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JPH09206789A - 有機塩素化合物で汚染された地層および地下水の浄化方法 - Google Patents

有機塩素化合物で汚染された地層および地下水の浄化方法

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JPH09206789A
JPH09206789A JP8045338A JP4533896A JPH09206789A JP H09206789 A JPH09206789 A JP H09206789A JP 8045338 A JP8045338 A JP 8045338A JP 4533896 A JP4533896 A JP 4533896A JP H09206789 A JPH09206789 A JP H09206789A
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JP
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methane
bacteria
contaminated
groundwater
concentration
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JP8045338A
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Masahiro Eguchi
正浩 江口
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Organo Corp
Japan Organo Co Ltd
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Publication date
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原位置バイオレメディエーション技術により
有機塩素化合物で汚染された地層および地下水を効率良
く浄化する方法を提供する。 【解決手段】 本発明方法は、例えば、メタンを基質と
し、基質の酸化に伴って誘導した分解酵素より有機塩素
化合物を分解するメタン資化菌を利用して、汚染地層お
よび汚染地下水の有機塩素化合物濃度を低下させ、汚染
地層および汚染地下水を浄化する方法である。本方法
は、資化菌増殖工程と、有機塩素化合物分解工程とから
なる。増殖工程では、メタン資化菌の増殖に必要な酸
素、栄養塩及びメタンを汚染地層に連続的に供給して、
汚染地層で資化菌を単位容積当たり所定菌数に増殖させ
る。分解工程では、酸素及び栄養塩の供給を停止するこ
となく、地下水の溶存メタン濃度が、資化菌増殖工程の
溶存メタン濃度より低くなるように調整してメタンを汚
染地層に供給しつつ、メタン資化菌により誘導された分
解酵素により有機塩素化合物を分解する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トリクロロエチレ
ン等の有機塩素化合物で汚染された地層およびこの地層
中の地下水を微生物学的に浄化する方法に関し、更に詳
細には、原位置バイオレメディエーション技術により有
機塩素化合物汚染地層を速やかに、かつ経済的に浄化す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トリクロロエチレン(C2HCl3、以下、T
CEと略記する) や、テトラクロロエチレン(Cl2C=CCl
2)などの有機塩素化合物は、油脂等に対する溶解性が高
いので、一般溶剤、脱脂用洗浄剤等として各種の工場及
びクリーニング店等で広く使用されている。そのため、
長年の間に、これらの有機塩素化合物のかなりの量が、
使用中に誤って外部に流出したり、或いは廃棄されたり
して、地層及び地下水を汚染している。ところで、これ
らの有機塩素化合物は発ガン性物質であると言う恐れが
あるため、汚染された地層及び地下水の浄化が、近年、
大きな社会的要望となっている。そこで、汚染地層及び
地下水を浄化するための対策が、従来から、種々の方法
により施されて来た。
【0003】これまでに施されて来た浄化方法は、主と
して、有機塩素化合物を一定の領域に封じ込める封じ込
め法、汚染土壌を掘削して非汚染土壌で埋め戻す取り替
え法、地下水を揚水し、次いで曝気して有機塩素化合物
を大気中に放散する曝気法、真空抽気と活性炭吸着など
の組み合わせによるポンプ&トリート法等の物理化学的
方法である。しかし、これらの物理化学的方法は、高濃
度の有機塩素化合物汚染には有効であるものの、設備費
及び運転費が嵩むために広範囲の低濃度汚染の浄化には
経済性に乏しく、また有機塩素化合物を分解し、無害化
する技術ではないために、汚染地層から回収した有機塩
素化合物による二次汚染の問題があった。
【0004】そこで、微生物を利用して有機塩素化合物
を分解する処理方法、特に汚染サイトで実施する原位置
バイオレメディエーション技術の開発が進んでいる。原
位置バイオレメディエーション(bioremediation)によ
る地層および地下水の浄化方法は、有機塩素化合物等の
汚染物質に対する分解能を有する微生物を汚染サイトの
地層中で増殖、活性化して、汚染物質を原位置、即ち地
層中で分解して無害な物質に転化することにより、地層
および地下水を浄化する方法を言う。
【0005】有機塩素化合物による汚染を微生物学的に
浄化する場合、有機塩素化合物を直接資化できる菌は、
地層中に存在していないので、メタン、トルエン、フェ
ノール、アンモニア等をそれぞれ資化する菌(以下、そ
れぞれメタン資化菌、トルエン資化菌、フェノール資化
菌、アンモニア資化菌と言う)の共酸化を利用した処理
方法が検討されている。この方法は、メタン資化菌等の
資化菌の増殖に必要な栄養塩及び酸素に加えて、メタン
資化菌等の資化菌のそれぞれの基質として、環境的に比
較的害の少ないメタン、トルエン、フェノール、アンモ
ニアなどを処理リアクター又は汚染サイトに注入して資
化菌を増殖し、有機塩素化合物を基質として分解する分
解酵素を資化菌により誘導する。そして、誘導された分
解酵素により有機塩素化合物を分解し、無害な物質に転
化する方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
資化菌の共酸化を利用した原位置バイオレメディエーシ
ョン方法を実施する際、メタンなどの基質が汚染サイト
に高濃度で有機塩素化合物と共存した場合、基質の競争
阻害が生じ、汚染物質の分解速度が極端に低下する。
【0007】以下に、メタン資化菌を例にして更に説明
する。メタン資化菌は、メタンの酸化の過程で、TCE
等の有機塩素化合物を分解する可溶性メタンモノオキシ
ゲナーゼ(以下、sMMOと略記する)と、有機塩素化
合物の分解に寄与しない膜結合性メタンモノオキシゲナ
ーゼ(以下、pMMOと略記する)との2種類のメタン
モノオキシゲナーゼを誘導することが知られている。メ
タン資化菌によるメタンの酸化反応は、図6に示す4段
階の酵素反応で進行し、メタン資化菌より誘導されたs
MMOは、メタンを酸化してメタノールを生成する第1
段階の反応を触媒する。図6に示すメタン酸化反応の第
1段階において、基質がメタンからTCEに代わると、
図7に示すような共酸化によるTCE分解反応が起き
る。このTCE分解反応は、図6のメタンの酸化反応の
第2段階以降では起こらず、また、還元剤であるNAD
Hは再生されないので、TCEの分解反応が進行するに
つれて、NADHが不足することになる。
【0008】sMMOが触媒するTCE分解反応では、
本来の基質であるメタンと共酸化反応の基質であるTC
Eとは互いに競争的な阻害剤として作用するので、TC
Eの分解反応は、高濃度のメタンにより競争的に阻害さ
れると言う問題がある。即ち、メタンが高濃度で共存し
た場合には、TCEはほとんど分解されず、逆に、メタ
ンが不足する場合には、メタン資化菌が増殖せず、また
sMMOも誘導されることもない。また、sMMOによ
るTCEの分解反応が進行すると、TCEの分解反応の
反応中間体であるトリクロロエチレンエポキシドが蓄積
し、それによりsMMOの活性が失活すると言う問題が
ある。
【0009】そこで、従来、共酸化を利用した有機塩素
化合物汚染地層の浄化方法を実施する際、栄養塩、酸素
及びメタン等の基質を注入して、専ら資化菌を増殖させ
る増殖フェーズと、次いで、栄養塩、酸素及び基質の注
入を停止し、資化菌により誘導された分解酵素により専
ら有機塩素化合物を分解する分解フェーズとに分けてい
た。更には、分解フェーズを長期間にわたり実施する
と、有機塩素化合物の分解反応で生成した反応中間体が
分解酵素を失活させ、有機塩素化合物の分解が実質的に
停止するので、分解フェーズの実施期間を分解酵素の活
性が存続する短い期間に限る必要があった。そこで、従
来法では、数ケ月間にわたって増殖フェーズを実施し、
次に実施する分解フェーズを短期間で終了し、二つのフ
ェーズを交互に繰り返すことにより、浄化を行って来
た。この結果、フェーズの切替えに毎に、異なるモード
で原位置バイオレメディエーション装置を制御する必要
から、制御システムが複雑になって、装置の費用が嵩む
と言う問題、また、フェーズ切り替えの判断が難しいと
言う問題、更には分解フェーズが短期間であるために、
有機塩素化合物分解の効率が悪いと言う問題があった。
【0010】以上のように、フェーズ毎の制御の問題、
分解フェーズを長期間持続できない問題等のために、原
位置バイオレメディエーション技術による有機塩素化合
物汚染の従来の地層および地下水の浄化方法は、実用化
するには浄化効率が低く、経済性に欠けていた。よっ
て、本発明の目的は、原位置バイオレメディエーション
技術により有機塩素化合物で汚染された地層および地下
水を効率良く浄化する方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、先ず、以下のような実験を多数回行っ
た結果、メタン資化菌のTCE分解活性の強さ及び持続
時間が、分解フェーズにおけるメタン濃度により異なる
ことを見い出した。
【0012】実験例1 無機塩培地としてNMS(Nitrate Mineral Salts ) 培
地を使用し、TCEで汚染された汚染サイトから採取し
た地下水(以下、実験例1及び2では単に地下水と言
う)とNMS培地とメタンガスとをバイアルビンに注入
し、密閉した後、温度を30度に維持しつつ、振とう培
養することにより、メタン資化菌の集積培養を行った。
得られたメタン資化菌の集積培養体を遠心分離して集菌
し、NMS培地で洗浄した後、再び地下水を混入させた
別のNMS培地に懸濁させて菌体懸濁液を調製した。懸
濁に際しては、菌体懸濁液の菌体懸濁濃度が、波長60
0nmでのOD(Optical Density 光学濃度)が約2と
なるようにしてバイアルビンに封入した。
【0013】次いで、溶存メタン濃度が10mg/lになる
ようにメタンを菌体懸濁液に注入し、更に、TCE濃度
が3mg/lになるようにTCEを注入して、実験試料1を
調製した。続いて、ヘッドスペース法によるガスクロマ
トグラフ分析(PID)によって実験試料1のTCE濃
度を経時的に定量し、図1のグラフに示すような結果を
得た。同様にして、溶存メタン濃度が2.0mg/lになる
ようにメタンを注入したことを除いて上述と同様の実験
試料2及びメタンを注入しなかったこと除いて上述の同
様の実験試料3をそれぞれ調製し、各々について実験試
料1と同様にTCE濃度を経時的に定量して、同じく図
1のグラフに示すような結果を得た。
【0014】また、ブランク試験例及びコントロール試
験例を実施し、同様に図1にその結果を示した。ブラン
ク試験例は、菌体無添加試験例であって、先ず、TCE
濃度が3mg/lになるようにTCEを溶解した純水を試料
としてバイアルビンに収容した後、温度を30℃に維持
しつつ、実験試料1と同様にして試料のTCE濃度を経
時的に定量した試験例である。コントロール試験例は、
滅菌菌体添加試験例であって、滅菌した菌体懸濁液によ
り試料を調製したことを除いて、実験試料1〜3と同様
に試料を調製し、次いで試料のTCE濃度を経時的に定
量した試験例である。
【0015】図1に示す結果から、メタン資化菌による
TCE分解系において、メタン資化菌のTCE分解特性
は、確かに、溶存メタン濃度が高い時は競争的阻害要因
のために速やかに低下するが、溶存メタン濃度が0の状
態よりは、寧ろ、2.0mg/l程度の低溶存メタン濃度で
のメタンとTCEとの共存下で最大のTCE分解活性が
得られることが判った。よって、分解フェーズでも、低
濃度のメタンとTCEとが共存している方が、メタン資
化菌のTCE分解特性が高いと結論できる。
【0016】実験例2 実験例2では、TCE濃度が低下した時点でTCEの再
添加を繰り返して、更に、溶存メタンとTCEとの共存
下におけるメタン資化菌のTCE分解活性の持続性につ
いて検討した。先ず、実験例1と同様にして、メタン濃
度がそれぞれ0.0、2.0及び10mg/lになるように
3種類の実験試料を調製し、実験例1と同様にして、実
験試料のTCE濃度を経時的に定量した。TCE濃度
が、検出限界以下、例えば1μg/l になった時点で、T
CE濃度が再び3mg/lになるように、2.0mg/lのメタ
ン濃度の実験試料に2回、また0及び10mg/lのメタン
濃度の試料に各1回のTCEの再添加を繰り返して、実
験例1より長い期間にわたりTCE濃度の経時的な変化
を調べた。その結果は、図2に示される通りである。ま
た、実験例1と同様に、ブランク試験例及びコントロー
ル試験例についてもTCE濃度を経時的に測定した。
【0017】この結果、メタンが共存しない系では5時
間で約50μgのTCEを分解した後に活性が消失した
のに対し、微量メタン共存系では7時間にわたり高いT
CE分解活性が持続され、約110μgのTCEを分解
することができた。これにより、メタンが共存しない状
態に比べて、低濃度のメタンとTCEとが共存している
状態の方が、メタン資化菌のTCE分解特性が長時間持
続し、TCEの分解量が多いと結論できる。
【0018】上述した実験例1及び2から、分解フェー
ズにおいても低濃度のメタンとTCEとを共存させるこ
とにより、メタン資化菌の高いTCE分解活性を長時間
持続できることが明らかになった。よって、以上の実験
に基づき、本発明者は、原位置バイオレメディエーショ
ンによる従来の有機塩素化合物汚染地層の浄化方法とは
異なり、分解フェーズでも資化菌に対して少量の基質を
供給して、増殖フェーズよりは低いが競争的阻害要因に
ならない程度の溶存基質濃度に維持することにより、T
CE分解速度を速め、TCE分解活性をより長く持続で
きることを見い出し、本発明を完成するに到った。
【0019】上記目的を達成するために、以上の知見に
基づいて、本発明に係る有機塩素化合物で汚染された地
層および地下水の浄化方法は、それぞれ、メタン、トル
エン、フェノール及びアンモニアを基質とし、基質の酸
化に伴って誘導した分解酵素により有機塩素化合物を分
解するメタン資化菌、トルエン資化菌、フェノール資化
菌及びアンモニア資化菌からなる群から選定したいずれ
かの資化菌を利用して、有機塩素化合物による汚染地層
の有機塩素化合物濃度を低下させ、汚染地層を浄化する
方法であって、資化菌の増殖に必要な酸素、栄養塩及び
基質を汚染地層に連続的に供給して、汚染地層中で資化
菌を単位容積当たり所定菌数にまで増殖させる資化菌増
殖工程と、酸素及び栄養塩の供給を停止することなく、
地下水の溶存基質濃度が資化菌増殖工程の溶存基質濃度
より低くなるように調整して、汚染地層に基質を供給し
つつ、資化菌により誘導された分解酵素により有機塩素
化合物を分解する有機塩素化合物分解工程とを備えてい
ることを特徴としている。
【0020】本発明方法において、資化菌増殖工程の終
了の基準となる所定菌数は、地層及び地下水の性質等に
よって異なり、予め実験等により定められる値である。
また、有機塩素化合物分解工程での溶存基質濃度は、基
質と有機塩素化合物との共存により競争的阻害要因にな
らない程度の基質の濃度であって、有機塩素化合物の種
類、地層及び地下水の性質等によって異なり、予め実験
等により定められる値である。栄養塩は、酸素、基質以
外に資化菌の増殖に必要な物質であって、例えば鉄、コ
バルト等の重金属を言う。
【0021】本発明では、有機塩素化合物分解工程で
も、メタンなどの基質を微量に注入しながら、長時間に
わたり有機塩素化合物を分解することが特徴となってい
る。すなわち、競争的阻害要因にならない程度の低濃度
の基質と有機塩素化合物とを共存させることにより、基
質、有機塩素化合物、有機塩素化合物の反応中間体が相
互に競合するので、酵素失活作用が抑制され、高いTC
E分解特性を長時間にわたり維持できると思われる。ま
た、基質が存在することにより、NADHなどの還元剤
が再生される効果、及び、基質が存在することにより、
資化菌が継続的に増殖する効果などが生じて、長い時間
にわたり多量の有機塩素化合物を分解することが可能に
なると思われる。
【0022】本発明方法は、資化菌増殖工程と、有機塩
素化合物分解工程とを繰り返して実施することもでき
る。資化菌増殖工程と有機塩素化合物分解工程の切替え
は、定期的でも、または不定期でも良い。
【0023】本発明方法の好適な実施態様は、資化菌と
してメタン資化菌を選定し、資化菌増殖工程では、地層
中の地下水に溶存するメタンの濃度が5.0〜10mg/l
の範囲になるようにメタンを供給し、有機塩素化合物分
解工程では、地層中の地下水に溶存するメタンの濃度が
0.1〜6.0mg/lの範囲になるようにメタンを供給す
ることを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照し、本発
明方法の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。図3
は、本発明方法を適用する原位置バイオレメディエーシ
ョン設備(以下、簡単に地層浄化設備と言う)の一例の
構成を示す概念図である。地層浄化設備10は、汚染地
層に存在するメタン資化菌を利用して、本発明方法によ
り有機塩素化合物汚染地層を浄化する設備であって、汚
染地層の上に設置されている。地層浄化設備10は、図
3に示すように、酸素、メタン及び必要な栄養塩を水に
溶解する溶解・注入装置12と、酸素、メタン及び必要
な栄養塩を溶解した水を汚染地層に注水する注入井14
と、地下水中の酸素濃度、メタン濃度、栄養塩濃度、メ
タン資化菌の菌数、汚染物質濃度等を測定するための観
測井16と、汚染地層中の地下水を汲み上げる揚水井1
8と、揚水井18で揚水した地下水を曝気する曝気塔2
0とを備えている。
【0025】曝気塔20で曝気された地下水は、ポンプ
22により溶解・注入装置12に送水される。送水され
た地下水は、そこで、酸素、メタン及び必要な栄養塩を
溶解するための水として使用され、再び地層中に返され
る。曝気塔20は、ラシヒリング等の通常の充填材で形
成された充填層と、ブロア24から送入される空気を噴
出するように充填層の下に設けたノズルとを備え、揚水
した地下水を塔上部から流下させつつ、充填層の下から
空気を噴出させて、地下水を充填層中で曝気する。尚、
曝気塔20は、本発明方法の実施には必ずしも必要では
ない。
【0026】以下に、本地層浄化設備10を使用して、
本発明方法を実施する例を説明する。資化菌増殖工程で
は、溶解・注入装置12でメタン資化菌の増殖に必要な
酸素、栄養塩及びメタンを溶解させ、次いで注入井14
から汚染地層に連続的に注入する。尚、注入井14を複
数とし、例えば酸素と栄養塩とを溶解した水流及びメタ
ンと栄養塩とを溶解した水流の2種類の水流あるいはそ
の他の組合せとしてそれ以上の水流で注入しても良い。
メタンを注入する際、地層中の地下水に溶存しているメ
タン濃度が5.0〜10mg/lの範囲になるようにメタン
供給量を調整する。メタン濃度の測定は、観測井16を
介して連続的又は断続的に行う。
【0027】地層の地下水中のメタン資化菌の菌数が、
所定菌数、例えば104 〜106 MPN/ml の範囲の菌
数に到達した時点で、資化菌増殖工程を終了し、次の有
機塩素化合物分解工程に移行する。有機塩素化合物分解
工程では、酸素及び栄養塩の供給を停止することなく、
さらに地層中の地下水に溶存しているメタン濃度が0.
1〜6.0mg/lの範囲になるように少量のメタンを供給
する。
【0028】以上の工程を実施することにより、図4に
模式的に示すように、資化菌増殖工程では汚染地層中の
メタン資化菌の単位容積当たりの菌数は増加して行く。
所定の菌数に達した段階で、資化菌増殖工程が終了す
る。次いで、有機塩素化合物分解工程では有機塩素化合
物の分解に伴いメタン資化菌の単位容積当たりの菌数は
徐々に減少し、工程の終わりでは元の水準に戻る。ま
た、図5に模式的に示すように、資化菌増殖工程ではT
CE濃度が徐々に低下し、或るTCE濃度で平衡に達す
る。有機塩素化合物分解工程ではメタン資化菌の菌数の
減少に伴い、TCE濃度が徐々に増大し、工程の終了段
階では、元の水準に達する。図4及び図5中、破線のグ
ラフは従来方法による有機塩素化合物分解工程でのメタ
ン資化菌の菌数の減少及びTCE濃度の上昇を示してい
る。本発明方法による場合の実線のグラフと比較するこ
とにより、本発明方法の有利性が顕著であることが判
る。
【0029】
【発明の効果】本発明方法によれば、有機塩素化合物分
解工程において、酸素及び栄養塩の供給を停止すること
なく、地下水の溶存基質濃度が、資化菌増殖工程の溶存
基質濃度より低くなるように調整して基質を汚染地層に
供給しつつ、資化菌により誘導された分解酵素により有
機塩素化合物を分解することにより、従来の方法に比べ
て、資化菌の有機塩素化合物分解特性を高いレベルで長
時間持続させることができる。本発明方法を適用するこ
とにより、従来法よりも、制御が容易で、かつ浄化期間
の短いバイオレメディエーションによる有機塩素化合物
汚染の地層浄化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1の実験結果を示すグラフである。
【図2】実験例2の実験結果を示すグラフである。
【図3】本発明方法を実施する地層浄化装置の一例の構
成を示す概念図である。
【図4】メタン資化菌の菌数の増減を示す模式的グラフ
である。
【図5】TCE濃度の増減を示す模式的グラフである。
【図6】メタンの酸化反応の進行を示す式である。
【図7】TCEの分解反応の進行を示す式である。
【符号の説明】
10 地層浄化設備 12 溶解・注入装置 14 注入井 16 観測井 18 揚水井 20 曝気塔 22 ポンプ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ、メタン、トルエン、フェノー
    ル及びアンモニアを基質とし、基質の酸化に伴って誘導
    した分解酵素により有機塩素化合物を分解するメタン資
    化菌、トルエン資化菌、フェノール資化菌及びアンモニ
    ア資化菌からなる群から選定したいずれかの資化菌を利
    用して、有機塩素化合物による汚染地層および地下水の
    有機塩素化合物濃度を低下させ、汚染地層および地下水
    を浄化する方法であって、 資化菌の増殖に必要な酸素、栄養塩及び基質を汚染地層
    に連続的に供給して、汚染地層中で資化菌を単位容積当
    たり所定菌数にまで増殖させる資化菌増殖工程と、 酸素及び栄養塩の供給を停止することなく、地下水の溶
    存基質濃度が資化菌増殖工程の溶存基質濃度より低くな
    るように調整して、汚染地層に基質を供給しつつ、資化
    菌により誘導された分解酵素により有機塩素化合物を分
    解する有機塩素化合物分解工程とを備えていることを特
    徴とする有機塩素化合物で汚染された地層および地下水
    の浄化方法。
  2. 【請求項2】 資化菌増殖工程と、有機塩素化合物分解
    工程とを繰り返して実施することを特徴とする請求項1
    に記載の有機塩素化合物で汚染された地層および地下水
    の浄化方法。
  3. 【請求項3】 資化菌としてメタン資化菌を選定し、資
    化菌増殖工程では、汚染地層中の地下水に溶存するメタ
    ンの濃度が5.0〜10mg/lの範囲になるようにメタン
    を供給し、有機塩素化合物分解工程では、汚染地層中の
    地下水に溶存するメタンの濃度が0.1〜6.0mg/lの
    範囲になるようにメタンを供給することを特徴とする請
    求項1又は2に記載の有機塩素化合物で汚染された地層
    および地下水の浄化方法。
JP04533896A 1996-02-07 1996-02-07 有機塩素化合物で汚染された地層および地下水の浄化方法 Expired - Fee Related JP3848393B2 (ja)

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JP2005052837A (ja) * 2004-10-13 2005-03-03 Japan Organo Co Ltd 汚染地下水及び汚染地層の浄化方法並びにその装置

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