JPH09239584A - ガスシールドアーク溶接用ワイヤ - Google Patents
ガスシールドアーク溶接用ワイヤInfo
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- JPH09239584A JPH09239584A JP8078098A JP7809896A JPH09239584A JP H09239584 A JPH09239584 A JP H09239584A JP 8078098 A JP8078098 A JP 8078098A JP 7809896 A JP7809896 A JP 7809896A JP H09239584 A JPH09239584 A JP H09239584A
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- JP
- Japan
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- toughness
- wire
- welding
- low
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
- Y02E30/10—Nuclear fusion reactors
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- Arc Welding In General (AREA)
- Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 核融合炉第一壁用低誘導放射化フェライト鋼
の溶接に用いられる、高温クリープ強度・靱性に優れ、
さらに、溶接時の耐割れ性にも優れた溶接金属の得られ
るガスシールドアーク溶接用ワイヤを提供する。 【解決手段】 8〜11%Cr系において、誘導放射化
に有害な元素を制限すると共に、C、Si、Mn、N
i、W、V、Ta、Nを適量添加し、溶接金属の高温強
度と靱性を良好にする。特に、Niの添加により靱性を
向上し、C、Ni、Nのバランスの適正化により、高温
強度と溶接時の耐割れ性を両立させる。
の溶接に用いられる、高温クリープ強度・靱性に優れ、
さらに、溶接時の耐割れ性にも優れた溶接金属の得られ
るガスシールドアーク溶接用ワイヤを提供する。 【解決手段】 8〜11%Cr系において、誘導放射化
に有害な元素を制限すると共に、C、Si、Mn、N
i、W、V、Ta、Nを適量添加し、溶接金属の高温強
度と靱性を良好にする。特に、Niの添加により靱性を
向上し、C、Ni、Nのバランスの適正化により、高温
強度と溶接時の耐割れ性を両立させる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、核融合炉第一壁用低誘
導放射化フェライト鋼の溶接に用いられる、高温クリー
プ強度および靱性に優れ、さらに溶接時の耐割れ性に優
れた溶接金属の得られるガスシールドアーク溶接用ワイ
ヤに関するものである。
導放射化フェライト鋼の溶接に用いられる、高温クリー
プ強度および靱性に優れ、さらに溶接時の耐割れ性に優
れた溶接金属の得られるガスシールドアーク溶接用ワイ
ヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】核融合炉は実験炉として実績がありすで
に臨界プラズマ条件を達成している。現在、その第一壁
材料としてSUS316が用いられているが、商用炉で
想定される中性子照射量ではボイドスエリングの問題か
らSUS316は使用できない。このためSUS316
にTiを添加したJPCA鋼や、フェライト系であるた
めボイドスエリングの少ないHT−9鋼(12Cr−1
Mo−W−V)が開発された。さらに、使用中の補修時
やシャットダウン後の廃棄処分時の放射能汚染の低減が
経済的に著しく有利なことから、誘導放射化の少ない低
放射化材料が要求されるようになってきた。このため、
フェライト鋼でかつ誘導放射化の高い元素であるNi、
Cu、Mo、Nb、Coなどを極力低減させた鋼が検討
されている。
に臨界プラズマ条件を達成している。現在、その第一壁
材料としてSUS316が用いられているが、商用炉で
想定される中性子照射量ではボイドスエリングの問題か
らSUS316は使用できない。このためSUS316
にTiを添加したJPCA鋼や、フェライト系であるた
めボイドスエリングの少ないHT−9鋼(12Cr−1
Mo−W−V)が開発された。さらに、使用中の補修時
やシャットダウン後の廃棄処分時の放射能汚染の低減が
経済的に著しく有利なことから、誘導放射化の少ない低
放射化材料が要求されるようになってきた。このため、
フェライト鋼でかつ誘導放射化の高い元素であるNi、
Cu、Mo、Nb、Coなどを極力低減させた鋼が検討
されている。
【0003】特開昭62−238352号公報にはこの
ような目的のために、高温強度の優れた核融合炉用フェ
ライト鋼が提案されているが、溶接材料にまで言及され
ていない。また、特開平3−174998号公報ではこ
のようなフェライト鋼を実用化するために必要な溶接材
料として、低誘導放射化フェライト鋼用溶接ワイヤが提
案されており、高温強度特性と靱性に優れた溶接部を与
える溶接用ワイヤが開示されているが、十分な耐割れ性
を確保したものとはなっていない。さらに、特開平1−
215490号公報には11〜13%Cr系でNを0.
02〜0.08%含有し、高クリープ強度および高靱性
を有する溶接部を得るCr−Mo系低合金鋼用溶接ワイ
ヤが提案されているが、低誘導放射化を目的としたもの
とはなっていない。
ような目的のために、高温強度の優れた核融合炉用フェ
ライト鋼が提案されているが、溶接材料にまで言及され
ていない。また、特開平3−174998号公報ではこ
のようなフェライト鋼を実用化するために必要な溶接材
料として、低誘導放射化フェライト鋼用溶接ワイヤが提
案されており、高温強度特性と靱性に優れた溶接部を与
える溶接用ワイヤが開示されているが、十分な耐割れ性
を確保したものとはなっていない。さらに、特開平1−
215490号公報には11〜13%Cr系でNを0.
02〜0.08%含有し、高クリープ強度および高靱性
を有する溶接部を得るCr−Mo系低合金鋼用溶接ワイ
ヤが提案されているが、低誘導放射化を目的としたもの
とはなっていない。
【0004】本発明者らは、特開平7−284986号
において、誘導放射化に対して有害な合金元素を制限す
るとともに、C、Si、Mn、W、V、Taを適量添加
し、さらに、C、B、Nのバランスを適正化して、靱性
が優れるとともに、高温強度と耐割れ性を両立したガス
シールドアーク溶接用ワイヤを提案した。しかしながら
Niは誘導放射化元素として制限したものであり、Ni
を活用しより靱性の優れたものとはなっていない。
において、誘導放射化に対して有害な合金元素を制限す
るとともに、C、Si、Mn、W、V、Taを適量添加
し、さらに、C、B、Nのバランスを適正化して、靱性
が優れるとともに、高温強度と耐割れ性を両立したガス
シールドアーク溶接用ワイヤを提案した。しかしながら
Niは誘導放射化元素として制限したものであり、Ni
を活用しより靱性の優れたものとはなっていない。
【0005】
【発明が解決すべき課題】本発明は低誘導放射化フェラ
イト鋼用として上記の問題点を解決し、良好な高温強度
と耐割れ性を有するとともに、さらに優れた靱性を得る
ことのできる溶接ワイヤを提供しようとするものであ
る。
イト鋼用として上記の問題点を解決し、良好な高温強度
と耐割れ性を有するとともに、さらに優れた靱性を得る
ことのできる溶接ワイヤを提供しようとするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、ガスシールドア−ク溶接用ワイヤに
おいて、重量%で、C:0.03〜0.12%、Si:
0.03〜0.40%、Mn:0.10〜1.60%、
Ni:0.15〜0.75%、Cr:8.0〜11.0
%、W:1.3〜2.4%、V:0.05〜0.35
%、Ta:0.05〜0.12%、N:0.018〜
0.037%、O:0.002〜0.007%を含有
し、かつ、 0.07%≦C+1/30Ni+N≦0.15% を満足し、さらに、Mo、Nb、CoおよびCuが、 Mo+Nb+Co+Cu≦0.09% となるように制限し、残部がFeおよび不可避不純物か
らなり、高温クリープ強度および靱性に優れ、かつ、溶
接時の耐割れ性に優れることを特徴とするガスシールド
アーク溶接用ワイヤである。
するものであって、ガスシールドア−ク溶接用ワイヤに
おいて、重量%で、C:0.03〜0.12%、Si:
0.03〜0.40%、Mn:0.10〜1.60%、
Ni:0.15〜0.75%、Cr:8.0〜11.0
%、W:1.3〜2.4%、V:0.05〜0.35
%、Ta:0.05〜0.12%、N:0.018〜
0.037%、O:0.002〜0.007%を含有
し、かつ、 0.07%≦C+1/30Ni+N≦0.15% を満足し、さらに、Mo、Nb、CoおよびCuが、 Mo+Nb+Co+Cu≦0.09% となるように制限し、残部がFeおよび不可避不純物か
らなり、高温クリープ強度および靱性に優れ、かつ、溶
接時の耐割れ性に優れることを特徴とするガスシールド
アーク溶接用ワイヤである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、誘導放射化元素として
制限してきたNiを適量添加して、より靱性と耐割れ性
を向上した点に大きな特長を有する。従来よりNiは誘
導放射化元素として低く抑えることが必要とされてい
た。しかし構造物全体から見ると溶接金属は極微少な部
分を占めるにすぎず、溶接材料に少量のNiを添加して
も放射化総量に対する影響は極めて微少であり、構造物
の安全性に注目した場合、溶接部の靱性・耐割れ性をよ
り高位に保つことが有効との観点にたってなし得たもの
である。
制限してきたNiを適量添加して、より靱性と耐割れ性
を向上した点に大きな特長を有する。従来よりNiは誘
導放射化元素として低く抑えることが必要とされてい
た。しかし構造物全体から見ると溶接金属は極微少な部
分を占めるにすぎず、溶接材料に少量のNiを添加して
も放射化総量に対する影響は極めて微少であり、構造物
の安全性に注目した場合、溶接部の靱性・耐割れ性をよ
り高位に保つことが有効との観点にたってなし得たもの
である。
【0008】本発明は、誘導放射化に対して有害な元素
を制限するとともに、C、Si、Mn、Ni、W、V、
Taを適量添加するとともにC、Ni、Nのバランスを
適正化して、溶接金属の靱性と耐割れ性が優れるととも
に、高温強度を確保した点に特長がある。以下、本発明
に係わる溶接ワイヤの各成分の添加理由および成分限定
理由について説明する。
を制限するとともに、C、Si、Mn、Ni、W、V、
Taを適量添加するとともにC、Ni、Nのバランスを
適正化して、溶接金属の靱性と耐割れ性が優れるととも
に、高温強度を確保した点に特長がある。以下、本発明
に係わる溶接ワイヤの各成分の添加理由および成分限定
理由について説明する。
【0009】C:0.03〜0.12% Cは固溶強化元素として作用し、また炭化物を生成して
高温でのクリープ強度を向上させる。さらにオーステナ
イト安定化元素の一つであり、粗大なδフェライトの生
成を抑制し靱性も向上させる。以上の効果を得るために
は、0.03%以上含有させることが必要であるが、多
すぎると溶接金属の硬化を招き、耐割れ性を劣化し、靱
性も低下するので上限を0.12%とする必要がある。
このためその範囲を上記のように定めた。
高温でのクリープ強度を向上させる。さらにオーステナ
イト安定化元素の一つであり、粗大なδフェライトの生
成を抑制し靱性も向上させる。以上の効果を得るために
は、0.03%以上含有させることが必要であるが、多
すぎると溶接金属の硬化を招き、耐割れ性を劣化し、靱
性も低下するので上限を0.12%とする必要がある。
このためその範囲を上記のように定めた。
【0010】Si:0.03〜0.40% Siは有効な脱酸元素であって溶接金属の脱酸のために
必須であり、溶接作業性向上にも有効である。しかし含
有量が高いと靱性の劣化を招く。Siの効果を得るため
には0.03%以上必要であるが、0.40%を超え過
剰に添加すると溶接金属の靱性劣化が大きくなるため、
その範囲を上記のように定めた。
必須であり、溶接作業性向上にも有効である。しかし含
有量が高いと靱性の劣化を招く。Siの効果を得るため
には0.03%以上必要であるが、0.40%を超え過
剰に添加すると溶接金属の靱性劣化が大きくなるため、
その範囲を上記のように定めた。
【0011】Mn:0.10〜1.60% Mnは焼入性を高め高強度を確保する上で不可欠な元素
である。さらに靱性の向上にも有効である。この効果を
得るためには0.10%以上必要であるが、1.60%
を超えると焼入性過剰となり、溶接金属の硬化が著しく
耐割れ性が劣化するため、その範囲を上記のように定め
た。
である。さらに靱性の向上にも有効である。この効果を
得るためには0.10%以上必要であるが、1.60%
を超えると焼入性過剰となり、溶接金属の硬化が著しく
耐割れ性が劣化するため、その範囲を上記のように定め
た。
【0012】Ni:0.15〜0.75% Niはオーステナイト安定化元素であり、粗大フェライ
トの生成を防止し、溶接金属の靱性を向上する上で有効
な元素である。さらに、焼入性を高め強度を向上する効
果もある。また、適量の添加は溶接金属の延性を改善
し、低温割れ性の向上にも有効である。この効果を得る
ためには0.15%以上必要である。しかしNiは誘導
放射化元素であるため過剰な添加は避けるべきであり、
上限を0.75%に抑えることとした。
トの生成を防止し、溶接金属の靱性を向上する上で有効
な元素である。さらに、焼入性を高め強度を向上する効
果もある。また、適量の添加は溶接金属の延性を改善
し、低温割れ性の向上にも有効である。この効果を得る
ためには0.15%以上必要である。しかしNiは誘導
放射化元素であるため過剰な添加は避けるべきであり、
上限を0.75%に抑えることとした。
【0013】Cr:8.0〜11.0% Crは溶接金属の高温での耐酸化性、耐食性および強度
確保の点で欠くことのできない元素である。8.0%未
満では上記の効果が十分でなく、11.0%を超えると
δフェライトが晶出し易くなり靱性が大幅に劣化するた
め、その範囲を上記のように定めた。
確保の点で欠くことのできない元素である。8.0%未
満では上記の効果が十分でなく、11.0%を超えると
δフェライトが晶出し易くなり靱性が大幅に劣化するた
め、その範囲を上記のように定めた。
【0014】W:1.3〜2.4% Wは固溶強化元素として高温クリープ破断強度を著しく
向上させる。特に低誘導放射化鋼の溶接においては、同
様の効果の期待できるMoが誘導放射化元素であるため
制限する必要があり、Wを有効に用いる必要がある。そ
の含有量が1.3%未満では強度の向上効果が十分でな
く、また2.4%を超えて過剰に添加すると靱性の低下
を招くので、その範囲を上記のように定めた。
向上させる。特に低誘導放射化鋼の溶接においては、同
様の効果の期待できるMoが誘導放射化元素であるため
制限する必要があり、Wを有効に用いる必要がある。そ
の含有量が1.3%未満では強度の向上効果が十分でな
く、また2.4%を超えて過剰に添加すると靱性の低下
を招くので、その範囲を上記のように定めた。
【0015】V:0.05〜0.35% VはCと結びついて微細な炭化物を析出し、クリープ破
断強度を向上させる。その効果は0.05%以上で顕著
になる。一方0.35%を超えると靱性が低下するとと
もに溶接金属の硬化を招き、耐割れ性も劣化するので、
その範囲を上記のように定めた。
断強度を向上させる。その効果は0.05%以上で顕著
になる。一方0.35%を超えると靱性が低下するとと
もに溶接金属の硬化を招き、耐割れ性も劣化するので、
その範囲を上記のように定めた。
【0016】Ta:0.05〜0.12% TaはTaN、TaCとしての析出強化により高温クリ
ープ強度を向上させるとともに、固溶しているTaは靱
性を向上させる働きも示す。これらの効果を得るには
0.05%以上必要である。一方、0.12%を超えて
過剰に添加すると、クリープ破断強度が逆に低下し靱性
も低下するので、その範囲を上記のように定めた。
ープ強度を向上させるとともに、固溶しているTaは靱
性を向上させる働きも示す。これらの効果を得るには
0.05%以上必要である。一方、0.12%を超えて
過剰に添加すると、クリープ破断強度が逆に低下し靱性
も低下するので、その範囲を上記のように定めた。
【0017】N:0.018〜0.037% Nは誘導放射化元素であり低誘導放射化フェライト鋼用
としては低く制限したい元素であるが、高温クリープ強
度を確保する上で欠くことのできない元素である。その
ため本発明ワイヤには適量添加するものとする。NはT
aN、VN等の微細な析出物を形成し、高温クリープ強
度を著しく向上するとともに、δフェライトの生成を抑
制し靱性向上にも効果がある。この効果を得るためには
0.018%以上必要であり、0.037%を超えて過
剰に含有すると溶接金属の著しい硬化により延性が低下
し耐割れ性が劣化する。さらに、靱性の低下も著しくな
るため、その範囲を上記のように定めた。
としては低く制限したい元素であるが、高温クリープ強
度を確保する上で欠くことのできない元素である。その
ため本発明ワイヤには適量添加するものとする。NはT
aN、VN等の微細な析出物を形成し、高温クリープ強
度を著しく向上するとともに、δフェライトの生成を抑
制し靱性向上にも効果がある。この効果を得るためには
0.018%以上必要であり、0.037%を超えて過
剰に含有すると溶接金属の著しい硬化により延性が低下
し耐割れ性が劣化する。さらに、靱性の低下も著しくな
るため、その範囲を上記のように定めた。
【0018】O:0.002〜0.007% Oは溶接金属の靱性を劣化させるため、低く抑える必要
がある。しかし、0.002%未満では溶接作業性が損
なわれるため、その範囲を上記のように定めた。
がある。しかし、0.002%未満では溶接作業性が損
なわれるため、その範囲を上記のように定めた。
【0019】 0.07%≦C+1/30Ni+N≦0.15% C、Ni、Nは前述の通りいずれも高温クリープ強度を
向上するとともに、オーステナイト安定化元素として、
δフェライトの生成を抑制し靱性も向上させる。しかし
ながら多すぎると炭化物や炭窒化物が過剰となり溶接金
属の硬化を招き、溶接金属の耐割れ性を劣化させる。こ
のため、高温クリープ強度と耐割れ性の両立を図るに
は、C、Ni、Nのバランスを適正に保つことが重要で
あることを種々の実験結果より見いだした。
向上するとともに、オーステナイト安定化元素として、
δフェライトの生成を抑制し靱性も向上させる。しかし
ながら多すぎると炭化物や炭窒化物が過剰となり溶接金
属の硬化を招き、溶接金属の耐割れ性を劣化させる。こ
のため、高温クリープ強度と耐割れ性の両立を図るに
は、C、Ni、Nのバランスを適正に保つことが重要で
あることを種々の実験結果より見いだした。
【0020】C+1/30Ni+Nは、高温クリープ強
度と溶接金属の耐割れ性(溶接金属の硬化特性)を見き
わめる指標として用いることができる。C+1/30N
i+Nが0.07%未満では溶接金属の焼き入れ性が十
分でなく、高温クリープ特性の向上効果が得られない。
一方、C+1/30Ni+Nが0.15%を超えると溶
接金属が著しく硬化し、溶接金属に割れが生じ易くな
る。このためC+1/30Ni+Nの範囲を上記のよう
に定めた。
度と溶接金属の耐割れ性(溶接金属の硬化特性)を見き
わめる指標として用いることができる。C+1/30N
i+Nが0.07%未満では溶接金属の焼き入れ性が十
分でなく、高温クリープ特性の向上効果が得られない。
一方、C+1/30Ni+Nが0.15%を超えると溶
接金属が著しく硬化し、溶接金属に割れが生じ易くな
る。このためC+1/30Ni+Nの範囲を上記のよう
に定めた。
【0021】Mo+Nb+Co+Cu≦0.09(%) Mo、Nb、Co、Cuはいずれも誘導放射化元素であ
り規制する必要がある。できるだけ低くし、不可避的な
不純物として含有する他は添加しないことが望ましい。
そのためトータル量を0.09%以下とした。
り規制する必要がある。できるだけ低くし、不可避的な
不純物として含有する他は添加しないことが望ましい。
そのためトータル量を0.09%以下とした。
【0022】さらに、特に限定はしないが、P、S等の
不可避不純物も低く抑えることが靱性確保の点および使
用中脆化防止の点から有効である。P、Sについてはい
ずれも0.005%以下にすることが望ましい。
不可避不純物も低く抑えることが靱性確保の点および使
用中脆化防止の点から有効である。P、Sについてはい
ずれも0.005%以下にすることが望ましい。
【0023】上記化学成分を有するワイヤは、通常の溶
接用ソリッドワイヤの製造方法により製造され、ティグ
溶接、マグ溶接、ミグ溶接等ガスシールドアーク溶接に
使用できる。通常、これらの溶接に使用されるワイヤに
は、防錆および通電性確保のためCuめっきを施してい
ることが多いが、本発明ワイヤは誘導放射化元素である
Cuを低くするため、Cuめっきは行ってはならない。
このため、ワイヤの管理においては包装状態、保管状態
に十分考慮して、錆等の発生に注意する必要がある。
接用ソリッドワイヤの製造方法により製造され、ティグ
溶接、マグ溶接、ミグ溶接等ガスシールドアーク溶接に
使用できる。通常、これらの溶接に使用されるワイヤに
は、防錆および通電性確保のためCuめっきを施してい
ることが多いが、本発明ワイヤは誘導放射化元素である
Cuを低くするため、Cuめっきは行ってはならない。
このため、ワイヤの管理においては包装状態、保管状態
に十分考慮して、錆等の発生に注意する必要がある。
【0024】なお、本発明ワイヤは、種々の低誘導放射
化フェライト鋼に使用でき、特に、8〜10%Cr含有
低合金鋼の溶接で大きな効果を発揮できる。
化フェライト鋼に使用でき、特に、8〜10%Cr含有
低合金鋼の溶接で大きな効果を発揮できる。
【0025】
【実施例】以下に、実施例により本発明を具体的に説明
する。表1ないし表3に本実施例に係わるワイヤの化学
成分および各種試験結果を示す。ワイヤはいずれも直径
が1.2mmのものを用いた。ワイヤ記号A−1〜A−
8が本発明ワイヤ、B−1〜B−10が比較例ワイヤで
ある。これらのワイヤにより、表4に示す溶接条件でJ
IS Z3316に準拠してティグ溶接により溶着金属
を作製し機械的性質を調査した。また、溶着金属を作製
する際、溶接作業性も判定した。試験板には軟鋼を使用
し、開先面は試験するワイヤによりバタリングを行っ
た。
する。表1ないし表3に本実施例に係わるワイヤの化学
成分および各種試験結果を示す。ワイヤはいずれも直径
が1.2mmのものを用いた。ワイヤ記号A−1〜A−
8が本発明ワイヤ、B−1〜B−10が比較例ワイヤで
ある。これらのワイヤにより、表4に示す溶接条件でJ
IS Z3316に準拠してティグ溶接により溶着金属
を作製し機械的性質を調査した。また、溶着金属を作製
する際、溶接作業性も判定した。試験板には軟鋼を使用
し、開先面は試験するワイヤによりバタリングを行っ
た。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】溶接を行った試験材は電気炉により740
℃×1hrの後熱処理を行いJISZ3316に示され
る位置よりシャルピー衝撃試験片(JIS Z3111
4号)を採取した。また、同様に引張試験片の採取要領
に倣ってクリープ破断試験片を採取した。衝撃試験は0
℃で行い3本の吸収エネルギーの平均値を求め、150
J以上を良好と判定した。クリープ破断試験は600℃
で行い、10000時間の破断強度を求め100N/m
m2 以上を良好と判定した。
℃×1hrの後熱処理を行いJISZ3316に示され
る位置よりシャルピー衝撃試験片(JIS Z3111
4号)を採取した。また、同様に引張試験片の採取要領
に倣ってクリープ破断試験片を採取した。衝撃試験は0
℃で行い3本の吸収エネルギーの平均値を求め、150
J以上を良好と判定した。クリープ破断試験は600℃
で行い、10000時間の破断強度を求め100N/m
m2 以上を良好と判定した。
【0031】さらに、表5に示す鋼材によりJIS Z
3157に準じて図1に示すU形溶接割れ試験板を作製
し、表6の溶接条件でティグ溶接を行い溶接割れ試験を
行った。試験板のスリット間隔は1mmとし、試験板温度
は175℃で繰り返し3回行った。溶接後48時間経過
してから表面割れおよび断面割れを調査した。表面割れ
・断面割れいずれも発生していないものを良好とし、割
れが認められたものを不良とした。
3157に準じて図1に示すU形溶接割れ試験板を作製
し、表6の溶接条件でティグ溶接を行い溶接割れ試験を
行った。試験板のスリット間隔は1mmとし、試験板温度
は175℃で繰り返し3回行った。溶接後48時間経過
してから表面割れおよび断面割れを調査した。表面割れ
・断面割れいずれも発生していないものを良好とし、割
れが認められたものを不良とした。
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】本発明ワイヤである記号A−1〜A−8は
C、Si、Mn、Ni、Cr、W、V、Ta、Nが適量
添加されており、いずれも0℃の吸収エネルギーが15
0J以上と良好な靱性を示した。さらに、C、Ni、N
のバランスも良好であり、クリープ破断強度も100N
/mm2 以上あり、175℃予熱によるU形溶接割れ試
験でも、いずれも割れが発生せず良好な耐割れ性を示し
た。
C、Si、Mn、Ni、Cr、W、V、Ta、Nが適量
添加されており、いずれも0℃の吸収エネルギーが15
0J以上と良好な靱性を示した。さらに、C、Ni、N
のバランスも良好であり、クリープ破断強度も100N
/mm2 以上あり、175℃予熱によるU形溶接割れ試
験でも、いずれも割れが発生せず良好な耐割れ性を示し
た。
【0035】一方、ワイヤB−1は靱性は良好であった
が、CrとNが低いためにクリープ破断強度が低かっ
た。ワイヤB−2はNi、Wが低いためクリープ破断強
度が強度が低く、また、靱性も低かった。さらに、Si
が低すぎるため溶接作業性も劣った。
が、CrとNが低いためにクリープ破断強度が低かっ
た。ワイヤB−2はNi、Wが低いためクリープ破断強
度が強度が低く、また、靱性も低かった。さらに、Si
が低すぎるため溶接作業性も劣った。
【0036】ワイヤB−3はSiとWが高すぎるため靱
性が著しく劣った。またワイヤB−4はCが低く、C+
1/30+Nも低すぎるため、クリープ破断強度が低か
った。また、Vが過剰なため靱性も低く耐割れ性も悪か
った。またワイヤB−5はMnとTaが低く、靱性とク
リープ破断強度が低かった。
性が著しく劣った。またワイヤB−4はCが低く、C+
1/30+Nも低すぎるため、クリープ破断強度が低か
った。また、Vが過剰なため靱性も低く耐割れ性も悪か
った。またワイヤB−5はMnとTaが低く、靱性とク
リープ破断強度が低かった。
【0037】ワイヤB−6はMnとNが高すぎるため靱
性が低く、耐割れ性も悪かった。またワイヤB−7はC
とTaが多すぎるため靱性が低く、さらに、C過剰によ
る硬化により耐割れ性も劣化した。またワイヤB−8は
Crが過剰なため靱性が悪かった。また、Oが低すぎる
ため溶接作業性も劣った。
性が低く、耐割れ性も悪かった。またワイヤB−7はC
とTaが多すぎるため靱性が低く、さらに、C過剰によ
る硬化により耐割れ性も劣化した。またワイヤB−8は
Crが過剰なため靱性が悪かった。また、Oが低すぎる
ため溶接作業性も劣った。
【0038】ワイヤB−9は靱性と耐割れ性は良好であ
ったが、Vが低すぎるためクリープ破断強度が低かっ
た。またワイヤB−10は各成分とも良好な範囲内にあ
り、靱性、クリープ破断強度とも良好な結果を示した
が、C+1/30Ni+Nが高くなりすぎ、175℃予
熱のU形溶接割れ試験で割れが発生した。
ったが、Vが低すぎるためクリープ破断強度が低かっ
た。またワイヤB−10は各成分とも良好な範囲内にあ
り、靱性、クリープ破断強度とも良好な結果を示した
が、C+1/30Ni+Nが高くなりすぎ、175℃予
熱のU形溶接割れ試験で割れが発生した。
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
各種の低誘導放射化フェライト鋼の溶接において優れた
高温強度および靱性を有し、さらに耐割れ性にも優れる
溶接金属を得ることができるので、核融合炉の実用化お
よび安全性に寄与するところが大である。
各種の低誘導放射化フェライト鋼の溶接において優れた
高温強度および靱性を有し、さらに耐割れ性にも優れる
溶接金属を得ることができるので、核融合炉の実用化お
よび安全性に寄与するところが大である。
【図1】U形溶接割れ試験板の形状を示す(a)平面図
とこれの(b)A−A線断面図
とこれの(b)A−A線断面図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G21B 1/00 G21B 1/00 M D
Claims (1)
- 【請求項1】 ガスシールドア−ク溶接用ワイヤにおい
て、重量%で、 C :0.03〜0.12%、 Si:0.03〜0.40%、 Mn:0.10〜1.60%、 Ni:0.15〜0.75%、 Cr:8.0〜11.0%、 W :1.3〜2.4%、 V :0.05〜0.35%、 Ta:0.05〜0.12%、 N :0.018〜0.037%、 O :0.002〜0.007%、 を含有し、かつ、 0.07%≦C+1/30Ni+N≦0.15% を満足し、さらに、Mo、Nb、CoおよびCuが、 Mo+Nb+Co+Cu≦0.09% となるように制限し、残部がFeおよび不可避不純物か
らなり、高温クリープ強度および靱性に優れ、かつ、溶
接時の耐割れ性に優れることを特徴とするガスシールド
アーク溶接用ワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8078098A JPH09239584A (ja) | 1996-03-07 | 1996-03-07 | ガスシールドアーク溶接用ワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8078098A JPH09239584A (ja) | 1996-03-07 | 1996-03-07 | ガスシールドアーク溶接用ワイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09239584A true JPH09239584A (ja) | 1997-09-16 |
Family
ID=13652403
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8078098A Withdrawn JPH09239584A (ja) | 1996-03-07 | 1996-03-07 | ガスシールドアーク溶接用ワイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09239584A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6290904B1 (en) | 1998-01-20 | 2001-09-18 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Welding materials for high-Cr steels |
CN105728978A (zh) * | 2014-12-25 | 2016-07-06 | 株式会社神户制钢所 | 气体保护电弧焊用焊丝 |
CN110983176A (zh) * | 2019-11-19 | 2020-04-10 | 河钢股份有限公司承德分公司 | 一种70公斤级焊丝用热轧盘条及其生产方法 |
-
1996
- 1996-03-07 JP JP8078098A patent/JPH09239584A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6290904B1 (en) | 1998-01-20 | 2001-09-18 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Welding materials for high-Cr steels |
CN105728978A (zh) * | 2014-12-25 | 2016-07-06 | 株式会社神户制钢所 | 气体保护电弧焊用焊丝 |
CN110983176A (zh) * | 2019-11-19 | 2020-04-10 | 河钢股份有限公司承德分公司 | 一种70公斤级焊丝用热轧盘条及其生产方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20030603 |