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JPH09249111A - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

Info

Publication number
JPH09249111A
JPH09249111A JP6144196A JP6144196A JPH09249111A JP H09249111 A JPH09249111 A JP H09249111A JP 6144196 A JP6144196 A JP 6144196A JP 6144196 A JP6144196 A JP 6144196A JP H09249111 A JPH09249111 A JP H09249111A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheel
vehicle
braking force
wheels
braking
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6144196A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinya Takemoto
伸也 竹本
Shigeru Saito
滋 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP6144196A priority Critical patent/JPH09249111A/ja
Publication of JPH09249111A publication Critical patent/JPH09249111A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スプリット路において車両に加わるヨートル
クを抑制しつつ、車両の制動性を向上させることのでき
るアンチスキッド制御装置を提供する。 【解決手段】 車輪速センサの検出結果から演算された
車輪速度等に基づき、各車輪毎にブレーキ油圧を調整す
る電磁弁を制御するための制御モードを設定し、スプリ
ット路走行中と判定(ステッフ゜401-Y)した時には、高油圧側
輪(高μ輪)の制御モードを、高油圧側輪のブレーキ油圧
の増大が制限されるように再設定(ステッフ゜407〜423)する
ことにより、左右輪の制動力差が過大になることを防止
する。 但し、前後Gセンサにより検出される車体減速
度Dや車体速度Vが所定値Da,Vaより小さい時(ステッ
フ゜403ーY,ステッフ゜405-Y) には、左右輪で制動力が異なって
も操縦安定性への影響は小さいので、油圧制限を行うこ
となく通常通りの制御を行う。これにより、操縦安定性
を損なうことなく制動性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車輪のブレーキ時
に車輪のロックを防止するアンチスキッド制御装置に関
し、特に左右で車輪との摩擦係数が異なる走行路(以下
スプリット路という)において制動性と操縦安定性との
両立を図るものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の装置においては、後
輪は、スリップの大きい側の車輪に合わせて、左右両輪
のブレーキ力を同様に制御する所謂セレクトロー制御、
前輪は、各車輪のブレーキ力を独立に制御する所謂独立
制御が行われている。
【0003】即ち、前後輪とも独立制御で行うと、左右
で摩擦係数がほぼ等しい路面(均一路)では、最も制動
性が優れているのであるが、スプリット路では、左右輪
間で制動力の差からヨーモーメントが発生し、制動力の
大きい高摩擦係数側の路面(高μ路)方向に車両がスピ
ンしようとするため車両の操縦安定性が損なわれるとい
う問題があり、一方、前後輪ともセレクトロー制御で行
うと、スプリット路では、高μ路側の車輪(高μ輪)の
ブレーキ力が減圧され左右輪間の制動力差が小さくなり
ヨーモーメントが抑制されるため、操縦安定性が向上す
るが、均一路では、ブレーキ力が低めに制御されるた
め、十分な制動力が得られず制動距離が延びてしまうと
いう問題がある。このため、制動時に比較的大きな制動
力を発生する前輪には、各車輪が最も大きな制動力を発
生する独立制御を採用し、後輪のみにセレクトロー制御
を採用することにより、制動力と操縦安定性とのバラン
スを図っているのである。
【0004】しかし、この装置でも、前輪は独立制御を
行っているため、左右で摩擦係数が大きく異なるスプリ
ット路では、ヨートルクが許容範囲を越えてしまうこと
があり、十分な操縦安定性を得ることができなかった。
これに対して、特開平6−107156号公報には、上
記装置に更に、前輪のブレーキ力の増減圧差から、スプ
リット路を走行中であるか否かを判断し、スプリット路
を走行中である場合には、高μ輪のブレーキ力を制限す
る制限制御を追加した装置が開示されている。
【0005】この装置では、均一路では、上述の装置と
同等の制動性を確保でき、しかも、スプリット路では、
操縦安定性をより向上させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この装置で
は、スプリット路走行中と判断される時のブレーキ力の
大きさは、路面状態(高μ路と低μ路との摩擦係数の差
等)によって様々に異なり、またスプリット路走行中と
判断されると、その時のブレーキ力の大きさによらず、
一律に高μ輪のブレーキ力の増圧が制限される。このた
め、高μ輪のブレーキ力が比較的小さく、まだ操縦安定
性に余裕がある時に制限制御が開始されると、高μ輪の
ブレーキ力を増圧可能であるにも関わらず、制限制御に
よって十分に増圧されないため高μ輪のブレーキ力は必
要以上に低く抑え込まれてしまい、その結果、スプリッ
ト路での制動距離が必要以上に延びてしまうという問題
があった。
【0007】そこで、本発明は、上記問題点を解決する
ために、スプリット路において車両に加わるヨートルク
を抑制しつつ、車両の制動性を向上させることのできる
アンチスキッド制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた本発明の請求項1に記載のアンチスキッド制
御装置では、車両制動時に、制動力制御手段が、制御装
置のブレーキ力を調整して、各車輪と路面との間に過度
なスリップが生じることのないように制御する。
【0009】この時、制動力制御手段は、各前輪を夫々
独立に制御するが、走行状態判定手段がスプリット路走
行中である旨を判定すると、ブレーキ力制限手段が摩擦
係数が大きい側の路面(高μ路)を走行する車輪(高μ
輪)のブレーキ力の増圧を制限する。但し、車体減速度
検出手段により検出される車両の進行方向とは反対方向
の加速度(減速度)が所定値より小さい場合には、第1
の禁止手段がブレーキ力制限手段の動作を禁止する。
【0010】即ち、実験を重ねた結果、スプリット路で
車両の制動を行った場合、車両の減速度が所定値以下で
あれば、車両の操作安定性が損なわれないことを発見し
たので、これを用いて、スプリット路走行中、且つ減速
度が所定値より大きい場合にのみ、ブレーキ力制限手段
による高μ輪のブレーキ力の増圧を制限するようにした
のである。
【0011】このため、スプリット路での車両制動時に
は、所定の減速度に達するまでは、各輪毎に路面摩擦力
に応じた制御が行われるため、高μ輪のブレーキ力は、
操縦安定性を損なわない範囲で、十分な制動力が働くよ
うになるまで速やかに増圧され、また、ブレーキ力が十
分増圧され所定の減速度に達した後は、高μ輪のブレー
キ力の増圧が制限されるため、高μ輪のブレーキ力が必
要以上に大きくなることがない。
【0012】従って、本発明のアンチスキッド制御装置
によれば、均一路走行時には、各前輪が独立に制御され
るため、路面との摩擦係数に応じた充分な制動力を得る
ことができ、また、スプリット路走行時には、高μ輪の
ブレーキ力が制限され、高μ輪側に大きく偏った制動力
が加わることがなく、車両に加わるヨートルクが抑制さ
れるため、操縦安定性を確保できる。しかも、スプリッ
ト路走行時には、路面状態によらず、操縦安定性を損な
わない範囲で可能な限りの制動性を常に確保することが
でき、制動力と操縦安定性のバランスの優れたアンチス
キッド制御を実現できる。
【0013】また、この操縦安定性を損なうことなく制
動性が確保される減速度は、車両に固有のもので、4輪
駆動車であれば、センタデフの拘束状態によらず同じ大
きさとなる。従って、当該装置を4輪駆動車に備えれ
ば、センタデフの拘束状態によらず、ブレーキの効き方
をほぼ同じにすることができる。
【0014】また、請求項2に記載のアンチスキッド制
御装置においては、車体速度検出手段が検出する車体速
度が、所定値より小さい場合には、第2の禁止手段が、
ブレーキ制限手段の動作を禁止する。即ち、車両速度が
十分に小さい(所定速度以下)時には、左右前輪による
制動力が異なっていても、それによって発生するヨート
ルクが操縦安定性に与える影響は小さいので、高μ輪の
ブレーキ力の制限を行う必要がない。
【0015】従って、この条件を追加することにより、
操縦安定性を損なうことなく制動性を更に向上させるこ
とができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面と共
に説明する。図1は、前輪操舵・前輪駆動の四輪車に適
用された本実施例のアンチスキッド制御装置の全体構成
図である。
【0017】図1において、ブレーキペダル20は、真
空ブースタ21を介してマスタシリンダ28に連結され
ており、運転者がブレーキペダル20を踏み込むとマス
タシリンダ28に油圧が発生する。この油圧は、各車輪
(左前輪FL,右前輪FR,左後輪RL,右後輪RR)
に設けられたホイールシリンダ31,32,33,34
に供給され、車輪FL〜RRの回転を制動するブレーキ
力を発生する。またブレーキペダル20の近傍には、踏
込操作の有無を検出するストップスイッチ10が配設さ
れており、その検出信号は、電子制御回路(ECU)8
0に入力されている。
【0018】マスタシリンダ28は互いに同じ圧力のブ
レーキ油圧を発生する二つの圧力室(図示せず)を有
し、各圧力室にはそれぞれ供給管40,50が接続され
ている。供給管40は、連通管41,42に分岐してい
る。連通管41は、電磁弁60aを介して、ホイールシ
リンダ31に連通するブレーキ管43と接続されてい
る。同様に、連通管42は、電磁弁60cを介して、ホ
イールシリンダ34に連通するブレーキ管44と接続さ
れている。
【0019】供給管50も供給管40と同様な接続関係
にあり、連通管51,52に分岐している。連通管51
は、電磁弁60bを介して、ホイールシリンダ32に連
通するブレーキ管53と接続されている。同様に、連通
管52は、電磁弁60dを介して、ホイールシリンダ3
3に連通するブレーキ管54と接続されている。
【0020】またホイールシリンダ33,34に接続さ
れるブレーキ管54,44中には公知のプロポーショニ
ングバルブ59,49が設置されている。このプロポー
ショニングバルブ59,49は、後輪RL,RRに供給
されるブレーキ油圧を制御して前後輪FL〜RRの制動
力分配を理想に近づけるものである。
【0021】電磁弁60a,60c,60b,60d
は、3ポート3位置型の電磁弁で、図1のA位置におい
ては、連通管41,42,51,52とブレーキ管4
3,44,53,54とをそれぞれ連通し、B位置にお
いては、連通管41,42,51,52、ブレーキ管4
3,44,53,54、枝管47,48,57,58間
を全て遮断する。また、C位置においては、ブレーキ管
43,44,53,54と、枝管47,48,57,5
8とをそれぞれ連通する。
【0022】枝管47,48は共に排出管81に接続さ
れ、枝管57,58は共に排出管91に接続される。こ
れら排出管81,91は、それぞれリザーバ93a,9
3bに接続されている。リザーバ93a,93bは、各
電磁弁60a〜60dがC位置のとき、各ホイールシリ
ンダ31〜34から排出されるブレーキ液を一時的に蓄
えるものである。このためホイールシリンダ31〜34
のブレーキ油圧は、電磁弁60a〜60dがA位置にあ
る時には増圧され、B位置にある時には保持され、C位
置にある時には減圧される。
【0023】なお、ポンプ99a,99bは、リザーバ
93a,93bに蓄積されたブレーキ液を汲み上げてマ
スタシリンダ28側に還流させるためのものであり、ま
たチェック弁97a,98a,97b,98bは、リザ
ーバ93a,93bから汲み上げられたブレーキ液が再
びリザーバ93a,93b側に逆流するのを防ぐための
ものである。
【0024】また、各車輪FL〜RRには、電磁ピック
アップ式の車輪速度センサ71,72,73,74が設
置されると共に、車体の適当な位置に、車体に加わる車
体の進行方向の加速度(前後G)を検出するための前後
Gセンサ12が取り付けられており、これら車輪速度セ
ンサ71〜74及び前後Gセンサ12の検出信号は、E
CU80に入力されている。なお、この前後Gセンサ1
2が上述の車体減速度検出手段に相当する。
【0025】ECU80は、CPU,ROM,RAMを
中心にして構成された周知のマイクロコンピュータから
なり、前後Gセンサ12,ストップスイッチ10、及び
車輪速度センサ71〜74からの検出信号に基づき、電
磁弁60a〜60dを駆動する駆動信号を生成すること
により、各車輪FL〜RRが過大にスリップしないよう
に、各ホイールシリンダ31〜34のブレーキ油圧を制
御するアンチスキッド制御処理を実行する。
【0026】ここで、ECU80にて実行されるアンチ
スキッド制御処理を、図2〜4に示すフローチャートに
沿って説明する。先ず、図2はアンチスキッド制御処理
のメインルーチンを表すフローチャートである。なお、
本処理は図示しないイグニッションスイッチがオンされ
たときに開始される。
【0027】本処理が起動されると、先ずステップ20
1では、マスタシリンダ28に発生する油圧に応じてホ
イールシリンダ31〜34の油圧が増圧するように、電
磁弁60a〜60dをA位置に設定すると共に、後述す
る各種フラグや各種カウンタ等を初期設定する。続くス
テップ203では、車輪速度センサ71〜74からの検
出信号に基づき、各車輪FL〜RRの車輪速度および加
速度を演算し、更に、車輪速度のうち最大のものを車体
速度Vとする。また、次のステップ205では、前後G
センサ12からの検出信号に基づき、車体の進行方向と
は反対方向の加速度である車体減速度Dを算出する。
【0028】続くステップ207では、前回の制御から
今回の制御までの間に、電磁弁60a,60bがA位置
に設定されていた増圧時間TupFL,TupFR、及び電
磁弁60a,60bがC位置に設定されていた減圧時間
TdwFL,TdwFRをそれぞれ演算し、続くステップ2
09では、ステップ207での演算結果に基づき、後述
する高油圧側輪判定ルーチンにより、前輪FL,FRの
いずれが高油圧側輪(ブレーキ油圧の高い側の車輪)で
あるかを判定する。
【0029】続くステップ211では、ステップ203
にて演算した車輪FL〜RRの車輪速度および加速度に
基づき、制御対象の車輪FL〜RRがロックしないよう
に各電磁弁60a〜60dの制御モード(増圧,保持,
減圧)を設定する。なお、この処理は周知の処理である
ので詳しい説明を省略する。なお、ここで設定される制
御モードは、ECU80内の単なる数値データであり、
本ステップは、電磁弁60a〜60dを駆動するもので
はない。
【0030】続くステップ213では、路面状態に応じ
てアンチスキッド制御を良好に行うため、ステップ20
3〜211での演算値や設定値に基づき、ステップ21
1にて設定された前輪FL,FRの制御モードを再設定
する。続くステップ215では、セレクトロー制御によ
り、後輪RL,RRの制御モードを再設定する。即ち、
ステップ203での演算結果である車輪速度及び車体速
度から、各後輪RL,RRのスリップ率を算出し、スリ
ップ率の大きい側の制御モードをスリップ率の小さい側
の制御モードと同じものに再設定する。
【0031】ステップ217では、ステップ211〜2
15にて設定された制御モードに基づき、電磁弁60a
〜60dを駆動する電磁弁駆動処理を実行後、ステップ
203に戻り、以後、上記ステップ203〜207の処
理を繰り返し実行する。この電磁弁駆動処理では、制御
モードが保持モードの場合、ホイールシリンダ31〜3
4の油圧を保持するために電磁弁60a〜60dをB位
置に駆動する。また、制御モードが減圧モードの場合、
所定期間だけC位置に駆動後、残りの期間をB位置に駆
動する。更に、制御モードが増圧モードの場合、所定周
期毎に所定期間だけA位置に駆動し、それ以外の時はB
位置に駆動することにより、デューティ出力を行う。そ
して、制御モードが後述する前輪制御ルーチンにて設定
される緩増圧モードの場合、通常の増圧モードと同様に
A位置とB位置とでデューティ出力を行うのであるが、
A位置に駆動する期間が短縮される。つまり、緩増圧モ
ードでは、通常の増圧モードに比べて、ブレーキ油圧が
緩やかに増圧することになる。
【0032】なお、アンチスキッド制御が行われていな
い時には、制御モードの設定によらず、全ての電磁弁6
0a〜60dをA位置に設定する。また、アンチスキッ
ド制御は、ブレーキペダル20が操作され、且ついずれ
かの車輪FL〜RRが、所定のスリップ率以上になった
場合に開始され、以後、ブレーキペダル20の操作が解
除されるか、車両の停止が確認された場合に終了する。
【0033】次に、ステップ209にて実行される高油
圧側輪判定ルーチンを図3に示すフローチャートに沿っ
て説明する。本処理が開始されると、先ずステップ30
1にて、アンチスキッド制御中であるか否かを判断す
る。そして、アンチスキッド制御中でなければステップ
302へ移行し、後述する増圧時間差の累積値△Tu
p,減圧時間差の累積値△Tdwの値をクリアした後、
続くステップ303にて、右前輪FRが高油圧側輪であ
ることを示す右前輪フラグFFR、および左前輪FLが高
油圧側輪であることを示す左前輪フラグFFLを共にリセ
ットしてメインルーチンへ復帰する。
【0034】一方、ステップ301にて、アンチスキッ
ド制御中と判断された場合は、ステップ305へ移行
し、ステップ207での演算結果である電磁弁60bの
増圧時間TupFRと電磁弁60aの増圧時間TupFLと
に基づき、アンチスキッド制御が開始されてから現在に
至るまでの増圧時間差の累積値△Tupを求め、続くス
テップ307では、同様に、電磁弁60b,60aの減
圧時間TdwFR,TdwFLに基づき、減圧時間差の累積
値△Tdwを求める。
【0035】続くステップ309では、増圧時間差の累
積値△Tupから減圧時間差の累積値△Tdwを差し引
いた値が所定値Ta以上であるか否かを判断する。そし
て、所定値Ta以上であれば、スプリット路走行中で右
前輪FRが高油圧側輪であるものとして、ステップ31
1にて右前輪フラグFFRをセットすると共に左前輪フラ
グFFLをリセット後、メインルーチンへ復帰する。
【0036】即ち、増圧時間差の累積値と減圧時間差の
累積値の差△Tup−△Tdwが大きいとは、アンチス
キッド制御が開始されてから現在までの間に、電磁弁6
0aに比べて電磁弁60bの方がより長く増圧を行って
いる、もしくは電磁弁60bに比べて電磁弁60aの方
がより長く減圧を行っていることを表しているので、電
磁弁60aにより油圧が制御される右前輪FRを高油圧
側輪であると判断でき、またその差が所定値Ta以上で
あれば、左右前輪FL,FRは、摩擦係数が大きく異な
るスプリット路を走行中であると判断できるのである。
なお、高油圧側輪が、路面摩擦係数の大きい高μ路を走
行する高μ輪に対応し、低油圧側輪が、路面摩擦係数の
小さい低μ路を走行する低μ輪に対応する。
【0037】一方、ステップ309にて累積値の差△T
up−△Tdwは所定値Taより小さいと判断された場
合は、ステップ313へ移行し、今度は累積値の差△T
up−△Tdwが所定値−Ta以下であるか否かを判断
する。そして所定値−Ta以下であれば、スプリット路
走行中で左前輪FLが高油圧側輪であるものとして、ス
テップ315にて右前輪フラグFFRをリセットすると共
に左前輪フラグFFLをセット後、メインルーチンに復帰
する。
【0038】また、ステップ313にて累積値の差△T
up−△Tdwは所定値−Taより大きいと判断された
場合は、左右前輪FL,FRに加わるブレーキ油圧に大
きな差はない、即ち、均一路走行中であるものとして、
ステップ303にて各フラグFFL,FFRをリセット後、
メインルーチンに復帰する。
【0039】即ち、本処理により、アンチスキッド制御
時に、スプリット路走行中であれば、高油圧側輪に対応
するいずれか一方のフラグFFR又はFFLがセットされ、
均一路走行中であればいずれのフラグFFR,FFLもリセ
ットされる。次に、ステップ217にて実行される前輪
制御ルーチンを、図4に示すフローチャートに沿って説
明する。
【0040】本処理が開始されると、先ずステップ40
1にて、右前輪フラグFFR或は左前輪フラグFFLのいず
れかがセットされているか否かを判断し、いずれかがセ
ットされていれば、スプリット路走行中であるものとし
て、ステップ403に移行する。
【0041】ステップ403では、ステップ205にて
演算された車体減速度Dが、所定値Daより小さいか否
かを判断し、所定値Da以上であればステップ405へ
移行し、更にステップ405では、ステップ203にて
求めた車体速度Vが所定値Vaより小さいか否かを判断
し、所定値Va以上であれば、高油圧側輪(即ちステッ
プ209にてセットされたフラグに対応する前輪)の油
圧の増大を制限する必要があるものとして、ステップ4
07へ移行する。
【0042】ステップ407では、ステップ211にて
設定された高油圧側輪の制御モードが、増圧モードであ
るか否かを判断し、増圧モードであればステップ409
に移行する。ステップ409では、低油圧側輪(即ちス
テップ209にてリセットされたフラグに対応する前
輪)の制御モードが、減圧モードであるか否かを判断
し、減圧モードであれば、ステップ411に移行して、
カウンタCT1をインクリメント後、ステップ413に
進む。
【0043】ステップ413では、カウンタCT1の値
が所定値K1以上でかつ所定値K2未満の範囲内にある
か否かを判断し、該範囲内にあればステップ415へ移
行して、高油圧側輪の制御モードを減圧モードに再設定
後、メインルーチンに復帰し、一方カウンタCT1の値
が上記範囲内にない場合は、ステップ421に移行して
高油圧側輪の制御モードを保持モードに再設定後、メイ
ンルーチンに復帰する。
【0044】また、先のステップ409にて、低油圧側
輪の制御モードが減圧モードでないと判断された場合
は、ステップ417に移行して、カウンタCT1をクリ
ア後、ステップ419に進む。ステップ419では、低
油圧側輪の制御モードが保持モードであるか否かを判断
し、保持モードであればステップ421に移行して、先
に説明したように、高油圧側輪の制御モードを保持モー
ドに再設定後、メインルーチンに復帰し、一方制御モー
ドが保持モードではなく増圧モードであれば、ステップ
423へ移行して、高油圧側輪の制御モードを緩増圧モ
ードに再設定後、メインルーチンに復帰する。
【0045】また、先のステップ401にて、右前輪フ
ラグFFR,左前輪フラグFFLのいずれもセットされてい
ないと判断された場合、ステップ403にて、車体減速
度Dが所定値Daより小さいと判断された場合、ステッ
プ405にて、車体速度Vが所定値Vaより小さいと判
断された場合、及びステップ407にて、高油圧側輪の
制御モードが増圧モードではないと判断された場合に
は、ステップ425に移行してカウンタCT1をクリア
後、メインルーチンに復帰する。
【0046】即ち、本処理のステップ401〜407で
は、高油圧側輪の油圧の増圧を制限するか否かを判断し
ており、均一路走行中の場合、車体減速度Dや車体速度
Vが充分に小さく、前輪FL,FRの制動力が左右で異
なっても、それによって発生するヨートルクの操縦安定
性に与える影響が小さい場合、高油圧側輪が増圧モード
ではない場合には、油圧を制限する必要がないものと判
断する。そして、この場合、ステップ211にて各車輪
のスリップ状態に応じて設定された制御モードに従っ
て、電磁弁60a,60bが駆動されるため、前輪F
L,FRには最大限の制動力が発生する。
【0047】上記以外の場合は、ステップ409〜42
3により、高油圧側輪の油圧の増大を制限する制御を行
うのであるが、低油圧側輪が増圧モードの時には、高油
圧側輪を緩増圧モードに再設定して、低油圧側輪より緩
やかに増圧されるようにし、低油圧側輪が保持モード或
は減圧モードの時には、セレクトロー制御により、高油
圧側輪の制御モードを低油圧側輪の制御モードと同じも
のに再設定する。
【0048】なお、カウンタCT1は、高油圧側輪が増
圧モード且つ低油圧側輪が減圧モードに保持される期間
を計量するものであり、この期間は、スプリット路の路
面摩擦係数が左右で大きく異なるほど長くなる。そこ
で、カウンタCT1の値が所定値K1より小さい時は、
左右の路面摩擦係数差が小さいものとして、高油圧側輪
の油圧が過剰に制限されないように、保持モードに設定
することにより、セレクトロー制御より制限を弱め、ま
た、上記期間が長くなり、カウンタCT1の値が所定値
K2以上となると、セレクトロー制御が長時間選択され
ていることによる車両の制動性の悪化を抑制するため
に、保持モードに再設定することで、セレクトロー制御
の場合よりも制限を弱めている。
【0049】このように、ステップ211にて増圧モー
ドに設定された高油圧側輪の制御モードを、低油圧側輪
の制御モードに応じて、減圧モード、保持モード、緩増
圧モードのいずれかに再設定し、この再設定された制御
モードに従って、電磁弁60a〜60dを駆動するの
で、高油圧側輪の制動力が必要以上に増大することがな
く、スプリット路での制動時に車両に加わるヨートルク
が良好に抑制される。
【0050】なお、上記各処理において、ステップ21
1,217が制動力制御手段、ステップ207,209
が走行状態判定手段、ステップ401,407〜425
がブレーキ力制限手段、ステップ403が第1の禁止手
段、ステップ405が第2の禁止手段に相当する。
【0051】以上説明したように、本実施例のアンチス
キッド制御装置によれば、前輪FL,FRは、均一路走
行時には独立に制御されるため、充分な制動力を得るこ
とができ、スプリット路走行時には、高油圧側輪(高μ
輪)の油圧が低油圧側輪(低μ輪)の制御モードに応じ
て制限されるため、車両に加わるヨートルクが抑制さ
れ、良好な操縦安定性を確保できる。
【0052】また、スプリット路走行時でも、車体減速
度Dや車体速度Vが充分に小さく、前輪FL,FRの制
動力が左右で異なっても、それによって発生するヨート
ルクの操縦安定性に与える影響が小さい場合には、高油
圧側輪の油圧制限を行わないようにされているので、高
油圧側輪の油圧が必要以上に低く抑えられてしまうこと
がなく、常に十分な制動力を確保できる。
【0053】即ち、車体減速度Dに関係なく、スプリッ
ト路走行中と判定されると直ちに高油圧側輪の増圧を制
限する従来装置では、図5に点線で示すように、高油圧
側輪の油圧が、車体減速度Dが所定値Daとなる油圧に
達しておらず操縦安定性に余裕があっても、ほぼその油
圧が維持されてしまうため、十分な制動力が獲られない
のであるが、本実施例では、スプリット路走行中と判定
されても、車体減速度Dが所定値Daより小さく操縦安
定性を十分に確保できる間は、高油圧側輪の油圧を通常
通りに増圧し、所定値Daに達した後に増圧を制限する
ため、この高油圧側輪により十分な制動力を得ることが
でき、また、必要以上に増圧されて操縦安定性を損なう
こともないのである。
【0054】また、上記実施例では、前輪駆動車に適用
した場合を説明したが、4輪駆動車に適用してもよい。
特に、センタデフに拘束機構を有する場合、センタデフ
が拘束されていると、前輪,後輪間でブレーキトルクの
回り込みがあり、センタデフがフリーの時よりも大きな
制動力が働くため、従来装置では、センタデフ拘束時と
フリー時とでは同じアンチスキッド制御を行っても、ブ
レーキの効き方が異なってしまう。
【0055】即ち、センタデフがフリーの時に、制動性
と操縦安定性とのバランスがとれていると、センタデフ
の拘束時には過大な制動力が働くため、スプリット路で
の操縦安定性が悪くなり、また逆に、センタデフの拘束
時に、制動性と操縦安定性のバランスがとれていると、
センタデフがフリーの時に、制動力が弱めに制御される
ため制動距離が延びてしまうのである。
【0056】ところが、本実施例のアンチスキッド制御
装置を用いれば、図6に示すように、車体減速度Dが所
定値Daとなるまでは油圧の制限を行わないため、セン
タデフの拘束状態によって、高油圧側輪の油圧は異なっ
たものとなるが、車体速度Dが所定値Daに達した後
は、油圧の制限により、いずれも車体減速度がほぼ一定
となるように制御されるため、センタデフの拘束状態に
よらず、ブレーキの効き方がほぼ一定となるのである。
【0057】なお上記実施例では、前輪FL,FRの制
御モードに基づいてその前輪FL,FRのスリップ状態
を検出しているが、前輪FL,FRのスリップ状態はこ
の他にも種々の方法で検出することができる。例えば車
輪速度センサ71,72によって検出した車輪速度を車
体速度と比較することによってスリップ状態を検出して
もよい。
【0058】また、本実施例では、高油圧側輪の制御モ
ードが増圧モードとなると共に低油圧側輪の制御モード
が減圧モードとなる期間をカウンタCT1にて計数し、
その値に基づいて前輪FL,FRのスリップ状態を比較
し、高油圧側輪の制御モードを再設定しているが、スリ
ップ状態の比較はこの他にも種々の方法で行うことがで
きる。例えば図3のステップ305,307で算出した
増圧時間差△Tup,減圧時間差△Tdwに基づいて左
右前輪FL,FRのスリップ状態を比較してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のアンチスキッド制御装置を表す概略
構成図である。
【図2】 実施例のアンチスキッド制御処理のメインル
ーチンを表すフローチャートである。
【図3】 アンチスキッド制御処理の高油圧側輪判定ル
ーチンを表すフローチャートである。
【図4】 アンチスキッド制御処理の前輪制御ルーチン
を表すフローチャートである。
【図5】 実施例の効果を表す説明図である。
【図6】 実施例を4輪駆動車に適用した場合の効果を
表す説明図である。
【符号の説明】
10…ストップスイッチ 12…前後Gセンサ 2
0…ブレーキペダル 21…真空ブースタ 28…マスタシリンダ 31〜34…ホイールシリンダ 40,50…供給
管 41,42,51,52…連通管 43,44,5
3,54…ブレーキ管 47,48,57,58…枝管 59,49…プロポ
ーショニングバルブ 60a〜60d…電磁弁 71〜74…車輪速度セン
サ 80…ECU 81,91…排出管 93a,93
b…リザーバ 97a,98a,97b,98b…チェック弁 99
a,99b…ポンプ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右前輪のブレーキ力を個々に調整可能
    な制動装置と、 車両制動時に、上記制動装置のブレーキ力を調整して、
    各車輪と路面との間に過度なスリップが生じることのな
    いように制御する制動力制御手段と、 上記左右前輪の挙動に基づき、左右輪で車輪と路面との
    摩擦係数が異なるスプリット路を走行中であるか否かを
    判定する走行状態判定手段と、 該走行状態判定手段にてスプリット路走行中であると判
    定された場合に、摩擦係数が大きい側の路面を走行する
    車輪のブレーキ力の増圧を制限するブレーキ力制限手段
    と、 を備えたアンチスキッド制御装置において、 車両の進行方向とは反対方向の加速度を検出する車体減
    速度検出手段と、 該車体減速度検出手段にて検出される加速度が所定値よ
    り小さい場合に、上記ブレーキ力制限手段の動作を禁止
    する第1の禁止手段と、 を設けたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のアンチスキッド制御装
    置において、更に、 車体速度を検出する車体速度検出手段と、 該車体速度算出手段にて検出される車体速度が所定値よ
    り小さい場合に、上記ブレーキ制限手段の動作を禁止す
    る第2の禁止手段と、 を設けたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
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