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JPH09164A - 加水分解蛋白質の製造方法 - Google Patents

加水分解蛋白質の製造方法

Info

Publication number
JPH09164A
JPH09164A JP15631795A JP15631795A JPH09164A JP H09164 A JPH09164 A JP H09164A JP 15631795 A JP15631795 A JP 15631795A JP 15631795 A JP15631795 A JP 15631795A JP H09164 A JPH09164 A JP H09164A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
enzyme
solution
derived
prolidase
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15631795A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Fujii
幹夫 藤井
Yoshiko Nagaoka
由子 長岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP15631795A priority Critical patent/JPH09164A/ja
Publication of JPH09164A publication Critical patent/JPH09164A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蛋白質を酵素により高度に加水分解する方法
を開発する。 【構成】 蛋白質をアスペルギルス オリゼに由来し、
少なくとも5種のプロテアーゼおよびペプチダーゼを含
有する酵素製剤で消化後、単一微生物由来のプロリルエ
ンドペプチダーゼ、プロリダーゼおよびプロリナーゼを
含む酵素製剤で消化することを特徴とする加水分解蛋白
質の製造方法。 【効果】 従来、3工程以上の酵素反応を必要とした蛋
白質の高度加水分解が、本発明により2工程の酵素反応
で実施できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加水分解蛋白質の製造
方法に関する。加水分解蛋白質は調味料、食品の品質改
良剤等に幅広く利用されている。
【0002】
【従来の技術】蛋白質の加水分解は通常塩酸を添加して
高温、高圧処理する事により行われている。しかしなが
らこれらの食品を取り扱う業界では、消費者の天然物嗜
好の拡大に伴い、化学薬品である塩酸を使用しない方法
が望まれるようになりつつある。塩酸加水分解法に代わ
る方法として、蛋白質分解酵素を用いる加水分解方法が
考えられるが、酵素のコストが塩酸に比べて高価である
こと、また塩酸を用いて加水分解した場合と同程度に加
水分解率を高めることは困難であったことから実用化に
は困難を伴う場合が多かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、特定
の蛋白質分解酵素による加水分解工程を組み合わせるこ
とにより、蛋白質を高度に加水分解する方法を開発する
ことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】酵素による加水分解で蛋
白質の加水分解率が低い原因の1つとして、蛋白質中の
イミノ酸残基の存在があげられる。すなわち、環状α−
イミノ酸であるプロリンは他のアミノ酸とは異なる立体
構造をしており、蛋白質またはペプチド中のイミノ酸残
基のイミノ基やカルボキシル基が関与するペプチド結合
は通常の蛋白質分解酵素による加水分解を受けにくい。
蛋白質を通常の蛋白質分解酵素で加水分解すると、プロ
リン残基の部分がジペプチドまたはトリペプチドの状態
にまで加水分解された時点で反応が終了してしまうこと
になる。
【0005】プロリン残基を含むペプチドを加水分解す
る酵素としては、オリゴペプチド中に存在するプロリン
残基のC−末端側のペプチド結合を切断するプロリルエ
ンドペプチダーゼや、Pro−Xの構造を有するジペプ
チドを加水分解するプロリナーゼ、X−Proの構造を
有するジペプチドを加水分解するプロリダーゼ等が知ら
れている。本発明者らは通常の蛋白質分解酵素による加
水分解工程と、単一微生物由来のプロリルエンドペプチ
ダーゼ、プロリダーゼおよびプロリナーゼを含有する酵
素剤を用いた加水分解工程を組み合わせることにより蛋
白質を高度に加水分解できること見出し、平成5年日本
国特許出願第266467号にその内容を開示した。し
かしながらこの方法では、エンド型酵素による加水分解
工程、プロリルエンドペプチダーゼ、プロリダーゼ、お
よびプロリナーゼによる加水分解工程およびエキソ型酵
素による加水分解工程と3段階の工程が必要である。
【0006】実用上、操作をさらに簡便にするため、本
発明者らは鋭意検討を行った。その結果、アスペルギル
ス・オリゼに由来し、かつ分子量がそれぞれ約23k
D、約27kD、約31kD、約32kD、約35k
D、約38kD、約42kD、約47kD、約53k
D、および約100kDの中から選ばれる少なくとも5
種のプロテアーゼおよびペプチダーゼを含む酵素製剤に
よる加水分解工程を実施した後、単一の微生物に由来す
るプロリルエンドペプチダーゼ、プロリダーゼおよびプ
ロリナーゼを含有する酵素剤を用いた加水分解工程を実
施するという2段階の反応により、容易に蛋白質を高度
に加水分解できることを見出し、本発明を完成させるに
到った。
【0007】本発明の方法の最初の工程には、アスペル
ギルス・オリゼ(Aspergillus oryza
e)由来で、分子量がそれぞれ約23kD、約27k
D、約31kD、約32kD、約35kD、約38k
D、約42kD、約47kD、約53kD、および約1
00kDの中から選ばれる少なくとも5種のプロテアー
ゼおよびペプチダーゼを含む酵素製剤を用いる。詳細に
は、上記の5種のプロテアーゼおよびペプチダーゼの分
子量はそれぞれ約23kD、約31kD、約35kD、
約38kD、約53kDである。この様な多数のプロテ
アーゼおよびペプチダーゼを同時に含む酵素製剤で蛋白
質を加水分解することにより、プロリン等の環状イミノ
酸を多く含む蛋白質が、後段の工程であるプロリルエン
ドペプチダーゼ、プロリダーゼおよびプロリナーゼを含
有する酵素製剤を用いた加水分解工程において、これら
3種の酵素が充分に作用できる程度に低分子化される。
このような低分子化は、原料蛋白質を特異性の異なる複
数のプロテアーゼおよびペプチダーゼで処理することに
よっても達成できるが、異なる複数のプロテアーゼ製剤
を同時にまたは連続して使用するよりも、複数のプロテ
アーゼおよびペプチダーゼを同時に含む単一のプロテア
ーゼ製剤を用いる方が有利である。
【0008】本発明の最初の工程に用いることのできる
アスペルギルス・オリゼ由来の酵素製剤として、分子量
がそれぞれ約23kD、約27kD、約31kD、約3
2kD、約35kD、約38kD、約42kD、約47
kD、約53kD、および約100kDの中から選ばれ
る少なくとも5種のプロテアーゼおよびペプチダーゼを
含むノボ・ノルディスク社(NOVO NORDISK
A/S、デンマーク)のフレ−バ−ザイム(Flav
ourzyme)があげられる。このような酵素製剤に
より環状イミノ酸を多く含む蛋白質の前処理を行った場
合には、単にこの工程での加水分解率が高いのみなら
ず、プロリルエンドペプチダーゼ、プロリダーゼおよび
プロリナーゼによる加水分解工程において分解率の増加
分がより高くなることが見出される。
【0009】本発明の後段の工程には、単一微生物由来
のプロリルエンドペプチダーゼ、プロリダーゼおよびプ
ロリナーゼを含有する酵素製剤が用いられる。プロリル
エンドペプチダーゼ(別名ポストプロリンクリービング
酵素またはプロリン特異的エンドペプチダーゼ、EC
3.4.21.26)は、オリゴペプチド中に存在する
プロリン残基のC−末端側のペプチド結合を加水分解す
る酵素である。プロリルエンドペプチダーゼを生産する
微生物としては、フラボバクテリウム(Flavoba
cterium)属細菌、キサントモナス(Xanth
omonas)属細菌、アルカリゲネス(Alcali
genes)属細菌、ストレプトマイセス(Strep
tomyces)属の放線菌が報告されている。これら
微生物以外にもプロリルエンドペプチダーゼを生産する
微生物を新たにスクリーニングすることにより新規プロ
リルエンドペプチダーゼを取得することも可能である。
プロリルエンドペプチダーゼを生産する微生物は、その
培養液をカルボベンゾキシ−アラニル−アラニル−プロ
リル−パラニトロアニリド(以下Z−Ala−Ala−
Pro−pNAと略す)等に作用させ、黄色のパラニト
ロアニリンを遊離させること等を指標に土壌等より分離
することができる。
【0010】プロリダーゼ(別名プロリンジペプチダー
ゼ、EC 3.4.13.9)はX−Proの構造のジ
ペプチドを加水分解するが、X−Pro−Yの構造のト
リペプチドのX−Pro結合を加水分解する場合もあ
る。プロリダーゼを生産する微生物としては、エシェリ
シア・コリ(Escherichia coli)、ラ
クトバチルス・ラクチス(Lactococcus l
actis)、ストレプトコッカス・クレモリス(St
reptococcus cremoris)、ノイロ
スポラ(Neurospora)属糸状菌、サーマス・
アクアティカス(Thermus aquaticu
s)、シュードモナス(Pseudomonus)属細
菌等が報告されている。これら微生物以外にもプロリダ
ーゼを生産する微生物を新たにスクリーニングすること
により新規プロリダーゼを取得することも可能である。
プロリダーゼを生産する微生物は、その培養液をグリシ
ル−プロリン(以下Gly−Proと略す)等に作用さ
せた後に生じる遊離プロリンを指標に土壌等より分離す
ることができる。
【0011】プロリナーゼ(別名プロリルジペプチダー
ゼ、EC 3.4.13.8)はPro−Xの構造のジ
ペプチドを加水分解する酵素である。プロリナーゼを生
産する微生物としては、ストレプトコッカス・クレモリ
ス(Streptococcus cremori
s)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Stre
ptococcus thermophilus)等が
報告されている。これら微生物以外にもプロリナーゼを
生産する微生物を新たにスクリーニングすることにより
新規プロリナーゼを取得することも可能である。プロリ
ナーゼを生産する微生物は、その培養液をプロリル−グ
リシン(以下Pro−Glyと略す)等に作用させた後
に生じる遊離プロリンを指標に土壌等より分離すること
ができる。
【0012】プロリルエンドペプチダーゼ、プロリダー
ゼおよびプロリナーゼを同時に生産する微生物として、
シュードモナス・エスピー(Pseudomonas
sp.)KU−22株およびストレプトマイセス・キサ
ントファエウス(Streptomyces xant
hophaeus) HA−36株があげられる。シュ
ードモナス・エスピー KU−22株は好気性の桿菌で
あり、YM培地(ポリペプトン0.5%、酵母エキス
0.3%、マルトエキス0.3%、グルコース1.0
%、寒天1.0%、pH7.2)上30℃で培養した場
合に淡黄土色、湿潤で光沢のあるコロニーを形成する。
細胞のサイズは0.4μm×1.6μmの直桿菌であ
り、グラム染色陰性、運動性あり、極性鞭毛、ウレアー
ゼテスト陽性、カタラーゼテスト陽性、オキシダーゼテ
スト陽性、クエン酸利用テスト陽性、澱粉加水分解テス
ト陰性、グルコース酸化能(OF−テスト)陽性、キノ
ン系はQ−9、黄色色素産生なし、水溶性色素産生な
し、蛍光色素産生なし、アルギニン加水分解酵素テスト
陰性、フォーゲス−プロスカウエルテスト(VPテス
ト)陰性、硝酸還元テスト陰性、メチルレッドテスト陰
性、D−グルコース、D−マニトール、D−マンノー
ス、エタノール、スクロースより好気条件下に酸を生成
しない、37℃、40℃、42℃で生育し、45℃で生
育しない、5%食塩存在下に生育し、10%食塩存在下
に生育しない、好気条件下にD−グルコース、D−マニ
トール、D−マンノース、酢酸を資化し、スクロースを
資化しない。尚、本菌株は工業技術院生命工学工業技術
研究所にFERM P−13788として寄託されてい
る。
【0013】シュードモナス・エスピー KU−22の
培養液より酵素剤を得る方法は公知の方法をそのまま、
または一部修正して用いることができる。これらペプチ
ダーゼの生産に適する培地としては、グルコース、酵母
エキス、ポリペプトン、CSL、食塩等を含有する培地
が有効である。培養温度30℃で2日間程度の培養によ
り著量のプロリルエンドペプチダーゼ、プロリダーゼお
よびプロリナーゼが培地中に生産される。酵素の収量を
増大させるために、超音波による菌体破砕または浸透圧
ショック等を行うことも有効である。菌体または菌体残
渣を除去した後、たとえば硫安分画、イオン交換クロマ
トグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲル濾過クロ
マトグラフィー等を行うことによりそれぞれの酵素が精
製できるが、加水分解反応もしくは加水分解物に悪影響
を与える因子が混在せず、かつ食品衛生上の問題が無け
れば、該酵素の粗精製品または培養液からの抽出物をそ
のまま反応に利用することも可能である。
【0014】ストレプトマイセス・キサントファエウス
HA−36株はスターチ・無機塩寒天培地で30℃で
培養することにより、よく分岐した基菌糸からstra
ight〜flexurusの気菌糸を伸長し、成熟し
た気菌糸の先に10〜50個の楕円〜円筒形の胞子から
なる胞子鎖を形成する。胞子嚢は無く、胞子の大きさは
0.7〜1.0×1.0〜1.5μmで、胞子表面はs
moothであり、鞭毛は認められない。本菌株の細胞
壁の糖成分には特に特徴は認められず、細胞壁成分のジ
アミノピメリン酸はLL型である。尚、本菌株は工業技
術院生命工学工業技術研究所にFERM P−1382
7として寄託されている。
【0015】ストレプトマイセス・キサントファエウス
HA−36株の培養液より酵素剤を得る方法は、公知
の方法をそのまま、または一部修正して用いることがで
きる。ペプチダーゼの生産に適する培地としては、グル
コース、澱粉、乾燥酵母、食塩を含有する培地が有効で
ある。培養温度30℃で4日間程度培養することにより
著量のプロリルエンドペプチダーセ、プロリダーゼおよ
びプロリナーゼが培地中に生産される。菌体および不溶
性成分を除去した後、たとえば硫安分画、イオン交換ク
ロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲル濾過
クロマトグラフィー等を行うことによりそれぞれの酵素
が精製できるが、加水分解反応もしくは加水分解物に悪
影響を与える因子が混在せず、かつ食品衛生上の問題が
無ければ該酵素の粗精製品または培養液からの抽出物を
そのまま反応に利用することも可能である。尚、既知の
プロリルエンドペプチダーゼは通常高分子の基質に対し
ては全く作用しないが、本微生物が生産するプロリルエ
ンドペプチダーゼは高分子基質であるカゼインに対して
も加水分解活性を示すことが特徴である。
【0016】本発明に用いられる上述の酵素製剤はいず
れも、これら酵素を同時に生産する微生物の培養物や細
胞破砕液をそのまま使用するか、またはこれらより酵素
を粗精製したものを用いることができる。反応は通常の
酵素反応と同じく酵素が失活しない程度の一定の温度で
撹拌条件で行うことが望ましい。シュードモナス・エス
ピー KU−22株およびストレプトマイセス・キサン
トファエウス HA−36株の生産するプロリルエンド
ペプチダーゼおよびプロリダーゼは、ヒドロキシプロリ
ンを含むペプチドには作用しにくいことから、コラーゲ
ンやゼラチン等ヒドロキシプロリンを多量に含む蛋白質
を加水分解する場合には、Pro−Hypに対する特異
性が高いプロリダーゼを用いた加水分解工程を行うこと
が好ましい。このプロリダーゼによる反応は、プロリル
エンドペプチダーゼ、プロリダーゼおよびプロリナーゼ
を含む酵素剤による反応と同時に実施しても、別々に実
施してもよい。尚、Pro−Hypに対する特異性が高
いプロリダーゼは、オーレオバクテリウム・エステラロ
マティカム(Aureobacterium este
raromaticum) IFO3752の培養液よ
り生産される。この微生物は財団法人発酵研究所が保存
する微生物であり、同所に依頼することにより誰でもこ
れら菌株の分譲を受けることができる。
【0017】Pro−Hypに対する特異性が高いプロ
リダーゼは、オーレオバクテリウム・エステラロマティ
カム IFO 3752をグルコース、ペプトン、酵母
エキス、コーンスティープリカー(CSL)等を含む培
地に接種し、28〜30℃で1〜3日好気培養すること
により生産される。該ペプチダーゼは培養上清中にも多
少蓄積するため、これを濃縮してもよいが、多量の酵素
を取得する場合には菌体を遠心分離等により集め、超音
波処理、浸透圧ショック処理、リゾチーム処理や界面活
性剤処理を行い、菌体内に存在する該ペプチダーゼを抽
出することが望ましい。菌体の抽出液より公知の常法、
例えば硫安またはアセトンによる分画、疎水クロマトグ
ラフ、イオン交換クロマトグラフ、ゲル濾過クロマトグ
ラフ等を用いることにより、Pro−Hypのジペプチ
ドを加水分解する酵素を精製することができる。この酵
素を加水分解反応に用いる場合には必ずしも酵素を精製
することは必要ではなく、加水分解反応もしくは加水分
解物に悪影響を与える因子が混在せず、かつ食品衛生上
の問題が無ければ該酵素の粗精製品または培養液からの
抽出物をそのまま反応に利用することも可能である。酵
素反応が終了した後、脱色、濃縮、殺菌等の処理を行
い、目的の加水分解蛋白質が調製される。以下実施例に
より本発明をさらに詳細に記述するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
【0018】
【実施例】
【0019】
【実施例1】 1)KU−22粗酵素液の調製 シュードモナス・エスピー(Pseudomonas
sp.) KU−22株をグルコース0.5%、ポリペ
プトン1%、酵母エキス0.5%、CSL2%、塩化ナ
トリウム0.3%、リン酸水素二カリウム0.2%、硫
酸マグネシウム・7水和物0.1%よりなる培地100
ml(pH7.2)を含む500ml容坂口フラスコ6
本に移植し、30℃で48時間振盪培養を行った。培養
液より遠心分離により(8、000×g、20分)菌体
を集め、10mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
(以下緩衝液Aと称する)で2回洗浄後、菌体を超音波
処理することにより粉砕した。その後遠心分離(8、0
00×g、20分)により細胞残渣を除去することによ
り無細胞抽出液55mlを得た。この無細胞抽出液を氷
中で冷却撹拌しながら90%飽和となるように硫酸アン
モニウムを加え、30分間氷中で撹拌させた後4℃で一
夜放置した。沈澱物を遠心分離(8、000×g、20
分)により回収し、氷冷した10mlの緩衝液Aに溶解
した。続いて緩衝液Aに対して透析を行い、粗酵素液を
得た(以下KU−22粗酵素液と称する)。
【0020】プロリルエンドペプチダーゼ活性の測定は
以下の条件にて行った。即ち、1mM Z−Ala−A
la−Pro−pNA(40%メタノールに溶解)20
0μlに50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
800μlを加え、37℃で5分間予備保温した後、酵
素サンプル(緩衝液Aで適宜希釈したもの)200μl
を添加して30分間反応させた。1Mの酢酸ナトリウム
緩衝液(pH3.5)を400μl加えて反応を停止さ
せた。基質に1M酢酸緩衝液(pH3.5)をあらかじ
め加えた後で酵素サンプルを添加したものをブランクと
して410nmの吸光を測定し、反応により遊離したパ
ラニトリアニリンの量を求めた。尚、プロリルエンドペ
プチダーゼ1単位は37℃の反応で1分間に1μmol
のパラニトリアニリン相当量を遊離させるのに必要な酵
素量と定義した。KU−22粗酵素液のプロリルエンド
ペプチダーゼの活性は1.1単位/mlであった。
【0021】プロリダーゼ活性の測定は以下の条件で行
った。即ち、5mM Gly−Proを含む緩衝液A2
00μlに酵素サンプル(緩衝液Aで適宜希釈したも
の)100μlを加え、37℃で30分間反応させた。
1Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を700μ
l添加して反応を停止させた後、10%のニンヒドリン
を含む95%エタノール溶液100μlを加えて、70
℃、10分間加熱・冷却し、440nmの吸光度を測定
した。一方、酵素サンプル添加前に酢酸緩衝液を添加し
たものを同様にニンヒドリン反応させたものにつき44
0nmの吸光度を測定し、これをブランクとした。ま
た、5mMのGly−Pro溶液と、5mMグリシンお
よび5mMプロリンを含む溶液を適宜混合し、この混合
液200μlに蒸留水100μlを加え、上記と同様に
ニンヒドリン反応を行ったものを各種準備し、これらの
440nmの吸光度を測定して標準曲線を作成した。標
準曲線より遊離プロリンの濃度を求め、プロリダーゼに
より生じたプロリン量を算出した。尚、プロリダーゼ1
単位は37℃の反応で1分間に1μmolのプロリンを
遊離させるのに必要な酵素量と定義した。KU−22粗
酵素液のプロリダーゼ活性は5.7単位/mlであっ
た。
【0022】プロリナーゼ活性の測定は以下の条件で行
った。即ち、5mM Pro−Glyを含む緩衝液A2
00μlに酵素サンプル(緩衝液Aで適宜希釈したも
の)100μlを加え、1Mの酢酸ナトリウム緩衝液
(pH8.0)を700μl添加して反応を停止させた
後、10%のニンヒドリンを含む95%エタノール溶液
100μlを加えて、70℃、10分間加熱・冷却し、
440nmの吸光度を測定した。一方、酵素サンプル添
加前に酢酸緩衝液を添加したものを同様にニンヒドリン
反応させたものにつき440nmの吸光度を測定し、こ
れをブランクとした。また、5mMのPro−Gly溶
液と、5mMグリシンおよび5mMプロリンを含む溶液
を適宜混合し、この混合液200μlに蒸留水100μ
lを加え、上記と同様にニンヒドリン反応を行ったもの
を各種準備し、これらの440nmの吸光度を測定して
標準曲線を作成した。標準曲線より遊離プロリンの濃度
を求め、プロリナーゼにより生じたプロリン量を算出し
た。尚、プロリナーゼ1単位は37℃の反応で1分間に
1μmolのプロリンを遊離させるのに必要な酵素量と
定義した。KU−22粗酵素液のプロリナーゼ活性は
4.9単位/mlであった。
【0023】2)HA−36粗酵素液の調製 ストレプトマイセス・キサントファエウス(Strep
tomyces xanthophaeus) HA−
36株を1%グルコース、1%可溶性澱粉、2%乾燥酵
母、0.3%食塩よりなる培地100ml(pH7.
2)を含む500ml容坂口フラスコ20本に移植し、
30℃で4日間振盪培養を行った。培養液を遠心分離
(8、000×g、20分)することにより菌体を除
き、この液を氷中で冷却撹拌しながら80%飽和となる
ように硫酸アンモニウムを加え、30分間氷中で撹拌さ
せた後4℃で一夜放置した。沈澱物を遠心分離(8、0
00×g、20分)により回収し、氷冷した緩衝液A5
0mlに溶解させた。続いて緩衝液Aに対して透析を行
い、粗酵素液を得た(以下HA−36粗酵素液と称す
る)。プロリルエンドペプチダーゼ活性は0.73単位
/ml、プロリダーゼ活性は0.45単位/ml、プロ
リナーゼ活性は1.1単位/mlであった。
【0024】3)蛋白質の調製と前段処理 5リットル容高圧オートクレーブに牛骨3600gと水
720gを仕込み、密封後に昇温を開始した。オートク
レーブの内圧が0.5kg/cm2 に達したらオートク
レーブ内のエア抜きを実施し、再度密封してオートクレ
ーブの内圧が3kg/cm2 になるまで加熱し、1時間
煮出しを行った。冷却後、オートクレーブ内の液を5リ
ットル容分液ロートに移し、上層の油を除いて下層の牛
骨抽出液2400gを回収し、これをエバポレーターで
濃縮してT−N7.7%、F−N0.39%の濃縮液4
50gを得た。本濃縮液210gに水を320gを加え
て希釈後、16%水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを
7.0に調製した。この溶液にノボ・ノルディスク社製
フレーバーザイムを7.3g添加し、50℃で48時間
反応させた。反応終了液を85℃で30分加熱すること
により酵素を失活させた。本フレーバーザイム処理液は
T−N=2.95%、F−N=1.24%であり、加水
分解率は42.0%と算出された。
【0025】4)粗酵素液による加水分解 上記3)で得られたフレーバーザイム処理液のpHを
8.0に調整した後、これを3本の試験管A、B、Cに
それぞれ15mlずつ分注した。試験管Aには蒸留水
1.5mlを、試験管Bには上記1)で得られたKU−
22粗酵素液1.5mlを、試験管Cには上記2)で得
られたHA−36粗酵素液1.5mlを添加して37℃
で24時間反応させた。反応終了液のケルダール窒素
(T−N)およびホルモール窒素(F−N)の分析を行
った結果(表1)、サンプルBおよびCの加水分解率
は、サンプルAの加水分解率に比べて高くなっており、
サンプルBではサンプルAに比べて約15%も高い値を
示した。
【0026】
【表1】
【0027】
【比較例1】上記実施例1の3)で得られた牛骨抽出濃
縮液210gに水を320gを加えて希釈後、16%水
酸化ナトリウム溶液を加えてpHを7.0に調製した。
この溶液に天野製薬社社製プロテアーゼMを7.3g添
加し、50℃で48時間反応させた。反応終了液を85
℃で30分加熱することにより酵素を失活させた。本プ
ロテアーゼM処理液はT−N=2.96%、F−N=
0.67%であり、加水分解率は22.6%と算出され
た。このプロテアーゼM処理液のpHを8.0に調整し
た後、これを3本の試験管D、E、Fにそれぞれ15m
lずつ分注した。試験管Dには蒸留水1.5mlを、試
験管Eには実施例1の1)で得られたKU−22粗酵素
液1.5mlを、試験管Fには実施例1の2)で得られ
たHA−36粗酵素液1.5mlを添加して37℃で2
4時間反応させた。反応終了液のケルダール窒素(T−
N)およびホルモール窒素(F−N)の分析を行った結
果(表1)、サンプルEおよびFではコントロールであ
るサンプルDに比べて加水分解率は高くなっていたもの
の、その増加率は5〜10%程度であった。
【0028】
【実施例2】オーレオバクテリウム・エステラロマティ
カム(Aureobacterium esterar
omaticum) IFO 3752を、グルコース
0.5%、ポリペプトン2%、酵母エキス0.5%、C
SL2%、塩化ナトリウム0.3%、リン酸水素二カリ
ウム0.2%、硫酸マグネシウム・7水和物0.1%よ
りなる培地1リットルに接種し、28℃で3日間振盪培
養した。培養液より集菌し、緩衝液Aで2回洗浄後、1
0mMのEDTAを含む同緩衝液200mlに懸濁させ
た。これにリゾチームを終濃度0.5mg/mlとなる
ように添加し、37℃で1時間保温した。これを超音波
処理し、15、000gで10分間遠心分離して上清1
50mlを回収し、粗酵素抽出液とした。酵素活性の測
定は以下のように行った。5mMのPro−Hypを含
む200μlの緩衝液Aに酵素液(緩衝液Aで適宜希釈
したもの)を100μl添加し、37℃で30分間反応
させた。反応液に1Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH
2.8)700μlを添加して反応を停止させ、10%
ニンヒドリンを含む95%エタノール溶液100μlを
加えて70℃で10分間ニンヒドリン反応を行い、プロ
リンおよびヒドロキシプロリンに由来する440nmの
吸光度を測定した。標準液として、基質ペプチドとその
想定加水分解物(Pro−Hyp、プロリンおよびヒド
ロキシプロリン)とを適宜混合したものにつき同様のニ
ンヒドリン反応を行って標準曲線を作成し、これをもと
にプロリン、ヒドロキシプロリンの遊離量を求めた。
尚、酵素1単位は37℃、1分間の反応で1μmolの
Pro−Hypを加水分解する酵素量と定義した。本粗
酵素液の活性は2.5単位/mlであった。
【0029】実施例1で得られたフレーバーザイム反応
液のpHを実施例1と同様に8.0に調整し、その15
mlに上記の粗酵素抽出液1.5mlと実施例1で得ら
れたKU−22粗酵素液1.5mlとを添加して50℃
で48時間加水分解させた(反応液G)。反応液Gにつ
きケルダール法による全窒素(T−N)の分析とホルモ
ール滴定法によるホルモール窒素(F−N)の分析を行
い、両者の比より加水分解率を計算した。その結果、反
応液Dは約65%もの加水分解率を示し、後段処理にお
ける増分加水分解率は23%であった(表1)。
【0030】
【発明の効果】蛋白質の加水分解を複数のプロテアーゼ
およびペプチダーゼを同時に含む特定の酵素製剤と、プ
ロリルエンドペプチダーゼ、プロリダーゼおよびプロリ
ナーゼを含む酵素製剤による処理とを組み合わせること
により高い加水分解率が得られることから、食品、特に
調味料用途の蛋白質の加水分解に効果的に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/06 C12R 1:38) (C12P 21/06 C12R 1:465)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食用蛋白質、食品蛋白質の部分消化物、
    および食品蛋白質由来のペプチドをアスペルギルス・オ
    リゼに由来し、かつ分子量がそれぞれ約23kD、約2
    7kD、約31kD、約32kD、約35kD、約38
    kD、約42kD、約47kD、約53kD、および約
    100kDの中から選ばれる少なくとも5種のプロテア
    ーゼおよびペプチダーゼを含む酵素製剤で消化し、その
    後単一微生物由来のプロリルエンドペプチダーゼ、プロ
    リダーゼおよびプロリナーゼを含有する酵素製剤で消化
    することを特徴とする加水分解蛋白質の製造方法。
  2. 【請求項2】 5種のプロテアーゼおよびペプチダーゼ
    の分子量が約23kD、約31kD、約35kD、約3
    8kD、約53kDである請求項1に記載の加水分解蛋
    白質の製造方法。
  3. 【請求項3】 単一微生物がシュードモナス(Pseu
    domonas)属細菌由来である請求項1乃至2記載
    の加水分解蛋白質の製造方法。
  4. 【請求項4】 単一微生物がストレプトマイセス(St
    reptomyces)属由来である請求項1乃至2記
    載の加水分解蛋白質の製造方法。
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