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JPH0871427A - 排気ガス浄化用触媒 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒

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Publication number
JPH0871427A
JPH0871427A JP6195255A JP19525594A JPH0871427A JP H0871427 A JPH0871427 A JP H0871427A JP 6195255 A JP6195255 A JP 6195255A JP 19525594 A JP19525594 A JP 19525594A JP H0871427 A JPH0871427 A JP H0871427A
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JP
Japan
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catalyst
group
metal
exhaust gas
crystal structure
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JP6195255A
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JP2849980B2 (ja
Inventor
Yoshikazu Fujisawa
義和 藤澤
Kazuhide Terada
一秀 寺田
Naohiro Sato
尚宏 佐藤
Takahiro Naka
貴弘 中
Kaoru Fukuda
薫 福田
Tetsuo Endo
哲雄 遠藤
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0871427A publication Critical patent/JPH0871427A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた高温耐久性を有する排気ガス浄化用触
媒を提供する。 【構成】 触媒11 は、結晶性アルミノケイ酸塩と触媒
素子との混合物よりなり、ハニカム体2に担持される。
結晶性アルミノケイ酸塩は、正則結晶構造を備えた結晶
性アルミノケイ酸塩における構成元素の一部が欠如した
変則結晶構造を有すると共に、その変則結晶構造におけ
るX線回折法による結晶格子定数から求められた単一格
子体積V1 を、正則結晶構造におけるX線回折法による
結晶格子定数から求められた単一格子体積V2 よりも小
(V1 <V2 )に設定される。このような結晶性アルミ
ノケイ酸塩は、その耐熱温度が1000℃であって優れ
た耐熱性を有すると共に低温のHCを吸着する機能を有
する。触媒素子はAl2 3粒子とそれに担持されたP
dとよりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は排気ガス浄化用触媒、特
に、結晶性アルミノケイ酸塩と触媒素子とより構成され
る触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジン始動直後の低温排気ガス
中に存するHCの浄化率向上を狙って、排気系の排気ガ
ス浄化用触媒よりも上流側に、ゼオライトを有するHC
用吸着器を配設した排気ガス浄化装置が知られている
(特開平2−75327号公報参照)。また酸素過剰状
態にある希薄混合気の燃焼に伴うNOxの浄化率向上を
狙って、Cu等の金属をゼオライトにイオン交換法によ
り担持させたゼオライト触媒も公知である(特開昭63
−283727号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】エンジンにおける排気
ガス浄化用触媒の構成要素には900〜1000℃の耐
熱性が要求されるが、従来の装置および触媒におけるゼ
オライトはその耐熱温度が700℃程度であるため、吸
着器および触媒の高温耐久性が乏しく、短時間のうちに
性能劣化を招く、という問題があった。また従来の装置
は、排気ガス浄化用触媒と吸着器とを必要とするので、
装置の構成が煩雑化する、といった問題もある。
【0004】本発明は前記に鑑み、エンジン始動直後に
おける低温排気ガス中のHCを吸着する機能を備え、ま
た排気ガスによる触媒素子の温度上昇に伴い吸着したH
Cおよび新たなHCを直ちに浄化することができ、その
上、酸素過剰状態にある希薄混合気の燃焼に伴うNOx
をも浄化することのできる、高温耐久性に優れると共に
構成の簡素化を達成された前記排気ガス浄化用触媒を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る排気ガス浄
化用触媒は、結晶性アルミノケイ酸塩と触媒素子との混
合物より構成され、前記結晶性アルミノケイ酸塩は、正
則結晶構造を備えた結晶性アルミノケイ酸塩における構
成元素の一部が欠如した変則結晶構造を有すると共に、
その変則結晶構造におけるX線回折法による結晶格子定
数から求められた単一格子体積V1 を、前記正則結晶構
造におけるX線回折法による結晶格子定数から求められ
た単一格子体積V2 よりも小(V1 <V2 )に設定さ
れ、前記触媒素子は、セラミックス製担体と、その担体
に担持された触媒用金属および触媒用金属酸化物の少な
くとも一方とよりなり、前記触媒用金属および金属酸化
物を構成する金属は周期表第Ib族、周期表第VIIa
族、鉄族および白金族の少なくとも1つの族から選択さ
れる少なくとも一種の金属であることを特徴とする。
【0006】本発明に係る排気ガス浄化用触媒は、結晶
性アルミノケイ酸塩よりなる少なくとも1つの層と、触
媒素子よりなる少なくとも1つの層とから多層構造に構
成され、前記結晶性アルミノケイ酸塩は、正則結晶構造
を備えた結晶性アルミノケイ酸塩における構成元素の一
部が欠如した変則結晶構造を有すると共に、その変則結
晶構造におけるX線回折法による結晶格子定数から求め
られた単一格子体積V 1 を、前記正則結晶構造における
X線回折法による結晶格子定数から求められた単一格子
体積V2 よりも小(V1 <V2 )に設定され、前記触媒
素子は、セラミックス製担体と、その担体に担持された
触媒用金属および触媒用金属酸化物の少なくとも一方と
よりなり、前記触媒用金属および金属酸化物を構成する
金属は周期表第Ib族、周期表第VIIa族、鉄族および
白金族の少なくとも1つの族から選択される少なくとも
一種の金属であることを特徴とする。
【0007】
【作用】結晶性アルミノケイ酸塩に、前記のように変則
的な結晶構造を具備させると、耐熱温度が900〜10
00℃に上昇し、これを用いた触媒は優れた高温耐久性
を発揮する。
【0008】また前記結晶性アルミノケイ酸塩は高活性
化されているので、エンジン始動直後における低温排気
ガス中のHCを高捕集率で吸着する機能を備えている。
そして、排気ガスの温度上昇に伴い、吸着したHCを放
出するので、そのHCおよび新たなHCは、昇温した触
媒素子によって直ちに浄化される。その上、前記結晶性
アルミノケイ酸塩を用いた触媒は、酸素過剰状態にある
希薄混合気の燃焼に伴うNOxに対しても浄化能を発揮
する。
【0009】この場合、触媒用金属等を結晶性アルミノ
ケイ酸塩に直接担持させると、その触媒用金属等の多く
が微細孔内に存することになるため、微細孔内の活性化
雰囲気中で触媒用金属等が焼結して触媒の熱劣化を招く
おそれがあるが、前記のように触媒用金属等をセラミッ
クス製担体に担持させて結晶性アルミノケイ酸塩と混合
するか、またはそれと積層構造にすると、前記熱劣化の
問題を回避することができる。
【0010】また結晶性アルミノケイ酸塩と触媒素子と
は混合または積層状態で存在するので、従来装置に比べ
て構成が簡素化されている。
【0011】
【実施例】図1は低活性なアルミノケイ酸塩としての低
活性ZSM−5ゼオライトが持つ正則ZSM−5型結晶
構造の一例を示す。この結晶構造においては、10個の
酸素からなる酸素環に、Siならびに周期律表第IIIa族
および/または第IIIb族に属する元素E(例えば、B、
Al、Sc、Ga、Y、In等)が結合している。
【0012】このような結晶構造を有する低活性ZSM
−5ゼオライトに活性化処理を施して元素Eを除去する
と、図2に示すように、酸素環の周囲に在るケイ素環
が、元素Eが欠如した空孔を埋めるべく収縮する。それ
に伴いSi−O−Si結合角が図1のαからβへと拡大
し(β>α)、その結果酸素環も収縮する。
【0013】このような現象が発生することから、本発
明における結晶性アルミノケイ酸塩である高活性ZSM
−5ゼオライトは変則ZSM−5型結晶構造(図2)を
備え、また酸素環およびケイ素環の収縮に伴い、X線回
折による格子定数a,b,cの積a×b×cとして求め
られた単一格子体積V1 が、正則ZSM−5型結晶構造
における同様の単一格子体積V2 に比べて縮小される
(即ち、V1 <V2 )。
【0014】前記酸素環の収縮は、その環内部の表面エ
ネルギを高めるので、活性化処理後のZSM−5ゼオラ
イトは高活性化され、また耐熱性も向上する。
【0015】変則ZSM−5型結晶構造における単一格
子体積V1 はV1 ≦5373Å3 であることが望まし
い。V1 >5373Å3 になると、高活性ZSM−5ゼ
オライトの活性が低下傾向となる。
【0016】低活性ZSM−5ゼオライトは、その合成
原料に起因して、アルカリ金属から選択される一種以上
の金属、例えばNa、K、またはアルカリ土類金属から
選択される一種以上の金属、例えばCa、Mgの少なく
とも一方の金属を含有している。高活性ZSM−5ゼオ
ライトにおいては、活性向上のため、その金属の含有率
1 はC1 ≦450ppm であることが望ましい。
【0017】また低活性ZSM−5ゼオライトは、その
耐熱性に悪影響を与えるFe、Cu、NiまたはCrの
少なくとも一種である不純物を含有することがあり、こ
の場合、その不純物の含有率C2 は、耐熱性向上のため
にC2 ≦200ppm であることが望ましい。
【0018】前記活性化処理としては、低活性ZSM−
5ゼオライトに酸処理、スチーム処理または沸騰水処理
の少なくとも一つの処理を施す、といった方法が採用さ
れる。この活性化処理中にNa等のアルカリ金属、Ca
等のアルカリ土類金属、Fe等の不純物を前記含有率C
1 ,C2 に収まるように除去することができる。またア
ルカリ金属、アルカリ土類金属の除去は水素との置換に
よるものであるから、高活性ZSM−5ゼオライトの細
孔内における吸着活性サイトが増加し、またその増加は
細孔内全体に均一に生じるので、高活性ZSM−5ゼオ
ライトの吸着能が向上する。
【0019】酸処理としては、0.5〜5NのHCl溶
液を70〜90℃に昇温し、そのHCl溶液中に低活性
ZSM−5ゼオライトを5〜20時間浸漬する、といっ
た方法が採用される。
【0020】また沸騰水処理としては、低活性ZSM−
5ゼオライトに含水処理を施し、その含水状態の低活性
ZSM−5ゼオライト周りの雰囲気温度を550〜60
0℃まで昇温し、その高温雰囲気下に4時間程度保持す
る、といった方法が採用される。
【0021】さらにスチーム処理としては、低活性ZS
M−5ゼオライトを、10%程度の水分を含む600〜
900℃の雰囲気下に10〜20時間保持する、といっ
た方法が採用される。
【0022】これら酸処理、沸騰水処理およびスチーム
処理は、単独または2以上を組合わせて適用され、また
必要に応じて繰返される。
【0023】次に具体例について説明する。
【0024】A.高活性ZSM−5ゼオライトについて 表1は、低活性ZSM−5ゼオライトおよびそれから得
られた高活性ZSM−5ゼオライトの例1〜5に関する
結晶格子定数a,b,cおよび単一格子体積V 1 ,V2
をそれぞれ示し、また表2は、低活性ZSM−5ゼオラ
イトの例1〜5に対する活性化処理条件を示し、さらに
表3は、低活性ZSM−5ゼオライトおよび高活性ZS
M−5ゼオライトの例1〜5におけるアルカリ金属Na
の含有量C1 、不純物Feの含有量C2 および耐熱温度
ならびに高活性ZSM−5ゼオライトの例1〜5におけ
るSiO2 /Al2 3 モル比をそれぞれ示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】 図3は、Si固体NMR(核磁気共鳴)法で測定した、
低活性および高活性ZSM−5ゼオライトの例1に関す
るSi化学シフト,δ(ppm )を示す。高活性ZSM−
5ゼオライトの例1のSi化学シフト,δ1 はδ1 =−
112.43ppm であり、また低活性ZSM−5ゼオラ
イトの例1のSi化学シフト,δ2 はδ 2 =−112.
31である。
【0028】ここでジェイ.エム.トーマス(J.M.
Thomas)の式、α(またはβ)=(−25.44
−δ)/0.5793から、低活性および高活性ZSM
−5ゼオライトの例1におけるSi−O−Si結合角α
およびβを求めたところ、α=149.96°、β=1
50.16°であり、したがって、β>αであることが
判明した。故に、両単一格子体積V1 ,V2 の間にはV
1 <V2の関係が成立する。この場合、除去された元素
EはAlである。
【0029】低活性および高活性ZSM−5ゼオライト
の例1〜5の耐熱温度測定は以下に述べる方法で行われ
た。先ず、各例1〜5のBET比表面積、即ちイニシャ
ルBET比表面積を測定し、次いで、各例1〜5を10
%の水分を含む空気雰囲気中で20時間昇温加熱し、そ
の際、25℃毎に加熱後のBET比表面積を測定した。
そして、加熱後のBET比表面積がイニシャルBET比
表面積の95%を維持しているときの温度を各例1〜5
の耐熱温度とした。
【0030】このような方法で測定された高活性ZSM
−5ゼオライトの例1〜5における耐熱温度は1000
℃であり、一方、同様の方法で測定された低活性ZSM
−5ゼオライトの例1〜5(ただし、例1と4および2
と5は同じもの)における耐熱温度は725℃であっ
て、275℃の向上が認められた。
【0031】B.排気ガス浄化用触媒について 図4に示す単層構造の触媒11 は、微細粒状高活性ZS
M−5ゼオライトと、微細粒状触媒素子とを混合したも
ので、その触媒11 はハニカム体2に担持される。
【0032】触媒素子は、微細粒状セラミックス製担体
と、その担体に担持された触媒用金属および触媒用金属
酸化物の少なくとも一方とよりなる。セラミックス製担
体としては化学的に活性なγ−Al2 3 、ZrO2
TiO2 、SiO2 、MgO、CeO2 等の微細粒が用
いられる。また触媒用金属および触媒用金属酸化物にお
ける金属は、周期表第Ib族、周期表第VIIa族、鉄族
および白金族の少なくとも一つの族から選択される少な
くとも一種の金属が該当する。周期表第Ib族にはC
u、Ag、Auが含まれ、また周期表第VIIa族にはM
n、Te、Reが含まれ、さらに鉄族にはFe、Co、
Niが含まれ、さらにまた白金族にはRu、Rh、P
d、Os、Ir、Ptが含まれる。必要に応じて、C
e、Ba、La、Y、Nd、Sm、Gd、Nb、Zr、
Ni、Feおよびそれらの酸化物等の助触媒が併用され
る。
【0033】前記触媒11 の製造に当っては、先ず、例
えば触媒用金属を溶解している溶液中にセラミックス製
担体を投入し、その担体表面に触媒用金属を担持させて
触媒素子を製造する。次いで、高活性ZSM−5ゼオラ
イトと触媒素子とを混合してスラリ状混合物を調製し、
そのスラリ状混合物中にハニカム体2を浸漬し、引上げ
た後ハニカム体2に付着したスラリ状混合物を乾燥して
触媒11 を得る。
【0034】図5に示す多層構造、図示例では二層構造
の触媒12 は、高活性ZSM−5ゼオライトよりなる少
なくとも1つの層、つまり下層31 と、前記同様の触媒
素子よりなる少なくとも1つの層、つまり上層32 とか
ら構成され、その触媒12 はハニカム体2に担持され
る。
【0035】このような触媒12 の製造に当っては、先
ず、高活性ZSM−5ゼオライトを含むスラリ状物を調
製し、そのスラリ状物中にハニカム体2を浸漬し、引上
げた後ハニカム体2に付着したスラリ状物を乾燥して下
層31 を形成する。次いで、触媒素子を含む前記同様の
スラリ状物にハニカム体2を浸漬し、引上げた後下層3
1 に付着したスラリ状物を乾燥して上層32 を形成す
る。上層32 を高活性ZSM−5ゼオライトより構成
し、下層31 を触媒素子より構成する場合には、前記作
業において、ハニカム体2の浸漬順序を前記と逆にすれ
ばよい。
【0036】前記触媒11 ,12 において、触媒素子の
粒径は、0.05μm以上、50μm以下である。粒径
が0.05μm未満では、触媒素子の粒径が小さすぎる
ため排気ガスの流通性が悪化し、一方、50μmを超え
るということは担体の粒径が大きくなることを意味する
ので、その担体の比表面積が小さくなって触媒用金属等
の担持量が減少し、触媒活性が低下する。好ましくは、
触媒素子の粒径は0.1μm以上、25μm以下であ
る。
【0037】〔I〕高活性ZSM−5ゼオライトを用い
たHC浄化用触媒について 表4は、実施例1,2および比較例1〜6の触媒の構成
を示す。表中、ゼオライトは高活性ZSM−5ゼオライ
トを、また低活性は低活性ZSM−5ゼオライトをそれ
ぞれ意味する。助触媒としてはCeO、BaO、ZrO
2 が用いられた。また実施例1,2および比較例1,3
〜6の触媒を担持するハニカム体としては、直径25m
m、長さ60mmの円筒形をなし、300セル/in2
ものが用いられた。
【0038】
【表4】 実施例1の触媒は、高活性ZSM−5ゼオライトと触媒
素子との混合物より単層構造に構成され、また実施例2
の触媒は、高活性ZSM−5ゼオライトよりなる下層と
触媒素子よりなる上層とから二層構造に構成されてい
る。比較例1の触媒は、高活性ZSM−5ゼオライトに
触媒用金属をイオン交換法により担持させて構成され、
また比較例3,4の触媒は触媒素子のみから構成され、
さらに比較例5の触媒は、低活性ZSM−5ゼオライト
と触媒素子との混合物より単層構造に構成され、さらに
また比較例6の触媒は、低活性ZSM−5ゼオライトよ
りなる下層と触媒素子よりなる上層とから二層構造に構
成されている。
【0039】比較例2の触媒は、第1ハニカム体に担持
された高活性ZSM−5ゼオライトと第2ハニカム体に
担持された触媒素子とより構成され、第1ハニカム体は
排気系の上流側に、また第2ハニカム体はその下流側に
それぞれ配設される。両ハニカム体間の間隔は5mmに設
定された。それらハニカム体は、長さが30mmであるこ
とを除いて、前記のものと同一構造を有する。
【0040】実施例1および比較例1〜4の触媒につい
て、それらの初期性能を調べるため、次のようなHC浄
化テストを行い、各触媒によるHC浄化率を測定したと
ころ、図6の結果を得た。
【0041】前記テストは、組成が、0.5体積%
2 、400ppm HC(C3 6 )、500ppm NO、
5000ppm CO、14体積%CO2 、1700ppm H
2 、10体積%H2 Oおよび残部N2 であるテスト用ガ
スを、各ハニカム体(比較例2では第1,第2ハニカム
体)内に空間速度(S.V.)20000h-1で流通さ
せると共にテスト用ガスの温度を50〜350℃まで昇
温速度3〜15℃/sec で昇温させ、この間のHC浄化
率を測定することによって行われた。
【0042】図6において、線aが実施例1の触媒に、
また線b〜eが比較例1〜4の触媒にそれぞれ該当す
る。線fはガス温度を示す。図6より、線aで示す実施
例1および線bで示す比較例1の両触媒は、ガス温度の
低い領域から高い領域に亘って高いHC浄化率を有する
ことが判る。これは、ガス温度の低い領域では高活性Z
SM−5ゼオライトが高捕集率で低温のHCを吸着する
機能を発揮し、またガス温度の高い領域では触媒素子が
高いHC浄化能を発揮することに起因する。
【0043】線cで示す比較例2の触媒の場合、ガス温
度の低い領域ではHC浄化率が高いが、ガス温度の高い
領域では第2ハニカム体に担持された触媒素子の温度上
昇が第1ハニカム体によって妨げられるためHC浄化率
が低い。線d,eで示す比較例3,4の触媒は、ガス温
度の低い領域においてHC吸着能を持たないので、HC
浄化率が低い。
【0044】次に、実施例1,2および比較例1,3〜
6の触媒をエンジンの排気系に配設して、900℃の高
温下に20時間保持し、その後、各触媒の耐久テスト後
の性能を調べるため、前記同様のHC浄化テストを行
い、各触媒によるHC浄化率を測定したところ、図7の
結果を得た。
【0045】図7における各線と各触媒との関係は表5
の通りである。線fは前記同様にガス温度を示す。
【0046】
【表5】 図7より、線a1 ,g1 で示す実施例1,2の触媒は線
1 ,e1 ,d1 ,h 1 ,k1 で示す比較例1,3〜6
の触媒に比べて耐久テスト後のHC浄化率が高い。これ
は、実施例1,2における高活性ZSM−5ゼオライト
の耐熱性が良好であることから、両触媒が優れた高温耐
久性を有することに他ならない。特に、線g1 で示す実
施例2の二層構造触媒の方が、線a1 で示す実施例1の
単層構造触媒よりも高い触媒活性を備えている。
【0047】線b1 で示す比較例1の触媒の場合、前記
耐久テストにおいて高活性ZSM−5ゼオライトが耐熱
性を発揮するため、ガス温度の低い領域では高活性ZS
M−5ゼオライトのHC吸着能を得て高いHC浄化率を
示すが、前記耐久テストにおいて触媒用金属であるPd
の焼結が発生していることに起因して、ガス温度の高い
領域ではHC浄化率が低い。線d1 で示す比較例3の触
媒の場合、もともと触媒用金属であるPt,Rhの担持
量が少ない上に、前記耐久テストにより熱劣化している
ため耐久テスト前に比べてHC浄化率が大幅に低下す
る。線e1 で示す比較例4の触媒の場合、前記耐久テス
トによる熱劣化の程度が比較的小さいため、HC浄化率
の低下は小幅である。線h1 ,k1 で示す比較例5,6
の触媒の場合、前記耐熱テストによって低活性ZSM−
5ゼオライトが熱劣化するため、HC浄化率が低い。
【0048】図8は、FTP LA−4モードにおける
エンジン(排気量2000cc)始動後の経過時間とH
Cの排出レベルとの関係を示す。図中、線m,a2 ,d
2 はエンジンから排出されるHC成分の変化を示し、線
mが触媒を用いなかった場合に、線a2 が前記耐久テス
ト後の実施例1の触媒を用いた場合に、線d2 が前記耐
久テスト後の比較例3の触媒を用いた場合にそれぞれ該
当する。
【0049】図8から明らかなように、線a2 で示すよ
うに実施例1の触媒を用いると、線d2 で示す比較例3
の触媒を用いた場合に比べて、HCの排出レベルを50
%以上低減することができる。
【0050】〔II〕高活性ZSM−5ゼオライトを用い
たNOx浄化用触媒について 表6は、実施例3〜7および比較例7,8の触媒の構成
を示す。表中、ゼオライトは、高活性ZSM−5ゼオラ
イトを意味し、また低活性は低活性ZSM−5ゼオライ
トを意味する。各触媒を担持するハニカム体としては、
前記同様に直径25mm、長さ60mmの円筒形をなし、3
00セル/in2 のものが用いられた。
【0051】
【表6】 実施例3〜5の触媒は、高活性ZSM−5ゼオライトと
触媒素子との混合物より単層構造に構成され、また実施
例6の触媒は、高活性ZSM−5ゼオライトよりなる下
層と触媒素子よりなる上層とから二層構造に構成され、
さらに実施例7の触媒は、触媒素子よりなる下層と高活
性ZSM−5ゼオライトよりなる上層とから二層構造に
構成されている。
【0052】比較例7の触媒は、低活性ZSM−5ゼオ
ライトに触媒用金属をイオン交換法により担持させて構
成され、また比較例8の触媒は、低活性ZSM−5ゼオ
ライトと触媒素子との混合物より単層構造に構成されて
いる。
【0053】実施例5〜7および比較例7,8の触媒に
ついて、それらの初期性能を調べるため、次のような希
薄混合気の燃焼を想定したNOx浄化テストを行い、各
触媒におけるガス温度とNOx浄化率との関係を調べた
ところ、図9の結果を得た。
【0054】前記テストは、組成が、10体積%O2
800ppm HC(C3 6 )、800ppm NO、0.1
体積%CO、10体積%CO2 、500ppm H2 、10
体積%H2 Oおよび残部N2 であるテスト用ガスを、各
ハニカム体内に空間速度(S.V.)20000h-1
流通させると共にテスト用ガスの温度を25〜400℃
まで昇温速度10〜40℃/min で昇温させ、この間の
NOx浄化率を測定することによって行われた。
【0055】図9において、線n,o,uは実施例5,
6,7の触媒にそれぞれ該当し、また線p,qは比較例
7,8の触媒にそれぞれ該当する。図9から明らかなよ
うに、各触媒は比較的良好な初期性能を有する。
【0056】次に実施例3〜7および比較例7,8の触
媒をエンジンの排気系に配設して、700℃の高温下に
20時間保持し、その後、各触媒の耐久テスト後の性能
を調べるため、前記同様のNOx浄化テストを行い、各
触媒によるNOx浄化率を測定したところ、図10の結
果を得た。
【0057】図10における各線と各触媒との関係は表
7の通りである。
【0058】
【表7】 図10から明らかなように、線r1 ,s1 ,n1
1 ,u1 で示す実施例3〜7の触媒は、線p1 ,q1
で示す比較例7,8の触媒に比べて耐久テスト後のNO
x浄化率が高い。これは、実施例3〜7における高活性
ZSM−5ゼオライトの耐熱性が良好であることから、
各触媒が優れた高温耐久性を有することに他ならない。
また前記同様に、線o1 ,u1 で示す実施例6,7の二
層構造触媒は、線r1 等で示す実施例3等の単層構造触
媒よりも高い触媒活性を備えている。この場合、両実施
例6,7の触媒活性は殆ど同じである。
【0059】なお、触媒は、高活性ZSM−5ゼオライ
トよりなる層と触媒素子よりなる層を、例えば交互に積
層する、というように、両層を2以上備えることもあ
る。
【0060】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、エンジン
始動直後から高いHC浄化能を発揮し、また酸素過剰状
態にある希薄混合気の燃焼に伴うNOxに対する浄化能
も高く、さらに優れた高温耐久性を有すると共に構成の
簡素化を達成された排気ガス浄化用触媒を提供すること
ができる。
【0061】請求項2記載の発明によれば、前記の場合
よりも高い触媒活性を有する排気ガス浄化用触媒を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】正則ZSM−5型結晶構造を示す説明図であ
る。
【図2】変則ZSM−5型結晶構造を示す説明図であ
る。
【図3】高活性および低活性ZSM−5ゼオライトに関
するSi化学シフトを示すグラフである。
【図4】単層構造の触媒を示す断面図である。
【図5】二層構造の触媒を示す断面図である。
【図6】各触媒の初期性能テストにおけるガス流通開始
後の経過時間とHC浄化率との関係を示すグラフであ
る。
【図7】各触媒の耐久テスト後におけるガス流通開始後
の経過時間とHC浄化率との関係を示すグラフである。
【図8】FTP LA−4モードにおけるエンジン始動
後の経過時間とHCの排出レベルとの関係を示すグラフ
である。
【図9】各触媒の初期性能テストにおけるガス温度とN
Ox浄化率との関係を示すグラフである。
【図10】各触媒の耐久テスト後におけるガス温度とN
Ox浄化率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ,12 触媒 2 ハニカム体 31 下層 32 上層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中 貴弘 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 福田 薫 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 遠藤 哲雄 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性アルミノケイ酸塩と触媒素子との
    混合物より構成され、前記結晶性アルミノケイ酸塩は、
    正則結晶構造を備えた結晶性アルミノケイ酸塩における
    構成元素の一部が欠如した変則結晶構造を有すると共
    に、その変則結晶構造におけるX線回折法による結晶格
    子定数から求められた単一格子体積V1を、前記正則結
    晶構造におけるX線回折法による結晶格子定数から求め
    られた単一格子体積V2 よりも小(V1 <V2 )に設定
    され、前記触媒素子は、セラミックス製担体と、その担
    体に担持された触媒用金属および触媒用金属酸化物の少
    なくとも一方とよりなり、前記触媒用金属および金属酸
    化物を構成する金属は周期表第Ib族、周期表第VIIa
    族、鉄族および白金族の少なくとも1つの族から選択さ
    れる少なくとも一種の金属であることを特徴とする排気
    ガス浄化用触媒。
  2. 【請求項2】 結晶性アルミノケイ酸塩よりなる少なく
    とも1つの層と、触媒素子よりなる少なくとも1つの層
    とから多層構造に構成され、前記結晶性アルミノケイ酸
    塩は、正則結晶構造を備えた結晶性アルミノケイ酸塩に
    おける構成元素の一部が欠如した変則結晶構造を有する
    と共に、その変則結晶構造におけるX線回折法による結
    晶格子定数から求められた単一格子体積V1 を、前記正
    則結晶構造におけるX線回折法による結晶格子定数から
    求められた単一格子体積V2 よりも小(V1 <V2 )に
    設定され、前記触媒素子は、セラミックス製担体と、そ
    の担体に担持された触媒用金属および触媒用金属酸化物
    の少なくとも一方とよりなり、前記触媒用金属および金
    属酸化物を構成する金属は周期表第Ib族、周期表第V
    IIa族、鉄族および白金族の少なくとも1つの族から選
    択される少なくとも一種の金属であることを特徴とする
    排気ガス浄化用触媒。
  3. 【請求項3】 上層が前記触媒素子よりなり、下層が前
    記結晶性アルミノケイ酸塩よりなる、請求項2記載の排
    気ガス浄化用触媒。
  4. 【請求項4】 上層が前記結晶性アルミノケイ酸塩より
    なり、下層が前記触媒素子よりなる、請求項2記載の排
    気ガス浄化用触媒。
  5. 【請求項5】 前記変則結晶構造における前記単一格子
    体積V1 がV1 ≦5373Å3 である、請求項1,2,
    3または4記載の排気ガス浄化用触媒。
  6. 【請求項6】 アルカリ金属から選択される一種以上の
    金属またはアルカリ土類金属から選択される一種以上の
    金属の少なくとも一方の金属を含有し、その金属の含有
    率C1 がC1 ≦450ppm である、請求項1,2,3,
    4または5記載の排気ガス浄化用触媒。
  7. 【請求項7】 前記触媒素子は微細粒状をなし、その粒
    径は0.05μm以上、50μm以下である、請求項
    1,2,3,4,5または6記載の排気ガス浄化用触
    媒。
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