JPH09107985A - ビタミンb6の製造法 - Google Patents
ビタミンb6の製造法Info
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Abstract
り、医薬品として、および食料品に使用されているビタ
ミンB6 を、高収量で得る方法を提供する。 【解決手段】 好気的条件下、培地中でビタミンB6 生
産能を有するリゾビウム属の微生物を培養し、生成した
ビタミンB6 を培養液から得る、ビタミンB6 の製造
法。該培地は資化可能な炭素源、消化可能な窒素源、無
機塩および微生物の生育に必要な他の栄養素を含むのみ
ならず、好ましくはピルビン酸、 D−グリセルアルデ
ヒド、グリコールアルデヒド、グリシン、1−デオキシ
−D−スレオ−ペンチュロース、4−ヒドロキシ−L−
スレオニンもしくはその混合物を含む。
Description
ンB6 の製造法に関する。本明細書で用いる“ビタミン
B6 ”という語はピリドキソール、ピリドキサールおよ
びピリドキサミンを含むものである。
の栄養に必須であり、医薬品として、および食品材料中
に使用されている。本発明の目的は、発酵による効率良
いビタミンB6 の生産を提供することにある。
までにビタミンB6 の生産に関する研究は数多くなさ
れ、サッカロミセス属、ピヒア属、クレブシエラ属、ア
クロモバクター属、バチルス属およびフラボバクテリウ
ム属のさまざまな微生物が、ビタミンB6 を生産するこ
とで知られている。しかしながら、リゾビウム属(genu
s Rhizobium)の微生物が大量のビタミンB6 を蓄積する
ということはこれまで報告されていない。
生産することが可能になる。本発明者らはリゾビウム属
に属する微生物が培養液中に大量のビタミンB6 を蓄積
し、そこから所望の純度で蓄積したビタミンB6 を回収
できることを見いだした。
に属し、ビタミンB6 を産生し得る微生物を、好気的条
件下で、培地中で培養し、その培養液から産生されたビ
タミンB6 を得る、ビタミンB6 の製造法に関する。
myces carlsbergensis ATCC9080(The Analys
is of Nutrients in Foods, Academic Press, London,
224-227, 1978)を用いて定量でき、培養液中のピリドキ
ソール、ピリドキサールおよびピリドキサミンのような
ビタミンB6 成分の含量もまた高速液体クロマトグラフ
ィーを用いて分別定量ができる(Vitamin, 63, 349-36
9, 1989)。
ビウム属に属する微生物は資化可能な炭素源、消化可能
な窒素源、無機塩および微生物の生育に必要な他の栄養
素を含有する培地で培養される。炭素源としては、たと
えばグルコース、フラクトース、ラクトース、ガラクト
ース、スクロース、マルトース、でんぷん、デキストリ
ンまたはグリセリンが使用される。窒素源としては、た
とえばペプトン、大豆粉、コーンスチープリカー、肉エ
キス、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムまたは尿素
が、それぞれ単独もしくは混合物として用いられる。さ
らに、無機塩としては、カルシウム、マグネシウム、亜
鉛、マンガン、コバルトおよび鉄の、硫酸塩、塩酸塩ま
たは燐酸塩を用いてよい。そして、また必要に応じて一
般的な栄養因子もしくは、動物油、植物油、鉱油などの
消泡剤を補足的に加えてもよい。
0ないし約9. 0で、6. 5ないし7. 5が好ましい。
培養温度は約10ないし40℃で、26ないし30℃が
好ましい。培養時間は適切には約1ないし14日で、2
ないし7日が好ましい。通常、培養において通気および
撹拌は好ましい結果をもたらす。ピルビン酸、D−グリ
セルアルデヒド、グリコールアルデヒド、グリシン、1
−デオキシ−D−スレオ−ペンチュロース、4−ヒドロ
キシ−L−スレオニンまたはそれらの適切な混合物を培
地に添加すれば、ビタミンB6 生産性に好ましい結果を
もたらす。添加物として1−デオキシ−D−スレオ−ペ
ンチュロースと4−ヒドロキシ−L−スレオニンの組み
合わせがビタミンB6 生産には特に効果的である。ま
た、ビタミンB6 は適当なpH値を有する緩衝液中で培
養液から分離したリゾビウム属に属する微生物の菌体
を、ピルビン酸、D−グリセルアルデヒド、グリコール
アルデヒド、グリシン、1−デオキシ−D−スレオ−ペ
ンチュロースおよび4−ヒドロキシ−L−スレオニンを
適切に組み合わせた培地で培養しても生産させることが
できる。
6 は培養液から分離され、精製される。発酵液から生成
物の分離に通常使用される方法を、ビタミンB6 の各種
の性質を利用して行ってもよい。このように、たとえば
菌体を発酵液から除去し、そのろ液中の所望の物質をイ
オン交換樹脂を用いる方法またはそれに類する方法で精
製する。溶出後、所望の生成物をアルコールから再結晶
化させる。
ビウム属に属しビタミンB6 生産能を有するすべての菌
株を含み、財団法人発酵研究所(IFO)、農林水産省
農業生物資源研究所(MAFF)、東京大学応用微生物
研究所(IAM)など請求によりだれでも入手できる公
的な菌株寄託機関で保管されているリゾビウム属に属す
るすべての菌株であってもよい;そのような寄託株の例
としては、たとえばRhizobium meliloti IFO 14
782、Rhizobium meliloti MAFF 30304
0、Rhizobium meliloti MAFF 303047、Rh
izobium melilotiMAFF 303097、Rhizobium
tropici IFO 15247、Rhizobium huakuii IF
O 15243、Rhizobium leguminosarum IFO 1
4778、Rhizobium galegae IFO 14965、Rh
izobium fredii IFO 14780、Rhizobium loti
IFO 14998、Rhizobium sp. IAM 136
23およびRhizobium sp. IAM 13631が挙げら
れる。
好ましい株はRhizobium melilotiIFO 14782お
よびRhizobium tropici IFO 15247である。こ
れらの株、Rhizobium meliloti IFO 14782お
よびRhizobium tropici IFO 15247は、199
5年9月4日にドイツ、ゲッチンゲンにあるDSM(De
utsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkultur
en GmbH)に、DSMNo.10226およびDSM No.1
0227としてそれぞれ寄託されている。
詳細な説明を行うが、本発明は以下の実施例になんら限
定されない。
ール、0. 07%K2HPO4 、0. 01%KH2 PO4
、0. 1%MgSO4 ・7H2 Oおよび1.5%寒天か
らなる寒天培地(pH7. 0)に生育したRhizobium meli
loti IFO14782(DSM No.10226)の一
白金耳の細胞を、1. 0%グルコース、0. 5%ポリペ
プトン(日本製薬社製)、0. 2%酵母エキス(Difco
社製)、0. 1%KH2 PO4 、0. 05%MgSO4
・7H2 O、0. 001%MnSO4 ・5H2 Oおよび
0. 001%FeSO4 ・7H2 Oからなる5mlの種菌
培地を含有する試験管に植菌し、往復振とう機(285
rpm)にて28℃で17時間振とう培養を行った。その4
mlの種培養物を、4%グルコース、4%ポリペプトンS
(日本製薬社製)、0. 8%酵母エキス(Difco 社
製)、0. 05%MgSO4 ・7H2 O、0. 05%M
nSO4 ・5H2 O、0. 001%FeSO4 ・7H2
Oおよび一滴の消泡剤CA−115(日本油脂社製)か
らなる培地200mlを含有する2個の邪魔板付きの50
0ml容フラスコに植菌し、28℃で回転振とう培養(1
80rpm)を行った。168時間培養後、培養液上清中の
ビタミンB6 の含有量を、以下に述べるSaccharomyces
carlsbergensis ATCC 9080を用いる濁度法に
より測定した。培養上清およびピリドキソールの標準溶
液(0−100mg/l)を順次蒸留水で1. 731×10
-4まで希釈した。200μl の希釈液、1. 5mlの蒸留
水および40μl の1. 155N 硫酸の順に、試験管に
加えた。120℃、20分間高圧滅菌後、Saccharomyce
s carlsbergensisATCC 9080を含有する1. 5
mlのビタミンB6 定量用培地(日水株式会社製)を試験
管に加え、30°に傾斜させ28℃で培養した。17時
間培養後、菌体の増殖を5mlの0. 2N 塩酸を加えて停
止し、その後660nmで試料の吸光度を測定した。試料
中のビタミンB6 量は、試料の濁度をSaccharomyces ca
rlsbergensis ATCC 9080の標準生育曲線と比
較して算出した。その結果、168時間の培養液の上清
には84mg/lのビタミンB6 が含まれていた。さらに、
内部標準物質として100μl の4′−デオキシ−ピリ
ドキソール(100mg/l)を168時間の培養液の上清
400μl に加え、その混合液をWaters600E型シス
テムコントローラー、Waters600F型ポンプ、Waters
991J型フォトダイオードアレイディテクター、Wate
rs700型サテライトWISPサンプルインジェクター
およびWaters5200型プリンターから構成されたHP
LCシステムを用いて0. 1M の過塩素酸ナトリウム、
0. 1M のリン酸カリウムおよび2%アセトニトリル
(pH3. 5)の混合溶媒を流速1. 0ml/分、波長=2
92nmで、Capcell pak C18SG120カラム(4. 6
×250mm、資生堂株式会社製)で分析した。その結
果、その上清には、78. 6mg/lのピリドキソールが含
まれていた。
MAFF 303040、Rhizobium meliloti MA
FF 303047、Rhizobium meliloti MAFF
303097、Rhizobium huakuii IFO 1524
3、Rhizobium leguminosarum IFO 14778、Rh
izobium tropici IFO 15247(DSM No.10
227)、Rhizobium galegae IFO 14965、Rh
izobium fredii IFO 14780、Rhizobium loti
IFO 14998、Rhizobiumsp. IAM 136
23およびRhizobium sp. IAM 13631を培養し
た。それぞれ168時間培養した後、培養液の上清中の
ビタミンB6 の含有量をSaccharomyces carlsbergensis
ATCC 9080を用いた濁度法によって測定し
た。結果を表1に示す。
ium meliloti IFO14782(DSM No.1022
6)の培養液からビタミンB6 を得た。それぞれの精製
段階におけるビタミンB6 の濃度をSaccharomyces carl
sbergensisATCC 9080を用いた濁度法により追
跡した。1リットルの168時間目の培養液を8, 00
0rpm で10分間遠心分離を行った。その結果得られる
上清のpHを1N 塩酸で3. 1に調整し、その上清を3
50mlのアンバーライトCG120(H+ 型、100−
200メッシュ、オルガノ社製)を充填したカラム
(3. 6×40cm)に通した。そのカラムを300mlの
脱イオン水で洗浄し、その後5%の水酸化アンモニウム
で溶出した。ビタミンB6 画分を減圧下で濃縮した。そ
の結果得られた残渣を、10mlの0. 01M ギ酸アンモ
ニウム(pH3. 2)に溶解し、その溶液を180mlのDo
wex 50Wx8(アンモニウム型、200−400メッ
シュ、米国ダウケミカル社製)を充填したカラム(2.
4×40cm)に通し、200mlの0. 01M ギ酸アンモ
ニウム(pH3. 2)で洗浄した。その後カラムを200
mlの0. 05M ギ酸アンモニウム(pH4. 25)を初発
の緩衝液として展開し、つづいてそれぞれ0. 05M ギ
酸アンモニウムと0. 5M ギ酸アンモニウム緩衝液(pH
7. 0)の200mlでの直線的濃度勾配により溶出を行
った。そのクロマトグラムはSaccharomyces carlsberge
nsis ATCC 9080に対し生育活性を示す1つの
大きなピークと2つの小さいピークを有していた。大き
なピークの画分を減圧下、少量まで濃縮し、溶液のpH
を1N 塩酸で3.1に調整し、75mlのアンバーライト
CG120(H+ 型、100−200メッシュ)で充填
したカラム(1. 8×40cm)に通した。そのカラムを
150mlの脱イオン水で洗浄し、5%水酸化アンモニウ
ムで溶出した。Saccharomyces carlsbergensis ATC
C 9080に対して生育活性を有する画分を減圧下で
濃縮した。固形物を少量の熱エタノールに溶解した後、
4℃で一晩放置した。生じた沈殿物をろ過により得、真
空で乾燥し、51mgの粗結晶を得た。さらにその粗結晶
をエタノールから再結晶化を行い、160℃の融点を有
する、白色結晶44mgを得た。この物質の赤外吸収、紫
外吸収およびNMRスペクトルはピリドキソール標品の
スペクトルと一致した。一方、Saccharomyces carlsber
gensis ATCC 9080に対して生育活性を有する
2つの小さなピークは実施例1で述べた分析条件下でH
PLC分析を行い、それぞれピリドキサミンおよびピリ
ドキサールと同定した。
ici IFO 15247(DSM No.10227)の種
培養物を調製した。その種培養物4mlを、2%グルコー
ス、1%ポリペプトン、0. 2%酵母エキス、0. 05
%MgSO4 ・7H2 O、0. 05%MnSO4 ・5H
2 O、0. 001%FeSO4 ・7H2O、および一滴
の消泡剤CA−115からなる200mlの培地を含有す
る2本の500ml容フラスコに植菌した。さらに、1%
1−デオキシ−D−スレオ−ペンチュロース( 以下、D
TPと略記する)と1%4−ヒドロキシ−L−スレオニ
ン( 以下、HTと略記する)を含有する4mlの滅菌溶液
を一本のフラスコに加え、他方には滅菌水4mlを加え
た。2本のフラスコを28℃で回転式振とう機(180
rpm)を用いて振とうした。96時間28℃で培養後、培
養液上清中のビタミンB6 の含有量を、実施例1で述べ
たようにSaccharomyces carlsbergensis ATCC 9
080を用いる濁度法によって定量した。表2にまとめ
たように、DTPおよびHTを加えていない培地を含有
するフラスコ中では3. 16mg/lのビタミンB6 が生産
されたのに対し、DTPおよびHTを加えた培地を含有
するフラスコ中では45mg/lのビタミンB6 が生産され
た。さらに、それぞれ0. 02%のDTPおよびHTを
加えた培地で96時間培養した1リットルの培養液か
ら、実施例3で述べたと同様の方法で生成物を単離し、
融点159. 5℃を有する19.3mgの白色結晶を得
た。その物質の赤外吸収、紫外吸収およびNMRスペク
トルはピリドキソール標品のスペクトルと一致した。
10226)を実施例1で述べたと同様の培養条件で培
養した。28℃で72時間培養後、8, 000rpm で1
0分間遠心分離により菌体を得て、100mlの滅菌0.
85%塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、88mlの滅菌
蒸留水に懸濁した。0. 02%DTP、0. 24%グリ
コールアルデヒド、0. 24%グリシンおよび菌体の懸
濁液(600nmでの最終吸光度=20/ml)からなる1
0mlの0. 1M トリス−塩酸緩衝液(pH8. 0)を含有
する試験管中で、28℃で往復振とう機(285rpm)を
用いてビタミンB6 の生産を行った。28℃で24時間
振とう後、反応液の上清中のビタミンB6 を、実施例1
で述べたと同様の分析条件でHPLCにより定量した。
表3にまとめたように、9. 66mg/lのピリドキソール
が、DTP、グリコールアルデヒドおよびグリシンから
なる基質から生産された。
10226)の洗浄菌体の懸濁液を実施例5で述べたと
同様の方法で調製した。0. 24%ピルビン酸、0. 2
4%D−グリセルアルデヒド、0. 02%HTおよび洗
浄菌体の懸濁液(600nmでの最終吸光度=20/ml)
からなる10mlの0. 1M トリス−塩酸緩衝液(pH7.
6)を含有する試験管中で、28℃で往復振とう機(2
85rpm)を用いてビタミンB6 の生産を行った。28℃
で24時間振とう後、反応液の上清中のビタミンB6
を、実施例1で述べたと同様の分析条件でHPLCによ
り定量した。表4にまとめたように、10. 1mg/lのピ
リドキソールが、ピルビン酸、D−グリセルアルデヒド
およびHTからなる基質から生産された。
10226)の洗浄菌体の懸濁液を実施例5で述べたと
同様の方法で調製した。0. 24%ピルビン酸、0. 2
4%D−グリセルアルデヒド、0. 24%グリコールア
ルデヒド、0.24%グリシンおよび洗浄菌体の懸濁液
(600nmでの最終吸光度=20/ml)からなる10ml
の0. 1M トリス−塩酸緩衝液(pH8. 0)を含有する
試験管中で、28℃で往復振とう機(285rpm)を用い
てビタミンB6 の生産を行った。28℃で24時間振と
う後、反応液の上清中のビタミンB6 を、実施例1で述
べたと同様の分析条件でHPLCにより定量した。表5
にまとめたように、9. 66mg/lのピリドキソールが、
ピルビン酸、D−グリセルアルデヒド、グリコールアル
デヒドおよびグリシンからなる基質から生産された。
Claims (1)
- 【請求項1】 リゾビウム属に属しビタミンB6 生産能
を有する微生物を、好気的条件下、培地中で培養し、生
成したビタミンB6 を培養液から得るビタミンB6 の製
造法。
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