振回路となつて前記直
流高電圧のリプル分に共振し、かつリプル分の波
高を高め、より効率のよい静電効果を与えること
ができる。

引き続いて上記のように構成された実施例の作
用および効果を説明する。

商用電源より供給された電圧は電圧調整器１１
により調整された状態で発振回路１２に加えら
れ、同発振回路１２は必要なる周波数の高周波を
作り出す。そしてこの高周波を昇圧トランス１３
により昇圧し、かつコツククロツト回路１４で多
段昇圧を行い、前記高周波リプルを含んだ直流高
電圧に変換する。

次に前記リプルを含んだ直流高電圧を高圧ケー
プルを介してスプレーガンに取着した電極体２に
印加すると、前記リプルは前記電極皮膜R.Cに共
振して、より波高の高い尖頭状の波形になり、よ
り効率の高い静電作用を実現する。

このように本装置をもつて静電塗装作業を行え
ば、強力なる静電作用によつて塗料の節限につな
がる他、高電圧による火花放電や、電極の摩耗損
を防止できる。

本装置の被膜は100MΩの抵抗をもち、また高
電圧電源と電極との間にも200MΩの抵抗が挿入
されているので、60000Vで使用する場合、感電
によつて、人体に流れる電流は200μA±10％であ
るので、人体の死亡につながるとされる50mAの
電流と比較しても非常に安全である。

特に本例では、電極と高電圧電源の間に抵抗を
挿入するだけでは防止することができない電極自
身に蓄積される電荷に起因する感電等に特に効果
がある。即ち、電極に蓄積された電荷は被膜のも
つ100MΩの高抵抗にはばまれて、いつきに放電
を起こすことはできない。

前記第６図に示した電源装置は、以下の効果を
奏する。

(1) 直流高電圧に高周波成分を重畳することによ
り、高周波成分を含まない直流高電圧による従
来の請電作用に比べ、より強力な静電作用を実
現できる。

なお、前記高周波成分は尖頭状波形のものな
らより効果が高い。

(2) 本例における高抵抗被膜の共振作用を利用す
れば、リプルを含んだ直流高電圧を供給するだ
けで、共振作用によつてリプル分は波高の高い
尖頭状の波形に変わり、より効果の高い静電作
用を実現する 以上説明したように、本発明の静電電極装置
は、静電用電極に高抵抗被膜を被装することによ
り、例えば火花放電等による揮発性塗料への着火
を防止し、かつ人体への電撃を減少することがで
き、特に面積の大きい電極など、電極に蓄積され
る電荷に起因する前記放電あるいは電撃を防止す
るのに特に効果があるので、火災、感電等による
事故を防止できる。

また、前記高抵抗被膜は硬質なる材質であるの
で例えば電極の経年変化による腐蝕や、コロナ放
電現象にともなう電極先端の摩耗、洗浄等による
電極表面の損傷を防止できる。

なお、前記電源装置は、上記のように静電作用
が従来のものに比べ強力であるので、例えば静電
塗装などでは塗料の節約ができ、例えば、電気集
じん装置、静電除去装置においてはエネルギー節
約ができる。

なお、直流高電圧に含まれる高周成分による電
界の急激なる変化のくり返しが、上記効果を与え
る原因となつているようである。

ちなみに静電塗装において、本例と従来例とを
塗料の付着率で比較した結果は次の通りであつ
た。

直流高電圧だけを電極に加電した場合の塗料の
付着率は85％ 高周波を重量した直流高電圧使用の場合90％
本実施例を使用した場合は95％ なお、上記比較はアルミニウム箔に25cmの距離
から60000Vに加圧したスプレーガンによつて、
グリーンのメラミン樹脂を吹きつけ、その塗装さ
れた塗料の量を比較するという方法で行つた。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図
はスプレーガン全体を示す側面図、第２図は静電
塗装用の電極体を示す側断面図、第３図は本体の
みの側面図、第４図は第２図のＡ−Ａ線断面図、
第５図は第２図のＢ−Ｂ線断面図、第６図は電源
装置の回路図、第７図はアルミニウム素材に被装
された高抵抗被膜のもつ抵抗Ｒと、容量Ｃとが分
布する様子を示した説明図である。 １……スプレーガン、２……電極体、３……噴
出子、３ａ……塗料口、３ｂ……ネジ部、４……
本体、４ａ……ネジ孔部、５……空気キヤツプ、
６……空気溝、７……掛合溝、８……塗料噴出
口、９……空気噴出口、１０……入力トランス、
１１……電圧調整器、１２……発振回路、１３…
…昇圧トランス、１４……コツククロツト多段昇
圧回路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 静電用電極に陽極酸化処理による被膜を施す
   とともに、前記電極に前記被膜の持つＲ・Ｃに共
   振する周波数を含む直流高電圧を印加する直流高
   電圧発生装置を設けることを特徴とする静電電極
   装置。