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JPH09315465A - 電子レンジ調理用食品の包装用シート材及びそれを用いた包装体 - Google Patents

電子レンジ調理用食品の包装用シート材及びそれを用いた包装体

Info

Publication number
JPH09315465A
JPH09315465A JP8158818A JP15881896A JPH09315465A JP H09315465 A JPH09315465 A JP H09315465A JP 8158818 A JP8158818 A JP 8158818A JP 15881896 A JP15881896 A JP 15881896A JP H09315465 A JPH09315465 A JP H09315465A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin layer
sheet material
heat
packaging
food
Prior art date
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Granted
Application number
JP8158818A
Other languages
English (en)
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JP3808541B2 (ja
Inventor
Shuichiro Akimaru
修一郎 秋丸
Matsuo Okaji
松男 岡地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KEIHAN SEROFUAN KK
Original Assignee
KEIHAN SEROFUAN KK
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Publication date
Application filed by KEIHAN SEROFUAN KK filed Critical KEIHAN SEROFUAN KK
Priority to JP15881896A priority Critical patent/JP3808541B2/ja
Publication of JPH09315465A publication Critical patent/JPH09315465A/ja
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Publication of JP3808541B2 publication Critical patent/JP3808541B2/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子レンジで加熱調理した際に適当な時期に
適度な大きさの脱気孔が自動的に形成され、耐衝撃破袋
性に優れ、効果的な蒸気抜きが行なわれ、製作工程も比
較的簡単である包装体を製造できる包装用シート材を提
供する。 【解決手段】 基材フィルム10と積層されるシーラン
トフィルム12を3層構造とし、基材フィルム側の第1
樹脂層14と第3樹脂層18とを互いに異なる種類の合
成樹脂で形成し、第2樹脂層16を、第3樹脂層を形成
する合成樹脂とは異なる融点の合成樹脂で形成し、第2
樹脂層によって第1樹脂層と第3樹脂層とを熱接着し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子レンジを使
用して加熱調理される食品を包装する包装袋や包装容器
に使用される包装用シート材、並びに、その包装用シー
ト材を用いた包装袋や包装容器などの包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子レンジによりそのまま加熱調理する
ことができるように、耐熱性を有する素材で形成された
包装袋や包装容器内に食物を密封した食品が、電子レン
ジの普及に伴い、また、その簡便さから、近年、生産量
を伸ばし種類も多様化している。この種の食品では、工
場で内容物を調製して袋詰め或いは容器詰めする際に内
容物を完全密封することにより、運搬や店頭陳列中での
雑菌の混入を防止するようにしている。このように包装
袋や包装容器の気密性が高いために、密封された食品を
そのまま電子レンジで加熱調理すると、袋内或いは容器
内で水蒸気が発生して内部の圧力が高まり、包装袋や包
装容器の覆蓋シート部が爆発的に破裂して、食品が電子
レンジ庫内に飛散することになる。そこで、加熱する
前、或いは場合によっては加熱の途中に、袋に空気抜き
のための孔をあけたり容器の覆蓋シート部の一部を剥が
したりしていた。また、食品を袋や容器から取り出して
皿などに移し替えた後、電子レンジで加熱調理を行なう
ようにしていた。
【0003】しかしながら、一々袋に孔をあけたり容器
の覆蓋シート部の一部を剥がしたりするのは面倒であ
る。また、袋に形成された孔や覆蓋シート部の剥離部分
の面積が適切でなく、その面積が小さ過ぎると、包装袋
や包装容器の覆蓋シート部がやはり破裂し、また、破裂
しないまでも袋内や容器内に水蒸気が過度にこもって内
容物がふやけたり、一方、孔等の面積が大き過ぎると、
袋や容器内から水蒸気が必要以上に放出されて内容物が
硬くなったりし、内容物の含水量の過不足で食感が低下
するといった問題がある。また、食品を包装袋や包装容
器から皿などに移し替えて加熱調理するのは頻雑であ
り、また、食品保護ラップで皿などの上を被覆するとき
には、上述と同様の問題が生じる。そこで、加熱時に袋
面や容器の覆蓋部に自然に蒸気抜きの孔が形成されるよ
うな工夫が、従来より種々なされている。
【0004】例えば、特開昭63−138975号公
報、実開平1−102605号公報等には、袋のヒート
シール部(熱接着部)の一部を弱シール部とし、電子レ
ンジを用いて食品を加熱した際に、水蒸気の発生によっ
て袋内の内圧が上昇することにより、ヒートシール部の
弱シール部を破壊して脱気路が形成されるようにした包
装袋が開示されている。また、実開昭52−57076
号公報等には、ヒートシール部に切欠きなどを設けて所
望部分の接着強度を弱く形成し、電子レンジによって食
品が加熱されたときに所望部分が破れるようにした包装
容器が開示されている。さらに、実開平2−93604
号公報等には、覆蓋シート部をなす合成樹脂フィルムが
熱接着される容器の周縁部に突起を設けたり、容器の周
縁部を網状に熱接着するなどして、食品を電子レンジで
加熱して内圧が所定の圧力に到達したときに容器の周縁
部から合成樹脂フィルムが容易に剥離できるようにした
包装容器が開示されている。
【0005】また、特開昭61−69576号公報、特
開昭62−54707号公報、特開昭62−27186
4号公報等には、容器の開口面を塞いでいる覆蓋シート
材の一部に、電子レンジで食品を加熱した際にマイクロ
波を吸収して発熱する付着層を形成し、その付着層の発
熱により覆蓋シート材が溶融して脱気用の小孔が形成さ
れるようにした包装容器が開示されている。また、特開
昭63−307085号公報等には、容器に水蒸気を逃
がすための孔を設け、この孔を塞ぐように、マイクロ波
の照射によって発熱する材料の層を有したシートを接着
剤で貼り付けた電子レンジ調理用食品包装体が開示され
ている。さらに、実開平1−116186号公報、実開
平1−168481号公報等には、ヒートシール部の一
部に導電性材料等の発熱体を挾み込み、電子レンジで食
品を加熱した際に、マイクロ波照射によって発熱体が温
度上昇し、ヒートシール部の一部の接着強度が低下する
ことにより、上記の逃げ口が形成されるようにした包装
体が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】包装袋や包装容器の包
装体に入った食品を電子レンジで加熱調理した際に、包
装体に水蒸気を逃がすための脱気孔が自動的に形成さ
れ、適切な加熱調理が行なわれるようにするためには、
食品の加熱による水蒸気の生成速度、従って包装体内の
温度や内圧の上昇程度、脱気孔の形成速度、すなわち脱
気孔の形成時期、並びに、脱気孔を通しての水蒸気の放
出速度、従って形成される脱気孔の大きさの、これら3
者のバランスがとれていることが必要である。ところ
が、電子レンジのマイクロ波出力は一律ではなく、家庭
用としては一般に300〜600Wの出力のものが使用
され、自動販売機などの業務用としては1,000W前
後の出力のものが使用される。また、マイクロ波の吸収
率も、食品の誘電損失、面積、厚みなどによって変化す
る。従って、電子レンジ調理用食品の包装体の脱気能力
としては、前記諸条件の変化に追従する適応性の広いこ
とが要求される。
【0007】しかしながら、特開昭63−138975
号公報、実開平1−102605号公報等や実開昭52
−57076号公報等に開示されているように、ヒート
シール部に弱シール部や切欠きなどを設けて所望部位の
接着強度を弱く形成したり、また、実開平2−9360
4号公報等に開示されているように、覆蓋シート材が熱
接着される容器の周縁部に突起を設けるなどして、電子
レンジによる食品の加熱に伴って内圧が高まったときに
容器の周縁部から覆蓋シート材が容易に剥離するように
した包装体では、使用する電子レンジのマイクロ波出力
の大きさや食品の性状などの諸条件に追従するように、
包装体内での水蒸気の生成速度、脱気孔の形成速度及び
包装体内からの水蒸気の放出速度を相互にバランスさせ
ることは、実際上は難しい。また、加熱調理前の包装体
は、外部からの雑菌の混入による食品の汚染を防ぐため
に密封性と共に耐衝撃破袋性が必要とされる。しかしな
がら、ヒートシール部に弱シール部や切欠きなどを設け
て部分的に接着強度を弱く形成したり、容器の周縁部に
突起を設けるなどして食品の加熱時に容器の周縁部から
覆蓋シート材が剥離し易くしたりした包装体では、ダン
ボールケースに多段積みされて輸送や荷扱いされる際な
どに、上方のダンボールケースや包装体が下方の包装体
に衝突して下方の包装体のヒートシール部が破壊され
る、といったことが起こり易い。
【0008】また、特開昭61−69576号公報、特
開昭62−54707号公報、特開昭62−27186
4号公報等に開示されているように、覆蓋シート材の一
部にマイクロ波を吸収して発熱する付着層を形成した
り、実開平1−116186号公報、実開平1−168
481号公報等に開示されているように、ヒートシール
部の一部にマイクロ波照射によって発熱する発熱体を挾
み込んだりした包装体では、覆蓋シート材やヒートシー
ル部に脱気孔を形成するためには大きな発熱量を必要と
し、脱気孔が形成されるまでの時間が長くかかって、効
果的な蒸気抜きを行なうことができないことも考えられ
る。また、特開昭63−307085号公報等に開示さ
れているように、容器に蒸気抜き用の孔を予め設けてお
き、この孔をマイクロ波照によって発熱する材料の層を
有するシートの貼付によって塞ぐようにした包装体で
は、容器の孔加工や孔を塞ぐためのシートの貼付工程な
どを必要とし、工数が増えて製作工程が複雑化する、と
いった問題点がある。さらに、これら公報に開示されて
いるような包装体では、発熱体の面積によって脱気孔の
大きさが一律に決まってしまうので、使用する電子レン
ジのマイクロ波出力の大きさや食品の性状などの条件に
よっては、包装体内での水蒸気の生成速度などと水蒸気
の放出速度とのバランスがとれず、適切な加熱調理が行
なわれない、といったことも考えられる。
【0009】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたものであり、電子レンジで加熱調理した際に、電
子レンジのマイクロ波出力の大きさや食品の性状などの
諸条件の変化に対応し、適当な時期に適度な大きさの脱
気孔が自動的に形成されて、食品の加熱による水蒸気の
生成速度、脱気孔の形成速度及び脱気孔を通しての水蒸
気の放出速度を相互にバランスさせ、もって適切な加熱
調理が行なわれるようにすることができ、また、耐衝撃
破袋性にも優れ、脱気孔の形成にそれ程時間を要しない
で、効果的な蒸気抜きを行なうことができ、製作工程も
比較的簡単である電子レンジ調理用食品の包装体を提供
すること、並びに、そのような包装体を製造することが
できる包装用シート材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
基材フィルムと少なくともシーラントフィルムとを積層
させ互いに貼り合わせて形成された電子レンジ調理用食
品の包装用シート材において、前記シーラントフィルム
を、それぞれ熱可塑性の合成樹脂によって形成された第
1樹脂層、第2樹脂層及び第3樹脂層を順に積層させた
3層構造とし、前記基材フィルム側に接着される前記第
1樹脂層と第3樹脂層とを互いに異なる種類の合成樹脂
によってそれぞれ形成するとともに、前記第2樹脂層
を、第3樹脂層を形成する合成樹脂とは異なる融点を有
する合成樹脂によって形成し、その第2樹脂層によって
第1樹脂層と第3樹脂層とを熱接着したことを特徴とす
る。
【0011】請求項2、請求項3及び請求項4に係る各
発明は、それぞれ内部に食品が封入されるようにするた
めに、請求項2に係る発明では、基材フィルムと少なく
ともシーラントフィルムとを積層させ互いに貼り合わせ
てそれぞれ形成された2枚の包装用シート材を、それぞ
れ基材フィルムを外面側として互いに重ね合わせ、各包
装用シート材の周縁部同士を熱接着して袋形態に形成
し、請求項3に係る発明では、基材フィルムと少なくと
もシーラントフィルムとを積層させ互いに貼り合わせて
形成された包装用シート材を、基材フィルムを外面側と
して折り重ね、各端縁部同士を熱接着し各側縁部同士を
それぞれ熱接着して袋形態に形成し、また、請求項4に
係る発明では、基材フィルムと少なくともシーラントフ
ィルムとを積層させ互いに貼り合わせて形成された包装
用シート材で容器の開口面を、基材フィルムを外面側と
して覆蓋し、容器の開口面周縁部と包装用シート材の周
縁部とを接着した。請求項2、請求項3及び請求項4に
係る各発明は、そのような電子レンジ調理用食品の包装
体において、前記包装用シート材のシーラントフィルム
を、それぞれ熱可塑性の合成樹脂によって形成された第
1樹脂層、第2樹脂層及び第3樹脂層を順に積層させた
3層構造とし、前記基材フィルム側に接着される前記第
1樹脂層と第3樹脂層とを互いに異なる種類の合成樹脂
によってそれぞれ形成するとともに、前記第2樹脂層
を、第3樹脂層を形成する合成樹脂とは異なる融点を有
する合成樹脂によって形成し、その第2樹脂層によって
第1樹脂層と第3樹脂層とを熱接着し、請求項2に係る
発明では、電子レンジ調理時の加熱により、前記包装用
シート材周縁部の熱接着部が部分的に破壊して脱気孔が
形成されるようにし、請求項3に係る発明では、電子レ
ンジ調理時の加熱により、前記包装用シート材端縁部の
熱接着部及び/又は包装用シート材側縁部の熱接着部が
部分的に破壊して脱気孔が形成されるようにし、また、
請求項4に係る発明では、電子レンジ調理時の加熱によ
り、前記容器の開口面周縁部と包装用シート材周縁部と
の接着部が部分的に破壊して脱気孔が形成されるように
したことをそれぞれ特徴とする。
【0012】上記した請求項1に係る発明の包装用シー
ト材を使用して製造された請求項2、請求項3及び請求
項4に係る各発明の包装体では、それによって包装され
密封された食品を電子レンジにより加熱調理したとき
に、マイクロ波の照射によって包装用シート材自体が発
熱するとともに、食品の加熱に伴う包装体内部からの伝
熱により、包装用シート材の温度が上昇する。また、食
品の加熱により水蒸気が発生して包装体の内圧が上昇す
る。包装用シート材は、そのシート材のシーラントフィ
ルムを形成している第1樹脂層、第2樹脂層及び第3樹
脂層が常温では相互に固着しているが、何れの樹脂層も
熱可塑性の合成樹脂によって形成されているので、包装
用シート材が加熱されてその温度が上昇すると、各樹脂
層がそれぞれ軟化し、それぞれの樹脂層は、力が加えら
れると容易に変形する。この際、第2樹脂層と第3樹脂
層とは互いに融点が異なるので、低融点である一方の樹
脂層は、高融点である他方の樹脂層より熱変形量が大き
くなる。この結果、包装用シート材に応力歪みが生じ、
包装体の内圧の高まりにより、接着部における第3樹脂
層或いは第2樹脂層と第3樹脂層との両層において部分
的な破壊が促され、接着部に脱気孔が自動的に形成され
る。そして、この脱気孔の大きさは、軟化した合成樹脂
層の強度と包装体の内圧の大きさによって決定されるこ
とになる。
【0013】この包装用シート材の接着部における破壊
は、上記した通り、シーラントフィルムの第2樹脂層と
第3樹脂層との融点の違いに基づく熱変形量の差によっ
て起こる。従って、接着部の強度は、第2樹脂層と第3
樹脂層とのそれぞれの厚みを適切に設定することにより
調節される。この場合、第2樹脂層及び第3樹脂層の厚
みを厚くし過ぎると、接着部の強度が不必要に高くなっ
て脱気孔が形成されにくくなるので、第2樹脂層及び第
3樹脂層の厚みがそれほど厚くならないように設定され
る。一方、例えば四方袋(図2参照)や合掌袋(図5参
照)では、縦方向の熱接着部と横方向の熱接着部とが交
差する個所やシート材を折り曲げた個所に、熱接着が不
完全で接着されていないトンネル状の隙間を生じ易く、
包装体の密封性を低下させることがある。このような熱
接着不良を防止するためには、通例、熱によって軟化し
溶融するシーラントフィルムの総厚みが、四方袋では5
0μm、合掌袋では60μm程度必要とされる。また、
包装袋や包装容器において、熱接着に際して使用される
包装機のヒートシールバーの平滑性や、シーラントフィ
ルムの夾雑シール性、シート材の耐ピンホール性、袋の
剛性などが要求される場合には、シーラントフィルムの
総厚みをさらに増す必要がある。シーラントフィルムの
総厚みを或る程度に確保するために、第2樹脂層及び第
3樹脂層の厚みを厚くすると上記した不都合があるの
で、この包装用シート材では、第1樹脂層の厚みを調整
することにより、シーラントフィルムの総厚みを必要な
程度に確保するようにされる。
【0014】また、包装袋や包装容器の密閉性を高める
ために、通常、熱接着部の形成に使用される包装機のヒ
ートシールバーの表面には、基盤目状や線状の突起が設
けられており、このため、シーラントフィルムの第1樹
脂層と第3樹脂層とが同一種類の合成樹脂によってそれ
ぞれ形成されていたとすると、ヒートシールバーの、シ
ール圧力が集中する突起部に対応する部分で、第1樹脂
層と第3樹脂層とが熱融着することがある。第1樹脂層
は軟化温度及び強度の高い基材フィルムと接着されてお
り、第1樹脂層と第3樹脂層とが熱融着してしまうと、
第3樹脂層も第1樹脂層を介して軟化温度及び強度の高
い基材フィルムに接着されたのと同じ状態となるため、
シート材の強度が大きくなって、包装体が爆発的に破裂
する恐れがある。これに対し、この包装用シート材で
は、第1樹脂層と第3樹脂層とが互いに異なる種類の合
成樹脂によってそれぞれ形成されているので、第1樹脂
層と第3樹脂層との間で熱融着を生じることがない。従
って、この包装用シート材は、強度が大きくなり過ぎる
ことがなく、適当な強度を有することになる。
【0015】また、この包装用シート材を使用して製造
された包装体は、接着部に弱シール部や切欠きなどを設
けて特定部位の接着強度を弱く形成したり、容器の周縁
部に突起を設けるなどして温度上昇時に容器の周縁部か
ら覆蓋シート材が剥離し易くしたりして、接着部に脱気
孔が形成されるようにする構成ではないので、輸送や荷
扱い中の衝撃によって接着部が破壊される心配は無い。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の最良の実施形態
について図面を参照しながら説明する。
【0017】図1は、この発明に係る包装用シート材の
構造を示す部分拡大縦断面図である。この包装用シート
材は、基材フィルム10とシーラントフィルム12とを
積層させ、アンカーコート剤(図示せず)を介し互いに
貼り合わせて形成されている。基材フィルム10は、軟
化温度が高く強度も大きい合成樹脂、例えば2軸延伸ナ
イロンや2軸延伸ポリプロピレンなどによって形成され
る。また、シーラントフィルム12は、それぞれ熱可塑
性の合成樹脂によって形成された第1樹脂層14、第2
樹脂層16及び第3樹脂層18を順に積層させた3層構
造を成している。そして、基材フィルム10に接着され
る第1樹脂層14と第3樹脂層18とは、互いに異なる
種類の合成樹脂によりそれぞれ形成されている。また、
第2樹脂層16は、熱接着性を有する合成樹脂、例えば
ポリオレフィン系の熱接着性樹脂によって形成され、こ
の第2樹脂層16によって第1樹脂層14と第3樹脂層
18とが熱接着されている。また、第2樹脂層16は、
第3樹脂層18を形成する合成樹脂とは異なる融点を有
する合成樹脂によって形成されている。第3樹脂層18
は、この包装用シート材を使用して包装袋や包装容器の
包装体を製造したときに、食品が密封された包装体の内
面を成すことになるので、その材質は内容物の性状を基
にして選択される。例えば、包装体の内部に封入される
食品が、マイクロ波を吸収すると高温になる油性食品な
どの場合には、耐熱性に優れた、例えばポリプロピレン
によって形成される。また、高水分率の食品は、発熱温
度が低く、充填包装時にシール面に内容物が付着し易い
ので、そのような食品を包装体内に封入する場合には、
第3樹脂層18は、ポリプロピレンより低融点であるが
夾雑シール性の良い、例えばポリエチレンによって形成
されることが望ましい。尚、基材フィルム10とシーラ
ントフィルム12の第1樹脂層との間に、ガスバリヤー
性、保香性、機械強度付与性などの機能を有する合成樹
脂の層を付加することもできる。
【0018】第1樹脂層14を形成する合成樹脂と第3
樹脂層18を形成する合成樹脂との組合せとしては、以
下のようなものが例示される。すなわち、高圧法低密度
ポリエチレン、シングルサイト解媒による直鎖状低密度
ポリエチレン、マルチサイト解媒による直鎖状低密度ポ
リエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エ
チレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタク
リル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合
体、エチレン−アクリル酸共重合体並びにこれらの合成
樹脂を主体とする混合物及び誘導体をAグループに属す
る合成樹脂とし、ホモタイプポリプロピレン、コーポリ
マータイプポリプロピレン(プロピレンとエチレン等と
の共重合体)、ポリメチルペンテン並びにこれらの合成
樹脂を主体とする混合物及び誘導体をBグループに属す
る合成樹脂とし、ポリアミド(機械強度付与)、ポリエ
ステル(保香)、エチレンビニルアルコール(ガスバリ
ヤー性)並びにこれらの合成樹脂を主体とする混合物及
び誘導体をCグループに属する合成樹脂とした場合に、
第1のタイプは、第1樹脂層14をAグループに属する
合成樹脂によって形成し、第3樹脂層18をBグループ
に属する合成樹脂によって形成したもの、第2のタイプ
は、第1樹脂層14をBグループに属する合成樹脂によ
って形成し、第3樹脂層18をAグループに属する合成
樹脂によって形成したもの、第3のタイプは、第1樹脂
層14をCグループに属する合成樹脂によって形成し、
第3樹脂層18をAグループに属する合成樹脂によって
形成したもの、第4のタイプは、第1樹脂層14をCグ
ループに属する合成樹脂によって形成し、第3樹脂層1
8をBグループに属する合成樹脂によって形成したもの
である。尚、第3のタイプ及び第4のタイプのものは、
シーラントフィルム12に機械強度が付与され、また保
香性やガスバリヤー性などの機能が付与されることとな
る。
【0019】基材フィルム10の厚みは、例えば10〜
20μm程度であり、また、シーラントフィルム12の
総厚みは、製造しようとする包装袋の形態に応じて設定
される。例えば四方袋では50μm程度、合掌袋では6
0μm程度とされる。また、シーラントフィルム12の
総厚みは、その第3樹脂層18の夾雑シール性や、シー
ト材の耐ピンホール性、袋の剛性、或いはシート材を熱
接着するのに使用される包装機のヒートシールバーの平
滑性などが要求される場合には、さらに厚くされる。ま
た、シーラントフィルム12の第2樹脂層16及び第3
樹脂層18の各厚みは、それらの層の厚みが厚くなり過
ぎ熱接着部の強度が不必要に高くなって脱気孔が形成さ
れにくくならないように適切に設定され、例えばそれぞ
れ5〜30μm程度とされる。そして、第1樹脂層14
の総厚みを調節することにより、シーラントフィルム1
2の総厚みが上記した程度になるように設計される。
【0020】図1に示したような積層構造の包装用シー
ト材を製造するには、例えば、基材フィルム10の層と
第1樹脂層14、第2樹脂層16及び第3樹脂層18か
らなるシーラントフィルム12の層とを共押し出しコー
ティング法により積層させる。また、予め第1樹脂層1
4、第2樹脂層16及び第3樹脂層18の3層構造をな
すシーラントフィルム12を形成し、このシーラントフ
ィルム12を基材フィルム10にドライラミネート法或
いは押し出しラミネート法により貼り合わせるようにす
る。
【0021】以上説明したような包装用シート材を使用
して製造された包装袋の1例を図2及び図3に示す。図
2は、包装袋の平面図であり、図3は、図2のIII−III
縦断面の部分拡大図である。尚、これらの図においては
(後述する図4ないし図8においても同じ)、内容物の
図示を省略している。
【0022】この包装袋は、一般に四方袋と呼ばれてい
るものであり、表裏2枚の包装用シート材20、22の
周縁部同士を熱接着することにより、両シート材20、
22の各内面と熱接着部24とで囲まれた収容部26を
有する袋形態に形成されている。そして、内容物は、収
容部26に収容されて密封される。2枚のシート材2
0、22の周縁部同士を熱接着する際には、それぞれ基
材フィルム10が外面側となりシーラントフィルム12
の第3樹脂層18が内面側となるように両シート材2
0、22を重ね合わせるようにする。
【0023】以上のような構成の包装袋に密封された食
品を電子レンジに入れて加熱調理すると、マイクロ波の
照射によって包装用シート材20、22自体が発熱する
とともに、食品の加熱に伴う包装袋内部からの伝熱によ
り、シート材20、22の温度が上昇する。それと同時
に、食品の加熱に伴って袋内で水蒸気が発生して、包装
袋の内圧が上昇し、その力が熱接着部24にも加わる。
そして、シート材20、22の温度上昇により各シーラ
ントフィルム12が軟化し、第2樹脂層16と第3樹脂
層18間の融点の違いに因る両樹脂層16、18間の熱
変形量の大きさの違いから、両シート材20、22に応
力歪みが生じる。そのように応力歪みが生じた熱接着部
24に、包装袋の内圧上昇による力が加わることによ
り、熱接着部24における第3樹脂層18或いは第2樹
脂層16と第3樹脂層18との両層が部分的に破壊し、
図4に平面図を示すように、包装袋の温度と内圧の上昇
に感応して適度な大きさの脱気孔28が熱接着部24に
自動的に形成される。そして、その脱気孔28を通して
包装袋内の水蒸気が放出されることとなる。
【0024】図5に平面図を、図6に図5のVI−VI矢視
縦断面の部分拡大図をそれぞれ示した包装袋は、上述し
た包装用シート材を使用して製造された包装袋の別の形
態例である。この包装袋は、一般に合掌袋と呼ばれてい
るものであり、1枚の包装用シート材30を、基材フィ
ルム10を外面側としシーラントフィルム12の第3樹
脂層18を内面側として折り重ね、各端縁部同士を熱接
着するとともに、各側縁部同士を熱接着することによ
り、シート材30の内側面と端縁熱接着部32と両側縁
熱接着部34、34とで囲まれた収容部を有する袋形態
に形態されたものである。この図5及び図6に示した包
装袋でも、図2ないし図4に示した包装袋と全く同様に
作用し、この包装袋に密封された食品を電子レンジに入
れて加熱調理したときに、包装袋の温度と内圧の上昇を
感知して端縁熱接着部32又は両側縁熱接着部34に適
当な時期に適度な大きさの脱気孔が自動的に形成され
る。
【0025】図7及び図8は、上述した包装用シート材
を使用して製造された包装容器の1例を示し、図7は、
包装容器の縦断面図、図8は、図7のB部分の拡大縦断
面図である。
【0026】この包装容器は、上面が開口した容器本体
部36の上部開口面全体を、上述した構成の包装用シー
ト材40で完全に覆蓋し、容器本体部36の上部開口面
の周縁部38とシート材40の周縁部とを接着剤で接着
し或いは熱接着することにより構成されており、容器内
部に内容物(図示省略)が密封される。シート材40を
容器本体部36の上部開口面の周縁部38に接着する際
には、基材フィルム10を外面側(上面側)としシーラ
ントフィルム12の第3樹脂層18を容器内部側(下面
側)とする。
【0027】図7及び図8に示した構成の包装容器に密
封された食品を電子レンジに入れて加熱調理すると、上
記した包装袋における場合と同様に、シート材40の温
度が上昇するとともに、容器内で水蒸気が発生して内圧
が上昇し、その力が接着部42に作用する。そして、シ
ーラントフィルム12が軟化して、第2樹脂層16と第
3樹脂層18間の融点の違いに因る両樹脂層16、18
間の熱変形量の大きさの違いから、シート材40に応力
歪みが生じ、その応力歪みが生じた接着部42に容器の
内圧上昇による力が加わることにより、シート材40
の、容器本体部36の上部開口面の周縁部38との接着
部42が部分的に破壊する。このようにして、シート材
40の接着部42に、包装容器の温度と内圧の上昇に感
応した適度の大きさの脱気孔が適当な時期に自動的に形
成され、その脱気孔を通して包装容器内の水蒸気が放出
されることとなる。
【0028】
【実施例】以下、この発明をより具体化した実施例につ
いて、測定試験の結果を示しながら説明する。
【0029】2軸延伸ナイロンからなる素材フィルムに
アンカーコート剤を塗布し、融点が111℃であるポリ
エチレンからなる第1樹脂層、融点が104℃であるポ
リオレフィン系の熱接着性樹脂からなる第2樹脂層、及
び融点が138℃であるポリプロピレンからなる第3樹
脂層と前記2軸延伸ナイロンからなる基材フィルムとを
共押し出しコーティング法により積層させてシート材を
試作した。基材フィルムの厚みは15μm、第1樹脂層
の厚みは20μm、第2樹脂層の厚みは25μmとし、
第3樹脂層は、その厚みを5μm、15μm及び25μ
mと変えて、3種類のシート材No.1、No.2及び
No.3を試作した。また、比較のために、従来の包装
体に使用されているシート材として、2軸延伸ナイロン
からなる基材フィルムと、高度の耐衝撃性を必要とする
レトルトパウチに使用される耐衝撃タイプで融点が14
5℃である単一層からなる無延伸ポリプロピレンフィル
ムとをドライラミネート法で積層したものを試作し、そ
れをコントロールとした。このコントロールのシート材
において、基材フィルムの厚みは15μm、無延伸ポリ
プロピレンフィルムの厚みは50μmである。以上のよ
うにして試作した本発明に係るシート材No.1、N
o.2及びNo.3並びにコントロールのシート材のそ
れぞれについて、電子レンジ適性及び耐衝撃性を調べ
た。
【0030】電子レンジ適性の試験は、それぞれのシー
ト材により四方袋を作り、この袋内に水と濾紙を入れ、
開孔部を熱接着して内容物を密封し、これを電子レンジ
で加熱し、脱気孔の形成状態と破裂音の有無、並びに濾
紙の飛散状態を測定することにより行なった。四方袋の
大きさは、15cm×15cmとし、内容物は、1cm
×1cmの濾紙を20枚と水を10ccとし、シート材
の周縁部の熱接着部の幅寸法は15mm、熱接着時のシ
ール圧力は2kg/cm2、シール温度は170℃、シ
ール時間は1秒とした。また、電子レンジとして、
(株)日立製作所製のMRO−A81(マイクロ波出力
=500W)を使用した。サンプル数は、それぞれのシ
ート材について50ずつとした。
【0031】また、耐衝撃性の試験は、図9に概略図を
示すように、それぞれのシート材について、2枚のシー
ト材46、46の端縁部同士を熱接着させ、包装袋の内
部側に対応する側から熱接着部48に対し衝撃ヘッド5
0により衝撃を加えて、熱接着部48の破壊に要したエ
ネルギーを測定することにより行なった。熱接着部48
の幅寸法は15mm、熱接着時のシール圧力は2kg/
cm2、シール温度は170℃、シール時間は1秒とし
た。また、測定機として、(株)東洋精機製作所製のフ
ィルム・インパクト・テスターを使用した。
【0032】それぞれのシート材の電子レンジ適性及び
耐衝撃性の測定結果を表1に示す。表1中、「形成率」
は、熱接着部に脱気孔が形成された包装袋の割合を示
し、「形成時間」は、熱接着部に脱気孔が形成されるの
に要した平均時間(コントロールの場合は、熱接着部が
破裂するまでの平均時間)を示し、「破裂音」は、破裂
音が認められた包装袋の割合を示し、また、「濾紙の飛
散」は、濾紙が包装袋内から外へ飛散した包装袋の割合
を示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示した測定結果から分かるように、
本発明に係るシート材で作られた包装袋は、第3樹脂層
の厚みが増すに従って脱気孔が形成されるまでの時間が
長くかかり、包装袋の膨張度合いも大きくなる傾向が認
められたが、何れの包装袋も、破裂音を生じることな
く、脱気孔が形成されてその脱気孔を通し袋内の水蒸気
が放出され、濾紙の飛散も皆無であった。これに対し、
単一層のポリプロピレンを基材フィルムに積層したコン
トロールのシート材で作られた包装袋は全て、脱気孔が
形成されずに爆発的に破裂し、濾紙が電子レンジ庫内に
散乱し、破裂音も明確に確認された。
【0035】また、シート材の熱接着部の衝撃強度は、
軟化・溶融するフィルムの総厚みが同一である本発明に
係るシート材No.1とコントロールのシート材とを比
較すると、シート材No.1の方がコントロールのシー
ト材より2倍程大きくて良好であった。
【0036】さらに、本発明に係るシート材No.4及
びNo.5を試作し、それぞれについて電子レンジ適性
及び耐衝撃性を調べた。シート材No.4及びNo.5
は共に、2軸延伸ナイロンからなる基材フィルムにアン
カーコート剤を塗布し、融点が138℃であるポリプロ
ピレンからなる第1樹脂層、融点が104℃であるポリ
オレフィン系の熱接着性樹脂からなる第2樹脂層、及び
融点が123℃である直鎖状低密度ポリエチレンからな
る第3樹脂層と前記基材フィルムとを共押し出しコーテ
ィング法により積層させて調製された。基材フィルムの
厚みは15μm、第1樹脂層の厚みは20μm、第2樹
脂層の厚みは25μmとし、第3樹脂層は、その厚みを
5μm(NO.4)及び15μm(No.5)と変え
た。
【0037】電子レンジ適性の試験は、上述した条件と
全く同じ条件で行なった。また、耐衝撃性の試験は、熱
接着時のシール温度を150℃(低温シール性が良いの
で温度を下げた)に変更した以外は上述した条件と同じ
条件で行なった。その測定結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】表2に示した結果から分かるように、本発
明に係るシート材No.4及びNo.5で作られた包装
袋は、電子レンジ適性に優れ、また、衝撃強度も極めて
良好であった。
【0040】次に、シート材の熱接着性の評価に関する
試験結果について説明する。この試験のために、2軸延
伸ポリプロピレンからなる基材フィルムにアンカーコー
ト剤を塗布し、その基材フィルムと融点が111℃であ
るポリエチレンフィルムとを押し出しコーティング法で
積層させたシート材(以下、「OPP/PEシート材」
という)と、2軸延伸ポリプロピレンからなる基材フィ
ルムと融点が138℃であるポリプロピレンフィルムと
を押し出しコーティング法で積層させたシート材(以
下、「OPP/PPシート材」という)とを試作した。
基板フィルムの厚みは20μm、ポリエチレンフィルム
及びポリプロピレンフィルムの各厚みはそれぞれ30μ
mとした。
【0041】熱接着性の評価試験は、2枚のOPP/P
Eシート材を、それぞれのポリエチレンフィルム面同士
を接合させて重ね合わせたもの(以下、「OPP/PE
〜PE/OPP」と記す)、2枚のOPP/PPシート
材を、それぞれのポリプロピレンフィルム面同士を接合
させて重ね合わせたもの(以下、「OPP/PP〜PP
/OPP」と記す)、及び、OPP/PEシート材とO
PP/PPシート材とを、前者のポリエチレンフィルム
面と後者のポリプロピレンフィルム面とを接合させて重
ね合わせたもの(以下、「OPP/PE〜PP/OP
P」と記す)について、それぞれ2枚のシート材の端縁
部同士をヒートシーラで熱接着させ、それぞれの熱接着
部の熱接着強度を測定することにより行なった。熱接着
部の幅寸法は15mm、熱接着時のシール圧力は2kg
/cm2、シール温度は170℃、シール時間は1秒と
した。また、測定器として、(株)島津製作所製のオー
トグラフASG−50Dを使用した。測定結果を表3に
示す。
【0042】
【表3】
【0043】表3に示した結果から分かるように、2枚
のシート材の互いの接合面が同種のポリエチレンフィル
ム同士又はポリプロピレンフィルム同士で形成されると
きは、接合面が強固に熱接着している。これに対し、2
枚のシート材の互いの接合面が異種のポリエチレンフィ
ルムとポリプロピレンフィルムとで形成されているとき
は、接合面の熱接着強度が前記したものの1/100〜
1/200であり、接合面は容易に剥離し、接合面は未
融着の状態であった。本発明に係るシート材を使用して
作られる包装袋では、図3及び図6に示したように接合
面が同種の合成樹脂層同士で形成されるので、熱接着部
は十分な熱接着強度を有することとなる。
【0044】
【発明の効果】請求項1に係る発明の包装用シート材を
使用して製造された包装体では、また、請求項2、請求
項3及び請求項4に係る各発明の包装体では、その包装
体に封入された食品を電子レンジで加熱調理した際に、
電子レンジのマイクロ波出力の大きさや食品の性状など
の諸条件の変化に対応し、包装体の温度や内圧の上昇に
感応して、適当な時期に適度な大きさの脱気孔が自動的
に形成され、食品の加熱による水蒸気の生成速度、脱気
孔の形成速度及び脱気孔を通しての水蒸気の放出速度を
相互にバランスさせることが可能になるので、適切な加
熱調理が行なわれることとなる。また、この包装体は、
耐衝撃破袋性に優れるので、輸送や荷扱いの際に包装体
の接着部が破壊して食品が汚染される、といった心配が
無く、さらに、脱気孔の形成にそれ程時間を要しないの
で、効果的な蒸気抜きが行なわれることとなる。また、
この包装体の製作工程は、比較的簡単であり、製造上も
有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る発明の1実施形態を示し、電子
レンジ調理用食品の包装用シート材の構造を示す部分拡
大縦断面図である。
【図2】図1に示した包装用シート材を使用して製造さ
れた包装袋の1例であって請求項2に係る発明の包装袋
の平面図である。
【図3】図2のIII−III縦断面の部分拡大図である。
【図4】図2に示した包装袋の熱接着部に脱気孔が形成
された状態を示す平面図である。
【図5】図1に示した包装用シート材を使用して製造さ
れた包装袋の別の例であって請求項3に係る発明の包装
袋の平面図である。
【図6】図5のVI−VI矢視縦断面図の部分拡大図であ
る。
【図7】図1に示した包装用シート材を使用して製造さ
れた包装容器の1例であって請求項4に係る発明の包装
容器の縦断面図である。
【図8】図7のB部分の拡大縦断面図である。
【図9】包装袋の耐衝撃性の試験方法を説明するための
概略図である。
【符号の説明】
10 基材フィルム 12 シーラントフィルム 14 第1樹脂層 16 第2樹脂層 18 第3樹脂層 20、22、30、40 包装用シート材 24 熱接着部 26 収容部 28 脱気孔 32 端縁熱接着部 34 両側縁熱接着部 36 容器本体部 38 容器本体部の上部開口面の周縁部 42 接着部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルムと少なくともシーラントフ
    ィルムとを積層させ互いに貼り合わせて形成された、電
    子レンジ調理用食品の包装用シート材において、 前記シーラントフィルムを、それぞれ熱可塑性の合成樹
    脂によって形成された第1樹脂層、第2樹脂層及び第3
    樹脂層を順に積層させた3層構造とし、 前記基材フィルム側に接着される前記第1樹脂層と第3
    樹脂層とを互いに異なる種類の合成樹脂によってそれぞ
    れ形成するとともに、前記第2樹脂層を、第3樹脂層を
    形成する合成樹脂とは異なる融点を有する合成樹脂によ
    って形成し、その第2樹脂層によって第1樹脂層と第3
    樹脂層とを熱接着したことを特徴とする、電子レンジ調
    理用食品の包装用シート材。
  2. 【請求項2】 基材フィルムと少なくともシーラントフ
    ィルムとを積層させ互いに貼り合わせてそれぞれ形成さ
    れた2枚の包装用シート材を、それぞれ基材フィルムを
    外面側として互いに重ね合わせ、各包装用シート材の周
    縁部同士を熱接着して袋形態に形成し、内部に食品が封
    入される、電子レンジ調理用食品の包装体において、 前記包装用シート材のシーラントフィルムを、それぞれ
    熱可塑性の合成樹脂によって形成された第1樹脂層、第
    2樹脂層及び第3樹脂層を順に積層させた3層構造と
    し、 前記基材フィルム側に接着される前記第1樹脂層と第3
    樹脂層とを互いに異なる種類の合成樹脂によってそれぞ
    れ形成するとともに、前記第2樹脂層を、第3樹脂層を
    形成する合成樹脂とは異なる融点を有する合成樹脂によ
    って形成し、その第2樹脂層によって第1樹脂層と第3
    樹脂層とを熱接着し、 電子レンジ調理時の加熱により、前記包装用シート材周
    縁部の熱接着部が部分的に破壊して脱気孔が形成される
    ようにしたことを特徴とする、電子レンジ調理用食品の
    包装体。
  3. 【請求項3】 基材フィルムと少なくともシーラントフ
    ィルムとを積層させ互いに貼り合わせて形成された包装
    用シート材を、基材フィルムを外面側として折り重ね、
    各端縁部同士を熱接着し各側縁部同士をそれぞれ熱接着
    して袋形態に形成し、内部に食品が封入される、電子レ
    ンジ調理用食品の包装体において、 前記包装用シート材のシーラントフィルムを、それぞれ
    熱可塑性の合成樹脂によって形成された第1樹脂層、第
    2樹脂層及び第3樹脂層を順に積層させた3層構造と
    し、 前記基材フィルム側に接着される前記第1樹脂層と第3
    樹脂層とを互いに異なる種類の合成樹脂によってそれぞ
    れ形成するとともに、前記第2樹脂層を、第3樹脂層を
    形成する合成樹脂とは異なる融点を有する合成樹脂によ
    って形成し、その第2樹脂層によって第1樹脂層と第3
    樹脂層とを熱接着し、 電子レンジ調理時の加熱により、前記包装用シート材端
    縁部の熱接着部及び/又は包装用シート材側縁部の熱接
    着部が部分的に破壊して脱気孔が形成されるようにした
    ことを特徴とする、電子レンジ調理用食品の包装体。
  4. 【請求項4】 基材フィルムと少なくともシーラントフ
    ィルムとを積層させ互いに貼り合わせて形成された包装
    用シート材で容器の開口面を、基材フィルムを外面側と
    して覆蓋し、容器の開口面周縁部と包装用シート材の周
    縁部とを接着し、内部に食品が封入される、電子レンジ
    調理用食品の包装体において、 前記包装用シート材のシーラントフィルムを、それぞれ
    熱可塑性の合成樹脂によって形成された第1樹脂層、第
    2樹脂層及び第3樹脂層を順に積層させた3層構造と
    し、 前記基材フィルム側に接着される前記第1樹脂層と第3
    樹脂層とを互いに異なる種類の合成樹脂によってそれぞ
    れ形成するとともに、前記第2樹脂層を、第3樹脂層を
    形成する合成樹脂とは異なる融点を有する合成樹脂によ
    って形成し、その第2樹脂層によって第1樹脂層と第3
    樹脂層とを熱接着し、 電子レンジ調理時の加熱により、前記容器の開口面周縁
    部と包装用シート材周縁部との接着部が部分的に破壊し
    て脱気孔が形成されるようにしたことを特徴とする、電
    子レンジ調理用食品の包装体。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010111440A (ja) * 2010-01-13 2010-05-20 Dainippon Printing Co Ltd 電子レンジ対応包装材料、それを用いた包装袋及び容器
JP4501019B2 (ja) * 1998-12-25 2010-07-14 大日本印刷株式会社 電子レンジ対応包装材料、それを用いた包装袋及び容器
JP4817583B2 (ja) * 2000-04-26 2011-11-16 宏道 稲垣 包装材料及び包装製品
JP2013006607A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Daiwa Can Co Ltd 電子レンジ用容器
JP2015174321A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 昭和電工パッケージング株式会社 包装材、電池用外装ケース及び電池

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