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JPH09125223A - 生体接触用金属部材 - Google Patents

生体接触用金属部材

Info

Publication number
JPH09125223A
JPH09125223A JP7285338A JP28533895A JPH09125223A JP H09125223 A JPH09125223 A JP H09125223A JP 7285338 A JP7285338 A JP 7285338A JP 28533895 A JP28533895 A JP 28533895A JP H09125223 A JPH09125223 A JP H09125223A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
metal member
metal
contact
living body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7285338A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroo Fukuyo
碩夫 福与
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP7285338A priority Critical patent/JPH09125223A/ja
Priority to PCT/JP1996/003175 priority patent/WO1997016579A1/ja
Publication of JPH09125223A publication Critical patent/JPH09125223A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C5/00Alloys based on noble metals
    • C22C5/02Alloys based on gold
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/02Inorganic materials
    • A61L27/04Metals or alloys
    • A61L27/06Titanium or titanium alloys
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C8/00Solid state diffusion of only non-metal elements into metallic material surfaces; Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive gas, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
    • C23C8/06Solid state diffusion of only non-metal elements into metallic material surfaces; Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive gas, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using gases
    • C23C8/08Solid state diffusion of only non-metal elements into metallic material surfaces; Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive gas, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using gases only one element being applied
    • C23C8/10Oxidising
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F2310/00Prostheses classified in A61F2/28 or A61F2/30 - A61F2/44 being constructed from or coated with a particular material
    • A61F2310/00005The prosthesis being constructed from a particular material
    • A61F2310/00011Metals or alloys
    • A61F2310/00023Titanium or titanium-based alloys, e.g. Ti-Ni alloys

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  • Dental Prosthetics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 貴金属イオンの溶出が良好に阻止され得、以
てかかる貴金属による金属アレルギーの発生が効果的に
阻止され得ると共に、インプラント材として有利に適用
せしめられ得る生体接触用金属部材を提供する。 【解決手段】 主要成分として、貴金属が含まれ、且つ
該貴金属に対する合金成分として、Tiが含有せしめら
れて成る合金にて構成し、更にかかる合金を熱処理する
ことによって、該合金の表面にTiの酸化膜層を形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貴金属を主要成分
とした合金からなる生体接触用金属部材に係り、特に、
かかる金属部材の装着者における貴金属による金属アレ
ルギーの発生を効果的に阻止し得ると共に、成形加工性
と生体親和性とに優れた、とりわけインプラント材とし
て有利に適用することが出来る生体接触用金属部材に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、貴金属を主要成分とした合
金、例えば、Au−Ag−Cu合金、Au−Pd−Ag
合金等の金合金は、医療用や装飾用等の金属部材の材料
として、多用されてきている。例えば、それらの金合金
等が、それの有する優れた成形加工性や口腔内における
安定性等が着目されて、主に、インレー、冠、橋義歯
等、歯科治療に用いられる医療用金属部材を与える材料
として、また、金或いは金合金が、その優れた装飾性を
利用して、ピアス、指輪、ネックレス、ブレスレット、
時計バンド等の装飾用金属部材の製造材料として、それ
ぞれ広く用いられているのである。
【0003】ところで、近年では、そのような金や金合
金から成る医療用金属部材や装飾用金属部材等、生体に
取り付けられて、生体組織に接触せしめられる、所謂生
体接触用金属部材の装着者が、金属アレルギーを起こ
し、それによって、発疹、びらん、潰瘍等が、かかる装
着者の粘膜や皮膚に接触性炎症として生じるといった報
告が、頻繁に為されている。これは、かかる生体接触用
金属部材中の金がイオン化して、溶出することに原因が
あると、考えられている。
【0004】また、よく知られているように、そのよう
な生体接触用金属部材にあっては、金合金にて構成され
ることによって、成形加工性に優れているばかりでな
く、安定性にも優れている等、骨等の生体組織内に埋入
されて使用されるインプラント材として、好適な特性を
有するものの、実際には、全く適用されてはいないので
あり、これも、上述の如く、かかる金属部材において、
それに含まれる金がイオン化して溶出せしめられるとこ
ろに、大きな理由があるのである。
【0005】このように、従来の生体接触用金属部材に
あっては、それに含まれる金等の貴金属の有する特性が
活用されて、各種の用途に使用されているのではある
が、その反面、かかる貴金属が、生体内でイオン化して
溶出せしめられることから、その装着者において金属ア
レルギーが生ぜしめられ、また、インプラント材として
実用に供され得ないといった、大きな問題が内在してい
たのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここにおいて、本発明
は、上述の如き事情を背景にして為されたものであっ
て、その解決課題とするところは、金等の貴金属を主要
成分とした合金から成る医療用金属部材や装飾用金属部
材等を始めとする生体接触用金属部材において、それら
の金属部材中からの金イオン等の貴金属イオンの溶出が
良好に阻止され得るように為し、以てかかる金属部材の
装着者における金属アレルギーの発生を効果的に阻止さ
せ得ると共に、該金属部材をインプラント材として有利
に適用せしめ得る技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そして、本発明者らが、
上述の如き課題を解決するために、種々の検討を重ねた
結果、貴金属を主要成分とし、且つ該貴金属に対する合
金成分としてTiを含む合金を熱処理することよって、
かかる合金の表面に、Tiの酸化膜層が形成され、しか
も、そのようなTiの酸化膜層が、貴金属イオンの溶出
を有利に阻止せしめ得ることを、見い出したのである。
【0008】すなわち、本発明は、そのような知見に基
づいて完成されたものであって、その特徴とするところ
は、生体に取り付けられて、生体組織に接触せしめられ
る、貴金属を主要成分とした合金からなる生体接触用金
属部材において、該貴金属に対する合金成分としてTi
を含有すると共に、該部材の表面に、熱処理によってT
iの酸化膜層を形成せしめたことにある。
【0009】要するに、本発明に従う生体接触用金属部
材においては、その表面の全面が、金イオン等の貴金属
イオンの溶出を阻止せしめ得る特性を有するTiの酸化
膜層にて覆われて、構成されているのである。
【0010】それ故、かかる生体接触用金属部材にあっ
ては、該金属部材中の金等の貴金属がイオン化して溶出
することが有効に阻止され得、それによって、該金属部
材の装着者において金属アレルギーが生じるようなこと
が効果的に防止され得ると共に、貴金属を主要成分とし
た合金からなる金属部材では、従来、適用不可能とされ
ていたインプラント材として、極めて有利に適用され得
るのであり、しかも、かかるインプラント材に対して、
Tiの酸化膜層の有する、従来から知られた特性であ
る、骨等の生体組織に対する優れた適合性が有利に付与
せしめられ得るのである。
【0011】従って、本発明に従う生体接触用金属部材
を使用することによって、金等の貴金属による金属アレ
ルギーに起因して、装着者の粘膜や皮膚に接触性炎症等
が起こるようなことが効果的に防止され得るのであり、
また良好な成形加工性と、より優れた生体親和性と、更
には生体組織に対する優れた適合性とを有するインプラ
ント材が、極めて有利に実現され得るのである。
【0012】また、本発明にあっては、生体に取り付け
られて、生体組織に接触せしめられる、貴金属を主要成
分とした合金からなる医療用金属部材において、該貴金
属に対する合金成分としてTiを含有すると共に、該部
材の表面に、熱処理によってTiの酸化膜層を形成せし
めたことをも、その特徴とするものである。
【0013】そのような本発明に従う医療用金属部材に
あっても、Tiの酸化膜層が、表面に形成されているこ
とによって、該金属部材中の金等の貴金属がイオン化し
て溶出することが効果的に阻止され得、その結果とし
て、その装着者に金属アレルギーが生じるようなことが
効果的に防止され得るのであり、また、良好な成形加工
性とより優れた生体親和性、更には生体組織に対する優
れた適合性とを有するインプラント材として、極めて有
利に適用され得るのである。
【0014】なお、この本発明に係る医療用金属部材の
好ましい第一の態様によれば、前記医療用金属部材が、
生体用インプラント材として構成されるのであり、それ
によって、従来品よりも成形加工性や生体親和性に優
れ、しかも生体組織に対する適合性に優れた生体用イン
プラント材が、有利に実現され得るのでる。
【0015】さらに、本発明に係る医療用金属部材の望
ましい第二の態様によれば、前記生体用インプラント材
が、歯科用骨内インプラントとして構成されるのであ
り、それによって、成形加工性や生体親和性に優れるば
かりでなく、歯槽骨に対する適合性にも優れた歯科用骨
内インプラントが有利に実現され得、以て該インプラン
トに対して取り付けられる義歯等が、口腔内において、
より安定的に固定され得るのである。
【0016】そしてまた、本発明にあっては、生体に取
り付けられて、生体組織に接触せしめられる、貴金属を
主要成分とした合金からなる装飾用金属部材において、
該貴金属に対する合金成分としてTiを含有すると共
に、該部材の表面に、熱処理によってTiの酸化膜層を
形成せしめたことをも、その特徴とするものである。
【0017】このような本発明に従う装飾用金属部材に
あっては、Tiの酸化膜層が、表面に形成されているこ
とによって、該金属部材中の金等の貴金属がイオン化し
て溶出することが効果的に阻止され得るのであり、以て
該貴金属による金属アレルギーが装着者に生じて、該装
着者の粘膜や皮膚に接触性炎症等が起こるようなことが
極めて有効に防止され得るのである。
【0018】なお、かかる本発明に従う装飾用金属部材
の望ましい第一の態様によれば、前記装飾用金属部材
が、ピアス、指輪、ネックレス、ブレスレット、時計バ
ンドのうちの何れかにて構成されることとなるのであ
り、それによって、それらの装飾品を身に付けることに
よって、金属アレルギーが生ぜしめられるようなこと
が、効果的に皆無ならしめられ得るのである。
【0019】また、本発明に従う生体接触用、医療用、
並びに装飾用の各金属部材の有利な態様によれば、それ
らの金属部材を与える合金が、Au−Ti合金、Au−
Ag−Cu−Ti合金、またはAu−Pd−Ag−Ti
合金にて構成されるのであり、それによって、生体接触
用、医療用、並びに装飾用の各金属部材が、それらの合
金にて構成される従来の金属部材、例えば、装飾品や歯
科治療等に多用される金属部材等に対して、有利に適用
され得て、そのような金属部材において、上述の如き優
れた特徴が極めて効果的に発揮され得るのである。
【0020】さらに、本発明に従う生体接触用金属部材
の好ましい態様の一つによれば、前記Tiが、10重量
%を越えない割合において含有せしめられることとなる
のであり、それによって、該生体接触用金属部材の主要
成分たる貴金属の有する物性を損なうことなく、該貴金
属とTiとが良好に且つ確実に合金化され得、以て医療
用金属部材や装飾用金属部材等として、極めて有利に使
用され得ることとなるのである。
【0021】
【発明の実施の形態】ところで、本発明に従う生体接触
用金属部材にあっては、前述の如く、主要成分として、
貴金属が、また該貴金属に対する合金成分として、Ti
が、それぞれ含有せしめられて成るものであるが、その
ような貴金属の種類は、特に限定されるものではなく、
例えば、Au、Ag、Pd、Pt等、医療用や装飾用等
の金属部材中に通常含まれるものの中から、1種類が単
独で、若しくは2種類以上のものが組み合わされて、用
いられることとなる。なお、貴金属の好適なものとして
は、Auが用いられる。
【0022】また、かかる生体接触用金属部材において
は、それら貴金属やTiの他、医療用や装飾用等の金属
部材中に一般に含まれる合金成分、例えばCuやその他
の微量成分等が含有せしめられていても、何等差支えな
い。
【0023】要するに、本発明に従う生体接触用金属部
材を与える合金は、貴金属とTiとが含有せしめられて
成るものであれば、その組成が、特に限定されるもので
はなく、例えば、Au−Ti系合金を始め、Au−Ag
−Cu−Ti、Au−Pd−Ag−Ti、Au−Pt−
Ag−Cu−Ti、Au−Pd−Ag−Cu−Ti、A
u−Pt−Pd−Ag−Cu−Ti等の各種の合金組成
が、採用され得るのである。
【0024】さらに、そのような各合金成分の組成割合
も、何等限定されるものではなく、一般的な組成割合
が、適宜に採用され得るのであるが、特に、Tiは、何
れの合金組成においても、10重量%越えない範囲にお
いて含有せしめられていることが、好ましい。けだし、
Tiが10重量%を越えて含有せしめられる場合、主要
成分たる貴金属に対して、Tiが過剰に含有せしめられ
ることとなり、それによって、貴金属とTiとの合金化
が困難となるばかりでなく、合金中における多量のTi
の存在によって、貴金属の物性が損なわれることとなる
からである。なお、その意味において、Tiの含有割合
は、有利には5重量%以下とされていることが望まし
く、特に望ましくは、2重量%以下である。このよう
に、Tiの含有割合が2重量%以下とされている場合に
は、生体接触用金属部材の表面の色が、効果的に貴金属
の色に保たれ得て、かかる金属部材が、装飾用として、
より有効に利用され得ることとなる。
【0025】そして、本発明に従う生体接触用金属部材
にあっては、該金属部材の表面に、適当な熱処理によっ
て、Tiの酸化膜層が形成されて、構成されているので
あるが、そのようなTiの酸化膜層を形成するための熱
処理方法も、特に限定されるものではない。つまり、か
かる金属部材に対して熱処理を行う際には、一般的な加
熱処理装置が用いられ得るものであり、また、その加熱
処理温度が、各合金成分の溶解点(溶融点)等を考慮し
て適宜に決定され、更に、決定された加熱処理温度等に
応じて、適当な加熱処理時間が決定されるのである。な
お、比較的高い温度で、短時間に加熱処理される場合に
は、得られる金属部材の表面の色が、貴金属の色に有利
に保たれ得ることとなる。
【0026】また、かかる熱処理によって、生体接触用
金属部材の表面に形成されるTiの酸化膜層の膜厚も、
何等限定されるものではないものの、一般には、10μ
m程度とされる。
【0027】ところで、このようにして形成されたTi
の酸化膜層は、前述の如く、貴金属イオンの溶出を阻止
せしめ得るといった、他の金属の酸化膜には見られない
特徴を有しているのであり、それによって、そのような
Tiの酸化膜層が表面に形成されて成る生体接触用金属
部材において、該金属部材中の貴金属がイオン化して溶
出することが有効に阻止され得るのである。そして、そ
の結果として、かかる生体接触用金属部材にあっては、
該金属部材の装着者において金属アレルギーが生じるよ
うなことが効果的に防止され得ると共に、貴金属固有の
特性たる優れた成形加工性と生体親和性を備え、更には
Tiの酸化膜層の有する生体組織に対する優れた適合性
とを兼備したインプラント材として、極めて有利に用い
られ得るのである。
【0028】そして、そのような極めて優れた特徴を有
する生体接触用金属部材が、生体に取り付けられて、生
体組織に接触せしめられる金属部材、例えば、歯槽骨内
に埋入されて、義歯等を該歯槽骨に固定する口腔インプ
ラント(歯科用骨内インプラント)や、骨折せしめられ
た骨内に埋入されて、かかる骨を互いに連結せしめるボ
ルト等、従来、貴金属を主要成分とする合金では適用不
可能とされていた生体用インプラント材や、インレー、
冠、橋義歯等の一般的な歯科治療用の金属部材等の医療
用金属部材として、また、ピアス、指輪、ネックレス、
ブレスレット、時計バンド等の装飾用金属部材等とし
て、極めて有利に使用され得るのである。
【0029】ところで、かかる本発明に従う生体接触用
金属部材は、有利には、以下の如くして、製造されるこ
ととなる。
【0030】すなわち、先ず、貴金属に対して、Ti
と、必要に応じて、その他の合金成分とを、常法によ
り、例えばアーク溶解等の手法にて溶解せしめて、溶解
物(溶湯)を得る。なお、この溶解操作中でのTiの酸
化を回避するため、かかる溶解操作は、Arガス等、不
活性ガス雰囲気中で行う必要がある。
【0031】次いで、かくして得られた溶解物を鋳造し
て、インゴットを得、その後、このインゴットに対して
一般的な塑性加工、成形加工等、例えばプレス成形を行
なって、所定の形状を有する合金部材を得る。
【0032】そして、その後、この得られた合金部材を
用い、その表面に対して、公知の手法による研磨加工を
施した後、大気中で、一般的な加熱処理を行って、該合
金部材の表面に、Tiの酸化膜層を形成せしめ、以て目
的とする生体接触用金属部材を得るのである。
【0033】なお、本発明に従う構成とされた生体接触
用金属部材は、上述の如き製法の他にも、粉末冶金等、
一般的な合金の造型、製造手法を利用して、所定形状を
呈する合金部材を製造し、その後、この合金部材を加熱
処理することによっても、製造され得るものである。ま
た、そのような手法を採用する場合にあっても、上述の
如き製法と同様に、合金部材に対する加熱処理の方法
は、特に限定されるものではない。
【0034】
【実施例】以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変
更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解さ
れるべきである。
【0035】先ず、貴金属として、Auを用い、このA
uを主要成分として含むと共に、該Auに対する合金成
分として、Tiを、またはTiとAgとを含み、且つそ
れらの金属が、下記表1に示される如き組成割合にて含
有せしめられる6種類の合金が得られるように、Au、
Ti、Agの各金属を、所定の坩堝にそれぞれ別個に投
入した後、Ar雰囲気中において、常法に従ってアーク
溶解を行なうことにより溶解せしめて、互いに成分組成
の異なる6種類の溶解物(溶湯)を得た。次いで、この
6種類の溶解物を冷却して、6個のインゴットを得た
後、それらのインゴットに対して、それぞれ、一般的な
プレス加工を行ない、1mm×5mm×5mmの大きさを有す
る小片状の合金を成形した。そして、それら成分組成の
互いに異なる6種類の合金を、それぞれ合金1〜6とし
た。
【0036】
【表1】
【0037】そして、かくして得られた6種類の合金
(合金1〜6)と、比較のために純金とを用い、各合金
と純金の表面の色を観察し、また常法に従って、それら
の金属のビッカース硬度を調べ、更に、各金属を90°
に折り曲げて、その際の破断の発生の有無を調べた。そ
の結果を、下記表2に示す。なお、かかる表2には、ビ
ッカース硬度として、各金属のビッカース硬度を3回測
定した際の値を、それぞれ示した。
【0038】
【表2】
【0039】かかる表2の結果からも明らかなように、
主要成分としてAuが含まれ、そして該Auに対する合
金成分として、Tiが含有せしめられて成る合金におい
て、Tiの含有量が少ないもの、具体的には、Tiの含
有量が2重量%程度以下のものにあっては、純金と比べ
ても、著しい物性の低下が見られず、それによって、A
uの物性が効果的に確保され得ていることが、確認され
る。
【0040】次に、上述の如くして得られた6種類の合
金(合金1〜6)を用い、各合金の表面を常法に従って
研磨した後、それらの合金に対して、大気中で、800
℃、30分間、加熱処理を行ない、その後、400℃の
温度にて20分間係留除冷して、互いに成分組成の異な
る、目的とする6種類の生体接触用金属部材を得た。そ
して、かかる6種類の生体接触用金属部材と、比較のた
めに純金にて構成された生体接触用金属部材とを用い、
それらの表面構造を、X線マイクロアナライザーにて、
観察した。
【0041】その結果、本発明に従う成分組成を有し、
且つ加熱処理が為された合金からなる生体接触用金属部
材にあっては、その表面の全面に、約10μmの厚さを
有するTiの酸化膜層が形成されていることが、観察さ
れた。一方、純金製の生体接触用金属部材においては、
その表面に、そのようなTiの酸化膜層が、何等認めら
れなかった。
【0042】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う生体接触用金属部材にあっては、表面に、熱処理
によってTiの酸化膜層が形成されて、構成されている
ところから、かかるTiの酸化膜層により、該金属部材
中の金等の貴金属がイオン化して溶出することが有効に
阻止され得、それによって、該金属部材の装着者が金属
アレルギーを起こすようなことが効果的に防止され得る
と共に、貴金属を主要成分とした合金からなる金属部材
では、従来、適用不可能とされていたインプラント材と
して、極めて有利に適用され得るのであり、しかも、か
かるインプラント材に対して、Tiの酸化膜層の有す
る、骨等の生体組織に対する優れた適合性が有利に付与
せしめられ得るのである。
【0043】従って、本発明に従う生体接触用金属部材
を使用することによって、金等の貴金属による金属アレ
ルギーに起因して、装着者の粘膜や皮膚に接触性炎症等
が生ずるようなことが効果的に防止され得るのであり、
また良好な成形加工性と、より優れた生体親和性と、更
には生体組織に対する優れた適合性とを有するインプラ
ント材が、極めて有利に実現され得るのである。
【0044】そして、そのような本発明に従う生体接触
用金属部材が、特に、医療用金属部材や装飾用金属部材
等として使用されることによって、それらの金属部材に
おいて、上述の如き優れた特徴が、極めて効果的に発揮
され得るのである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61F 2/28 A61F 2/28 A61L 27/00 A61L 27/00 L C22C 5/02 C22C 5/02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体に取り付けられて、生体組織に接触
    せしめられる、貴金属を主要成分とした合金からなる生
    体接触用金属部材にして、該貴金属に対する合金成分と
    してTiを含有すると共に、該部材の表面に、熱処理に
    よってTiの酸化膜層が形成されてなることを特徴とす
    る生体接触用金属部材。
  2. 【請求項2】 生体に取り付けられて、生体組織に接触
    せしめられる、貴金属を主要成分とした合金からなる医
    療用金属部材にして、該貴金属に対する合金成分として
    Tiを含有すると共に、該部材の表面に、熱処理によっ
    てTiの酸化膜層が形成されてなることを特徴とする医
    療用金属部材。
  3. 【請求項3】 前記医療用金属部材が生体用インプラン
    ト材である請求項2に記載の医療用金属部材。
  4. 【請求項4】 前記生体用インプラント材が歯科用骨内
    インプラントである請求項3に記載の医療用金属部材。
  5. 【請求項5】 生体に取り付けられて、生体組織に接触
    せしめられる、貴金属を主要成分とした合金からなる装
    飾用金属部材にして、該貴金属に対する合金成分として
    Tiを含有すると共に、該部材の表面に、熱処理によっ
    てTiの酸化膜層が形成されてなることを特徴とする装
    飾用金属部材。
  6. 【請求項6】 前記装飾用金属部材が、ピアス、指輪、
    ネックレス、ブレスレット、及び時計バンドのうちの何
    れかである請求項5に記載の装飾用金属部材。
  7. 【請求項7】 前記金属部材を与える合金が、Au−T
    i合金、Au−Ag−Cu−Ti合金、またはAu−P
    d−Ag−Ti合金である請求項1に記載の生体接触用
    金属部材。
  8. 【請求項8】 前記金属部材を与える合金が、Au−T
    i合金、Au−Ag−Cu−Ti合金、またはAu−P
    d−Ag−Ti合金である請求項2乃至請求項4の何れ
    かに記載の医療用金属部材。
  9. 【請求項9】 前記金属部材を与える合金が、Au−T
    i合金、Au−Ag−Cu−Ti合金、またはAu−P
    d−Ag−Ti合金である請求項5又は請求項6に記載
    の装飾用金属部材。
  10. 【請求項10】 前記Tiが、10重量%を越えない割
    合において含有せしられている請求項1又は請求項7に
    記載の生体接触用金属部材。
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