JPH09263576A - β−メルカプトプロピオン酸の製造方法 - Google Patents
β−メルカプトプロピオン酸の製造方法Info
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- JPH09263576A JPH09263576A JP8075727A JP7572796A JPH09263576A JP H09263576 A JPH09263576 A JP H09263576A JP 8075727 A JP8075727 A JP 8075727A JP 7572796 A JP7572796 A JP 7572796A JP H09263576 A JPH09263576 A JP H09263576A
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- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
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- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 β−メルカプトプロピオン酸エステルを加水
分解して、簡便かつ工業的に有利に、かつ高選択的、高
収率で高品質のβ−メルカプトプロピオン酸を製造する
方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 予め反応系内で、原料β−メルカプトプ
ロピオン酸エステルと、原料β−メルカプトプロピオン
酸エステルに対して重量比で5〜20の範囲のβ−メル
カプトプロピオン酸とを混合した後、該混合液を酸触媒
の存在下で副生するアルコールを留去させることによ
り、原料β−メルカプトプロピオン酸エステルを加水分
解させることを特徴とする。
分解して、簡便かつ工業的に有利に、かつ高選択的、高
収率で高品質のβ−メルカプトプロピオン酸を製造する
方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 予め反応系内で、原料β−メルカプトプ
ロピオン酸エステルと、原料β−メルカプトプロピオン
酸エステルに対して重量比で5〜20の範囲のβ−メル
カプトプロピオン酸とを混合した後、該混合液を酸触媒
の存在下で副生するアルコールを留去させることによ
り、原料β−メルカプトプロピオン酸エステルを加水分
解させることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、β−メルカプトプ
ロピオン酸エステルを原料としてβ−メルカプトプロピ
オン酸を効率的に製造する方法に関するものである。
ロピオン酸エステルを原料としてβ−メルカプトプロピ
オン酸を効率的に製造する方法に関するものである。
【0002】β−メルカプトプロピオン酸は、医薬、農
薬、高分子添加剤およびフォトポリマーをはじめとする
多くの有機合成原料となる有用な化合物であり、経済的
なβ−メルカプトプロピオン酸の製造方法を確立するこ
とは工業的に重要な意義がある。
薬、高分子添加剤およびフォトポリマーをはじめとする
多くの有機合成原料となる有用な化合物であり、経済的
なβ−メルカプトプロピオン酸の製造方法を確立するこ
とは工業的に重要な意義がある。
【0003】
【従来の技術】従来β−メルカプトプロピオン酸の製造
方法としては、 (1)β−ハロゲンプロピオン酸の塩類をアルカリ存在
下硫化水素と加圧下に反応させる方法(特開昭50−7
1622号) (2)β−プロピオラクトンと過剰の水硫化ソーダ等を
−25〜−10℃の極低温で反応させる方法(米国特許
第2,449,987号) (3)β−クロロプロピオン酸とチオ硫酸塩を用い B
unte塩を生成させた後加水分解する方法(特開昭5
9−29656号) (4)アクリロニトリルと硫化水素とを少量の硫黄及び
有機塩基の存在下反応させ、その後に濃塩酸でニトリル
基を加水分解する方法(米国特許第3,280,163
号) (5)アクリル酸を有機塩基の存在下加圧で硫化水素と
反応させる方法(英国特許第1,150,720号) 等がある。
方法としては、 (1)β−ハロゲンプロピオン酸の塩類をアルカリ存在
下硫化水素と加圧下に反応させる方法(特開昭50−7
1622号) (2)β−プロピオラクトンと過剰の水硫化ソーダ等を
−25〜−10℃の極低温で反応させる方法(米国特許
第2,449,987号) (3)β−クロロプロピオン酸とチオ硫酸塩を用い B
unte塩を生成させた後加水分解する方法(特開昭5
9−29656号) (4)アクリロニトリルと硫化水素とを少量の硫黄及び
有機塩基の存在下反応させ、その後に濃塩酸でニトリル
基を加水分解する方法(米国特許第3,280,163
号) (5)アクリル酸を有機塩基の存在下加圧で硫化水素と
反応させる方法(英国特許第1,150,720号) 等がある。
【0004】しかしながら、これらの方法により遊離の
β−メルカプトプロピオン酸を得るためには、多量の廃
棄物が副生したり、また前記(1)、(2)、(4)お
よび(5)の方法では、塩基の存在下に実証されるもの
であるが、β−メルカプトプロピオン酸やその前駆体で
あるβ−メルカプトプロピオン酸塩あるいはβ−メルカ
プトプロピオンニトリルなどは、塩基の存在下では不安
定であり、例えば酸素との接触で容易に酸化を受けジス
ルフィド化合物を生成するため、収率の低下をまねく欠
点がある。
β−メルカプトプロピオン酸を得るためには、多量の廃
棄物が副生したり、また前記(1)、(2)、(4)お
よび(5)の方法では、塩基の存在下に実証されるもの
であるが、β−メルカプトプロピオン酸やその前駆体で
あるβ−メルカプトプロピオン酸塩あるいはβ−メルカ
プトプロピオンニトリルなどは、塩基の存在下では不安
定であり、例えば酸素との接触で容易に酸化を受けジス
ルフィド化合物を生成するため、収率の低下をまねく欠
点がある。
【0005】したがって、上記した方法はいずれも工業
的に有利なβ−メルカプトプロピオン酸の製造方法とは
言えない。
的に有利なβ−メルカプトプロピオン酸の製造方法とは
言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の方法
のこのような問題点を解決するためになされたものであ
り、β−メルカプトプロピオン酸エステルを加水分解し
て、簡便かつ工業的に有利に、かつ高選択的、高収率で
高品質のβ−メルカプトプロピオン酸を製造する方法を
提供することを目的とする。
のこのような問題点を解決するためになされたものであ
り、β−メルカプトプロピオン酸エステルを加水分解し
て、簡便かつ工業的に有利に、かつ高選択的、高収率で
高品質のβ−メルカプトプロピオン酸を製造する方法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、β−メル
カプトプロピオン酸の製造に関して、工業的に有利な方
法を確立すべく鋭意検討を重ねた結果、β−メルカプト
プロピオン酸エステルを酸触媒の存在下で加水分解して
β−メルカプトプロピオン酸を製造するに際し、予め反
応系に、原料β−メルカプトプロピオン酸エステルに対
して重量比で0.01〜10の範囲のβ−メルカプトプ
ロピオン酸を添加した後に、副生するアルコールを留去
しながら加水分解させることにより、簡便かつ工業的に
有利な方法で、高選択的に高収率をもって高品質のβ−
メルカプトプロピオン酸が得られることを見出し本発明
を完成するに至った。
カプトプロピオン酸の製造に関して、工業的に有利な方
法を確立すべく鋭意検討を重ねた結果、β−メルカプト
プロピオン酸エステルを酸触媒の存在下で加水分解して
β−メルカプトプロピオン酸を製造するに際し、予め反
応系に、原料β−メルカプトプロピオン酸エステルに対
して重量比で0.01〜10の範囲のβ−メルカプトプ
ロピオン酸を添加した後に、副生するアルコールを留去
しながら加水分解させることにより、簡便かつ工業的に
有利な方法で、高選択的に高収率をもって高品質のβ−
メルカプトプロピオン酸が得られることを見出し本発明
を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、β−メルカプトプロピ
オン酸エステルを加水分解してβ−メルカプトプロピオ
ン酸を製造するに際して、予め反応系内で、原料β−メ
ルカプトプロピオン酸エステルと、原料β−メルカプト
プロピオン酸エステルに対して重量比で0.01〜10
の範囲のβ−メルカプトプロピオン酸とを混合する工程
(I)と、工程(I)で得られた原料混合液を酸触媒の
存在下で加熱し副生するアルコールを留去させることに
より、原料β−メルカプトプロピオン酸エステルを加水
分解させβ−メルカプトプロピオン酸を生成させる工程
(II)とを有することを特徴とするβ−メルカプトプ
ロピオン酸の製造方法である。
オン酸エステルを加水分解してβ−メルカプトプロピオ
ン酸を製造するに際して、予め反応系内で、原料β−メ
ルカプトプロピオン酸エステルと、原料β−メルカプト
プロピオン酸エステルに対して重量比で0.01〜10
の範囲のβ−メルカプトプロピオン酸とを混合する工程
(I)と、工程(I)で得られた原料混合液を酸触媒の
存在下で加熱し副生するアルコールを留去させることに
より、原料β−メルカプトプロピオン酸エステルを加水
分解させβ−メルカプトプロピオン酸を生成させる工程
(II)とを有することを特徴とするβ−メルカプトプ
ロピオン酸の製造方法である。
【0009】また本発明は、前記工程(II)で得られ
たβ−メルカプトプロピオン酸を含む反応混合液の一部
を、前記工程(I)のβ−メルカプトプロピオン酸とし
て反応系にリサイクルすることが可能である。
たβ−メルカプトプロピオン酸を含む反応混合液の一部
を、前記工程(I)のβ−メルカプトプロピオン酸とし
て反応系にリサイクルすることが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるβ−メルカプ
トプロピオン酸エステルは、工業的に大量に入手できる
原料であり、かつどの様な方法で製造されたものでも良
い。例えば特開昭62−63526号公報、特公昭57
−48155号公報などに開示されている方法によれ
ば、陰イオン交換樹脂触媒の存在下、アクリル酸エステ
ルへ硫化水素を付加されることによって容易に製造でき
ることが公知である。
トプロピオン酸エステルは、工業的に大量に入手できる
原料であり、かつどの様な方法で製造されたものでも良
い。例えば特開昭62−63526号公報、特公昭57
−48155号公報などに開示されている方法によれ
ば、陰イオン交換樹脂触媒の存在下、アクリル酸エステ
ルへ硫化水素を付加されることによって容易に製造でき
ることが公知である。
【0011】又、本発明に使用されるβ−メルカプトプ
ロピオン酸エステルは、通常、該エステルのエステル部
分を構成するアルキル基の炭素数が1〜8であるβ−メ
ルカプトプロピオン酸エステルであり、中でもβ−メル
カプトプロピオン酸メチルが好ましい。
ロピオン酸エステルは、通常、該エステルのエステル部
分を構成するアルキル基の炭素数が1〜8であるβ−メ
ルカプトプロピオン酸エステルであり、中でもβ−メル
カプトプロピオン酸メチルが好ましい。
【0012】本発明において使用されるβ−メルカプト
プロピオン酸の量は、原料β−メルカプトプロピオン酸
エステルに対して重量比で0.01〜10の範囲に相当
する量であり、好ましくは0.05〜10の範囲、さら
に好ましくは0.1〜5の範囲である。使用するβ−メ
ルカプトプロピオン酸の量が前記範囲より小さい場合
は、実質的な反応速度が得られず、逆に前記範囲よりも
大きくしても、添加量に応じた効果が得られず、単位容
積当たりの生産性を低下させるだけで有利ではない。
プロピオン酸の量は、原料β−メルカプトプロピオン酸
エステルに対して重量比で0.01〜10の範囲に相当
する量であり、好ましくは0.05〜10の範囲、さら
に好ましくは0.1〜5の範囲である。使用するβ−メ
ルカプトプロピオン酸の量が前記範囲より小さい場合
は、実質的な反応速度が得られず、逆に前記範囲よりも
大きくしても、添加量に応じた効果が得られず、単位容
積当たりの生産性を低下させるだけで有利ではない。
【0013】工程(I)で使用されるβ−メルカプトプ
ロピオン酸はどのような方法で製造されたものであって
もよく、蒸留分離されたものや、反応後の反応生成液の
ままで添加しても良く、いずれの場合も原料混合液中に
含まれるβ−メルカプトプロピオン酸量が前記した範囲
内になるようにさえ操作されれば特に何の支障もなく実
施できる。特に工程の簡略化や経済的な見地から考え
て、工程(II)で得られたβ−メルカプトプロピオン
酸を含む反応混合液を、前記β−メルカプトプロピオン
酸として前記重量比が所定の範囲になるように使用する
のが好ましい。
ロピオン酸はどのような方法で製造されたものであって
もよく、蒸留分離されたものや、反応後の反応生成液の
ままで添加しても良く、いずれの場合も原料混合液中に
含まれるβ−メルカプトプロピオン酸量が前記した範囲
内になるようにさえ操作されれば特に何の支障もなく実
施できる。特に工程の簡略化や経済的な見地から考え
て、工程(II)で得られたβ−メルカプトプロピオン
酸を含む反応混合液を、前記β−メルカプトプロピオン
酸として前記重量比が所定の範囲になるように使用する
のが好ましい。
【0014】本発明の工程(I)におけるβ−メルカプ
トプロピオン酸エステルとβ−メルカプトプロピオン酸
との混合の方法は、両者の重量比が所定の範囲であれ
ば、どのような方法であってもよい。
トプロピオン酸エステルとβ−メルカプトプロピオン酸
との混合の方法は、両者の重量比が所定の範囲であれ
ば、どのような方法であってもよい。
【0015】例えばβ−メルカプトプロピオン酸エステ
ルにβ−メルカプトプロピオン酸を混合する場合には、
β−メルカプトプロピオン酸を一括して添加して混合し
てもよいし、分割して添加して混合してもよいし、連続
的に添加して混合してもよい。また逆に、β−メルカプ
トプロピオン酸にβ−メルカプトプロピオン酸エステル
を混合する場合も前記と同様にして添加して混合しても
よい。工程(I)で使用されるβ−メルカプトプロピオ
ン酸として工程(II)で得られたβ−メルカプトプロ
ピオン酸を含む反応混合物を使用する場合の添加方法
も、前記と同様に、一括して行ってもよいし、分割して
行ってもよいし、連続的に行ってもよい。
ルにβ−メルカプトプロピオン酸を混合する場合には、
β−メルカプトプロピオン酸を一括して添加して混合し
てもよいし、分割して添加して混合してもよいし、連続
的に添加して混合してもよい。また逆に、β−メルカプ
トプロピオン酸にβ−メルカプトプロピオン酸エステル
を混合する場合も前記と同様にして添加して混合しても
よい。工程(I)で使用されるβ−メルカプトプロピオ
ン酸として工程(II)で得られたβ−メルカプトプロ
ピオン酸を含む反応混合物を使用する場合の添加方法
も、前記と同様に、一括して行ってもよいし、分割して
行ってもよいし、連続的に行ってもよい。
【0016】また工程(I)の混合の際には、工程(I
I)の加水分解反応で必要である水や触媒を存在させて
行ってもよい。
I)の加水分解反応で必要である水や触媒を存在させて
行ってもよい。
【0017】また工程(I)において、β−メルカプト
プロピオン酸エステルとβ−メルカプトプロピオン酸と
を所定の範囲の量で混合した後に、工程(II)の反応
の際にさらにβ−プロピオン酸エステルを添加して反応
を行うことも可能である。
プロピオン酸エステルとβ−メルカプトプロピオン酸と
を所定の範囲の量で混合した後に、工程(II)の反応
の際にさらにβ−プロピオン酸エステルを添加して反応
を行うことも可能である。
【0018】本発明の工程(II)における反応条件
は、原料のβ−メルカプトプロピオン酸エステルや触媒
の種類によって選択されるが、反応温度は通常20〜1
50℃、好ましくは50〜130℃の範囲であり、又、
反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間、
好ましくは10分〜12時間の範囲である。
は、原料のβ−メルカプトプロピオン酸エステルや触媒
の種類によって選択されるが、反応温度は通常20〜1
50℃、好ましくは50〜130℃の範囲であり、又、
反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間、
好ましくは10分〜12時間の範囲である。
【0019】反応圧力は、留去するアルコールの物性に
より適宜決めることができ、特に制限はないが、通常は
常圧、または減圧下で実施される。
より適宜決めることができ、特に制限はないが、通常は
常圧、または減圧下で実施される。
【0020】本発明の工程(II)の加水分解反応にお
けるβ−メルカプトプロピオン酸エステルに対する水の
モル比は1〜100であれば良いが、反応後の分離に要
するエネルギーコストを考慮すれば1〜10の範囲が好
ましい。
けるβ−メルカプトプロピオン酸エステルに対する水の
モル比は1〜100であれば良いが、反応後の分離に要
するエネルギーコストを考慮すれば1〜10の範囲が好
ましい。
【0021】工程(II)で使用される酸触媒は、いず
れのものでも制限なく使用できるが、具体的に例示する
と、例えば、塩酸,硫酸などの鉱酸;メタンスルホン
酸,p−トルエンスルホン酸などの有機酸;固体酸など
をあげることができる。中でも、β−メルカプトプロピ
オン酸は、反応性に富み、不安定であることから、生成
物との分離が容易である固体酸、特に陽イオン交換樹脂
が好適に用いられる。前記陽イオン交換樹脂は、酸型の
ものであれば、特に制限なく使用できるが、スルホン酸
型の強酸性イオン交換樹脂が特に好適である。例えば商
品名で例示すると、ダウエックス HCR−W2、ダウ
エックス 650 C−H、ダウエックス88、ダウエ
ックスMWC−1−H、アンバーライト−200C、ア
ンバーライトXH−105、デニオライト C−43
3、デニオライト C−464、レバチット SPC−
108、レバチット SPC−118、ダイヤイオン
RCP−105H、ダイヤイオン RCP−145H、
スミカイオン KC−470などを挙げることができ
る。また、Nafian−Hなどのフッ素化スルホン酸
樹脂なども使用できる。
れのものでも制限なく使用できるが、具体的に例示する
と、例えば、塩酸,硫酸などの鉱酸;メタンスルホン
酸,p−トルエンスルホン酸などの有機酸;固体酸など
をあげることができる。中でも、β−メルカプトプロピ
オン酸は、反応性に富み、不安定であることから、生成
物との分離が容易である固体酸、特に陽イオン交換樹脂
が好適に用いられる。前記陽イオン交換樹脂は、酸型の
ものであれば、特に制限なく使用できるが、スルホン酸
型の強酸性イオン交換樹脂が特に好適である。例えば商
品名で例示すると、ダウエックス HCR−W2、ダウ
エックス 650 C−H、ダウエックス88、ダウエ
ックスMWC−1−H、アンバーライト−200C、ア
ンバーライトXH−105、デニオライト C−43
3、デニオライト C−464、レバチット SPC−
108、レバチット SPC−118、ダイヤイオン
RCP−105H、ダイヤイオン RCP−145H、
スミカイオン KC−470などを挙げることができ
る。また、Nafian−Hなどのフッ素化スルホン酸
樹脂なども使用できる。
【0022】前記触媒の使用量は、特に陽イオン交換樹
脂の場合、全反応液に対して1〜40重量%、好ましく
は1〜10重量%である。
脂の場合、全反応液に対して1〜40重量%、好ましく
は1〜10重量%である。
【0023】本発明を実施するにあたり、例えばアセト
ンやジオキサンのような通常用いられる溶媒の使用も可
能である。
ンやジオキサンのような通常用いられる溶媒の使用も可
能である。
【0024】本発明にかかわるエステルの加水分解反応
は、一般に平衡反応であり生成物である相当する酸を反
応系に添加することは、反応を進行させる上で不利であ
る。さらにβ−メルカプトプロピオン酸エステルは、相
当するプロピオン酸エステルよりも親水性が強いため、
水との相溶性が悪く反応の初期において十分な加水分解
速度が得られない。特に、エステル部分の炭素数が大き
くなると、その傾向は助長される。
は、一般に平衡反応であり生成物である相当する酸を反
応系に添加することは、反応を進行させる上で不利であ
る。さらにβ−メルカプトプロピオン酸エステルは、相
当するプロピオン酸エステルよりも親水性が強いため、
水との相溶性が悪く反応の初期において十分な加水分解
速度が得られない。特に、エステル部分の炭素数が大き
くなると、その傾向は助長される。
【0025】ところが、本発明で開示する如く、反応初
期からβ−メルカプトプロピオン酸を存在させることに
より予期とは反して、反応の誘導期がなく、初期から加
水分解反応が迅速に進行し、顕著な添加効果が認められ
る。β−メルカプトプロピオン酸を存在させることによ
り、エステルと水との接触状態が改善され、反応を円滑
に進める状況が作られたと考えられるが、その真の理由
は不明である。
期からβ−メルカプトプロピオン酸を存在させることに
より予期とは反して、反応の誘導期がなく、初期から加
水分解反応が迅速に進行し、顕著な添加効果が認められ
る。β−メルカプトプロピオン酸を存在させることによ
り、エステルと水との接触状態が改善され、反応を円滑
に進める状況が作られたと考えられるが、その真の理由
は不明である。
【0026】本発明の工程(II)における加水分解反
応は平衡反応であるため、一般的な反応蒸留の方法によ
り副生するアルコールを系外に除去することが反応率を
高める上で有効である。反応形式は、回分形式、連続形
式のいずれの方法であってもよい。
応は平衡反応であるため、一般的な反応蒸留の方法によ
り副生するアルコールを系外に除去することが反応率を
高める上で有効である。反応形式は、回分形式、連続形
式のいずれの方法であってもよい。
【0027】例えば、陽イオン交換触媒を用いた場合に
ついて、実施態様について例示すると、 (a)所定量のβ−メルカプトプロピオン酸、β−メル
カプトプロピオン酸エステル、水、および陽イオン交換
樹脂触媒を用いて、副生するアルコールを留出させなが
ら加水分解反応する。得られた反応液より沈降などの操
作で触媒を分離し、β−メルカプトプロピオン酸エステ
ルに相当する量のβ−メルカプトプロピオン酸を含む反
応液を抜出し、必要があれば精製系へまわし、例えば蒸
留操作によりβ−メルカプトプロピオン酸を分離する。
ついて、実施態様について例示すると、 (a)所定量のβ−メルカプトプロピオン酸、β−メル
カプトプロピオン酸エステル、水、および陽イオン交換
樹脂触媒を用いて、副生するアルコールを留出させなが
ら加水分解反応する。得られた反応液より沈降などの操
作で触媒を分離し、β−メルカプトプロピオン酸エステ
ルに相当する量のβ−メルカプトプロピオン酸を含む反
応液を抜出し、必要があれば精製系へまわし、例えば蒸
留操作によりβ−メルカプトプロピオン酸を分離する。
【0028】(b)(a)の操作で得られた反応器中の
残留物、即ちβ−メルカプトプロピオン酸を含む反応液
と触媒を含む混合物へ新たにβ−メルカプトプロピオン
酸エステルと必要量の水とを加えて繰り返し加水分解反
応を行う。
残留物、即ちβ−メルカプトプロピオン酸を含む反応液
と触媒を含む混合物へ新たにβ−メルカプトプロピオン
酸エステルと必要量の水とを加えて繰り返し加水分解反
応を行う。
【0029】という(a)および(b)の操作を繰返し
て実施する方法があげられるが、本発明は上記した実施
態様例に限定されるものではない。
て実施する方法があげられるが、本発明は上記した実施
態様例に限定されるものではない。
【0030】以上述べた如き本発明の製法によれば、β
−メルカプトプロピオン酸エステルの加水分解反応後の
反応液について簡易な操作で触媒を分離した後、反応生
成液を単に濃縮するだけで容易に高純度のβ−メルカプ
トプロピオン酸を高収率を以って製造できる。また、必
要に応じて精留することによってさらに純度の高いβ−
メルカプトプロピオン酸を得ることができる。
−メルカプトプロピオン酸エステルの加水分解反応後の
反応液について簡易な操作で触媒を分離した後、反応生
成液を単に濃縮するだけで容易に高純度のβ−メルカプ
トプロピオン酸を高収率を以って製造できる。また、必
要に応じて精留することによってさらに純度の高いβ−
メルカプトプロピオン酸を得ることができる。
【0031】これは、本発明で使用する触媒として特に
反応液に不溶の固体酸触媒を用いた場合に得られる特徴
で、好ましい1つの態様を示すものである。その結果、
容易な方法で反応液と触媒とが分離でき、β−メルカプ
トプロピオン酸の簡素な製造方法となる。エステルの加
水分解に一般的に行なわれる従来技術のような塩基性物
質を触媒として反応系に存在させる必要がなく、その場
合、生成しやすくなるジスルフィド化合物の副生が起こ
りやすくなるが、それがないためにさらに精製工程が簡
素化される。
反応液に不溶の固体酸触媒を用いた場合に得られる特徴
で、好ましい1つの態様を示すものである。その結果、
容易な方法で反応液と触媒とが分離でき、β−メルカプ
トプロピオン酸の簡素な製造方法となる。エステルの加
水分解に一般的に行なわれる従来技術のような塩基性物
質を触媒として反応系に存在させる必要がなく、その場
合、生成しやすくなるジスルフィド化合物の副生が起こ
りやすくなるが、それがないためにさらに精製工程が簡
素化される。
【0032】
【実施例】以下に実施例及び比較例によって本発明の方
法を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に
限定されるものではない。
法を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に
限定されるものではない。
【0033】実施例1 留出管として還流装置付き充填塔、温度計および攪拌機
を具備した容量1Lの4つ口フラスコに、β−メルカプ
トプロピオン酸メチル240gr(2.0モル)、β−
メルカプトプロピオン酸212gr(2.0モル)、水
360(20モル)および強酸性イオン交換樹脂触媒と
して、Dowex 650C−Hを25gr仕込み、窒
素雰囲気下で反応温度95℃においてメタノールを留出
させながら2時間反応させた。
を具備した容量1Lの4つ口フラスコに、β−メルカプ
トプロピオン酸メチル240gr(2.0モル)、β−
メルカプトプロピオン酸212gr(2.0モル)、水
360(20モル)および強酸性イオン交換樹脂触媒と
して、Dowex 650C−Hを25gr仕込み、窒
素雰囲気下で反応温度95℃においてメタノールを留出
させながら2時間反応させた。
【0034】反応は、開始直後よりメタノール留出があ
り、加水分解反応が迅速に進行していることが確認され
た。
り、加水分解反応が迅速に進行していることが確認され
た。
【0035】反応後得られた反応混合物を分析したとこ
ろ,β−メルカプトプロピオン酸メチルが2.4gr、
β−メルカプトプロピオン酸が421.5gr含まれて
おり、これはβ−メルカプトプロピオン酸メチルの反応
率99%およびβ−メルカプトプロピオン酸への選択率
が99.8%に相当する結果を得た。
ろ,β−メルカプトプロピオン酸メチルが2.4gr、
β−メルカプトプロピオン酸が421.5gr含まれて
おり、これはβ−メルカプトプロピオン酸メチルの反応
率99%およびβ−メルカプトプロピオン酸への選択率
が99.8%に相当する結果を得た。
【0036】反応条件および結果を表1に示した。
【0037】実施例2 実施例1で得たβ−メルカプトプロピオン酸を含む反応
混合物を一部リサイクルして加水分解反応を実施する例
を示す。
混合物を一部リサイクルして加水分解反応を実施する例
を示す。
【0038】実施例1で得られた反応混合物の組成は β−メルカプトプロピオン酸メチル 0.4 wt% β−メルカプトプロピオン酸 61.7 wt% 水 37.8 wt% その他 0.1 wt% であった。水の含量が実施例1で仕込んだ値と比較して
少ないのは、実施例1の反応中に水を一部留出させたた
めである。
少ないのは、実施例1の反応中に水を一部留出させたた
めである。
【0039】上記反応混合物343.6gr(成分とし
て、β−メルカプトプロピオン酸メチル1.4gr
(0.01mol);β−メルカプトプロピオン酸21
2gr(2.0mol);水129.9gr(7.2m
ol)を含む)、新たにβ−メルカプトプロピオン酸メ
チル238.6gr(1.99mol)、水230.1
gr(12.8mol)および強酸性イオン交換樹脂触
媒としてDowex 650C−Hを25grを仕込ん
だ以外は実施例1と同様に操作した。
て、β−メルカプトプロピオン酸メチル1.4gr
(0.01mol);β−メルカプトプロピオン酸21
2gr(2.0mol);水129.9gr(7.2m
ol)を含む)、新たにβ−メルカプトプロピオン酸メ
チル238.6gr(1.99mol)、水230.1
gr(12.8mol)および強酸性イオン交換樹脂触
媒としてDowex 650C−Hを25grを仕込ん
だ以外は実施例1と同様に操作した。
【0040】反応条件および結果を表1に示した。
【0041】実施例3および4 反応条件を表1に示したように変更し、実施例1と同様
の操作を行ない、その結果を表1に示した。
の操作を行ない、その結果を表1に示した。
【0042】比較例1 β−メルカプトプロピオン酸を加えなかった以外は、実
施例1と同様に行った。この場合、反応初期からのメタ
ノールの留出は観察されず、反応開始後約40分は緩慢
な反応であり、2時間後のβ−メルカプトプロピオン酸
メチルの転化率は75%であった。
施例1と同様に行った。この場合、反応初期からのメタ
ノールの留出は観察されず、反応開始後約40分は緩慢
な反応であり、2時間後のβ−メルカプトプロピオン酸
メチルの転化率は75%であった。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明の方法により、β−メルカプトプ
ロピオン酸エステルから高選択率、高収率でβ−メルカ
プトプロピオン酸が、廃棄物の副生を伴うことなく混和
な条件で生産性高く製造できる。
ロピオン酸エステルから高選択率、高収率でβ−メルカ
プトプロピオン酸が、廃棄物の副生を伴うことなく混和
な条件で生産性高く製造できる。
【0045】β−メルカプトプロピオン酸は、医薬、農
薬、高分子添加剤およびフォトポリマーをはじめとする
多くの有機合成原料となる有用な化合物であることを考
えあわせると、経済的な製造方法を確立できたことは、
工業的に重要な意義があると言える。
薬、高分子添加剤およびフォトポリマーをはじめとする
多くの有機合成原料となる有用な化合物であることを考
えあわせると、経済的な製造方法を確立できたことは、
工業的に重要な意義があると言える。
Claims (3)
- 【請求項1】 β−メルカプトプロピオン酸エステルを
加水分解してβ−メルカプトプロピオン酸を製造するに
際し、 予め反応系内で、原料β−メルカプトプロピオン酸エス
テルと、原料β−メルカプトプロピオン酸エステルに対
して重量比で0.01〜10の範囲のβ−メルカプトプ
ロピオン酸とを混合する工程(I)と、 工程(I)で得られた原料混合液を酸触媒の存在下で加
熱し副生するアルコールを留去させることにより、原料
β−メルカプトプロピオン酸エステルを加水分解させて
β−メルカプトプロピオン酸を生成させる工程(II)
とを、有することを特徴とするβ−メルカプトプロピオ
ン酸の製造方法。 - 【請求項2】 前記酸触媒が、陽イオン交換樹脂である
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】 前記工程(II)で得られたβ−メルカ
プトプロピオン酸を含む反応混合液の一部を、前記工程
(I)のβ−メルカプトプロピオン酸として反応系にリ
サイクルすることを特徴とする請求項1または2に記載
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8075727A JPH09263576A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | β−メルカプトプロピオン酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8075727A JPH09263576A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | β−メルカプトプロピオン酸の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09263576A true JPH09263576A (ja) | 1997-10-07 |
Family
ID=13584599
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8075727A Pending JPH09263576A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | β−メルカプトプロピオン酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09263576A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101493931B1 (ko) * | 2012-12-21 | 2015-02-17 | 이수화학 주식회사 | 머캅토카르복실산의 제조방법 |
KR20150066878A (ko) * | 2013-12-09 | 2015-06-17 | 이수화학 주식회사 | 반응 증류를 이용한 3-머캅토프로피온산의 제조 방법 |
-
1996
- 1996-03-29 JP JP8075727A patent/JPH09263576A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101493931B1 (ko) * | 2012-12-21 | 2015-02-17 | 이수화학 주식회사 | 머캅토카르복실산의 제조방법 |
KR20150066878A (ko) * | 2013-12-09 | 2015-06-17 | 이수화학 주식회사 | 반응 증류를 이용한 3-머캅토프로피온산의 제조 방법 |
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