JPH0967360A - 癌遺伝子機能抑制剤 - Google Patents
癌遺伝子機能抑制剤Info
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- JPH0967360A JPH0967360A JP7219289A JP21928995A JPH0967360A JP H0967360 A JPH0967360 A JP H0967360A JP 7219289 A JP7219289 A JP 7219289A JP 21928995 A JP21928995 A JP 21928995A JP H0967360 A JPH0967360 A JP H0967360A
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- Japan
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- cells
- compound
- solvent
- chromatography
- aglaiastatin
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Abstract
(57)【要約】
【課題】新規な抗癌剤を提供すること。
【解決手段】熱帯植物アグライア・オドラータ(Aglaia
odorata)から抽出された化学式(1)で示される癌遺
伝子機能抑制能を有する新規化合物を有効成分として含
有する。 【化1】
odorata)から抽出された化学式(1)で示される癌遺
伝子機能抑制能を有する新規化合物を有効成分として含
有する。 【化1】
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規化合物に関する。
詳しくは、癌遺伝子機能抑制活性を有する該化合物を有
効成分として含有する抗癌剤に関する。
詳しくは、癌遺伝子機能抑制活性を有する該化合物を有
効成分として含有する抗癌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞の発癌やプロモーションの過程で、
癌遺伝子が重要な役割を果たしていることが知られてい
る。癌遺伝子は、正常細胞の染色体DNA上にあるプロ
ト癌遺伝子に点突然変異、転座、増幅等の異常が起こる
ことによって発生し、これまでに70種あまりが見出さ
れている。その中でもras癌遺伝子は大腸癌、乳癌、
白血病等から見出され、ヒト癌組織全体の20%位に存
在するといわれる代表的なものである。そこで、このr
as癌遺伝子産物の作用を阻害する物質が、新しいコン
セプトの癌治療薬として期待されている。現在までに、
そのような阻害物質としては放線菌から単離されたオキ
ザノシン(O.Ito ら、Cancer Research,vol.49,996-100
0,1989)、かびから単離されたコンパクチン(N.Matsud
a ら、Cellular Pharmacology,vol.1,219-223,1994)等
が知られている。
癌遺伝子が重要な役割を果たしていることが知られてい
る。癌遺伝子は、正常細胞の染色体DNA上にあるプロ
ト癌遺伝子に点突然変異、転座、増幅等の異常が起こる
ことによって発生し、これまでに70種あまりが見出さ
れている。その中でもras癌遺伝子は大腸癌、乳癌、
白血病等から見出され、ヒト癌組織全体の20%位に存
在するといわれる代表的なものである。そこで、このr
as癌遺伝子産物の作用を阻害する物質が、新しいコン
セプトの癌治療薬として期待されている。現在までに、
そのような阻害物質としては放線菌から単離されたオキ
ザノシン(O.Ito ら、Cancer Research,vol.49,996-100
0,1989)、かびから単離されたコンパクチン(N.Matsud
a ら、Cellular Pharmacology,vol.1,219-223,1994)等
が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これまでに発
見されたras癌遺伝子作用阻害物質は、いずれも安定
性や毒性に問題があり、臨床応用可能なものはまだな
い。そのため、現在までに知られている阻害物質には見
られない作用機構を有し且つ、臨床応用が可能な薬剤の
開発が望まれている。
見されたras癌遺伝子作用阻害物質は、いずれも安定
性や毒性に問題があり、臨床応用可能なものはまだな
い。そのため、現在までに知られている阻害物質には見
られない作用機構を有し且つ、臨床応用が可能な薬剤の
開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、臨床応用
可能な阻害物質を得るために、癌細胞の形態を正常化さ
せる作用を指標としてスクリーニングすることにより、
植物由来でras癌遺伝子産物の作用を阻害する物質の
探索を行った結果、熱帯植物アグライア・オドラータ
(Aglaia odorata LOUR)の葉の抽出物中にras癌遺
伝子産物の作用を阻害する活性を見出し、活性成分を特
定することにより化学式(1)で表される化合物を得、
本発明を完成させた。
可能な阻害物質を得るために、癌細胞の形態を正常化さ
せる作用を指標としてスクリーニングすることにより、
植物由来でras癌遺伝子産物の作用を阻害する物質の
探索を行った結果、熱帯植物アグライア・オドラータ
(Aglaia odorata LOUR)の葉の抽出物中にras癌遺
伝子産物の作用を阻害する活性を見出し、活性成分を特
定することにより化学式(1)で表される化合物を得、
本発明を完成させた。
【0005】
【化3】
【0006】すなわち、本発明によって有効成分として
化学式(1)で表される化合物及び任意に医薬上許容可
能な担体を含有する抗癌剤が提供される。アグライア・
オドラータから単離された本発明化合物(以下、本明細
書中、この物質を便宜上、「aglaiastatin A」と称す)
は分子量 434(EI-MS スペクトル測定による)の無色の
粉末である。シリカゲル薄層クロマトグラフィーにおけ
るRf値は、0.58 ( 展開溶媒:クロロホルム:メタノ
ール=40:1)、0.58(展開溶媒:トルエン:アセトン
=2:1)であった。紫外線吸収スペクトルは図1から
図3、赤外線吸収スペクトルは図4の通りである。また
1H-NMR及び13C-NMRの測定結果は、図5及び図6の通
りである。検討の結果、アグライア・オドラータから単
離された本発明化合物は上記化学式(1)で表される構
造であることが支持された。
化学式(1)で表される化合物及び任意に医薬上許容可
能な担体を含有する抗癌剤が提供される。アグライア・
オドラータから単離された本発明化合物(以下、本明細
書中、この物質を便宜上、「aglaiastatin A」と称す)
は分子量 434(EI-MS スペクトル測定による)の無色の
粉末である。シリカゲル薄層クロマトグラフィーにおけ
るRf値は、0.58 ( 展開溶媒:クロロホルム:メタノ
ール=40:1)、0.58(展開溶媒:トルエン:アセトン
=2:1)であった。紫外線吸収スペクトルは図1から
図3、赤外線吸収スペクトルは図4の通りである。また
1H-NMR及び13C-NMRの測定結果は、図5及び図6の通
りである。検討の結果、アグライア・オドラータから単
離された本発明化合物は上記化学式(1)で表される構
造であることが支持された。
【0007】aglaiastatin Aを、ras癌遺伝子等を
有する癌細胞に与えると細胞の形態が正常化され且つそ
の増殖が抑制されたので、本化合物は癌遺伝子産物の作
用を阻害する効果を有することが判明した。aglaiastat
in Aが癌細胞の増殖を50%抑制する濃度(IC50)
は、癌細胞の種類によって異なるが、2.4〜7.5ng/mlで
ある。
有する癌細胞に与えると細胞の形態が正常化され且つそ
の増殖が抑制されたので、本化合物は癌遺伝子産物の作
用を阻害する効果を有することが判明した。aglaiastat
in Aが癌細胞の増殖を50%抑制する濃度(IC50)
は、癌細胞の種類によって異なるが、2.4〜7.5ng/mlで
ある。
【0008】本発明の抗癌剤に使用される医薬上許容可
能な担体としては、例えば天然もしくは合成ケイ酸アル
ミニウム、微結晶セルロース、タルク、デキストリン、
澱粉、乳糖などの賦形剤、及び植物油、プロピレングリ
コールなどの希釈剤が挙げられる。これに加えて、その
他の任意成分として、医薬上許容可能な安定剤、コーテ
ィング剤、懸濁化剤、乳化剤、溶解補助剤、保存剤、緩
衝剤、甘味剤なども存在させ得る。これらの添加剤とし
ては、公知のものを適宜組み合わせて使用し得る。また
剤形としては粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、注射剤
等の任意の形態で用いられる。
能な担体としては、例えば天然もしくは合成ケイ酸アル
ミニウム、微結晶セルロース、タルク、デキストリン、
澱粉、乳糖などの賦形剤、及び植物油、プロピレングリ
コールなどの希釈剤が挙げられる。これに加えて、その
他の任意成分として、医薬上許容可能な安定剤、コーテ
ィング剤、懸濁化剤、乳化剤、溶解補助剤、保存剤、緩
衝剤、甘味剤なども存在させ得る。これらの添加剤とし
ては、公知のものを適宜組み合わせて使用し得る。また
剤形としては粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、注射剤
等の任意の形態で用いられる。
【0009】本発明の抗癌剤は主として経口投与される
が、本発明は投与方法によって限定されない。成人一日
あたりの投与量は投与方法及び病状等によって異なる。
主たる投与方法である経口投与の場合は、成人1日当た
り0.1〜100mgが通常の投与量である。しかし、本発明は
投与量によって限定されない。
が、本発明は投与方法によって限定されない。成人一日
あたりの投与量は投与方法及び病状等によって異なる。
主たる投与方法である経口投与の場合は、成人1日当た
り0.1〜100mgが通常の投与量である。しかし、本発明は
投与量によって限定されない。
【0010】アグライア・オドラータはセンダン科の小
木であり東南アジアに自生し、あるいは一部栽培され観
賞用、香料等として使用されている。原料植物は、保
存、運搬等の理由から乾燥してもよく、その場合は天日
で、あるいは60℃以下のオーブンで乾燥するのが好まし
い。また、抽出に際しては粉砕したものが好ましい。抽
出に用いる溶媒は aglaiastatin Aを安定に抽出し得る
溶媒であれば全て使用することができるが、非極性溶媒
が好ましく、特に炭化水素系溶媒またはハロゲン化炭化
水素溶媒が好ましい。炭化水素系溶媒としてはペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等が挙げられ、特にトルエンが好ましい。
またハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えばクロロホ
ルム、二塩化メチレン、四塩化炭素等が挙げられ、特に
クロロホルムが好ましい。もちろんこれらの溶媒の種類
に限定されるものではない。抽出時の溶媒量、温度、時
間などの操作は、aglaiastatin Aが分解を起こすこと
なく安定に、且つ高収量で得られる範囲であれば特に限
定されるものではない。
木であり東南アジアに自生し、あるいは一部栽培され観
賞用、香料等として使用されている。原料植物は、保
存、運搬等の理由から乾燥してもよく、その場合は天日
で、あるいは60℃以下のオーブンで乾燥するのが好まし
い。また、抽出に際しては粉砕したものが好ましい。抽
出に用いる溶媒は aglaiastatin Aを安定に抽出し得る
溶媒であれば全て使用することができるが、非極性溶媒
が好ましく、特に炭化水素系溶媒またはハロゲン化炭化
水素溶媒が好ましい。炭化水素系溶媒としてはペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等が挙げられ、特にトルエンが好ましい。
またハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えばクロロホ
ルム、二塩化メチレン、四塩化炭素等が挙げられ、特に
クロロホルムが好ましい。もちろんこれらの溶媒の種類
に限定されるものではない。抽出時の溶媒量、温度、時
間などの操作は、aglaiastatin Aが分解を起こすこと
なく安定に、且つ高収量で得られる範囲であれば特に限
定されるものではない。
【0011】aglaiastatin Aの単離精製法は、本化合
物が抽出物から安定に得られる方法であれば特に限定さ
れるものではない。好適な単離精製法の例としてクロマ
トグラフィーを挙げることができる。クロマトグラフィ
ーは好ましくはカラムクロマトグラフィー、ゲル濾過ク
ロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層
クロマトグラフィーまたはこれらの組み合わせを包含し
得る。カラムクロマトグラフィーに用いる担体としては
シリカゲル 、アルミナなどが使用でき、展開溶媒とし
ては炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素、アルコール
類などを用いることができる。またゲル濾過クロマトグ
ラフィーとしては担体としてトヨパールHW-40(東ソー
社製)溶媒としてアルコール類を用いることができる。
しかしクロマトグラフィー担体及び溶媒の種類は上記の
ものに限定されない。そして、aglaiastatin Aの構造
を解析した結果、化学式(1)で表されることが判明し
た。以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はその実施例に限定されるものではない。
物が抽出物から安定に得られる方法であれば特に限定さ
れるものではない。好適な単離精製法の例としてクロマ
トグラフィーを挙げることができる。クロマトグラフィ
ーは好ましくはカラムクロマトグラフィー、ゲル濾過ク
ロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層
クロマトグラフィーまたはこれらの組み合わせを包含し
得る。カラムクロマトグラフィーに用いる担体としては
シリカゲル 、アルミナなどが使用でき、展開溶媒とし
ては炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素、アルコール
類などを用いることができる。またゲル濾過クロマトグ
ラフィーとしては担体としてトヨパールHW-40(東ソー
社製)溶媒としてアルコール類を用いることができる。
しかしクロマトグラフィー担体及び溶媒の種類は上記の
ものに限定されない。そして、aglaiastatin Aの構造
を解析した結果、化学式(1)で表されることが判明し
た。以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はその実施例に限定されるものではない。
【0012】
【実施例】1. アグライア・オドラータからの活性物質の抽出 60℃のオーブンで乾燥したアグライア・オドラータの葉
167gを粉砕した後、2Lの三角フラスコに入れ、クロ
ロホルム 1000mlを加えて室温で5時間撹拌した。溶媒
を新しくして同様の操作を繰り返し、合計3回の抽出を
行った。3回分の抽出液を合わせて減圧下でクロロホル
ムを留去し、暗緑色シラップ5.7gを得た。このシラッ
プを次の精製の原料とした。
167gを粉砕した後、2Lの三角フラスコに入れ、クロ
ロホルム 1000mlを加えて室温で5時間撹拌した。溶媒
を新しくして同様の操作を繰り返し、合計3回の抽出を
行った。3回分の抽出液を合わせて減圧下でクロロホル
ムを留去し、暗緑色シラップ5.7gを得た。このシラッ
プを次の精製の原料とした。
【0013】2.抽出物からの活性物質の精製 クロロホルム抽出物 3.9gを少量のトルエンに溶かし、
カラムに充填した 120gのシリカゲル(商品名: Merck
silicagel 60,メルク社製)の上に添加し、トルエン:
アセトン=20:1,16:1,6:1,3:1,2:1,
1:1の溶媒で順次溶出し、約20mlずつ分画した。各画
分を後述する「4.aglaiastatin Aの各種細胞に対す
る形態変化誘導効果」で行った細胞形態変化誘導効果を
調べるために使用した試験に付したところ、トルエン:
アセトン=16:1溶出画分に形態正常化作用が認められ
た。活性画分を集めたところ重量は387mgであった。続
いてこの活性画分に80%メタノールを加え溶解し、不溶
物を取り除いた。その後カラムに充填した Merck silic
agel 60 (silanised)に添加し80%メタノールで溶出
し約4mlずつ分画した。各画分を先の細胞形態変化誘導
試験に再び付し、活性が認められた画分を集めた。活性
画分の重量は200mgであった。
カラムに充填した 120gのシリカゲル(商品名: Merck
silicagel 60,メルク社製)の上に添加し、トルエン:
アセトン=20:1,16:1,6:1,3:1,2:1,
1:1の溶媒で順次溶出し、約20mlずつ分画した。各画
分を後述する「4.aglaiastatin Aの各種細胞に対す
る形態変化誘導効果」で行った細胞形態変化誘導効果を
調べるために使用した試験に付したところ、トルエン:
アセトン=16:1溶出画分に形態正常化作用が認められ
た。活性画分を集めたところ重量は387mgであった。続
いてこの活性画分に80%メタノールを加え溶解し、不溶
物を取り除いた。その後カラムに充填した Merck silic
agel 60 (silanised)に添加し80%メタノールで溶出
し約4mlずつ分画した。各画分を先の細胞形態変化誘導
試験に再び付し、活性が認められた画分を集めた。活性
画分の重量は200mgであった。
【0014】次に、活性画分を予めメタノールで平衡化
したトヨパール HW-40 に添加してゲル濾過クロマトグ
ラフィーを行い約2mlずつ分画した。さらにこの活性画
分を集めHPLC分取(カラム:PEGASIL ODS(商品名、
(株)センシュー科学製)、溶出溶媒:70% メタノー
ル、流速:4ml/min、検出:U.V.210nm)を行い約10mlず
つ分画した。活性試験を行ったところリテンションタイ
ム 58分に溶出される画分に活性が確認された。この画
分を集め、無色の粉末(aglaiastatin A 4.6mg)を得
た。この画分はシリカゲル薄層クロマトグラフィーを行
ったところ単一スポットであった。
したトヨパール HW-40 に添加してゲル濾過クロマトグ
ラフィーを行い約2mlずつ分画した。さらにこの活性画
分を集めHPLC分取(カラム:PEGASIL ODS(商品名、
(株)センシュー科学製)、溶出溶媒:70% メタノー
ル、流速:4ml/min、検出:U.V.210nm)を行い約10mlず
つ分画した。活性試験を行ったところリテンションタイ
ム 58分に溶出される画分に活性が確認された。この画
分を集め、無色の粉末(aglaiastatin A 4.6mg)を得
た。この画分はシリカゲル薄層クロマトグラフィーを行
ったところ単一スポットであった。
【0015】3.aglaiastatin Aの物理化学的性質 無色粉末(aglaiastatin A)の各種物理化学的性質を
測定した。本化合物はシリカゲル薄層クロマトグラフィ
ーにおいて、Rf値は0.58(展開溶媒:クロロホルム:
メタノール=40:1)、0.58(展開溶媒:トルエン:ア
セトン=2:1)であった。融点は68〜71℃であった。
また各種スペクトルの測定を行った。結果を図1から図
6に示す。
測定した。本化合物はシリカゲル薄層クロマトグラフィ
ーにおいて、Rf値は0.58(展開溶媒:クロロホルム:
メタノール=40:1)、0.58(展開溶媒:トルエン:ア
セトン=2:1)であった。融点は68〜71℃であった。
また各種スペクトルの測定を行った。結果を図1から図
6に示す。
【0016】4.aglaiastatin Aの各種細胞に対する
形態変化誘導効果 a.各種細胞の培養 K-rasts-NRK細胞(米国NIH)が癌細胞の形態を示す
33℃及び正常細胞の形態を示す39℃において、5%仔牛
血清(Gibco Laboratories社製)を含むダルベッコ変法
イーグル培地(日水製薬 (株))にグルタミン 0.6g/l、
カナマイシン 0.2g/l、NaHCO3 2.25g/l、を加えたもの
を培養液として、5% CO2 インキュベーター中で培養
した。正常なラット腎細胞である NRK-49 細胞(大日本
製薬 (株))及び癌細胞であるK-ras-NRK細胞、K-ras-
NIH3T3細胞、H-ras-NIH3T3細胞、N-ras-NIH3T3細胞
(東京大学医科学研究所)は、37℃で同様に培養した。
また、細胞は、カルシウム・マグネシウム不含リン酸塩
緩衝液 ( PBS(-):8.0g/l NaCl,2.31g/l Na2PO4・12H
2O,0.2g/l KH2PO4;pH 7.4)で洗浄した後、トリプシ
ン-EDTA 溶液(0.5g/l trypsin,8.0g/l NaCl,1.0g/l
glucose,0.02g/l phenol red,0.35g/l KH2PO4,0.2g/
l EDTA)で培養フラスコより細胞をはがし、新しい培養
液を入れたフラスコ中に移すことにより継代した。
形態変化誘導効果 a.各種細胞の培養 K-rasts-NRK細胞(米国NIH)が癌細胞の形態を示す
33℃及び正常細胞の形態を示す39℃において、5%仔牛
血清(Gibco Laboratories社製)を含むダルベッコ変法
イーグル培地(日水製薬 (株))にグルタミン 0.6g/l、
カナマイシン 0.2g/l、NaHCO3 2.25g/l、を加えたもの
を培養液として、5% CO2 インキュベーター中で培養
した。正常なラット腎細胞である NRK-49 細胞(大日本
製薬 (株))及び癌細胞であるK-ras-NRK細胞、K-ras-
NIH3T3細胞、H-ras-NIH3T3細胞、N-ras-NIH3T3細胞
(東京大学医科学研究所)は、37℃で同様に培養した。
また、細胞は、カルシウム・マグネシウム不含リン酸塩
緩衝液 ( PBS(-):8.0g/l NaCl,2.31g/l Na2PO4・12H
2O,0.2g/l KH2PO4;pH 7.4)で洗浄した後、トリプシ
ン-EDTA 溶液(0.5g/l trypsin,8.0g/l NaCl,1.0g/l
glucose,0.02g/l phenol red,0.35g/l KH2PO4,0.2g/
l EDTA)で培養フラスコより細胞をはがし、新しい培養
液を入れたフラスコ中に移すことにより継代した。
【0017】b.形態変化誘導効果の観察 各細胞を、48穴プラスチックプレート(コースター社
製)に1.5×104個/DMEM 0.5ml/wellでまき、5% CO2イ
ンキュベーター中で1日培養した。翌日被検物質を加
え、その後3日目までの細胞の形態変化を観察した。 i)K-rasts-NRK 細胞に対する aglaiastatin Aの効
果 K-rasts-NRK 細胞は、33℃では細胞からいくつもの細
い突起が見られ、また細胞同士が重なり合って癌細胞の
形態を示し、39℃では細胞は平で突起も見られず重なり
合うこともなく正常細胞の形態を示す。そこで、33℃で
aglaiastatin A 10ng/ml を添加して3日間培養した
結果、突起もなく平で重なり合うこともない正常細胞の
形態を示した。また、39℃では、細胞の形態に大きな変
化はなかった。 ii)K-ras-NRK細胞に対する aglaiastatin Aの効果 癌細胞であるK-ras-NRK 細胞 は、形が丸く盛り上がっ
ているが、これに aglaiastatin A 10ng/mlを添加して
37℃で3日間培養した結果、細胞の形態が平になり、接
着面も増して正常細胞の形態を示した。 iii)K-ras-NIH3T3細胞に対する aglaiastatin Aの効
果 癌細胞であるK-ras-NIH3T3細胞は細長い突起状の形態
をしており、さらに細胞同士が重なり合っている。これ
に aglaiastatin Aを10ng/ml添加して37℃で3日間培
養したところ、平になり接着面も増大し、正常細胞であ
るNIH3T3細胞の形態になっているのが観察された。
製)に1.5×104個/DMEM 0.5ml/wellでまき、5% CO2イ
ンキュベーター中で1日培養した。翌日被検物質を加
え、その後3日目までの細胞の形態変化を観察した。 i)K-rasts-NRK 細胞に対する aglaiastatin Aの効
果 K-rasts-NRK 細胞は、33℃では細胞からいくつもの細
い突起が見られ、また細胞同士が重なり合って癌細胞の
形態を示し、39℃では細胞は平で突起も見られず重なり
合うこともなく正常細胞の形態を示す。そこで、33℃で
aglaiastatin A 10ng/ml を添加して3日間培養した
結果、突起もなく平で重なり合うこともない正常細胞の
形態を示した。また、39℃では、細胞の形態に大きな変
化はなかった。 ii)K-ras-NRK細胞に対する aglaiastatin Aの効果 癌細胞であるK-ras-NRK 細胞 は、形が丸く盛り上がっ
ているが、これに aglaiastatin A 10ng/mlを添加して
37℃で3日間培養した結果、細胞の形態が平になり、接
着面も増して正常細胞の形態を示した。 iii)K-ras-NIH3T3細胞に対する aglaiastatin Aの効
果 癌細胞であるK-ras-NIH3T3細胞は細長い突起状の形態
をしており、さらに細胞同士が重なり合っている。これ
に aglaiastatin Aを10ng/ml添加して37℃で3日間培
養したところ、平になり接着面も増大し、正常細胞であ
るNIH3T3細胞の形態になっているのが観察された。
【0018】5.aglaiastatin Aの各種細胞に対する
細胞増殖抑制効果 各細胞を、48穴プラスチックプレート(コースター社
製)に 1.0×104個/DMEM 0.5ml/well でまき、1 日適温
5% CO2 インキュベーター中で培養した。翌日aglaia
statin Aを加え更に3日間培養し、PBS(-)で2回洗っ
た後、トリプシンを100μl/wellずつ加え、数分 0% C
O2条件下の恒温機中で細胞をはがし、DMEMを900μl/wel
lずつ加えて均一にした。この溶液の細胞濃度をコール
ターカウンター(ZM型)を用いて測定し、細胞増殖を
50%阻害する濃度(IC50)を求めた。結果は表1に示
した通りであった。すなわち、aglaiastatin AはIC
50がng/mlのオーダーであり、通常の細胞毒性物質がμg
/mlのオーダーであるので、極めて低濃度で細胞増殖を
抑制している。しかもその濃度は正常細胞よりも腫瘍細
胞に対して大きい。なお、表1に示した細胞のうちra
sを含む細胞は腫瘍細胞である。
細胞増殖抑制効果 各細胞を、48穴プラスチックプレート(コースター社
製)に 1.0×104個/DMEM 0.5ml/well でまき、1 日適温
5% CO2 インキュベーター中で培養した。翌日aglaia
statin Aを加え更に3日間培養し、PBS(-)で2回洗っ
た後、トリプシンを100μl/wellずつ加え、数分 0% C
O2条件下の恒温機中で細胞をはがし、DMEMを900μl/wel
lずつ加えて均一にした。この溶液の細胞濃度をコール
ターカウンター(ZM型)を用いて測定し、細胞増殖を
50%阻害する濃度(IC50)を求めた。結果は表1に示
した通りであった。すなわち、aglaiastatin AはIC
50がng/mlのオーダーであり、通常の細胞毒性物質がμg
/mlのオーダーであるので、極めて低濃度で細胞増殖を
抑制している。しかもその濃度は正常細胞よりも腫瘍細
胞に対して大きい。なお、表1に示した細胞のうちra
sを含む細胞は腫瘍細胞である。
【0019】 (表1) 細胞名 IC50(ng/ml) K-ras-NRK 5.0 K-ras-NIH3T3 7.0 H-ras-NIH3T3 5.3 N-ras-NIH3T3 7.5 NRK 10 K-rasts-NRK (33℃) 4.6 K-rasts-NRK (39℃) 2.4
【0020】6.急性毒性 aglaiastatin Aの急性毒性は、ICR系雄性マウス(5週
令)に対し、LD50は300mg/kg以上であり、急性毒性が
低いことが確認された。
令)に対し、LD50は300mg/kg以上であり、急性毒性が
低いことが確認された。
【0021】
【発明の効果】化学式(1)で示される熱帯植物アグラ
イア・オドラータから抽出された本発明化合物は、癌細
胞の増殖を阻止しその形態を正常化させる活性を有し、
抗癌剤として有効に使用できる。
イア・オドラータから抽出された本発明化合物は、癌細
胞の増殖を阻止しその形態を正常化させる活性を有し、
抗癌剤として有効に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 紫外線吸収スペクトル中性条件(MeOH)での
測定結果
測定結果
【図2】 紫外線吸収スペクトル酸性条件(0.1N HCl-M
eOH)での測定結果
eOH)での測定結果
【図3】 紫外線吸収スペクトル塩基性条件(0.1N NaO
H-MeOH)での測定結果
H-MeOH)での測定結果
【図4】 赤外線吸収スペクトル測定結果
【図5】 1H-NMR スペクトル測定結果
【図6】 13C-NMR スペクトル測定結果
Claims (2)
- 【請求項1】化学式(1)で表される化合物aglaiastat
in A。 【化1】 - 【請求項2】化合物(1)で表される化合物aglaiastat
in Aを有効成分として含有する癌遺伝子機能抑制剤。 【化2】
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7219289A JPH0967360A (ja) | 1995-08-28 | 1995-08-28 | 癌遺伝子機能抑制剤 |
PCT/JP1996/002411 WO1997008161A1 (fr) | 1995-08-28 | 1996-08-28 | Agent deprimant une fonction oncogenique |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7219289A JPH0967360A (ja) | 1995-08-28 | 1995-08-28 | 癌遺伝子機能抑制剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0967360A true JPH0967360A (ja) | 1997-03-11 |
Family
ID=16733176
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7219289A Pending JPH0967360A (ja) | 1995-08-28 | 1995-08-28 | 癌遺伝子機能抑制剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0967360A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002047706A3 (en) * | 2000-12-15 | 2003-12-31 | Pharmacia Corp | Selective cox-2 inhibition from plant extracts |
US6710075B2 (en) | 2000-07-05 | 2004-03-23 | The Government Of The State Of Sarawak, Malaysia | Therapeutic compounds and methods |
JP2022513367A (ja) * | 2018-10-16 | 2022-02-07 | カーハーエル バイオテック ゲーエムベーハー | Kras腫瘍遺伝子の活性化を阻害するためのフラバグリン誘導体 |
-
1995
- 1995-08-28 JP JP7219289A patent/JPH0967360A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6710075B2 (en) | 2000-07-05 | 2004-03-23 | The Government Of The State Of Sarawak, Malaysia | Therapeutic compounds and methods |
WO2002047706A3 (en) * | 2000-12-15 | 2003-12-31 | Pharmacia Corp | Selective cox-2 inhibition from plant extracts |
JP2022513367A (ja) * | 2018-10-16 | 2022-02-07 | カーハーエル バイオテック ゲーエムベーハー | Kras腫瘍遺伝子の活性化を阻害するためのフラバグリン誘導体 |
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Date | Code | Title | Description |
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