[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JPH09191886A - ヒト高親和性IgE受容体に対するヒト型化抗体、半キメラ抗体およびキメラ抗体 - Google Patents

ヒト高親和性IgE受容体に対するヒト型化抗体、半キメラ抗体およびキメラ抗体

Info

Publication number
JPH09191886A
JPH09191886A JP8024816A JP2481696A JPH09191886A JP H09191886 A JPH09191886 A JP H09191886A JP 8024816 A JP8024816 A JP 8024816A JP 2481696 A JP2481696 A JP 2481696A JP H09191886 A JPH09191886 A JP H09191886A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
chain
human
humanized
chimeric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8024816A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiro Takai
敏朗 高井
Toshifumi Yuki
敏文 結城
Yasushi Okumura
康 奥村
Tomoyasu Ra
智靖 羅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NIKKA UISUKII KK
Asahi Breweries Ltd
Nikka Whisky Distilling Co Ltd
Torii Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
NIKKA UISUKII KK
Asahi Breweries Ltd
Nikka Whisky Distilling Co Ltd
Torii Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NIKKA UISUKII KK, Asahi Breweries Ltd, Nikka Whisky Distilling Co Ltd, Torii Pharmaceutical Co Ltd filed Critical NIKKA UISUKII KK
Priority to JP8024816A priority Critical patent/JPH09191886A/ja
Publication of JPH09191886A publication Critical patent/JPH09191886A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はヒトに対する抗原性が非常に低く、
例えばアレルギーの治療用に期待されるヒト型化抗体ま
たは半キメラ抗体、キメラ抗体を提供する。 【解決手段】 ヒト高親和性IgE受容体に対する特異的
結合活性を有し、可変領域の相補性決定領域(CDR)の
アミノ酸配列が、一定の配列の組み合わせであるヒト型
化抗体または半キメラ抗体。ヒト高親和性IgE受容体に
対する特異的結合活性を有し、H鎖及びL鎖の可変領域
が一定のアミノ酸配列で表されるキメラ抗体。それらの
製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヒトの高親和性IgE
受容体(以下FcεRIと称する)に対するヒト型化抗体、
マウス/ヒトキメラ抗体、および半キメラ抗体に関す
る。さらに具体的には、ヒトFcεRIに対するマウスモノ
クローナル抗体CRA2あるいはCRA4の相補性決定領域(CD
R)をヒト抗体に移植することによって得られるヒト型
化抗体、可変領域をヒト抗体定常領域と融合することに
よって得られるマウス/ヒトキメラ抗体、H鎖あるいは
L鎖のいずれか一方がヒト型で、残る一方がマウス/ヒ
トキメラである半キメラ抗体及びそれらを有効成分とす
る製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】肥満細胞、好塩基球の細胞膜上に発現す
るFcεRIはI型アレルギー反応においてこれらの細胞の
活性化の生化学的過程を始動させる鍵を握る糖蛋白分子
である。FcεRIに結合した抗原特異的IgEが、対応する
多価抗原すなわちアレルゲン(例えばスギ花粉症の患者
ではスギ花粉抗原、ダニアレルギー患者ではダニ抗原)
によって架橋されると、FcεRIは凝集し、シグナル伝達
機構が作動し、肥満細胞は初めて活性化される。その結
果、アレルギー性炎症を惹起する種々の化学伝達物質、
すなわちあらかじめ細胞内顆粒に貯えられていたヒスタ
ミンの放出をはじめとして、細胞膜代謝産物であるロイ
コトリエン、プロスタグランジンなどの新たな合成、放
出が爆発的に誘導され、I型アレルギー反応が惹起され
る。
【0003】さらに、肥満細胞上のFcεRI凝集によるシ
グナルは核を経由し、サイトカイン合成や細胞増殖が誘
導される。末梢の組織において肥満細胞は血管周囲に多
数存在し、肥満細胞から放出されるサイトカインは近接
する血管内皮細胞に種々の接着分子の発現を誘導する。
これらの接着分子のリガンドを発現している血流中の好
酸球、リンパ球は炎症局所の血管内皮細胞に接着した
後、肥満細胞から放出された走化性因子の濃度勾配に応
じて局所に遊走、集積し、遅発型喘息反応が惹起され
る。すなわち喘息(少なくともアトピー性喘息)におい
ては、炎症を主体とする遅発型喘息反応もその起源をた
どればFcεRI凝集による肥満細胞の活性化にある。
【0004】FcεRIは皮膚のランゲルハンス細胞にも発
現しており、FcεRIを介した抗原提示、サイトカイン産
生などによりアトピー性皮膚炎の病態形成においても重
要な役割を演じている。また最近、秀らは、慢性蕁麻疹
患者の血清中に健常人好塩基球からのヒスタミン遊離を
引き起こす物質が存在することを報告している(N. En
g. J. Med., 328巻(1993年), 1599頁)。彼らは一部の
患者についてこの原因物質の一つが抗IgE自己抗体であ
ること、及び低IgE値を示す患者血清中に抗FcεRIα鎖
自己抗体が存在しこれがもう一つの実態であることを報
告した。すなわちこれらの患者においては、細胞表面の
IgE-FcεRI複合体あるいはFcεRIを抗IgE自己抗体ある
いは抗FcεRI自己抗体が架橋し、FcεRI発現細胞を活性
化していると考えられる。
【0005】一方、マウスのモノクローナル抗体はヒト
において高度に免疫原性があり、マウス抗体のヒトへの
投与の結果産生されるヒト抗マウス抗体は予定された効
果を妨害するのみならず、患者における不都合なアレル
ギー応答の危険をもたらす免疫応答を惹起する。それ故
マウス抗体をヒトへ頻回投与することはできない。これ
らの問題を解決するため、ヒト/マウスキメラ抗体ある
いはヒト型化抗体の製造方法が開発された(Nature, 32
8巻(1988年), 323頁)。ヒト/マウスキメラ抗体は、
抗原結合の機能を持つドメインである可変領域がもとの
マウスモノクローナル抗体に由来し、定常領域が適当な
ヒト抗体に由来するキメラ抗体である。キメラ抗体は元
のマウス抗体の完全な可変領域を含有し、それ故もとの
マウス抗体と同一の特異性をもって抗原に結合すること
を期待することができる。キメラ抗体ではヒト以外に由
来するアミノ酸配列の比率が減少しており、それ故もと
のマウス抗体と比べて免疫原性が低い。ヒト型化抗体は
マウス抗体可変領域中の相補性決定領域(complementar
ity determining region; CDR)をヒト抗体可変領域に
移植して作製する(Nature, 379巻(1991年), 293頁. I
mmunol. Today,14巻(1993年)243頁))。CDRは可変領域
の中にあり立体構造上では近接して存在する6本のルー
プで、抗原と直接相互作用する領域である(Sequences
of Proteins of Immunological Interest (1991年), Be
thesda, U.S.Government Printing Office)。再構成さ
れたヒト型化抗体のヒト以外のアミノ酸配列に由来する
部分はCDRのみである。また、CDRの配列は高度に多様で
あり種特異的配列を示さない。これらの理由のため、マ
ウスCDRを移植したヒト型化抗体はキメラ抗体よりも、
さらにヒトに対する免疫原性が低い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】I型アレルギーの治療
には現在ステロイドをはじめとした抗炎症剤や抗ヒスタ
ミン剤が広く用いられているが、その治療効果あるいは
副作用の点で満足できない。IgEによって媒介されるI
型アレルギーの特異的な治療を考えるとき、I型アレル
ギー反応を特異的に支配するFcεRIを標的にして、その
反応の根幹を遮断するために、IgE-FcεRIの結合を特異
的に阻害する戦略は有望である。IgE結合阻害剤の候補
として、可溶化ヒトFcεRI(Int. Immunol., 5巻(1993
年), 47頁)、抗ヒトFcεRI抗体Fab断片、ヒトIgE定常
領域(Fcε)(Nature, 331巻(1988年), 180頁)、抗ヒ
トFcε抗体(J. Immunol., 151巻(1993年), 2623頁)
などが考えられる。
【0007】抗ヒトFcεRI抗体Fab断片はFcεRIに特異
的に結合することにより、前述したアレルゲン-IgE、抗
IgE自己抗体-IgEおよび抗FcεRI自己抗体によるFcεRI
発現細胞の活性化を阻止する。抗ヒトFcεRI抗体Fab断
片はヒトFcεRIに特異的に結合し、他のIgE結合分子に
は結合しない。また抗ヒトFcεRI抗体Fab断片によりFc
εRI発現細胞に特異的に薬剤をデリバリーすることがで
きる。抗ヒトFcεRI抗体Fab断片は他のIgE結合阻害剤の
候補と比較して、以上のような点で優れている。
【0008】前記の如く、ヒト型化抗体は療法目的のた
めに有用であるが、ヒトFcεRIに対するヒト型化抗体は
知られていない。すなわち、ヒトFcεRIに対するマウス
モノクローナル抗体はホフマンラロッシュのグループ
(特開平5-252988)と本発明者らが独立に作製している
(アレルギー, 41巻, 第8号 (1992年)1291頁)が、ヒ
トFcεRIに対するヒト型化抗体の作製の報告はない。し
かして、本発明の目的とするところは、ヒトFcεRIに対
する特異的結合活性があり、抗ヒトマウスモノクローナ
ル抗体の可変領域の相補性決定領域(CDR) を移植した
ヒト型化抗体、H鎖あるいはL鎖のいずれか一方がヒト
型で、残る一方がマウス/ヒトキメラである半キメラ抗
体、ヒト型化抗体並びに半キメラ抗体を作成する過程で
有用な可変領域をヒト抗体定常領域と融合することによ
って得られるマウス/ヒトキメラ抗体、及びそれらの製
造法、さらには該抗体を有効成分とする治療薬および予
防薬を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは本発明者ら
が作製した抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体のう
ちにヒトIgEとヒトFcεRIの結合を強力に阻害する抗体
があることを見いだし、これらの抗体のCDRを含む可変
領域のアミノ酸配列およびそれをコードする塩基配列を
明らかにした(特開平7-165799)。このことはI型アレ
ルギーの治療および予防のための療法剤としてこれらの
抗ヒトFcεRI抗体が有用であることを示唆しているとと
もに、これらの抗ヒトFcεRI抗体のキメラ抗体およびヒ
ト型化抗体を作製するために必要な可変領域およびCDR
の配列情報が提供されたことを意味している。しかしヒ
ト型化抗体を作製する場合に、CDRを移植するヒト抗体
可変領域のフレームワークの配列によっては抗原結合活
性を失うことがある。その場合、抗原結合活性を回復さ
せる目的で、抗原結合に関与すると推定されるマウスフ
レームワークのアミノ酸残基をヒトフレームワークにさ
らに移植することが行われるが、必ずしも計画通り活性
が回復するとは限らないだけでなく、フレームワークの
アミノ酸残基の置換を数多く行うほど必然的にマウス抗
体由来のアミノ酸残基が多くなり、ヒトに対する免疫原
性が大きくなる。すなわちヒト型化抗体の設計方法で任
意の特定の抗体に普遍的に適用しうる方法は存在しな
い。さらに、選択するヒト可変領域によっては抗体の親
和成熟の段階で独自の体細胞突然変異がフレームワーク
に導入されていることがしばしばあり、それにより免疫
原性が生じる可能性を否定できない。したがって、特定
の抗原に対して十分な結合能を保持し、なおかつヒトに
対する免疫原性を有さない、という2つの要求を満たす
ヒト型化抗体を作製するためには種々の工夫が必要であ
る。
【0010】このような状況下において、本発明者らは
抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体CRA2およびCRA4
(以下、マウスCRA2およびCRA4と称する。)のヒト型化
を鋭意研究の結果、マウスフレームワークのアミノ酸残
基の移植を全く行うことなく、かつマウスCRA2と同等の
活性を有するヒト型化抗ヒトFcεRIモノクローナル抗体
CRA2の作製に成功した。また、L鎖がマウスフレームワ
ークのアミノ酸残基の移植を全く行っていないヒト型化
抗体CRA4L鎖でありH鎖がマウス/ヒトキメラ抗体CRA4
H鎖である抗体で、かつマウスCRA4と同等の活性を有す
る半キメラ抗体の作製にも成功した。すなわち本発明者
らはヒトgerm lineV遺伝子およびヒトgerm lineJ遺伝
子がコードするアミノ酸配列のうちで、発明者らが既に
明らかにしたマウスCRA2およびCRA4の可変領域遺伝子に
よりコードされるアミノ酸配列とフレームワークにおい
てホモロジーの高いものをピックアップした。可変領域
アミノ酸配列としてヒトgerm line遺伝子によりコード
されるアミノ酸配列を使用してヒト型化抗体を作製する
方法により、抗体の親和成熟の段階でフレームワークに
導入された独自の体細胞突然変異の結果としての免疫原
性が生じる可能性を排除できる。生体内での抗体可変領
域遺伝子は複数のV遺伝子、複数のJ遺伝子(H鎖には
複数のD遺伝子も存在する)のうちからそれぞれ一つず
つが選択され、組み換えにより再構成した結果発現し、
その多様性を実現している(Nature,302巻, (1983年),
575頁)。フレームワーク1、2、3はV遺伝子に、フ
レームワーク4はJ遺伝子にコードされる。使用する可
変領域アミノ酸配列のフレームワーク1、2および3の
起源となるヒト抗体と使用する可変領域アミノ酸配列の
フレームワーク4の起原となるヒト抗体が異なっている
ようなヒト型化抗体を作製する方法により、再構成した
抗体の可変領域の配列を利用するよりも、使用可能なフ
レームワークの配列のレパートリーが増大し、その結
果、活性を保持したヒト型化抗体を作製することが容易
となる。
【0011】ピックアップしたヒトgerm line遺伝子が
コードするアミノ酸配列のうちで、フレームワーク中の
canonical残基(Nature, 342巻(1989年), 877頁)およ
びpacking残基(Mol. Immunol., 28巻(1991年), 489
頁)がマウス抗体と高いホモロジーを有しているもの
を、マウスCDRを移植するヒト可変領域アミノ酸配列と
して選択した。これらをコードするDNAを合成し、さら
にヒト型化CRA2抗体発現プラスミドおよび半キメラCRA4
抗体発現プラスミドを構築した。これらのプラスミドを
COS7細胞株あるいはCHO細胞株に導入し、ヒト型化CRA2
抗体産生細胞および半キメラCRA4抗体産生細胞を得た。
分泌された抗体を含む上清、あるいは上清より精製した
抗体を用いて、これらの抗体の活性評価を行った。その
結果、これらの抗体はそれぞれマウスCRA2あるいはCRA4
とほぼ同等の活性を示すことが判明し、本発明を完成す
るに至った。
【0012】従って、本発明のヒト型化抗体および半キ
メラ抗体は、ヒト高親和性IgE受容体に対する特異的結
合活性を有し、可変領域の相補性決定領域(CDR) のア
ミノ酸配列において、H鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3の
組み合わせが配列表の配列番号1、2、3あるいは配列
番号7、8、9の組み合わせであり、L鎖のCDR1、CDR
2、およびCDR3の組み合わせが配列表の配列番号4、
5、6あるいは配列番号10、11、12の組み合わせである
ことを特徴とする。
【0013】本発明のキメラ抗体は、ヒト高親和性IgE
受容体に対する特異的結合活性を有し、H鎖の可変領域
が配列表の配列番号17あるいは19に示すアミノ酸配列で
表されるか、L鎖の可変領域が配列表の配列番号18ある
いは20に示すアミノ酸配列で表されるかのどちらか一
方、あるいは両方であることを特徴とする。また、これ
らの抗体は完全抗体分子のみならず、その部分、例えば
(Fab')2 、Fab、またはFvとして用いることを特徴とす
る。
【0014】本発明のヒト型化抗体、半キメラ抗体およ
びキメラ抗体の製造法は、該抗体を発現する発現プラス
ミドを作製し、それらを宿主細胞に導入してヒト型化抗
体を生産する細胞を得、その細胞を培養することによっ
てヒト型化抗体を生産することを特徴とする。また、上
記製造方法は宿主細胞が動物細胞であることを特徴とす
る。
【0015】本発明の治療または予防薬用組成物は、上
記の抗体を含有し、抗炎症剤、抗アレルギー剤であるこ
とを特徴とする。本組成物をヒト(または哺乳類)に投
与する方法としては、点眼、点鼻、吸入、注射あるいは
塗布のいずれでも良い。ここで、配列番号1〜20につ
いて、以下に説明する。 配列番号1:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体CR
A2H鎖CDR1のアミノ酸配列(配列番号13および17の
31残基目から35残基目に相当する部分) 配列番号2:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体CR
A2H鎖CDR2のアミノ酸配列(配列番号13および17の
50残基目から66残基目に相当する部分) 配列番号3:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体CR
A2H鎖CDR3のアミノ酸配列(配列番号13および17の
99残基目から106残基目に相当する部分) 配列番号4:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体CR
A2L鎖CDR1のアミノ酸配列(配列番号14および18の
24残基目から38残基目に相当する部分) 配列番号5:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体CR
A2L鎖CDR2のアミノ酸配列(配列番号14および18の
54残基目から60残基目に相当する部分) 配列番号6:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体CR
A2L鎖CDR3のアミノ酸配列(配列番号14および18の
93残基目から101残基目に相当する部分) 配列番号7:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体CR
A4H鎖CDR1のアミノ酸配列(配列番号15および19の
31残基目から35残基目に相当する部分) 配列番号8:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体CR
A4H鎖CDR2のアミノ酸配列(配列番号15および19の
50残基目から66残基目に相当する部分) 配列番号9:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体CR
A4H鎖CDR3のアミノ酸配列(配列番号15および19の
99残基目から107残基目に相当する部分) 配列番号10:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体
CRA4L鎖CDR1のアミノ酸配列(配列番号16および20
の24残基目から33残基目に相当する部分) 配列番号11:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体
CRA4L鎖CDR2のアミノ酸配列(配列番号16および20
の50残基目から56残基目に相当する部分) 配列番号12:抗ヒトFcεRIマウスモノクローナル抗体
CRA4L鎖CDR3のアミノ酸配列(配列番号16および20
の89残基目から97残基目に相当する部分) 配列番号13:ヒト型化CRA2抗体H鎖可変領域のアミノ
酸配列 配列番号14:ヒト型化CRA2抗体L鎖可変領域のアミノ
酸配列 配列番号15:ヒト型化CRA4抗体H鎖可変領域のアミノ
酸配列 配列番号16:ヒト型化CRA4抗体L鎖可変領域のアミノ
酸配列 配列番号17:キメラCRA2抗体H鎖可変領域のアミノ酸
配列 配列番号18:キメラCRA2抗体L鎖可変領域のアミノ酸
配列 配列番号19:キメラCRA4抗体H鎖可変領域のアミノ酸
配列 配列番号20:キメラCRA4抗体L鎖可変領域のアミノ酸
配列 本発明のヒト型化抗体、半キメラ抗体およびキメラ抗体
は以下の表に示す配列番号のアミノ酸配列の組み合わせ
により作製されたものであるが、ヒト型化抗体の場合
は、ヒト型化CRA2抗体が、半キメラ抗体の場合は、ヒト
型化H鎖/キメラL鎖半キメラCRA2抗体、キメラ型化H
鎖/ヒトL鎖半キメラCRA2抗体、キメラ型化H鎖/ヒト
型化L鎖半キメラCRA4抗体が、キメラ抗体の場合は、キ
メラCRA2抗体、キメラCRA4抗体であることが、それぞれ
好ましい。
【0016】
【表1】
【0017】
【発明の実施の形態】 1. キメラ抗体発現プラスミドの構築 既に本発明者らは、本発明者らが作製した抗ヒトFcεRI
マウスモノクローナル抗体のうちにヒトIgEとヒトFcεR
Iの結合を強力に阻害する抗体(CRA2およびCRA4)があ
ることを見いだし、これらの抗体のCDRを含む可変領域
のアミノ酸配列およびそれをコードする塩基配列を明ら
かにしている(特開平7-165799) 。CRA2はAER24とし
て、またCRA4はAER29として既に報告した抗体である
(アレルギー、41巻、第8号(1992年)、1291頁)。ヒ
トFcεRIに対するヒト型化抗体の可変領域を設計するに
先立って、使用するCDRが実際に抗原結合領域を形成す
ることを確かめる必要がある。この目的のため、キメラ
抗体を作製した。
【0018】キメラ抗体発現プラスミドを構築する方法
の基本は、PCR法などによりクローン化したcDNAにみら
れるようなマウス可変領域配列を、シグナル配列をコー
ドする配列とともに、哺乳類細胞発現ベクター中に既に
存在するヒト定常領域をコードする配列に連結すること
である。キメラ抗体H鎖およびL鎖遺伝子は別々かある
いは同一のベクターに連結して発現プラスミドを構築す
ることができる。発現ベクターとしてはSV40由来ベクタ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78巻(1981年) 、20
72頁)、牛パピローマウィルスベクター(J. Exp. Me
d., 172巻(1990年) 、969頁) 、SRαプロモーターを有
するベクター(Mol. Cell. Biol., 81巻(1988年) 、46
6頁)等が使用できる。SRαプロモーターを有するベク
ターを使った具体例を実施例1、11に記載する。
【0019】2. キメラ抗体発現プラスミドの動物細胞
への導入 抗体非産生の動物細胞株を宿主として用い、通常のDNA
導入法によりキメラ抗体遺伝子を発現させキメラ抗体産
生細胞株を取得することができる。抗体非産生の動物細
胞株としては、COS7、CHO-K1、X653、SP2、P815等を用
いることができる。キメラ抗体遺伝子発現プラスミド
は、リン酸カルシウム法、プロトプラスト融合法、DEAE
−デキストラン法、電気穿孔法、リポフェクション法等
により宿主細胞に導入できる。キメラ抗体は遺伝子の細
胞への導入後一過性に発現され、培養上清中に分泌され
る。さらに薬剤耐性遺伝子を同時導入し、G418あるいは
ハイグロマイシン等の薬剤を含む選択培地で培養し遺伝
子導入細胞を選択できる。培養上清中のキメラ抗体を酵
素免疫測定法(ELISA)等により検出し、薬剤耐性細胞
株からキメラ抗体産生株を選択することができる。こう
して選択されたキメラ抗体発現株はその培養上清中にキ
メラ抗体を安定的に発現する。
【0020】COS7細胞(Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
84巻(1987年)8573頁)を宿主細胞としてリポフェクシ
ョン法により遺伝子導入し、一過性にキメラ抗体を発現
させた具体例を実施例2、3、9に示す。CHO-K1細胞
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 60巻(1968年)1275
頁)を宿主細胞としてリポフェクション法により遺伝子
導入し、G418により選択しキメラ抗体の安定発現株を取
得した具体例を実施例12に示す。
【0021】3. キメラ抗体の活性 キメラ抗体の活性の評価はCOS7細胞により一過性に発現
されたキメラ抗体を含有する培養上清を用いて行うこと
ができる。具体的には培養上清中に含まれるキメラ抗体
がヒトFcεRI遺伝子を導入したCHO-K1細胞(CHO/αβ
γ)に結合することをフローサイトメトリーにより確認
した。さらに培養上清の添加によりCHO/αβγへのFITC
標識ヒトIgEの結合が阻害されることをフローサイトメ
トリーにより確認した。この具体例を実施例4に示す。
【0022】4. ヒト型化抗体可変領域アミノ酸配列の
設計 マウス抗体CDRを移植すべきヒト抗体可変領域はGenban
k、EMBL等のデータベースを用いて任意に選ぶことがで
きる。これらのデータベース中からマウス抗体CRA2およ
びCRA4の可変領域アミノ酸配列にホモロジーの高いヒト
抗体可変領域を選ぶ。本発明者らは、さらに対象とする
ヒト抗体遺伝子をgerm line遺伝子に限定し最適なV遺
伝子およびJ遺伝子を選択した。ヒト型化抗体の設計の
具体的な一例を実施例5に示す。
【0023】5. ヒト型化抗体可変領域遺伝子の構築 ヒト型化抗体可変領域遺伝子は全合成またはマウス抗体
可変領域遺伝子もしくはヒト抗体可変領域遺伝子を鋳型
としたPCRを繰り返すことで構築できる(Nucl.Acids Re
s. 19巻(1991年)2471頁)。ヒト型化抗体遺伝子をコ
ードする末端で相補的になるような4組の一本鎖DNAを
合成しPCRにより連結し、さらにシグナル配列をコード
しイントロンを含むようなDNA断片と連結した後、pBlue
script KS+に挿入した具体例を実施例6に示す。
【0024】6. ヒト型化抗体発現プラスミドの構築 ヒト型化抗体発現プラスミドを構築するための基本的な
方法は、ヒト型化抗体可変領域配列を、シグナル配列を
コードする配列とともに、哺乳類細胞発現ベクター中に
既に存在するヒト定常領域をコードする配列に連結する
ことを含んでなる。ヒト型化抗体H鎖およびL鎖遺伝子
は別々かあるいは同一のベクターに連結して発現プラス
ミドを構築することができる。発現ベクターとしてはSV
40由来ベクター、牛パピローマウィルスベクター、SRα
ベクター等が使用できる。前述のごとく構築したヒト型
化抗体可変領域遺伝子を、キメラ抗体発現プラスミドの
構築に用いたものと同一の発現ベクターに連結し、ヒト
型化抗体発現プラスミドを構築した具体例を実施例6、
11に記載する。
【0025】7. ヒト型化抗体発現プラスミドの動物細
胞への導入 抗体非産生の動物細胞株を宿主として用い、通常のDNA
導入法によりヒト型化抗体遺伝子を発現させヒト型化抗
体産生細胞株を取得することができる。ヒト型化抗体遺
伝子発現プラスミドは、リン酸カルシウム法、プロトプ
ラスト融合法、DEAE-デキストラン法、電気穿孔法、リ
ポフェクション法等により宿主細胞に導入できる。ヒト
型化抗体は遺伝子の細胞への導入後一過性に発現され、
培養上清中に分泌される。さらに薬剤耐性遺伝子を同時
導入し、G418あるいはハイグロマイシン等の薬剤を含む
選択培地で培養し遺伝子導入細胞を選択できる。培養上
清中のキメラ抗体を酵素免疫測定法(ELISA)等により
検出し、薬剤耐性細胞株からヒト型化抗体産生株を選択
することができる。こうして選択されたヒト型化抗体発
現株はその培養上清中にヒト型化抗体を安定的に発現す
る。
【0026】COS7細胞を宿主細胞としてリポフェクショ
ン法により遺伝子導入し、一過性にヒト型化抗体を発現
させた具体例を実施例7に示す。CHO-K1細胞を宿主細胞
としてリポフェクション法により遺伝子導入し、G418に
より選択しヒト型化抗体の安定発現株を取得した具体例
を実施例12に示す。
【0027】8. ヒト型化抗体および半キメラ抗体の活
性 ヒト型化抗体の活性の評価はCOS7細胞により一過性に発
現されたヒト型化抗体を含有する培養上清を用いて行う
ことができる。具体的には培養上清中に含まれるヒト型
化抗体がヒトFcεRIを発現するCHO/αβγ形質転換細胞
に結合することをフローサイトメトリーにより確認し
た。さらに培養上清の添加によりCHO/αβγへのFITC標
識ヒトIgEの結合が阻害されることをフローサイトメト
リーにより確認した。マウスCRA2のヒト型化抗体および
半キメラ抗体は活性を保持していた。マウスCRA4のL鎖
をヒト型化した半キメラ抗体は活性を保持していたが、
H鎖をヒト型化した半キメラ抗体、およびヒト型抗体は
活性を失っていた。この具体例を実施例8に示す。
【0028】9. ヒト型化抗体、キメラ抗体、マウス抗
体の活性の定量的比較 種々の組換え抗体の活性をマウス抗体の活性と比較する
場合、培養上清より抗体を精製し、抗原をコートしたプ
レートを用いたELISAを行うことにより、より正確な定
量的比較を行うことができる。培養上清からの抗体の精
製は、一過性あるいは安定的に発現された抗体を含む培
養上清から、硫安沈殿法、カプリック酸沈殿法、プロテ
インAあるいはプロテインGを結合したカラムによるア
フィニティ精製等の方法により精製することができる。
マウスCRA2のヒト型化抗体、キメラ抗体、およびマウス
CRA4のキメラ抗体を培養上清より精製し、マウス抗体と
活性を比較した具体例を実施例9、10に示す。
【0029】10. ヒト型化抗体Fab断片によるヒスタミ
ン遊離抑制 作製した組換え抗体のI型アレルギー抑制効果は、細胞
の脱顆粒の結果放出されるヒスタミンなどの化学伝達物
質の量の減少により確認できる。組換え抗体のFab断片
あるいはFv断片等の添加により肥満細胞あるいは好塩基
球の細胞膜状のFcεRIへのIgEの結合が阻害されれば、
脱顆粒が抑制され、放出されるヒスタミンなどの化学伝
達物質の量が減少するはずである。具体的にはヒト末梢
血中の好塩基球へのヒトIgEの結合をCRA2のヒト型化抗
体のFab断片により阻害し、抗ヒトIgE抗体による刺激に
よるヒスタミン遊離が抑制されることを確認した。ヒト
型化CRA2抗体Fab断片はマウスCRA2Fab断片と同等以上の
ヒスタミン遊離抑制活性を有していた。この具体例を実
施例13、14、15に示す。
【0030】11. ヒト型化抗体、半キメラ抗体および
キメラ抗体の投与経路と投与形態 本発明で得られたヒト型化抗体、半キメラ抗体およびキ
メラ抗体またはそのFab 断片を投与する場合、点眼、点
鼻、吸入、静脈内投与あるいは皮膚への塗布等が行わ
れ、さらに、投与形態としては投与経路により点眼剤、
点鼻剤、吸入剤、注射剤、軟膏剤あるいはクリーム剤の
いずれか一つが選ばれる。さらに、賦形剤としては、こ
れらの剤形に通常用いられる賦形剤の中から選ばれる。
【0031】
【実施例】以下、実施例で本発明を説明するが、これに
限定されるものではない。 実施例1.キメラ抗体発現プラスミドの構築 既に本発明者らは本発明者らが作製した抗ヒトFcεRIマ
ウスモノクローナル抗体のうちにヒトIgEとヒトFcεRI
の結合を強力に阻害する抗体(CRA2およびCRA4)がある
ことを見いだし、これらの抗体のCDRを含む可変領域の
アミノ酸配列およびそれをコードする塩基配列を明らか
にしている(特開平7-165799)。CRA2はAER24として、
またCRA4はAER29として既に報告した抗体である(アレ
ルギー、41巻、第8号(1992年) 1291頁)。ヒトFcεRI
に対するヒト型化抗体の可変領域を設計するに先立っ
て、使用するCDRが実際に抗原結合領域を形成すること
を確かめる必要がある。この目的のため、キメラ抗体を
作製した。
【0032】クローニングしたマウス抗体CRA2およびCR
A4の2種類のマウス抗体cDNAを鋳型として、その5’末
端および3’末端に相補的かつ適当な制限酵素切断配列
を持つ合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCR
を行った。また、クローニングした断片は開始コドンを
含むリーダー配列領域を保持していないので、pMH-gpt
(特開平4-166089)中のマウス抗cALLA抗体のH鎖遺伝
子(J. Immunol., 135巻(1985年), 642頁)をPCR法で
増幅し、代用した。増幅断片はそれぞれpUC118に一旦ク
ローニングし、計画通り正しい塩基配列であることを確
認した。PCRは、東洋紡社のTaq polymeraseと添付の反
応バッファーを用い、鋳型DNAおよびプライマーを1μg
存在下、100μlの反応液量で反応を行った。反応装置は
アステック社のプログラムテンプコントロールシステム
PC-700を用いた。PCRの反応プログラムは変性:93℃、
1分、伸長反応:72℃、3分を1サイクルとし、25サイ
クル行った。PCR反応液を6%ポリアクリルアミドゲル
電気泳動に供し、目的の大きさの断片の増幅を確認する
とともに増幅断片をゲルから切り出し0.5M酢酸アンモ
ニウム溶液中で37℃、一晩静置し、断片を抽出精製し
た。精製増幅断片の末端をT4 polymerase (宝酒造
(株))で平滑化した後、pUC118 (宝酒造(株))のSmaI部
位に挿入し、大腸菌DH5αを形質転換し、目的の大きさ
の断片が挿入されている株を選択した。アプライドバイ
オシステムズ社製DNAシーケンサー370Aを用いて配列を
確認した。可変領域cDNA、用いたプライマー、およびリ
ーダー配列をコードする遺伝子のDNA配列は図1、2、
3中に示した。
【0033】クローニングした増幅断片をそれぞれpSR
ベクター(特開平7-135978)に挿入した。すなわち、pS
RLのXhoI、EcoRI部位に増幅リーダー配列のXhoI-PvuII
断片と増幅L鎖のPvuII-EcoRI断片を、pSRHのXhoI、Eco
RI部位に増幅リーダー配列のXhoI-PstI断片と増幅H鎖
のPstI-EcoRI断片を、それぞれ挿入した。ここで、それ
ぞれカスタムプライマーを用いてもう一度、制限酵素部
位を含めた塩基配列を確認した。得られたH鎖発現プラ
スミドのHindIII-BamHI断片をL鎖発現プラスミドのHin
dIII、BamHI部位に挿入しキメラ抗体発現プラスミドと
した。図4にCRA4のキメラ抗体の発現プラスミド構築手
順を示した。CRA2のキメラ抗体の発現プラスミドも同様
に構築した。
【0034】実施例2.キメラ抗体発現プラスミドのCO
S7細胞への導入 キメラ抗体発現プラスミドをCOS7細胞へLipofectAMINE
試薬(GIBCO社)を用いて導入した。10%牛胎仔血清を
含むα-MEM培地2mlに懸濁した2×105個のCOS7細胞を
6穴プレートの各穴にまきこみ37℃のCO2インキュベー
ター内で一晩培養した。H鎖発現プラスミドおよびL鎖
発現プラスミドをそれぞれ1μgずつ分取混合し、合計
2μgのDNAをエタノール沈殿し乾燥後、200μlのOpti-M
EM(GIBCO社)に懸濁しA液とした。LipofectAMINE試薬
12μlを200μlのOpti-MEMと混合しB液とした。A液と
B液を混合し室温で30分間静置しLipofectAMINE試薬とD
NAの複合体を形成させた。細胞を2mlのOpti-MEMで洗浄
し、0.4mlのA,B混合液と0.6mlのOpti-MEMを添加し5
時間培養した。20%牛胎仔血清を含むα-MEM培地1mlを
添加し一晩培養した。培養液をアスピレーターを用いて
廃棄した後、10%牛胎仔血清を含むα-MEM培地2mlを添
加し培養を続けた。
【0035】実施例3.培養上清中に含まれるキメラ抗
体の定量 培養上清中に含まれるキメラ抗体の定量はサンドイッチ
ELISAにより行った。96穴Immulon1プレート(ダイナテ
ック社)の各穴にマグネシウムイオン及びカルシウムイ
オンを含まないダルベッコ社のPBS緩衝液(PBS(-))(8g
/l NaCl, 0.2g/l KCl, 0.2g/l KH2PO4, 2.9g/l Na2HPO4
・12H2O)で希釈した5μgの一次抗体(抗ヒトIgG(Fc特
異的)抗体(Cappel社))を含むPBS(-)50μlを添加し、
4℃にて一晩静置し、一次抗体をプレートにコートし
た。プレートを0.05%(w/v)のTween20を含むPBS(-)で
3回洗浄後、各穴に200μlの4倍希釈したブロックエー
ス(雪印乳業株式会社)を添加し37℃2時間静置し、プ
レートのブロッキングを行った。ブロッキング液を廃棄
した後、培養上清の希釈液を各穴50μl添加し37℃2時
間静置し、培養上清中のキメラ抗体と一次抗体を反応さ
せた。プレートを0.05%(w/v)のTween20を含むPBS(-)
で3回洗浄後、2000倍に希釈した二次抗体(パーオキシ
ダーゼ標識抗ヒトκ鎖抗体(Binding site 社)) 溶液を
各穴50μl添加し37℃1時間静置し、一次抗体にトラッ
プされたキメラ抗体と反応させた。プレートを0.05%
(w/v)のTween20を含むPBS(-)で3回洗浄後、1mg/mlの
o-phenylenediamine dihydrochlorideおよび0.015%の
過酸化水素を含有するpH5.0のクエン酸リン酸緩衝液を
各穴100μlずつ添加し、室温で約20分間静置し、発色
反応を行った。1N硫酸を各穴50μlずつ添加し反応を
停止させ、490nmでの吸光度を測定した。ヒトIgG1/κ
(Binding site 社)標品を用いて作製した検量線から
検体中のキメラ抗体濃度を求め、培養上清中のキメラ抗
体濃度を算出した。図5に示すように、CRA2およびCRA4
の両キメラ抗体が培養上清中に分泌され、経時的に蓄積
することが確認された。
【0036】実施例4.キメラ抗体の活性 ヒトFcεRIを発現するCHO形質転換細胞(CHO/αβγ)
を10%牛胎仔血清を含むα-MEM培地を用いてT75フラス
コ中で細胞がコンフルエントになるまで培養した。培養
液をアスピレーターを用いて廃棄した後、5mlのPBS(-)
を添加し、フラスコに接着している細胞を穏やかにピペ
ッティングし洗浄した。PBS(-)をアスピレーターを用い
て廃棄した後、5mlのトリプシン-EDTA溶液(Sigma社)
を添加し室温で5分間静置した。10%牛胎仔血清を含む
α-MEM培地を5ml添加しすぐに穏やかにフラスコ底面全
体をピペッティングして細胞をフラスコ底面よりはがし
た。細胞懸濁液を遠心管に分取し、1,500rpmで5分間遠
心した。上清をアスピレーターを用いて廃棄した後、10
%牛胎仔血清を含むα-MEM培地5mlに細胞を懸濁し遠心
により細胞を洗浄し、トリプシンおよびEDTAをより完全
に失活させた。その後さらにPBS(-)で3回遠心洗浄し
た。こうして調製したCHO/αβγ細胞2×105を含む150
μlの細胞懸濁液を遺伝子導入後4日目の培養上清100μ
lと混合し氷上30分間静置後PBS(-)で2回洗浄した後、
細胞懸濁液にFITC標識抗ヒトIgG(Fc特異的)抗体(Cap
pel社)を添加し氷上30分間静置後2回洗浄した。一検
体あたり0.1μgのpropidium iodideを添加し、死細胞を
染色した。これをFACScan(Beckton Dickinson社)によ
り解析し、培養上清に含まれるキメラ抗体のCHO/αβγ
生細胞への結合を確認した。図6に結果を示す。CHO/α
βγ細胞2×105を含む140μlの細胞懸濁液を0.2μgのF
ITC標識ヒトIgEを含む溶液10μlおよび遺伝子導入後4
日目の培養上清100μlと混合し氷上30分間静置後、PBS
(-)で2回洗浄した後、一検体あたり0.1μgのpropidium
iodideを添加し、死細胞を染色した。これをFACScanに
より解析し、培養上清に含まれるキメラ抗体がヒトIgE
のCHO/αβγ生細胞への結合を阻害することを確認し
た。図7に結果を示す。
【0037】実施例5.ヒト型化抗体可変領域アミノ酸
配列の設計 Genbank CDS データベースより、マウス抗体CRA2および
CRA4とH鎖およびL鎖のフレームワーク1、フレームワ
ーク2、フレームワーク3のアミノ酸配列と相同性の高
いアミノ酸配列をコードするヒトV遺伝子をリストアッ
プした。リストアップしたヒトV遺伝子のうちからgerm
line遺伝子で最もホモロジーの高いものを選択した。c
anonical残基あるいはpacking残基のみでもホモロジー
・サーチを行ったが、選択した配列はここでもgerm lin
e 遺伝子中、実質最上位にランクされた。文献により素
姓を確認し、偽遺伝子などでないことを確認した。マウ
ス抗体CRA2およびCRA4とH鎖およびL鎖のフレームワー
ク4と最もホモロジーの高いアミノ酸配列をコードする
J遺伝子と組み合わせ、ヒト型化の対象とするフレーム
ワークとした。CRA2VHについてはDP5(J.Mol.Biol., 22
7巻(1992年), 776頁)、JHはJH6(Sequences of Prote
ins of Immunological Interest (1991年),Bethesda,
U.S. Government Printing Office, 1982頁)を、CRA2V
κについてはhuman κ subgroup IV(Nucl. Acids Re
s., 13巻(1985年), 6515 頁)、JκはJκ2(Sequences
of Proteins of Immunological Interest (1991年),
Bethesda, U.S. Government Printing Office, 1963
頁)を選択した。CRA4VHについてはDP14(J.Mol.Biol.,
227巻(1992年), 776頁)、JHはJH6を、CRA4Vκについ
てはL12a(Eur. J. Immunol., 23巻(1993年), 2868
頁)、JκはJκ2を選択した。図8に示す。
【0038】実施例6.ヒト型化抗体可変領域遺伝子の
構築およびヒト型化抗体発現プラスミドの構築 PCR反応によるヒト型化抗体可変領域遺伝子の構築の概
念図を図9、10、11、12に示した。開始コドンを含むリ
ーダー配列領域はキメラ抗体と同様にpMH-gpt中のマウ
ス抗cALLA抗体のH鎖遺伝子をPCRで増幅し代用した(Fr
agment I)。このとき3’末端側のプライマー(A2)は
後で述べる可変領域遺伝の5’末端側の配列と相補的で
あるようにデザインした。PCRの反応プログラムは変
性:93℃, 2分間、アニール:55℃, 2分間、伸長反
応:72℃, 2分間を1サイクルとし、25サイクル行っ
た。ヒト型化した可変領域に関しては全合成を行った。
約360bpからなる可変領域をオーバーラップするように
分け、4種類の約100塩基からなる長鎖の合成DNA(G
1, G2, G3, G4)と両末端に対応する2種類のオリゴヌ
クレオチド(A3, A4)を作製した。A3, A4を5pmol、G1
〜4を1pmolをそれぞれ含む反応バッファーを94℃で10
分加熱し、ミスアニールを除いた後、30分かけて45℃に
冷却し、15分静置することによりアニーリングを行っ
た。これにAmpliTaq(Perkin Elmer社)を添加し、65℃
で5分反応させて相補配列の伸長反応を行った。この反
応物を鋳型とし、さらにプライマーとしてA3とA4をそれ
ぞれ50pmol添加した後、PCRを行った。反応プログラム
は変性:93℃, 2分、アニール:55℃, 2分、伸長反
応:72℃, 2分を1サイクルとし、15サイクル行った。
ポリアクリルアミドゲル電気泳動で増幅断片を確認し、
切り出し精製した(Fragment II)。
【0039】精製したFragment IとFragment IIをそれ
ぞれ100ngずつ反応バッファーに添加し、可変領域と同
様に変性、アニールの後、伸長させ、A1とA4をプライマ
ーとしてPCRを行った。増幅断片(Fragment III)を精
製後、pBluescript KS+ (Stratagene社) に挿入し、塩
基配列を確認した。精製増幅断片をXhoI, EcoRIで切断
し、やはりXhoI, EcoRIで切断したpBluescript KS+に挿
入し、大腸菌DH5αを形質転換し、目的の大きさの断片
が挿入されている株を選択した。塩基配列の確認できた
Fragment IIIは実施例1と同様にpSRベクターに挿入
し、発現ベクターとした。
【0040】実施例7.ヒト型化抗体発現プラスミドの
COS7細胞への導入 ヒト型化抗体発現プラスミドのCOS7細胞への導入は、前
述したキメラ抗体発現プラスミドのCOS7細胞への導入と
同様の方法により行った。ただしH鎖あるいはL鎖の片
方がキメラ抗体で、もう片方がヒト型化抗体である半キ
メラ抗体の発現のため、H鎖発現プラスミドあるいはL
鎖発現プラスミドの片方がキメラ抗体をコードするもの
で、もう片方がヒト型化抗体をコードするものである組
み合わせでも遺伝子導入を行った。9日目培養上清中の
CRA2の各組換え抗体について培養上清中の発現量をまと
め表2に示した。同様に9日目培養上清中のCRA4の各組
換え抗体について培養上清中の発現量をまとめ表3に示
した。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】実施例8.ヒト型化抗体および半キメラ抗
体の活性 ヒト型化抗体および半キメラ抗体の活性の評価は、実施
例4と同様に行った。ただしFITC標識ヒトIgEのCHO/α
βγ細胞への結合阻害実験においては、サンドイッチEL
ISAにより定量した培養上清中の抗体濃度をもとに培養
上清を希釈し、各抗体間で濃度を同じにして実験を行っ
た。CRA2のヒト型化抗体および半キメラ抗体は活性を保
持していた。CRA4のL鎖をヒト型化した半キメラ抗体は
活性を保持していたが、CRA4のH鎖をヒト型化した半キ
メラ抗体、およびCRA4のヒト型化抗体は活性を失ってい
た。結果を図13、14、15、16に示した。
【0044】実施例9.ヒト型化抗体、キメラ抗体のCO
S7細胞培養上清からの精製 CRA2のヒト型化抗体、CRA2のキメラ抗体、およびCRA4の
キメラ抗体発現プラスミドをCOS7細胞へLipofectAMINE
試薬を用いて導入した。10%牛胎仔血清を含むα-MEM培
地12mlに懸濁した4×106個のCOS7細胞を3個のT75フラ
スコのそれぞれにまきこみ、37℃のCO2インキュベータ
ー内で一晩培養した。H鎖遺伝子およびL鎖遺伝子の両
方を組み込んだ発現プラスミド(pSRIGhuCRA2, pSRIGCR
A2, pSRIGCRA4)を100μg分取し、エタノール沈殿し乾
燥後、6mlのOpti-MEMに懸濁しA液とした。LipofectAM
INE試薬300μlを6mlのOpti-MEMと混合しB液とした。
A液とB液を混合し室温で30分間静置しLipofectAMINE
試薬とDNAの複合体を形成させた。細胞を10mlのOpti-ME
Mで洗浄し、4mlのA、B混合液と2mlのOpti-MEMを添
加し37℃のCO2インキュベーター内で5時間培養した。G
IT培地8ml添加し一晩培養した。培養液をアスピレータ
ーを用いて廃棄した後、GIT培地(日本製薬)20mlを添
加し7日間培養を続けた。培地を回収し、新鮮な培地を
添加しさらに7日間培養を続けた後、培地を回収した。
【0045】回収し培養上清を合わせて透析チューブに
入れて、透析チューブの外から分子量20,000のポリエチ
レングリコール(和光純薬)を振りかけ脱水濃縮した。
この濃縮液に0.06M酢酸緩衝液(pH4.0)を2倍量添加
し、1N塩酸でpHを4.8に調製した後、全体量の900分の1
量のカプリック酸(Sigma社)を少量ずつ滴下混合し室
温で30分間静置した。これを14,000rpmで30分間遠心
し、上清を回収した。これに1MのHEPES緩衝液を全体
の50分の1量添加し、さらに1Nの水酸化ナトリウム溶
液でpHを7.4に調製した。これに45%飽和硫安濃度にな
るまで100%飽和硫安溶液を添加混合し、氷上30分間攪
拌した。これを8,000rpmで30分間遠心し、上清を廃棄し
た。沈殿をPBS(-)に溶解し、PBS(-)に対し一晩透析し
た。これをプロテインGカラム(HiTrapGII, ファルマ
シア社)を用いて最終精製した。最終精製標品をSDS-PA
GEに供し、非還元条件下では抗体のシングルバンドのみ
が、還元条件下ではH鎖とL鎖の二本のバンドのみが検
出されることを確認した。最終精製標品の抗体濃度決定
にはプロテインアッセイキット(バイオラッド社)を使
用し、ヒトIgG1/κ(Binding site 社)標品を用いて作
製した検量線を用いた。
【0046】実施例10. ヒト型化抗体、キメラ抗体、
マウス抗体の活性の定量的比較 96穴Immulon1プレートの各穴に180ngの可溶化FcεRIα
鎖(Int. Immunol., 5巻(1993年), 47頁)を含む50mM
炭酸緩衝液100μlを添加し4℃一晩静置し、可溶化Fcε
RIα鎖をプレートにコートした。ブロッキング液を廃棄
した後、プレートを0.05%(w/v)のTween20を含むPBS
(-)で三回洗浄後、各穴に200μlの4倍希釈したブロッ
クエースを添加し37℃2時間静置し、プレートのブロッ
キングを行った。ブロッキング液を廃棄した後、プレー
トを0.05%(w/v)のTween20を含むPBS(-)で三回洗浄
後、10ngのヒトIgE(ヤマサ社)および種々の濃度のヒ
ト型化抗体、キメラ抗体、あるいはマウス抗体を含む溶
液100μlを各穴に添加し37℃で2時間静置した。プレー
トを0.05%(w/v)のTween20を含むPBS(-)で三回洗浄
後、10,000倍に希釈したパーオキシダーゼ標識抗ヒトIg
E(ε鎖特異的)抗体(Cappel 社)) 溶液を各穴100μl
添加し37℃で1時間静置した。プレートを0.05%(w/
v)のTween20を含むPBS(-)で3回洗浄後、1mg/mlのo−
フェニレンジアミンジヒドロクロリドおよび0.015%の
過酸化水素を含有するpH5.0のクエン酸リン酸緩衝液を
各穴100μlづつ添加し室温で約20分間静置し、発色反応
を行った。1N硫酸を各穴50μlずつ添加し反応を停止
させ、490nmでの吸光度を測定した。結果を図17に示し
た。ヒト型化CRA2は、CRA2と同等のヒトIgE阻害活性を
有していた。キメラCRA4は、CRA4と同等のヒトIgE阻害
活性を有していた。キメラCRA2のヒトIgE阻害活性はCRA
2と比較して10分の1から100分の1に低下していた。発
現プラスミド構築の都合上、キメラCRA2の発現プラスミ
ドがコードするL鎖のN末端から4個のアミノ酸のうち
3個は、クローニングし配列決定したCRA2の可変領域遺
伝子がコードするものと異なってしまっている(図1
8)。
【0047】実施例11. ヒト型化抗体およびキメラ抗
体発現プラスミドへのネオマイシン耐性遺伝子の挿入 ヒト型化抗体およびキメラ抗体の安定発現株を作製する
ために必要な選択薬剤耐性遺伝子を発現プラスミドに挿
入した。すなわち、BCMGSNeo(J. Exp. Med.,172巻 (19
90年), 969頁) よりネオマイシン耐性遺伝子を1.9KbのX
baI-HindIII断片として切り出し、T4 polymeraseで平
滑化した後、ClaIリンカーを付け、pSRIGhuCRA2、pSRIG
CRA2およびpSRIGCRA4のClaI部位にそれぞれ挿入した。
このとき挿入方向の異なる2種類のプラスミドが得られ
るが、ネオマイシン耐性遺伝子の転写方向が抗体遺伝子
のそれと同じものをpSRIGhuCRA24F、pSRIGCRA2NeoF、pS
RIGCRA4NeoF、逆のものをpSRIGhuCRA2R、pSRIGCRA2Neo
R、pSRIGCRA4NeoRとした。pSRIGCRA4Neoについて図19に
示した。
【0048】実施例12. ヒト型化抗体およびキメラ抗
体を安定発現するCHO形質転換細胞株の樹立 ヒト型化抗体およびキメラ抗体発現プラスミドのCHO-K1
細胞への導入は、前述したキメラ抗体発現プラスミドの
COS7細胞への導入と同様の方法により行った。ただしCH
O-K1細胞は6穴プレート1穴あたり3×105個の細胞を
まきこみ、ヒト型化抗体およびキメラ抗体発現プラスミ
ドは実施例11で作製法を示したものを使用した。形質転
換後3日目に選択薬剤であるG418(GIBCO社)を終濃度2
mg/mlとなるように培地に添加した。さらに7日間培養
後、細胞を回収し3穴分の培地に1個の細胞が含まれる
ようにG418を含む培地で限外希釈した後 half wellの96
穴プレートにまきこんだ。G418耐性のクローンが増殖し
形成されるコロニーが穴一杯になるまで培養を続けた。
各穴より培養上清の一部を回収し、希釈して実施例3に
示したサンドイッチELISAに供し、ヒト型化抗体あるい
はキメラ抗体を高発現しているクローンを選択した。高
発現クローンを次にG418を含まない培地を用いて12穴プ
レートでコロニーが穴一杯になるまで培養を続けた。各
穴より培養上清の一部を回収し、再びサンドイッチELIS
Aに供し、G418非存在化でもヒト型化抗体あるいはキメ
ラ抗体の高い発現量を維持しているクローンを選択し
た。
【0049】実施例13. 安定型CHO形質転換細胞株培養
上清からのヒト型化抗体の精製 ヒト型化抗体を安定発現するCHO形質転換細胞株により
ヒト型抗体を生産させ簡便に回収精製を行うため、無血
清培地への馴化を行った。種々の無血清培地を検討した
が、その内の一つCHO-S-SFMII培地(GIBCO社)で高発現
量を維持しているクローンが存在した。培養上清を回収
し、プロテインGカラムを用いて精製した。この精製標
品をSDS-PAGEに供し、非還元条件下では抗体のシングル
バンドのみが、還元条件下ではH鎖とL鎖の二本のバン
ドのみが検出されることを確認した。
【0050】実施例14. ヒト型化抗体Fab断片の調製 ImmunoPure Fab Kit(Pierce社)を用いてCRA2およびヒ
ト型化CRA2をパパイン消化した。CRA2については引き続
き同キット付属のプロテインAカラムにFc断片を吸着さ
せ除去し、さらにsuperdex75カラム(ファルマシア社)
を用いてゲルろ過を行いFab断片を精製した。ヒト型化C
RA2についてはFc断片だけでなくFab断片もプロテインA
カラムおよびプロテインGカラムに吸着されてしまい、
CRA2と同じ精製ステップでは精製不可能であった。そこ
で以下の方法でFab断片とFc断片の分離を行った。Fab断
片およびFc断片を両方ともプロテインGカラムに吸着さ
せた。pHを7、6、5、4と段階的に低下させたリン酸
緩衝液あるいはクエン酸緩衝液を順次カラムに流し、溶
出液を分画回収した。Fab断片とFc断片のプロテインG
との結合親和性の差によりFab断片が先に溶出した。Fab
断片のみが溶出され、また溶出の効率はpH4のとき最大
であった。Fab断片を含有するこれらの画分を回収しPBS
(-)に対し透析し、セントリコン10(アミコン社)を用
いて濃縮した。この精製標品をSDS-PAGEに供し、非還元
条件下ではFab断片のシングルバンドのみが、還元条件
下ではL鎖と消化されたH鎖の二本のバンドのみが検出
されることを確認した。
【0051】実施例15. ヒト型化抗体Fab断片によるヒ
スタミン遊離抑制 ヒト末梢血22mlをヘパリンを加えて採血し、4.5%デキ
ストランを含む生理食塩水5.5mlを加えて室温1時間静
置した。上層を回収しマグネシウムイオンとカルシウム
イオンを含まないタイロード緩衝液(タイロード(−)
緩衝液:7.35g/l NaCl, 0.299g/l KCl, 87.2mg/l KH2PO
4, 2.38g/l HEPES, 1g/l glucose, 0.03%ヒト血清アル
ブミン, pH7.4)を約30ml添加し1,500rpmで7分間遠心
した後、上清をアスピレーターを用いて廃棄した。タイ
ロード(−)緩衝液を50ml添加し細胞を懸濁し1,500rpm
で5分間遠心した後、上清をアスピレーターを用いて廃
棄した。細胞を5mlの乳酸緩衝液(0.13M NaCl, 5mM KC
l, 0.01M乳酸, NaOHでpH3.9にあわせた。)に懸濁し氷
上で3.5分間静置し、細胞上のIgE受容体に結合している
IgEを解離させた。タイロード(−)緩衝液を 40ml添加
混合し、室温に10分間静置した。1,500rpmで5分間遠心
した後、上清をアスピレーターを用いて廃棄した。タイ
ロード(−)緩衝液を 50ml添加し細胞を懸濁し1,500rp
mで5分間遠心した後、上清をアスピレーターを用いて
廃棄した。この洗浄操作をもう一度繰り返した。これを
1.2mlのタイロード(−)緩衝液に懸濁し、丸底の96穴
細胞培養用プレートに1穴あたり100μlづつ分注した。
これに種々の濃度のヒト型化CRA2 Fab断片あるいはCRA2
Fab断片を含む溶液を50μl添加混合し、37℃のCO2イン
キュベーター内に30分間静置した。0.2μgのヒトIgEを
含む溶液を50μl添加混合し、37℃のCO2インキュベータ
ー内に30分間静置した。タイロード(−)緩衝液を用い
て2回遠心洗浄した。3μg/mlの抗ヒトIgE抗体(Cappe
l社)を含むタイロード緩衝液(7.35g/l NaCl, 0.299g/
l KCl, 87.2mg/l KH2PO4, 2.38g/l HEPES, 1g/l glucos
e, 0.03%ヒト血清アルブミン, 1mM CaCl2, 0.6mM MgCl
2, pH7.4)を250μl添加し、37℃のCO2インキュベータ
ー内に30分間静置した。遠心し上清を回収した(脱顆粒
上清)。細胞は0.1%TritonX100を含むタイロード緩衝
液に溶解し、遠心後上清を回収した(細胞可溶化液)。
Fab断片の添加によってヒスタミン遊離が抑制されてい
るかどうかををHistamine ReleaseTest Kit(Hollister
-Stier社)により確認した。脱顆粒上清および細胞可溶
化液を用いて得られた結果を図20に示す。添加したヒト
型化CRA2 Fab断片の濃度依存的にヒスタミン遊離は抑制
され、その効果はCRA2 Fab断片を用いた場合と同等ない
しはそれ以上であった。
【0052】
【発明の効果】 ヒト高親和性IgE受容体に対するマウ
スモノクローナル抗体CRA2あるいはCRA4のヒト型化抗
体、半キメラ抗体およびキメラ抗体、ならびにそれらの
誘導体はヒトに対する抗原性が非常に低く、それ故、例
えば Fab断片及びFv断片はI型アレルギーの治療薬もし
くは予防薬として使用することができる。
【0053】
【配列表】
【0054】配列番号:1 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0055】配列番号:2 配列の長さ:17 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Phe Ile Ser Asn Arg Gly Gly Ser Thr Tyr Tyr Pro Asp Thr Val Lys Gly 17 5 10 15
【0056】配列番号:3 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0057】配列番号:4 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Arg Ala Ser Glu Ser Val Asp Ser Tyr Gly Asn Ser Phe Met His 15 5 10 15
【0058】配列番号:5 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0059】配列番号:6 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0060】配列番号:7 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0061】配列番号:8 配列の長さ:17 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド配列 Trp Ile Tyr Pro Lys Asn Val Asn Thr Lys Tyr Asn Glu Arg Phe Lys Gly 17 5 10 15
【0062】配列番号:9 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0063】配列番号:10 配列の長さ:10 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0064】配列番号:11 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0065】配列番号:12 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0066】配列番号:13 配列の長さ:117 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly 5 10 15 Gly Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser 20 25 30 Thr Tyr Pro Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu 35 40 45 Glu Trp Val Ala Phe Ile Ser Asn Arg Gly Gly Ser Thr Tyr Tyr 50 55 60 Pro Asp Thr Val Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala 65 70 75 Lys Asn Ser Leu Tyr Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp 80 85 90 Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg His Asn Tyr Gly Gly Met Asp 95 100 105 Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser 117 110 115
【0067】配列番号:14 配列の長さ:112 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Asp Ser Leu Ala Val Ser Leu 5 10 15 Gly Glu Arg Ala Thr Ile Asn Cys Arg Ala Ser Glu Ser Val Asp 20 25 30 Ser Tyr Gly Asn Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly 35 40 45 Gln Pro Pro Lys Leu Leu Ile Tyr Leu Ala Ser Asn Leu Glu Ser 50 55 60 Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe 65 70 75 Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Ala Glu Asp Val Ala Val Tyr 80 85 90 Tyr Cys Gln Gln Asn Asn Glu Asp Pro Tyr Thr Phe Gly Gln Gly 95 100 105 Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg 112 110
【0068】配列番号:15 配列の長さ:118 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly 5 10 15 Ala Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr 20 25 30 Ser Tyr Tyr Ile His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu 35 40 45 Glu Trp Met Gly Trp Ile Tyr Pro Lys Asn Val Asn Thr Lys Tyr 50 55 60 Asn Glu Arg Phe Lys Gly Arg Val Thr Met Thr Thr Asp Thr Ser 65 70 75 Thr Ser Thr Ala Tyr Met Glu Leu Arg Ser Leu Arg Ser Asp Asp 80 85 90 Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Thr Ala Arg Ala Thr Ala Met 95 100 105 Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser 118 110 115
【0069】配列番号:16 配列の長さ:108 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Thr Leu Ser Ala Ser Val 5 10 15 Gly Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Glu Asn Ile Tyr 20 25 30 Ser Asn Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys 35 40 45 Leu Leu Ile Tyr Ala Ala Thr Asn Leu Ala Asp Gly Val Pro Ser 50 55 60 Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Glu Phe Thr Leu Thr Ile 65 70 75 Ser Ser Leu Gln Pro Asp Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln His 80 85 90 Phe Trp Gly Thr Pro Trp Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu 95 100 105 Ile Lys Arg 108
【0070】配列番号:17 配列の長さ:117 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gln Val Gln Leu Gln Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly 5 10 15 Gly Ser Leu Lys Leu Ser Cys Thr Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser 20 25 30 Thr Tyr Pro Met Ser Trp Val Arg Gln Thr Pro Glu Lys Arg Leu 35 40 45 Glu Trp Val Ala Phe Ile Ser Asn Arg Gly Gly Ser Thr Tyr Tyr 50 55 60 Pro Asp Thr Val Lys Gly Arg Phe Thr Val Ser Arg Asp Asn Ala 65 70 75 Lys Asn Ile Leu Tyr Leu Gln Met Thr Ser Leu Lys Ser Glu Asp 80 85 90 Thr Ala Met Tyr Tyr Cys Ala Arg His Asn Tyr Gly Gly Met Asp 95 100 105 Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser 117 110 115
【0071】配列番号:18 配列の長さ:112 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gln Val Gln Leu Pro Gln Ser Pro Ala Ser Leu Ala Val Ser Leu 5 10 15 Gly Gln Arg Ala Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Glu Ser Val Asp 20 25 30 Ser Tyr Gly Asn Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly 35 40 45 Gln Ser Pro Lys Leu Leu Met Tyr Leu Ala Ser Asn Leu Glu Ser 50 55 60 Gly Val Pro Ala Arg Phe Thr Gly Ser Gly Ser Arg Thr Asp Phe 65 70 75 Thr Leu Thr Ile Asp Pro Val Glu Ala Asp Asp Ala Ala Thr Tyr 80 85 90 Tyr Cys Gln Gln Asn Asn Glu Asp Pro Tyr Thr Phe Gly Gly Gly 95 100 105 Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg 112 110
【0072】配列番号:19 配列の長さ:118 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Pro Glu Leu Val Lys Pro Gly 5 10 15 Ala Ser Val Arg Ile Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr 20 25 30 Ser Tyr Tyr Ile His Trp Val Lys Gln Arg Pro Gly Gln Gly Leu 35 40 45 Glu Trp Ile Gly Trp Ile Tyr Pro Lys Asn Val Asn Thr Lys Tyr 50 55 60 Asn Glu Arg Phe Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr Thr Asp Lys Ser 65 70 75 Ser Ser Thr Ala Tyr Met Gln Leu Ser Ser Leu Thr Ser Glu Asp 80 85 90 Ser Ala Val Tyr Phe Cys Ala Leu Thr Ala Arg Ala Thr Ala Met 95 100 105 Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser 118 110 115
【0073】配列番号:20 配列の長さ:108 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gln Val Gln Leu Thr Gln Ser Pro Ala Ser Leu Ser Val Ser Val 5 10 15 Gly Glu Thr Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Glu Asn Ile Tyr 20 25 30 Ser Asn Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Gln Gly Lys Ser Pro Gln 35 40 45 Leu Leu Val Tyr Ala Ala Thr Asn Leu Ala Asp Gly Val Pro Ser 50 55 60 Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Gln Tyr Ser Leu Lys Ile 65 70 75 Asn Ser Leu Gln Ser Glu Asp Phe Gly Ser Tyr Tyr Cys Gln His 80 85 90 Phe Trp Gly Thr Pro Trp Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu 95 100 105 Ile Lys Arg 108
【図面の簡単な説明】
【図1】 CRA2の可変領域cDNAと、実施例1で使用した
プライマーの塩基配列を示す図である。
【図2】 CRA4の可変領域cDNAと、実施例1で使用した
プライマーの塩基配列を示す図である。
【図3】 マウス抗cALLA 抗体のH鎖遺伝子のリーダー
配列と、実施例1で使用したプライマーの塩基配列を示
す図である。
【図4】 実施例1におけるキメラCRA4抗体の発現プラ
スミドの構築の過程を示した図である。
【図5】 実施例3において、COS7細胞にキメラCRA2抗
体の発現プラスミドおよびキメラCRA4抗体の発現プラス
ミドを導入することにより培養上清中に一過性に発現し
たキメラ抗体をBLISA 法により定量した結果を示すグラ
フである。
【図6】 実施例4において、培養上清中に分泌発現さ
れたキメラCRA2抗体およびキメラCRA4抗体がCHO/αβγ
細胞に結合することを、フローサイトメトリーにより確
認した結果を示すヒストグラムである。
【図7】 実施例4において、培養上清中に分泌発現さ
れたキメラCRA2抗体およびキメラCRA4抗体の添加により
FITC標識ヒトIgE がCHO/αβγ細胞に結合することを阻
害することをフローサイトメトリーにより確認した結果
を示すヒストグラムである。
【図8】 実施例5において、CRA2およびCRA4の可変領
域アミノ酸配列、それらのヒト型化抗体の可変領域アミ
ノ酸配列、および CDRの移植を行ったヒトV遺伝子がコ
ードするアミノ酸配列を比較した結果を示す図である。
【図9】 実施例6において、ヒト型化CRA2抗体H鎖の
可変領域遺伝子の構築の際に行った PCR反応の概念図
と、PCR 反応の結果合成される DNAの塩基配列を示す。
使用したプライマーおよび合成 DNAの位置を概念図中
に、塩基配列中の番号を用いて示した。配列の上段は可
変領域遺伝子をコードする配列であり、下段はその相補
鎖の配列である。
【図10】 実施例6において、ヒト型化CRA2抗体L鎖
の可変領域遺伝子の構築の際に行ったPCR 反応の概念図
と、PCR 反応の結果合成される DNAの塩基配列を示す。
使用したプライマーおよび合成 DNAの位置を概念図中
に、塩基配列中の番号を用いて示した。配列の上段は可
変領域遺伝子をコードする配列であり、下段はその相補
鎖の配列である。
【図11】 実施例6において、ヒト型化CRA4抗体H鎖
の可変領域遺伝子の構築の際に行ったPCR 反応の概念図
と、PCR 反応の結果合成される DNAの塩基配列を示す。
使用したプライマーおよび合成 DNAの位置を概念図中
に、塩基配列中の番号を用いて示した。配列の上段は可
変領域遺伝子をコードする配列であり、下段はその相補
鎖の配列である。
【図12】 実施例6において、ヒト型化CRA4抗体L鎖
の可変領域遺伝子の構築の際に行ったPCR 反応の概念図
と、PCR 反応の結果合成される DNAの塩基配列を示す。
使用したプライマーおよび合成 DNAの位置を概念図中
に、塩基配列中の番号を用いて示した。配列の上段は可
変領域遺伝子をコードする配列であり、下段はその相補
鎖の配列である。
【図13】 実施例8において、培養上清中に分泌発現
されたヒト型化CRA2抗体および半キメラCRA2抗体がCHO/
αβγ細胞に結合することを、フローサイトメトリーに
より確認した結果を示すヒストグラムである。
【図14】 実施例8において、培養上清中に分泌発現
されたヒト型化CRA2抗体および半キメラCRA2抗体の添加
によりFITC標識ヒトIgE が、CHO/αβγ細胞に結合する
ことを阻害されることを、フローサイトメトリーにより
確認した結果を示すヒストグラムである。
【図15】 実施例8において、培養上清中に分泌発現
されたL鎖をヒト型化した半キメラCRA2抗体がCHO/αβ
γ細胞に結合し、ヒト型化CRA2抗体およびH鎖をヒト型
化した半キメラCRA2抗体は結合しないことを、フローサ
イトメトリーにより確認した結果を示すヒストグラムで
ある。
【図16】 実施例8において、培養上清中に分泌発現
されたL鎖をヒト型化した半キメラCRA2抗体の添加によ
ってFITC標識ヒトIgE がCHO/αβγ細胞に結合すること
を阻害され、ヒト型化CRA2抗体およびH鎖をヒト型化し
た半キメラCRA2抗体の添加によっては阻害されないこと
を、フローサイトメトリーにより確認した結果を示すヒ
ストグラムである。
【図17】 実施例10において、ヒト型化抗体、キメラ
抗体およびマウス抗体のIgE 結合阻害活性をELISA によ
り定量比較した結果を示すグラフである。
【図18】 実施例10において、cDNAにコードされるCR
A2L 鎖可変領域アミノ酸配列と変異が導入されたキメラ
CRA2抗体可変領域アミノ酸配列のN末端領域の比較を示
す図である。
【図19】 実施例11において、安定発現細胞株樹立の
ために有用な、ネオマイシン耐性遺伝子をキメラCRA4抗
体発現プラスミドに組み込んだ発現ペクターを示す図で
ある。
【図20】 実施例15において、ヒト型化CRA2抗体Fab
断片の添加によって、抗ヒトIgE 抗体により刺激したヒ
ト末梢血好塩基球からのヒスタミン遊離が抑制されたこ
とを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (72)発明者 高井 敏朗 東京都大田区大森北2−13−1 アサヒビ ール株式会社基盤研究所内 (72)発明者 結城 敏文 東京都大田区大森北2−13−1 アサヒビ ール株式会社基盤研究所内 (72)発明者 奥村 康 東京都大田区大森北2−13−1 アサヒビ ール株式会社基盤研究所内 (72)発明者 羅 智靖 千葉県千葉市花見川区花園2丁目14番13号 (72)発明者 奥村 康 千葉県千葉市中央区松波1−14−9

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト高親和性IgE受容体に対する特異的
    結合活性を有し、可変領域の相補性決定領域(CDR)の
    アミノ酸配列において、H鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3
    の組み合わせが配列表の配列番号1、2、3あるいは配
    列番号7、8、9の組み合わせであり、L鎖のCDR1、CD
    R2、およびCDR3の組み合わせが配列表の配列番号4、
    5、6あるいは配列番号10、11、12の組み合わせである
    ヒト型化抗体または半キメラ抗体。
  2. 【請求項2】 H鎖の可変領域が配列表の配列番号13あ
    るいは15に示すアミノ酸配列で表されるか、L鎖の可変
    領域が配列表の配列番号14あるいは16に示すアミノ酸配
    列で表されるかのどちらか一方あるいは両方である請求
    項1記載のヒト型化抗体または半キメラ抗体。
  3. 【請求項3】 完全抗体分子、(Fab')2、Fab、またはFv
    からなる請求項1あるいは2記載のヒト型化抗体または
    半キメラ抗体。
  4. 【請求項4】 請求項1、2、または3記載のヒト型化
    抗体または半キメラ抗体を発現する発現プラスミドを作
    製し、それらを宿主細胞に導入してヒト型化抗体または
    半キメラ抗体を生産する細胞を得、その細胞を培養する
    ことによってヒト型化抗体または半キメラ抗体を生産す
    ることを特徴とするヒト型化抗体または半キメラ抗体の
    製造法。
  5. 【請求項5】 宿主細胞が動物細胞であることを特徴と
    する請求項4記載の製造法。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、あるいは3記載のヒト型
    化抗体または半キメラ抗体を含有する治療または予防薬
    用組成物。
  7. 【請求項7】 治療または予防薬が抗炎症剤または抗ア
    レルギー剤である請求項6記載の組成物。
  8. 【請求項8】 ヒト高親和性IgE受容体に対する特異的
    結合活性を有し、H鎖の可変領域が配列表の配列番号17
    あるいは19に示すアミノ酸配列で表されるか、L鎖の可
    変領域が配列表の配列番号18あるいは20に示すアミノ酸
    配列で表されるかのどちらか一方あるいは両方であるキ
    メラ抗体。
  9. 【請求項9】 完全抗体分子、(Fab')2、Fab、またはFv
    を含む誘導体からなる請求項8記載のキメラ抗体。
  10. 【請求項10】 請求項8あるいは9記載のキメラ抗体
    を発現する発現プラスミドを作製し、それらを宿主細胞
    に導入してキメラ抗体を生産する細胞を得、その細胞を
    培養することによってキメラ抗体を生産することを特徴
    とするキメラ抗体の製造法。
  11. 【請求項11】 宿主細胞が動物細胞であることを特徴
    とする請求項10記載の製造法。
  12. 【請求項12】 請求項8または9記載のキメラ抗体を
    含有する治療または予防薬用組成物。
  13. 【請求項13】 治療または予防薬が抗炎症剤または抗
    アレルギー剤である請求項12記載の組成物。
JP8024816A 1996-01-19 1996-01-19 ヒト高親和性IgE受容体に対するヒト型化抗体、半キメラ抗体およびキメラ抗体 Pending JPH09191886A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8024816A JPH09191886A (ja) 1996-01-19 1996-01-19 ヒト高親和性IgE受容体に対するヒト型化抗体、半キメラ抗体およびキメラ抗体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8024816A JPH09191886A (ja) 1996-01-19 1996-01-19 ヒト高親和性IgE受容体に対するヒト型化抗体、半キメラ抗体およびキメラ抗体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09191886A true JPH09191886A (ja) 1997-07-29

Family

ID=12148721

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8024816A Pending JPH09191886A (ja) 1996-01-19 1996-01-19 ヒト高親和性IgE受容体に対するヒト型化抗体、半キメラ抗体およびキメラ抗体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09191886A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003008584A1 (fr) * 2001-07-19 2003-01-30 Juridical Foundation The Chemo-Sero-Therapeutic Research Institute Anticorps de recepteur ige antihumain de type humain et fragment d'anticorps
JP2009034108A (ja) * 2001-02-12 2009-02-19 Novartis Ag 治療用結合性分子
EP2143734A1 (en) * 2007-04-24 2010-01-13 Shanghai National Engineering Research Center of Antibody Medicine Co., Ltd. The functional epitope of osteopontin, the anti-osteoponin monoclonal antibody and use thereof
JP2010511410A (ja) * 2006-12-05 2010-04-15 アボット・ラボラトリーズ C型肝炎ウイルスに対する組換え抗体、並びにそれを得る方法及び使用する方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009034108A (ja) * 2001-02-12 2009-02-19 Novartis Ag 治療用結合性分子
WO2003008584A1 (fr) * 2001-07-19 2003-01-30 Juridical Foundation The Chemo-Sero-Therapeutic Research Institute Anticorps de recepteur ige antihumain de type humain et fragment d'anticorps
US7384633B2 (en) 2001-07-19 2008-06-10 Judicial Foundation The Chemo-Sero-Therapeutic Res. Human type antihuman IgE receptor antibody and fragment
JP2010511410A (ja) * 2006-12-05 2010-04-15 アボット・ラボラトリーズ C型肝炎ウイルスに対する組換え抗体、並びにそれを得る方法及び使用する方法
EP2143734A1 (en) * 2007-04-24 2010-01-13 Shanghai National Engineering Research Center of Antibody Medicine Co., Ltd. The functional epitope of osteopontin, the anti-osteoponin monoclonal antibody and use thereof
EP2143734A4 (en) * 2007-04-24 2010-05-19 Sh Nat Eng Res Ct Nanotech Co OSTEOPONTIN FUNCTIONAL EPITOPE, MONOCLONAL ANTI-OSTEOPONTIN ANTIBODY AND USE THEREOF

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5932448A (en) Bispecific antibody heterodimers
JP3081641B2 (ja) 抗体の調製
JP3525221B2 (ja) 免疫抑制剤
AU2008258214B2 (en) Humanized antibodies against ICAM-1, their production and uses
US5455337A (en) DNA encoding chimeric polypeptides comprising the interleukin-5 receptor α-chain fused to immunoglobulin heavy chain constant regions
WO2021170082A1 (zh) 抗cd47/抗pd-l1抗体及其应用
JP2007228979A (ja) 癌マーカー用生物合成結合蛋白質
US20170274072A1 (en) Bispecific antibody targeting human epidermal growth factor receptor
JP2009504136A (ja) 慢性リンパ性白血病治療のためのcd52に対するモノクローナル抗体産生のための組み換え法
EP4215547A1 (en) Single-domain antibody targeting 4-1bb, fusion protein thereof, pharmaceutical composition and use thereof
KR20010072749A (ko) 항혈전제 및 인간화 항-폰빌레브란트 인자 모노클로날 항체
JP2004508036A (ja) 抗体および/またはケモカイン構築物および免疫障害におけるそれらの使用
WO2019148405A1 (zh) IL-4Rα抗体及其用途
TW200927170A (en) Anti-factor B antibodies and their uses
JP3614183B2 (ja) ヒトインターロイキン−6に対する再構成ヒト抗体
WO2022089569A1 (en) Modified soluble t cell receptor
WO2015113494A1 (zh) 双功能融合蛋白及其制备方法和用途
JPH09191886A (ja) ヒト高親和性IgE受容体に対するヒト型化抗体、半キメラ抗体およびキメラ抗体
CN114269788B (zh) 一种能够与人4-1bb结合的分子及其应用
JP2002508952A (ja) IgMと結合するヒトCMRF−35−H9レセプター
CN110655577A (zh) APJ抗体及其与Elabela的融合蛋白质,以及其药物组合物和应用
JPH10324699A (ja) 抗ヒトFasヒト化抗体
JP2000014383A (ja) ヒト化抗体
JP3844519B2 (ja) 免疫抑制剤
JP2000154149A (ja) 抗ヒトFasヒト化抗体含有抗リウマチ剤

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060124

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060323

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060712