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JPH08289793A - デルタ−5,7ステロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有するA.Thalianaの蛋白質をコードするDNA配列、デルタ7−Red蛋白質、製造方法、トランスフォームした酵母株、及び利用 - Google Patents

デルタ−5,7ステロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有するA.Thalianaの蛋白質をコードするDNA配列、デルタ7−Red蛋白質、製造方法、トランスフォームした酵母株、及び利用

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JPH08289793A
JPH08289793A JP8050798A JP5079896A JPH08289793A JP H08289793 A JPH08289793 A JP H08289793A JP 8050798 A JP8050798 A JP 8050798A JP 5079896 A JP5079896 A JP 5079896A JP H08289793 A JPH08289793 A JP H08289793A
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JP
Japan
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delta
sterol
protein
sequence
yeast
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JP8050798A
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Xavier Chenivesse
グザビエ・シュニベス
Catherine Duport
カトリーヌ・デュポール
Eric Lecain
エリク・ルカン
Denis Pompon
ドニ・ポンポン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanofi Aventis France
Original Assignee
Roussel Uclaf SA
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Priority claimed from FR9506517A external-priority patent/FR2734839B1/fr
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    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/0004Oxidoreductases (1.)
    • C12N9/001Oxidoreductases (1.) acting on the CH-CH group of donors (1.3)
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    • C12N1/16Yeasts; Culture media therefor
    • C12N1/18Baker's yeast; Brewer's yeast
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C12P33/00Preparation of steroids
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−7レダ
クターゼ活性を有するA. Thaliana の蛋白質、デルタ7
−Red蛋白質をコードするDNA配列、製造方法、ト
ランスフォームした酵母株、及び利用を提供すること。 【解決手段】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−7
レダクターゼ活性を有するA. Thaliana の蛋白質、デル
タ7−Red蛋白質をコードするDNA配列、製造方
法、トランスフォームした酵母株、及び利用を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】デルタ−5,7ステロール,デルタ−7レ
ダクターゼ活性を有するA. Thaliana の蛋白質をコード
するDNA配列、デルタ7−Red蛋白質、製造方法、
トランスフォームした酵母株、及び利用。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、デルタ−5,7ス
テロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有するA. Tha
liana の蛋白質をコードするDNA配列、デルタ7−R
ed蛋白質、それらの製造方法、トランスフォームした
酵母株、及びそれらの利用に関するものである。
【0003】デルタ−5,7ステロール,デルタ−7レ
ダクターゼ(E.C.1.3.1.21)は、ラット肝
ホモジェネート中(M. E. Dempsey 等、 Methods Enzymo
l.,15, 501-514, 1969 )並びにトウモロコシ植物調製
物中(M. Taton等、 Biochem.Biophys.Res.Commun., 18
1, 465-473, 1991 )の活性により存在が示されている
ミクロソーム酵素である。このレダクターゼはNADP
Hに依存して、イン・ビトロで、7−デヒドロコレステ
ロールをコレステロールに還元する。
【0004】ステロールは、真核生物メンバーの主要な
構成成分であるが、種によって構造的差異を示す。酵母
等の真核生物の細胞においては、主要なステロールは、
C−5位及びC−7位の二重不飽和、C−24位の分枝
側鎖及びC−22位の不飽和を含むエルゴステロールで
あるが、他方、哺乳動物においては、コレステロールは
C−5位の不飽和及び飽和側鎖により特徴付けられる。
シトステロール、スチグマステロール及びカンペステロ
ール(これらは、植物における最も一般的なステロール
を代表するものである)は、分枝しているが飽和の側鎖
を有し、脊椎動物のステロールと同様に、C−7位には
不飽和を有しない。このステロール核の構造における差
異の原因である酵素は、デルタ−5,7−ステロール,
デルタ−7レダクターゼである。
【0005】デルタ−5,7−ステロール,デルタ−7
レダクターゼは、均質に精製されたことはなく、単に部
分精製が記載されただけである(M. E. Dempsey 等; M.
Taton等、 既出)。この蛋白質は、その物理化学的性質
により特性決定されていない。この蛋白質の配列の情報
及びそれに対する抗体は記載されていない。更に、RS
H/スミス−レムリ−オピッツ(SLO)症候群に関連
するヒトにおいて、7−デヒドロコレステロールレダク
ターゼの明白な不足が記載されている(J. M.Opitz 等、
Am. J. Med. Genet., 50, 326-338, 1944 )。
【0006】従って、デルタ−5,7−ステロール,デ
ルタ−7レダクターゼをコードするcDNAのクローニ
ング(それは、対応する蛋白質の配列を同定すること並
びにそのヒト遺伝子又はその先天的欠失の特性表示を可
能にする)は、例えばハイブリダイゼーション及び/又
は免疫学的検出技術を利用する公知の方法を用いては達
成できない。従って、実施すべきクローニングを、特に
蛋白質の情報のない場合に、可能にする創意に富むスク
リーニング方法を得ることが必要とされる。
【0007】カビの膜の主要なステロールであるエルゴ
ステロールは、C−5、7位に一対の共役二重結合を含
む(それは、ナイスタチン等のポリエンのファミリーの
化合物に抗真菌活性を与える)(R. Bittman等、 J. Bio
l. Chem., 260, 2884-2889,1985)。ナイスタチンの作
用の、C−5、7位の不飽和ステロールの膜濃度に対す
る強い依存性は、S.cerevisiaeにおいて蓄積されるステ
ロールについての変異株の選択を可能にした(S. W. Mo
lzahn 等、 J. Gen. Microbiol., 72, 339-348,1972
)。従って、変異体erg2及びerg3は、それぞ
れ、ステロールデルタ−8,7イソメラーゼ(W. Ashma
n 等、 Lipids, 26, 628, 1991 )及びステロールデルタ
−5デヒドロゲナーゼ(B. Arthinton等、 Gene, 102, 3
9, 1991 )の不足の故に、C−5,7位に共役二重結合
を有しないステロールを蓄積する。かかる変異体は、エ
ルゴステロール(酵母の主要な天然ステロール)がある
条件下でコレステロールを含む種々の代用ステロールに
よって置き換え可能である故に生存可能である。
【0008】本願発明者は、S.cerevisiaeにおける代謝
干渉を利用するスクリーニング方法を用いて、デルタ−
5,7−ステロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有
する異種蛋白質をコードするcDNAをクローン化する
ことにつき、C−5,7位に二重不飽和を有しないステ
ロールに富む酵母株のナイスタチン耐性を増すことの有
利さに気付いた。しかしながら、DNA配列又は蛋白質
を知ること並びに酵素活性にのみ基づく検出に依存しな
い有利さを提供するこのアプローチの成功は、克服され
るべき多くの技術的困難の故に予知できるものではな
い。
【0009】第1の制限は、ナイスタチンが働く仕方が
完全には解明されていないという事実に由来するもので
ある(L. W. Parks 等、 CRC Critical Reviews in Micr
obiology, 301-304, 1978 )。例えば、ナイスタチンに
よる選択の低い特異性は、その間接的性質により予知で
き、それは、酵母において、erg変異体等の自然のゲ
ノム変異(S. W. Molzahn 等、 既出)又はステロール経
路に依らない耐性を含むゲノム変異の選択へと導く。同
様に、遺伝子ライブラリーによりトランスフォームされ
た細胞は、ステロール経路と無関係のナイスタチン耐性
を与える異種遺伝子を発現することができる。
【0010】予想される制限の他の例は、例えば、下記
の理由の1つのために、異種蛋白質が細胞内で弱く作用
して、ナイスタチンに対する耐性の欠如又は低い耐性へ
導くという事実に関係する:1)デルタ−5,7−ステ
ロール,デルタ−7レダクターゼをコードする遺伝子が
弱く発現される;2)この蛋白質が、不十分な折りたた
まりのため又は不正確な細胞下配向の結果、活性が弱い
か又は活性がない;3)この植物蛋白質が酵母自身のス
テロールを基質として認識しない;4)基質たり得るス
テロールがエステル型であるか小胞中に貯蔵されていて
この酵素と接触しない。従って、この仕方で蓄積される
ステロールがデルタ−5,7−ステロール,デルタ−7
レダクターゼ(これは、真核生物では、ミクロソームに
局在化されると考えられている)の作用を免れることは
予想され得る。
【0011】本発明は、デルタ−7Redと呼ばれるデ
ルタ−5,7−ステロール,デルタ−7レダクターゼ活
性を有する蛋白質をコードする A.thaliana のcDNA
の、ナイスタチン耐性に基づく代謝干渉により酵母にお
いて行なうクローニング方法によるクローニングに関す
るものである。このデルタ−7Red蛋白質は、C−7
位に不飽和を有するステロールを生物学的還元プロセス
によって還元させ、それは、更に、C−5、7に二重不
飽和を有するステロール又はステロイドのC−7位にお
ける選択的還元の問題に有利な解決を与える(化学的経
路を用いる還元方法は、それを与えない)。
【0012】この発明は又、C−7位及び適宜C−22
位が飽和された生成物を驚くべき仕方で蓄積するデルタ
−7Redを発現するトランスフォームされた酵母細胞
にも関係し、該生成物は、エルゴステロールと対照的
に、コレステロールの側鎖の制限酵素(即ち、チトクロ
ームP450 SCC)の基質である。
【0013】これらの予期しない性質は、工業的及び/
又は薬理学的用途を有するステロール若しくはステロイ
ドの製造方法、特に、C−7位が還元された酵母の内因
性ステロールのチトクロームP450 SCC(P450 SC
C)による、アドレノドキシンレダクターゼ(ADR)
及びアドレノドキシン(ADX)の存在下での生物学的
酸化によるプレグネノロンの製造において、この発明の
トランスフォームされた酵母の利用を可能にする。この
発明のトランスフォームされた酵母は、哺乳動物及び他
の脊椎動物におけるコレステロールのヒドロコーチゾン
への代謝経路の中間体ステロイドの製造方法においても
利用することができる。この利用は、ヒドロコーチゾン
又はその中間体の生物学的酸化プロセスにおける製造を
可能にする利点を有し、該プロセスは、コレステロール
等の外因性ステロールの初期基質としての利用を必要と
せず、従って、ステロールの酵母中への透過の問題を回
避する(好気性条件下での酵母の外因性ステロールに対
する不透過性は、R. T. Lorentz 等、 J. Bacteriology,
981-985, 1986に記載されている)。
【0014】この発明は又、この発明のクローニング方
法を用いて得られた核酸配列の利用にも関係する。デル
タ−5,7−ステロール,デルタ−7レダクターゼをコ
ードするRNA又はDNA配列を、このデルタ−5,7
−ステロール,デルタ−7レダクターゼの遺伝子の生成
物が関係する疾患の診断又は治療に用いることが出来
る。例えば、7−デヒドロコレステロールをコレステロ
ールに変換するデルタ−5,7−ステロール,デルタ−
7レダクターゼの不足は、RSH/SLO症候群に関係
すると推定されている。従って、ヒトDNA配列を、デ
ルタ−5,7−ステロール,デルタ−7レダクターゼの
不足を診断するためのプローブとして利用することがで
き、かかる不足を矯正するための遺伝子治療において利
用することもできる。
【0015】従って、本発明の主題は、デルタ−5,7
−ステロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有する蛋
白質をコードする配列を含む核酸配列であり、該核酸
は、DNA又はRNAであり、特にcDNAである。
【0016】デルタ−5,7−ステロール,デルタ−7
レダクターゼ活性は、例えば、イン・ビトロで酵素的試
験を用いて示すことができる(実験部分にて更に説明す
る)。
【0017】本発明の更に特別の主題は、コード配列
が、デルタ−5,7−ステロール,デルタ−7レダクタ
ーゼ活性を有し且つ下記のSEQ ID NO:1のヌクレオチド
配列を有する A.thaliana の蛋白質をコードするcDN
A配列:
【化4】 並びに、この配列の対立遺伝子変異体である。
【0018】図3に示した配列(SEQ ID NO:2)に対応
する430アミノ酸を有する蛋白質をコードする上記の
cDNA配列は、例えば、酵母におけるクローニング
(A.thaliana発現ライブラリーから開始し、後述の詳細
な説明の操作条件に従って、酵母のナイスタチン耐性の
出現に基づくスクリーニング方法を用いることによる)
によって得ることのできるcDNA配列である。
【0019】上記のヌクレオチド配列SEQ ID NO:1の知
識は、当業者に公知の方法によって(例えば、化学合
成、又はハイブリダイゼーション技術若しくはPCR増
幅により合成オリゴヌクレオチドプローブを用いて遺伝
子ライブラリー若しくはcDNAライブラリーをスクリ
ーニングすることにより)、本発明を再現することを可
能にする。
【0020】この発明の主題は又、デルタ−5,7−ス
テロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有する蛋白質
をコードし且つ、平均的若しくは高緊縮条件下でヌクレ
オチド配列SEQ ID NO:1とハイブリダイズし又はこの配
列と約60%以上の配列同一を有するDNA配列でもあ
る。
【0021】この配列SEQ ID NO:1と検出可能な様式で
ハイブリダイズする配列は、平均的緊縮の標準的条件下
でハイブリダイズする。例えば、42℃で、ホルムアミ
ドの50%溶液、SSC×6中で12時間のハイブリダ
イゼーションの後に洗浄するか又は一層緊縮でない条件
下でのハイブリダイゼーション、例えば、ホルムアミド
の20%溶液、SSC×6中での42℃、24時間のハ
イブリダイゼーションの後に公知の標準的条件下で洗浄
する(T. Maniatis 等、 Molecular cloning, Cold Spri
ng Harbor Laboratory Press, 1989)。
【0022】ヌクレオチド配列同一のパーセンテージ
は、例えば、NCBIサーバーにて、BLAST プログラム「基
礎的局所的整列(alignment )サーチ用ツール」(S.
F. Altschul等、 J. Mol. Biol., 215, 403-410, 1990
)を用いることにより決定することができる。
【0023】この発明は又、デルタ−5,7−ステロー
ル,デルタ−7レダクターゼ活性を有する蛋白質をコー
ドし、下記のアミノ酸配列SEQ ID NO:3を有するコンセ
ンサス配列をコードするオリゴヌクレオチドをプライマ
ーとして用いるPCR技術により増幅可能であるDNA
配列にも関係する:
【化5】 (式中、7位のXaaは、Trp又はTyrであり、1
2位のXaaは、His又はLysである)。
【0024】上記の配列SEQ ID NO:3は、新規なコンセ
ンサス配列に対応し、該配列は、新規な配列SEQ ID NO:
2(ヌクレオチド配列SEQ ID NO:1から演繹される)と
公知の配列(C−7位以外の位置での作用特異性を有す
る他のステロールレダクターゼ又はラミンBレセプター
の配列)との間のアミノ酸配列の同一の整列により規定
された(実験部分にて更に詳細に説明する)。アミノ酸
配列SEQ ID NO:3により与えられる情報から、最大で4
5ヌクレオチドから構成されるプライマーを規定して合
成することができ、該プライマーは、再結合配列として
の第2プライマーオリゴdT(17ヌクレオチド)と組
み合わせて、市販のPCRアッセイキット(例えば、St
ratagene)を用いて、デルタ−5,7−ステロール,デ
ルタ−7レダクターゼ活性を有する蛋白質をコードする
DNAの増幅を可能にする。
【0025】この発明は又、デルタ−5,7−ステロー
ル,デルタ−7レダクターゼ活性を有し且つ下記のアミ
ノ酸配列SEQ ID NO:2を有する A.thaliana の蛋白質:
【化6】 並びに、この配列の対立遺伝子変異体及びアナログにも
関係する。
【0026】対立遺伝子及びアナログには、1つ以上の
アミノ酸の置換、欠失又は付加により修飾された配列
が、これらの生成物が同じ機能を維持する限りにおい
て、含まれる。これらの修飾配列は、例えば、当業者に
公知の位置指定突然変異導入技術を用いることにより作
ることができる。
【0027】この発明の特別の主題は、デルタ−5,7
−ステロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有し且つ
上記のアミノ酸配列SEQ ID NO:2を有してデルタ−7R
edと呼ばれる A.thaliana の蛋白質である。
【0028】この発明は又、デルタ−5,7−ステロー
ル,デルタ−7レダクターゼ活性を有し、配列SEQ ID N
O:2と約60%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列
を有する蛋白質にも関係する。
【0029】同一性のパーセンテージは、例えば、上記
のBLAST プログラムを用いて決定することができる。
【0030】この発明は又、デルタ−5,7−ステロー
ル,デルタ−7レダクターゼ活性を有し且つ上で規定し
た A.thaliana デルタ−7Red蛋白質と交差免疫反応
性を有する蛋白質にも関係する。
【0031】この蛋白質は、例えば、公知の方法により
調製したデルタ−7Red蛋白質に対する抗血清を用い
る免疫沈降によって検出することができる。
【0032】この発明の一つの面は、デルタ−5,7−
ステロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有する蛋白
質、例えば、前に規定したDNA配列を含む宿主細胞に
おける発現により得られるもの等に関係し、特に A.tha
liana の蛋白質例えば上記のアミノ酸配列SEQ ID NO:2
をコードするDNA配列を含む宿主細胞における発現に
より得られるものに関係する。
【0033】この発明の蛋白質を宿主細胞における発現
により得る場合は、これを、当業者に公知の遺伝子工学
及び細胞培養法によって行なう。
【0034】発現は、この発明のデルタ−7Redをコ
ードする配列(適当なプロモーターを先行させる)を含
む原核生物宿主細胞例えば大腸菌、又は真核生物宿主細
胞例えば哺乳動物細胞、昆虫細胞若しくは酵母にて行な
うことができる。
【0035】得られる組換え蛋白質は、グリコシル化さ
れていてもされていなくてもよい。
【0036】特に、この発明は、この発明による蛋白
質、例えば、酵母中での発現により得られたもの等に関
係する。
【0037】この発明は又、前に規定したデルタ−5,
7−ステロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有する
蛋白質に対する抗体にも関係する。この抗体は、当業者
に公知の方法により調製されたポリクローナル抗体であ
ってもモノクローナル抗体であってもよい。
【0038】この発明は又、前に規定したDNA配列を
含む発現ベクター並びにこのベクターによりトランスフ
ォームされた宿主細胞にも関係する。
【0039】これらの発現ベクターは、適当なプロモー
ターの制御下で蛋白質の発現を与える公知のベクターで
ある。原核生物細胞用には、このプロモーターは、例え
ば、lacプロモーター、trpプロモーター、tac
プロモーター、β−ラクタマーゼプロモーター又はPL
プロモーターであってよい。哺乳動物細胞用には、この
プロモーターは、SV40プロモーター又はアデノウイ
ルスのプロモーターであってよい。バキュロウイルス型
のベクターも又、昆虫細胞における発現用に用いること
ができる。酵母細胞用には、このプロモーターは、例え
ば、PGKプロモーター、ADHプロモーター、CYC
1プロモーター又はGAL10/CYC1プロモーター
であってよい。
【0040】宿主細胞は、原核細胞であっても真核細胞
であってもよい。原核細胞は、例えば、大腸菌、バチル
ス、ストレプトミセスである。真核宿主細胞は、酵母及
び糸状菌並びに更に高等な生物の細胞例えば哺乳動物細
胞又は昆虫細胞を含む。哺乳動物細胞は、ハムスターの
CHO細胞又はサルのCos細胞であってよい。昆虫細
胞は、例えば、SF9細胞である。酵母細胞は、例え
ば、Saccharomyces cerevisiae, Schizosaccharomyces
pombe 又はKluyveromyces lactisであってよい。
【0041】この発明の主題は又、デルタ−5,7−ス
テロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有する蛋白質
をコードする核酸の、微生物における、下記より選択す
るスクリーニング方法を含むクローニング方法でもあ
る: − 微生物のナイスタチン又は類似化合物(その毒性が
C−7位に不飽和を有するステロールの存在に依るも
の)に対する耐性、 − 核酸の、上記の配列SEQ ID NO:1のヌクレオチド配
列とのハイブリダイゼーション、 − ランダムに単離されたDNA配列からの、データ処
理技術を用いることによる核酸の同定、 − 蛋白質の直接発現とそれに続く上記のアミノ酸配列
SEQ ID NO:2を有する蛋白質に対する抗体を用いる免疫
学的検出。
【0042】微生物とは、例えば、S.cerevisiae、S.po
mbe 又は K.lactis を意味する。
【0043】ナイスタチンに類似する化合物は、例え
ば、アンフォテリシンB又はフィリピンを含む。
【0044】ハイブリダイゼーションとは、公知の標準
的条件による平均的又は高緊縮条件下でのハイブリダイ
ゼーションを意味する(T. Maniatis 等、 既出)。
【0045】データ処理技術を利用する同定は、例え
ば、上記のBLAST プログラムによって行なうことができ
る。
【0046】スクリーニング方法が酵母のナイスタチン
耐性を利用する上記のクローニング方法の一例を、実験
部分において更に説明する。
【0047】この発明の主題は又、上記のクローニング
方法によって得られたDNA又はRNA核酸配列でもあ
る。その核酸配列は、クローニングを行なう材料によっ
て、原核生物起源でも、真核生物起源でもよい(例え
ば、ヒト起源でもよい)。
【0048】この発明の主題は又、上記のクローニング
方法により得られたDNA配列を含むベクターによりト
ランスフォームされた宿主細胞でもある。この宿主細胞
は、原核細胞であっても真核細胞であってもよい。宿主
細胞及びベクターの例は、前に示されている。
【0049】この発明の特別の主題は、前に規定した発
明によるDNA配列又は上記のクローニング方法により
得られたDNA配列等を含むベクターによりトランスフ
ォームされた酵母又は糸状菌から選択する宿主細胞であ
る。
【0050】この発明の主題の一つは又、デルタ−5,
7−ステロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有する
蛋白質の製造方法にも関係し(該製造方法においては、
本発明によりトランスフォームされた宿主細胞を培養し
て発現された蛋白質を単離する)、特に、宿主細胞がト
ランスフォームされた酵母(該酵母において、コードD
NA配列は、酵母プロモーターの制御下に置かれる)で
ある方法に関係する。
【0051】この発明の主題の一つは又、C−7位が不
飽和のステロールのイン・ビトロでの還元方法にも関係
する(該方法においては、還元すべきステロールを、上
記の方法により得られた蛋白質と共にインキュベート
し、得られる還元されたステロールを適宜単離する)。
【0052】この発明の主題の一つは又、C−7位が不
飽和の外因性ステロールのイン・ビボでの還元方法にも
関係する(該方法においては、ステロールを、この発明
によりトランスフォームした宿主細胞と共にインキュベ
ートし、得られる還元されたステロールを適宜単離す
る)。宿主細胞は、原核細胞であっても真核細胞であっ
てもよい(特に、酵母又は糸状菌であってよい)。
【0053】この発明の主題の一つは又、C−7位が不
飽和の内因性ステロールのイン・ビボでの還元方法にも
関係する(該方法においては、酵母又は糸状菌から選択
し、この発明によってトランスフォームした宿主を培養
して、蓄積された還元されたステロールを適宜単離す
る)。
【0054】特に、この発明は、上に規定したイン・ビ
トロ又はイン・ビボでの還元方法に関係し(該方法にお
いては、得られる還元されたステロールは、コレステロ
ールの側鎖の制限酵素(P450 SCC)の基質であ
る)、特に、イン・ビボでの還元方法に関係する(該方
法においては、還元すべき外因性ステロールは、エルゴ
スタ5,7ジエン3−オール、エルゴスタ5,7,24
(28)トリエン3−オール又はエルゴスタ5,7,2
2トリエン3−オール又はこれらの混合物である)。
【0055】この発明の主題は又、プレグネノロンの製
造方法でもある(該方法においては、酵母又は糸状菌か
ら選択してこの発明によりトランスフォームした宿主細
胞を培養し、蓄積された内因性のステロール又はC−7
位が還元されたステロールを適宜単離し、これらの還元
されたステロールをP450 SCCの存在下で(適宜、ア
ドレノドキシンレダクターゼ(ADR)及びアドレノド
キシン(ADX)の存在下で)インキュベートして得ら
れるプレグネノロンを適宜単離する)。
【0056】この発明の特別の主題は、上に規定したプ
レグネノロンの生成方法(宿主細胞は酵母)である。
【0057】この発明は又、デルタ−5,7−ステロー
ル,デルタ−7レダクターゼ及びP450 SCCの活性を
有する蛋白質並びに適宜ADR及びADXの活性を有す
る蛋白質の同時発現を可能にする1つ以上のベクターで
トランスフォームした酵母を培養し、遊離の若しくはエ
ステル化したプレグネノロンを適宜単離するプレグネノ
ロンの生成方法にも関係する。
【0058】この発明は、特に、デルタ−5,7−ステ
ロール,デルタ−7レダクターゼ、P450 SCC、AD
R及びADXの活性を有する蛋白質を同時発現するトラ
ンスフォームされた酵母を培養する上記の方法に関係
し、特に、デルタ−5,7−ステロール,デルタ−7レ
ダクターゼ活性を有する蛋白質が A.thaliana の蛋白質
デルタ−7Redである上記の方法に関係し、特に、酵
母株がEC01/pCD63株である上記の方法に関係
する。
【0059】この発明によるプレグネノロンの生成の例
を、更に、実験部分で与える。
【0060】上記のプレグネノロンの生成方法を実施す
るために用いられるトランスフォームされた酵母は、例
えば、デルタ−5,7−ステロール,デルタ−7レダク
ターゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA配列を含
むこの発明の発現ベクター並びにチトクロームP450
CCの及び適宜ADX及びADRの発現ベクターにより
同時トランスフォームされた酵母であってよい。これら
のチトクロームP450SCC及び/又はADXの発現ベ
クターは公知であり、調製は、例えば、欧州特許出願E
P0340878並びに実験部分に記載されている。
【0061】用いるトランスフォームされた酵母は又、
デルタ−5,7−ステロール,デルタ−7レダクターゼ
活性を有する蛋白質をコードするDNA配列がゲノムの
特定の遺伝子座(例えば、ADE2遺伝子座)にインテ
グレートされ及びエルゴステロールがもはやデルタ−7
レダクターゼの発現条件下において主要ステロールでな
い酵母であってもよい。得られた「インテグレートされ
た」酵母を、次いで、チトクロームP450 SCC並びに
適宜ADX及びADRをコードするDNA配列を含むイ
ンテグレート発現カセット又は発現ベクターによりトラ
ンスフォームすることが出来る。
【0062】プレグネノロン又はその酢酸エステルをイ
ン・ビボで産生する酵母株の構築の例を、更に、実験部
分に与える。
【0063】従って、この発明の主題は又、デルタ−
5,7−ステロール,デルタ−7レダクターゼ、P450
SCC、ADR及びADXの活性を有する蛋白質を同時
発現し且つ遊離若しくはエステル化したプレグネノロン
を蓄積するトランスフォームされた酵母株でもあり、特
に、デルタ−5,7−ステロール,デルタ−7レダクタ
ーゼの活性を有する蛋白質が A.thalianaの蛋白質デル
タ−7Redである上記の酵母株、特にEC01/pC
D63と呼ばれる酵母株(その正確な構築を更に実験部
分で与える)でもある。
【0064】この発明は又、上に規定したクローニング
方法により得られ、デルタ−5,7−ステロール,デル
タ−7レダクターゼの先天的欠乏を診断するためのプロ
ーブとして利用されるヒトDNA配列にも及ぶ。デルタ
−5,7−ステロール,デルタ−7レダクターゼの欠乏
は、例えば、異常に低いレベルの血漿コレステロールの
原因である7−デヒドロコレステロールレダクターゼの
欠乏を含む。
【0065】この発明は又、ヒトゲノムDNAを含む試
料を上に規定したプローブと共に標準的ハイブリダイゼ
ーション条件下でインキュベーションし、そのプローブ
のゲノムDNAへの固定又は固定の不在を示すこと(固
定の不在又は後者の減少は、デルタ−5,7−ステロー
ル,デルタ−7レダクターゼの先天的欠乏を示す)を含
むデルタ−5,7−ステロール,デルタ−7レダクター
ゼの欠乏の検出方法にも関係する。
【0066】この発明の方法は、例えば、出生前デルタ
−5,7−ステロール,デルタ−7レダクターゼの先天
的欠乏又は新生児並びに種々の病気特にRSH/SLO
症候群の臨床的明示を有する患者における先天的欠乏の
検出を可能にすることができる。
【0067】下記の実施例は、この発明を制限すること
なく説明する。
【0068】
【実施例】実施例1 :A.thalianaの5,7−ステロール,デルタ−
7レダクターゼ(デルタ−7Red)をコードするcD
NAのクローニング A − 酵母中のA.thalianaの発現ライブラリーのスク
リーニング 出発cDNA発現ライブラリーは、M.Minet 等(Plant
J., 2, 417-422,1992)により記載されたライブラリー
であり、該ライブラリーは、二葉の発芽段階のA.thalia
naのmRNAから調製され、そのNotI部位と接する
cDNAがシャトルベクターE.coli/S.cerevisiae pF
L61の発現カセットのBstXI部位に挿入された。
このカセットは、ホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子
(PGK)のプロモーター及びターミネーター配列を含
む。2u配列から誘導された酵母の複製オリジン及び選
択の指標URA3は、このベクターの酵母中での増殖を
確実にする。このベクターの大腸菌中での増殖は、プラ
スミッドpUC19に由来する。
【0069】酵母FY1679株(Mata)(これは、Th
ierry 等(Yeastk, 6, 521-534, 1990)により記載され
たS288Cの同系株である)を、D.Gietz 等(Nuclei
c Acids Res., 20, 1425, 1992)により記載された酢酸
リチウム法を用いて、cDNAライブラリーによりトラ
ンスフォームした。
【0070】これらの細胞を、7g/lの「yeast nitr
ogen base 」(Difco )、1g/lのバクトカザミノ酸
(Difco )、20g/lのグルコース、20mg/lの
トリプトファンを含み、ウラシルを含まない合成培地S
GI上にプレートした。105 のウラシルについての原
栄養体トランスフォーマントが得られ、次いで、分類し
て同じウラシルを含まず2若しくは5μg/mlのナイ
スタチンを含む合成培地上に5×104 細胞/皿の割合
で再プレートした。各ナイスタチン濃度について106
細胞を、この方法でスクリーニングした。3日間28℃
でインキュベーションした後に、2μg/mlのナイス
タチン濃度で成育させた約100クローンを、5つのク
ローンの群を構成することにより集めた(ステロール組
成を逆相構成の液体クロマトグラフィー(以後、RP−
HPLCと呼ぶ)により分析した)が、単一の耐性クロ
ーン(F22と呼ぶ)が、5μg/mlのナイスタチン
濃度で得られた。
【0071】B − クローンF22に蓄積されたステ
ロールの分析 酵母の全ステロールを、L. Parks等(Methods in Enzym
ol., 111, 333-346, 1985 )により記載されたアルカリ
鹸化法によって調製し、次いで、RP−HPLC及び/
又はガスクロマトグラフィー(GCと呼ぶ)により分析
した。
【0072】得られたステロールの残渣をエタノール−
テトラヒドロフラン−水の混合物(65:10:25v
/v)に溶解させ、次いで、Applied Biosystems C18結
合シリカカラム(100×2.1mm)上での、水中の
メタノールの直線的勾配(18分間にわたって、50〜
100%)及び205nm及び285nmでの測光検出
(エルゴステロール、カンペステロール及びコレステロ
ール標準と比較)を用いるRP−HPLCにより分析す
る(1ml/分の流量及び55℃で行なう)。
【0073】ステロールの組成は又、ヘリウムをキャリ
アーガスとして使用するAlltech SE-30 キャピラリーカ
ラム(30m×0.32mm)上でのGC(インジェク
ター及び検出器での温度は、それぞれ、280℃及び3
10℃)によっても分析する(初期に45℃/分の速度
で温度を110℃から245℃まで増大させ、次いで、
3℃/分にて280℃に達する)。
【0074】RP−HPLCによる分析(図1A)及び
GCによる分析(図1B)は、上で得られたクローンF
22に蓄積したステロールのプロフィルを示し、それ
は、トランスフォームしてないFY1679株の主要ス
テロールであるエルゴステロールの事実上完全な消失、
及び2つの主要ステロール(類似の量)での置き換えに
より特徴付けられ、該ステロールは、285nmにて吸
収せず、従って、RP−HPLCによる分析により、も
はや共役二重不飽和を有しない。
【0075】図1Aにおいて、カンペステロール(Sigm
a )(24−R−エルゴスタ5−エン3−オール)は、
約35%のジヒドロブラシカステロール(24−S−エ
ルゴスタ5−エン3−オール)を含む。
【0076】C − デルタ−7RedcDNAのクロ
ーニング クローンF22起源のプラスミッドを J. N. Strathern
等(Methods in Enzymol., 194, 319-329, 1991 )によ
り記載された方法によって大腸菌中で増幅し、次いで、
NotIにより消化した。約600塩基対(bp)の断
片及び1.6kbpの断片を得た。FY1679株を上
記の各断片でそれぞれトランスフォームした。トランス
フォームした酵母の各クローンのステロールの組成を上
記のように分析し、ステロールの変化したプロフィルの
原因である遺伝子を有するプラスミッドを弁別した。こ
の方法で同定したプラスミッドをpF22と命名した。
【0077】D − デルタ−7RedのcDNA配列
の決定 pF22のcDNAインサートを、pUC9(Pharmaci
a )から誘導したベクターpUC9NのNotI部位に
サブクローン化した(該ベクターにおいては、多数クロ
ーニング部位のEcoRI部位をNotI制限部位の挿
入により置き換えてあるが、他方、LacZ遺伝子のリ
ーディングフレームは保持している)。次いで、制限地
図を決定した(図2)。
【0078】外部NotI部位及び内部EcoRI、P
vuII又はHindIII部位をそれぞれ有する制限
断片を、pBluescript プラスミッド(Stratagene)中に
サブクローン化した。そのヌクレオチド配列を、これら
の二鎖について、DNAポリメラーゼ Sequenase(Stra
tageneキット)を用いて、pBluescript pUC9、T3
及びT7の直接及び逆行プライマー又はcDNAヌクレ
オチド配列の推定の特異的プライマーを利用することに
より、サンガー法によって決定した。
【0079】得られた配列をすべて編集すると、図3に
示した A.thaliana のデルタ−7RedcDNAヌクレ
オチド配列(SEQ ID NO:1)を与える。それは、ポリア
デニル化配列で終了する1496ヌクレオチドを含む。
それは、ヌクレオチド76のメチオニンイニシエーター
で開始し、ヌクレオチド1366の終止コドンで終了す
るオープンリーディングフレームを有する。これは、4
30アミノ酸の蛋白質をコードする1290ヌクレオチ
ドのオープンリーディングフレームを生じる。デルタ−
7RedcDNAのコード領域は、蛋白質デルタ−7R
edをコードし、その演繹したアミノ酸配列(SEQ ID N
O:2)を図3に示す。この蛋白質の配列は、430アミ
ノ酸を含み、アミンは、49.286kDaの計算分子
質量を有する。
【0080】ベクターpUC9N中のデルタ−7Red
cDNA(デルタ7Red/pUC9NcDNAと呼
ぶ)を含む大腸菌DH5−1株の試料を、CNCMに、
1995年2月10日に、番号I−1535にて寄託し
た。
【0081】E − コンセンサス配列SEQ ID NO:3の
決定 配列データベース(Genbank 及びEMBL)のコンピュータ
ー検索を利用して、A.thalianaのデルタ−7Red蛋白
質の配列が、他のステロールレダクターゼ、特に、R.
T. Lorentz 等(DNA Cell Biol., 11, 685-692, 1992
)及び W. Chen等(Yeast, 7, 305-308, 1991 )によ
りそれぞれ記載された S.cerevisiae のステロールC−
14レダクターゼ及びステロールC−24(28)レダ
クターゼ並びに M. Shimanuki等(Mol. Biol. Cell,
3, 263-273, 1992 )により記載されたS.pombe の sts
1+遺伝子の生成物及び Neurospora crassaのステロー
ルC−14レダクターゼ(EMBLデータベースでの番号 X
77955 )と幾らかの配列類似性を有することが示され
た。更に、デルタ−7Red蛋白質は、H. J. Worman等
(J. Cell Biol., 111, 1535-1542, 1990 )及び E. Sc
huler 等(J. Biol. Chem., 269, 11312-11317, 1994)
により記載されたニワトリラミンBレセプターのC末端
の400アミノ酸及び対応するヒトレセプターのそれと
の類似性を示す。
【0082】上で得られたデルタ−7RedcDNAか
ら演繹したアミノ酸配列SEQ ID NO:2と3つの酵母ステ
ロールレダクターゼ及び2つのラミンBレセプターのそ
れとの間の配列同定整列(alignment )を確立し、次い
で、下記のアミノ酸配列(SEQ ID NO:3)を有する新た
なコンセンサス配列:
【化7】 (式中、7位のXaaはTrp又はTyrであり、12
位のXaaはHis又はLysである)を、デルタ−
5,7ステロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有す
る蛋白質をコードする新たなゲノムDNA又はcDNA
配列をPCRにより増幅するためのプライマーとして利
用し得るオリゴヌクレオチドを調製するために規定し
た。
【0083】F − 酵母におけるデルタ−7Red蛋
白質の発現 a)酵母において誘導可能な発現ベクターデルタ−7/
V8の構築 pF22のcDNAの非コード領域の欠失を、下記の特
異的オリゴヌクレオチドを用いるPCR増幅により行な
った:
【化8】5' CGCGGATCCA TGGCGGAGAC TGTACATTC 3' (SE
Q ID NO:4)及び
【化9】5' CAGGGTACCT CAATAAATTC CCGGAATG 3' (SE
Q ID NO:5) (これらは、BamHI制限部位を開始コドンのすぐ上
流に導入し、KpnI部位を停止コドンのすぐ下流に導
入するために規定した)。
【0084】このcDNAを、1ngの「デルタ7re
d/pUC9NcDNA」から出発して、2単位のPf
uDNAポリメラーゼ及び0.2uMの上記の各プライ
マーの存在下で、次の増幅条件を用いることにより増幅
した(33サイクル):94℃、10秒;52℃、50
秒;74℃、90秒(Stratagene PCRキット使用)。
【0085】約1300bpの断片を得、次いで、制限
酵素BamHI及びKpnIで消化して、C. Cullin 等
(Gene, 65, 203-217, 1988 )により記載された E.col
i/S.cerevisiaepYeDP1/8−2シャトルベクター
(V8と呼ばれる)のBamHI及びKpnI部位に挿
入した。V8は、選択指標URA3を有し、酵母におけ
る発現カセットを含む(PGK遺伝子のプロモーターG
AL10/CYC1及びターミネーター配列を含む)。
従って、この得られたベクター(デルタ−7/V8と呼
ぶ)は、ガラクトースによるデルタ−7Red蛋白質の
誘導可能発現を与える。
【0086】b)デルタ−7Red蛋白質の生成 酵母FY1679株(Mata)を、上で得たデルタ−7/
V8プラスミッドで、D. Gietz等(既出)により記載さ
れた酢酸リチウム法を用いることによりトランスフォー
ムした。
【0087】トランスフォームした酵母を、上記のSG
I選択培地(但し、グルコース濃度は5g/l)にて、
細胞密度の飽和(OD600nm =12)が得られるまで、
27℃で培養した。この培養物を、次いで、一容の完全
培地YP(10g/lのイーストエキス(Difco )及び
10g/lのバクトペプトン(Difco ))を加え、次い
で、エタノール(1.5%v/v)を炭素源として加え
ることにより希釈する。少なくとも7×107 細胞/m
lの細胞濃度に達するまで成育させたときに、デルタ−
7Redの発現を20g/lの濃度のガラクトースを加
えることにより誘導した。
【0088】この誘導を、SLI選択用最小培地(グル
コースをガラクトース(20g/l)で置き換えたSG
I培地に相当)においても、2×107 細胞/mlの細
胞濃度が得られるまで行なった。
【0089】c)デルタ−5,7ステロール,デルタ−
7レダクターゼ活性のイン・ビトロ酵素試験 デルタ−7Red蛋白質の発現を、M. Taton等(Bioche
m. Bioph. Res. Commun., 181, 465-473, 1991)により
記載された酵素試験(但し、NADPH再生系を除き、
上記の誘導した酵母のミクロソーム又は細胞質ゾルの細
胞調製物を使用)を用いることにより示した。
【0090】誘導した細胞の機械的破壊及び P. Urban
等(Eur. J. Biochem., 222, 843-850, 1994)により記
載された方法による超遠心分離による単離によって細胞
画分を得た。これらの細胞を集め、次いで、TE−KC
l緩衝液(50mM トリス−HCl、pH7.4;1
mM EDTA、0.1M KCl)で2回洗い、0.
6M TE−ソルビトール溶解緩衝液中に再懸濁する。
直径0.45〜0.5mmのガラスビーズ(Braun )を
細胞懸濁液の表面を通して見えるまで加え、次いで、4
℃で5分間激しく揺り動かす。その表面上の細胞溶解物
を集め、ガラスビーズを溶解緩衝液で3回洗う。この溶
解物及び洗液を合わせ、次いで、ミトコンドリア画分を
除去するために、4℃で13分間、20,000gで遠
心分離する。集めた上清を、4℃で1時間、100,0
00gで遠心分離する。ミクロソーム画分を含むペレッ
トと細胞質ゾル画分に相当する上清をそれぞれ集める。
【0091】得られたミクロソーム画分又は細胞質ゾル
画分を、それぞれ、基質としてツイーン80(1.5g
/l)で乳化した150umの7−デヒドロコレステロ
ールを含む100mM トリス/HCl緩衝液(pH
7.3)中で、2mM NADPHの存在下で、37℃
で90分間インキュベートする。これらのステロール
を、3容のメタノール−ジクロロメタン混合物(50:
50、v/v)の添加により抽出し、次いで、GCによ
り、標準生成物との比較により分析する。
【0092】上記のように酵母FY1679から得たミ
クロソーム画分(3.5mg/mlの蛋白質)を用い
る、7−デヒドロコレステロール(RT=16.528
分)からのコレステロール(RT=15.887分)の
生成を図4に示す。該酵母は、デルタ−7/V8ベクタ
ーでトランスフォームし、3時間誘導したものであり、
その内因性ステロールは、一層高い保持時間を有する
(エルゴスタ5−22ジエン3−オールのRT=16.
682分;エルゴステロールのRT=17.249分及
びエルゴスタ5−エン3−オールのRT=17.664
分)。
【0093】これらの結果は、一方で、デルタ−7Re
d蛋白質がトランスフォームされた酵母において発現さ
れることを示し、他方で、該蛋白質がデルタ−5,7ス
テロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有することを
示す。
【0094】実施例2:C−7位が不飽和の酵母の内因
性ステロールのイン・ビボでの還元 主要ステロールがC−5,7位に二重結合を有する酵母
株を、実施例1で得たデルタ−7/V8ベクターでトラ
ンスフォームし、次いで、培養して実施例1に示したよ
うに誘導した。これらの内因性ステロール(そのプロフ
ィルをGCにより分析する)を抽出し、調製用C18カ
ラム(100×4.6mm)を用いて実施例1で示した
ようにRP−HPLCにより精製し、次いで、IR、U
V、MS及びNMRにより同定した。下記の3つの株
を、それぞれ、用いた: − 実施例1に記載したFY1679株; − erg5変異株(PLC1051と呼ぶ)。該株
は、ステロールC−22デサチュラーゼの欠乏により特
徴付けられ、FY1679株と S. W. Molzahn等(J. G
en. Microbiol., 72, 339-348, 1972 )により記載され
た元のpol5株との間の交配により構築されたもので
あり、エルゴスタ5,7−ジエン3−オールを蓄積す
る。
【0095】− erg4,5二重変異株(PLC14
51と呼ぶ)。該株は、ステロールC−22デサチュラ
ーゼ(erg5)及びステロールC−24(28)レダ
クターゼ(erg4)の欠乏により特徴付けられ、FY
1679株と S. W. Molzahn等(既出)により記載され
たpol5株との間の交配により得られたものであり、
ステロールの変異体を探すための酵母の系統的スクリー
ニングの間に自然のナイスタチン耐性を獲得しており、
エルゴスタ5,7,24(28)トリエン3−オールを
蓄積する。その結果生じた二重変異erg4、erg5
を有する一倍体株は、ガラクトース及び非発酵性基質の
存在下で成育し、ウラシル、トリプトファン及びヒスチ
ジンについて独立栄養性である。これらのPLC105
1株及びPLC1451株を、CNCMに、1995年
2月10日に、それぞれ、番号I−1536及びI−1
537にて寄託した。
【0096】上記のトランスフォームされた3つの株か
らそれぞれ同定された主要な還元されたステロールを次
の表に示す:
【表1】
【0097】実施例3: C−7位が還元された酵母の
内因性ステロールの制限によるイン・ビトロでのプレグ
ネノロンの生成 Wada等(Arch. Biochem. Biophys., 290, 376-380, 199
1 )により記載されたイン・ビトロでのコレステロール
側鎖の酵素的制限試験を用いることにより、プレグネノ
ロンの生成を行なう。該試験において、実施例2で得た
C−7位が還元されたステロール260uMを、150
ulの10mM リン酸緩衝液(pH7.4)、100
mM NaCl、0.3% ツイーン20中で、140
nMのアドレノドキシンレダクターゼ、1.16uMの
アドレノドキシン及び0.68uMのウシ起源のチトク
ロームP450 SCC(副腎から、例えば、D. W. Seyber
t等、 J. Biol. Chem., 254, 12088-12098, 1979に従っ
て得たもの)の存在下でインキュベートする。
【0098】150uMのNADPHの添加により反応
を引き起こす。80分間37℃でインキュベートした後
に、一容のメタノール−ジクロロメタン混合物(50:
50v/v)を加えることにより反応を停止させる。こ
れらのステロールを、実施例1に示したように、抽出し
てGCにより分析する。
【0099】図5は、それぞれ、エルゴスタ5−エン3
−オール(図5A)、エルゴスタ5,24(28)ジエ
ン3−オール(図5B)又はエルゴスタ5,22ジエン
3−オール(図5C)が、チトクロームP450 SCCの
基質であり、コレステロールの制限により同じ条件下で
得られるプレグネノロンのRTと同じRTを有する生成
物へと導く。
【0100】得られた結果は、デルタ−7Redを発現
するトランスフォームされた酵母が、イン・ビトロでの
生物学的酸化によってプレグネノロンを生成するのに直
接に利用できるステロールを蓄積することを示してい
る。
【0101】実施例4: イン・ビボでプレグネノロン
又はその酢酸エステルを生成する酵母株の構築 A − 一倍体株FY1679交配型a(FY1679
Mata)の遺伝子座ADE2にインテグレートされた
A.thaliana のデルタ−7Redの発現カセットを含む
ELR01株の構築 a)インテグレートプラスミッドpADデルタ−7(p
ADΔ7)の構築:プラスミッドpAD7の構築を、図
6に記載したように行なった。S.cerevisiaeのADE2
遺伝子を含むBglII断片(2244bp)を、プラ
スミッドpASZ11(A. Stotz等、 Gene, 95, 91, 19
90)から単離し、pBluescriptII KS+ ベクター(Strata
gene)の多数クローニング部位のBamHI部位に挿入
した。
【0102】得られたプラスミッド(pBS−ADE2
と呼ぶ)を、次いで、その単一StuI部位にて線状化
して、脱リン酸化した。プロモーターGAL10/CY
C1、デルタ−7Red(ステロール7レダクターゼ)
のコードフェーズ及びターミネーターPGK(tPG
K)を含む約2.44kbの断片を、プラスミッドデル
タ−7/V8から得た。該プラスミッドは、実施例1F
において、下記のオリゴヌクレオチドをプライマーとし
て用いるPCR技術により得たものである:
【化10】5' GATTACGCCA AGCTTTTCGA AAC 3' (SEQ ID
NO:6)及び
【化11】5' AGATCTTGAG AAGATGCGGC CAGCAAAAC 3'
(SEQ ID NO:7) (これらは、それぞれ、tPGKの3’末端及びURA
3遺伝子の3’末端と対合するように規定したものであ
る)。テンプレートとしてのプラスミッドデルタ−7/
V8(80ng)、天然のPfuDNAポリメラーゼ
(Stratageneが勧める緩衝液中に1単位)及び次の増幅
条件を用いた(35サイクル):95℃で1分;95℃
で5秒;56℃で30秒;70℃で4分30秒。得られ
た増幅断片を、次いで、上で線状化したプラスミッドp
BS−ADE2の鈍端にクローン化してプラスミッドp
ADΔ7を与えた。該プラスミッドにおいて、約472
0bpのNotI−PstI断片が、デルタ−7Red
の発現カセットにより中断されたADE2遺伝子を運
ぶ。
【0103】b)酵母FY1679Mata株における
染色体インテグレーション:制限酵素NotI及びPs
tIで消化したプラスミッドpADΔ7から単離したN
otI−PstI断片(4720bp)を、D. Gietz等
(既出)により記載された酢酸リチウム法を用いるトラ
ンスフォーメーションによって酵母FY1679Mat
aに導入した。
【0104】相同組換えによりこの断片をインテグレー
トしたトランスフォーマントをそれらのナイスタチン耐
性によって選択した(この表現型は、酵母のデルタ−
5,7ステロールをデルタ−5ステロールに変換するデ
ルタ−7Redの発現によるものである)。
【0105】これらのトランスフォームした細胞を、グ
ルコース(20g/l)を含み且つアデニン(20mg
/l)を補った実施例1に記載した完全培地YP中で2
8℃で4時間インキュベートした。次いで、それらを濃
縮し、それから、SLI−寒天最小培地(1g/lのバ
クトカザミノ酸;7g/lの「yeast nitrogen bas
e」;20g/lのガラクトース;20mg/lのアデ
ニン;20g/lの寒天)上にプレートし、28℃で一
晩インキュベートしてデルタ−7Red遺伝子の発現を
誘導した。ウラシルの補足のない場合は、細胞の成育が
制限される。これらのクローンを集めてグループ分けし
てからガラクトース(20g/l)を含み、アデニン
(20mg/l)を補った完全培地YP皿上にプレート
した(各皿は、それぞれ、0、1、2、5、20μg/
mlの濃度のナイスタチンを含む)。4日目に、5μg
/mlのナイスタチン濃度にて成育した約20クローン
が得られた。これらのクローンの内の12を、ウラシ
ル、ロイシン、トリプトファン、ヒスチジン及びアデニ
ンを豊富(それぞれ、20mg/l)にした最小培地W
O(7g/lのアミノ酸を含まない「yeast nitrogen b
ase 」、20g/lのグルコース)にて、皿上でサブク
ローン化した。
【0106】次いで、ADE2遺伝子の崩壊によるアデ
ニンの栄養要求性を、ウラシル、ロイシン、トリプトフ
ァン、ヒスチジンを豊富に有するがアデニンを含まない
上記の最小培地WO上で成育しないことを観ることによ
り確認した。
【0107】酵母のゲノム中の発現カセットの存在を、
得られたクローンのゲノムDNAからのPCR増幅(上
記の配列SEQ ID NO:6及び7を有するプライマーを使
用)により制御した。
【0108】インテグレートされたデルタ−7Red遺
伝子の機能性を、酵母中に蓄積したステロールを、実施
例1Bに記載した操作方法によってアルカリ鹸化により
抽出して、その組成のGC分析により確認した(5メー
トルのSE30キャピラリーカラム(Alltech )使
用)。分析は、クローンをガラクトースの存在下で培養
した場合には、C−7位が飽和したステロールを含む改
変されたプロフィルを示す。得られた株(ELR01と
呼ぶ)は、エルゴスタ5,7,22トリエン3−オール
(エルゴステロール)(図7に示すように、初期の株F
Y1679の主要ステロール)の代わりにエルゴスタ5
エン3−オール及びエルゴスタ5,22ジエン3−オー
ルを蓄積する。
【0109】この方法で構築した株ELR01は、プロ
モーターGAL10/CYC1による転写制御の事実の
ために、ガラクトースの存在下で培養した場合に、デル
タ−7Red遺伝子を発現する。デルタ−7Redの発
現ユニットは、ADE2遺伝子と同じ転写方向を有する
にもかかわらず、グルコースの存在下で培養を行なった
場合には、プロモーターGAL10/CYC1のリプレ
ッションの結果、GCによるステロールの組成の分析に
よってデルタ−7Redの発現は検出されない。
【0110】B − 一倍体株FY1679交配型アル
ファ(mat.alpha)の遺伝子座LEU2とSP
L1の間にインテグレートされた成熟型ウシアドレノド
キシンレダクターゼ(ADRm)用の発現カセットを含
むCDR01株の構築。 a)シャトルベクター E.coli - S.cerevisiaeV13の
構築 V13ベクターは、GAL10/CYC1プロモーター
(pG/C)を含む酵母における選択指標URA3及び
発現カセットを有するV8ベクター(C. Cullin 等、 既
出)に対応し、該ベクターにおいては、図8に与えたダ
イヤグラムに従って、更なるSalI部位(Sa)が多
数クローニング部位に導入されている。
【0111】V8ベクターを制限酵素HindIII及
びBamHIで消化し、URA3遺伝子及びGAL10
/CYC1プロモーターを含む得られたBamHI−H
indIII断片(1722bp)(今後、「ura−
gal」と呼ぶ)を、HindIII及びBamHIで
消化したpUC18ベクター(Pharmacia )の対応部位
の間にサブクローン化した。
【0112】この「ura−gal」断片を、次いで、
得られたpUC18/「ura−gal」プラスミッド
(95℃で30秒間変性したもの)から次の条件を用い
るPCRによって増幅した(30サイクル):86℃で
5秒;95℃で10秒;38℃で40秒;55℃で5秒
及び74℃で2分、2単位のTaqDNAポリメラーゼ
(Boehringer)(製造者の緩衝液中)及び下記のヌクレ
オチド配列を有するプライマー各1μMを使用:
【化12】 5' GGGGATCCGT GGTCGACGTA ATTTAGTGTG TGTATTTGTG TTTGCG 3' (SEQ ID NO:8)及び
【化13】 5' GTAAAACGAC GGCCAGT 3' (SEQ ID NO:9) プライマーSEQ ID NO:8は、「ura−gal」断片と
同じBamHI部位GGATCC、テンプレートとハイブリダ
イズしないBamHI部位における3つの連続したヌク
レオチド、SalI部位GTCGAC及びGAL10/CYC
1プロモーターと相同な配列を含む。プライマーSEQ ID
NO:9は、pUC18の多数クローニング部位のHin
dIII部位に先行する配列とマッチする。増幅後に得
られた1722bpのHindIII−BamHI断片
をXhoI及びBamHIで消化して、GAL10/C
YC1プロモーター(pG/C)を含む254bpの断
片を遊離させ、次いで、それを、制限酵素BamHI及
びXhoIで消化したV8ベクター中にサブクローン化
した。
【0113】生成したV13ベクターは、成熟ウシアド
レノドキシンレダクターゼ(ADRm)、成熟ウシアド
レノドキシン(ADXm)及びウシチトクロームP450
SCCをコードするcDNAの容易なサブクローン化を
可能にする制限部位を含む。
【0114】このV13ベクターから出発して、V13
−ADRベクター、V13−ADXベクター及びV13
−SCC10ベクターを、それぞれ、下記の方法にて調
製した:
【0115】a)V13−ADRベクターの構築 ADRmをコードするcDNAを有する1478bpの
SalI−KpnI断片を、欧州特許出願EP3408
78の実施例25に記載されたプラスミッドpGBAD
R−2から単離し、V13ベクターの対応部位にサブク
ローン化してV13−ADRベクターを与えた。
【0116】b)V13−ADXベクターの構築 ADXmをコードするcDNAを有する390bpのS
alI BamHI断片を、欧州特許出願EP3408
78の実施例23に記載されたプラスミッドpGBAD
X−1から単離し、V13ベクターの対応部位にサブク
ローン化してV13−ADXベクターを与えた。
【0117】c)V13−SCC10ベクターの構築 P450 SCCをコードするcDNAを有する1554b
pのSalI−EcoRI断片を、欧州特許出願EP3
40878の実施例6に記載されたプラスミッドpGB
SCC−10から単離し、V13ベクターの対応部位に
サブクローン化してV13−SCC10ベクターを与え
た。
【0118】b)インテグレートプラスミッドpCD6
2−1及びpCD62−2の構築:プラスミッドpCD
62−1及びpCD62−2の構築を図9に記載したよ
うにして行なった。
【0119】a)プラスミッドpFL26CDの構築 NotI部位を、下記の操作方法に従って、プラスミッ
ドpFL26(N. Bonneaud 等、 Yeast, 7, 609-615, 1
991 )中に、leu2遺伝子をspl1遺伝子(spl
1と呼ぶ)(C. Kolman 等、 J. Bacteriol., 175, 143
3, 1933)の5’から分離する遺伝子間領域に導入し
た:
【0120】leu2の5’末端及びSpl1の3’末
端をそれぞれ運ぶ704bp及び347bpの2つのD
NA断片を、下記のヌクレオチド配列を有するプライマ
ーを用いてPCRにより合成した:
【化14】5' TTGAAGGTTC AACATCAATT GATTG 3'
(SEQ ID NO:10)及び
【化15】 5' GTGTGGCGGC CGCCTCCTTG TCAATATTAA TGTTAAAG 3'(S
EQ ID NO:11) (704bp断片の増幅用)及び
【化16】 5' CAAGGAGGCG GCCGCCACAC AAAAAGTTAG GTGT 3' (SEQ
ID NO:12)及び
【化17】5' TCTGCTTCCC TAGAACCTTC TTATG 3'
(SEQ ID NO:13) (347bp断片の増幅用)。
【0121】プライマーSEQ ID NO:11及びSEQ ID NO:
12は、NotI部位に対応する配列GGCGGCCGを有し、
その中の3塩基はテンプレートとマッチしない。プライ
マーSEQ ID NO:10は、leu2の停止コドンの536
bp上流に位置する配列とマッチし、プライマーSEQ ID
NO:13は、spl1Δの停止コドンの194bp上流
に位置する配列とマッチする。
【0122】704bp及び347bp断片を、先ず、
プラスミッドpFL26をテンプレートとし、PfuD
NAポリメラーゼを酵素として用いて、供給者(Strata
gene)により記載された標準条件下で、PCRによって
増幅する。
【0123】得られた2つの増幅された断片は、プライ
マーSEQ ID NO:11(704bp断片)及びプライマー
SEQ ID NO:12(347bp断片)により生成された末
端のレベルで20bpにわたってマッチした(5’末端
から開始)(これらの20bpは、それぞれ、これらの
プライマーの各々の最初の20ヌクレオチドに対応す
る)。
【0124】704bp(1ng)及び347bp(2
ng)のDNA断片の対合から生じた生成物を、プライ
マーSEQ ID NO:10及びSEQ ID NO:13並びに次の条件
を用いて増幅した:95℃で10秒、60℃で5秒、4
5℃で1分、65℃で5秒及び72℃で2分を30サイ
クル行ない、その後、72℃で7分を1サイクル行なう
(50μlの反応緩衝液(Stratagene)中で、50pモ
ルの各プライマー及び1単位のPfuDNAポリメラー
ゼを使用)。NotI制限部位を含む1031bpの増
幅された断片が得られた。この断片を、次いで、Bst
XI及びNsiI酵素で消化し、得られたNotI部位
を含む920bpの断片をpFL26の初期BstXI
−NsiI断片の代わりに挿入してプラスミッドpFL
26CDを与えた(その地図を図9Aに示す)。
【0125】b)プラスミッドpCD60の構築 − プラスミッドpDP10036の調製:成熟ウシア
ドレノドキシン(ADXm)をコードするcDNAを有
する390bpのSalI−BamHI断片を、プラス
ミッドV13−ADXから単離し、次いで、プラスミッ
ドpTG10033の多数クローニング部位のSalI
−BamHI部位にサブクローン化した(それは、誘導
可能なプロモーターGAL10/CYC1及びターミネ
ーターterPGKと隣接する)。プラスミッドpTG
10033(その地図を図18に示す)は、後述する操
作方法に従って調製した。該プラスミッドは、プロモー
ターCYC1及びterPGKを含む発現ベクターpT
G10031(図17)に対応し、その中のプロモータ
ーCYC1がプロモーターGAL10/CYC1で置き
換えられている。
【0126】こうして得られたプラスミッド(pDP1
0034と呼ぶ)は、ADX発現カセット即ちGAL1
0/CYC1及びterPGKの転写制御下でADXm
をコードする遺伝子を有する。従って、用語「発現カセ
ット」は、GAL10/CYC1及びterPGKに転
写的に依存する任意の遺伝子について使用される。
【0127】選択指標URA3及びADR発現カセット
を有する3593bpのHindIII断片を、制限酵
素HindIIIで消化したプラスミッドV13−AD
Rから単離し、次いで、制限酵素HindIIIで消化
したプラスミッドpDP10034の対応部位に挿入し
た。得られたプラスミッド(pDP10036と呼ぶ)
は、マーカーURA3により互いに分離されたADX及
びADR発現カセットを含む(図9B)。
【0128】− プラスミッドpCD60の調製:AD
Rカセットを有する2770bpのAflIII−Ac
cI断片を、プラスミッドpDP10036を制限酵素
AflIII及びAccIで部分消化することにより単
離し、DNAポリメラーゼIのクレノー断片で処理して
鈍端を生成し、その鈍端でのライゲーションの後にプラ
スミッドpBlue-Script KS+(Stratagene)のSmaI部
位にサブクローン化した。得られたプラスミッド(pC
D60と呼ぶ)において、ADR発現カセットは、両側
をNotI部位にはさまれ、該部位の一つはAflII
I/SmaIライゲーション部位の209bp上流に位
置してサブクローン化された断片に由来し、他方は、pB
lue-Script KS+の多数クローニング部位(MCS1)に
由来する(図9B)。
【0129】c)プラスミッドpCD62−1及びpC
D62−2の構築:制限酵素NotIで消化したプラス
ミッドpCD60から単離した2558bpのNotI
断片を、次いで、プラスミッドpFL26CDの単一N
otI部位にサブクローン化した。断片の挿入の方向に
よって、2種類のプラスミッド(pCD62−1及びp
CD62−2と呼ぶ)が得られた(図9C)。
【0130】プラスミッドpCD62−1において、A
DR発現カセットは、leu2遺伝子の転写の方向に向
けられ、この向きはプラスミッドpCD62−2におけ
る向きと逆である。
【0131】プラスミッドpCD62−1を、続く構築
のために保持した。
【0132】c)酵母FY1679株(Matalph
a)における染色体インテグレーション:プラスミッド
pCD62−1は、FY1679株の染色体遺伝子座に
相同な領域を含む。これらの領域は、それぞれ、図10
に示した1060bpのBglII−ClaI断片
(A)、707bpのEcoRI−NotI断片(B)
及び602bpのNotI−BglII断片(C)に対
応する。
【0133】このプラスミッドpCD62−1の486
bpのClaI−EcoRI断片に対応する領域は、F
Y1679株においては欠失し、それは、この株のロイ
シンに関する栄養要求性(LEU2- 株)を意味する
(R. S. Sikorski等、 Genetics, 122, 19, 1989 )。
【0134】プラスミッドpCD62−1を、制限酵素
XbaI(その制限部位は相同領域の外に位置する)で
の消化により線状化し、次いで、FY1679株(Ma
talpha)に酢酸リチウム法(D. Gietz等、 既出)
を用いるトランスフォーメーションにより導入した。
【0135】酵母による細胞のDNA修復能力(「ga
p修復」)及び表現型LEU2+ を有する組換え体の選
択は、第1に、2つの型の組換え体を選択することを可
能にした:第1の型は、断片A及びBのレベルにおける
相同組換えの後に得られ、第2の型は、断片A及びCの
レベルにおける相同組換えの後に得られる。後者の型の
組換えだけが、表現型LEU2+ の回復に加えてADR
発現カセットのインテグレーションを与えた。
【0136】この第2の型のクローンを選択するため
に、PCRによるスクリーニングを、上記のプライマー
SEQ ID NO:10及び下記のヌクレオチド配列を有するプ
ライマーを用いて、FY1679株(Matalph
a)のゲノム中のADR発現カセットの存在及び正確な
位置を確認するように行なった:
【化18】5' TACATTAGGT CCTTTGTAGC 3'
(SEQ ID NO:14)。
【0137】このスクリーニングにおいて、プライマー
SEQ ID NO:14は、専ら、ADRmをコードする配列と
マッチし、プライマーSEQ ID NO:10は、染色体配列
(図10)とマッチする。
【0138】増幅反応を、FY1679株(Matal
pha)(C. Hoffman等、 Gene, 57, 267, 1987 )から
単離したゲノムDNA(20ng)をテンプレートと
し、TaqDNAポリメラーゼ(1U、Boehringer)、
50pモルの各プライマー及び30PCRサイクル(9
5℃で10秒、55℃で1分、72℃で3分)を用いて
供給者により記載された標準条件下で行なった。
【0139】増幅は、発現カセットがインテグレートさ
れた場合には、2.9kbの対応する断片の単離へと導
いた。逆の場合には、増幅生成物は、検出されなかっ
た。
【0140】ADRインテグレートされた発現カセット
を含むこの方法で選択されたFY1679株(Mata
lpha)は、CDR01と呼ばれた。
【0141】この株によるADRの発現は、実施例1F
に記載したプロトコールに従って調製した細胞質ゾルの
細胞画分から、抗−ADR抗体により認識される蛋白質
の免疫検出によって示された。
【0142】CDR01株によって発現されたADRの
機能性を、実施例3に記載したイン・ビトロでのコレス
テロールの側鎖の酵素的制限試験(精製ADR(0.2
8pモル)を、100ugの全蛋白質を含むCDR01
株の細胞質ゾルの細胞画分で置き換えた)にて確認し
た。約25%のコレステロールからプレグネノロンへの
生物学的変換率が認められ、これは、精製ADRで得ら
れたものに匹敵した。
【0143】C − A. Thaliana のデルタ−7Red
とADRmとを同時発現するEC01二倍体株の構築。
EC01二倍体株を、上で得たCDR01及びELR0
1一倍体株を G. Sprague 等(Methods in Enzymology,
194, 77, 1991)により記載されたプロトコールに従っ
て交配させることによって得た:
【0144】ウラシル、トリプトファン及びヒスチジン
を豊富に(各20mg/l)含むがロイシンを含まない
前述した最小培地WO上での第1の選択は、二倍体クロ
ーンLEU2+ (ADR発現カセットの存在を示す原栄
養体特性)の単離を可能にする。これらのクローンを、
次いで、それらの5μg/mlナイスタチンに対する耐
性(デルタ−7Redの発現カセットの存在を示す耐性
特性)について、前記の固体合成SLI−寒天培地上で
試験した。
【0145】EC01と呼ばれる株が、この方法におい
て、ナイスタチン耐性のクローンから任意に単離され
た。
【0146】D − プレグネノロン及びプレグネノロ
ン3−アセテートを生成するEC01/pCD63株の
構築。 a)発現プラスミッドpCD63の構築 プラスミッドpCD63の構築を、図11に記載したよ
うに行なった。
【0147】ADX発現カセット、選択指標URA3及
びADR発現カセットを含む4961bpのNotI断
片を、上で調製したプラスミッドpDP10036から
単離して、制限酵素NotIで消化し、次いで、プラス
ミッドpFL45L(N. Bonneaud 等、 Yeast, 7, 609,
1991 )の多数クローニング部位のNotI部位にクロ
ーン化した。こうして得られたベクター(pDP100
37と呼ぶ)を図11に示す。
【0148】一方において、プラスミッドpDP100
37を、ADRmをコードする遺伝子内に制限部位があ
る酵素Tth111Iで消化して線状化した。
【0149】他方において、P450 SCCの発現カセッ
ト及びURA3マーカーの5’末端を含む3476bp
のPvuII−EcoRV断片を、前に得たプラスミッ
ドV13−SCC10から精製して制限酵素PvuII
及びEcoRVで消化した。
【0150】これらの別々に得た2種類の線状DNA
は、図11Aに示すように、一方で遺伝子URA3の
5’末端及びGAL10/CYC1に対応し、他方で、
terPGKに対応する相同領域を有する。
【0151】これらの2種類の断片を、次いで、酢酸リ
チウム法(D. Gietz等、 既出)を用いる同時トランスフ
ォーメーションによって酵母FY1679株(Mat
a)に導入した。
【0152】続く原栄養性組換え体のウラシル及びトリ
プトファン(URA3+ 、RTP1+ )についての選択
は、制限酵素Tth111Iでの消化により生じた二本
鎖破壊が、相同組換えによる発現カセットP450 SCC
のインテグレーションの結果修復されたクローンの単離
を与えた。
【0153】組換え体(URA3+ 、RTP1+ )の選
択を、ロイシン、ヒスチジン及びロイシンに富む(各2
0mg/l)がウラシル及びトリプトファンを含まない
最小培地WO上で行なった。50の集めたクローンから
出発して、全DNAを C. Hoffman 等(Gene, 57, 267,
1987 )により記載された方法によって抽出し、次い
で、エレクトロポレーションにより大腸菌XL1−Bl
ue株(Stratagene)に導入した。「gap修復」によ
り生成したプラスミッドによりトランスフォームしたク
ローンを、50mg/lのアンピシリンを含む豊富な培
地LB(トリプトファン1%、イーストエキス0.5
%、NaCl 1%)にて選択した。選択したクローン
の1つから出発して、pCD63と呼ばれるプラスミッ
ドを、J. Sambrook 等、 Molecular Cloning, Cold Spri
ng Harbor Laboratory Press, 1989に記載された方法に
従って抽出した。得られたプラスミッドpCD63は、
図11Bに示したように、選択指標URA3により分離
された発現カセットADX及びP450 SCCを含む。
【0154】b)EC01株のプラスミッドpCD63
によるトランスフォーメーション プラスミッドpCD63を、酢酸リチウム法(D. Gietz
等、 既出)によるトランスフォーメーションにより上で
得たEC01株に導入した。トランスフォームした酵母
を、次いで、ウラシル、トリプトファン、アデニン及び
ロイシンを含まないがヒスチジン(20mg/l)を補
った前述の最小培地WO上で培養した。
【0155】EC01/pCD63と呼ばれる株をこの
方法で単離した。この株の試料(EC01/pCD63
として言及する)を、CNCMに、1995年2月10
日に、番号I−1538で寄託した。
【0156】c)プレグネノロン及びプレグネノロン3
−アセテートのイン・ビボでの産生。 EC01/pCD63株を、3リットルのエルレンマイ
ヤーフラスコにて、グルコース濃度が5g/lの実施例
1Aに記載したSGI選択培地中で、定常成育期(DO
600=12〜13)に達するまで、好気条件(130
r/分)下で、28℃で培養した。次いで、培養物を、
上記の完全培地YP一容の添加と、続く炭素源としての
エタノール(0.5%v/v)の添加によって希釈す
る。新たな定常成育期に到達したとき(DO600=1
2〜13)に、ガラクトースを、それぞれプロモーター
GAL10/CYC1の制御下にあるADXm、ADR
m、P450 SCC及びデルタ−7Redをコードする遺
伝子の発現を同時に誘導するために、濃溶液(500g
/l)の形態で培養に添加する。
【0157】これらの4つの遺伝子の同時発現は、それ
ぞれ細胞及び培養上清に蓄積したステロールの下記の操
作方法による分析により示される:
【0158】この培養の50mlの試料を、誘導の9時
間及び24時間後に採取する。各試料を、細胞を培養培
地から分離するために遠心分離する(4000g、10
分、4℃)。
【0159】一方において、これらの細胞を、実施例1
Fに記載した方法により、ガラスビーズの存在下で機械
的破壊によって溶解させる。こうして得られた溶解物か
ら出発し、次いで、細胞内ステロールを一容のヘキサン
の添加によって抽出する。
【0160】他方において、培養培地中に存在するステ
ロールを、一容のヘキサンの添加によって直接抽出す
る。
【0161】抽出したステロールの組成を、実施例1に
記載したように、GCによって、標準生成物と比較して
分析する。
【0162】9時間又は24時間の誘導の後に得られた
結果を、それぞれ、図12A及び図12Bに示す。
【0163】9時間の誘導の後、図12Aは、下記を示
す: − 細胞溶解物において、存在する主要化合物は、標準
プレグネノロンアセテート(RT=11.8分)と同じ
保持時間を有し、1つの非常に弱いピークがプレグネノ
ロンの保持時間(RT=9.9分)に存在するだけであ
る。C−7位が還元されたこの酵母の内因性ステロール
(エルゴスタ5−エン3−オール及びエルゴスタ5,2
2ジエン3−オール)が少量、それぞれ、RT=18分
及びRT=17分にて同定される。分析前の細胞溶解物
のアルカリ鹸化は、プレグネノロンと同時移動する主要
化合物の存在へと導く。これは、11.8分のRTを有
する蓄積した化合物がプレグネノロンアセテートに相当
することの確認を与える。
【0164】− 培養培地において、プレグネノロン又
はそのアセテートは、有意に、存在しない。
【0165】24時間の誘導の後、図12Bは、下記を
示す: − 細胞溶解物において、少量のプレグネノロン(RT
=10.2分)及びプレグネノロンアセテート(RT=
12分)並びにこの酵母の還元された内因性ステロール
(RT=17分及びRT=18分)が存在する。コレス
テロール(RT=16.2分)は、抽出前に加えた内部
標準である。
【0166】− 培養培地において、主に存在するのは
プレグネノロンアセテートであり、プレグネノロンは、
少量である。
【0167】対照用プラスミッド例えば前述のpFL4
5LでトランスフォームしたEC01株を用いて並行し
て行なった実験は、遊離のプレグネノロン又はアセテー
ト形態のプレグネノロンに対応するピークを示さなかっ
た。
【0168】この方法で行なったステロールの同定は、
酵母EC01/pCD63株が、外因性ステロール源の
不在において、ガラクトースの存在下での誘導の後、9
時間の誘導の後の主要な産生を伴って、プレグネノロン
及びプレグネノロンアセテートを蓄積したことを示す。
【0169】これらの結果は、一方において、EC01
株のC−7位が還元された内因性ステロールの効果的な
流動化を、他方において、内因性ステロールの側鎖の制
限反応のカップリングの極度の効果を示す。
【表2】
【0170】実施例4の準備:プラスミッドpTG10
033の構築 1.新しい多数クローニング部位を有するpUC19の
誘導体:クローニングベクターM13mp19(C. Yan
ish-Peron 等、 Gene, 33, 103,1985 )を、下記のオリ
ゴヌクレオチドを用いて突然変異誘発し:
【化19】5' GCGCTCAGCG GCCGCTTTCC AGTCG 3'
SEQ ID NO:15 NotI部位を切り詰めたlacI遺伝子の配列中に導
入して、プラスミッドM13TG724を与えた。
【0171】次いで、EcoRI、SnaBI及びNo
tI部位を含む「ポリリンカー」を、下記のオリゴヌク
レオチドを用いてプラスミッドM13TG724のEc
oRI部位に導入し:
【化20】5' AATTGCGGCC GCGTACGTAT G 3'
SEQ ID NO:16 及び
【化21】5' AATTCATACG TACGCGGCCG C 3'
SEQ ID NO:17 プラスミッドM13TG7244を与えた(増幅段階に
おいて、インサートの改変が認められた)。プラスミッ
ドM13TG7244のインサートは、下記のヌクレオ
チド配列を有する:
【化22】GAATTC ATACGTACGCGGCCGCAATTGCGGCCGGTACGTATAATTCACTGGCCGT (式中、EcoRI、SnaBI及びSstI部位に下
線を引き、又、右端の9ヌクレオチドは、pUC19の
lacZ配列である)。制限酵素EcoRI及びSst
IによるプラスミッドM13TG7244の消化の後
に、MluI及びAvrII部位を含む「ポリリンカ
ー」を、下記のオリゴヌクレオチドを用いて導入した:
【化23】5' CAACGCGTCC TAGG 3'
SEQ ID NO:18
【化24】5' AATTCCTAGG ACGCGTTGAG CT 3'
SEQ ID NO:19。
【0172】酵素PvuIIでの消化の後に、得られた
PvuII断片を、pUC19(C.Yanish-Porch 等、
既出)にてサブクローン化してプラスミッドpTG74
57(図13)を与えた。
【0173】2.PGKターミネーターのサブクローン
化 pUC19を、制限酵素BamHI及びEcoRIで消
化し、下記のオリゴヌクレオチドを用いて、新たな「ポ
リリンカー」BamHI SstIを導入した:
【化25】 5' GATCCGCAGA TATCATCTAG ATCCCGGGTA GAT 3' SEQ
ID NO:20、
【化26】 5' AGAGCTCAAG ATCTACCCGG GATCTAGATG ATATCTGCG 3' SEQ ID NO:21、
【化27】 5' CTTGAGCTCT ACGCAGCTGG TCGACACCTA GGAG 3' SEQ
ID NO:22 及び
【化28】5' AATTCTCCTA GGTGTCGACC AGCTGCGT 3'
SEQ ID NO:23。
【0174】この方法で得たプラスミッドpTG745
3(図14)を、次いで、制限酵素BamHI及びSs
tIで消化した。BamHIとSstIの間の「ポリリ
ンカー」の部位を、上で得たプラスミッドpTG745
7の誘導体に導入して、制限酵素BamHI及びSst
Iで消化した。得られた新たなプラスミッドは、Pvu
II、HindIII、BamHI、EcoRI、Xb
aI、SmaI、BglII、SstI(=Sac
I)、MluI、AvrII、EcoRI、SnaB
I、NotI、SnaBI、PvuI部位を含む。
【0175】この新しいプラスミッドを、制限酵素Bg
lII及びHindIIIで消化し、PGKプロモータ
ー(R. A. Hitzeman等、 Nucleic Acids Res., 10, 779
1, 1982)を含むBglII−HindIII断片を前
者に挿入してプラスミッドpTG10014(図15)
を与えた。
【0176】3.プロモーターのサブクローニング: a)CYC1プロモーター プラスミッドpTG7453のBamHIとSstIの
間の「ポリリンカー」の部位を、上で同定したプラスミ
ッドpTG7457の誘導体に導入した。得られた新し
いプラスミッドを制限酵素SnaBIで消化し、次い
で、ファージf1の複製オリジンを含むプラスミッドp
EMBL8(L. Dente等、 Nucleic AcidsRes., 11, 164
5, 1983)の456bpのRsaI−DraI断片を導
入してプラスミッドpTG7503を与えた。
【0177】欧州特許出願EP0340378の実施例
6において調製したプラスミッドpGBSCC−9の
0.78kbのBamHI HindIII断片(S.ce
revisiaeのCYC1プロモーター、「ポリリンカー」及
び K.lactis のラクターゼターミネーターを含む)を、
制限酵素HindIII及びBamHIで消化したプラ
スミッドpTG7503中にサブクローン化してプラス
ミッドpTG10004(図16)を与えた。
【0178】次いで、CYC1プロモーターのXhoI
及びMluI部位を、下記のオリゴヌクレオチドを用い
る、プラスミッドpTG10004の二本鎖DNAの位
置指定突然変異導入法によって除去した:
【化29】 5' GCGGATCTGC TCGAAGATTG CCTGCGCGTT GGGCTTGATC 3' SEQ ID NO:24。 こうして得られたプラスミッドpTG10005を、次
いで、制限酵素SalI及びXhoIで消化し、それか
ら、MluI部位を、下記のオリゴヌクレオチドを用い
て導入して:
【化30】5' TCGACGGACG CGTGG 3'
SEQ ID NO:25 及び
【化31】5' TCGACCACGC GTCC 3'
SEQ ID NO:26 プラスミッドpTG10006を与えた。
【0179】b)GAL10/CYC1プロモーター プラスミッドpYeDP1/8−2(C. Cullin 等、 Ge
ne, 203, 1988 )を、制限酵素XhoIで開いた。生成
した粘着末端を、DNAポリメラーゼのクレノー断片を
用いて埋め、次いで、そのプラスミッドを再結合(reli
gated )した。こうして得られたプラスミッドpTG1
0010(GAL10/CYC1プロモーターは、もは
やXhoI部位を含まない)を、PCR増幅のためのテ
ンプレートとして用いる。
【0180】4.発現ベクターpTG10031の構築 lacZをコードする配列の残りの部分を、下記のオリ
ゴヌクレオチドを用いる位置指定突然変異導入法によ
り、プラスミッドpTG7503において除去して:
【化32】 5' TGGCCGTCGT TTTACTCCTG CGCCTGATGC GGTAT 3' SEQ
ID NO:27 プラスミッドpTG7549を与えた。
【0181】プラスミッドpTG7549中に存在する
LacZプロモーターを、次いで、下記のオリゴヌクレ
オチドを用いて削除して:
【化33】5' GGCCGCAAAA CCAAA 3'
SEQ ID NO:28 及び
【化34】5' AGCTTTTGGT TTTGC 3'
SEQ ID NO:29 (これらは、予め制限酵素NotI及びHindIII
で消化したプラスミッド中に挿入されており、2つの部
位を回復する)プラスミッドpTG7553を与えた。
【0182】CYC1プロモーターを含むBamHI
MluI断片を、制限酵素BamHI及びMluIで消
化したプラスミッドpTG10006から得て、PGK
プロモーターを含むMluI HindIII断片を、
制限酵素MluI及びHindIIIで消化したプラス
ミッドpTG10015から単離した。これらの2種の
断片をライゲートし、得られたライゲーション生成物
を、制限酵素MluI及びHindIIIで予め消化し
たプラスミッドpTG7553に挿入した。
【0183】下記のオリゴヌクレオチド:
【化35】5' GATCTATCGA TGCGGCCGCG 3'
SEQ ID NO:30 を下記のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせたも
【化36】5' CGCGCGCGGC CGCATCGATA 3'
SEQ ID NO:31 (該ハイブリッド分子は、ClaI及びNotI部位を
含むBamHI MluI「リンカー」を構成する)を
加えて、ライゲートして発現ベクターpTG10031
(図17)を与えた。
【0184】プラスミッドpYeDP1/8−2から上
で得たPCRにより増幅した断片を制限酵素ClaI及
びSalIで消化し、次いで、予め同じ制限酵素で消化
したプラスミッドpTG10031に導入してプラスミ
ッドpTG10033(図18)を与えた。
【図面の簡単な説明】
【図1A】酵母FY1679中のA.thalianaライブラリ
ーのスクリーニングにより得られたナイスタチン耐性の
クローンF22から抽出した全ステロールのプロフィル
を示す図である。205nm若しくは285nmでのR
P−HPLCにより、トランスフォームしてない酵母F
Y1679と比較して、分析を行なう。
【図1B】酵母FY1679中のA.thalianaライブラリ
ーのスクリーニングにより得られたナイスタチン耐性の
クローンF22から抽出した全ステロールのプロフィル
を示す図である。205nm若しくは285nmでのG
Cにより、トランスフォームしてない酵母FY1679
と比較して、分析を行なう。
【図2】プラスミッドpF22のNotI断片の制限地
図及び配列決定のストラテジーを示す図である。
【図3A】cDNAデルタ−7Redのヌクレオチド配
列(SEQ ID NO:1)及び対応するアミノ酸配列(SEQ ID
NO:2)を示す図である。
【図3B】cDNAデルタ−7Redのヌクレオチド配
列(SEQ ID NO:1)及び対応するアミノ酸配列(SEQ ID
NO:2)を示す図(続き)である。
【図3C】cDNAデルタ−7Redのヌクレオチド配
列(SEQ ID NO:1)及び対応するアミノ酸配列(SEQ ID
NO:2)を示す図(続き)である。
【図3D】cDNAデルタ−7Redのヌクレオチド配
列(SEQ ID NO:1)及び対応するアミノ酸配列(SEQ ID
NO:2)を示す図(続き)である。
【図3E】cDNAデルタ−7Redのヌクレオチド配
列(SEQ ID NO:1)及び対応するアミノ酸配列(SEQ ID
NO:2)を示す図(続き)である。
【図4】誘導可能発現ベクター「デルタ−7/V8」で
トランスフォームしたFY1679のミクロソーム画分
のデルタ−5,7−ステロール,デルタ−7レダクター
ゼ活性のイン・ビトロでの測定を示す図である。GCを
用いて分析を行ない、内因性ステロール5,22ジエン
3−オール(RT=16.682);エルゴステロール
(RT=17.249);エルゴスタ5−エン3−オー
ル(RT=17.664)の存在下での基質7−デヒド
ロコレステロール(RT=16.528)のコレステロ
ール(RT=15.887)へのトランスフォームを示
す。
【図5A】エルゴスタ5−エン3−オールの制限による
イン・ビトロでのプレグネノロンの生成(デルタ−7R
edを発現するトランスフォームした酵母から精製し、
次いで、P450 SCC、ADX及びADRとインキュベ
ートする)を示す図である。コレステロールの対照制限
と比較したGCにより分析を実施する。
【図5B】エルゴスタ5,24(28)ジエン3−オー
ルの制限によるイン・ビトロでのプレグネノロンの生成
(デルタ−7Redを発現するトランスフォームした酵
母から精製し、次いで、P450 SCC、ADX及びAD
Rとインキュベートする)を示す図である。コレステロ
ールの対照制限と比較したGCにより分析を実施する。
【図5C】エルゴスタ5,22ジエン3−オールの制限
によるイン・ビトロでのプレグネノロンの生成(デルタ
−7Redを発現するトランスフォームした酵母から精
製し、次いで、P450 SCC、ADX及びADRとイン
キュベートする)を示す図である。コレステロールの対
照制限と比較したGCにより分析を実施する。
【図6A】デルタ−7Red(ステロールデルタ−7レ
ダクターゼ)をコードするcDNAのインテグレーショ
ンを可能にするインテグレートプラスミッドpADデル
タ−7の構築を示す図である。
【図6B】デルタ−7Red(ステロールデルタ−7レ
ダクターゼ)をコードするcDNAのインテグレーショ
ンを可能にするインテグレートプラスミッドpADデル
タ−7の構築を示す図(続き)である。
【図7】FY1679株及びインテグレートされたEL
R01株(ガラクトースの存在下で培養)のアルカリ鹸
化により抽出した全ステロールのGCによる分析を示す
図である。
【図8】多数クローニング部位に単一SalI(Sa)
を含むシャトルベクターE.coli-S.cerevisiae V13の
構築を示す図式表示である。
【図9A】ADR発現カセットのleu2とspl1デ
ルタとの遺伝子間領域への挿入を可能にするインテグレ
ートプラスミッドpCD62−1及びpCD62−2の
構築の段階を示す図である。 MCS1及びMCS2: 多数クローニング部位
【図9B】ADR発現カセットのleu2とspl1デ
ルタとの遺伝子間領域への挿入を可能にするインテグレ
ートプラスミッドpCD62−1及びpCD62−2の
構築の段階を示す図(続き)である。 MCS1及びMCS2: 多数クローニング部位
【図9C】ADR発現カセットのleu2とspl1デ
ルタとの遺伝子間領域への挿入を可能にするインテグレ
ートプラスミッドpCD62−1及びpCD62−2の
構築の段階を示す図(続き)である。 MCS1及びMCS2: 多数クローニング部位
【図10】CDR01株の構築ストラテジーを示す図で
ある。
【図11A】2つの発現カセットADX及びP450 SC
Cを含む発現プラスミッドpCD63の構築の段階を示
す図である。
【図11B】2つの発現カセットADX及びP450 SC
Cを含む発現プラスミッドpCD63の構築の段階を示
す図(続き)である。
【図12A】ガラクトースにより9時間にわたって誘導
した後に、細胞(細胞溶解物)又は培養培地(EC01
/pCD63から単離)から抽出したステロールのGC
による分析を示す図である。
【図12B】ガラクトースにより24時間にわたって誘
導した後に、細胞(細胞溶解物)又は培養培地(EC0
1/pCD63から単離)から抽出したステロールのG
Cによる分析を示す図である。
【図13】プラスミッドpTG7457の構造を示す図
である。
【図14】プラスミッドpTG7453の構造を示す図
である。
【図15】プラスミッドpTG10014の構造を示す
図である。
【図16】プラスミッドpTG10004の構造を示す
図である。
【図17】プラスミッドpTG10031の構造を示す
図である。
【図18】プラスミッドpTG10033の構造を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 9/02 C12N 9/02 C12P 33/00 C12P 33/00 C12Q 1/68 9453−4B C12Q 1/68 A G01N 33/53 G01N 33/53 D 33/573 33/573 A //(C12N 1/19 C12R 1:645) (C12N 9/02 C12R 1:645) (C12P 33/00 C12R 1:645) (72)発明者 エリク・ルカン フランス国カシャン、アブニュ・カルノ、 70 (72)発明者 ドニ・ポンポン フランス国ジフ・スュール・イベット、プ ラス・デュ・マルシェ・ヌフ、9 (54)【発明の名称】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有するA.Thalianaの蛋白 質をコードするDNA配列、デルタ7−Red蛋白質、製造方法、トランスフォームした酵母 株、及び利用

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−7
    レダクターゼ活性を有する蛋白質をコードする配列を含
    む核酸配列であって、該核酸がDNA又はRNAであ
    る、上記の核酸配列。
  2. 【請求項2】 核酸がcDNAである、請求項1に記載
    の核酸配列。
  3. 【請求項3】 コード配列がデルタ−5,7ステロー
    ル,デルタ−7レダクターゼ活性を有する A.thaliana
    蛋白質をコードし、下記のSEQ ID NO:1のヌクレオチド
    配列を有する、請求項2に記載のcDNA配列: 【化1】 並びに、この配列の対立遺伝子変異体。
  4. 【請求項4】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−7
    レダクターゼ活性を有する蛋白質をコードし、且つ平均
    的緊縮条件若しくは高緊縮条件下で請求項3に規定した
    配列とハイブリダイズし又はこの配列と約60%以上の
    配列同一性を有するDNA配列。
  5. 【請求項5】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−7
    レダクターゼ活性を有する蛋白質をコードし、且つ下記
    のSEQ ID NO:3のアミノ酸配列を有するコンセンサス配
    列をコードするプライマーオリゴヌクレオチドを用いる
    PCR技術により増幅し得るDNA配列: 【化2】 (式中、7位のXaaはTrp又はTyrであり、12
    位のXaaはHis又はLysである)。
  6. 【請求項6】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−7
    レダクターゼ活性を有し、且つ下記のSEQ ID NO:2のア
    ミノ酸配列を有する A.thaliana 蛋白質: 【化3】 並びに、この配列の対立遺伝子変異体。
  7. 【請求項7】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−7
    レダクターゼ活性を有し、且つSEQ ID NO:2のアミノ酸
    配列を有し、且つデルタ−7Redと呼ばれる A.thali
    ana 蛋白質。
  8. 【請求項8】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−7
    レダクターゼ活性を有し、請求項7に規定したSEQ ID N
    O:2の配列と約60%以上の配列同一性を有するアミノ
    酸配列を有する蛋白質。
  9. 【請求項9】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−7
    レダクターゼ活性を有し、且つ請求項7に規定した A.t
    haliana デルタ−7Red蛋白質と交差免疫反応性を有
    する蛋白質。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5の何れか1つに記載のD
    NA配列を含む宿主細胞における発現により得られるデ
    ルタ−5,7ステロール,デルタ−7レダクターゼ活性
    を有する蛋白質。
  11. 【請求項11】 SEQ ID NO:2のアミノ酸配列をコード
    するDNA配列を含む宿主細胞における発現により得ら
    れるデルタ−5,7ステロール,デルタ−7レダクター
    ゼ活性を有する A.thaliana 蛋白質。
  12. 【請求項12】 宿主細胞が酵母である、請求項10又
    は11に記載の蛋白質。
  13. 【請求項13】 請求項6〜12の何れか1つに記載の
    デルタ−5,7ステロール,デルタ−7レダクターゼ活
    性を有する蛋白質に対する抗体。
  14. 【請求項14】 請求項1〜5の何れか1つに記載のD
    NA配列を含む発現ベクター。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載のベクターによりト
    ランスフォームされた宿主細胞。
  16. 【請求項16】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−
    7レダクターゼ活性を有する蛋白質をコードする核酸の
    微生物におけるクローニング方法であって、下記より選
    択するスクリーニング方法を含む、該クローニング方法 − 微生物のナイスタチン耐性又は毒性がC−7位に不
    飽和を有するステロールの存在に依存する類似化合物に
    対する耐性、 − 核酸の、SEQ ID NO:1の配列のヌクレオチド配列と
    のハイブリダイゼーション、 − ランダムに単離したDNA配列からのデータ処理技
    術を利用することによる核酸の同定、 − 蛋白質の直接的発現及びその後の、SEQ ID NO:2の
    アミノ酸配列を有する蛋白質に対する抗体を用いる免疫
    検出。
  17. 【請求項17】 請求項16に規定した方法によって得
    られたDNA又はRNA核酸配列。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のDNA配列を含む
    ベクターによりトランスフォームされた宿主細胞。
  19. 【請求項19】 宿主が酵母又は糸状菌である、請求項
    15又は18に記載のトランスフォームされた宿主細
    胞。
  20. 【請求項20】 請求項15、18又は19の何れか1
    つに記載のトランスフォームされた宿主細胞を培養し
    て、発現された蛋白質を単離する、デルタ−5,7ステ
    ロール,デルタ−7レダクターゼ活性を有する蛋白質の
    製造方法。
  21. 【請求項21】 宿主細胞がトランスフォームされた酵
    母であり、該酵母において、コードDNA配列が酵母プ
    ロモーターの制御下に置かれている、請求項20に記載
    の方法。
  22. 【請求項22】 C−7位が不飽和のステロールのイン
    ・ビトロでの還元方法であって、還元すべきステロール
    を請求項20又は21に従って得られた蛋白質とインキ
    ュベートし、得られる還元されたステロールを適宜単離
    する、上記の還元方法。
  23. 【請求項23】 C−7位が不飽和の外因性ステロール
    のイン・ビボでの還元方法であって、ステロールを、請
    求項15、18又は19の何れか1つに記載のトランス
    フォームされた宿主細胞とインキュベートし、得られる
    還元されたステロールを適宜単離する、上記の還元方
    法。
  24. 【請求項24】 C−7位が不飽和の内因性ステロール
    のイン・ビボでの還元方法であって、請求項19に記載
    のトランスフォームされた宿主株を培養し、蓄積する還
    元されたステロールを適宜単離する、上記の方法。
  25. 【請求項25】 請求項22〜24の何れか1つに記載
    のイン・ビトロ又はイン・ビボでの還元方法であって、
    得られる還元されたステロールがコレステロールの側鎖
    の制限酵素(P450 SCC)の基質である、該還元方
    法。
  26. 【請求項26】 請求項25に記載のイン・ビボでの還
    元方法であって、還元すべき内因性ステロールがエルゴ
    スタ5,7ジエン3−オール、エルゴスタ5,7,24
    (28)トリエン3−オール若しくはエルゴスタ5,
    7,22トリエン3−オール又はこれらの混合物であ
    る、上記の還元方法。
  27. 【請求項27】 プレグネノロンの製造方法であって、
    請求項19に記載のトランスフォームされた宿主細胞を
    培養し、蓄積した内因性ステロール又はC−7位が還元
    されたステロールを適宜単離し、これらの還元されたス
    テロールをP450 SCC及び、適宜、アドレノドキシン
    レダクターゼ(ADR)及びアドレノドキシン(AD
    X)の存在下でインキュベートし、得られるプレグネノ
    ロンを適宜単離する、上記の製造方法。
  28. 【請求項28】 宿主細胞が酵母である、請求項27に
    記載の方法。
  29. 【請求項29】 プレグネノロンの製造方法であって、
    デルタ−5,7ステロール,デルタ−7レダクターゼ、
    450 SCC活性及び適宜ADR及びADX活性を有す
    る蛋白質の同時発現を与える1つ以上のベクターにより
    トランスフォームされた酵母を培養し、遊離の若しくは
    エステル化したプレグネノロンを適宜単離する、上記の
    方法。
  30. 【請求項30】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−
    7レダクターゼ、P450 SCC、ADR及びADX活性
    を有する蛋白質を同時発現するトランスフォームされた
    酵母を培養する、請求項29に記載のプレグネノロンの
    製造方法。
  31. 【請求項31】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−
    7レダクターゼ活性を有する蛋白質が A.thaliana デル
    タ−7Red蛋白質である、請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 酵母株がEC01/pCD63株であ
    る、請求項31に記載の方法。
  33. 【請求項33】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−
    7レダクターゼ、P450 SCC、ADR及びADX活性
    を有する蛋白質を同時発現して、遊離の又はエステル化
    したプレグネノロンを蓄積するトランスフォームされた
    酵母株。
  34. 【請求項34】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−
    7レダクターゼ活性を有する蛋白質が A.thaliana デル
    タ−7Red蛋白質である、請求項33に記載の酵母
    株。
  35. 【請求項35】 EC01/pCD63と呼ばれる、請
    求項34に記載の酵母株。
  36. 【請求項36】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−
    7レダクターゼの先天的欠乏を診断するためのプローブ
    として用いられる、請求項17に記載のヒトDNA配
    列。
  37. 【請求項37】 デルタ−5,7ステロール,デルタ−
    7レダクターゼの欠乏を検出する方法であって、ヒトゲ
    ノムDNAを含む試料の請求項36に記載のプローブと
    の標準ハイブリダイゼーション条件下でのインキュベー
    ション及びプローブのゲノムDNAへの固定又は該固定
    のないこと表示を含み、該固定のないこと又は後者の還
    元がデルタ−5,7ステロール,デルタ−7レダクター
    ゼの先天的欠乏を示す、上記の方法。
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