JPH0837082A - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents
内燃機関用スパークプラグInfo
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- JPH0837082A JPH0837082A JP19491494A JP19491494A JPH0837082A JP H0837082 A JPH0837082 A JP H0837082A JP 19491494 A JP19491494 A JP 19491494A JP 19491494 A JP19491494 A JP 19491494A JP H0837082 A JPH0837082 A JP H0837082A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 製造コストが安く,白金電極の剥離,脱落を
防止することができ,長寿命である内燃機関用スパーク
プラグを提供すること。 【構成】 ニッケル基合金よりなる中心電極1と,接地
電極21,22と両者の間に火花ギャップを設けてなる
と共に,上記中心電極1の基部11は碍子に埋め込まれ
ている。中心電極1は,その放電部に白金電極31,3
2を接合してなり,中心突出長さは3mm以上である。
白金電極31,32は,Irが10〜30重量%,Ni
が5.5〜10重量%,残りPtで構成される白金合金
よりなる。白金合金31,32の結晶粒組織は,その放
電面に平行な層状組織を有する。白金電極31,32の
結晶粒径は,その放電面に平行な横断面の平均粒径を
B,垂直な縦断面の平均粒径をTとすると,T≦5μ
m,B/T≧2である。
防止することができ,長寿命である内燃機関用スパーク
プラグを提供すること。 【構成】 ニッケル基合金よりなる中心電極1と,接地
電極21,22と両者の間に火花ギャップを設けてなる
と共に,上記中心電極1の基部11は碍子に埋め込まれ
ている。中心電極1は,その放電部に白金電極31,3
2を接合してなり,中心突出長さは3mm以上である。
白金電極31,32は,Irが10〜30重量%,Ni
が5.5〜10重量%,残りPtで構成される白金合金
よりなる。白金合金31,32の結晶粒組織は,その放
電面に平行な層状組織を有する。白金電極31,32の
結晶粒径は,その放電面に平行な横断面の平均粒径を
B,垂直な縦断面の平均粒径をTとすると,T≦5μ
m,B/T≧2である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,内燃機関用スパークプ
ラグ,特にその中心電極が碍子から3mm以上突出して
いるスパークプラグに関する。
ラグ,特にその中心電極が碍子から3mm以上突出して
いるスパークプラグに関する。
【0002】
【従来技術】近年,自動車用の内燃機関においては,補
機器の増加に伴い,スパークプラグの脱着が困難になっ
ている。そのため,スパークプラグにおいては,脱着す
る必要がない,又は脱着回数の少ない長寿命のものが要
求されている。また,環境保護の立場から,内燃機関
は,その全使用期間を通じて,良好な燃焼状態を維持す
ることが求められている。つまり,スパークプラグに
は,常に,高い着火性が求められている。
機器の増加に伴い,スパークプラグの脱着が困難になっ
ている。そのため,スパークプラグにおいては,脱着す
る必要がない,又は脱着回数の少ない長寿命のものが要
求されている。また,環境保護の立場から,内燃機関
は,その全使用期間を通じて,良好な燃焼状態を維持す
ることが求められている。つまり,スパークプラグに
は,常に,高い着火性が求められている。
【0003】これらの要求を満たすべく,スパークプラ
グは,電極の放電面に白金合金よりなる白金電極を配設
したものが広く使用されるに至った。即ち,白金電極に
より,電極の消耗を抑え,火花ギャップの拡大を防止す
ることにより,スパークプラグの長寿命化を図ってい
る。
グは,電極の放電面に白金合金よりなる白金電極を配設
したものが広く使用されるに至った。即ち,白金電極に
より,電極の消耗を抑え,火花ギャップの拡大を防止す
ることにより,スパークプラグの長寿命化を図ってい
る。
【0004】また,さらに着火性を向上させるため,電
極間で形成される火花ギャップを内燃機関の燃焼室に大
きく突き出した,突出タイプのスパークプラグが提案さ
れている。さらに,長寿命化を図るため,中心電極の先
端部の側面に配設した白金電極に接地電極を対向配設
し,両者間に火花ギャップを形成した,側面対向タイプ
のスパークプラグが提案されている。
極間で形成される火花ギャップを内燃機関の燃焼室に大
きく突き出した,突出タイプのスパークプラグが提案さ
れている。さらに,長寿命化を図るため,中心電極の先
端部の側面に配設した白金電極に接地電極を対向配設
し,両者間に火花ギャップを形成した,側面対向タイプ
のスパークプラグが提案されている。
【0005】上記側面対向タイプのスパークプラグにお
いては,接地電極下端面と碍子先端面との距離(図2,
符号b参照)が,火花ギャップ(図2,符号g参照)よ
り十分大きくないと,接地電極下端面と碍子先端面の間
で飛火が発生する。そして,飛火が発生すると,着火性
が悪化するばかりでなく,碍子に損傷(チャネリング)
を与えてしまう。
いては,接地電極下端面と碍子先端面との距離(図2,
符号b参照)が,火花ギャップ(図2,符号g参照)よ
り十分大きくないと,接地電極下端面と碍子先端面の間
で飛火が発生する。そして,飛火が発生すると,着火性
が悪化するばかりでなく,碍子に損傷(チャネリング)
を与えてしまう。
【0006】このため,上記側面対向タイプのスパーク
プラグは,接地電極下端面と碍子先端の距離(図2,符
号b参照)を十分大きくとる必要がある。そのため,中
心電極においては,その基部が埋め込まれた碍子の先端
面から中心電極の先端面までの突出量(以下,中心突出
長さという。)が必然的に大きくなる。
プラグは,接地電極下端面と碍子先端の距離(図2,符
号b参照)を十分大きくとる必要がある。そのため,中
心電極においては,その基部が埋め込まれた碍子の先端
面から中心電極の先端面までの突出量(以下,中心突出
長さという。)が必然的に大きくなる。
【0007】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の内
燃機関用スパークプラグにおいては,次の問題点があ
る。即ち,上記中心電極の中心突出長さが大きくなる
と,中心電極は,内燃機関の燃焼に伴う受熱が大きくな
ると共に,混合気流入時の冷却作用を大きく受ける。そ
のため,中心突出長さが大きい場合の中心電極の温度
は,中心突出長さの小さい場合よりも,燃焼時には高温
となり,混合気流入時には低温となる。つまり,中心突
出長さの増大は,中心電極の温度変動を大きくする。
燃機関用スパークプラグにおいては,次の問題点があ
る。即ち,上記中心電極の中心突出長さが大きくなる
と,中心電極は,内燃機関の燃焼に伴う受熱が大きくな
ると共に,混合気流入時の冷却作用を大きく受ける。そ
のため,中心突出長さが大きい場合の中心電極の温度
は,中心突出長さの小さい場合よりも,燃焼時には高温
となり,混合気流入時には低温となる。つまり,中心突
出長さの増大は,中心電極の温度変動を大きくする。
【0008】また,上記白金電極は,中心電極に抵抗溶
接等により接合されている。また白金電極と中心電極の
ニッケル基合金は,線膨張係数が大きく異なる。そのた
め,前述した温度変動により,両者の接合部には大きな
熱応力が発生する。この熱応力により,上記接合部に酸
化亀裂が入り場合があり,甚だしい場合は,白金電極の
剥離や脱落を引き起こす場合がある。
接等により接合されている。また白金電極と中心電極の
ニッケル基合金は,線膨張係数が大きく異なる。そのた
め,前述した温度変動により,両者の接合部には大きな
熱応力が発生する。この熱応力により,上記接合部に酸
化亀裂が入り場合があり,甚だしい場合は,白金電極の
剥離や脱落を引き起こす場合がある。
【0009】この熱応力を低減するために,白金電極の
白金合金にニッケルを添加して接合性を向上させる発明
が,特公昭59−4835号,特公昭61−30014
号において提案されている。前者は,白金合金にニッケ
ルを0.5〜2重量%添加し,後者は,白金合金にニッ
ケルを0.1〜5重量%添加することが示されている。
白金合金にニッケルを添加して接合性を向上させる発明
が,特公昭59−4835号,特公昭61−30014
号において提案されている。前者は,白金合金にニッケ
ルを0.5〜2重量%添加し,後者は,白金合金にニッ
ケルを0.1〜5重量%添加することが示されている。
【0010】しかし,上記中心突出長さが3mm以上と
なった場合においては,白金合金へのニッケル添加によ
る接合性向上効果だけでは,十分な長寿命化が図れな
い。また,ニッケル添加量を単純に5%以上に増加した
だけでは,白金電極の消耗量が急激に増大してしまい,
長寿命効果が失われる。
なった場合においては,白金合金へのニッケル添加によ
る接合性向上効果だけでは,十分な長寿命化が図れな
い。また,ニッケル添加量を単純に5%以上に増加した
だけでは,白金電極の消耗量が急激に増大してしまい,
長寿命効果が失われる。
【0011】また,熱応力低減のために,白金電極と中
心電極の間に,両者の中間の線膨張特性を有する白金合
金よりなる応力緩和層を設けた発明,特公平3−220
33号が提案されている。しかし,この発明は,上記応
力緩和層を増やしたことにより,接合工程が増加し,工
数が増える。また,応力緩和層は白金合金であるため,
使用する白金の量が増加し,コスト高となる。
心電極の間に,両者の中間の線膨張特性を有する白金合
金よりなる応力緩和層を設けた発明,特公平3−220
33号が提案されている。しかし,この発明は,上記応
力緩和層を増やしたことにより,接合工程が増加し,工
数が増える。また,応力緩和層は白金合金であるため,
使用する白金の量が増加し,コスト高となる。
【0012】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,製造コストが安く,白金電極の剥離,脱
落を防止することができ,長寿命である内燃機関用スパ
ークプラグを提供しようとするものである。
されたもので,製造コストが安く,白金電極の剥離,脱
落を防止することができ,長寿命である内燃機関用スパ
ークプラグを提供しようとするものである。
【0013】
【課題の解決手段】本発明は,ニッケル基合金よりなる
中心電極と,接地電極と,両者の間に火花ギャップを設
けてなると共に,上記中心電極の基部は碍子に埋め込ま
れている内燃機関用スパークプラグにおいて,上記中心
電極は,その放電部に白金合金からなる白金電極を接合
してなると共に,上記中心電極の先端面から上記碍子の
先端面までの中心突出長さが3mm以上であり,上記白
金電極は,イリジウムが10〜30重量%,ニッケルが
5.5〜10重量%,残りが白金で構成される白金合金
よりなり,かつ,上記白金電極の結晶粒組織は,上記白
金電極の放電面に平行な層状組織を有し,かつ,上記白
金電極の結晶粒径は,上記白金電極の放電面に平行な横
断面の平均粒径をB,上記白金電極の放電面に垂直な縦
断面の平均粒径をTとすると, T≦5μm,B/T≧2 であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグにあ
る。
中心電極と,接地電極と,両者の間に火花ギャップを設
けてなると共に,上記中心電極の基部は碍子に埋め込ま
れている内燃機関用スパークプラグにおいて,上記中心
電極は,その放電部に白金合金からなる白金電極を接合
してなると共に,上記中心電極の先端面から上記碍子の
先端面までの中心突出長さが3mm以上であり,上記白
金電極は,イリジウムが10〜30重量%,ニッケルが
5.5〜10重量%,残りが白金で構成される白金合金
よりなり,かつ,上記白金電極の結晶粒組織は,上記白
金電極の放電面に平行な層状組織を有し,かつ,上記白
金電極の結晶粒径は,上記白金電極の放電面に平行な横
断面の平均粒径をB,上記白金電極の放電面に垂直な縦
断面の平均粒径をTとすると, T≦5μm,B/T≧2 であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグにあ
る。
【0014】本発明において最も注目すべきことは,上
記白金電極は,イリジウムが10〜30重量%,ニッケ
ルが5.5〜10重量%,残りが白金で構成される白金
合金よりなり,上記白金電極の結晶粒組織は,上記白金
電極の放電面に平行な層状組織を有することである。そ
して,上記白金電極の結晶粒径は,上記横断面の平均粒
径Bと,上記縦断面の平均粒径Tとの間に, T≦5μm,B/T≧2 の関係を有することである。
記白金電極は,イリジウムが10〜30重量%,ニッケ
ルが5.5〜10重量%,残りが白金で構成される白金
合金よりなり,上記白金電極の結晶粒組織は,上記白金
電極の放電面に平行な層状組織を有することである。そ
して,上記白金電極の結晶粒径は,上記横断面の平均粒
径Bと,上記縦断面の平均粒径Tとの間に, T≦5μm,B/T≧2 の関係を有することである。
【0015】また,上記白金電極は,上記中心電極に対
して,抵抗溶接等によって接合されている。そして,中
心突出長さが3mm以上のスパークプラグにおいては,
上記白金電極に添加したニッケルの添加量が5.5重量
%未満である場合,イリジウムの添加量にかかわらず,
白金電極と中心電極との接合面に,酸化亀裂が発生しや
すい(図4参照)。
して,抵抗溶接等によって接合されている。そして,中
心突出長さが3mm以上のスパークプラグにおいては,
上記白金電極に添加したニッケルの添加量が5.5重量
%未満である場合,イリジウムの添加量にかかわらず,
白金電極と中心電極との接合面に,酸化亀裂が発生しや
すい(図4参照)。
【0016】また,単にニッケルを5.5重量%以上添
加した場合には,白金電極の消耗量が急激に増加し,火
花ギャップの拡大を引き起こす(図5参照)。この現象
は,以下の理由によると考えられる。即ち,まず,内燃
機関の燃料に含まれている4エチル鉛は,燃焼によりP
bO(一酸化鉛)に変化する。そして,PbOは白金電
極に付着する。
加した場合には,白金電極の消耗量が急激に増加し,火
花ギャップの拡大を引き起こす(図5参照)。この現象
は,以下の理由によると考えられる。即ち,まず,内燃
機関の燃料に含まれている4エチル鉛は,燃焼によりP
bO(一酸化鉛)に変化する。そして,PbOは白金電
極に付着する。
【0017】また,Ni(ニッケル)+O(酸素)→N
iO(一酸化ニッケル),Pb(鉛)+O→PbOの反
応式により,NiO,PbOが生成するための標準生成
自由エネルギーは,NiOの方が低い。そのため,白金
電極に付着したPbOは,主に結晶粒界に存在するNi
により還元される。即ち,結晶粒界部では,PbO+N
i→Pb+NiOとなる。還元されたPbは,Pt(白
金)に容易に固溶するため,粒界近傍の結晶内に侵入し
て合金となる。PbとPtの合金は,非常に融点が低く
約300℃程度にもなる。そのため,Pbが侵入した粒
界近傍は,低融点化する。
iO(一酸化ニッケル),Pb(鉛)+O→PbOの反
応式により,NiO,PbOが生成するための標準生成
自由エネルギーは,NiOの方が低い。そのため,白金
電極に付着したPbOは,主に結晶粒界に存在するNi
により還元される。即ち,結晶粒界部では,PbO+N
i→Pb+NiOとなる。還元されたPbは,Pt(白
金)に容易に固溶するため,粒界近傍の結晶内に侵入し
て合金となる。PbとPtの合金は,非常に融点が低く
約300℃程度にもなる。そのため,Pbが侵入した粒
界近傍は,低融点化する。
【0018】また,粒界にNiOが生成されると,Ni
Oの体積により,粒界が押し広げられようとする。即
ち,粒界がゆるむ。粒界がゆるむと,結晶粒間の熱伝導
が悪化する。そのため,内燃機関の燃焼による受熱,放
電による受熱により,結晶粒の温度は大きく上昇する。
Oの体積により,粒界が押し広げられようとする。即
ち,粒界がゆるむ。粒界がゆるむと,結晶粒間の熱伝導
が悪化する。そのため,内燃機関の燃焼による受熱,放
電による受熱により,結晶粒の温度は大きく上昇する。
【0019】また,結晶粒内には,Pbが侵入しており
低融点となっている。そのため,結晶粒の温度が上昇す
ると,結晶粒は溶融四散するか,溶融球となって,白金
電極の放電面から脱落していく。そして,これらの現象
は,白金合金へのニッケルの添加量が多いほど顕著に現
れる。即ち,ニッケルの添加量が多いほど,白金電極は
激しく消耗する。
低融点となっている。そのため,結晶粒の温度が上昇す
ると,結晶粒は溶融四散するか,溶融球となって,白金
電極の放電面から脱落していく。そして,これらの現象
は,白金合金へのニッケルの添加量が多いほど顕著に現
れる。即ち,ニッケルの添加量が多いほど,白金電極は
激しく消耗する。
【0020】以上のように,ニッケルの添加量が多いス
パークプラグは,上述した酸化亀裂防止の効果を発揮す
る以前に,白金電極が消耗してしまう。つまり,白金合
金のニッケル添加量を単に増加させるだけでは,スパー
クプラグの長寿命化を図ることができない。
パークプラグは,上述した酸化亀裂防止の効果を発揮す
る以前に,白金電極が消耗してしまう。つまり,白金合
金のニッケル添加量を単に増加させるだけでは,スパー
クプラグの長寿命化を図ることができない。
【0021】そこで,本発明においては,白金合金のニ
ッケル添加量を増加し,なおかつ,白金電極の消耗を抑
制することができる方法を見出した。即ち,白金電極の
結晶粒組織を,上記白金電極の放電面に平行な層状組織
とすることにより,Pbが白金電極の粒界に侵入するの
を抑制するようにした。
ッケル添加量を増加し,なおかつ,白金電極の消耗を抑
制することができる方法を見出した。即ち,白金電極の
結晶粒組織を,上記白金電極の放電面に平行な層状組織
とすることにより,Pbが白金電極の粒界に侵入するの
を抑制するようにした。
【0022】そして,更に上記白金電極の結晶粒径は,
上記白金電極の放電面に平行な横断面の平均粒径をB,
上記白金電極の放電面に垂直な縦断面の平均粒径をTと
すると,T≦5μm,B/T≧2の条件を満足する必要
がある。上記平均粒径は,それぞれの断面上の結晶組織
において,100μmの長さの線分が横切る結晶粒の数
をnとしたとき,100/nμmで示される。
上記白金電極の放電面に平行な横断面の平均粒径をB,
上記白金電極の放電面に垂直な縦断面の平均粒径をTと
すると,T≦5μm,B/T≧2の条件を満足する必要
がある。上記平均粒径は,それぞれの断面上の結晶組織
において,100μmの長さの線分が横切る結晶粒の数
をnとしたとき,100/nμmで示される。
【0023】B/T<2である場合には,T=5μmで
あっても,層状組織による白金電極消耗抑制効果があま
り見られない。即ち,5.5重量%以上のニッケルを添
加した白金電極は消耗が激しくなり,火花ギャップが増
加する(図11参照)。また,T>5μmの場合には,
たとえB/T=2であっても,層状組織による白金電極
消耗抑制効果があまり見られない。即ち,5.5重量%
以上のニッケルを添加した白金電極は消耗が激しくな
り,火花ギャップが増加する(図12参照)。
あっても,層状組織による白金電極消耗抑制効果があま
り見られない。即ち,5.5重量%以上のニッケルを添
加した白金電極は消耗が激しくなり,火花ギャップが増
加する(図11参照)。また,T>5μmの場合には,
たとえB/T=2であっても,層状組織による白金電極
消耗抑制効果があまり見られない。即ち,5.5重量%
以上のニッケルを添加した白金電極は消耗が激しくな
り,火花ギャップが増加する(図12参照)。
【0024】また,白金電極の結晶粒径を上述した最適
な範囲にした場合においては,ニッケルの添加量が5.
5〜10重量%範囲であれば,火花ギャップ増加の抑制
を図ることができる(図5,図13比較参照)。しか
し,ニッケルを10重量%以上添加した場合には,白金
電極の消耗が激しくなる。即ち,ニッケルの添加量が1
0重量%以上の場合には,層状組織による白金電極消耗
抑制効果があまり見られず,火花ギャップの拡大が激し
くなる(図13参照)。
な範囲にした場合においては,ニッケルの添加量が5.
5〜10重量%範囲であれば,火花ギャップ増加の抑制
を図ることができる(図5,図13比較参照)。しか
し,ニッケルを10重量%以上添加した場合には,白金
電極の消耗が激しくなる。即ち,ニッケルの添加量が1
0重量%以上の場合には,層状組織による白金電極消耗
抑制効果があまり見られず,火花ギャップの拡大が激し
くなる(図13参照)。
【0025】このことは以下の理由による。即ち,ニッ
ケル添加量が10重量%を超えると,再結晶温度が低く
なる。そのため,スパークプラグ製造時の熱負荷(溶接
工程,他),及び内燃機関運転中などの高温時(約70
0℃)においては,白金電極が再結晶し,結晶粒が粗大
化する。このために,ニッケル添加量が10重量%を超
えると,最適な結晶粒径を維持することができないため
である。したがって,ニッケル量は5.5〜10重量%
とする必要がある。
ケル添加量が10重量%を超えると,再結晶温度が低く
なる。そのため,スパークプラグ製造時の熱負荷(溶接
工程,他),及び内燃機関運転中などの高温時(約70
0℃)においては,白金電極が再結晶し,結晶粒が粗大
化する。このために,ニッケル添加量が10重量%を超
えると,最適な結晶粒径を維持することができないため
である。したがって,ニッケル量は5.5〜10重量%
とする必要がある。
【0026】また,白金電極におけるイリジウムの量は
10〜30重量%である。10重量%未満の場合には強
度が低下し,熱応力により白金電極自体に亀裂が入る問
題があり,一方30重量%を超えると硬度が高くなり,
加工しにくくなるとともに,線膨張が小さくなり,熱応
力が増加し,接触面に酸化亀裂が入る。
10〜30重量%である。10重量%未満の場合には強
度が低下し,熱応力により白金電極自体に亀裂が入る問
題があり,一方30重量%を超えると硬度が高くなり,
加工しにくくなるとともに,線膨張が小さくなり,熱応
力が増加し,接触面に酸化亀裂が入る。
【0027】また,上記中心電極は,その先端部の側面
に1つもしくは2つ以上の白金電極を有し,該白金電極
には,1つもしくは2つ以上の接地電極が対向配設さ
れ,両者間に火花ギャップを形成していることが好まし
い。これにより,より確実な着火性を確保することがで
きる。
に1つもしくは2つ以上の白金電極を有し,該白金電極
には,1つもしくは2つ以上の接地電極が対向配設さ
れ,両者間に火花ギャップを形成していることが好まし
い。これにより,より確実な着火性を確保することがで
きる。
【0028】
【作用および効果】本発明の内燃機関用スパークプラグ
においては,上記中心電極の中心突出長さが3mm以上
である。つまり,火花ギャップを内燃機関の燃焼室内に
大きく突き出している。そのため,着火性に優れてい
る。また,上記白金電極には,イリジウム及びニッケル
が上記特定の範囲で添加されている。そのため,中心電
極と白金電極の接合面において,酸化亀裂の発生を防止
することができる。
においては,上記中心電極の中心突出長さが3mm以上
である。つまり,火花ギャップを内燃機関の燃焼室内に
大きく突き出している。そのため,着火性に優れてい
る。また,上記白金電極には,イリジウム及びニッケル
が上記特定の範囲で添加されている。そのため,中心電
極と白金電極の接合面において,酸化亀裂の発生を防止
することができる。
【0029】また,上記白金電極の結晶組織は,放電面
に平行な層状組織を有する。そして,上記結晶粒径B,
Tの関係は,T≦5μm,B/T≧2である。そのた
め,ニッケルの添加量が5.5〜10重量%と多くて
も,燃焼により生成したPbOが結晶粒中に侵入するの
を抑制することができ,白金電極の剥離,脱落を防止す
ることができる。また,別に緩和層等を増やす必要がな
く,白金量増加によるコスト高を避けることができる。
に平行な層状組織を有する。そして,上記結晶粒径B,
Tの関係は,T≦5μm,B/T≧2である。そのた
め,ニッケルの添加量が5.5〜10重量%と多くて
も,燃焼により生成したPbOが結晶粒中に侵入するの
を抑制することができ,白金電極の剥離,脱落を防止す
ることができる。また,別に緩和層等を増やす必要がな
く,白金量増加によるコスト高を避けることができる。
【0030】上述のごとく,本発明によれば,製造コス
トが安く,白金電極の剥離,脱落を防止することがで
き,長寿命である内燃機関用スパークプラグを提供する
ことができる。
トが安く,白金電極の剥離,脱落を防止することがで
き,長寿命である内燃機関用スパークプラグを提供する
ことができる。
【0031】
実施例1 本発明の実施例にかかる内燃機関用スパークプラグにつ
き,図1〜図14を用いて説明する。本例の内燃機関用
スパークプラグは,図1に示すように,ニッケル基合金
よりなる中心電極1と,接地電極21,22と,両者の
間に火花ギャップを設けてなると共に,上記中心電極1
の基部11は碍子4に埋め込まれている。
き,図1〜図14を用いて説明する。本例の内燃機関用
スパークプラグは,図1に示すように,ニッケル基合金
よりなる中心電極1と,接地電極21,22と,両者の
間に火花ギャップを設けてなると共に,上記中心電極1
の基部11は碍子4に埋め込まれている。
【0032】上記中心電極1は,図2に示すようにその
放電部に白金合金からなる白金電極31,32を接合し
てなると共に,上記中心電極1の先端面101から上記
碍子4の先端面41までの中心突出長さaが3mmであ
る。また上記白金電極31,32は,イリジウムが10
〜30重量%,ニッケルが5.5〜10重量%,残りが
白金で構成される白金合金よりなる。
放電部に白金合金からなる白金電極31,32を接合し
てなると共に,上記中心電極1の先端面101から上記
碍子4の先端面41までの中心突出長さaが3mmであ
る。また上記白金電極31,32は,イリジウムが10
〜30重量%,ニッケルが5.5〜10重量%,残りが
白金で構成される白金合金よりなる。
【0033】また,上記白金電極31,32の結晶粒組
織は,上記白金電極31,32の放電面に平行な層状組
織を有する。そして,上記白金電極31,32の結晶粒
径は,上記白金電極31,32の放電面に平行な横断面
(図7)の平均粒径をB(図8),上記白金電極31,
32の放電面に垂直な縦断面(図9)の平均粒径をT
(図10)とすると,T≦5μm,B/T≧2である。
織は,上記白金電極31,32の放電面に平行な層状組
織を有する。そして,上記白金電極31,32の結晶粒
径は,上記白金電極31,32の放電面に平行な横断面
(図7)の平均粒径をB(図8),上記白金電極31,
32の放電面に垂直な縦断面(図9)の平均粒径をT
(図10)とすると,T≦5μm,B/T≧2である。
【0034】上記中心電極1は,ニッケル基合金〔Ni
−Fe−Cr,インコ600(商標MA600:三菱マ
テリアル社製)〕からなる。そして,図1,図2に示す
ように,中心電極1の先端部10の2箇所の側面部に
は,白金電極31,32を抵抗溶接にて接合してある。
−Fe−Cr,インコ600(商標MA600:三菱マ
テリアル社製)〕からなる。そして,図1,図2に示す
ように,中心電極1の先端部10の2箇所の側面部に
は,白金電極31,32を抵抗溶接にて接合してある。
【0035】上記白金電極31,32は,所定量の成分
のインゴットを圧延して薄板を作り,これを打ち抜いて
作製している。そして,その寸法形状は,図7,図9に
示すように,円板ディスク状の形状を呈しており,直径
1.2mm,厚さ0.3mmである。また,上記結晶組
織を変化させる場合には,上記圧延時の圧下率及び熱処
理条件を変更することにより行う。
のインゴットを圧延して薄板を作り,これを打ち抜いて
作製している。そして,その寸法形状は,図7,図9に
示すように,円板ディスク状の形状を呈しており,直径
1.2mm,厚さ0.3mmである。また,上記結晶組
織を変化させる場合には,上記圧延時の圧下率及び熱処
理条件を変更することにより行う。
【0036】また,接地電極21,22は,図1,図2
A,Bに示すように,その先端部が白金電極31,32
に対向するように配設されている。そして,接地電極2
1,22の先端部と白金電極31,32の間には,1m
mの火花ギャップg(図2)が形成されている。そし
て,接置電極21,22も,中心電極と同様のニッケル
基合金よりなる。また,上記接地電極21,22の上面
210,220と碍子4の先端面41との距離bは1.
5mmに設定してある。
A,Bに示すように,その先端部が白金電極31,32
に対向するように配設されている。そして,接地電極2
1,22の先端部と白金電極31,32の間には,1m
mの火花ギャップg(図2)が形成されている。そし
て,接置電極21,22も,中心電極と同様のニッケル
基合金よりなる。また,上記接地電極21,22の上面
210,220と碍子4の先端面41との距離bは1.
5mmに設定してある。
【0037】また,図1に示すごとく,上記碍子4は金
属ハウジング5の内孔50内に挿入固定され,上記金属
ハウジング5の腹部51をかしめることにより一体化さ
れている。そして,中心電極1は導電製ガラス134,
内蔵抵抗135を介して端子136に接続されている。
また,碍子4と金属ハウジング5との気密性を確保する
ため,ガスケット131,132が組み付けられてい
る。
属ハウジング5の内孔50内に挿入固定され,上記金属
ハウジング5の腹部51をかしめることにより一体化さ
れている。そして,中心電極1は導電製ガラス134,
内蔵抵抗135を介して端子136に接続されている。
また,碍子4と金属ハウジング5との気密性を確保する
ため,ガスケット131,132が組み付けられてい
る。
【0038】次に本例における作用効果につき,比較評
価結果をまじえて説明する。まず,上記白金電極31,
32と中心電極1との接合性に対して,白金電極31,
32の材質がどのように影響を及ぼすかを示す。白金電
極31,32の材質としては,イリジウムを10〜30
重量%の範囲で変化させ,また,ニッケルを2〜10重
量%の範囲で変化させ,残りを白金とした。
価結果をまじえて説明する。まず,上記白金電極31,
32と中心電極1との接合性に対して,白金電極31,
32の材質がどのように影響を及ぼすかを示す。白金電
極31,32の材質としては,イリジウムを10〜30
重量%の範囲で変化させ,また,ニッケルを2〜10重
量%の範囲で変化させ,残りを白金とした。
【0039】評価エンジンは,水冷4サイクル6気筒2
000ccエンジンを使用した。そして評価条件は,ア
イドリング1分と全負荷5000rpm1分を繰り返
し,50時間運転とした。また,評価の特性値として
は,以下に定義する上記接合面の酸化率を用いた。上記
接合面の酸化率は,図3に示すように,酸化亀裂39の
長さを上方亀裂e,下方亀裂fとし,白金電極31,3
2の径をd(図7)としたとき,(e+f)/d×10
0%で表すこととした。
000ccエンジンを使用した。そして評価条件は,ア
イドリング1分と全負荷5000rpm1分を繰り返
し,50時間運転とした。また,評価の特性値として
は,以下に定義する上記接合面の酸化率を用いた。上記
接合面の酸化率は,図3に示すように,酸化亀裂39の
長さを上方亀裂e,下方亀裂fとし,白金電極31,3
2の径をd(図7)としたとき,(e+f)/d×10
0%で表すこととした。
【0040】評価の結果は,図4に示すごとく,イリジ
ウム添加量が10〜30重量%の範囲内においては,ニ
ッケル添加量が5.5重量%以上あれば,良好な接合信
頼性を確保できることを示している。即ち,本発明の白
金電極31,32の材質範囲内においては,上記接合面
の接合性は,十分に信頼できるものである。
ウム添加量が10〜30重量%の範囲内においては,ニ
ッケル添加量が5.5重量%以上あれば,良好な接合信
頼性を確保できることを示している。即ち,本発明の白
金電極31,32の材質範囲内においては,上記接合面
の接合性は,十分に信頼できるものである。
【0041】次に,比較例として,白金電極31,32
の結晶組織を従来のままとし,ニッケル添加量を単に増
加させた場合における,白金電極31,32の消耗性の
評価結果を示す。即ち,まず,白金電極31,32の材
質は,イリジウム添加量を20重量%に固定し,ニッケ
ル添加量を2〜10重量%の範囲で変化させ,残りを白
金とした。評価エンジンは,水冷4サイクル6気筒20
00ccエンジンを使用した。そして評価条件は,負荷
はRoad−Load(平坦路走行相当の負荷)とし,
30分の60km/H走行と30分の100km/H走
行を繰り返し,5万km走行により行った。そして,走
行後における火花ギャップの増加量(mm)を測定し
た。
の結晶組織を従来のままとし,ニッケル添加量を単に増
加させた場合における,白金電極31,32の消耗性の
評価結果を示す。即ち,まず,白金電極31,32の材
質は,イリジウム添加量を20重量%に固定し,ニッケ
ル添加量を2〜10重量%の範囲で変化させ,残りを白
金とした。評価エンジンは,水冷4サイクル6気筒20
00ccエンジンを使用した。そして評価条件は,負荷
はRoad−Load(平坦路走行相当の負荷)とし,
30分の60km/H走行と30分の100km/H走
行を繰り返し,5万km走行により行った。そして,走
行後における火花ギャップの増加量(mm)を測定し
た。
【0042】使用燃料は,米国市場の加鉛量上限値の量
である0.01g/usgalの4エチル鉛を加えたも
のを使用した。また,スパークプラグへの電圧印加極性
としては,中心電極1即ち白金電極31,32が−極と
した一般的なものと,+極とした特殊なものを評価し
た。
である0.01g/usgalの4エチル鉛を加えたも
のを使用した。また,スパークプラグへの電圧印加極性
としては,中心電極1即ち白金電極31,32が−極と
した一般的なものと,+極とした特殊なものを評価し
た。
【0043】その結果,白金電極31,32は,−極性
とした場合には,+極性としたものに比べ白金電極の消
耗量が多かった。これは,白金電極31,32が−極性
となる場合,放電による+イオンが白金電極31,32
に衝突し,電極を高温化することと,スパッタにより消
耗が大きくなることによる。
とした場合には,+極性としたものに比べ白金電極の消
耗量が多かった。これは,白金電極31,32が−極性
となる場合,放電による+イオンが白金電極31,32
に衝突し,電極を高温化することと,スパッタにより消
耗が大きくなることによる。
【0044】また,白金電極31,32を−極性とした
場合の評価結果,即ちNi添加量(wt%)とギャップ
増加量(mm)との関係を,図5に示す。同図より知ら
れるごとく,ニッケル添加量が5重量%を越えると,白
金電極31,32の消耗が急激に多くなり,火花ギャッ
プg(図2)が急激に拡大する。また,図6に,消耗評
価後の白金電極31,32の放電面近傍の断面を観察し
た結果を示す。なお,観察した白金電極31,32は,
イリジウム20重量%,ニッケル10重量%のものであ
る。
場合の評価結果,即ちNi添加量(wt%)とギャップ
増加量(mm)との関係を,図5に示す。同図より知ら
れるごとく,ニッケル添加量が5重量%を越えると,白
金電極31,32の消耗が急激に多くなり,火花ギャッ
プg(図2)が急激に拡大する。また,図6に,消耗評
価後の白金電極31,32の放電面近傍の断面を観察し
た結果を示す。なお,観察した白金電極31,32は,
イリジウム20重量%,ニッケル10重量%のものであ
る。
【0045】図6に示すごとく,白金電極31,32の
放電面には,一旦溶融し,表面張力により球状になり,
その後凝固した溶融球301が多量に観られた。放電面
近傍には,結晶粒界のゆるみ部305が観察された。上
記溶融球の成分を元素分析(JEOL製EDS使用)し
た結果,Pt,Ir,Niの他にPbが検出された。そ
して,そのPbの検出量は,ニッケル添加量が多いもの
ほど,多かった。
放電面には,一旦溶融し,表面張力により球状になり,
その後凝固した溶融球301が多量に観られた。放電面
近傍には,結晶粒界のゆるみ部305が観察された。上
記溶融球の成分を元素分析(JEOL製EDS使用)し
た結果,Pt,Ir,Niの他にPbが検出された。そ
して,そのPbの検出量は,ニッケル添加量が多いもの
ほど,多かった。
【0046】また,粒界ゆるみ部305も同様に元素分
析した結果,PbとNiが多量に検出された。また粒界
ゆるみ部305の放電面からの深さL(図6)は,ニッ
ケルの添加量が多いものほど,深くなる傾向にあった。
析した結果,PbとNiが多量に検出された。また粒界
ゆるみ部305の放電面からの深さL(図6)は,ニッ
ケルの添加量が多いものほど,深くなる傾向にあった。
【0047】次に,本発明に関する上記白金電極31,
32において,層状の結晶組織と消耗性との相関関係の
評価結果を示す。まず,白金電極31,32の材質は,
イリジウム添加量を20重量%に固定し,ニッケル添加
量も7重量%に固定し,残りを白金とした。
32において,層状の結晶組織と消耗性との相関関係の
評価結果を示す。まず,白金電極31,32の材質は,
イリジウム添加量を20重量%に固定し,ニッケル添加
量も7重量%に固定し,残りを白金とした。
【0048】また,上記結晶組織の特徴に関しては,図
7〜図10に示すごとく,白金電極31,32の放電面
に平行な横断面37(図7)における結晶粒径B(図
8)と,白金電極31,32に垂直な縦断面38(図
9)における結晶粒径T(図9)で表した。
7〜図10に示すごとく,白金電極31,32の放電面
に平行な横断面37(図7)における結晶粒径B(図
8)と,白金電極31,32に垂直な縦断面38(図
9)における結晶粒径T(図9)で表した。
【0049】また,結晶粒径は,前述したように,それ
ぞれの断面上に100μmの線分を引き,その線分で横
切られた結晶粒の数をnとしたとき,100/nμmで
求めた。その他使用エンジン等の評価方法は,上述した
結晶粒組織調整無しの白金電極31,32(上記比較
例)における消耗性評価方法と同様とした。
ぞれの断面上に100μmの線分を引き,その線分で横
切られた結晶粒の数をnとしたとき,100/nμmで
求めた。その他使用エンジン等の評価方法は,上述した
結晶粒組織調整無しの白金電極31,32(上記比較
例)における消耗性評価方法と同様とした。
【0050】その結果,図11に示すように,T=5μ
mとした場合には,B/Tが2以上になると,火花ギャ
ップの増加が少なくなる。即ち,Bが大きくなれば,放
電面に露出する粒界の合計長さ(mm)が短くなる。そ
のため,粒界へのPbOの侵入は少なくなり,白金電極
31,32の消耗は小さくなる。また,図12に示すよ
うに,B/T=2とした場合には,Tが5μm以下にな
ると,火花ギャップの増加が極端に少なくなる。即ち,
結晶粒の厚さが薄いほど,PbOが粒界の奥深くに侵入
しにくくなる。そのため,白金電極31,32の消耗は
少なくなる。
mとした場合には,B/Tが2以上になると,火花ギャ
ップの増加が少なくなる。即ち,Bが大きくなれば,放
電面に露出する粒界の合計長さ(mm)が短くなる。そ
のため,粒界へのPbOの侵入は少なくなり,白金電極
31,32の消耗は小さくなる。また,図12に示すよ
うに,B/T=2とした場合には,Tが5μm以下にな
ると,火花ギャップの増加が極端に少なくなる。即ち,
結晶粒の厚さが薄いほど,PbOが粒界の奥深くに侵入
しにくくなる。そのため,白金電極31,32の消耗は
少なくなる。
【0051】次に,B/T=2,T=5μmとして,ニ
ッケルの添加量を2〜12重量%で変化させた場合の火
花ギャップg(図2)の増加量を,図13に示す。図1
3と前記図5(比較例)を比較することにより,結晶粒
径を調整した本例のものは,ニッケル添加量が5〜10
重量%の範囲において火花ギャップg(図2)の増加を
抑制する効果が高いことがわかる。
ッケルの添加量を2〜12重量%で変化させた場合の火
花ギャップg(図2)の増加量を,図13に示す。図1
3と前記図5(比較例)を比較することにより,結晶粒
径を調整した本例のものは,ニッケル添加量が5〜10
重量%の範囲において火花ギャップg(図2)の増加を
抑制する効果が高いことがわかる。
【0052】以上のように,本例の内燃機関用スパーク
プラグにおいては,上記中心電極1の中心突出長さa
(図2)が3mmである。つまり,火花ギャップを内燃
機関の燃焼室内に大きく突き出している。そのため,着
火性に優れている。また,上記中心電極1に接合された
白金電極31,32には,イリジウム及びニッケルが上
記範囲で添加されている。そのため,中心電極1と白金
電極31,32の接合面において,酸化亀裂の発生を防
止することができる。
プラグにおいては,上記中心電極1の中心突出長さa
(図2)が3mmである。つまり,火花ギャップを内燃
機関の燃焼室内に大きく突き出している。そのため,着
火性に優れている。また,上記中心電極1に接合された
白金電極31,32には,イリジウム及びニッケルが上
記範囲で添加されている。そのため,中心電極1と白金
電極31,32の接合面において,酸化亀裂の発生を防
止することができる。
【0053】また,上記白金電極の結晶組織は,放電面
に平行な層状組織を有する。そして,上記結晶粒径B,
Tにおいて,T≦5μm,B/T≧2である。そのた
め,ニッケルの添加量を5.5〜10重量%まで多くし
ても,燃焼により生成したPbOが結晶粒中に侵入する
のを抑制することができ,白金電極の剥離,脱落を防止
することができる。また,従来例のように別に緩和層等
を増やす必要がなく,白金量増加によるコスト高を避け
ることができる。
に平行な層状組織を有する。そして,上記結晶粒径B,
Tにおいて,T≦5μm,B/T≧2である。そのた
め,ニッケルの添加量を5.5〜10重量%まで多くし
ても,燃焼により生成したPbOが結晶粒中に侵入する
のを抑制することができ,白金電極の剥離,脱落を防止
することができる。また,従来例のように別に緩和層等
を増やす必要がなく,白金量増加によるコスト高を避け
ることができる。
【0054】実施例2 本例の内燃機関用スパークプラグは,図14に示すごと
く,中心電極7の先端部に白金電極9を配設し,1つの
接地電極8を上記白金電極9の放電面に対向配設してあ
る。また,中心突出長さaは,3mmである。その他
は,実施例1と同様である。本例においても,実施例1
と同様の効果を得ることができる。
く,中心電極7の先端部に白金電極9を配設し,1つの
接地電極8を上記白金電極9の放電面に対向配設してあ
る。また,中心突出長さaは,3mmである。その他
は,実施例1と同様である。本例においても,実施例1
と同様の効果を得ることができる。
【図1】実施例1の内燃機関用スパークプラグの一部断
面側面図。
面側面図。
【図2】実施例1の内燃機関用スパークプラグの要部に
おける,(A)側面図及び(B)底面図。
おける,(A)側面図及び(B)底面図。
【図3】実施例1の内燃機関用スパークプラグにおけ
る,中心電極の亀裂を示す説明図。
る,中心電極の亀裂を示す説明図。
【図4】実施例1の内燃機関用スパークプラグにおけ
る,白金電極のニッケル添加量と接合面酸化率との相関
関係の説明図。
る,白金電極のニッケル添加量と接合面酸化率との相関
関係の説明図。
【図5】実施例1中の比較例における,白金電極のニッ
ケル添加量と火花ギャップ増加量との相関関係の説明
図。
ケル添加量と火花ギャップ増加量との相関関係の説明
図。
【図6】実施例1中の比較例における,白金電極の消耗
後の結晶粒状態説明図。
後の結晶粒状態説明図。
【図7】実施例1の内燃機関用スパークプラグにおける
白金電極の横断面の説明図。
白金電極の横断面の説明図。
【図8】実施例1の内燃機関用スパークプラグにおける
白金電極の横断面上の結晶粒径の説明図。
白金電極の横断面上の結晶粒径の説明図。
【図9】実施例1の内燃機関用スパークプラグにおける
白金電極の縦断面の説明図。
白金電極の縦断面の説明図。
【図10】実施例1の内燃機関用スパークプラグにおけ
る白金電極の縦断面上の結晶粒径の説明図。
る白金電極の縦断面上の結晶粒径の説明図。
【図11】実施例1における白金電極の結晶粒径(B/
T)と火花ギャップ増加量との相関関係の説明図。
T)と火花ギャップ増加量との相関関係の説明図。
【図12】実施例1における白金電極の結晶粒径(T)
と火花ギャップ増加量との相関関係の説明図。
と火花ギャップ増加量との相関関係の説明図。
【図13】実施例1における白金電極のニッケル添加量
と火花ギャップ増加量との相関関係説明図。
と火花ギャップ増加量との相関関係説明図。
【図14】実施例2の内燃機関用スパークプラグの要部
拡大側面図。
拡大側面図。
1...中心電極, 101...先端面, 21,22...接地電極, 31,32...白金電極, 4...碍子, 41...先端面, 5...金属ハウジング, b...中心突出長さ,
Claims (2)
- 【請求項1】 ニッケル基合金よりなる中心電極と,接
地電極と,両者の間に火花ギャップを設けてなると共
に,上記中心電極の基部は碍子に埋め込まれている内燃
機関用スパークプラグにおいて,上記中心電極は,その
放電部に白金合金からなる白金電極を接合してなると共
に,上記中心電極の先端面から上記碍子の先端面までの
中心突出長さが3mm以上であり,上記白金電極は,イ
リジウムが10〜30重量%,ニッケルが5.5〜10
重量%,残りが白金で構成される白金合金よりなり,か
つ,上記白金電極の結晶粒組織は,上記白金電極の放電
面に平行な層状組織を有し,かつ,上記白金電極の結晶
粒径は,上記白金電極の放電面に平行な横断面の平均粒
径をB,上記白金電極の放電面に垂直な縦断面の平均粒
径をTとすると, T≦5μm,B/T≧2 であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。 - 【請求項2】 請求項1において,上記中心電極は,そ
の先端部の側面に1つもしくは2つ以上の白金電極を有
し,該白金電極には,1つもしくは2つ以上の接地電極
が対向配設され,両者間に火花ギャップを形成している
ことを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19491494A JP3562532B2 (ja) | 1994-07-26 | 1994-07-26 | 内燃機関用スパークプラグ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19491494A JP3562532B2 (ja) | 1994-07-26 | 1994-07-26 | 内燃機関用スパークプラグ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0837082A true JPH0837082A (ja) | 1996-02-06 |
JP3562532B2 JP3562532B2 (ja) | 2004-09-08 |
Family
ID=16332448
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19491494A Expired - Fee Related JP3562532B2 (ja) | 1994-07-26 | 1994-07-26 | 内燃機関用スパークプラグ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3562532B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6304022B1 (en) | 1998-01-19 | 2001-10-16 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | Spark plug |
JP2007227189A (ja) * | 2006-02-24 | 2007-09-06 | Ngk Spark Plug Co Ltd | 内燃機関用スパークプラグ及びその製造方法 |
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