JPH09227294A - 人工水晶の製造方法 - Google Patents
人工水晶の製造方法Info
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- JPH09227294A JPH09227294A JP6378696A JP6378696A JPH09227294A JP H09227294 A JPH09227294 A JP H09227294A JP 6378696 A JP6378696 A JP 6378696A JP 6378696 A JP6378696 A JP 6378696A JP H09227294 A JPH09227294 A JP H09227294A
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- Japan
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- crystal
- growth
- seed crystal
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Abstract
(57)【要約】
【課題】現状の人工水晶育成法では線状欠陥の少ない人
工水晶を効率良く育成することは極めて困難であった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであっ
て線状欠陥密度の少ない人工水晶を多量に提供すること
を目的とする。 【解決手段】オートクレイブ内の対流を制御し同一結晶
内のZ成長面の位置による成長速度を異ならしめること
により該Z成長面をZ面に対し傾斜させて育成した、種
結晶より線状欠陥の少なくした人工水晶である。
工水晶を効率良く育成することは極めて困難であった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであっ
て線状欠陥密度の少ない人工水晶を多量に提供すること
を目的とする。 【解決手段】オートクレイブ内の対流を制御し同一結晶
内のZ成長面の位置による成長速度を異ならしめること
により該Z成長面をZ面に対し傾斜させて育成した、種
結晶より線状欠陥の少なくした人工水晶である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水熱法で製造する人
工水晶に関し、特に、Z成長面の位置による成長速度を
異ならせることにより線状欠陥を減少させた人工水晶の
製造方法に関する。
工水晶に関し、特に、Z成長面の位置による成長速度を
異ならせることにより線状欠陥を減少させた人工水晶の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水晶デバイスの小型化要請に伴って人工
水晶の加工法もフォトリソ技術を応用した微細加工法に
よる水晶デバイスが多くなってきた。一方、水晶の結晶
から所定の切り出し角度で板状に切り出した水晶基板を
エッチング加工するとエッチチャネル(エッチパイプ、
エッチチューブ、エッチトンネルとも云う)と呼ばれる
針状の細孔が形成されることが知られている。エッチチ
ャネルは水晶をエッチングすることにより内部に存在す
る線状欠陥が選択的にエッチングされて生じる欠陥であ
り、最終製品の特性及び歩留まりに大きな影響を及ぼす
ことが知られている。
水晶の加工法もフォトリソ技術を応用した微細加工法に
よる水晶デバイスが多くなってきた。一方、水晶の結晶
から所定の切り出し角度で板状に切り出した水晶基板を
エッチング加工するとエッチチャネル(エッチパイプ、
エッチチューブ、エッチトンネルとも云う)と呼ばれる
針状の細孔が形成されることが知られている。エッチチ
ャネルは水晶をエッチングすることにより内部に存在す
る線状欠陥が選択的にエッチングされて生じる欠陥であ
り、最終製品の特性及び歩留まりに大きな影響を及ぼす
ことが知られている。
【0003】人工水晶はアルカリ水溶液を充填したオー
トクレーブと呼ばれる耐圧容器内で、高温高圧状態の下
で一般に水熱育成法と呼ばれる方法で育成される。この
方法の特徴は耐圧容器内に高温部と低温部を設けて温度
差をつけることにより、高温部で水晶原材料が溶融し低
温部で過飽和溶液になり、予め低温部に吊しておいた水
晶の種子結晶上に結晶を析出せしめ、結晶を成長させる
方法である。このような現状の人工水晶の育成技術で
は、種子結晶に線状欠陥が存在すると、種子結晶に析出
した水晶結晶も線状欠陥を含んで成長するため、種子結
晶よりも線状欠陥密度の低い人工水晶の育成は不可能と
考えられていた。従来の人工水晶育成法による結晶成長
領域のエッチチャネル密度(本/cm2)と種子結晶の
それとを比較した図を図7に示す。3個の試料A、B及
びCについて種子結晶と成長領域のエッチチャネル密度
(本/cm2)を測定した結果、成長領域のエッチチャ
ネル密度は種結晶の密度より夫々12.1%、2.9%
及び2.2%と増加していた。
トクレーブと呼ばれる耐圧容器内で、高温高圧状態の下
で一般に水熱育成法と呼ばれる方法で育成される。この
方法の特徴は耐圧容器内に高温部と低温部を設けて温度
差をつけることにより、高温部で水晶原材料が溶融し低
温部で過飽和溶液になり、予め低温部に吊しておいた水
晶の種子結晶上に結晶を析出せしめ、結晶を成長させる
方法である。このような現状の人工水晶の育成技術で
は、種子結晶に線状欠陥が存在すると、種子結晶に析出
した水晶結晶も線状欠陥を含んで成長するため、種子結
晶よりも線状欠陥密度の低い人工水晶の育成は不可能と
考えられていた。従来の人工水晶育成法による結晶成長
領域のエッチチャネル密度(本/cm2)と種子結晶の
それとを比較した図を図7に示す。3個の試料A、B及
びCについて種子結晶と成長領域のエッチチャネル密度
(本/cm2)を測定した結果、成長領域のエッチチャ
ネル密度は種結晶の密度より夫々12.1%、2.9%
及び2.2%と増加していた。
【0004】上記のような線状欠陥が存在する人工水晶
であっても従来の機械的加工、例えばラッピングやポリ
ッシング(研磨)仕上げの水晶基板を用いる水晶振動デ
バイスでは、線状欠陥が所定の密度以下であれば、水晶
振動デバイスの特性、例えば、電気的等価定数(Q値、
モーショナル・インダクタンス、キャパシタンス、C
I)及びエージング等にほとんど影響しなかった。しか
し、ここ数年来、水晶基板の加工法としてフォトリソ技
法とエッチング手法を用いた振動デバイスが多くなり、
従来の線状欠陥密度では使用に耐えられなくなってき
た。例えば、ATカット超薄型振動子基板をエッチング
手法で仕上げる場合、線状欠陥が選択的にエッチングさ
れて微小な穴が開き、基板表裏に設けた電極が短絡した
り、振動子のQ値が極端に減少するなど、最終製品の歩
留まりが著しく悪化することが分かってきた。このため
線状欠陥の少ない人工水晶を目指して改良に取り組んで
きた。
であっても従来の機械的加工、例えばラッピングやポリ
ッシング(研磨)仕上げの水晶基板を用いる水晶振動デ
バイスでは、線状欠陥が所定の密度以下であれば、水晶
振動デバイスの特性、例えば、電気的等価定数(Q値、
モーショナル・インダクタンス、キャパシタンス、C
I)及びエージング等にほとんど影響しなかった。しか
し、ここ数年来、水晶基板の加工法としてフォトリソ技
法とエッチング手法を用いた振動デバイスが多くなり、
従来の線状欠陥密度では使用に耐えられなくなってき
た。例えば、ATカット超薄型振動子基板をエッチング
手法で仕上げる場合、線状欠陥が選択的にエッチングさ
れて微小な穴が開き、基板表裏に設けた電極が短絡した
り、振動子のQ値が極端に減少するなど、最終製品の歩
留まりが著しく悪化することが分かってきた。このため
線状欠陥の少ない人工水晶を目指して改良に取り組んで
きた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように現状の人工水晶育成法では線状欠陥の少ない人工
水晶を効率良く育成できないという問題があった。本発
明は上記課題を解決するためになされたものであって線
状欠陥密度の少ない人工水晶を多量に且つ、安価に提供
することを目的とする。
ように現状の人工水晶育成法では線状欠陥の少ない人工
水晶を効率良く育成できないという問題があった。本発
明は上記課題を解決するためになされたものであって線
状欠陥密度の少ない人工水晶を多量に且つ、安価に提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】オートクレーブ内に吊さ
れた種子結晶の上下にバッフル板を配置しあるいは種子
結晶に鉄板等を傾けてかざし種子結晶の側を流れる流速
を種子結晶のY軸方向の位置によって異ならしめること
により、同一結晶内であってもZ成長面の成長速度をY
軸方向の位置によって異ならしめ該Z成長面をZ面に対
し傾斜させて育成する人工水晶の製造方法である。
れた種子結晶の上下にバッフル板を配置しあるいは種子
結晶に鉄板等を傾けてかざし種子結晶の側を流れる流速
を種子結晶のY軸方向の位置によって異ならしめること
により、同一結晶内であってもZ成長面の成長速度をY
軸方向の位置によって異ならしめ該Z成長面をZ面に対
し傾斜させて育成する人工水晶の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示した実施
の形態に基づいて詳細に説明する。本発明の理解を助け
るため、人工水晶について少しく説明すると、人工水晶
の成長は結晶の異方性に支配され、図5に示すように成
長領域は5つの異なる領域に分かれる。尚、図5はY軸
方向に長い通称「Y棒水晶」と称される人工水晶をその
結晶軸Yに対して垂直な面で切断したときの断面であっ
て、図中上方が+X軸、右方が+Z軸( C軸、光軸と
も云う)である。即ち、種子水晶1と4つの成長領域、
即ち、+X領域2、S領域3、Z領域4、および−X領
域5から構成されている。各領域の境界はX線トポグラ
フ等により明確に観察される。水晶応用製品に使用する
場合は、殊に上記の境界に集中発生する双晶や脈理、そ
の他の欠陥等が存在すると水晶の光学的あるいは電気的
特性が悪化することが知られている。このため、光学製
品や水晶振動子等に人工水晶を用いる場合には、光学的
及び電気的品質が劣化する種子1、+X及び−X領域
(2及び5)、並びにS領域3は通常除去し、特に品質
の良好な図5のZ領域4を選んで使用するのが一般的で
ある。Y棒水晶はY軸方向に長い種子を用いたものであ
り、良質なZ領域の比率が少ない。
の形態に基づいて詳細に説明する。本発明の理解を助け
るため、人工水晶について少しく説明すると、人工水晶
の成長は結晶の異方性に支配され、図5に示すように成
長領域は5つの異なる領域に分かれる。尚、図5はY軸
方向に長い通称「Y棒水晶」と称される人工水晶をその
結晶軸Yに対して垂直な面で切断したときの断面であっ
て、図中上方が+X軸、右方が+Z軸( C軸、光軸と
も云う)である。即ち、種子水晶1と4つの成長領域、
即ち、+X領域2、S領域3、Z領域4、および−X領
域5から構成されている。各領域の境界はX線トポグラ
フ等により明確に観察される。水晶応用製品に使用する
場合は、殊に上記の境界に集中発生する双晶や脈理、そ
の他の欠陥等が存在すると水晶の光学的あるいは電気的
特性が悪化することが知られている。このため、光学製
品や水晶振動子等に人工水晶を用いる場合には、光学的
及び電気的品質が劣化する種子1、+X及び−X領域
(2及び5)、並びにS領域3は通常除去し、特に品質
の良好な図5のZ領域4を選んで使用するのが一般的で
ある。Y棒水晶はY軸方向に長い種子を用いたものであ
り、良質なZ領域の比率が少ない。
【0008】ここで、Y棒水晶に代わって、品質が良い
Z領域を多く含むZ板水晶が製造され多量に使われてい
る。図6はZ板水晶であり、同(a)はX軸方向から見
た図、(b)はZ軸方向から見た図ある。従来のZ板は
図6(a)に示すようにZ軸に垂直な方向の面所謂Z面
にほぼ並行に成長するように育成されていた。このよう
に育成するとZ領域の収率が最もよい人工水晶となる。
このように育成した人工水晶内の線状欠陥を上記のX線
トポグラフで観察すると、Z領域では線状欠陥はZ軸か
ら約15°の範囲で円錐状に分布していることが分かっ
ている。このことからZ軸から約15°の範囲内でしか
線状欠陥は育成領域内へ伸長出来ないと推論した。
Z領域を多く含むZ板水晶が製造され多量に使われてい
る。図6はZ板水晶であり、同(a)はX軸方向から見
た図、(b)はZ軸方向から見た図ある。従来のZ板は
図6(a)に示すようにZ軸に垂直な方向の面所謂Z面
にほぼ並行に成長するように育成されていた。このよう
に育成するとZ領域の収率が最もよい人工水晶となる。
このように育成した人工水晶内の線状欠陥を上記のX線
トポグラフで観察すると、Z領域では線状欠陥はZ軸か
ら約15°の範囲で円錐状に分布していることが分かっ
ている。このことからZ軸から約15°の範囲内でしか
線状欠陥は育成領域内へ伸長出来ないと推論した。
【0009】即ち、図1(a)に種子表面、Z面及びZ
成長面の関係を表す図を示す。一般に種子はZカット
(主面がZ軸と垂直)の種子を用いるためZ面は種子表
面と平行であり、上述したように従来のZ板水晶はZ面
に平行に成長するように育成していた。本発明の人工水
晶はZ成長面をZ面からθ°傾けて育成することを特徴
とし、推論によると成長方向(Z軸からφ°)がZ軸か
ら15°以内(φ<15°)では転位成長が可能範囲で
あり、この角度を越す(φ>15°)と転位成長不可能
範囲となると考えている。ここで転位(dislocation)
とは格子欠陥の一種で結晶内のずれに起因して線状につ
ながっておきている一連の原子の変位であり、転位は成
長方向と平行に形成される。また、人工水晶のZ領域は
付着成長によりZ面が成長すると考えられている。即
ち、Z成長面は種子結晶のZ面に概ね平行に育成されの
で、Z成長面をZ面から約15°傾斜させて人工水晶を
育成した場合、種子結晶内の線状欠陥をZ成長領域に引
き継がなくなると考え、本発明に係る各種の実験を行っ
た。
成長面の関係を表す図を示す。一般に種子はZカット
(主面がZ軸と垂直)の種子を用いるためZ面は種子表
面と平行であり、上述したように従来のZ板水晶はZ面
に平行に成長するように育成していた。本発明の人工水
晶はZ成長面をZ面からθ°傾けて育成することを特徴
とし、推論によると成長方向(Z軸からφ°)がZ軸か
ら15°以内(φ<15°)では転位成長が可能範囲で
あり、この角度を越す(φ>15°)と転位成長不可能
範囲となると考えている。ここで転位(dislocation)
とは格子欠陥の一種で結晶内のずれに起因して線状につ
ながっておきている一連の原子の変位であり、転位は成
長方向と平行に形成される。また、人工水晶のZ領域は
付着成長によりZ面が成長すると考えられている。即
ち、Z成長面は種子結晶のZ面に概ね平行に育成されの
で、Z成長面をZ面から約15°傾斜させて人工水晶を
育成した場合、種子結晶内の線状欠陥をZ成長領域に引
き継がなくなると考え、本発明に係る各種の実験を行っ
た。
【0010】上述したようにオートクレーブの下部に高
温部を、上部に低温部を設けることによりオートクレー
ブ内の上下に温度差を生じさせ、これにより該内部にア
ルカリ溶液の複雑な対流が生ずる。溶液の流速が速い状
態で育成された人工水晶は対流の方向に対して僅かなが
ら楔型に傾いて成長することが知られている。オートク
レーブ内ではアルカリ溶液の対流を制御するバッフル板
の付近の流速が速いので、Z成長面を大きく傾けること
が期待できる。そこで、バッフル開口部の真上に種子結
晶を吊したところ、人工水晶のZ成長面角はZ面に対し
4.6°傾斜していた。更に、この実験を発展させて図
1(b)に示すように種子及びバッフル板を配置して実
験した。図1(b)はオートクレーブ内を模式的に表す
図であって、オートクレーブ6内に吊した種子結晶7の
上下にバッフル板8を配置させ対流を制御し結晶9を育
成する。種子結晶の上下にバッフル板を配置し種子結晶
の側を流れる流速を種子結晶のY軸方向の位置により変
化さて人工水晶を育成したところ、Z成長面はZ面より
さらに大きく傾いて育成されることが分かった。また他
の実験は図1(c)に示すようにで種子結晶7の片面を
鉄板10に張り付け他面にたいしては鉄板10を傾けて
かざし上記と同様に種子結晶のY軸方向の位置により流
速を変化さて人工水晶9を育成したところ予想どうりZ
育成面はZ面より傾いて育成された。
温部を、上部に低温部を設けることによりオートクレー
ブ内の上下に温度差を生じさせ、これにより該内部にア
ルカリ溶液の複雑な対流が生ずる。溶液の流速が速い状
態で育成された人工水晶は対流の方向に対して僅かなが
ら楔型に傾いて成長することが知られている。オートク
レーブ内ではアルカリ溶液の対流を制御するバッフル板
の付近の流速が速いので、Z成長面を大きく傾けること
が期待できる。そこで、バッフル開口部の真上に種子結
晶を吊したところ、人工水晶のZ成長面角はZ面に対し
4.6°傾斜していた。更に、この実験を発展させて図
1(b)に示すように種子及びバッフル板を配置して実
験した。図1(b)はオートクレーブ内を模式的に表す
図であって、オートクレーブ6内に吊した種子結晶7の
上下にバッフル板8を配置させ対流を制御し結晶9を育
成する。種子結晶の上下にバッフル板を配置し種子結晶
の側を流れる流速を種子結晶のY軸方向の位置により変
化さて人工水晶を育成したところ、Z成長面はZ面より
さらに大きく傾いて育成されることが分かった。また他
の実験は図1(c)に示すようにで種子結晶7の片面を
鉄板10に張り付け他面にたいしては鉄板10を傾けて
かざし上記と同様に種子結晶のY軸方向の位置により流
速を変化さて人工水晶9を育成したところ予想どうりZ
育成面はZ面より傾いて育成された。
【0011】本発明に係る人工水晶のZ成長面の傾斜
は、上記のように同一水晶上のY軸方向の各位置おいて
流速による成長速度の違いにより形成される。また、人
工水晶に含まれる水は成長速度が速くなるに従いその含
有量が増加すると言う特性がある。一方、結晶内の水は
赤外領域の特定の波長に吸収を示すので、赤外吸収値か
ら成長速度を算出することが可能である。図4(a)は
バッフル板の真上で育成した人工水晶であり、同図に示
した試料の図中左端面よりa点(35.9mm)、b点
(74.8mm)及びc点(105.4mm)の各点に
おけるZ軸方向の成長速度を図2に示す。この図の成長
速度より算出すると当該試料はZ軸より約4.6°傾斜
したZ成長面で育成された人工水晶であることが逆に明
らかとなる。
は、上記のように同一水晶上のY軸方向の各位置おいて
流速による成長速度の違いにより形成される。また、人
工水晶に含まれる水は成長速度が速くなるに従いその含
有量が増加すると言う特性がある。一方、結晶内の水は
赤外領域の特定の波長に吸収を示すので、赤外吸収値か
ら成長速度を算出することが可能である。図4(a)は
バッフル板の真上で育成した人工水晶であり、同図に示
した試料の図中左端面よりa点(35.9mm)、b点
(74.8mm)及びc点(105.4mm)の各点に
おけるZ軸方向の成長速度を図2に示す。この図の成長
速度より算出すると当該試料はZ軸より約4.6°傾斜
したZ成長面で育成された人工水晶であることが逆に明
らかとなる。
【0012】人工水晶の成長領域に発生する線状欠陥は
種子結晶内に存在する線状欠陥の引継によるものが大多
数を占めるため、成長領域の線状欠陥密度は、種子結晶
内の密度より一般に高くなる。ここで、本発明に係るZ
成長面をZ面から傾斜させて育成したA,B及びC3個
の人工水晶のエッチチャンネル密度を種子結晶の密度と
比較して図3に示す。この図を参照して明らかなように
3例共、成長領域のエッチチャネル密度が種子結晶内の
密度に比べて夫々56.7%、59.5%、および5
8.9%と減少していることが分かる。
種子結晶内に存在する線状欠陥の引継によるものが大多
数を占めるため、成長領域の線状欠陥密度は、種子結晶
内の密度より一般に高くなる。ここで、本発明に係るZ
成長面をZ面から傾斜させて育成したA,B及びC3個
の人工水晶のエッチチャンネル密度を種子結晶の密度と
比較して図3に示す。この図を参照して明らかなように
3例共、成長領域のエッチチャネル密度が種子結晶内の
密度に比べて夫々56.7%、59.5%、および5
8.9%と減少していることが分かる。
【0013】図4に本発明を用いて育成したZ板水晶の
形状図をしめす。図4(a)はX軸方向から見た図でZ
成長面がZ面より傾いていることが分かる。即ち成長方
向はZ軸方向からφ°傾けて成長させるため、従来のZ
板水晶のZ寸法が何れの位置でも同一なのに、本発明の
Z板水晶は図中左端のZ寸法と右端のZ寸法が異なって
くる。図4(b)は本発明のZ板水晶をZ軸方向から見
た図である。上記で対流の流速を変化させるため種子結
晶を鉄板で挟むようにした図を示したが流速を変えるに
は鉄板に限る必要はないことは当然である。
形状図をしめす。図4(a)はX軸方向から見た図でZ
成長面がZ面より傾いていることが分かる。即ち成長方
向はZ軸方向からφ°傾けて成長させるため、従来のZ
板水晶のZ寸法が何れの位置でも同一なのに、本発明の
Z板水晶は図中左端のZ寸法と右端のZ寸法が異なって
くる。図4(b)は本発明のZ板水晶をZ軸方向から見
た図である。上記で対流の流速を変化させるため種子結
晶を鉄板で挟むようにした図を示したが流速を変えるに
は鉄板に限る必要はないことは当然である。
【0014】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成した
ので、成長領域の線状欠陥密度を種子結晶よりはるかに
減少させた人工水晶を育成することができ、エッチング
手法を用いて水晶板を加工する際に、水晶振動デバイス
のエッチチャネルによる不良が減少し歩留まりは著しく
向上する。例えば、GTカット等の輪郭系の振動子やA
Tカット超薄板振動子及び多重モードフィルタ等の小型
化、超高周波化、高歩留まりに繋がり、低コスト化にも
顕著な効果がある。更に、光学系に用いる場合にも材料
の歩留まりは極めて向上する。
ので、成長領域の線状欠陥密度を種子結晶よりはるかに
減少させた人工水晶を育成することができ、エッチング
手法を用いて水晶板を加工する際に、水晶振動デバイス
のエッチチャネルによる不良が減少し歩留まりは著しく
向上する。例えば、GTカット等の輪郭系の振動子やA
Tカット超薄板振動子及び多重モードフィルタ等の小型
化、超高周波化、高歩留まりに繋がり、低コスト化にも
顕著な効果がある。更に、光学系に用いる場合にも材料
の歩留まりは極めて向上する。
【図1】(a)は種表面、Z軸、Z面、成長方向及び成
長面の関係を示す図、(b)は本発明にかかる対流の流
速を変化させるバッフル板の配置を示す模式図、(c)
は鉄板を用いて流速を変化させる様子示す図である。
長面の関係を示す図、(b)は本発明にかかる対流の流
速を変化させるバッフル板の配置を示す模式図、(c)
は鉄板を用いて流速を変化させる様子示す図である。
【図2】人工水晶の試料の端面からの距離と当該部分に
於ける成長速度を示す図である。
於ける成長速度を示す図である。
【図3】種子結晶内及び成長領域内のエッチチャネル密
度を試料三例A、B、及びCを用いて減少率を比較する
図である。
度を試料三例A、B、及びCを用いて減少率を比較する
図である。
【図4】(a)本発明の一例であるZ板水晶のX軸方向
から見た図、(b)はZ軸方向から見た図を示す。
から見た図、(b)はZ軸方向から見た図を示す。
【図5】人工水晶の断面図であって、成長領域、即ち種
子、+X領域、S領域、Z領域、及び−X領域を説明す
る図である。
子、+X領域、S領域、Z領域、及び−X領域を説明す
る図である。
【図6】(a)は従来のZ板水晶のX軸方向から見た
図、(b)はZ軸方向から見た図である。
図、(b)はZ軸方向から見た図である。
【図7】従来の人工水晶育成法による種結晶と結晶成長
領域のエッチチャネル密度の比較図を示す図である。
領域のエッチチャネル密度の比較図を示す図である。
φ……Z軸と成長方向の傾斜角 θ……Z面と成長面の傾斜角 a、b、c……Z板水晶の端面からY軸方向に沿っての
位置を示す点 6……オートクレイブ内壁面 7……種子結晶 8……バッフル板 9……育成結晶 10……鉄板
位置を示す点 6……オートクレイブ内壁面 7……種子結晶 8……バッフル板 9……育成結晶 10……鉄板
Claims (1)
- 【請求項1】 オートクレーブ内に吊された種子結晶の
上下にバッフル板を配置しあるいは種子結晶に鉄板等を
傾けてかざし種子結晶の近傍を流れる流速を種子結晶の
Y軸方向の位置によって異ならしめることにより、同一
結晶内であってもZ成長面の成長速度をY軸方向の位置
によって異ならしめ該Z成長面をZ面に対し傾斜させて
育成することを特徴とする人工水晶の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6378696A JPH09227294A (ja) | 1996-02-26 | 1996-02-26 | 人工水晶の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6378696A JPH09227294A (ja) | 1996-02-26 | 1996-02-26 | 人工水晶の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09227294A true JPH09227294A (ja) | 1997-09-02 |
Family
ID=13239413
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6378696A Pending JPH09227294A (ja) | 1996-02-26 | 1996-02-26 | 人工水晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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