JPH09184036A - 高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材およびその製造方法 - Google Patents
高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材およびその製造方法Info
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- JPH09184036A JPH09184036A JP34231495A JP34231495A JPH09184036A JP H09184036 A JPH09184036 A JP H09184036A JP 34231495 A JP34231495 A JP 34231495A JP 34231495 A JP34231495 A JP 34231495A JP H09184036 A JPH09184036 A JP H09184036A
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- diamond
- alloy
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 部材常用温度域における放熱性が良好な高熱
伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材を提供する。 【解決手段】 高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部
材は、Alよりなるマトリックスと、そのマトリックス
に分散するダイヤモンド粒子とより構成される。この部
材は塑性加工品である。熱伝導率Cは温度の上昇に伴い
山形をなすように変化する。熱伝導率Cの最高値Cma
xは、部材常用温度域Rtである373K≦Rt≦57
3Kに存在する。
伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材を提供する。 【解決手段】 高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部
材は、Alよりなるマトリックスと、そのマトリックス
に分散するダイヤモンド粒子とより構成される。この部
材は塑性加工品である。熱伝導率Cは温度の上昇に伴い
山形をなすように変化する。熱伝導率Cの最高値Cma
xは、部材常用温度域Rtである373K≦Rt≦57
3Kに存在する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高熱伝導性ダイヤモ
ンド複合Al合金部材、特に、AlおよびAl合金の一
方よりなるマトリックスと、そのマトリックスに分散す
るダイヤモンド粒子とより構成された部材およびその製
造方法に関する。
ンド複合Al合金部材、特に、AlおよびAl合金の一
方よりなるマトリックスと、そのマトリックスに分散す
るダイヤモンド粒子とより構成された部材およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Alは、金属材料の中ではAg、Cu、
Auに次いで高い熱伝導率Cを有するが、強度向上のた
め合金化すると熱伝導率Cが低下する。
Auに次いで高い熱伝導率Cを有するが、強度向上のた
め合金化すると熱伝導率Cが低下する。
【0003】そこで、従来はAl合金マトリックスに、
それよりも高い熱伝導率Cを有するダイヤモンド粒子を
分散させて、熱伝導率Cの向上を図っている(特開平4
−259305号公報参照)。
それよりも高い熱伝導率Cを有するダイヤモンド粒子を
分散させて、熱伝導率Cの向上を図っている(特開平4
−259305号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】Al合金、例えば60
61材の熱膨脹率は約23.6×10-6Kであり、また
ダイヤモンドのそれは約2×10-6/Kであって、両者
の間には比較的大きな熱膨脹率差が存在する。
61材の熱膨脹率は約23.6×10-6Kであり、また
ダイヤモンドのそれは約2×10-6/Kであって、両者
の間には比較的大きな熱膨脹率差が存在する。
【0005】このような状況下において、従来は部材製
造に当り、ホットプレス法を採用しているので、その成
形温度が比較的高く、例えば873K前後に設定されて
いる。
造に当り、ホットプレス法を採用しているので、その成
形温度が比較的高く、例えば873K前後に設定されて
いる。
【0006】しかしながら前記のように成形温度を高く
設定すると、前記熱膨脹率差に起因して、部材の冷却中
にその部材に比較的大きな歪が発生し、このような歪
は、部材の熱伝導率向上を妨げる要因となるためその上
昇程度が低くなる。
設定すると、前記熱膨脹率差に起因して、部材の冷却中
にその部材に比較的大きな歪が発生し、このような歪
は、部材の熱伝導率向上を妨げる要因となるためその上
昇程度が低くなる。
【0007】またこの種部材の熱伝導率Cは温度の上昇
に伴い山形をなすように変化するが、従来の部材におけ
る熱伝導率Cの最高値Cmaxは、前記のような歪に起
因してAl合金の限界使用温度を超えた高温域に現われ
易い。
に伴い山形をなすように変化するが、従来の部材におけ
る熱伝導率Cの最高値Cmaxは、前記のような歪に起
因してAl合金の限界使用温度を超えた高温域に現われ
易い。
【0008】その結果、前記部材を内燃機関用ピストン
等の耐熱性部材として使用した場合には、その常用温度
域における熱伝導率Cが低いことに起因して放熱性が悪
化し、過熱による耐久性劣化が著しい、という問題を生
じる。
等の耐熱性部材として使用した場合には、その常用温度
域における熱伝導率Cが低いことに起因して放熱性が悪
化し、過熱による耐久性劣化が著しい、という問題を生
じる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は熱伝導率Cが高
く、また部材常用温度域において良好な放熱性を発揮す
ることが可能な前記部材を提供することを目的とする。
く、また部材常用温度域において良好な放熱性を発揮す
ることが可能な前記部材を提供することを目的とする。
【0010】前記目的を達成するため本発明によれば、
AlおよびAl合金の一方よりなるマトリックスと、そ
のマトリックスに分散するダイヤモンド粒子とより構成
された高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材におい
て、この部材は塑性加工品であって、熱伝導率Cが温度
の上昇に伴い山形をなすように変化し、且つその熱伝導
率Cの最高値Cmaxが部材常用温度域Rtである37
3K≦Rt≦573Kに存在する高熱伝導性ダイヤモン
ド複合Al合金部材が提供される。
AlおよびAl合金の一方よりなるマトリックスと、そ
のマトリックスに分散するダイヤモンド粒子とより構成
された高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材におい
て、この部材は塑性加工品であって、熱伝導率Cが温度
の上昇に伴い山形をなすように変化し、且つその熱伝導
率Cの最高値Cmaxが部材常用温度域Rtである37
3K≦Rt≦573Kに存在する高熱伝導性ダイヤモン
ド複合Al合金部材が提供される。
【0011】前記部材は塑性加工品であるから、その成
形温度は比較的低く、したがって部材冷却中に生じる歪
は小さくなる。これにより部材の熱伝導率Cを大いに向
上させることができる。
形温度は比較的低く、したがって部材冷却中に生じる歪
は小さくなる。これにより部材の熱伝導率Cを大いに向
上させることができる。
【0012】また熱伝導率Cの最大値Cmaxを部材常
用温度域Rtに存在させたので、その温度域Rtにおけ
る放熱性を良好にして部材の過熱を回避し、その部材の
耐久性を高めることができる。
用温度域Rtに存在させたので、その温度域Rtにおけ
る放熱性を良好にして部材の過熱を回避し、その部材の
耐久性を高めることができる。
【0013】さらに前記最高値Cmaxが部材常用温度
域Rtに存在するということは、その温度域Rtの下限
温度373Kよりも低い領域では部材の熱伝導率Cが低
く、したがってその部材は加温され易いという特性を持
つ。
域Rtに存在するということは、その温度域Rtの下限
温度373Kよりも低い領域では部材の熱伝導率Cが低
く、したがってその部材は加温され易いという特性を持
つ。
【0014】ただし、前記最高値Cmaxが部材常用温
度域Rtの下限温度373Kよりも低い領域に存在する
と、その部材を加温しにくくなり、一方、前記最高値C
maxが部材常用温度域Rtの上限温度573Kを超え
た領域に存在すると、部材の過熱を惹起する。
度域Rtの下限温度373Kよりも低い領域に存在する
と、その部材を加温しにくくなり、一方、前記最高値C
maxが部材常用温度域Rtの上限温度573Kを超え
た領域に存在すると、部材の過熱を惹起する。
【0015】また本発明は前記部材を量産することが可
能な前記製造方法を提供することを目的とする。
能な前記製造方法を提供することを目的とする。
【0016】前記目的を達成するため本発明によれば、
AlおよびAl合金の一方よりなるマトリックスと、そ
のマトリックスに分散するダイヤモンド粒子とより構成
された高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材を製造
するに当り、Al粉末およびAl合金粉末の一方と、体
積分率Vfが25%≦Vf≦60%であるダイヤモンド
粉末とよりなる素材に、加工温度Tが573K≦T≦8
23Kの条件で塑性加工を施す高熱伝導性ダイヤモンド
複合Al合金部材の製造方法が提供される。
AlおよびAl合金の一方よりなるマトリックスと、そ
のマトリックスに分散するダイヤモンド粒子とより構成
された高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材を製造
するに当り、Al粉末およびAl合金粉末の一方と、体
積分率Vfが25%≦Vf≦60%であるダイヤモンド
粉末とよりなる素材に、加工温度Tが573K≦T≦8
23Kの条件で塑性加工を施す高熱伝導性ダイヤモンド
複合Al合金部材の製造方法が提供される。
【0017】前記方法によれば、熱伝導率Cの最高値C
maxが、部材常用温度域Rtである373K≦Rt≦
573Kに存在する前記部材を量産することができる。
maxが、部材常用温度域Rtである373K≦Rt≦
573Kに存在する前記部材を量産することができる。
【0018】ただし、ダイヤモンド粉末の体積分率Vf
がVf<25%では部材の熱伝導率Cが前記のように山
形をなすように変化せず、一方、Vf>60%では部材
の強度が低下する。また加工温度TがT<573Kでは
塑性加工を行うことができず、一方、T>823Kで
は、前記のような大きな歪に起因して部材の熱伝導率C
の向上程度が低く、またその熱伝導率Cの最高値Cma
xが部材常用温度域Rtの上限温度573Kを超えた領
域に存在する。
がVf<25%では部材の熱伝導率Cが前記のように山
形をなすように変化せず、一方、Vf>60%では部材
の強度が低下する。また加工温度TがT<573Kでは
塑性加工を行うことができず、一方、T>823Kで
は、前記のような大きな歪に起因して部材の熱伝導率C
の向上程度が低く、またその熱伝導率Cの最高値Cma
xが部材常用温度域Rtの上限温度573Kを超えた領
域に存在する。
【0019】
【発明の実施の形態】図1において、高熱伝導性ダイヤ
モンド複合Al合金部材1は、塑性加工品としての押出
し材であり、AlおよびAl合金の一方、図示例ではA
lよりなるマトリックス2と、そのマトリックス2に分
散するダイヤモンド粒子3とより構成される。
モンド複合Al合金部材1は、塑性加工品としての押出
し材であり、AlおよびAl合金の一方、図示例ではA
lよりなるマトリックス2と、そのマトリックス2に分
散するダイヤモンド粒子3とより構成される。
【0020】図2はダイヤモンド、Alおよび前記部材
1に関する温度と熱伝導率Cとの関係を示す。前記部材
1において、ダイヤモンド粉末の体積分率VfはVf=
50%に、また押出し温度(加工温度)TはT=673
Kにそれぞれ設定された。
1に関する温度と熱伝導率Cとの関係を示す。前記部材
1において、ダイヤモンド粉末の体積分率VfはVf=
50%に、また押出し温度(加工温度)TはT=673
Kにそれぞれ設定された。
【0021】ダイヤモンドの熱伝導率Cはその温度が上
昇するに従って低下し、またAlの熱伝導率Cはその温
度変化に関係なく、略一定である。
昇するに従って低下し、またAlの熱伝導率Cはその温
度変化に関係なく、略一定である。
【0022】前記部材1の熱伝導率Cは、複合則に則っ
て、ダイヤモンドとAlの両熱伝導率Cの間に存在す
る。また熱伝導率Cの計算値は、部材1の温度が上昇す
るに従って低下するが、熱伝導率Cの実測値は次のよう
な変化をする。
て、ダイヤモンドとAlの両熱伝導率Cの間に存在す
る。また熱伝導率Cの計算値は、部材1の温度が上昇す
るに従って低下するが、熱伝導率Cの実測値は次のよう
な変化をする。
【0023】ダイヤモンドの熱膨脹率は約2×10-6/
Kであり、一方、Alのそれは約25×10-6/Kであ
って、両者の間には比較的大きな熱膨脹率差が存在す
る。これに起因して、押出し加工後、部材1の冷却中に
その部材1に歪が発生し、この歪は部材1の熱伝導率向
上を妨げる要因となるので、熱伝導率Cの実測値は、部
材1の温度が室温(293K)から押出し温度K=67
3K未満の範囲にあるときには、その計算値よりも差Δ
Cだけ小さくなる。一方、部材1の温度が押出し温度T
=673Kに上昇した後は前記歪が消失するので、ΔC
=0となって実測値は計算値と等しくなる。
Kであり、一方、Alのそれは約25×10-6/Kであ
って、両者の間には比較的大きな熱膨脹率差が存在す
る。これに起因して、押出し加工後、部材1の冷却中に
その部材1に歪が発生し、この歪は部材1の熱伝導率向
上を妨げる要因となるので、熱伝導率Cの実測値は、部
材1の温度が室温(293K)から押出し温度K=67
3K未満の範囲にあるときには、その計算値よりも差Δ
Cだけ小さくなる。一方、部材1の温度が押出し温度T
=673Kに上昇した後は前記歪が消失するので、ΔC
=0となって実測値は計算値と等しくなる。
【0024】また実測値は、温度473Kに熱伝導率C
の最高値Cmaxが現出するように温度の上昇に伴い山
形をなすように変化する。
の最高値Cmaxが現出するように温度の上昇に伴い山
形をなすように変化する。
【0025】部材1の歪量は、ダイヤモンド粉末の体積
分率Vfを一定としたとき押出し温度Tによって変化す
る。図3はVf=30%において、押出し温度TをT=
573Kに設定した場合とT=873Kに設定した場合
の熱伝導率Cを示す。押出し温度TをT=573Kに設
定すると、873Kに設定した場合よりも部材1の歪量
が少なくなり、その結果、熱伝導率Cが高く、しかもそ
の最高値Cmaxが低温側に位置する。
分率Vfを一定としたとき押出し温度Tによって変化す
る。図3はVf=30%において、押出し温度TをT=
573Kに設定した場合とT=873Kに設定した場合
の熱伝導率Cを示す。押出し温度TをT=573Kに設
定すると、873Kに設定した場合よりも部材1の歪量
が少なくなり、その結果、熱伝導率Cが高く、しかもそ
の最高値Cmaxが低温側に位置する。
【0026】本発明は前記のようなダイヤモンド複合A
l合金部材1において、熱伝導率Cの最高値Cmaxが
部材常用温度域Rtである373K≦Rt≦573Kに
存在することを必須要件とする。これは前記部材1を内
燃機関用ピストン等の耐熱性部材に適用するためであ
る。
l合金部材1において、熱伝導率Cの最高値Cmaxが
部材常用温度域Rtである373K≦Rt≦573Kに
存在することを必須要件とする。これは前記部材1を内
燃機関用ピストン等の耐熱性部材に適用するためであ
る。
【0027】前記部材1の製造に当っては、Al粉末
と、体積分率Vfが25%≦Vf≦60%であるダイヤ
モンド粉末とよりなる素材に、押出し温度Tが573K
≦T≦823Kの条件で押出し加工を施すものである。
と、体積分率Vfが25%≦Vf≦60%であるダイヤ
モンド粉末とよりなる素材に、押出し温度Tが573K
≦T≦823Kの条件で押出し加工を施すものである。
【0028】前記部材1は押出し材であって、その押出
し温度Tは比較的低く、したがって部材1冷却中に生じ
る歪は小さくなる。これにより部材1の熱伝導率Cを大
いに向上させることができる。
し温度Tは比較的低く、したがって部材1冷却中に生じ
る歪は小さくなる。これにより部材1の熱伝導率Cを大
いに向上させることができる。
【0029】また熱伝導率Cの最高値Cmaxを部材常
用温度域Rtに存在させたので、その温度域Rtにおけ
る放熱性を良好にして部材1の過熱を回避し、その部材
1の耐久性を高めることができる。
用温度域Rtに存在させたので、その温度域Rtにおけ
る放熱性を良好にして部材1の過熱を回避し、その部材
1の耐久性を高めることができる。
【0030】さらに前記最高値Cmaxが部材常用温度
域Rtに存在するということは、その温度域Rtの下限
温度373Kよりも低い領域では部材1の熱伝導率が低
く、したがってその部材1は加温され易いという特性を
持つ。
域Rtに存在するということは、その温度域Rtの下限
温度373Kよりも低い領域では部材1の熱伝導率が低
く、したがってその部材1は加温され易いという特性を
持つ。
【0031】ダイヤモンド粒子3の平均粒径dは1μm
≦d≦60μmであることが望ましい。平均粒径dがd
>60μmでは部材1の強度が低下し、一方、d<1μ
mでは界面が多過ぎるため部材1の熱伝導率Cが低下す
る。
≦d≦60μmであることが望ましい。平均粒径dがd
>60μmでは部材1の強度が低下し、一方、d<1μ
mでは界面が多過ぎるため部材1の熱伝導率Cが低下す
る。
【0032】以下、実施例について説明する。 (a) それぞれエアーアトマイズ法により製造された
純度99.9%のAl粉末と、6061材よりなるAl
合金粉末を用意した。これら粉末の平均粒径は25μm
である。また高圧合成法により製造された平均粒径dが
d=20μmであるダイヤモンド粉末を用意した。 (b) V型ブレンダによる24時間の混合工程によっ
て、Al合金粉末および体積分率Vfがそれぞれ10
%,20%,25%,30%,50%であるダイヤモン
ド粉末よりなる5種類の混合粉末と、Al合金粉末およ
び体積分率Vfが30%のダイヤモンド粉末よりなる混
合粉末とを調製した。 (c) 各混合粉末を用い、4000kgf/cm2 の条件
でCIP(冷間静水圧プレス)法を行うことにより、直
径35mm、長さ50mmのビレット(素材)を成形した。
各ビレットの相対密度は92〜98%であった。(d)
各ビレットを用い、押出し温度Tをそれぞれ、室温、
473K,573K,673K,823K,873Kに
設定し、また押出し比を9.8に設定して押出し加工を
行い、複数のダイヤモンド複合Al合金部材の例1〜9
を得た。なお、押出し温度Tを室温および473Kに設
定した場合は押出し加工を行うことができなかった。
純度99.9%のAl粉末と、6061材よりなるAl
合金粉末を用意した。これら粉末の平均粒径は25μm
である。また高圧合成法により製造された平均粒径dが
d=20μmであるダイヤモンド粉末を用意した。 (b) V型ブレンダによる24時間の混合工程によっ
て、Al合金粉末および体積分率Vfがそれぞれ10
%,20%,25%,30%,50%であるダイヤモン
ド粉末よりなる5種類の混合粉末と、Al合金粉末およ
び体積分率Vfが30%のダイヤモンド粉末よりなる混
合粉末とを調製した。 (c) 各混合粉末を用い、4000kgf/cm2 の条件
でCIP(冷間静水圧プレス)法を行うことにより、直
径35mm、長さ50mmのビレット(素材)を成形した。
各ビレットの相対密度は92〜98%であった。(d)
各ビレットを用い、押出し温度Tをそれぞれ、室温、
473K,573K,673K,823K,873Kに
設定し、また押出し比を9.8に設定して押出し加工を
行い、複数のダイヤモンド複合Al合金部材の例1〜9
を得た。なお、押出し温度Tを室温および473Kに設
定した場合は押出し加工を行うことができなかった。
【0033】例1〜9より、直径10mm、厚さ2mmのテ
ストピースを作製し、各テストピースの熱伝導率Cをレ
ーザフラッシュ法により測定したところ、図4の結果を
得た。図4にはAlに関するデータも例10として記載
されている。
ストピースを作製し、各テストピースの熱伝導率Cをレ
ーザフラッシュ法により測定したところ、図4の結果を
得た。図4にはAlに関するデータも例10として記載
されている。
【0034】図4から明らかなように、ダイヤモンド粉
末の体積分率Vfを25%≦Vf≦60%に、また押出
し温度Tを573K≦T≦823Kにそれぞれ設定され
た例1〜6は、熱伝導率Cが高く、また部材常用温度域
Rt、即ち、373K≦Rt≦573Kに熱伝導率Cの
最高値Cmaxが存在する。
末の体積分率Vfを25%≦Vf≦60%に、また押出
し温度Tを573K≦T≦823Kにそれぞれ設定され
た例1〜6は、熱伝導率Cが高く、また部材常用温度域
Rt、即ち、373K≦Rt≦573Kに熱伝導率Cの
最高値Cmaxが存在する。
【0035】例7は前記最高値Cmaxが部材常用温度
域Rtを超えている。これは押出し温度TがT>873
Kであることに起因する。また例8,9の熱伝導率Cは
略平坦な変化をし、したがって部材常用温度域Rtに最
高値Cmaxは現出しない。これはダイヤモンド粉末の
体積分率VfがVf<25%であることに起因する。
域Rtを超えている。これは押出し温度TがT>873
Kであることに起因する。また例8,9の熱伝導率Cは
略平坦な変化をし、したがって部材常用温度域Rtに最
高値Cmaxは現出しない。これはダイヤモンド粉末の
体積分率VfがVf<25%であることに起因する。
【0036】図4より、部材常用温度域Rtにおける熱
伝導率CはC>260W/mKであることが望ましい、
と言える。
伝導率CはC>260W/mKであることが望ましい、
と言える。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば前記のように構成するこ
とによって、高い熱伝導率を有し、また部材常用温度域
における放熱性が良好なダイヤモンド複合Al合金部材
を提供することができる。
とによって、高い熱伝導率を有し、また部材常用温度域
における放熱性が良好なダイヤモンド複合Al合金部材
を提供することができる。
【0038】また本発明によれば、前記ダイヤモンド複
合Al合金部材を量産することが可能な製造方法を提供
することができる。
合Al合金部材を量産することが可能な製造方法を提供
することができる。
【図1】ダイヤモンド複合Al合金部材の断面図であ
る。
る。
【図2】ダイヤモンド、Alおよびダイヤモンド複合A
l合金部材に関する温度と熱伝導率との関係を示すグラ
フである。
l合金部材に関する温度と熱伝導率との関係を示すグラ
フである。
【図3】押出し温度を異にするダイヤモンド複合Al合
金部材に関する温度と熱伝導率との関係を示すグラフで
ある。
金部材に関する温度と熱伝導率との関係を示すグラフで
ある。
【図4】各種ダイヤモンド複合Al合金部材に関する温
度と熱伝導率との関係を示すグラフである。
度と熱伝導率との関係を示すグラフである。
1 ダイヤモンド複合Al合金部材 2 マトリックス 3 ダイヤモンド粒子
Claims (4)
- 【請求項1】 AlおよびAl合金の一方よりなるマト
リックスと、そのマトリックスに分散するダイヤモンド
粒子とより構成された高熱伝導性ダイヤモンド複合Al
合金部材において、この部材は塑性加工品であって、熱
伝導率Cが温度の上昇に伴い山形をなすように変化し、
且つその熱伝導率Cの最高値Cmaxが部材常用温度域
Rtである373K≦Rt≦573Kに存在することを
特徴とする高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材。 - 【請求項2】 前記部材常用温度域Rtにおける前記熱
伝導率CがC>260W/mKである、請求項1記載の
高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材。 - 【請求項3】 前記ダイヤモンド粒子の平均粒径dが1
μm≦d≦60μmであり、またその体積分率Vfが2
5%≦Vf≦60%である、請求項1または2記載の高
熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材。 - 【請求項4】 AlおよびAl合金の一方よりなるマト
リックスと、そのマトリックスに分散するダイヤモンド
粒子とより構成された高熱伝導性ダイヤモンド複合Al
合金部材を製造するに当り、Al粉末およびAl合金粉
末の一方と、体積分率Vfが25%≦Vf≦60%であ
るダイヤモンド粉末とよりなる素材に、加工温度Tが5
73K≦T≦823Kの条件で塑性加工を施すことを特
徴とする、高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34231495A JPH09184036A (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | 高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34231495A JPH09184036A (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | 高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09184036A true JPH09184036A (ja) | 1997-07-15 |
Family
ID=18352772
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34231495A Pending JPH09184036A (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | 高熱伝導性ダイヤモンド複合Al合金部材およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09184036A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6031285A (en) * | 1997-08-19 | 2000-02-29 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Heat sink for semiconductors and manufacturing process thereof |
KR101237578B1 (ko) * | 2003-10-02 | 2013-02-26 | 머티리얼즈 앤드 일렉트로케미칼 리써치 코포레이션 | 열전도율이 높은 금속기질 복합체 |
RU2631996C2 (ru) * | 2015-12-01 | 2017-09-29 | Федеральное государственное автономное образовательное учреждение высшего образования "Национальный исследовательский Томский государственный университет" (НИ ТГУ) | Способ получения дисперсно-упрочненного нанокомпозитного материала на основе алюминия |
-
1995
- 1995-12-28 JP JP34231495A patent/JPH09184036A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6031285A (en) * | 1997-08-19 | 2000-02-29 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Heat sink for semiconductors and manufacturing process thereof |
KR101237578B1 (ko) * | 2003-10-02 | 2013-02-26 | 머티리얼즈 앤드 일렉트로케미칼 리써치 코포레이션 | 열전도율이 높은 금속기질 복합체 |
US8673453B2 (en) | 2003-10-02 | 2014-03-18 | Nano Materials International Corporation | High thermal conductivity metal matrix composites |
RU2631996C2 (ru) * | 2015-12-01 | 2017-09-29 | Федеральное государственное автономное образовательное учреждение высшего образования "Национальный исследовательский Томский государственный университет" (НИ ТГУ) | Способ получения дисперсно-упрочненного нанокомпозитного материала на основе алюминия |
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