JPH0115493Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈技術分野〉 本考案は、ベツド上を前後方向へ移動可能とさ
れたテーブル上に、工作物を取付けたパレツトが
ベツドの片側からテーブルの運動と直角方向に自
動的に搬入載架されまたは取外し搬出される工作
機械において、パレツトがテーブル上に装着され
ていないときにテーブル上面を保護する防塵カバ
ー装置に関するものである。

〈従来技術〉 最近、大形の門形工作機械、例えば立中グリ
盤、プラノミラまたは大形の横中ぐり盤のように
大形テーブルがベツド上を長手（前後）方向にの
み切削送りされる工作機械においても、省力化、
無人化またはさらに複数機械のライン化作業のた
めに、予め段取ステーシヨンでパレツトに被加工
物を取付けたものを搬送して機械のテーブル上に
自動装着し、加工後取外したパレツトを次工程機
械へ移送し同様に自動着脱する生産方式の適用が
拡大してきた。パレツト交換方式が既に多用され
ている小形のマシニングセンタ等においては、テ
ーブルのパレツト着座面は多くの場合二本の狭小
なレール状ガイドウエイ上面であるが、新旧パレ
ツトの交換が連続的であることやテーブルの作業
域がスプラツシユガード室によつて周辺と遮断さ
れる場合も多い等の状況から、テーブル上面のガ
イドウエイ等の着座面の保護は機械の外周からの
防塵よりは当該機械の切削中の切粉、汚濁切削液
の侵入、付着の防止が主体である。大形機械にお
いても、ベツドの両側にテーブルを挟んでパレツ
ト受台を備え、二個のパレツトを交換的にテーブ
ルに着脱する機械構成では、テーブル上面が裸の
状態で露出する時間は極めて短かい。

しかし、上記のようにベツドの片側からパレツ
トがテーブル上に搬入装着され、また分離搬出さ
れてから次の新パレツトが搬入装着される機械構
造やライン構成も生産の内容に応じて利用されて
いる。この場合には加工完了パレツトがテーブル
から分離搬出されて次の新パレツトが搬入装着さ
れるまでテーブル上面のパレツト案内路や着座面
は露出状態となり、外周の浮遊切粉や塵埃による
汚染に対して無防備となる。特に機械の休止ある
いは非操業時間中もこの塵埃堆積が進行するの
で、その対策として布カバーを掛ける等の保護処
理が行なわれるが、テーブル寸法が大きい場合そ
の作業の反復は煩雑であり、安全上も注意を要す
る。

〈目的〉 本考案は、上記に鑑み、パレツトの自動交換機
能を利用してパレツトをテーブルからの搬出と同
時に保護カバーを追従的にテーブル上に被覆さ
せ、新パレツト搬入時に該カバーを押してテーブ
ル外側に格納させ得る簡単な構造の自動防塵カバ
ー装置を提供しようとするものである。

〈実施例〉 以下、本考案の詳細を実施例について説明す
る。先ず本カバー装置が適用される機械のパレツ
ト自動交換機構について述べる。即ち、ベツド１
上を軸線Ｘ方向（前後方向）にテーブル２が往復
送り可能とされ、このテーブル送りストロークの
前端位置の片側に沿つてパレツト受台３が設置さ
れている。該パレツト受台３の上面にパレツト４
を案内する複数の案内レール７がテーブル２の送
り方向と直角なＹ軸方向（左右方向）に設けられ
てテーブル２の側縁に近接するようにされ、レー
ル７上面はテーブル上面より僅かに低くされてい
る。また該レール部の四個所に昇降シリンダ８が
設けられ、別の搬送手段によつて搬入されるパレ
ツト４の受取りと受台上の定位置へのセツトを行
うよう構成されている。またテーブル２の上面に
は、該テーブル２がＸ軸方向のストロークの前端
停止位置のときにパレツト受台３の案内レール７
と直線的に連続するように同形の案内レール９が
Ｙ軸方向に設けられ、その上面は案内レール７と
同じ高さでテーブル面より僅かに低くされてい
る。この案内レール９の両端部近くの計四個所に
パレツトクランプ装置１０が設けられ、該テーブ
ル上面にパレツト位置決めピン装置１１が、外側
面にストツパ１２が夫々設けられている。そし
て、パレツト４の下面にローラユニツト１３が四
個所に設けられ、案内レール７，９の上面および
内側面に沿つて転動可能とされ、パレツト４を受
台とテーブル間で円滑に移動できるようにしてい
る。

パレツト受台３及びテーブル前端部の側面にパ
レツト移送装置５が取付けられ、該移送装置５に
はＹ軸方向に送りネジ１４が軸支され、その一端
に連設された駆動モータ１５によつて回動され、
同ネジ１４に螺嵌されたナツト１６に連結された
凹形被係合片１７がＹ軸方向に往復移動可能とさ
れている。一方パレツトのＸ軸方向前端部に凸形
係合片１８が固設され、移送装置５の凹形被係合
片１７と掛合して移送装置５の作動によつてパレ
ツトがＹ方向に移動するようにされている。

次に本考案に係る自動防塵カバー装置について
説明すると、これは、ベツド１の前端片側のパレ
ツト受台３と反対側にテーブル２に近接してカバ
ー装置６のカバー受台１９が別置され、該受台１
９の上に二条の案内レール２０が設けられ、テー
ブル２がＸ軸送り前端のパレツト交換位置にある
ときその上面の案内レール９と一直線に連接する
ようにされている。そして該カバー受台１９のレ
ール２０上に複数の鉄板製の保護カバー２１がロ
ーラユニツナ２２によつて伸縮自在に支持され、
テーブル寄りの先端カバーの前面中央部に上面開
放のＬ字形フツク受２３が固設されている。一方
パレツト４のカバー装置側の中央側面に下向爪部
を有するフツク２４が配設され、カバー側のフツ
ク受２３と掛合するようにされている。該フツク
２４はパレツト４に固設したブラケツト２５に前
後軸２６の回りに揺動自在に保持され、その爪部
の反対端にローラ２７が支承され、パレツト移動
時にテーブル上面に接して転動するようにされて
いる。さらにこのフツク２４は爪寄りの位置に肉
抜き部２９が形成され、フツク後部のローラ２７
が常に下り勝手になるよう配慮されている。パレ
ツト受台３の上面のテーブル寄り中央位置に溝３
０が設けられ、該溝にフツクの掛脱ブロツク３１
が嵌着され、その上面はテーブル上面と同一とさ
れ、一端がテーブルに近接され、他端が傾斜下降
された形状とされている。すなわち、前記パレツ
ト４のテーブル上面への搬入時に前記フツク２４
をフツク受２３に係合させまたパレツト４のテー
ブル上面からの搬出時に前記フツク２４をフツク
受２３から離脱させるためのフツク係脱手段は、
前記ローラ２７と、パレツト受台３のテーブル側
端部の溝３０および掛脱ブロツク３１等とから構
成されている。なお、３２はパレツトの外周部に
固定された樋である。

次に作用を説明をする。まず、パレツト交換の
動作について述べると、埋線誘導やレール走行等
の無人または有人による別の搬送手段によりパレ
ツト受台３の開口部に搬入されたパレツト４は、
受台３の昇降シリンダ８によつて受取られ、案内
レール７上に下降載置される。このとき移送装置
５の凹形被係合片１７がパレツト４の凸形係合片
１８の直下位置に待機していて、パレツトの下降
によつて凸形係合片１８は凹形被係合片１７に掛
合し、送りネジ１４の回動によりパレツト４は受
台上からテーブル上へ案内レールに沿つてＹ軸方
向に移送されてテーブル上の所定の位置で停止さ
れる。ここでクランプ装置１０が作動してパレツ
トは微小量下降し、その下面がテーブル上面に当
接して固定される。次の指令によつてテーブルは
加工作業のためＸ軸方向に送られるが、パレツト
側の凸形係合片１８は移送装置５の凹形被係合片
１７から自由に離脱する。加工作業が完了する
と、パレツト４はテーブル２と共にベツド１端に
復帰し、凸形係合片１８は凹形被係合片１７に再
掛合する。以下前記と逆の手順によつてパレツト
はテーブル上からパレツト受台３へ移送され、別
の搬送手段によつて機外へ搬出され、つづいて次
の新パレツトが搬入され、パレツト受台３が受取
られテーブルへ移送される。

次にカバー装置の動作を説明する。第６図に示
すようにカバー装置６の保護カバー２１をテーブ
ル２の上に伸展させておく。パレツト４がパレツ
ト受台３の上に外部手段によつて搬入され、昇降
シリンダ８によつて受取られて降下され、案内レ
ール上に定置される。このときパレツト４は、凹
形被係合片１７及び凸形係合片１８によつてパレ
ツト移送装置５とＹ軸方向に掛合される。続いて
移送装置５を駆動してパレツトをテーブルの方向
へ移動すると、パレツト先端のフツク２４のロー
ラ２７が掛脱ブロツク３１の傾斜面によつて上昇
し、該フツク２４の爪がカバー２１のフツク受２
３に掛合する。パレツト４のテーブル方向への移
動に従つてカバー２１はフツク受２３がフツク２
４に押されて後退し、パレツト４がテーブル上に
移動を完了したときカバーはカバー受台１９上に
圧縮格納される。次にパレツト４がテーブル２と
共にベツド１上をＸ軸方向に走行するとき、フツ
ク２４はフツク受２３から自由に抜け出し、カバ
ーはそのまま受台上に残る。

テーブル面は切削加工中、パレツト４およびそ
の外周の樋３２によつて切粉塵埃から保護されて
いる。切削加工完了後パレツト４がテーブル２と
共にベツド前端に復帰するとき、パレツトのフツ
ク２４がカバーのフツク受２３に再掛合するが、
この時パレツトの凸形係合片１８がパレツト移送
装置５の凹形被係合片１７とも同時に掛合する。
従つてパレツトの搬出指令によつて移送装置５が
作動すると、カバー装置６のカバー２１はパレツ
トに引かれてテーブル上に引き出され、テーブル
上に展開が終つた位置でフツク２４のローラ２７
がパレツト受台３上の掛脱ブロツク３１の斜面降
下によりカバーのフツク受２３との掛合が外れて
カバー２１は停止する。パレツト４はさらに外側
方に移動して外部搬送手段との受渡し位置で停止
する。以後、テーブル上面への防塵カバーの適用
はパレツトのテーブルからの搬出入に連動して反
復され、テーブル上面が露出することはない。

〈効果〉 以上の説明から明らかな通り、本考案は、ベツ
ド上を前後方向に移動可能にされたテーブルと、
ベツドの片側に設けられたパレツト受台と、該パ
レツト受台から移送装置によりテーブル上面に左
右方向に搬出入可能とされたパレツトとを具えた
工作機械において、前記ベツドを挟んで前記パレ
ツト受台と反対側に配されたカバー受台と、該カ
バー受台からテーブル上面へ移動可能とされた保
護カバーと、前記パレツトのテーブル側端部に前
後軸周りに揺動可能に軸着されたフツクと、前記
保護カバーのテーブル側端部に固定されフツクが
掛合したとき該フツクの前後方向の移動を許すフ
ツク受と、前記パレツトのテーブル上面への搬入
時に前記フツクをフツク受に係合させまたパレツ
トのテーブル上面からの搬出時に前記フツクをフ
ツク受から離脱させるためのフツク係脱手段とが
設けられ、該フツク係脱手段が、前記パレツト受
台のテーブル側端部に配されたことを特徴とする
ものである。

従つて本考案によると、ベツド片側のパレツト
受台からテーブルに対してパレツトを移送交換す
る方式の工作機械においては、そのパレツト移送
手段を活用してテーブル上面の保護カバーを遅滞
なく展開または格納できるので、取扱いに何等の
手数、配慮を要せず、専用の動力・駆動装置も不
要であり、また特に大形機械の環境空気の汚染に
対して確実かつ経済的効果的にテーブルの基準上
面を保護することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す防塵カバー装
置の平面図、第２図は同側面図、第３図はフツク
とフツク受の係合状態を示す平面図、第４図は同
側面図、第５図はフツクの係脱状態を示す側面
図、第６図は工作機械全体を示す平面図である。 １：ベツド、２：テーブル、３：パレツト受
台、４：パレツト、５：移送装置、１９：カバー
受台、２１：カバー、２３：フツク受、２４：フ
ツク、２６：前後軸、２７：ローラ、３１：係合
ブロツク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベツド上を前後方向に移動可能にされたテーブ
   ルと、ベツドの片側に設けられたパレツト受台
   と、該パレツト受台から移送装置によりテーブル
   上面に左右方向に搬出入可能とされたパレツトと
   を具えた工作機械において、前記ベツドを挟んで
   前記パレツト受台と反対側に配されたカバー受台
   と、該カバー受台からテーブル上面へ移動可能と
   された保護カバーと、前記パレツトのテーブル側
   端部に前後軸周りに揺動可能に軸着されたフツク
   と、前記保護カバーのテーブル側端部に固定され
   フツクが掛合したとき該フツクの前後方向の移動
   を許すフツク受と、前記パレツトのテーブル上面
   への搬入時に前記フツクをフツク受に係合させま
   たパレツトのテーブル上面からの搬出時に前記フ
   ツクをフツク受から離脱させるためのフツク係脱
   手段とが設けられ、該フツク係脱手段が、前記パ
   レツト受台のテーブル側端部に配されたことを特
   徴とする工作テーブルの自動防塵カバー装置。