JPH0120409Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主として建物において水平な軒裏板
を取付けるために用いられる野縁の受金具に関す
る。

第１図及び第２図は、従来における野縁及び受
金具の取付け構造を示しており、図において、
１，１は、縦枠２と横枠３とからなる鉄骨軸組で
あつて、この軸組１の外側面に外壁パネル４が取
付けられるようになつている。５は屋根トラス、
６は屋根材、７は、屋根トラス５先端に取付けた
鼻隠しを示している。８は、Ｌ型の挿込み片９と
該挿込み片９の水平部先端に取付けたＬ型の野縁
取付け部１０とからなる従来の野縁受金具で、そ
の垂直部に、軸組１の縦枠２に予め形成されたボ
ルト穴１１ａ，１１ｂ……の間隔に応じて、ボル
ト穴１２，１２が形成されている。そして、この
挿込み片９は、外壁パネル４の取付け前に軸組
１，１間の隙間へ挿入されるとともに、上記軸組
１，１と挿込み片９のボルト穴１１ａ，１１ｂ，
１２を挿入したボルト１３，１３にて、受金具８
を取付け支持するようになつている。また、野縁
受金具８には、外壁と平行方向の平行野縁１４が
ボルト１５にて取付けられ、この平行野縁１４と
前記鼻隠し７との間に、軒先野縁１６が釘打ち等
によつて適宜間隔において取付けられ、水平な軒
裏板１７は、この軒先野縁１６下面に釘打ち等に
よつて取付けられるようになつている。

上記従来の構造において、野縁受金具８が上下
方向にぐらつかないようにするためには、上記の
如く、２本のボルト１３，１３を用いて支持する
ことが必要となる。そして、屋根即ち屋根トラス
５の勾配が変わると当然軒裏板１７の高さ位置も
変わることになるから、これに合わせて受金具８
自体もその高さを変更することが必要となり、例
えば、第１図よりも低い位置にするには、図の軸
組１の２段目のボルト穴１１ｂと３段目のボルト
穴１１ｃを利用して受金具８を取付けることとな
るが、例えば、この場合、予め形成された３段目
のボルト穴１１ｃを利用できない場合があり、結
局、１段目と２段目のボルト穴１１ａ，１１ｂを
利用する他なく、そうすると、ボルト穴１２と野
縁取付け部１０間の相対高さの異なる各種のもの
を容易しなければならないという欠点がある。

本考案は、このような従来の欠点を解消して、
軸組におけるボルト穴の利用個数を少なくして、
これによつて取付け高さの変更範囲を少なくし、
１個で各種高さの異なる軒先野縁を取付け使用で
きるようにし、なおかつ、外壁パネルの取付け後
であつても、野縁受金具の取付けを行なうことが
できるような野縁受金具を提供することを目的と
してなされたもので、その構成を図示の一実施例
に基づいて説明すると、以下の通りである。

第３図は、本考案受金具２１の構造を示し、図
において、２２は、垂直な金属板からなる挿込み
片であつて、この挿込み片２２の外端部には、倒
Ｌ字型の金属製野縁取付け板２３が固着されてい
る。更に、挿込み片２２の内端には、前記軸組１
の１つのボルト穴１１ａ，１１ｂ……に挿し込ま
れる１個のボルト１３が通る円形のボルト穴２４
と、同じく前記軸組１のボルト穴１１ａ，１１ｂ
……に挿し込まれた１個のボルト１３が通る正方
形のボルト穴２５とが、上下の高さを変えて開口
されており、これによつて、円形ボルト穴２４と
正方形ボルト穴２５の一方を選択することによつ
て、挿込み片２２即ち受金具２１の高さを変更し
て取付けられるようになつている。また、このよ
うに、円形と正方形の２種類に形状を変更したの
は、軸組１のボルト穴１１ａ，１１ｂ……へ適合
させる際の確認を容易にするためである。２６
は、挿込み片２２の下端より内方へ突出させた内
壁枠取付け用のネジ、２７は、該ネジ２６に螺合
させたナツトを示している。次に、挿込み片２２
には、上記ボルト穴２４，２５と野縁取付け板２
３との間において、一対の同径のピン挿入穴２８
ａ，２８ｂが、内外の間隔をおいて穿設されてお
り、これらのうちの一方、即ち内側のピン挿入穴
２８ａには、割ピン２９が抜き出し可能に挿し込
まれている。更に、外側のピン穴２８ｂ上方にお
いては、挿込み片２２の角部が方形に切り落とさ
れ、この切り落とし部３０には、挿込み片２２上
端に固着したネジ３１が突出し、このネジ３１に
は、角部を内側に向けてやや折り曲げた支持板３
２が外嵌されるとともに、この支持板３２より外
端側において、ナツト３３が螺合せしめられてい
る。３４，３４……は、野縁取付け板２３の水平
部に形成したボルト穴を示している。

上記本考案にかかる野縁受金具２１の取付け方
法を説明すると、外壁パネル４の取付け前におい
ては第４図で示すように、ピン２９を内側のピン
穴２８ａへ挿入した状態で、軸組１間の隙間へ挿
入し、前記軸組１の縦枠２に形成したボルト穴１
１ａ，１１ｂ……へ挿通される１個のボルト１３
を、該受金具２１の高さ即ち軒裏板１７の高さに
応じて、円形ボルト穴２４と正方形ボルト穴２５
の一方を選択して挿入し、これによつて挿込み片
２２を取付け、その際、ピン２９は、軸組１の外
側面へ当接して下向きに傾かないよう保持され
る。このようにして、野縁受金具２１を軸組１へ
取付けた後、第５図の如く、外壁パネル４を取付
け、しかる後、外方に突出したネジ３１へ支持板
３２を取付けるとともにナツト３３を締めて、受
金具２１が上方へもぐらつかないように確実に固
定される。

第６図がその取付け状態を示しており、野縁取
付け板２３には、従来と同じく外壁と平行な方向
の平行野縁１４が、ボルト１５，１５によつて取
付けられ、更にこの平行野縁１４と前記第１図の
鼻隠し７との間に、軒先野縁１６が釘打ち等によ
つて取付けられる。また、挿込み片２２の内端よ
り突出して設けたネジ２６は、軸組１，１間より
内方へ突出し、該ネジ２６へ取付けたプレート３
５とナツト２７とによつて、内壁パネル取付け用
の木製枠材３６，３６が固定支持される。

第７図は、外壁パネル４取付け後に野縁受金具
２１を取付ける場合を示しており、この場合は、
図で示すように、内側のピン挿入穴２８ａへ挿入
していたピン２９を抜き出して外側のピン挿入穴
２８ｂへ取付け、この状態で外壁パネル４，４間
の隙間より前記軸組１，１間の隙間へ挿込み片２
２を挿入し、前記と同様にしてこの挿込み片２２
を固定するとともに、外方へ突出するネジ３１へ
支持板３２を取付けナツト３３を締め付けて固定
する。この場合には、前記ピン２９が、外壁パネ
ル４の外側面に当接されることとなる。

第８図Ａ〜Ｃは、取付け高さが異なる場合の各
種の取付け方法を示しており、同図Ａは、最も高
い位置に取付けるべく軸組１における第１段目の
ボルト穴１１ａと挿込み片２２における下側の正
方形ボルト穴２５とを適合させて取付ける場合、
同図Ｂは、図Ａよりもやや低い位置へ取付ける場
合であつて、挿込み片２２の上部側の円形ボルト
穴２４と軸組１の第１段目のボルト穴１１ｂとを
選択して取付け、同図Ｃは、最も低い位置の取付
け方法を示し、軸組１における第２段目のボルト
穴１１ｂと挿込み片２２の円形ボルト穴２４とを
選択して取付けるようにしている。また、この第
２段目のボルト穴１１ｂと挿込み片２２の正方形
ボルト穴２５とを選択すれば、図Ｃよりもやや高
い位置へ取付けることが可能であつて、このよう
に本実施例では、軸組１における２個のボルト穴
１１ａ，１１ｂに対して４通りの取付け高さを選
択することができる。

以上の如く本考案によれば、従来の如く軸組の
２個のボルト穴を選択するのではなく、１個のボ
ルト穴を選択して取付けるようにしているから、
挿込み片の１個のボルト穴を用いて２段に取付け
高さを変える場合には、軸組側のボルト穴は２個
で済み、従来のように３段に跨つて変更する必要
はなく、上下方向の変更スペースが少なくて済
み、例えば上下に障害物がある等して取付けスペ
ースの変更に余裕がない場合であつても、１個の
受金具で取付け高さを大きく変更できるという利
点がある。更に、本考案では、このように軸組へ
の取付け用ボルト穴を１個としても、ピン及びそ
の他の支持部材によつて上下の移動を防止される
から、ぐらつくといつた虞れはなく、また、ピン
の挿し込み穴を変更することによつて、該ピンを
外壁パネルへ当接することができるから、外壁パ
ネル取付け後であつても容易に取付けられるとい
う効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の軒先野縁取付け構造を示す軒裏
部分の横断面図、第２図は同じく分解斜視図、第
３図は本考案受金具の斜視図、第４図及び第５図
は外壁パネル取付け前において本考案受金具を取
付ける場合の取付け方法の順序を示す斜視図、第
６図は、同じく取付け状態の横断平面図、第７図
は、外壁パネル取付け後の受金具の取付け方法を
示す斜視図、第８図Ａ〜Ｃは、本考案受金具の高
さ位置を変更して取付ける場合それぞれのボルト
穴の選択位置を示す側面図である。 １……軸組、４……外壁パネル、１３……ボル
ト、１４，１６……野縁、２１……野縁受金具、
２２……挿込み片、２３……野縁取付け板、２
４，２５……ボルト穴、２８ａ，２８ｂ……ピン
挿入穴、２９……ピン、３２……支持板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 建物における軸組間の隙間へ挿入される挿込み
   片内端部に、前記軸組へ取付けられる１つのボル
   トが通るボルト穴を、該挿込み片の取付け高さに
   応じて複数個形成し、更に、この挿込み片に、前
   記軸組の外側へ当接されるピンの挿入穴と、同じ
   く軸組外側の外壁パネル外側面へ当接される前記
   挿入穴と同径のピン挿入穴とを形成して、その一
   方の挿入穴へ抜き出し可能として前記ピンを挿入
   するとともに、同じく挿込み片には、外壁パネル
   外側面へ当接される他の支持部材を前記ピンに対
   する高さ位置を異ならしめて取付け、かつ、外壁
   パネル外方に突出する挿込み片外端に野縁の取付
   け部を設けたことを特徴とする野縁受金具。