【発明の詳細な説明】
血液調節ペプチド
発明の分野
本発明は、血液調節活性を有し、造血の刺激およびウイルス性、真菌性ならび
に細菌性感染疾患の治療に使用できる新規化合物に関する。
発明の背景
コロニー刺激因子、インターフェロンおよび異なるタイプのペプチドのごとき
種々の調節伝達物質およびモディファイアーが骨髄造血の調節を担っている。メ
トカルフ(Metcalf),セル(Cell),第43巻:5頁(1985年);バセルガ,
アール(Baserga,R.)、フォア,ピー(Foa,P.)メトカルフ,ディー(Metcalf,D.)
、ポリ,イー・イー(Polli,E.E.)(編),バイオロジカル・レギュレーション・
オブ・セル・プロリファレーション(Biological Regulation of Cell Prolifer
ation)(1986年);ニコラ(Nicola)ら,ジャーナル・オブ・セル・フィジ
オロジー(J.Cell Physiol.)第128巻:501頁(1986年);ゾウムボ
ス(Zoumbos)ら,プロイル・ヘマト(Proyr.Hemat)第1巻:341頁および第
14巻:201頁(1986年);ウェルナー(Werner)ら,イクスペリメンテ
ィア(Experimentia)第42巻:521頁(1986年)。
1982年に、インビトロおよびインビボの両方において骨髄造血細胞に対す
る選択的阻害効果を有する合成血液調節ペンタペプチドが報告された。その主な
効果は、骨髄造血幹細胞(CFU−gm)に対するものと思われる(パウコビツ
(Paukovits)ら,ツァイト・ナトゥーアフォルシュ(Z.Naturforsch)第37巻
:1297頁(1982年)および米国特許第4,499,081号)。このペプ
チドは、骨髄抽出物中に微量見いだされる天然の顆粒球形成阻害因子のアナログ
と考えられている。
1987年に、レルム(Laerum)らは、このペプチドの酸化生成物はジスルフ
ィ
ド架橋により形成される二量体(HP−5)であると報告した。この二量体は、
インビトロにおいてヒトおよびネズミ双方のCFU−gmのコロニー形成を強力
に刺激し、インビボにおいてネズミの骨髄造血細胞を活性化調節するという、単
量体とは反対の効果を有する。そのことが欧州特許出願第87309806.5
号に特許請求されている。
該二量体は、組織反応を抑制するための、すなわち骨髄移植術における免疫抑
制治療による骨髄機能低下を有する患者をはじめ、骨髄損傷、無顆粒球症および
再生不良性貧血をはじめとする骨髄造血活性の低下に苦しむ患者における骨髄造
血の刺激に有用であると報告されている。さらに、該ペプチドは、新生物および
ウイルス性疾患に対する細胞増殖抑制的治療および放射線照射療法後の骨髄のよ
り迅速な再生を促進するために使用されうる。該ペプチドは、患者が骨髄損傷後
の免疫応答欠乏による、重大な感染を有する場合に、特に価値がある可能性があ
る。
本発明者らは、骨髄造血細胞に対する刺激効果を有し、ウイルス性、真菌性お
よび細菌性疾患に治療ならびに予防に有用な、ある種の新規化合物を、ついに見
いだした。
発明の概要
本発明は、以後、式(I)で示される化合物であって、血液調節活性を有し、
造血の刺激およびウイルス性、真菌性ならびに細菌性感染疾患の治療に使用でき
る化合物からなる。
外科手術により誘発される骨髄抑制、エイズ、ARDS、先天性骨髄形成異常
骨髄ならびに器官の移植のごとき種々の臨床的状態から生じる低下した白血球減
少を有する患者の白血球回復;感染に由来する白血球減少症の患者の防御;重症
の火傷の患者の治療、およびある種の細胞周期特異的抗ウイルス剤に関して観察
される骨髄抑制の改善、ならびに骨髄移を受けた患者、特に、宿主の疾患に対す
る移植片を用いる移植を受けた患者における感染の治療、結核の治療、さらにヒ
トおよび動物における未知起源の発熱の治療において、これらの化合物は有用で
ある。さらに該化合物は、免疫抑制された対象および正常な対象の両方における
、
ウイルス性、真菌性ならびに細菌性感染疾患、特に、カンジダ(Candida)、ヘ
ルペスおよび肝炎の治療および予防に有用である。
これらの化合物を、同時係属の米国特許出願第07/799,46号および米
国特許第4,499,081号(参照により、これらを本明細書に取り入れる)の
単量体を組み合わせて使用して骨髄細胞の活性の高いピークと低いピークを交互
に提供し、かくして造血の自然な日周期リズムを取り戻すこともできる。このよ
うに、骨髄活性が低い期間において細胞増殖抑制的療法を行い、かくして、骨髄
損傷の危険性を低下させることができ、その一方で、活性のピークを継続させる
ことにより骨髄再生を促進することができる。本発明は、式(I)の化合物およ
び医薬上許容される担体からなる医薬組成物でもある。
本発明は、さらに、ヒトをはじめとする動物の骨髄造血系を刺激する方法であ
って、該刺激を必要とする動物に有効量の式(I)の化合物を投与することから
なる方法を構成する。
また本発明は、ヒトをはじめとする免疫抑制された動物および正常動物におけ
るウイルス性、真菌性ならびに細菌性感染の予防ならびに治療方法であって、該
予防ならびに治療を必要とする動物に有効量の式(I)の化合物を投与すること
からなる方法を構成する。
発明の詳細な説明
本発明化合物は、式(I):
[式中、A1は独立してプロリン、デヒドロプロリン、ピログルタミン酸、グル
タミン、チロシン、グルタミン酸、2−チオフェンカルボン酸、ピコリン酸、ニ
コチン酸、イソニコチン酸、シクロヘキサンカルボン酸、テトラヒドロフロ酸、
オキソチアゾリジンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、チオフェンカルボ
ン酸、テトラヒドロフランカルボン酸、ピペコリン酸、ピペリジンカルボン酸、
ピロールカルボン酸、イソピロールカルボン酸、ピラゾールカルボン酸、イソイ
ミダゾールカルボン酸、トリアゾールカルボン酸、ジチオールカルボン酸、オキ
サチオールカルボン酸、イソオキサゾールカルボン酸、オキサゾールカルボン酸
、チアゾールカルボン酸、イソチアゾールカルボン酸、オキサジアゾールカルボ
ン酸、オキサトリアゾールカルボン酸、オキサチオレンカルボン酸、オキサジン
カルボン酸、オキサチアゾールカルボン酸、ジオキサゾールカルボン酸、ピラン
カルボン酸、ピリミジンカルボン酸、ピリダジンカルボン酸、ピラジンカルボン
酸、ピペラジンカルボン酸、トリアジンカルボン酸、イソオキサジンカルボン酸
、オキサチアゼンカルボン酸、モルホリンカルボン酸、インドールカルボン酸、
インドレネンカルボン酸、2−イソベンザゾールカルボン酸、1,5−ピリジン
カルボン酸、ピラノール[3,4−b]ピロールカルボン酸、イソインダゾール
カルボン酸、インドキサジンカルボン酸、ベンゾオキサゾールカルボン酸、アン
トラニルカルボン酸、キノリンカルボン酸、イソキノリンカルボン酸、シノリン
カルボン酸、安息香酸、キナゾレンカルボン酸、ナフチリジンカルボン酸、ピリ
ド[3,4−b]−ピリジンカルボン酸、ピリド[3,2−b]−ピリジンカルボ
ン酸、ピリド[4,3−b]−ピリジンカルボン酸、1,3,2−ベンゾオキサジ
ンカルボン酸、1,4,2−ベンゾオキサジンカルボン酸、2,3,1−ベンゾオキ
サジンカルボン酸、3,1,4−ベンゾオキサジンカルボン酸、1,2−ベンズイ
ソオキサジンカルボン酸、1,4−ベンズイソオキサジンカルボン酸、カルバゾ
ールカルボン酸、アクリジンカルボン酸、プリンカルボン酸、ヒドロキシピコリ
ンカルボン酸、ヒダントインカルボン酸、フランカルボン酸、N−アセチルプロ
リン、またはアゼチジンカルボン酸;
B1は独立してセリン、スレオニン、グルタミン酸、チロシン、アスパラギン
酸、ヒドロキシプロリン、O−ベンジルセリン、N−メチルセリン、N−メチル
スレオニン、N−メチルグルタミン酸、N−メチルチロシン、N−メチルアスパ
ラギン酸、2−アミノ−3−ヒドロキシチオプロパン酸、2−アミノ−1−ヒド
ロキシプロピルもしくは2−アミノ−1−ヒドロキシペント−3−エニル;
X1はO、S、NR1またはCR2R3;
Y1はヘテロアリール、O、S、NR1、CR2R3、アリール、C2〜5アルキル
、
C2〜5アルケニル、またはC2〜5アルキニル、ナフチル、キシリル、CON(R3
)、ピペラジン、ビフェニル、ジアセチレンベンゼンもしくはジビニルベンゼン
;
R1、R2およびR3は独立して水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニルまた
はC2〜4アルキニル、C3〜7シクロアルキル、ヘテロアリールもしくはアリール
であり、それらのうちすべてが1個またはそれ以上のC1〜3アルキル基により置
換されていてもよく;
mおよびnは独立して0ないし5;
rは0ないし2;
sは0または1を意味する]
により示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
本発明化合物は、式(II):
[式中、A2は独立して3−アミノピラゾール、5−アミノピラゾール、アミノ
チアゾール、アミノピリミジン、アミノチアジアゾール、アミノピリダジン、2
−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、アミノプリン、
アミノプテリジン、3−アミノイソオキサゾール、5−アミノイソオキサゾール
、3−アミノ−1,2,4−トリアジン、2−アミノ−1,3,5−トリアジン、ア
ミノジメチルウラシル、アミノメチルウラシル、2−アミノ−3−ヒドロキシピ
リジン、2−アミノ−4−ヒドロキシピリジン、3−(アミノメチル)ピリジン
、4−(アミノメチル)ピリジン、アニリン、3−アミノピロリジン、アミノキ
ノリン、アミノテトラゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−アミ
ノウラシル、6−アミノウラシル、アミノピロール、アミノフラン、アミノチオ
フェン、3−アミノピペリジン、4−アミノピペリジン、シクロヘキシルアミン
、シクロペンチルアミン、ピラゾロ[3,4−b]ピリジン、3−アミノブチロ
ラクタムまたは2−アミノシクロペンタノン;
B2は独立してセリン、スレオニン、グルタミン酸、チロシン、アスパラギン
酸、ヒドロキシプロリン、O−ベンジルセリン、N−メチルセリン、N−メチル
スレオニン、N−メチルグルタミン酸、N−メチルチロシン、またはN−メチル
アスパラギン酸;
X2はCO、CSまたはCR2R3;
Y2はヘテロアリール、O、S、NR1、CR2R3、アリール、C2〜5アルキル
、C2〜5アルケニル、C2〜5アルキニル、ナフチル、キシリル、CON(R3)、
ピペラジン、ビフェニル、ジアセチレンベンゼンまたはジビニルベンゼン;
R1、R2およびR3は独立して水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニルまた
はC2〜4アルキニル、C3〜7シクロアルキル、ヘテロアリールもしくはアリール
であり、それらのうちすべてが1個またはそれ以上のC1〜3アルキル基により置
換されていてもよく;
mおよびnは独立して0ないし5;
rは0ないし2;
sは0または1]
によっても示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
式IIにおいて、A2およびB2は、A2のアミノ基とB2のカルボキシル基とを縮
合させることにより合成されたアミド結合により結合している。
「アリール」は、フェニル、ベンジル、フェネチルまたはナフチルのごとき5
〜10個の炭素原子からなる芳香族環または環システムを意味する。好ましくは
、アリールは単環式、すなわち、フェニルである。
「ヘテロアリール」は、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ピリジ
ル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピロリル、フラニルまたはチエニルのごとき、
1個またはそれ以上のヘテロ原子を含んでいる芳香族環システムを意味する。
すべてのアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシ基は直鎖状であ
っても分枝状であってもよい。
「ハロゲン」なる用語は、ヨウ素、フッ素、塩素または臭素を意味するために
用いる。アルキル基は1個まはそれ以上のハロゲンにより置換ないし過ハロゲン
化されていてもよい。
本発明化合物は1個またはそれ以上の不斉炭素原子を含んでいてもよく、ラセ
ミ体および光学的に活性な形態として存在してもよい。これらの化合物およびジ
アステレオマーのすべてが本発明の範囲内にあると考えられる。
本発明化合物の医薬上許容される塩複合体も、本発明に包含される。
式Iの好ましい化合物は:
A1がピログルタミン酸、ピコリン酸、プロリン、ピペコリン酸、デヒドロプ
ロリン、アゼチジンカルボン酸、またはピロールカルボン酸;
B1がグルタミン酸、セリン、アスパラギン酸またはN−メチルセリン;
X1がNR1;
mおよびnが1または2;
Y1がフェニルまたはキシリル
rが1
sが0である化合物である。
特に好ましい化合物は:
N,N'−ビス(ピコリニル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼ
ン;
N,N'−ビス(ピログルタミル−グルタミル−β−アラニル)−1,4−ジアミ
ノベンゼン;および
N,N'−ビス(デヒドロプロリル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミノ
ベンゼン;
N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル−グリコール)−1,4−ジアミノキシレ
ン;
N,N'−ビス(プロリル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン
N,N'−ビス(アゼチジニル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミノベン
ゼン;
N,N'−ビス(ピコリノイル−N−メチルセリル−β−アラニル)−1,4−ジ
アミノベンゼン;
N,N'−ビス(ピロリル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン
である。
式IIの好ましい化合物は:
A2が2−アミノピリジン;
B2がセリン;
X2がCO;
mおよびnが2;
sが0
Y2がフェニル;
rが1である化合物である。
本発明は、以下のa)〜f)からなる方法により製造することにできる式(I
)の化合物を提供する:
a)rが1;mおよびnが0ないし5の同じ数;X1がO、SまたはNR1;s
が0または1であり、R1およびY1が式(I)の定義に同じである化合物を以下
のごとく製造する。N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、ED
C/HOBtのごとき標準的なカップリング試薬を用いて、式(2):
[式中、R1およびY1は式(I)の定義に同じ]
で示される化合物を適当に保護された式(3):
[式中、X1はO、SまたはNR1;mおよびnは0ないし4を意味する]
で示されるカルボン酸と反応させて式(4):
で示される化合物を得る。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、化合物(4)を適当に保護されたB1
(B1は式(I)における定義に同じ)と反応させて式(5):
で示される化合物を得る。次いで、N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当
な溶媒中、EDC/HOBtのごとき標準的なカップリング試薬を用いて、化合
物(5)をA1(A1は式(I)における定義に同じ)と反応させる。無水フッ化
水素により保護基を除去して式(I)の化合物を得る。
b)別法として、rが1;sが0または1;mおよびnが独立して0ないし5
(同じ値ではない);X1がO、SまたはNR1であって;R1およびY1が式(I
)の定義に同じである式(I)の化合物を以下の反応からなる方法により製造す
ることができる:
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、式(6):
[式中、R1およびY1は式(I)の定義に同じ、Pはt−ブチルカルバマートの
ごとき適当な保護基を意味する]
で示される化合物を、適当に保護された式(3)のカルボン酸と反応させて式(7)
:
で示される化合物を得る。
トリフルオロ酢酸のごとき適当な試薬により保護基Pを化合物(7)から開裂
させ、さらに、N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/
HOBtのごとき標準的なカップリング試薬を用いて、適当に保護された式(8)
:
[式中、X1はO、SまたはNR1;nおよびmは式(I)の定義に同じ]
で示されるカルボン酸と反応させて式(9):
で示される化合物を得る。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、化合物(9)を、適当に保護されたB1
(B1は式(I)のいける定義に同じ)と反応させて式(10):
で示される化合物を得る。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、化合物(10)を、式(I)において
定義した適当に保護されたA1(A1は式(I)における定義に同じ)と反応させ
る。無水フッ化水素で保護基を除去して式(I)の化合物を得る。
c)別法として、rが0;X1がO;SまたはNR1;sが0;Y1、R1、mお
よびnが式(I)の定義に同じである式(I)の化合物を以下の反応からなる方
法により製造することができる。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、式(11):
[式中、X1はO、SまたはNR1であってY1、R1、mおよびnは式(I)の定
義に同じ]
で示される化合物を、適当に保護されたB1(B1は式(I)における定義に同じ
)と反応させて式(12):
で示される化合物を得る。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、化合物(12)を、A1(A1は式(I
)における定義に同じ)と反応させる。無水フッ化水素で保護基を除去して式(
I)の化合物を得る。
d)別法として、rが1;mおよびnが0ないし5の同じ数;X1がCR2R3
;R1、R2、R3およびY1が式(I)の定義に同じである式(I)の化合物を、
以下の反応からなる方法により製造することができる。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、式(2)の化合物を式(13):
[式中、X1はCR2R3、sは0または1、mは0ないし5の数]
で示される化合物と反応させて式(14):
で示される化合物を得る。
次いで、テトラヒドロフランのごとき適当な溶媒中、銅(I)のごとき適当な
触媒の存在下で、化合物(14)の対応する有機マグネシウム部分を、適当に保
護されたB1(B1は式(I)における定義に同じ)の酸塩化物と反応させて式
(15):
で示される化合物を得る。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、化合物(15)を、式(I)において
定義されたA1と反応させる。無水フッ化水素で保護基を除去して式(I)の化
合物を得る。
e)別法として、rが1;mおよびnが独立して0ないし5であるが同じ数で
なく;X1がCR2R3;R1、R2、R3およびY1が式(I)の定義に同じである
式(I)の化合物を、以下の反応からなる方法により製造することができる。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、式(6)の化合物を、適当に保護され
た式(13)のカルボン酸と反応させて式(16):
で示される化合物を得る。
トリフルオロ酢酸のごとき適当な試薬により保護基Pを化合物(16)から開
裂させ、さらに、N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC
/HOBtのごとき標準的なカップリング試薬を用いて、適当に保護された式(
17):
[式中、X1はCR2R3;nは0ないし5の数]
で示されるカルボン酸と反応させて式(18):
で示される化合物を得る。
次いで、テトラヒドロフランのごとき適当な溶媒中、銅(I)のごとき適当な
触媒の存在下で、化合物(18)の対応する有機マグネシウム部分を、適当に保
護されたB1(B1は式(I)における定義に同じ)の酸塩化物と反応させて式(
19):
で示される化合物を得る。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、化合物(19)を、式(I)において
定義されたA1と反応させる。無水フッ化水素で保護基を除去して式(I)の化
合物を得る。
f)別法として、rが0;sが0;X1がCR2R3;Y1、R2、R3、mおよび
nが式(I)の定義に同じである式(I)の化合物を、以下の反応からなる方法
により製造することができる。
テトラヒドロフランのごとき適当な溶媒中、銅(I)のごとき適当な触媒の存
在下で、式(20):
[X1はCR2R3であって、R2、R3、m、nおよびY1は式(I)の定義に同じ
]
で示される有機マグネシウム化合物を、適当に保護されたB1(B1は式(I)に
おける定義に同じ)の酸塩化物と反応させて(21):
で示される化合物を得る。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、化合物(21)を、式(I)において
定義されたA1と反応させる。無水フッ化水素で保護基を除去して式(I)の化
合物を得る。
本発明は、以下のa)〜i)からなる方法により製造される式(II):
で示される化合物を提供する:
a)rが1;mおよびnが0ないし5の同じ数;sが式(II)の定義に同じで
あり、XがCOである式(II)の化合物を以下のように製造することができる。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのごと
き標準的なカップリング試薬を用いて、A2を適当に保護されたB2と反応させて
式(22):
で示される化合物を得る(A2およびB2は式(I)の定義に同じ)。次いで、N
,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのごとき
標準的なカップリング試薬を用いて、化合物(22)を式(23):
[式中、XはCO;mは0ないし4;Pはt−ブトキシカルボニルのごとき適当
な保護基;R1は式(II)の定義に同じ]
で示される化合物と反応させて式(24):
で示される化合物を得る。
トリフルオロ酢酸のごとき適当な試薬により、保護基Pを化合物(24)から
開裂させ、さらに、N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、ED
C/HOBtのごとき標準的なカップリング試薬を用いて、半当量の式(25)
:
[式中、Y2は式(II)の定義に同じ]
で示される化合物と反応させる。無水フッ化水素により保護基を除去して式(II
)の化合物を得る。
b)別法として、rが1;mおよびnが独立して0ないし5の数であるが同じ
数でなく;sが式(II)の定義に同じであり、X2がCOである式(II)の化合
物を、以下の反応からなる方法により製造することができる。
(a)と同様の方法で、式(24)の化合物を式(26):
で示される化合物と反応させて式(27):
で示される化合物を得る。
水性テトラヒドロフラン中水酸化リチウムのごとき標準的方法を用いて化合物
(27)のメチルエステルを加水分解し、さらに、N,N−ジメチルホルムアミ
ドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのごとき標準的なカップリング試薬
を用いて(24)の調製と同様の方法で調製された式(28):
で示される化合物と反応させる。無水フッ化水素により保護基を除去して式(II
)の化合物を得る。
c)別法として、rおよびsが0;X2がCO;s、mおよびnが式(II)の
定義に同じである式(II)の化合物を、以下の反応からなる方法により製造する
ことができる。
N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのご
とき標準的なカップリング試薬を用いて、式(22)の化合物を式(29):
で示される化合物と反応させる。次いで、無水フッ化水素を用いて保護基を除去
して式(II)の化合物を得る。
d)別法として、rが1;mおよびnが0ないし5の同じ数;X2がCR2R3
;R3が水素;sが式(II)の定義に同じである式(II)の化合物を、以下の反
応からなる方法により製造することができる。
脱水条件下で、式(22)の化合物を式(30):
[式中、Pはt−ブトキシカルボニルのごとき適当な保護基]
で示される化合物と反応させる。さらに、得られた生成物をシアノホウ素水素化
ナトリウムのごとき適当な還元剤と反応させて式(31):
で示される化合物を得る。
トリフルオロ酢酸のごとき適当な試薬により保護基Pを化合物(31)から開
裂させ、さらに、N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC
/HOBtのごとき標準的なカップリング試薬を用いて、半当量の式(25)の
化合物と反応させる。無水フッ化水素を用いて保護基を除去して式(II)の化合
物を得る。
e)別法として、rが1;mおよびnが0ないし5の同じ数;X2がCR2R3
;sが式(II)の定義に同じである式(II)の化合物を、以下の反応からなる方
法により製造することができる。
脱水条件下で式(22)の化合物を式(30)の化合物と反応させる。さらに
、得られた生成物を、式(32):
[式中、Mはリチウムのごとき適当な金属、R3は式(II)の定義に同じ]
で示される有機金属種と反応させて式(33):
で示される化合物を得る。
トリフルオロ酢酸のごとき適当な試薬により保護基Pを化合物(33)から開
裂させ、さらに、N,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒中、EDC
/HOBtのごとき標準的なカップリング試薬を用いて、半当量の式(25)の
化合物と反応させる。無水フッ化水素を用いて保護基を除去して式(II)の化合
物を得る。
f)別法として、rが1;mおよびnが独立して0ないし5の数であるが同じ
数でなく;X2がCR2R3;R3が水素;sが式(II)の定義に同じである式(II
)の化合物を、以下の反応からなる方法により製造することができる。
(d)と同様の方法で式(31)の化合物を式(26)の化合物と反応させて
式(34):
で示される化合物を得る。
水性テトラヒドロフラン中水酸化リチウムのごとき標準的方法を用いて式(3
4)のメチルエステルを加水分解し、さらに、N,N−ジメチルホルムアミドの
ごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのごとき標準的なカップリング試薬を用
いて(31)の調製と同様の方法で調製された式(35):
で示される化合物と反応させる。無水フッ化水素で保護基を除去して式(II)の
化合物を得る。
g)別法として、rが1;mおよびnが独立して0ないし5の数であるが同じ
数でなく;X2がCR2R3;sが式(II)の定義に同じである式(II)の化合物
を、以下の反応からなる方法により製造することができる。
(d)と同様の方法で、式(33)の化合物を式(26)の化合物と反応させ
て式(36):
で示される化合物を得る。
水性テトラヒドロフラン中水酸化リチウムのごとき標準的方法を用いて式(3
6)のメチルエステルを加水分解し、さらに、N,N−ジメチルホルムアミドの
ごとき適当な溶媒中、EDC/HOBtのごとき標準的なカップリング試薬を用
いて(33)の調製と同様の方法で調製された式(37):
で示される化合物と反応させる。無水フッ化水素で保護基を除去して式(II)の
化合物を得る。
h)別法として、rおよびsが0;X2がCR2R3;R3が水素;mおよびnが
式(II)の定義に同じである式(II)の化合物を、以下の反応からなる方法によ
り製造することができる。
脱水条件下で式(22)の化合物を式(38):
で示される化合物と反応させる。さらに、得られた生成物をシアノホウ素水素化
ナトリウムのごとき適当な還元剤を反応させて式(39):
で示される化合物を得る。
TFA、HF、HBr/HOAcのごとき適当な試薬での保護基の除去あるい
は水素添加により式(II)の化合物を得る。
i)別法として、rおよびsが0;X2がCR2R3、mおよびnが式(II)の
定義に同じである式(II)の化合物を、以下の反応からなる方法により製造する
ことができる。
式(22)の化合物を式(38)の化合物と反応させる。さらに、得られた生
成物を式(32)の有機金属種と反応させて式(40):
で示される化合物を得る。
無水フッ化水素での保護基の除去により式(II)の化合物を得る。
一般的に、刺激効果を発揮させるためには、1日あたり、かつ体重70kgあ
たり、50ng〜100mg、好ましくは500ng〜50mgの用量範囲で注
射により、あるいは0.05mg〜50mg、例えば100μg〜10mgの用
量範囲で経口的に本発明ペプチドをヒト患者に投与することができる。輸液また
は同様の方法により投与する場合には、体重70kgあたり0.5ng〜10m
gの範囲、例えば6日間にわたり約3マイクログラムであってもよい。原則とし
て、患者の細胞外液において約10-13M〜10-2Mのペプチド濃度とするのが
望ましい。
本発明のさらなる特徴によれば、医薬上許容される担体もしくは賦形剤と混合
された、本明細書においてすでに述べた式(I)もしくは式(II)の1種または
それ以上の活性成分またはその生理学的に適合する塩からなる医薬組成物が提供
される。本発明組成物を、例えば、経口、鼻腔内、非経口または直腸投与に適す
る形態として提供することができる。
本明細書に用いる用語「医薬上」は、本発明の獣医分野への適用を包含する。
これらのペプチドをカプセル封入、錠剤化してもよく、あるいは経口投与用にエ
マルジョンまたはシロップを調製してもよい。医薬上許容される固体または液体
担体を添加して組成物の安定化を促進してもよく、あるいは組成物の製造を容易
にしてもよい。液体担体は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、グリセリン
、セイラインおよび水を包含する。固体担体は、澱粉、ラクトース、硫酸カルシ
ウム二水和物、白陶土、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸、タル
ク、ペクチン、アラビアゴム、寒天またはゼラチンを包含する。さらに担体は、
モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グルセリルのみ、あるいはロ
ウを伴ったモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グルセリルのごと
き除放性物質を包含する。固体担体量は変化させられるが、好ましくは、1剤型
あたり約20mg〜約1gの間であろう。錠剤の場合には粉砕、混合、顆粒化お
よび打錠;硬ゼラチンカプセルの場合には粉砕、混合および充填をはじめとする
製薬における慣用的方法によって医薬調製物が製造される。1種ないし数種の活
性成分を含むカプセルを、例えば、活性成分をラクトースまたはソルビトールの
ごとき不活性担体と混合し、混合物をゼラチンカプセル中に充填することにより
製造することができる。液体担体を用いる場合には、調製物はシロップ、エリキ
シル、エマルジョンまたは水性もしくは非水性懸濁液の形態であろう。かかる液
体処方を、直接経口的に、あるいは軟ゼラチンカプセル中に充填して投与しても
よい。器官特異的担体システムを用いてもよい。
別法として、本発明ペプチドまたはその誘導体の医薬組成物を、経口投与用の
凍結乾燥粉末の溶液として処方してもよい。使用前に、適当な希釈剤または他の
医薬上許容される担体を添加することにより粉末を復元する。一般的には、液体
処方は、緩衝化された等張水溶液である。適当な希釈剤の例は通常の等張セイラ
イン溶液、標準水中5%デキストロースまたは緩衝化された酢酸ナトリウムもし
くは酢酸アンモニウム溶液である。かかる処方は、特に、非経口投与に適するが
、経口投与にも使用可能であり、吸入用の1回分用の吸入器または霧化器に入れ
てもよい。ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アラビア
ゴム、ポリエチレングリコール、マンニトール、塩化ナトリウムまたはクエン酸
ナトリウムのごとき賦形剤を添加することが望ましい。
直腸投与には、本発明ペプチドの粉砕粉末を、カカオバター、グリセリン、ゼ
ラチンまたはポリエチレングリコールのごとき賦形剤と混合し、坐薬に成型する
。粉砕粉末を油性調製物、ゲル、クリームまたはエマルジョンと混合してもよく
、緩衝化しても緩衝化しなくてもよく、さらに経皮パッチを通して投与してもよ
い。
水泳溶液と同様の鼻用スプレーを処方してもよく、エアロゾル推進剤または手
動で圧縮する手段を備えたプレー容器中に詰めてもよい。
本発明化合物を含有する1剤型は、好ましくは、0.05〜50mg、例えば
、0.05〜5mgの式(I)または(II)のペプチドもしくはその塩を含有する
。
さらなる本発明の特徴によれば、上記定義の有効量の医薬組成物を対象に投与
することからなる、骨髄造血の阻害方法が提供される。
本発明化合物を本発明に従って投与した場合、許容されない毒物学的効果は予
想されない。
式(I)または(II)の化合物の生物学的活性は以下の試験により示される。基質細胞によるコロニー刺激活性の誘導
ネズミ・骨髄基質細胞系C6をプラスチック組織培養皿において、5%FBS
含有RPMI−1640培地中で集密となるまで増殖させる。実験前日に、この
培地を無血清DMEMに交換する。これらの培養物に、1時間で0.1ピコグラ
ム/mlないし100マイクログラム/mlの範囲の量で化合物を添加する。培
地を新鮮DMEMに交換し、5%CO2下、37℃で24時間、細胞をインキュ
ベーションする。24時間後、C6細胞上清を集め、滅菌濾過し、下記造血コロ
ニー刺激活性(CSA)の存在に関して分析できるまで凍結する。軟ゲル分析
ルイス・ラット(Lewis rats)から骨髄細胞を得る。それらを無血清DMEM
中106個/mlに調節する。以下のものを用いる単層寒天システムを使用する
:栄養源(NaHCO3、ピルビン酸、アミノ酸、ビタミン、およびHEPES
バッファー)により富栄養化したDMEM;0.3%バクト(Bacto)・寒天、お
よび20%ルイス・ラットの血清。これに、希釈した上記C6細胞系上清(10
〜2.5%)をラット・骨髄細胞とともに添加する(最終密度=105個/ml)
。寒天プレートを、5%CO2下、37℃で7〜8時間インキュベーションする
。増殖している骨髄細胞(CFU−C)のコロニーを顕微鏡を用いて計数する。
計数された寒天上のコロニーは、C6骨髄基質細胞系上清中に存在するCSA量
に比例している。単純ヘルペスマウスモデル
感染7日前に、Balb/cマウスに、1、10および100マイクログラム
/kgの化合物を容量0.2mlとして1日1回腹腔内注射する。対照マウスに
は、希釈バッファー、DPBSおよび0.5%熱不活性化正常マウス血清の混合
物0.1mlを注射する。
各マウスの足の甲に、0.05mlのPBS中の5.0x105/pfuの懸濁
液を注射することにより、単純ヘルペス(MS株)を感染させる。瀕死の状態(
餌または水を摂取できなくなる)までマウスに化合物または対照を注射し続ける
。通常は、後足のマヒが感染8日後に起こる。脳炎が起こるまでマヒが進行する
。
別法として、膣経路によりウイルスを感染させる。5.0x105/pfuのM
S−NAP株を含む綿栓をマウスの膣に挿入する。
ウィルコキシン(Wilcoxin)試験を用いて、対照群に対して生存率の有意な増
加が処理群に見られるかどうかを調べる。カンジダ感染
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)B311株を用いる。この株は
マウスを経た後、−70℃で凍結してある。B311は5.0〜8.0x104c
fu/マウスの範囲において免疫抑制されたマウスに対して毒性があり、1.0
〜2.0x105cfu/マウスの範囲において正常マウスに対して毒性がある。
カンジダの凍結ストックからの試料を、サブロー(Sabouroud)デキストロース
斜面培地上で増殖させ、次いで、サブロー培地50mlでの振盪培養を18時間
行った。細胞を3回洗浄し、次いで、血球計数板により計数し、メチレン染色で
死菌を排除することにより生存率を確認した。植菌して生存率を算出してカウン
トを確実なものにした。
カンジダに感染したすべてのマウス(Balb/c)を、0.2mlセイライ
ン中に懸濁した細胞に感染させた。何匹かのマウスを、300radの放射線に
より死には至らない程度に骨髄抑制する。照射2時間後から、動物に、陽性対照
としてCSFまたは賦形剤を用い、1日10ng/kgないし100マイクログ
ラム/kgの範囲の量の化合物の注射を開始する。照射および処理開始から7日
後に、静脈注射を用いてマウスをカンジダ・アルビカンスに感染させる。この量
は正常マウスに関してほぼLD75を意味することに注意すること。他の研究に
おいてはマウスを免疫抑制しない。これらの研究において、照射されたマウスと
同様の方法で感染させてから7日後からマウスの処理を開始する。両方のモデル
において、マウスは瀕死状態まで試験され、その変化はウィルコキシン試験を用
いて比較される生存率である。
以下の実施例は本発明の説明に役立つ。実施例は本発明の範囲を限定するもの
ではないが、いかにして本発明化合物を製造し、使用するのかを示すために提供
される。
実施例において、温度はすべてセ氏である。
当該分野において用いられる略号およびシンボルを本明細書に用いて、ペプチ
ドおよびそれらの合成に使用する試薬を記載する。
Ala=アラニン
Apy=2−アミノピリジン
Asp=アスパラギン酸
Cys=システイン
DCU=ジシクロヘキシルウレア
DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド
Glu=グルタミン酸
HOBt=1−ヒドロキシベンジルトリアゾール
(Pr)2NEt=ジイソプロピルエチルアミン
NMM=N−メチルモルホリン
PyBOP=ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリピロリジノホスホニ
ウムヘキサフルオロホスフェート
Ser=セリン
Tyr=チロシン
実施例1
N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミノベン
ゼン
a) N,N'−ビス(BOC−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン
CH2Cl2(15ml)中の1,4−フェニレンジアミン二塩酸(0.500g
,2.76mmol)にEtNiPr2(1.06ml,6.08mmol)、次いで
、BOC−β−Ala(1.15g,6.08mmol)、HOBt(0.820g
,6.07mmol)およびEDC(1.16g,6.05mmol)を添加した。
反応混合物を室温で48時間撹拌した。水(50ml)に注ぐことにより反応を
停
止し、この時点で沈殿が観察された。これを集め、氷冷1N HCl(50ml
)で洗浄し、減圧乾燥して白色粉末(0.95g,76%)を得た。MS(ES+
)m/z451.2(MH+)。
b)N,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4−ジアミ ノベンゼン
CH2Cl2(25ml)中のN,N'−ビス(BOC−β−アラニル)−1,4−
ジアミノベンゼン(0.940g,2.09mmol)にTFA(5ml)を添加
した。反応物を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をCH2Cl2(
25ml)に溶解した。EtNiPr2(4.00ml,23.0mmol)、BO
C−Ser(Bzl)(1.36g,4.61mmol)、HOBt(0.620g
,4.59mmol)およびEDC(0.880g,4.59mmol)を順次添加
した。21時間室温に置いた後、1N HCl/ブライン(50ml,1:1
v/v)中に注ぐことにより反応を停止し、Et2O(3x50ml)で抽出し
た。合わせた有機層を1N HCl(20ml)、次いでブライン(20ml)
で洗浄し、濃縮して白色固体(2.92g)を得た。
c)N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4 −ジアミノベンゼン
CH2Cl2(25ml)中のN,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl)−β−ア
ラニル)−1,4−ジアミノベンゼン((b)からの粗物質2.92g,2.09m
mol)にTFA(5ml)を添加した。1時間後溶媒を減圧除去し、残渣をC
H2Cl2(25ml)に溶解した。EtNiPr2(4.00ml,22.9mmo
l)、ピコリン酸(0.570g,4.63mmol)、HOBt(0.620g,
4.59mmol)およびEDC(0.890g,4.64mmol)を順次添加し
た。室温に2日間置いた後、反応混合物を水(50ml)中に注いだ。得られた
沈殿を集め、Et2O(20ml)、次いで水(50ml)で洗浄し、減圧乾燥
して黄色固体(1.17g)を得た。
粗物質の一部(0.18g)をフラッシュクロマトグラフィー(5%〜10%M
eOH/EtOAc,シリカゲル)により精製して白色固体(0.03g)を得
た。
MS(ES+)m/z815.4(MH+)。
d)N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミ ノベンゼン
N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4−ジア
ミノベンゼン(68.9mg,85.0mmol)をHF容器に入れた。無水HF
(約5ml)を−78℃で容器中に濃縮し、次いで、密封し、0℃まで暖めた。
0℃で1時間置いた後、HFを減圧除去した。次いで、残渣を20%MeOH/
EtOAcに溶解し、固体NaHCO3で中和した(pH約8)。溶媒を除去し
て白色残渣を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(20%MeOH/Et
OAc,シリカゲル)に供して26.0mg(48%)の標記化合物を白色固体と
して得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ9.85(s,2H),8.67
(d,J=7.5Hz,4H),8.21(m,2H),8.03(m,4H),7.64
(m,2H),7.46(s,4H),7.37(s,2H),4.46(m,2H),3.
73(dd,J=13.9,5.6Hz,2H),3.66(dd,J=11.1,5.6
Hz,2H),3.36(m,4H),2.45(m,4H)。
MS(ES+)m/z635.2(MH+)
MS(ES−)m/z633(M−H)
実施例2
N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル−グリシル)−1,4−ジアミノベンゼン
a)N,N'−ビス(BOC−グリシル)−1,4−ジアミノベンゼン
CH2Cl2(15ml)中の1,4−ジアミノベンゼン二塩酸(0.500g,2
.76mmol)の懸濁液に、EtNiPr2(1.06ml,6.08mmol)、
BOC−Gly(1.06g,6.05mmol)、HOBt(0.820g,6.0
7mmol)およびEDC(1.16g,6.05mmol)を順次添加した。室
温に2日間置いた後、反応物を水(50ml)中に注ぐことにより反応停止した
。得られた沈殿を集め、水(50ml)で洗浄し、減圧乾燥して白色固体(0.
97g,83%)を得た。
MS(ES+)m/z423.2(MH+)。
b)N,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl)−グリシル)−1,4−ジアミノベ ンゼン
CH2Cl2(25ml)中のN,N'−ビス(BOC−グリシル)−1,4−ジア
ミノベンゼン(0.950g,2.25mmol)に、TFA(5ml)を添加し
た。室温に1時間置いた後、溶媒を減圧除去した。残渣をCH2Cl2(25ml
)に溶解し、EtNiPr2(4.30ml,25.0mmol)、BOC−Ser
(Bzl)(1.46g,4.95mmol)、HOBt(0.670g,4.96m
mol)およびEDC(0.950g,4.96mmol)を順次添加した。室温
に23時間置いた後、ブライン(50ml)中に注ぐことにより反応停止し、
Et2O(3x50ml)で抽出した。合わせた有機部分を1N HCl(25
ml)、次いでブライン(25ml)で洗浄し、濃縮して黄色残渣(3.42g
)を得た
c)N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl)−グリシル)−1,4−ジア ミノベンゼン
CH2Cl2(25ml)中のN,N'−ビス(セリル(Bzl)−グリシル)−1,
4−ジアミノベンゼン((b)からの粗物質3.42g,2.25mmol)の溶
液にTFA(5ml)を添加した。室温に1時間置いた後、溶媒を減圧除去した
。残渣をCH2Cl2(25ml)に溶解し、EtNiPr2(4.30ml,24.
7mmol)、ピコリン酸(0.610g,4.95mmol)、HOBt(0.6
70g,4.96mmol)およびEDC(0.950g,4.96mmol)を順
次添加した。2日後、水(50ml)中に注ぐことにより反応停止した。得られ
た沈殿を集め、水(20ml)で洗浄し、減圧乾燥してうすく着色した白色固体
(1.50g)を得た。
粗物質の一部(0.50g)をフラッシュクロマトグラフィー(5%〜10%
MeOH/EtOAc,シリカゲル)に供して白色固体(0.15g)を得た。
MS(ES+)m/z787.2(MH+)。
d)N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル−グリシル)−1,4−ジアミノベン ゼン
N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl)−グリシル)−1,4−ジアミノ
ベンゼンをHF容器に入れた。無水HF(約5ml)を−78℃で容器中に濃縮
し、次いで、密封し、0℃まで暖めた。0℃で1時間置いた後、HFを減圧除去
した。次いで、残渣を20%MeOH/EtOAcに溶解し、固体NaHCO3
で中和した(pH約8)。溶媒を除去して白色残渣を得、これをフラッシュクロ
マトグラフィー(20%MeOH/EtOAc,シリカゲル)に供して14mg
(44%)の標記化合物を白色固体として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ9.71(s,2H),8.80
(d,J=8.1Hz,2H)、8.68(d,J=5.4Hz,2H),8.54(m,
2H),8.06(m,4H),7.65(m,2H),7.55(s,4H),5.31
(m,2H),4.55(m,2H),3.91(d,J=5.4Hz,4H),3.89
(m,2H),3.80(m,2H)。
MS(ES+)m/z607.2(MH+)
MS(ES−)m/z605.2(M−H)
実施例3
N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル)−1,4−ジアミノブタン
a)N,N'−ビス(セリル(Bzl))−1,4−ジアミノブタン
CH2Cl2(50ml)中の1,4−ジアミノブタン(0.500ml,4.97
mmol)の溶液に、BOC−Ser(Bzl)(3.23g,10.9mmol)
、HOBt(1.48g,10.9mmol)およびEDC(2.10g,10.9mm
ol)を添加した。室温に2日間置いた後、反応物をEt2O(100ml)で
希釈し、1N HCl(20ml)、NaHCO3飽和溶液(20ml)、次い
でブライン(20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。濃縮して白色泡状物
質(8.19g)を得た。
粗物質の一部(2.00g)をフラッシュクロマトグラフィー(30%EtO
Ac/ヘキサン,シリカゲル)に供して白色固体(0.39g)を得た。
MS(ES+)m/z643.0(MH+)
MS(ES−)m/z687.2(M+HCOO-)
b)N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl))−1,4−ジアミノブタン
CH2Cl2(5ml)中のN,N'−ビス(セリル(Bzl))−1,4−ジアミノ
ブタン(0.23g,0.36mmol)の溶液にTFA(1ml)を添加した。
室温に1時間置いた後、溶媒を減圧除去した。残渣をCH2Cl2(5ml)に溶
解し、EtNiPr2(0.20ml,1.2mmol)、ピコリン酸(0.10g,
0.81mmol)、HOBt(0.11g,0.81mmol)およびEDC(0
.16g,0.81mmol)を順次添加した。室温に17時間置いた後、ブライ
ン(20ml)中に注ぐことにより反応停止し、Et2O(3x50ml)で抽
出した。合わせた有機部分をNa2SO4で乾燥し、濃縮して透明残渣(0.33
g)を得た。フラッシュクロマトグラフィー(5%〜20%MeOH/EtOA
c,シリカゲル)により0.12g(51%)の所望化合物を透明油状物質として
得た。
MS(ES+)m/z653.2(MH+)
MS(ES−)m/z651(M−H)
c)N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル)−1,4−ジアミノブタン
N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl))−1,4−ジアミノブタン(3
3.0mg,50.6μmol)をHF容器に入れた。無水HF(約5ml)を−
78℃で容器中に濃縮し、次いで、密封し、0℃まで暖めた。0℃で1時間置い
た後、HFを減圧除去した。次いで、残渣を20%MeOH/EtOAcに溶解
し、固体NaHCO3で中和した(pH約8)。溶媒を除去して白色残渣を得、
これをフラッシュクロマトグラフィー(20%MeOH/EtOAc,シリカゲ
ル)に供して10mg(42%)の標記化合物を得た。
1H NMR(400MHz,MeOH−d4)δ8.64(d,J=4.3Hz,
2H),8.09(d,J=7.9Hz,2H),7.95(dt,J=8.3,7.1H
z),7.56(dd,J=7.6,4.7Hz,2H),4.56(t,J=4.8Hz,
2H),3.94(dd,J=11.5,4.9Hz,2H),3.84(dd,J=11
.1,4.9Hz,2H),3.30(m,4H),1.55(m,4H)。
MS(ES+)m/z473.2(MH+)
MS(ES−)m/z471.0(M−H)
実施例4
N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル)−1,4−ジアミノベンゼン
a)N,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl))−1,4−ジアミノベンゼン
CH2Cl2(15ml)中の1,4−ジアミノベンゼン二塩酸(0.500g,
2.76mmol)およびBOC−Ser(Bzl)(1.79g,6.07mmol
)からなる0℃の懸濁液に、EtNiPr2(1.06ml,6.08mmol)を
添加した。次いで、DCC(1.25g,6.07mmol)およびDMAP(0.
820g,6.71mmol)を添加した。室温に22時間置いた後、反応物をE
t2O(50ml)で希釈し、セライトのパッドで濾過した。セライトをさらに
100mlのEt2Oで濯いだ。合わせた有機部分を減圧濃縮してうすく着色し
た白色固体(2.43g)を得た。フラッシュクロマトグラフィー(5%MeO
H/EtOAc,シリカゲル)により1.06g(58%)の所望化合物を白色固
体として得た。
MS(ES+)m/z663.2(MH+)。
b)N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl))−1,4−ジアミノベンゼ ン
CH2Cl2(10ml)中のN,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl))−1,4
−ジアミノベンゼン(0.47g,0.71mmol)の溶液にTFA(2ml)
を添加した。室温に1.5時間置いた後、溶媒を減圧除去した。残渣をCH2Cl2
(10ml)に再溶解し、EtNiPr2(0.54ml,2.1mmol)、ピ
コリン酸(0.19g,1.5mmol)、HOBt(0.21g,
1.5mmol)およびDCC(0.32g,1.5mml)を順次添加した。18
時間後、反応物をEt2O(50ml)で希釈し、セライトのパッドで濾過した
。セライトをさらにEt2O(50ml)で濯ぎ、合わせた有機部分を濃縮し橙
色油状物質(1.54g)を得た。フラッシュクロマトグラフィー(10%Me
OH/EtOAc,シリカゲル)により0.51g(定量的に)の所望化合物を白
色固体として得た。
MS(ES+)m/z673.2(MH+)
MS(ES−)m/z671.2(M−H)。
c)N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル)−1,4−ジアミノベンゼン
N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl))−1,4−ジアミノベンゼン(
0.108g,0.161mmol)をHF容器に入れた。無水HF(約5ml)
を−78℃で容器中に濃縮し、次いで、密封し、0℃まで暖めた。0℃で1時間
置いた後、HFを減圧除去した。次いで、残渣を20%MeOH/EtOAcに
溶解し、固体NaHCO3で中和した。これを濃縮して白色固体(0.228g)
を得た。
粗物質の一部(0.15g)をフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH
/EtOAc,シリカゲル)に供して14.0mgの純粋な生成物を白色固体とし
て得た。
1H NMR(400MHz,DMSP−d6)δ10.13(s,2H),8.7
6(d,J=8.0Hz,2H),8.71(d,J=4.4Hz,2H),8.05(m
,4H),7.65(m,2H),7.56(s,4H),4.66(m,2H),3.85
(dd,J=11.1,4.9Hz,2H),3.78(dd,J=11.1,4.8Hz,
2H)。
MS(ES+)m/z493.0(MH+)
MS(ES−)m/z491.0(M−H)。
実施例5
N,N'−ビス(ニコチノイル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼ
ン
a)N,N'−ビス(ニコチノイル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4− ジアミノベンゼン
CH2Cl2(15ml)中の、実施例1と同様にして調製されたN,N'−ビス
(BOC−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン(0.
39g)の溶液にTFA(15ml)を添加した。室温で1時間撹拌した後、混
合物を減圧濃縮した。残渣をトルエン(約2ml)とともに共沸させた。得られ
た白色固体をCH2Cl2(2ml)中に取り、EtNiPr2(0.65ml,3.
7mmol)を添加した。0℃において、得られた溶液の一部(1.3ml)を
、CH2Cl2(1ml)中の塩化ニコチノイル塩酸塩(0.11g,0.63mm
ol)の溶液に添加した。反応物を室温まで暖めた。18時間後、ブライン(1
00ml)中5%Na2cO3およびEt2O(50ml)からなる混合物中に注
ぐことにより反応停止した。得られた沈殿を集め、Et2Oで洗浄し、減圧乾燥
して白色粉末(0.20g)を得た。
粗物質の一部をフラッシュクロマトグラフィー(20%MeOH/EtOAc
,シリカゲル)により精製して白色粉末(40mg)を得た。
MS(ES+)m/z815.2(MH+)。
b)N,N'−ビス(ニコチノイル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミノ ベンゼン
N,N'−ビス(ニコチノイル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4−ジア
ミノベンゼン(38.1mg,46.8mmol)およびp−クレゾール(0.5m
l)をHF容器に入れた。無水HF(5ml)を−78℃で容器中に濃縮し、次
いで、密封して0℃まで暖めた。1時間後、HFを減圧除去した。残渣をEt2
O(75ml)およびH2O(25ml)間に分配させた。有機相をH2O(25
ml)、次いで0.1N AcOH(25ml)で抽出した。合わせた水性抽出
物を減圧濃縮して元の1/3の体積とした。残った溶液を凍結乾燥して白色粉末
(25.8mg)を得た。逆相調製用HPLC(5%〜20%CH3CN/H2O
)(0.1%TFA含有),ハミルトン(Hamilton)PRP−1 HPLC pr
epカラム)により標記化合物(21.1mg)を得た。
MS(ES+)m/z635.2(MH+)。
実施例6
N,N'−ビス(イソニコチノイル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミノベ
ンゼン
a)N,N'−ビス(イソニコチノイル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1, 4−ジアミノベンゼン
CH2Cl2(15ml)中の、実施例と同様に調製されたN,N’−ビス(B
OC−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン(0.38
g)の溶液にTFA(15ml)を添加した。室温で1時間撹拌した後、混合物
を減圧濃縮した。残渣をトルエン(約2ml)とともに共沸させた。
得られた白色固体をDMF(2ml)中に取り、EtNiPr2(0.65ml,
3.7mmol)を添加した。この溶液の一部(1.3ml)を、CH2Cl2(1
ml)中の塩化ニコチノイル塩酸塩(0.12g,0.66mmol)の溶液に添
加した。反応物を室温まで暖めた。18時間後、ブライン(100ml)中5%
Na2cO3およびEt2O(50ml)からなる混合物中に注ぐことにより反応
停止した。得られた沈殿を集め、Et2Oで洗浄し、減圧乾燥して白色粉末(0.
20g)を得た。
粗物質の一部をフラッシュクロマトグラフィー(20%MeOH/EtOAc
,シリカゲル)により精製して白色粉末(33mg)を得た。
MS(ES+)m/z815.2(MH+)。
b)N,N'−ビス(イソニコチノイル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジア ミノベンゼン
N,N'−ビス(イソニコチノイル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4−
ジアミノベンゼン(33.4mg,41.0mmol)およびp−クレゾール(0.
5ml)をHF容器に入れた。無水HF(5ml)を−78℃で容器中に濃縮し
、次いで、密封して0℃まで暖めた。1時間後、HFを減圧除去した。残渣をE
t2O(75ml)およびH2O(25ml)間に分配させた。有機相をH2O(
25ml)、次いで0.1N AcOH(25ml)で抽出した。合わせた水性
抽出物を減圧濃縮して元の1/3の体積とした。残った溶液を凍結乾燥して白色
粉末(13.2mg)を得た。逆相調製用HPLC(5%〜20%CH3CN/H2
O)(0.1%TFA含有),ハミルトン(Hamilton)PRP−1 HPLC
prepカラム)により標記化合物(3.7mg)を得た。
MS(ES+)m/z635.2(MH+)。
実施例7
N,N'−ビス(ピログルタモイル−グルタモイル−β−アラニル)−1,4−ジア
ミノベンゼン
a)N,N'−ビス(BOC−グルタモイル(OBzl)−β−アラニル)−1,4 −ジアミノベンゼン
CH2Cl2(20ml)中の、実施例1と同様に調製されたN,N’−ビス(
BOC−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン(0.50g,1.1mmol
)の溶液にTFA(5ml)を添加した。室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧除
去し、残渣をDMF(5ml)に溶解した。EtNiPr2(2.0ml,11m
mol)、BOC−Glu(OBzl)(1.1g,3.3mmol)、HOBt(
0.90g,6.6mmol)およびBOP試薬(1.5g,3.3mmol)を順次
添加した。18時間後、反応物をH2O(100ml)およびEt2O(50ml
)中に注いだ。得られた沈殿を集め、Et2O(20ml)、次いで水(50m
l)で洗浄し、減圧乾燥して白色固体(0.48g)を得た。
MS(ES+)m/z889.4(MH+)。
b)N,N'−ビス(ピログルタモイル−グルタモイル(OBzl)−β−アラニ ル)−1,4−ジアミノベンゼン
CH2Cl2(6ml)中のN,N'−ビス(BOC−グルタモイル(OBzl)−
β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン(0.48g,0.54mmol)の溶
液にTFA(3ml)を添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧
除去し、残渣をDMF(5ml)に溶解した。EtNiPr2(0.94ml,5.
4mmol)、p−Glu(0.21g,1.6mmol)、HOBt(0.44g
,3.3mmol)およびBOP試薬(0.72g,1.6mmol)を
順次添加した。48時間後、1N HCl(50ml)、ブライン(50ml)
およびEt2O(50ml)からなる混合物中に反応物を注いだ。生じた沈殿を
集め、減圧乾燥して白色固体(0.80g)を得た。
粗物質の一部(0.28g)をEtOAc(50ml)および1N HCl(
50ml)に再懸濁した。沈殿を集め、EtOAc(20ml)、次いで水(2
0ml)で洗浄し、減圧乾燥して所望化合物を白色固体(0.11g)として得
た。
MS(ES+)m/z889.4(MH+)。
c)N,N'−ビス(ピログルタモイル−グルタモイル−β−アラニル)−1,4 −ジアミノベンゼン
N,N'−ビス(ピログルタモイル−グルタモイル(OBzl)−β−アラニル)−
1,4−ジアミノベンゼン(30mg,0.03mmol)をHF容器に入れた。
無水HF(約5ml)を−78℃で容器中に濃縮し、次いで、密封し、0℃まで
暖めた。1時間置いた後、HFを減圧除去し、残渣を1%TFA/H2O(20
ml)およびEt2O(10ml)間に分配させた。Et2O層を捨て、水相を凍
結乾燥して標記化合物(27mg)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ9.88(s,2H),8.11
(d,J=8.0Hz,2H),8.01(ブロード s,2H),7.79(s,2H),
7.49(s,4H),4.23(m,2H),4.06(m,2H),3.30(m,4
H),2.50(m,8H),2.30〜170(m,8H)。
MS(ES+)m/z7312(MH+)
MS(ES−)m/z729.0(M−H)。
実施例8
N−5'−(ピログルタモイル−グルタモイル−アミノ)ペンチル−6−(ピログル
タモイル−グルタモイル−アミノ)ヘキサンアミド
a)N−5'−(BOC−アミノ)ペンチル−6−アミノ−ヘキサンアミド
BOC−ε−カプロン酸(2.10g,9.09mmol)、EDC(2.04g
,10.6mmol)、HOBt(1.44g,10.6mmol)およびEtNi
Pr2(1.90ml,10.9mmol)を、DMF(45ml)中のN−BOC
−1,5−ジアミノペンタン(1.79g,8.86mmol)の溶液に添加した。
室温に24時間置いた後、水(100ml)中に注ぐことにより反応停止し、E
tOAc(3x50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を1N HCl(2
0ml)、次いでブライン(20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し
て黄色残渣を得た。フラッシュクロマトグラフィー(10%MeOH/EtOA
c,シリカゲル)により所望化合物を白色泡状物質(2.97g,81%)として
得た。
b)N−5'−(BOC−グルタモイル(OBzl)−アミノ)ペンチル−6−(B OC−グルタモイル(OBzl)−アミノ)−ヘキサンアミド
CH2Cl2(15ml)中のN−5'−(BOC−アミノ)ペンチル−6−アミ
ノ−ヘキサンアミド(0.43g,1.04mmol)の溶液にTFA(5ml)
を添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をDMF
(5ml)中に溶解した。EtNiPr2(1.80ml,10.3mmol)、B
OC−Glu(OBzl)(1.05g,3.11mmol)、HOBt(0.84
g,6.22mmol)およびBOP試薬(1.37g,3.10mmol)を順次
添加した。18時間後、反応物を、1N HCl(50ml)およびブライン(
50ml)からなる混合物中に注いだ。水相をEtOAc(3x50ml)で抽
出した。合わせた有機抽出物を1N HCl(50ml)、次いでブライン
(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。濃縮により所望化合物(1.9
3g)を得た。
c)N−5'−(ピログルタモイル−グルタモイル(OBzl)−アミノ)ペンチ ル−6−(ピログルタモイル−グルタモイル(OBzl)−アミノ)ヘキサンアミド
CH2Cl2(14ml)中のN−5'−(BOC−グルタモイル(OBzl)−ア
ミノ)ペンチル−6−(BOC−グルタモイル(OBzl)−アミノ)ヘキサンアミ
ド(1.93g,1.04mmol)の溶液にTFA(6ml)を添加した。反応
物を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をDMF(10ml)に溶
解した。EtNiPr2(2.70ml,15.5mmol)、p−Glu(0.4
5g,3.10mmol)、HOBt(0.42g,3.11mmol)およびBO
P試薬(1.37g,3.10mmol)を順次添加した。48時間後、反応物を
、水(50ml)およびEtOAcからなる混合物に注いだ。生じた沈殿を集め
、Et2Oで濯ぎ、減圧乾燥して所望化合物を白色固体として得た。
MS(ES+)m/z876.2(MH+)
MS(ES−)m/z920(m+HCO2 -)
d)N−5'−(ピログルタモイル−グルタモイル−アミノ)ペンチル−6−(ピ ログルタモイル−グルタモイル−アミノ)ヘキサンアミド
N−5'−(ピログルタモイル−グルタモイル(OBzl)−アミノ)ペンチル−
6−(ピログルタモイル−グルタモイル(OBzl)−アミノ)ヘキサンアミド(9
2mg,0.11mmol)をHF容器に入れた。無水HF(約5ml)を−78
℃で容器中に濃縮し、次いで、密封し、0℃まで暖めた。1時間置いた後、HF
を減圧除去し、残渣を1%TFA/H2O(20ml)およびEt2O(10ml
)間に分配させた。Et2O層を捨て、水相を凍結乾燥して標記化合物(46m
g)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ8.08(d,J=7.9Hz,
2H),7.91(m,2H),7.91(s,2H),7.73(m,2H),4.90
(ブロード s,1H),4.23(m,2H),4.07(m,2H),3.00(m
,6H),2.30〜2.00(m,12H),1.90(m,4H),1.75(m,2H),
1.50〜1.38(m,8H),1.24(m,4H)。
MS(ES+)m/z696.2(MH+)
MS(ES−)m/z694.2(M−H)。
実施例9
N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル−β−アラニル)−1,5−ジアミノナフタ
レン
a)N,N'−ビス(BOC−β−アラニル)−1,5−ジアミノナフタレン
CH2Cl2(45ml)中の1,5−ジアミノナフタレン(0.50g,3.16
mmol)の懸濁液に、BOC−β−Ala(1.4g,7.4mmol)、ED
C(1.3g,6.9mmol)、HOBt(0.9g,6.7mmol)およびEt3
N(1.1ml,7.9mmol)を添加した。還流してから2.5時間後、反応
物を室温まで冷却し、水(100ml)中に注ぐことにより反応停止した。生じ
た沈殿を集め、減圧乾燥して所望化合物を白色固体(0.49g)として得た。
MS(ES+)m/z501.2(MH+)
MS(ES−)m/z499.0(M−H)。
b)N,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,5−ジアミ ノナフタレン
CH2Cl2(9ml)中のN,N'−ビス(BOC−β−アラニル)−1,5−ジ
アミノナフタレンの溶液にTFA(3ml)を添加した。反応物を室温で1時間
撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をDMF(3ml)に溶解した。
EtNiPr2(1.00ml,5.74mmol)、BOC−Ser(Bzl)(0
.53g,1.80mmol)、HOBt(0.49g,3.63mmol)およびB
OP試薬(0.80g,1.80mmol)を順次添加した。24時間後、反応物
を水(100ml)中に注いだ。生じた沈殿を集め、1N HCl、次いでH2
Oで濯ぎ、減圧乾燥して所望化合物をうす紫色固体(0.31g)として得た。
MS(ES+)m/z855.4(MH+)
c)N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,5− ジアミノナフタレン
CH2Cl2(2ml)中のN,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl)−β−アラ
ニル)−1,5−ジアミノナフタレン(70mg,0.08mmol)の溶液にTF
A(1ml)を添加した。反応物を室温で1.5時間撹拌した。溶媒を減圧除去
し、残渣をDMF(5ml)に溶解した。EtNiPr2(0.14ml,0.80
mmol)、ピコリン酸(0.03g,0.24mmol)、HOBt(0.07g
,0.52mmol)およびBOP試薬(0.11g,0.25mmol)を順次添
加した。24時間後、反応物を水(50ml)中に注いだ。生じた沈殿を集め、
H2Oで濯ぎ、減圧乾燥して所望化合物(0.08g)を得た。
MS(ES+)m/z865.4(MH+)
MS(ES−)m/z863.2(M−H)。
d)N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル−β−アラニル)−1,5−ジアミノ ナフタレン
N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,5−ジア
ミノナフタレン(14mg,0.02mmol)をHF容器に入れた。無水HF(
約5ml)を−78℃で容器中に濃縮し、次いで、密封し、0℃まで暖めた。1
時間置いた後、HFを減圧除去し、残渣を1%TFA/H2O(20ml)およ
びEt2O(10ml)間に分配させた。Et2O層を捨て、水相を凍結乾燥して
標記化合物を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ9.95(s,2H),8.70
(m,4H),8.25(m,2H),8.05(m,4H),7.90(m,2H),7.
65(m,4H),7.50(m,2H),4.50(m,2H),3.70(m,4H)
,3.35(m,4H),2.70(m,4H)。
MS(ES+)m/z685.2(MH+)
MS(ES−)m/z797.2(M-+TFA)。
実施例10
トランス−N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジア
ミノシクロヘキサン
a)トランス−N,N'−ビス(BOC−β−アラニル)−1,4−ジアミノシク ロヘキサン
DMF(25ml)中のトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン(0.50
g,4.38mmol)の溶液に、BOC−β−Ala(2.48g,13.1mm
ol)、HOBt(3.55g,26.3mmol)、BOP試薬(5.81g,1
3.1mmol)およびEtNiPr2(7.60ml,43.6mmol)を添加
した。室温に20時間置いた後、反応物を、氷、1N HCl(150ml)お
よびEt2O(50ml)からなる混合物に注いだ。生じた沈殿を集め、1N
HCl、次いでEtOAcで洗浄し、減圧乾燥して所望化合物を白色粉末(1.
80g)として得た。
MS(ES+)m/z457.2(MH+)。
b)トランス−N,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1, 4−ジアミノシクロヘキサン
CH2Cl2(30ml)中のトランス−N,N'−ビス(BOC−β−アラニル)
−1,4−ジアミノシクロヘキサン(1.00g,2.19mmol)の溶液にTF
A(10ml)を添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧除去し
、残渣をDMF(10ml)に溶解した。EtNiPr2(3.80ml,21.8
mmol)、BOC−Ser(Bzl)(1.94g,6.57mmol)、HO
Bt(1.78g,13.2mmol)およびBOP試薬(2.91g,6.58mm
ol)を順次添加した。2.5時間後、反応物を、氷、1N HCl(100m
l)およびEt2O(50ml)からなる混合物に注いだ。生じた沈殿を集め、
H2Oで洗浄し、減圧乾燥して所望化合物を(1.44g)を得た。
MS(ES+)m/z811.4(MH+)。
c)トランス−N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl)−β−アラニル) −1,4−ジアミノシクロヘキサン
CH2Cl2(18ml)中のトランス−N,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl
)−β−アラニル)−1,4−ジアミノシクロヘキサン(1.09g,1.35mmo
l)の溶液にTFA(6ml)を添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。溶
媒を減圧除去し、残渣をDMF(6ml)に溶解した。EtNiPr2(2.35
ml,13.5mmol)、ピコリン酸(0.50g,4.06mmol)、HOB
t(1.09g,8.07mmol)およびBOP試薬(1.79g,4.05mmo
l)順次添加した。6時間後、反応物を、ブライン(100ml)およびEt2
O(50ml)からなる混合物に注いだ。生じた沈殿を集め、水で濯ぎ、減圧乾
燥して所望化合物(1.04g)を得た。
MS(ES+)m/z821.4(MH+)。
d)トランス−N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル−β−アラニル)−1,4 −ジアミノシクロヘキサン
トランス−N,N'−ビス(ピコリノイル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−
1,4−ジアミノシクロヘキサン(26mg,0.03mmol)をHF容器に入
れた。無水HF(約5ml)を−78℃で容器中に濃縮し、次いで、密封し、0
℃まで暖めた。1時間置いた後、HFを減圧除去し、残渣を1%TFA/H2O
(20ml)およびEt2O(10ml)間に分配させた。Et2O層を捨て、水
相を凍結乾燥して標記化合物を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ8.66(m,4H),8.36
(m,2H),8.05(m,6H),7.60(m,2H),5.41(m,1H),5.
08(m,1H),4.41(m,1H),3.70(m,5H),3.45(m,2H)
,3.27(m,4H),2.21(m,4H),1.74(m,4H),1.17(m,4
H)。
MS(ES+)m/z641.2(MH+)。
実施例11
N,N'−ビス(3,4−デヒドロプロリル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジア
ミノベンゼン
a)N,N'−ビス(3,4−デヒドロプロリル−セリル(Bzl)−β−アラニル )−1,4−ジアミノベンゼン
実施例1(c)と同様の方法で、N,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl)−
β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン(0.38g,0.35mmol)をC
H2Cl2(10ml)中のTFA(10ml)と反応させた。1時間後、溶媒
を減圧除去し、残渣をDMF(2ml)に溶解した。この溶液の一部(1ml)
を取り、実施例1(c)と同様の方法で、EtNiPr2(0.10ml,0.57
mmol)、BOC−3,4−デヒドロプロリン(0.11g,0.53mmol
)、HOBt(0.12g,0.86mmol)およびBOP試薬(0.24g,0.
53mmol)反応させて白色沈殿を得た。フラッシュクロマトグラフィー(1
0%MeOH/EtOAc,シリカゲル)により純粋な生成物(73mg)を得
た。
MS(ES+)m/z995.4(MH+)。
b)N,N'−ビス(3,4−デヒドロプロリル−セリル−β−アラニル)−1,4 −ジアミノベンゼン
実施例1(d)と同様の方法で、N,N'−ビス(3,4−デヒドロプロリル−セ
リル(Bzl)−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン(41.1mg,0.
041μmol)を無水HF(約5ml)と反応させて粗生成物(28.1mg
)を得た。調製用逆相HPLC(5%〜80%CH3CN/H2O(0.1%TF
A含有),ハミルトン PRP−1カラム)により15.1mg(59%)の標記
化合物を白色固体として得た。
MS(ES+)m/z615.2(MH+)。
実施例12
N,N'−ビス(2−ピロールカルボニル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジア
ミノベンゼン
a)N,N'−ビス(2−ピロールカルボニル−セリル(Bzl)−β−アラニル) −1,4−ジアミノベンゼン
実施例1と同様にして調製されたN,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl)−β
−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン(387mg,360μmol)をCH2
Cl2(15ml)に懸濁し、TFA(15ml)をそのまま添加し、即座に混
合物を均質化させた。室温で90分撹拌した後、混合物を減圧濃縮して油状物質
とし、これをDMF(1ml)中に取り、DIEA(400μl,2.3mmol
)で中和した。
ピロール−2−カルボン酸(69mg,624μmol)をSOCl2(2.5
ml)に溶解し、−20℃で1時間撹拌した。溶媒を減圧除去して白色固体を得
、これをCH2Cl2(1ml)に溶解した。脱保護された上で得た化合物を数滴
のDMFを含有するCH2Cl2(2ml)中に取り、DIEA(650μl,3.
73mmol)で中和した。この溶液の半分(1ml,約180μmol)を−
20℃において酸塩化物溶液に添加した。さらにDIEA(100μl,574
mmol)を添加し、反応物を18時間撹拌し、その間、室温まで徐々に暖めた
。反応物を、ブライン(100ml)中Et2O(50ml)および5%Na2C
O3からなる撹拌されている混合物にすばやく添加し、白色沈殿を生じさせた。
濾過により固体を取り、減圧乾燥下に貯えた。フラッシュクロマトグラフィ−(
20%MeOH/EtOAc,シリカゲル)により精製を行い、18mg(12
%)の所望化合物を得た。
MS(ES+)m/z791.4(MH+)。
b)N,N'−ビス(2−ピロールカルボニル−セリル−β−アラニル)−1,4 −ジアミノベンゼン
マグネチックスターラーバーを備えたテフロン製のHF開裂用容器中で、N,
N'−ビス(2−ピロールカルボニル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4−
ジアミノベンゼン(14mg,17μmol)をp−クレゾール(0.5ml)に
溶解した。容器を−78℃まで冷却し、水流アスピレーターを用いて脱気した。
無水HF(約5ml)を容器中に濃縮し、冷浴を0℃のものに交換し。
反応物を1時間撹拌した。アスピレーターによる減圧下でHFを注意深く除去し
、残渣をEt2O(25ml)中に取り、次いで、H2O(4x25ml)、さら
に0.1N HOAc(1x25ml)で抽出した。合わせた水層を減圧濃縮し
て3分の1未満の体積とし、凍結乾燥して白色粉末を得た。逆相HPLC(CH3
CN/H2O+0.1%TFA,グラジエント,ハミルトン PRP−1)による
精製を行って7mg(66%)の標記化合物を得た。
MS(ES+)m/z611.2(MH+)。
実施例13
N,N'−ビス(プロリル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン
a)N,N'−ビス(BOC−プロリル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1, 4−ジアミノベンゼン
実施例1と同様にして調製されたN,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl)−
β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン(101mg,126mmol)をC
H2Cl2(2ml)中に懸濁し、TFA(2ml)をそのまま添加し、即座に混
合物を均質化させた。室温で90分撹拌した後、混合物を減圧濃縮して油状物質
とし、これをDMF(1ml)中に取り、DIEA(400μl,2.3mmol
)で中和した。溶液を、HOBt(84mg,623μmol)およびBoc−
Pro(137mg,636μmol)を入れたバイアルに添加した。BPO試
薬(284mg,643μmol)を添加し、反応物を18時間撹拌した。次い
で、反応物を、Et2O(50ml)、1N HCl(50ml)およ
びブライン(50ml)からなる撹拌されている混合物にすばやく添加し、白色
沈殿を生じさせた。20分撹拌後、濾過により沈殿を除去し、減圧デシケーター
中で乾燥させた。フラッシュクロマトグラフィー(10%MeOH/EtOAc
,シリカゲル)により78mg(62%)の標記化合物を白色粉末として得た。
MS(ES+)m/z999.4(MH+)。
b)N,N'−ビス(プロリル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミノベン ゼン
実施例12(b)と同様の方法で、N,N'−ビス(BOC−プロリル−セリル(
Bzl)−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン(32mg,32μmol)
、アニソール(0.5ml,p−クレゾールの代わりに使用)およびHF(5ml
)から、逆相HPLC精製(CH3CN/H2O+0.1%TFAグラジエント,ハ
ミルトン PRP−1カラム)を行った後、13mg(65%)の標記化合物を
得た。
MS(ES+)m/z619.4(MH+)。
実施例14
N,N'−ビス(アセチジンカルボニル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジアミ
ノベンゼン
a)N−BOC−アゼチジンカルボン酸
ジオキサン(25ml)中のアゼチジン−2−カルボン酸(1.04g,10.
3mmol)の懸濁液に、5%NaHCO3(25ml)およびn−ブタノ
ール(3ml)添加した。ジカルボン酸ジ−t−ブチル(2.23g,10.2m
mol)を添加し、反応物を室温で24時間撹拌した。H2O(50ml)およ
びCHCl3(100ml)添加することにより反応を停止した。3N H2SO4
を添加することにより混合物を酸性にし、pH2とした。相分離させた後、さ
らに水層をCHCl3(2x50ml)で抽出した。合わせた有機層を1N H
Cl(2x50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧濃縮して透
明油状物質を得た。EtOAc/ヘキサンからの再結晶化により1.56gの所
望化合物を得た。母液を減圧濃縮してさらに406mgの所望生成物を得た(9
5%)。
MS(ES+)m/z202.0(MH+)。
b)N,N'−ビス(BOC−アゼチジンカルボニル−セリル−β−アラニル)− 1,4−ジアミノベンゼン
実施例13(a)と同様の方法で、CH2Cl2(1ml)およびTFA(1m
l)中でN,N'−ビス(BOC−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4−
ジアミノベンゼン(102mg,126μmol)を脱保護し、次いで、DMF
(1ml)中の、DIEA(220μl,1.3mmol)、HOBt(86mg
,637μmol)、N−BOC−アゼチジンカルボン酸(76mg,378μm
ol)およびBOP試薬(281mg,636μmol)と反応させて、フラッ
シュクロマトグラフィー(15%MeOH/EtOAc,シリカゲル)を行った
後43mg(36%)の所望化合物を白色粉末として得た。
MS(ES+)m/z971.4(MH+)。
c)N,N'−ビス(アゼチジンカルボニル−セリル−β−アラニル)−1,4− ジアミノベンゼン
実施例12(b)と同様の方法で、N,N'−ビス(BOC−アゼチジンカルボ
ニル−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン(31m
g,32μmol)、アニソール(0.5ml,p−クレゾールの代わりに使用)
およびHF(5ml)から、逆相HPLC精製(CH3CN/H2O+0.1%T
FAグラジエント,ハミルトン PRP−1カラム)を行った後、14mg(7
5%)の標記化合物を2つのジアステレオマーとして得た(絶対的な立体化学に
割り当てることなく、別々にアゼチジンカルボン酸から単離)。
MS(ES+)m/z591.2(MH+)。
実施例15
N,N'−ビス(ピコリノイル−N−メチル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジ
アミノベンゼン
a)N,N'−ビス(Fmoc−N−メチル−セリル−β−アラニル)−1,4− ジアミノベンゼン
実施例1と同様に調製されたN,N'−ビス(BOC−β−アラニル)−1,4
−ジアミノベンゼン(90mg,199μmol)をCH2Cl2(1ml)に懸
濁し、TFA(1ml)そのまま添加し、即座に混合物を均質化させた。室温で
90分撹拌した後、混合物を減圧濃縮して油状物質とし、これをDMF(1ml
)中に取り、DIEA(420μl,2.4mmol)で中和した。
Fmoc−N−MeSer(Bzl)(259mg,601μmol)をDM
F(5ml)に溶解した。HOBt(135mg,997μmol)およびBO
P試薬(267mg,604μmol)を添加し、混合物を5分間撹拌した。次
いで、活性化したアミノ酸を上で得られた生成物に添加し、反応物を18時間撹
拌した。ブライン(100ml)中Et2O(50ml)および5%Na2CO3
からなる速く撹拌されている混合物に反応物を添加して白色沈殿を生じさせた。
これを集め、減圧乾燥して259mgの所望生成物を白色粉末として
得た。これをさらに精製せずに次の工程に使用した。
MS(ES+)m/z1077.4(MH+)。
b)N,N'−ビス(ピコリノイル−N−メチル−セリル(Bzl)−β−アラニ ル)−1,4−ジアミノベンゼン
N,N'−ビス(Fmoc−N−メチル−セリル−β−アラニル)−1,4−ジア
ミノベンゼン(129mg,120μmol)をCH2Cl2(1.6ml)に溶解
した。ピペリジン(400μl)を添加し、反応物を90分撹拌した。反応混合
物を減圧濃縮して、トルエンとともに数回共沸させた後、黄褐色固体を得た。該
化合物を高真空下に約5時間置いて痕跡量のピペリジンを除去した。相分離させ
た後、水層をCHCl3(2x50ml)で抽出し、合わせた有機層をH2O(2
x50ml)、次いでブライン(1x50ml)で洗浄した。有機層をNa2S
O4で乾燥し、次いで、濾過し、溶媒を減圧除去し、黄色油状物質を得、これを
フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/EtOAc,シリカゲル)によ
り精製して77mg(76%)の所望化合物を得た。
MS(ES+)m/z843.4(MH+)。
c)N,N'−ビス(ピコリノイル−N−メチル−セリル−β−アラニル)−1, 4−ジアミノベンゼン
実施例12(b)と同様の方法で、N,N'−ビス(ピコリノイル−N−メチル
−セリル(Bzl)−β−アラニル)−1,4−ジアミノベンゼン(69mg,82
μmol)、p−クレゾール(0.5ml)およびHF(5ml)から、逆相H
PLC精製(CH3CN/H2O+0.1%TFAグラジエント,ハミルトン PR
P−1カラム)を行った後、23mg(41%)の標記化合物を得た。
MS(ES+)m/z663.2(MH+)。
実施例16
(Pic−Ser−Gly)2−α,α'−ジアミノ−p−キシレンの調製
a)(Boc−Gly)2−PDAX: Boc−Gly−OH(876mg,5
mmol)をCH2Cl2(25ml)に溶解し、HOBt(676mg,5mm
ol)およびDCC(1032mg,5mmol)を添加し、混合物を15分撹
拌した。沈殿したDCUを濾別し、CH2Cl2(5ml)で洗浄した。合わせた
濾液および洗液を添加して、CH2Cl2(25ml)中α,α'−ジアミノ−p−
キシレン(PDAX;341mg,2.5mmol)およびPri 2NE(0.92
ml,5mmol)からなる溶液を調製した。沈殿がすぐに生じた。混合物を一
晩撹拌し、次いで、ロータリーエバポレーターに供し、高真空乾燥した。残渣を
5%NaHCO3水溶液(50ml)中に分散させ、生成物をCH2Cl2(全部
で150ml;溶解を促進するために少量のMeOHを添加)中に抽出した。残
渣をEt2Oから再沈殿させ、濾別した。乾燥後、標記化合物(958mg,85
.1%)を非常に白い柔らかい粉末として得た。TLC Rf0.44(85:1
0.5 CHCl3/MeOH/AcOH)。
b)(Z−Ser(t−Bu)−Gly)2−PDAX: (Boc−Gly)2−P
DAX(400mg,0.89mmol)を1%H2OCF3COOH(40ml)
に溶解し、溶液を90分撹拌した。次いで、ロータリーエバポレーターに供し、
PhMeとともに2回蒸発させ、高真空乾燥した。(H−Gly)2−PDAX・
2CF3COOHの油状残渣をDMF(15ml)に溶解し、Z−Ser(t−B
u)−OH(680mg,1.77mmol)に添加し、DMF(5ml)中の
PyBOP(923mg,1.77mmol)、HOBt(240mg,1.77m
mol)およびNMM(0.49ml,4.43mmol)で再活性化した。混合
物を一晩撹拌し、水流ポンプの真空下、60℃において蒸発させ、5%NaHC
O3水溶液(50ml)で処理し、塩化メチレン(3x25ml)で抽出した。
合わせた抽出物を10%クエン酸水溶液、次いで2M NaCl水溶液(各25
ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、蒸発させて高真空乾燥した。標
記化合物を無色油状物質として得た。TLC Rf0.57(85:10:5
CHCl3/MeOH/AcOH)。
c)(Pic−Ser(t−Bu)−Gly)2−PDAX: (Z−Ser(t−
Bu)−Gly)2−PDAX(約0.89mmol)をMeOH(50ml)に溶
解し、常法通り10%Pd/C触媒(300mg)上で90分間加水素分解した
。触媒をセライトフィルターで濾別した。濾液をロータリーエバポレーターに供
し、さらに高真空乾燥した。中間体(H−Ser(t−Bu)−Gly)2−PDA
XをDMF(15ml)に溶解し、DMF(5ml)中のPyBOP(926m
g,1.78mmol)、HOBt(240mg,1.78mmol)およびNMM
(0.29ml,2.67mmol)で再活性化されたPic−OH(219mg,
1.78mmol)と反応させた。混合物を一晩撹拌し、蒸発させ、5%NaH
CO3(50ml)で処理し、CH2Cl2(25ml)で抽出した。合わせた抽
出物を2M NaCl水溶液(25ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し
、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(3cmカラム,7.5%
MeOH/CH2Cl2溶出液)により残渣を精製した。標記化合物をわずかに
変色した油状物質として得た。TLC Rf0.45(85:10:5 CHC
l3/MeOH/AcOH)。
d)(Pic−Ser−Gly)2−PDAX: (Pic−Ser(t−Bu)−
Gly)2−PDAX(約0.89mmol)を1%H2O/CF3COOH(40
ml)に溶解し、溶液を90分撹拌した。次いで、ロータリーエバポレーターに
供して体積を減じ、Et2O(50ml)を添加することによりペプチドを沈殿
させた。ペプチドを遠心分離(3分,2500rpm)により集め、エーテル上
清をデカンテーションした。同様の方法で、ペレットをEt2Oで1回またはそ
れ以上洗浄した。乾燥(まずN2の流れ、次いで高真空)後、標記化合物をわず
かに変色した粉末(386mg,4工程で68.3%)を得た。この物質の一部(
32.5mg)を0.1%CF3COOH水溶液(4.5ml)に懸濁し、CF3C
OOH(0.25ml)をそのまま添加し、試料を可溶化した。これを濾過し、
0.1%CF3COOH水溶液中1時間かけて6%から24%MeCNとするグラ
ジエントにより溶出(10ml/分)を行うスペルコ(Supelco)C18HPLC
カラム(2.5x25cm;10mm粒子)を用いるクロマトグラフィーを行っ
た。分析用HPLC(ビダック(Vydac)218TP54,1ml/分,0.1%C
F3COOH水溶液中20分かけて9%から30%MeCN;保持時間14.8分
)により純粋であることがわかったフラクションを貯留し、凍結乾燥して純粋な
ペプチド(23mg,精製収率71%)を得た。FAB−MS:C30H34N8O8
=634.65;実測値[M+H]+635.2、[M+NA]+657.2。
実施例17および18
(Apy−L−Ser−βAla)2−テレフタラートおよび(Apy−D−Ser
−βAla)2−テレフタラート
(上記化合物の合成を並行して行った)(Apy−L−Ser−βAla)2−テレフタラートおよび(Apy−D−Ser −βAla)2−テレフタラートの調製
a)Z−Ser(t−Bu)−Apy: Z−L−Ser(t−Bu)−OHまた
はZ−D−Ser(t−Bu)−OH(1.92g,5mmol)をCH2Cl2(2
5ml)中に溶解した。HOBt(0.68g,5mmol)およびDCC(1.
03g,5mmol)を添加した。混合物を15分撹拌し、次いで、DCUを濾
別した。CH2Cl2(25ml)中2−アミノピリジン(Apy;0.47g,5
mmol)およびi−Pr2NEt(0.87ml,5mmol)からなる溶液に
濾液を添加し、混合物全体を一晩撹拌した。次いで、さらにCH2Cl2を添加し
て10mlにまで希釈し、5%NaHCO3(2x25ml)、次いで2M N
aCl(25ml)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、濾過し、蒸発さ
せた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(直径3cmのカラム;7.5%E
t2O/CH2Cl2)により精製して444mg(23.9%)または373mg
(26.1%)のガラス状固体であるL−またはD−生成物をそれぞれ得た。T
LC Rf0.70(85:10:5 CHCl3/MeOH/AcOH)。
b)Z−βAla−(LおよびD)Ser(t−Bu)−Apy: Z−Ser(
t−Bu)−Apy(444mg,1.2mmol)をMeOH(50ml)に溶
解し、10%Pd/C(120mg)を用いて水素添加した。1時間の反応時間
が経過した後、触媒を濾別し、濾液を蒸発乾固した。中間体H−Ser(t−B
u)−Apy(TLC Rf0.15;85:10:5 CHCl3/MeOH/
AcOH;UVおよびニンヒドリン)をDMF(25ml)に再溶解し、調製し
ておいたDMF(5ml)中のZ−βAla−OH(268mg,1.2mmol
)、PyBOP(624mg,1.2mmol)、HOBt(162mg,1.2m
mol)およびNMM(0.26ml,1.8mmol)からなる溶液に添加した
。混合物を一晩撹拌し、蒸発させ、5%NaHCO3水溶液(50ml)中に分
散させ、CH2Cl2(3x30ml)で抽出した。抽出物を2M NaCl水溶
液(25ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、蒸発させた。標記化合
物を無色油状物質として得た(TLC Rf0.56,85:10:
5 CHCl3/MeOH/AcOH)。
c)(Apy−(LおよびD)Ser(t−Bu)βAla)2−テレフタラート:
Z−βAla−Ser(t−Bu)−Apy(約1.2mmol)を上記のごと
く水素添加し、中間体H−βAla−Ser(t−Bu)−ApyをDMF(25
ml)に再溶解し、調製しておいたDMF(5ml)中のテレフタル酸(100
mg,0.6mmol)、PyBOP(624mg,1.2mmol)、HOBt(
162mg,1.2mmol)およびNMM(0.26ml,1.8mmol)から
なる溶液と一晩反応させた。蒸発乾固後、残渣を5%NaHCO3水溶液(50
ml)中に分散し、CH2Cl2(3x30ml)で抽出した。抽出物を2M N
aCl水溶液(25ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、蒸発させた
。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(直径3cmカラム;溶出液7.5%M
eOH/CH2Cl2)により精製した。標記化合物(c)をわずかに変色した油
状物質として得た。TLC Rf0.53(85:10:5 CHCl3/MeO
H/AcOH)。
d)(Apy−L−Ser−βAla)2−テレフタラートおよび(Apy−D−
Ser−βAla)2−テレフタラート: 前工程の生成物を1%H2O/CF3C
OOH(40ml)に溶解し、混合物を90分撹拌した。次いで、蒸発させて体
積を減じ、Et2O(50ml)を添加することによりペプチドを沈殿させた。
ペプチドを遠心分離(3分,2500rpm)により集め、エーテル上清をデカ
ンテーションした。同様の方法で、ペレットをEt2Oで1回またはそれ以上洗
浄した。乾燥後、ペプチドを、それぞれ収量222mg(58%w.r.t.Z−L−
Ser(t−Bu)−Apy)または217mg(57%w.r.t.Z−D−Ser(
t−Bu)−Apy)で得た。この物質の一部(L−およびD−異性体、それぞ
れ30.9mgまたは34.2mg)を、ビダック218TP1022 HPLC
カラムによるクロマトグラフィーに供した(60分かけて0.1%CH3COOH
/H2O中3%から15%MeCNのグラジエント、9ml/分)。分析用HP
LC(ビダック218TP54,1ml/分,0.1%CF3COOH水溶液中20
分かけて3%から12%MeCN;保持時間17.0分)により純粋
であることがわかったフラクションを貯留し、凍結乾燥して純粋なペプチド(2
3mg,精製収率71%)を得た。FAB−MS:C30H34N8O8=634.65
;実測値[M+H]+635.2(L−異性体)、[M+H]+635.3(D−異
性体)。[α]D 20=−32.8または+32.4±0.5(c=0.5;0.1%C
F3COOH/H2O)(それぞれ、L−およびD−異性体について)。
実施例19
本発明化合物を含有する医薬用途の処方を、多くの賦形剤とともに種々の形態
に調製することができる。かかる処方の例を以下に示す。錠剤/成分
1錠あたり
1.活性成分 0.5mg
(式IまたはIIの化合物)
2.コーンスターチ 20mg
3.アルギン酸 20mg
4.アルギン酸ナトリウム 20mg
5.ステアリン酸マグネシウム 1.3mg錠剤の製造法
工程1 適当なミキサー/フレンダー中で成分1、2、3および4を混合する。
工程2 工程1からの混合物に十分量の水を注意深く少しずつ添加する。混合物
が湿顆粒に変化しうる密度になるまで、かかる水の添加および混合を行う。
工程3 8番ふるい(2.38mm)を用いるオシレーテインググラニュレータ
ーを通過させることにより、湿った混合物を顆粒に変化させる。
工程4 次いで、湿顆粒を140°F(60℃)のオーブンで乾燥状態になるま
で乾燥させる。
工程5 乾顆粒を成分5で潤滑化する。
工程6 潤滑化した顆粒を適当な打錠機で圧縮する。非経口用処方
非経口投与用医薬組成物を、適当量の式IまたはIIの化合物を加熱しながらポ
リエチレングリコールに溶解することにより製造する。次いで、この溶液をPh.E
ur.注射用水で希釈する(100mlとする)。次いで、溶液を0.22ミクロン
のメンブランフィルターにより滅菌し、滅菌容器中に密封する。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA,
CN,CZ,FI,HU,JP,KP,KR,KZ,L
K,MG,MN,MW,NO,NZ,PL,RO,RU
,SD,SI,SK,UA,US,VN
(71)出願人 ニーコメド・ファルマ・アクチエセルスカ
ブ
ノルウェー国エン―0301オスロ、ピー・オ
ー・ボックス 5012・マヨールストゥア、
スレムダールスバイエン 37番
(72)発明者 バートネイガー,プラディップ・クーマー
アメリカ合衆国ペンシルベニア州19341、
エクストン、サウス・ボールダーストン・
ドライブ300番
(72)発明者 ヘーヤディング,ディルク
アメリカ合衆国ペンシルベニア州19003、
アードモア、オークビュー・ロード750番
(72)発明者 フィッシャー,ピーター・マーティン
ノルウェー国エン―0382オスロ、ヴェステ
ラスバイエン26アー番