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JPH09276292A - 齲蝕除去材 - Google Patents

齲蝕除去材

Info

Publication number
JPH09276292A
JPH09276292A JP34373096A JP34373096A JPH09276292A JP H09276292 A JPH09276292 A JP H09276292A JP 34373096 A JP34373096 A JP 34373096A JP 34373096 A JP34373096 A JP 34373096A JP H09276292 A JPH09276292 A JP H09276292A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
caries
hardness
removing material
resin
seed shell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34373096A
Other languages
English (en)
Inventor
Shoji Horiguchi
尚司 堀口
Toshimoto Yamada
敏元 山田
Junji Tagami
順次 田上
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Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP34373096A priority Critical patent/JPH09276292A/ja
Publication of JPH09276292A publication Critical patent/JPH09276292A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61CDENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
    • A61C3/00Dental tools or instruments
    • A61C3/02Tooth drilling or cutting instruments; Instruments acting like a sandblast machine
    • A61C3/025Instruments acting like a sandblast machine, e.g. for cleaning, polishing or cutting teeth

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 健全な歯質を痛めることなく齲蝕歯質を容易
に除去することが可能な齲蝕除去材を提供することにあ
る。 【解決手段】 健全歯質と同等又はそれ以下の硬度を有
する研削粒子からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、健全な歯質を傷つ
けることなく齲蝕を除去することができる齲蝕除去材に
関する。
【0002】
【従来の技術】齲蝕は、細菌により作られる酸によって
象牙質(無機成分と有機成分より成る)が脱灰されて軟
化し、続いて残された有機成分が細菌によって分解さ
れ、欠損が生じることによって進行する。齲蝕の除去
は、極度に軟化した部位、細菌が侵入し取り除かなけれ
ば齲蝕の再発のおそれのある部位を除くことである。
【0003】従来、齲蝕の治療は、齲蝕を含め健全な歯
質まで研削し、箱型を形成することによって修復物が脱
落しないようにしていたが、近年接着性レジン材料の開
発により修復物が歯質に対して強い接着力を示すように
なり、齲蝕の治療に際して健全歯質を削除する必要性が
なくなり、齲蝕を完全に取り除き健全歯質を最大限に残
すことが重要となってきた。
【0004】現在、齲蝕の範囲を知る手段として、齲蝕
の硬さ、齲蝕の自然着色、齲蝕検知液による染色(これ
は齲蝕のみを赤く染め出すもので、現在齲蝕の範囲を知
る最も信頼できる方法)が主に用いられている。齲蝕の
除去作業は、十分に軟化した齲蝕部を先ず取り除き、続
いて齲蝕による自然着色部や齲蝕検知液によって染め出
される部位を健全歯質を傷つけないように細心の注意を
払って除去することによって達成される。齲蝕除去に
は、主として回転研削器具であるマイクロモーターにス
チールラウンドバーが用いられる。
【0005】なお、齲蝕の硬さは、表層側ではビッカー
ス硬度計では測定できない程軟化しており、健全象牙質
との境界部で急に硬度を増し、HV25〜40程の値を
示す。これに対し、健全象牙質の硬度は、HV40〜6
0程度である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この齲蝕の除去作業
は、口腔内という狭い手術野で行われ、部位によっては
術者は齲蝕を直視できず、鏡を使うことによってのみ齲
蝕を見ることができるため、術者の技量によっては齲蝕
の取り忘れ(齲蝕を取り忘れると齲蝕の再発の原因とな
る)や、健全歯質の過度の切削という危険性がある。ま
た、習熟した術者であっても長い治療時間と労力のかか
る作業であった。
【0007】今日、術者の技量に拘わらず容易に時間を
かけず齲蝕のみを除去する方法が望まれている。回転切
削器具であるエアータービンやマイクロモーターを用い
た切削では、齲蝕も健全歯質も切削されるため、術者の
技量によって齲蝕のみを選択して切削する以外に方法が
なかった。また、近年臨床的に用いられはじめたアルミ
ナを研削材としたエアーブラスト装置では、齲蝕よりも
健全な歯質の方が研削されやすく齲蝕の除去を目的とし
て本装置を用いることは難しいと考えられる。
【0008】従って、現在のところ術者が細心の注意を
払って齲蝕のみを除去する以外の方法は開発されていな
い。そこで、本発明者は、エアーブラストの研削材とし
て健全歯質を研削しない程度の硬度を持った研削粒子を
用いることで健全歯質を研削することなく齲蝕のみを選
択的に除去する方法を開発し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】本発明は斯かる知見に基づいてなされたも
のであり、その目的は、健全な歯質を痛めることなく齲
蝕歯質を容易に除去することが可能な齲蝕除去材を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、健全
歯質と同等またはそれ以下の硬度を有する研削粒子から
なることを特徴とする。
【0011】請求項2の発明は、請求項1記載の齲蝕除
去材において、硬度がHV7〜200であることを特徴
とする。請求項3の発明は、請求項1記載の齲蝕除去材
において、硬度がHV40〜200であることを特徴と
する。請求項4の発明は、請求項1記載の齲蝕除去材に
おいて、硬度がHV7〜40であることを特徴とする。
【0012】請求項5の発明は、請求項1記載の齲蝕除
去材において、硬度がHV7〜30であることを特徴と
する。請求項6の発明は、請求項1記載の齲蝕除去材に
おいて、研削粒子の粒径が#20〜#360であること
を特徴とする。請求項7の発明は、請求項1記載の齲蝕
除去材において、研削粒子の粒径が#20〜#120で
あることを特徴とする。
【0013】請求項8の発明は、請求項1記載の齲蝕除
去材において、研削粒子が有機材料または複合材料から
なることを特徴とする。請求項9の発明は、請求項8記
載の齲蝕除去材において、有機材料が合成樹脂または植
物性繊維であることを特徴とする。請求項10の発明
は、請求項9記載の齲蝕除去材において、合成樹脂がメ
ラミン樹脂、尿素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリ
ル樹脂であることを特徴とする。
【0014】請求項11の発明は、請求項9記載の齲蝕
除去材において、植物性繊維が桃の種の殻、杏の種の
殻、クルミの種の殻、トウモロコシの芯、梅の種の殻、
ピスタチオの種の殻、アーモンドの種の殻、黒檀、紫檀
であることを特徴とする。請求項12の発明は、請求項
8記載の齲蝕除去材において、複合材料が無機材料また
は金属材料と合成樹脂との混合物、植物性繊維と無機材
料との混合物、植物性繊維と合成樹脂との混合物である
ことを特徴とする。
【0015】(作用)請求項1ないし請求項12の発明
においては、例えば、サンドブラスターのノズルから齲
蝕に向かって噴射すると、齲蝕を除去することができ
た。ここで、研削材の硬度は、HV7〜200である。
この研削材の硬度は、例えば、シマヅ製マイクロビッカ
ース硬さ計 HMV−2000で測定した。測定条件
は、15g、保持時間5秒とした。
【0016】研削材は、有機材料または複合材料で構成
されている。有機材料としては、合成樹脂、植物性繊維
が好適である。合成樹脂としては、メラミン樹脂、尿素
樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂がある。植
物性繊維としては、桃の種の殻、杏の種の殻、クルミの
種の殻、トウモロコシの芯、梅の種の殻、ピスタチオの
種の殻、アーモンドの種の殻、黒檀、紫檀などの高強度
植物性繊維がある。
【0017】複合材料としては、無機材料または金属材
料と合成樹脂との混合物、植物性繊維と無機材料と合成
樹脂との混合物、植物性繊維と合成樹脂との混合物があ
る。無機材料または金属材料と合成樹脂との混合物は、
合成樹脂の複合材料である。この複合材料は、例えば、
メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アク
リル樹脂、Bis−GMA(2,2-bis(p-2-hydroxy-3-me
thacryloxy propoxyphenyl)propane)などの合成樹脂を
基質とし、石英ガラス、アルミノケイ酸ガラス、リチウ
ムアルミニウムシリケート、ホウケイ酸ガラス、合成ア
パタイト、窒化珪素、コロイドケイ酸、銅、銀、金、プ
ラチナなどの、無機粒子または金属粒子を混合したもの
である。
【0018】また、歯科に用いられる修復材料のコンポ
ジットレジンは、ケイ素ガラスフィラーをBis−GM
A(2,2-bis(p-2-hydroxy-3-methacryloxy propoxy phe
nyl)propane)の有機物中に混合している。
【0019】この複合材料は、硬度的にほぼ象牙質と同
等であり、合成樹脂複合材料を用いることによっても齲
蝕の除去が行える。また、植物性繊維と合成樹脂との混
合物は、桃の種の殻、杏の種の殻、クルミの種の殻、ト
ウモロコシの芯、梅の種の殻、ピスタチオの種の殻、ア
ーモンドの種の殻、黒檀、紫檀などの高強度植物性繊維
の粉砕粒子を合成樹脂によって結合したものである。
【0020】また、植物性繊維と無機材料と合成樹脂と
の混合物は、桃の種の殻、杏の種の殻、クルミの種の
殻、トウモロコシの芯、梅の種の殻、ピスタチオの種の
殻、アーモンドの種の殻、黒檀、紫檀などの高強度植物
性繊維と、石英ガラス、アルミノケイ酸ガラス、リチウ
ムアルミニウムシリケート、ホウケイ酸ガラス、合成ア
パタイト、窒化珪素、コロイドケイ酸、銅、銀、金、プ
ラチナなどの、無機粒子または金属粒子を合成樹脂によ
って結合したものである。
【0021】次に、研削材の硬度について説明する。合
成樹脂と硬度(HV)とを対比すると、メラミン樹脂
(HV150〜200)、尿素樹脂(HV150〜20
0)、ポリカーボネート樹脂(HV40〜55)、アク
リル樹脂(HV50〜60)である。また、これらの植
物性繊維と硬度(HV)とを対比すると、桃の種の殻
(HV15〜40)、杏の種の殻(HV14〜40)、
クルミの種の殻(HV10〜30)、トウモロコシの芯
(HV7〜20)である。
【0022】ところで、メラミン樹脂、尿素樹脂は、硬
度(HV)が健全象牙質の硬度より高いため、象牙質を
わずかに研削するが、実際に齲蝕を除去してみると、齲
蝕を研削する速さに比べ健全歯質を研削する速さが非常
に遅いため、齲蝕のみが選択的に研削されている。すな
わち、齲蝕の選択的除去には健全象牙質と同程度以下の
粒子がよいと考えたが、メラミン樹脂、尿素樹脂程度の
硬さでは、臨床上問題となるほど健全歯質を研削しない
ため、粒子の硬さがHV200程度までは齲蝕の選択的
除去用の研削粒子として用いられる。
【0023】したがって、本発明でいう健全歯質と同等
の硬度とは、請求項2および請求項3に記載のように、
HV40〜60を越えて、HV200程度までを指すも
のとする。一方、桃の種の殻、杏の種の殻の硬度は、そ
れほど大きくはないが、実際に齲蝕を除去してみると、
齲蝕を除去する速さは速く、齲蝕検知液で染まる部位を
完全に除去し、それ以上健全な象牙質は研削せず、また
材質が天然材であることもあり、選択的齲蝕除去用の研
削粒子として有用である。
【0024】これらの硬度は、請求項4のように、HV
7〜40である。また、複合材料の硬度は、ほぼ象牙質
の硬度と同等であり、無機・有機の複合材料を用いるこ
とによっても、齲蝕の除去を行うことができる。また、
クルミの種の殻、トウモロコシの芯では、齲蝕検知液に
染まる部分を完全に除去することはできなかったが、臨
床上、完全に齲蝕をとらない方がよい場合(特に暫間的
間接覆髄法)には利用価値が大きいと考えられる。
【0025】ここで、暫間的間接覆髄法とは、1回目の
治療で齲蝕を全て削り取ってしまうと歯髄まで達してし
まうおそれのある場合、一層の齲蝕を残して3ヶ月ほど
セメントなどを詰めておき、歯髄が象牙質を添加しなが
ら後退したところで、2回目の治療で齲蝕を全て取り除
く方法をいう。暫間的間接覆髄法によれば、歯髄を痛め
ることなく齲蝕を取り除くことができる。欧米では齲蝕
が深い場合には歯髄を守るための手段として日常的に用
いられている。なお、歯髄は、歯の内部にある軟組織で
一般的には神経と呼ばれている。齲蝕を削っていて歯髄
まで達した場合には歯髄を取る治療を行わなければなら
ない。歯髄を取った歯は、歯髄のある歯に比べて寿命が
短くなると考えられ、できることなら歯髄を残した治療
が優先されている。
【0026】そこで、この目的のためには、請求項5の
ように、硬度をHV7〜30とする。また、研削材の粒
径は、#20〜#360である。この研削材の粒径は、
JISメッシュで計測した。合成樹脂および植物性繊維
では、粒径を#360より小さくすることは、上述した
硬度を保持しながら加工することが困難なため、実用的
でなく、また、粒径を#20より大きくすると、処置時
に患者が違和感を感じたり、齲蝕除去に用いにくくなる
ので、好ましくない。
【0027】以上のことから、本発明においては、研削
材は、健全歯質と同等またはそれ以下の硬度を有するも
のであれば、如何なるものでもよいが、口腔内での処理
に用いられるものであるから、有機材料または複合材料
で構成されていることが望ましい。そして、健全歯質と
同等またはそれ以下の硬度をHV硬度で表示すると、H
V7〜200であり、その研削材が合成樹脂またはその
複合材料の場合には、HV40〜200であり、研削材
が植物性繊維の場合には、HV7〜40であり、さら
に、植物性繊維でも桃の種の殻、杏の種の殻などのよう
に比較的硬度の低いものの場合には、HV7〜30であ
る。
【0028】また、本発明においては、硬度だけが目安
となるのではなく、口腔内での処理に用いられるもので
あることと、および齲蝕除去の点から、粒径が#20〜
#360とされる。勿論、効率よく齲蝕を完全に除去す
るには、HV硬度だけでなく、粒子の形、大きさ、密
度、噴射圧力などの因子を調整する必要があると考えら
れるが、研削材を決定する要素は、材料、硬度および粒
径である。
【0029】
【発明の実施の形態】
(実験1)表1に示すアルミナ、ガラスビーズ、メラミ
ン樹脂、尿素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹
脂、桃の種の殻、杏の種の殻、クルミの種の殻、トウモ
ロコシの芯を、図1に示すように、噴射圧力4.5at
m、ノズル試料間距離2mm、噴射時間3秒、ノズル径
0.8mm(ただし、ポリカーボネート樹脂(TP
L)、桃の種の殻(PS)、杏の種の殻(AP)、クル
ミの種の殻(KS)、トウモロコシの芯(CC)では
1.2mm)、噴射角度90゜の条件でエナメル質、象
牙質、齲蝕モデル(象牙質を脱灰したもの)を研削し、
その研削深さを測定した。
【0030】図1において、1はサンドラスターのノズ
ル、2は齲蝕歯質、3はエナメル質、4は象牙質を示
す。
【表1】 <結果1>結果を表2および図2に示す。
【0031】アルミナ粒子では#700〜#80まです
べての粒径において齲蝕モデルよりもエナメル質、象牙
質の方が研削量が大きかった。ガラスビーズでは、#3
60〜#80まですべての粒径において齲蝕モデルの方
がエナメル質、象牙質よりも多く研削された。メラミン
樹脂(TPS)#80、尿素樹脂(TPU)#80で
は、エナメル質の研削深さは測定値以下で、象牙質をわ
ずかながら研削し、齲蝕モデルを多く研削した。
【0032】ポリカーボネート樹脂(TPL)#80、
ポリカーボネート樹脂(TPL)#60、アクリル樹脂
(TPC)#80、桃の種の殻(PS)#60、杏の種
の殻(AP)#60、クルミの種の殻(KS)#60、
トウモロコシの芯(CC)#60では、エナメル質、象
牙質の研削深さは測定値以下であり、齲蝕モデルのみが
研削された。
【表2】 (実験2)#100アルミナと#100ガラスビーズを
用いて噴射圧力条件を2.0〜4.5atmの範囲で変
化させ、その他の条件は実験1と同条件で研削深さを測
定し、噴射圧力と研削深さの関係を調べた。 <結果2>結果を図3、図4に示す。
【0033】すべての噴射圧力においてアルミナでは齲
蝕モデルよりもエナメル質、象牙質の方が研削されやす
く、ガラスビーズでは齲蝕モデルの方がエナメル質、象
牙質よりも研削されやすいことが明らかとなった。 〔考察イ〕実験1、実験2より粒子径、噴射圧力を大き
くすることによって研削効率は大きくなるが、各粒子の
大きさ、各噴射圧力においてアルミナでは、齲蝕よりも
健全歯質の方が多く研削され、ガラスビーズでは齲蝕の
方が健全歯質よりも多く研削された。つまり、アルミ
ナ、ガラスビーズでは、粒子の大きさ、噴射圧力を変化
させても健全歯質が研削されることが明らかとなった。
【0034】メラミン樹脂(TPS)、尿素樹脂(TP
U)では、健全歯質をわずかながら研削するが、それに
比べて齲蝕を多く研削した。ポリカーボネート樹脂(T
PL)、アクリル樹脂(TPC)、桃の種の殻(P
S)、杏の種の殻(AP)、クルミの種の殻(KS)、
トウモロコシの芯(CC)では健全歯質は研削されず齲
蝕のみが研削されることがわかった。
【0035】以上のことから、齲蝕のみを選択的に研削
するには、粒子の大きさや、エアーブラスト装置の噴射
圧力よりも、研削粒子自体の特性が重要であることがわ
かった。表1を見ると、アルミナ(HV2000〜30
00)、ガラスビーズ(HV500〜550)、メラミ
ン樹脂(TPS)(HV150〜200)、尿素樹脂
(TPU)(HV150〜200)は、健全象牙質(H
V40〜60程度)に比べて硬度が大きく、ポリカーボ
ネート樹脂(TPL)(HV40〜55)、アクリル樹
脂(TPC)(HV50〜60)、桃の種の殻(PS)
(HV15〜40)、杏の種の殻(AP)(HV14〜
40)、クルミの種の殻(KS)(HV10〜30)、
トウモロコシの芯(CC)(HV7〜20)は、健全象
牙質に比べ硬度が小さかった。
【0036】このことから、健全象牙質を研削せず、齲
蝕だけを研削するためには、粒子の硬度が象牙質の硬度
と同程度以下である必要性があるとわかった。 (実験3)実験1で用いた粒子を用い、図1に示すよう
に、噴射圧力4.5atm、ノズル径0.8mm(ただ
し、ポリカーボネート樹脂(TPL)、桃の種の殻(P
S)、杏の種の殻(AP)、クルミの種の殻(KS)、
トウモロコシの芯(CC)では1.2mm)の条件で実
際に人抜去歯の齲蝕を除去した。
【0037】<結果3>アルミナでは、ある程度粒子径
の大きいものでは齲蝕は容易に除去できるが、粒子径の
小さいものでは除去時間が長くなった。また、粒子の大
きさには関係なく、齲蝕を越えて健全歯質をも研削して
しまった。ガラスビーズでは、粒子の大きいものでも齲
蝕の除去に時間が長くかかった。また、粒子の大きさに
関係なく齲蝕を越えて健全歯質をも研削してしまった。
【0038】メラミン樹脂(TPS)、尿素樹脂(TP
U)では、ほぼ30秒程度で齲蝕検知液で染色される部
位が完全に除去できた。さらに時間をかけると、健全歯
質も除去しているようであったが、その早さは齲蝕の除
去と比較すると非常に遅く、臨床的にこれらの粒子を用
いても問題はないと思われた。ポリカーボネート樹脂
(TPL)#80では、40〜50秒ほどでほぼ齲蝕検
知液で染色される部位が除去できたが、それ以上噴射し
ても齲蝕検知液に染まる一層が残ってしまった。
【0039】ポリカーボネート樹脂(TPL)#60で
は、ほぼ30秒程度で齲蝕検知液に染まる部位を完全に
除去し、それ以上噴射をしても健全歯質を研削すること
はなかった。桃の種の殻(PS)、杏の種の殻(AP)
では、ほぼ30秒程度で齲蝕検知液に染まる部位を完全
に除去し、それ以上噴射をしても健全歯質を研削しなか
った。
【0040】クルミの種の殻(KS)では、ほぼ40秒
ほどでほぼ齲蝕検知液に染まる部位が除去できたが、そ
れ以上噴射しても齲蝕検知液に染まる一層(0.2m
m)が残ってしまった。トウモロコシの芯(CC)で
は、クルミの種の殻(KS)よりも齲蝕検知液に染まる
部分(0.7mm)を多く残し、それ以上は研削できな
かった。
【0041】〔考察ロ〕実験1、実験2で推測されるよ
うに、アルミナ、ガラスビーズでは健全象牙質まで研削
され齲蝕の選択的除去を目的として、これらの粒子を用
いることは難しいと考えられる。実験1では、メラミン
樹脂(TPS)、尿素樹脂(TPU)は象牙質をわずか
に研削したが、実際に齲蝕を除去してみると、齲蝕を研
削する速さに比べ健全歯質を研削する速さが非常に遅い
ため、齲蝕のみが選択的に研削されているように感じ
た。
【0042】考察イでは、齲蝕の選択的除去には健全象
牙質と同程度以下の粒子がよいと考えたが、メラミン樹
脂(TPS)、尿素樹脂(TPU)程度の硬さでは、臨
床上問題となるほど健全歯質を研削しないため、粒子の
硬さがHV200程度までは齲蝕の選択的除去用の研削
粒子として用いられると考えられた。ポリカーボネート
樹脂(TPL)#80とポリカーボネート樹脂(TP
L)#60を比較すると、ポリカーボネート樹脂(TP
L)#60ではほぼ完全に齲蝕検知液で染まる範囲を削
除していたが、ポリカーボネート樹脂(TPL)#80
ではやや齲蝕を取り残していた。ポリカーボネート樹脂
(TPL)#80とポリカーボネート樹脂(TPL)#
60は同じ材質から作られるが、図5および図6に示す
SEM像に見られるようにポリカーボネート樹脂(TP
L)#80ではポリカーボネート樹脂(TPL)#60
に較べて粒子内に亀裂が入り輪郭もやや丸みを帯びてい
るため、研削力が小さくなったものと思われる。
【0043】このことより、同じ材質よりできた粒子で
も、その粒子の製法によっては研削力に若干の差ができ
ることがわかる。桃の種の殻(PS)、杏の種の殻(A
P)の硬度はそれほど大きくはないが、実際に齲蝕を除
去してみると、齲蝕を除去する速さは速く、齲蝕検知液
で染まる部位を完全に除去し、それ以上健全な象牙質は
研削せず、また材質が天然材であることもあり、選択的
齲蝕除去用の研削粒子として有用であると考えられた。
【0044】クルミの種の殻(KS)、トウモロコシの
芯(CC)では、齲蝕検知液に染まる部分を完全に除去
することはできなかったが、臨床上、完全に齲蝕をとら
ない方がよい場合(特に暫間的間接覆髄法)には利用価
値が大きいと考えられる。同じ材質よりできた粒子で
も、齲蝕を完全に除去できるかどうかに差があり、ポリ
カーボネート樹脂(TPL)に比べて高度の低い桃の種
の殻(PS)が齲蝕を効率よく除去できたり、杏の種の
殻(AP;平均の硬度がHV20.8)が平均的値で硬
度の上回るクルミの種の殻(KS;平均の硬度がHV2
2.4)よりも齲蝕が完全に除去できたこともあり、た
だ単に硬度(HV硬度)のみで齲蝕の研削力が決定でき
ないことが分かる。
【0045】しかし、齲蝕のみを選択的に研削するため
に最も重要なことは、HV硬度で7〜200程度の粒
子、または植物性繊維で高度の高いもの、またはその加
工物、または合成樹脂、またはその加工物を選択するこ
とであり、さらに効率よく齲蝕を完全に除去するには、
HV硬度だけでなく、粒子の形、大きさ、密度、噴射圧
力などの因子を調整する必要があると考えられる。
【0046】次に、桃の種の殻(PS)#60による齲
蝕の除去についてさらに説明する。図7は、齲蝕検知液
で齲蝕を赤く染め出した人抜去歯の断面を示す。図にお
いて、5が齲蝕検知液で齲蝕を染め出された齲蝕の部分
である。
【0047】図8は、桃の種の殻(PS)#60を噴射
圧力4.5atm、ノズル試料間距離2mm、ノズル径
1.2mmで約20秒エアーブラストした後、再度齲蝕
検知液で染め出した人抜去歯の断面を示す。図8から明
らかなように、齲蝕の部分5は完全に除去されるが、そ
の下の健全な象牙質6は除去されなかった。やや赤く染
まっている部分7がエナメル質8に認められるが、これ
は齲蝕を除去した後のエナメル質8の凹凸に齲蝕検知液
が残ったもので、齲蝕の取り残しではない。つまり、図
8では、図7で染め出された齲蝕のみが完全に除去さ
れ、健全な歯質は研削されていない。
【0048】次に、図7に示す歯に対し、アルミナ#1
00を噴射圧力4.5atm、ノズル試料間距離2m
m、ノズル径1.2mmで約20秒エアーブラストした
後、再度齲蝕検知液で染め出した人抜去歯の断面を図9
に示す。図9から明らかなように、アルミナは研削力が
非常に高く、齲蝕の部分5、象牙質6、エナメル質8が
除去されている。つまり、図9では、齲蝕を越えて健全
な象牙質をも研削し、歯髄腔へ穿孔してしまっていた。
【0049】この結果からも、アルミナを用いたエアー
ブラストでは、齲蝕の選択的な除去は不可能であること
が分かる。 (実験4)実験3と同じ条件でエアーブラストに水分を
混ぜて(湿式ブラスト)噴射を行った。
【0050】<結果4>全体的に研削効率が低下してい
るようであった。アルミナ、ガラスビーズでは、健全象
牙質が研削された。メラミン樹脂(TPS)、尿素樹脂
(TPU)、カーボネート樹脂(TPL)、アクリル樹
脂(TPC)、桃の種の殻(PS)、杏の種の殻(A
P)では、齲蝕検知液で染まる部位を完全に除去し、健
全な象牙質はほとんど研削されていなかった。
【0051】クルミの種の殻(KS)、トウモロコシの
芯(CC)では、齲蝕検知液に染まる部分を完全に除去
することはできなかった。 [結論]健全象牙質を研削することなく齲蝕象牙質を研
削するためには、HV7〜200程度の硬度を持つ粒子
を乾式または湿式ブラストする必要があることがわかっ
た。
【0052】また、HV7〜200の粒子の中で、硬度
の高いものは、若干健全歯質も研削できるため健全歯質
も含めて研削する時に使用できる。また、硬度の小さい
ものでは、齲蝕を完全に除去しない目的、または齲蝕除
去の際、はじめの大まかな齲蝕除去に利用できる。
【0053】
【発明の効果】以上のように、請求項1ないし請求項1
2の発明によれば、健全な歯質を痛めることなく齲蝕歯
質を容易に除去することができる。
【0054】特に、研削材が植物性繊維の場合には、合
成樹脂の研削材に比し、違和感が少なく、口腔内の使用
に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る齲蝕研削材の使用例を示す説明図
である。
【図2】各粒子と研削深さとの関係を示す図である。
【図3】噴射圧力と研削深さとの関係を示す図である。
【図4】噴射圧力と研削深さとの関係を示す図である。
【図5】ポリカーボネート樹脂(TPL)#80のSE
M観察による図である。
【図6】ポリカーボネート樹脂(TPL)#60のSE
M観察による図である。
【図7】齲蝕検知液で齲蝕を赤く染め出した人抜去歯の
断面図である。
【図8】図7の人抜去歯に対し桃の種の殻(PS)#6
0を圧力4.5atmで約20秒エアーブラストした
後、再度齲蝕検知液で染め出した人抜去歯の断面図であ
る。
【図9】図7の人抜去歯に対しアルミナ#100を圧力
4.5atmで約20秒エアーブラストした後、再度齲
蝕検知液で染め出した人抜去歯の断面図である。
【符号の説明】
1 サンドラスターのノズル 2 齲蝕歯質 3 エナメル質 4 象牙質 5 齲蝕検知液で赤く染め出した歯齲蝕の部分 6 象牙質 7 エナメル質の凹凸に残った齲蝕検知液でやや赤く染
まっている部分 8 エナメル質
【手続補正書】
【提出日】平成9年4月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る齲蝕研削材の使用例を示す説明図
である。
【図2】各粒子と研削深さとの関係を示す図である。
【図3】噴射圧力と研削深さとの関係を示す図である。
【図4】噴射圧力と研削深さとの関係を示す図である。
【図5】ポリカーボネート樹脂(TPL)#80のSE
M観察による写真である。
【図6】ポリカーボネート樹脂(TPL)#60のSE
M観察による写真である。
【図7】齲蝕検知液で齲蝕を赤く染め出した人抜去歯の
断面をディスプレー上に表示した中間調画像である。
【図8】図7の人抜去歯に対し桃の種の殻(PS)#6
0を圧力4.5atmで約20秒エアーブラストした
後、再度齲蝕検知液で染め出した人抜去歯の断面をディ
スプレー上に表示した中間調画像である。
【図9】図7の人抜去歯に対しアルミナ#100を圧力
4.5atmで約20秒エアーブラストした後、再度齲
蝕検知液で染め出した人抜去歯の断面をディスプレー上
に表示した中間調画像である。
【符号の説明】 1 サンドラスターのノズル 2 齲蝕歯質 3 エナメル質 4 象牙質 5 齲蝕検知液で赤く染め出した歯齲蝕の部分 6 象牙質 7 エナメル質の凹凸に残った齲蝕検知液でやや赤く染
まっている部分 8 エナメル質

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 健全歯質と同等またはそれ以下の硬度を
    有する研削粒子からなることを特徴とする齲蝕除去材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の齲蝕除去材において、硬
    度がHV7〜200であることを特徴とする齲蝕除去
    材。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の齲蝕除去材において、硬
    度がHV40〜200であることを特徴とする齲蝕除去
    材。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の齲蝕除去材において、硬
    度がHV7〜40であることを特徴とする齲蝕除去材。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の齲蝕除去材において、硬
    度がHV7〜30であることを特徴とする齲蝕除去材。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の齲蝕除去材において、研
    削粒子の粒径が#20〜#360であることを特徴とす
    る齲蝕除去材。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の齲蝕除去材において、研
    削粒子の粒径が#20〜#120であることを特徴とす
    る齲蝕除去材。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の齲蝕除去材において、研
    削粒子が有機材料または複合材料からなることを特徴と
    する齲蝕除去材。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の齲蝕除去材において、有
    機材料が合成樹脂または植物性繊維であることを特徴と
    する齲蝕除去材。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の齲蝕除去材において、
    合成樹脂がメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリカーボネート
    樹脂、アクリル樹脂であることを特徴とする齲蝕除去
    材。
  11. 【請求項11】 請求項9記載の齲蝕除去材において、
    植物性繊維が桃の種の殻、杏の種の殻、クルミの種の
    殻、トウモロコシの芯、梅の種の殻、ピスタチオの種の
    殻、アーモンドの種の殻、黒檀、紫檀であることを特徴
    とする齲蝕除去材。
  12. 【請求項12】 請求項8記載の齲蝕除去材において、
    複合材料が無機材料または金属材料と合成樹脂との混合
    物、植物性繊維と無機材料との混合物、植物性繊維と合
    成樹脂との混合物であることを特徴とする齲蝕除去材。
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