JPH08306458A - 回転体と固定体との間の電気的接続装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ＦＦＣに大きなストレスを与えることなく、
キャリア（移動部材）の振動ノイズ及び摺動ノイズの発
生を低減すること。 【構成】 ハウジング２と回転体１とを、両者間の環状
空間１０に収容されたＦＦＣ１４で電気的に接続し、こ
の環状空間１０に配置された平面Ｃ字状のキャリア８の
開口部９をＦＦＣ１４の反転部１４ａが通過するように
し、キャリア８の摺動面に滑性手段１１を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、固定体側と、この固定
体内に設けられる回転体とを、この両者間の環状空間に
設けられる可撓性のフラットケーブル（以下、ＦＦＣと
略称）により接続する回転体と固定体との間の電気的接
続装置に関し、詳しくは、ＦＦＣの巻き方向反転部が通
過するキャリア構造の改良に係わるものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、自動車の電子制御化が進むにつ
れ、自動車の操舵装置におけるハンドル（ステアリング
ホイール）にも、電子制御のための各種スイッチが設け
られるようになっており、このスイッチを電気配線によ
ってステアリングコラム側に接続する必要がある。自動
車のハンドルは、複数回左右に回転可能なように設定さ
れているため、ハンドルの回転軸とステアリングコラム
とを電気的に接続するためには、一般に複数の導線を備
えたＦＦＣが、ハンドル軸に固定された回転体とステア
リングコラム側に固定された固定体であるハウジングと
の間に渦巻き状態で設けられた構成の、回転体と固定体
との間の電気的接続装置が用いられる。

【０００３】上述のような回転体と固定体との間の電気
的接続装置として、実開平５−５３１８３号公報、ある
いは特開平４−３３３４７３号公報に開示されているよ
うに、ガイドリングあるいは移動体と称される平面Ｃ字
状のキャリアを用いたものが知られている。

【０００４】すなわち、実開平５−５３１８３号公報の
ものは、図１０および図１１に示すように互いに相対的
に回転する内側ケース２１と外側ケース２２との間の環
状空間２３に、切欠２４を有する環状のガイドリング２
５（キャリア）を配置し、この切欠２４にＦＦＣ２６の
反転部２７を通過させるようにしたものである。ＦＦＣ
２６の両端は各々内側ケース２１と外側ケース２２に固
着されている。内側ケース２１が例えば左回りに回転す
ると、ＦＦＣ２６は内側ケース２１に巻かれた部位がほ
ぐされつつ外側ケース２２の内周に巻かれていき、内側
ケース２１が例えば右回りに回転すると、ＦＦＣ２６は
外側ケース２２の内周に巻かれた部位がほぐされつつ、
そのほぐされた部位が内側ケース２１の外周に巻かれて
いく。このときＦＦＣ２６の反転部２７がガイドリング
２５の切欠２４の端面を押しつつガイドリング２５を回
転移動させるようになっている。

【０００５】また、ガイドリング２５にばね部材３３や
弾性片を取り付けて、ＦＦＣ２６を回転体２１の外周に
押しつけてＦＦＣ２６のたるみを防止する手段も開示さ
れている。

【０００６】又、上記特開平４−３３３４７３号公報に
は、図１２に示すように、移動体２９（キャリア）の内
外周に滑性部材３４を設けてＦＦＣとの摩擦抵抗を低減
する手段が開示されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の回
転体と固定体との間の電気的接続装置においては、いず
れもキャリアが回転移動するとき、あるいは外部からの
振動によって、キャリアが上下又は径方向にぶれやす
く、そのためキャリアが固定体の内面に接触し、振動ノ
イズが発生し、又回転移動時に固定体との摺動による摺
動ノイズが発生するという課題があった。

【０００８】また、キャリアにばね部材３３等を取り付
けて、ＦＦＣ２６を回転体外周や固定体内周に押しつけ
るようにしたもの（図１０及び図１１参照）では、キャ
リアの径方向のぶれはある程度防止できるが、この構成
ではばね部材３３等によってキャリアの摺動抵抗が大き
くなるため、ＦＦＣ２６に大きなストレスが加わり、Ｆ
ＦＣ２６が挫屈しやすいという課題をも有する。

【０００９】本発明は上述の点に着目してなされたもの
で、ＦＦＣに大きなストレスを与えることなく、キャリ
ア（移動部材）の振動ノイズ及び摺動ノイズの発生を低
減した、回転体と固定体との間の電気的接続装置を提供
することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
固定体内に回転体が回転可能に設けられ、この固定体と
回転体との間の環状空間に、一端が前記固定体に固定さ
れ他端が前記回転体に固定されたＦＦＣが収容され、こ
のＦＦＣは途中の反転部を介して前記回転体の外周側と
前記固定体の内周側とに互いに逆向きに各々巻き付ける
ように構成され、かつ前記環状空間に、前記回転体の外
周または固定体の内周への各々の巻き付け動作に伴う前
記反転部の円周方向の移動と共に、前記回転体の回転に
対して回転移動する移動部材を配置し、この移動部材は
環状体の一部に開口部が形成され、この開口部を前記反
転部が通過するように構成された、回転体と固定体との
間の電気的接続装置において、前記移動部材の上面及び
下面の前記固定体との摺動面に滑性手段を設けたことを
特徴としている。

【００１１】請求項２記載の発明は、請求項１記載の回
転体と固定体との間の電気的接続装置であって、前記移
動部材は板状の側壁からなる中空環状体で構成され、こ
の移動部材の上端縁及び下端縁に滑性手段を設けたこと
を特徴としている。

【００１２】また、請求項３記載の発明は、請求項１又
は２記載の、回転体と固定体との間の電気的接続装置で
あって、前記滑性手段を滑性材のコーティング又は滑性
シートの張り付けで構成したことを特徴としている。

【００１３】さらに、請求項４記載の発明は、請求項１
記載の、回転体と固定体との間の電気的接続装置であっ
て、前記滑性手段を移動部材と同心円をなす一又は複数
本のリブで構成したことを特徴としている。

【００１４】

【作用】請求項１、３又は４記載の発明では、回転体が
往復回動し、ＦＦＣの反転部を介して移動部材が回転移
動する際、移動部材は滑性手段により固定体の上、下内
面を滑らかに摺動し、摺動ノイズの発生を抑制すると共
に、滑性手段と固定体との接触でがたつきをなくし、振
動ノイズの発生も抑制する。

【００１５】又、請求項２記載の発明では、移動部材は
コーティングされた滑性材が固定体の上、下内面を滑ら
かに摺動し、同様に摺動ノイズ及び振動ノイズの発生を
抑制する。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１７】図１は本発明に係わる回転体と固定体との
間の電気的接続装置の上部を開放した平面図であり、図
２は図１の回転体と固定体との間の電気的接続装置の分
解斜視図であり、図３は要部の縦断側面図、図４はキャ
リアの斜視図である。

【００１８】図１乃至図３において、自動車のハンドル
の軸が挿入固定される回転体１が中央に配置されてい
る。図示しないステアリングコラム側に固定される固定
体であるハウジング２は、回転体１を回転自在に支持す
る孔６を備えたアンダーカバー３と、このアンダーカバ
ー３上に装着されたカバー４と、このカバー４上に装着
されたアッパーカバー５とよりなる（図２参照）。回転
体１は孔６に挿入され、フランジ７でアンダーカバー３
の内面に係止されている（図３参照）。

【００１９】移動部材であるキャリア８は環状体の一部
に開口部９を形成したほぼ平面Ｃ字形状のもので、ハウ
ジング２と回転体１との間に形成される環状空間１０
に、円周方向に回転移動可能に配置してある。

【００２０】このキャリア８の上面及び下面の摺動面に
は、図３及び図４に示すように、滑性手段１１が設けら
れている。この滑性手段１１は例えばテフロン樹脂、フ
ッ素樹脂、シリコン樹脂等の合成樹脂をコーティングす
るか、又はこのような合成樹脂製の滑性シートを張り付
けて構成される。

【００２１】ＦＦＣ１４は図１に示すように、内周側の
一端に設けた内端側接続ハウジング１５（図２参照）が
回転体１の固定部２０に固定され、この内端側接続ハウ
ジング１５から引き出されたＦＦＣ１４は、回転体１の
外周に沿って巻かれ、キャリア８の開口部９を通過する
反転部１４ａを形成し、ハウジング２の内周面に沿って
前記とは逆方向に巻かれ、その先端に取り付けられたコ
ネクタ１６がアンダーカバー３の膨出部１７に固定され
て取付けられている。

【００２２】上記第１実施例の構成によれば、ＦＦＣ１
４は、回転体１の図１での右回りに伴って回転体１の外
周に巻かれた部位がほぐされつつ、ハウジング２の内周
に巻かれる。このとき、反転部１４ａは回転体１に対し
て相対回転しつつ回転体１と同方向に減速された状態で
環状空間１０内を移動し、この移動に伴いキャリア８が
反転部１４ａの外周面に押されてキャリア８と同方向に
回転移動する。

【００２３】回転体１の図１での左回りに伴って、ハウ
ジング２の内周に巻かれた部位がほぐされつつ、そのほ
ぐされた部位が回転体１の外周に巻かれていく。このと
きキャリア８は反転部１４ａの内周面に押されて回転体
１と同方向に回転移動する。

【００２４】キャリア８が回転移動する際、滑性手段１
１はハウジング２の上、下内面に沿って摺動する。この
滑性手段１１によってキャリア８の回転移動の際の摺動
摩擦抵抗を小さくすることができる。

【００２５】図５及び図６は、本発明の回転体と固定体
との間の電気的接続装置の第２実施例であり、キャリア
３０は板状の側壁からなる中空環状体で構成されてい
る。このキャリア３０の上端縁及び下端縁に上述のよう
な滑性機能を有する合成樹脂からなる滑性材１８をコー
ティングしてある。この第２実施例では図６のように、
滑性材１８がハウジング２の上、下内面に沿って摺動す
るが、面接触のキャリア８に比べて軽量で接触面積も小
さいため、キャリア３０の回転移動がより軽快である。

【００２６】図７、図８及び図９は、本発明の回転体と
固定体との間の電気的接続装置の第３実施例であり、キ
ャリア４０の上面及び下面に、上述のような樹脂製滑性
材からなるリブ１９を設けた構成である。このリブ１９
は一本又は二本以上で構成され、かつキャリア４０と同
心円に配置されている。リブ１９を複数本設ける場合、
その両端は接続せず、不連続とすることが好ましい。こ
れはキャリア４０が回転移動するときの摺動抵抗をより
小さくするためである。

【００２７】リブ１９の断面形状は、図８（ａ）に示す
ような三角形状、図８（ｂ）に示すような半円形状、図
８（ｃ）に示すような台形又は四角形状等いずれでもよ
い。リブ１９は、例えば次のような方法で形成される。

【００２８】（ａ）キャリア４０本体を滑性材で形成
し、キャリア４０の上、下面を成形によりリブとする。

【００２９】（ｂ）キャリア４０の上、下面を成形によ
りリブとし、リブの部分又はキャリア４０の面全体を滑
性材でコーティングする。

【００３０】（ｃ）滑性材からなるテープをキャリア４
０の上、下面に張り付けてリブを形成する。

【００３１】（ｄ）キャリア４０の面にリブを形成した
滑性材シートを張り付ける。

【００３２】上記第３実施例では、図９に示すように、
キャリア４０が移動するときリブ１９が線接触でハウジ
ング２の上、下内面を摺動し、この際リブ１９はキャリ
ア４０と同心円にあるから、キャリア４０の回転移動に
対する摺動抵抗がより小さくなる。

【００３３】

【発明の効果】以上詳述したように請求項１又は３記載
の発明によれば、移動部材が回転移動する際、滑性手段
が固定体の上、下内面を滑らかに摺動し、摺動ノイズの
発生を抑制すると共に、摺動摩擦が小さいため移動部材
の磨耗も少なくでき、かつＦＦＣに対するストレスを小
さくすることができ、長寿命の装置が得られる。又、移
動部材の上、下のがたつきがないため、振動によるノイ
ズも防止できる。

【００３４】又、請求項２記載の発明によれば、上記効
果に加えて、移動部材が軽量でありかつ摺動接触面積が
小さいため、摺動抵抗がより小さくなり、摺動、振動ノ
イズをさらに小さくできる。

【００３５】請求項４記載の発明によれば、滑性手段が
移動部材と同心円のリブので構成されるため、上記効果
に加えて移動部材本体の磨耗が生じにくく、信頼性、長
寿命を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の回転体と固定体との間の
電気的接続装置を示す上部開放状態の平面図である。

【図２】図１の回転体と固定体との間の電気的接続装置
の分解斜視図である。

【図３】図１の回転体と固定体との間の電気的接続装置
の要部の断面図である。

【図４】図１の回転体と固定体との間の電気的接続装置
に用いられる移動部材の斜視図である。

【図５】本発明の第２実施例の回転体と固定体との間の
電気的接続装置に用いられる移動部材の斜視図である。

【図６】図５の回転体と固定体との間の電気的接続装置
図の要部の断面図である。

【図７】本発明の第３実施例の回転体と固定体との間の
電気的接続装置に用いられる移動部材の斜視図である。

【図８】図７の移動部材のリブ変形例であり、（ａ）は
断面三角形状のリブ、（ｂ）は断面半円形状のリブ、
（ｃ）は断面矩形状のリブをそれぞれ示す。

【図９】図７の回転体と固定体との間の電気的接続装置
の要部の断面図である。

【図１０】従来の回転体と固定体との間の電気的接続装
置の平面図である。

【図１１】図１０の電気的接続装置の縦断側面図であ
る。

【図１２】別の従来の回転体と固定体との間の電気的接
続装置の移動部材の斜視図である。

【符号の説明】

１ 回転体 ２ ハウジング（固定体） ８，３０，４０ キャリア（移動部材） ９ 開口部 １０ 環状空間 １１ 滑性手段 １４ ＦＦＣ（フラットケーブル） １４ａ 反転部 １８ 滑性材（滑性手段） １９ リブ（滑性手段）

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定体内に回転体が回転可能に設けら
   れ、この固定体と回転体との間の環状空間に、一端が前
   記固定体に固定され他端が前記回転体に固定された可撓
   性のフラットケーブルが収容され、このフラットケーブ
   ルは途中の反転部を介して前記回転体の外周側と前記固
   定体の内周側とに互いに逆向きに各々巻き付けるように
   構成され、かつ前記環状空間に、前記回転体の外周また
   は固定体の内周への各々の巻き付け動作に伴う前記反転
   部の円周方向の移動と共に、前記回転体の回転に対して
   回転移動する移動部材を配置し、この移動部材は環状体
   の一部に開口部が形成され、この開口部を前記反転部が
   通過するように構成された、回転体と固定体との間の電
   気的接続装置において、 前記移動部材の前記固定体との摺動面に滑性手段を設け
   たことを特徴とする、回転体と固定体との間の電気的接
   続装置。
2. 【請求項２】 前記移動部材は板状の側壁からなる中空
   環状体で構成され、この移動部材の上端縁及び下端縁に
   滑性手段を設けたことを特徴とする請求項１記載の、回
   転体と固定体との間の電気的接続装置。
3. 【請求項３】 前記滑性手段を、滑性材のコーティング
   又は滑性シートの張り付けで構成したことを特徴とする
   請求項１又は２記載の、回転体と固定体との間の電気的
   接続装置。
4. 【請求項４】 前記滑性手段を、移動部材と同心円をな
   す一又は複数本のリブで構成したことを特徴とする請求
   項１記載の、回転体と固定体との間の電気的接続装置。