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JPH08260110A - 耐高温酸化性およびスケール密着性に優れたフエライト系ステンレス鋼の薄板または薄肉管 - Google Patents

耐高温酸化性およびスケール密着性に優れたフエライト系ステンレス鋼の薄板または薄肉管

Info

Publication number
JPH08260110A
JPH08260110A JP9015895A JP9015895A JPH08260110A JP H08260110 A JPH08260110 A JP H08260110A JP 9015895 A JP9015895 A JP 9015895A JP 9015895 A JP9015895 A JP 9015895A JP H08260110 A JPH08260110 A JP H08260110A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
thin
scale
oxidation
high temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9015895A
Other languages
English (en)
Inventor
Manabu Oku
学 奥
Yoshihiro Uematsu
美博 植松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP9015895A priority Critical patent/JPH08260110A/ja
Publication of JPH08260110A publication Critical patent/JPH08260110A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 900〜950℃の高温排ガスの管路部材用
として,板厚に応じて耐高温酸化特性を安定して具備す
る安価な材料を得る。 【構成】 質量%において,C:0.03%以下,Si:0.8
0%〜1.20%, Mn:0.60%〜1.50%, Cr:11.0%〜15.
5%, Nb:0.20%〜0.80%, Ti:0%〜0.1%,Cu:
0.02%〜0.30%未満, N:0.03%以下,Al:0%〜0.0
5%,O:0.012%以下であって, 0.7≦Mn/Si≦1.5
・・・(1) Cr+Si+Mn≧14.7
・・・(2) Cr+Si+Mn≧1.2/t+14.0
・・(3) ただし,(3) 式中のtは板厚(mm)を表す,の関係を
同時に満足し,残部がFeおよび不可避的不純物からな
るフエライト系ステンレス鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,特に各種内燃機関やガ
スタービン等の排ガス管路部材用途に好適な耐高温酸化
性およびスケール密着性に優れた低コストのフエライト
系ステンレス鋼の薄板または薄肉管に関する。
【0002】
【従来の技術】近年,環境問題に関する関心の高まりか
ら,燃焼効率の良い火力発電システムや機関,更には排
ガス規制をクリアできる自動車エンジンが求められてい
る。これらの要求を満足すべく対策を行なうと,燃焼ガ
スの温度が高くなり,排ガス浄化システムなどの周辺部
材の温度が高くなる。この結果,これらの部材は一層優
れた耐熱性が要求されるようになってくる。耐熱性には
高温強度に加えて高温のガス環境下で耐用できる耐高温
酸化性が必要である。
【0003】耐高温酸化性は,異常酸化を起こさず酸化
増量が少ないことと,酸化スケール(酸化皮膜)の密着
性が良好であることである。高Crステンレス鋼を加熱
した場合,表面には保護性の高い酸化皮膜(酸化物)が
生成する。この酸化物は加熱時間の増大にともない増加
するが,この酸化物が加熱中に何らかの理由で割れたり
剥離した場合には,雰囲気中の酸素が鋼素地に触れるた
め,酸化が加熱途中から急速に進む。この結果,表面は
厚いコブ状の酸化物に覆われ,酸化物は鋼の内部に向か
って生成するために,場合によっては酸化物が板厚方向
に貫通することがある。これを「異常酸化」と定義して
いる。
【0004】一方,スケール剥離は,加熱中に鋼の表面
に生成した酸化物が,主にその冷却途中に剥がれ落ちる
現象である。これは,鋼素地と酸化物の熱膨脹差が大き
い場合や,加熱・冷却の繰り返しを受けることによって
生じることが多い。例えば自動車のエンジンなどの内燃
機関では運転および停止の繰り返しがあり,また火力発
電システムでもDSS(毎日起動停止)操業があるため
に耐熱部材も加熱・冷却の繰り返しを受ける。従って酸
化皮膜の密着性が良くない材料は酸化皮膜が剥離し,こ
れが原因となって,配管の目づまりを起こしたり,部材
そのものの肉厚減少が起こり,そこを起点とした破損な
どの問題が生じる。
【0005】オーステナイト系ステンレス鋼は,フエラ
イト系ステンレス鋼と比較して高温強度が高い。しか
し,熱膨張が大きいため,熱ひずみが大きく,加熱およ
び冷却の繰り返しを受けると熱疲労による割れを起こし
やすい。また,オーステナイト系ステンレス鋼は,鋼素
地と酸化スケールとの熱膨張の差が大きいため,酸化皮
膜の剥離も多い。
【0006】これらの理由から,自動車の排ガス用材料
にはフエライト系ステンレス鋼が使用されている。例え
ば,自動車のエキゾーストマニホールドには,フエライ
ト系ステンレス鋼のSUS430J1Lが使用されているが,酸
化皮膜の剥離が多く, また,素材のコストが高いことが
問題視されている。そこで,SUS430J1Lと同等の高温強
度を有しながら,一層優れた耐高温酸化性,とくに酸化
皮膜の密着性に優れた特性を示す安価な材料が排ガス部
材の分野に求められるようになった。
【0007】従来のSUS430J1Lは,一般に鋳物やSUS409L
などのCr量が低い材料の, 耐用温度を超える温度域,
具体的には排気ガスの温度が 900℃となるような排ガ
ス用途部材で使用される。したがって,実用上は,安全
性を考慮にいれて最高使用温度 930℃で十分な耐酸化性
を有する材料が必要となる。さらに,エキゾーストマニ
ホールド直下の触媒担体の異常燃焼を考慮した場合, 最
高使用温度は 950℃で十分な耐酸化性を有する材料が望
まれている。
【0008】以上のような背景から,本発明らは,酸化
皮膜の密着性に優れた安価なフエライト系ステンレス鋼
として,国際公開 WO-94/25636号および特開平7-11394
号公報に記載したように,900 ℃から1000℃の範囲にお
いて良好な耐高温酸化性を有する鋼を開発することがで
きた。この鋼は,酸化増量の抑制にはSiが,そして酸
化スケール密着性にはMnの添加が有効であり,両者の
適正量はMn/Si量で規定されることを示している。
そして,このような酸化物の成長およびスケール剥離の
抑制は,いずれも異常酸化の抑制に有効であり,特に最
高使用温度 930℃の場合にはCr+Mn+Si≧14.
7,最高使用温度950 ℃の場合にはCr+Mn+Si≧
15.5と,それぞれの合計量を厳しく規制することに
よって,異常酸化を起こさないフエライト系ステンレス
鋼が安定して得られることを明らかにした。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし,自動車の排ガ
ス規制,その中でもコールドスタート時の規制は,ます
ます厳しくなる傾向にあり,排ガス浄化システムの構造
そのものを見直す必要が生じている。その対策の一つと
して,触媒コンバータまでの排ガス経路を薄肉の2重管
にすることが提案されている。2重管にすると,外管と
内管の間の空気が断熱層の役割を果たし,結果としてコ
ールドスタート時の排ガス温度の低下が抑制され,排ガ
ス浄化効率が上昇するからである。
【0010】このような場合にも,とくに内管側の材料
では排ガスに曝される温度自体は従来と大きくは変わら
ない。しかし,板厚が薄くなっている点で状況が異な
り,この場合には,前述の本発明者らが提案したよう鋼
において,単に成分の規定のみでは必ずしも良好な高温
耐酸化特性を維持できないことが明らかとなった。した
がって本発明の課題は,前述の本発明者らが提案したフ
エライト系ステンレス鋼において,さらに板厚が薄い場
合にも適用可能な条件を見いだすことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,重量%に
おいて,C:0.03%以下,Si:0.80%〜1.20%,Mn:
0.60%〜1.50%, Cr:11.0%以上場合によっては13.5
%以上で15.5%以下,Nb:0.20%〜0.80%, Ti:0%
〜0.1%,Cu:0.02%〜0.30%未満, N:0.03%以下,
Al:0%〜0.05%,O:0.012%以下を含有し,且つ 0.7≦Mn/Si≦1.5 ・・・(1) の関係を満足するようにMnとSi量が調整され,残部
がFeおよび不可避的不純物からなるフエライト系ステ
ンレス鋼において,該鋼の板厚をt(mm)としたとき
に,この板厚tの鋼が大気雰囲気下において加熱温度T
(℃)で200時間連続加熱された後の酸化増量が0.
2kg/m2 以下で且つスケール剥離量が0.01kg/m2
下となる特性が次の規制によって満たされることを見出
した。
【0012】すなわち,Tが930℃のときは, Cr+Si+Mn≧14.7 ・・・(2) Cr+Si+Mn≧1.2/t+14.0 ・・・(3) の(2) と(3) の関係を同時に充足し,Tが950℃のと
きは, Cr+Si+Mn≧15.5 ・・・(4) Cr+Si+Mn≧1.2/t+14.5 ・・・(5) の(4) と(5) の関係を同時に充足することである。
【0013】
【作用】フエライト系ステンレス鋼においては,特公昭
59-15976号公報に記載されているように, La,Ce,Yな
どの希土類元素を含有させれば良好な高温酸化特性を示
すことがよく知られている。また特公昭57-2267 号公報
に記載されているようにC, NおよびMnを低減し且つ
Si含有量を高めることにより耐酸化性, 成形性および
溶接性を改善できることが知られている。そして特開昭
60-145359号公報に記載のように耐酸化性に有効なAlを
Siで置換して耐酸化性を保持させることが知られてい
る。しかし,耐酸化性が製品の板厚によって変化するこ
とは全く述べられていない。
【0014】本発明者らは,板厚と高温耐酸化性との関
係を見いだすべく,種々の試験を重ねたが,前記のフエ
ライト系ステンレス鋼において,(1) 式を満たしたう
え,加熱温度Tとの関係において,(2) と(3) 式または
(4) と(5) 式を同時に満足することが,酸化増量の抑制
とスケール密着性という高温耐酸化特性を発現するうえ
で必要なことを知った。すなわち,これらの式に従っ
て,製品の最高使用温度に応じて製品の板厚と合金元素
を厳密に規制することが肝要である。以下にその詳細を
説明する。
【0015】図1は,フエライト系ステンレス鋼におけ
る各成分量はそれぞれ本発明で規定する範囲内で且つ
(1) 式を満足したSi量とMn量としたうえで,鋼中の
(Cr+Mn+Si)の量を板厚毎に種々変化させ,こ
れらの鋼を950℃で大気中200時間の連続加熱試験
を行ったときの酸化増量を測定し,その結果を,板厚と
(Cr+Mn+Si)量で整理したものである。
【0016】図中のプロットについては,各鋼について
10個の試験片(n=10)について試験し,○印は全
ての試験片10個に異常酸化が認められなかったもの,
×印は少なくとも1個の試験片に異常酸化が生じたもの
を示している。また,異常酸化を起こすと先述のように
酸化増量が急激に上昇するので,酸化増量の値としては
0.2kg/m2 以上を異常酸化の指標としている。なお,
各鋼は(1) 式のMn/Si比を0.7〜1.5に調整して
いるので,いずれもスケール剥離量は0.01kg/m2
下である。
【0017】図1の結果に見られるように,異常酸化の
有無を決定する因子は(Cr+Mn+Si)と板厚であ
ることがわかる。すなわち, (1) Cr+Mn+Si<15.5の領域では,異常酸化
はいずれの板厚でも発生している。このことから,最高
使用温度が950℃の場合には,少なくとも Cr+Mn+Si≧15.5 ・・(4) の関係を満足することが必要である。 (2) (Cr+Mn+Si)量が高い領域(ここでは1
7.5以上)においては,板厚に依存せず異常酸化は発
生しない。 (3) (Cr+Mn+Si)が(1) と(2) の間の領域すな
わち15.5以上17.5未満の領域では,異常酸化の有
無は板厚によって決定される。すなわち,この領域にお
いて異常酸化を起こさないためには, Cr+Si+Mn≧1.2/t+14.5 ・・・(5) の関係を満足することが必要である。
【0018】これらの理由については,必ずしも明確で
はないが,保護性の強いCr酸化物は,Crが酸化スケ
ール中を外方拡散することにより進行すること,またC
rが十分に拡散できず,このためにCr酸化物を生成し
ないとFeの酸化スケールが生成して異常酸化を起こす
ことから,(1) の領域では母相中のCrが酸化スケール
界面まで十分に補給されなかったことがその原因であろ
うと考えられる。
【0019】また(2) の領域では,母相中のCrが酸化
スケール界面まで十分に補給されなかったことによると
考えられる。
【0020】さらに,(3) の領域において,薄板材のみ
に異常酸化を起こしたのは,薄板材は表面積に対して体
積が小さいので,加熱初期に母相中のCr濃度が減少
し,加熱中に(1) の領域のような状態になったものと考
えられる。すなわち,(3) の領域における異常酸化の有
無は,母相中に必要なCr濃度が,母相の体積に対する
表面積の比,つまり板厚によって規定されること,によ
ると考えられる。
【0021】図2は,加熱温度を930℃とした以外
は,図1と同様の試験を行った結果を図1と同様の方法
で示したものである。図2の結果は,930℃でも異常
酸化の有無を決定する因子は(Cr+Mn+Si)と板
厚であることを示している。
【0022】すなわち,加熱温度930℃では, Cr+Si+Mn≧14.7 ・・・(2) Cr+Si+Mn≧1.2/t+14.0 ・・・(3) の関係を同時に満足すれば,異常酸化を生じないことが
わかる。
【0023】このように,製品の使用最高温度におい
て,製品の板厚が決まれば,異常酸化を起こさない最低
限の(Cr+Mn+Si)を決定することができ,これ
によって,安定して高温耐酸化性に優れるフエライト系
ステンレス鋼の薄板または薄肉管が得られる。
【0024】以下に, 本発明鋼における各成分の作用と
それらの含有量 (質量%) の限定理由を個別に概説す
る。
【0025】CとN:CとNは一般的には高温強度を高
めるためには重要な元素であるが,反面, 含有量が多く
なると耐酸化性, 加工性ならびに靭性の低下を来す。ま
た,CとNはNbとの化合物をつくり, フエライト相中
の有効Nb量を減少せしめる。このような理由からCと
Nはそれぞれ0.03%以下とする。
【0026】Si:Siは耐高温酸化性を改善するために
不可欠な元素である。本発明鋼のような比較的Cr量が
少ない鋼であっても優れた耐高温酸化性を付与するのに
非常に有効である。しかし,過剰に添加すると硬質にな
り,加工性および靭性の劣化をもたらすので,0.8%〜
1.2%の範囲とする。
【0027】Mn:Mnも本発明鋼の重要な元素である。
本発明鋼のようにSiを添加することによって,酸化増
量は抑制されるが,生成した酸化物は加熱後の冷却中に
剥離しやすくなる。Mnを添加するとスピネル型酸化物
を形成して表層酸化物の密着性を著しく改善する。しか
し,過剰に添加すると,オーステナイト相の析出などに
よってかえって異常酸化を誘発する。このためその範囲
を0.60%〜1.50%とする。特にMn量は1.00〜1.2
0%の範囲とすることが好ましい。
【0028】Cr:Crは耐高温酸化性を付与するために
は非常に有効な元素であり,耐高温酸化性を維持するた
めには11%以上の添加を必要とする。一方, 過剰に添加
すると鋼の脆化を招き,また硬質となって加工性を劣化
させる他, 原料価格が高くなる。したがって,Crの範
囲は11.0%〜15.0%, 好ましくは13.5%を越え15.5%以
下とする。とくに,エキゾーストマニホールド用途にお
いて,950℃で200時間連続加熱後の酸化増量が0.2kg/m2
以下で且つスケール剥離量が0.01kg/m2以下の要求を満
たすには,Mn/Si比がほぼ1となり且つMnとSiをい
ずれも約 1.0%で含有させたうえ,Si+Mn+Crの合
計含有量が15.5以上となるようにすることが望ましい
が,この場合にはCr量は必然的に13.5%を越えて含有
させることが必要となる。
【0029】Nb:Nbは高温強度を維持せしめるのに有
効に作用するので本発明鋼の重要な元素である。高温強
度を維持するためには少なくとも0.20%以上添加する必
要がある。一方, Nbを過剰に添加すると溶接高温割れ
感受性が高くなる。十分な高温強度を維持し,かつ溶接
高温割れ感受性に余り影響を及ぼさないようにNbの上
限を0.80%とする。
【0030】Cu:Cuは低温靱性と加工性の両方を向
上させるのに重要な元素である。しかし,過剰に添加す
るとこれらの特性を劣化させるため,Cuの含有範囲は
0.02%以上0.30%未満とした。
【0031】Al:製鋼工程において酸素吹錬により脱
炭を行うが,そのさいに鋼中に残存した酸素が鋼の溶接
性を劣化させ,造管条件が悪くなる。このため,一般に
Alは脱酸材として必要不可欠な元素である。しかし,
製鋼工程においてAlが過剰に混入すると,溶接時にA
l系の酸化物が多量に生成し,逆に溶接性を低下させ
る。そこで,溶接性に悪影響を及ぼさぬようAlの含有
量は0.05%以下とする。なお本発明鋼はSiを含有し
ているため,Alによる脱酸は必ずしも必要としない。
したがって,Al無添加でもよい。
【0032】Ti:Tiは鋼板のr値を向上させ,深絞り
性に有効に作用する。しかし,Tiを添加するとTiNを
生成しやすく,鋼板におけるヘゲ疵の発生による歩留り
の低下を来し,また溶接性も低下させる。そこで,Ti
の含有量は0%〜0.10%とした。さらに,高周波造
管や現場施工で溶接を行ったあとに厳しい加工が施され
る場合には,TiNの生成を防止するために0〜0.0
5%とするのが好ましい。なお,0%とは無添加を意味
する。
【0033】O:Oは前述のように溶接性に悪影響を及
ぼすので, できる限り低いことが好ましいが,低く抑え
るほど製造コストの上昇を招く。本発明鋼においては,
OはAlまたはSiによって低減でき, またAl含有量は
十分な溶接性が確保できる範囲に定めている。そこでO
の含有量は0.012%以下とした。
【0034】以上のような各成分の含有量において, 0.7≦Mn/Si≦1.5 ・・(1) の関係が満足するようにMn量とSi量を規制することが
異常酸化およびスケール剥離を抑制するうえで重要であ
り,この(1) 式の条件を満足すれば,従来のSUS430J1L
と比較して耐高温酸化特性, とくにスケール密着性に優
れたフエライト系ステンレス鋼が得られる。
【0035】さらに,優れた耐高温酸化性を得るために
は(Cr+Mn+Si)量の厳密な調整が必要であり,
最高使用温度が930℃では Cr+Si+Mn≧14.7 ・・・(2) の関係を満たすことが,そして,最高使用温度が930
℃では Cr+Si+Mn≧15.5 ・・・(4) の関係を満たすことが必要であり,これらの関係を満足
しない場合には,たとえ板厚が2.0mm以上であって
も,異常酸化を抑制できない。
【0036】また,酸化特性に及ぼす板厚の影響が大き
い領域では,前記図1および図2で説明したように,最
高使用温度が930℃では, Cr+Si+Mn≧1.2/t+14.0 ・・・(3) また最高使用温度が950℃では Cr+Si+Mn≧1.2/t+14.5 ・・・(5) の関係を満足する必要がある。なお,最高使用温度が9
10℃以下では本発明鋼はいずれの板厚でも異常酸化を
起こさない。
【0037】以上のように各成分をバランスさせた本発
明のフエライト系ステンレス鋼は,優れた耐高温酸化特
性とスケール密着性を有し,しかも最高使用温度および
製品の板厚ごとに使用可能な成分範囲を規定したもので
あるから,用途に応じて安定した耐高温酸化性を発揮す
ることができる,したがって,排ガス温度が一層高温化
し且つ板厚が薄くなる箇所の排ガス管路部材として非常
に有用である。
【0038】一般に,排ガス管路部材は溶接部を有する
が,本発明鋼は,溶接部の熱疲労特性も良好である。し
たがって,例えば自動車エンジンに直結するエキゾース
トマニホールドやフロントパイプ用途に適用された場合
にも十分な耐用を示す。
【0039】エキゾーストマニホールドもしくはフロン
トパイプは,予め高周波溶接によって造管したパイプ
を, さらに必要な形状寸法に加工および溶接して製造さ
れ, 使用にあたっては振動および高温の排ガスに曝さ
れ, しかも加熱冷却の繰り返しを受けるが,これらの部
材に使用された本発明鋼は溶接部を有していても熱疲労
特性に優れ且つ酸化増量が少なくスケール密着性にも優
れるので,従来材よりも安価にして且つ十分な耐用を示
す。
【0040】エキゾーストマニホールドもしくはフロン
トパイプに限らず,本発明の低コストフエライト系ステ
ンレス鋼は900〜950℃の高温で使用され且つ耐高
温酸化性およびスケール密着性が重要視される部材例え
ば火力発電システムの排ガス経路用部材等にも好適に使
用できる。
【0041】
【実施例】表1に供試材の化学成分値(重量%)を示し
た。これらの鋼はいずれも溶製,鍛造, 熱延により厚さ
4.5mmの熱延鋼帯とした。これを1050℃で焼鈍し,種々
の板厚の冷延鋼帯としたのち,1050℃で焼鈍し,試験片
に加工後, 高温酸化試験に供した。
【0042】高温酸化試験は,長さ35mm,幅25m
mで種々の板厚をもつ試験片を大気中で930℃または
950℃で200時間連続加熱し,加熱後の単位面積当
りの酸化増量を求め,酸化増量が0.2kg/m2 を超えた
試験片を異常酸化が発生したものとした。試験は,各鋼
の各板厚毎にそれぞれ10個の試験片(n=10)を同
一条件下での高温酸化試験を行い,その結果を表2に示
した。表2において,○印は10個の試験片全てに異常
酸化を発生しなかったもの,×印はその少なくとも1個
に異常酸化を発生したものを示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上説明したように, 本発明によれば,
Cr量が比較的低いフエライト系ステンレス鋼にあっ
て,900〜950℃の高温で使用されかつ高温酸化特
性およびスケール剥離量が重要視される排ガス管路部材
として十分に耐用できる安価な材料が提供され,特に自
動車エンジンのエキゾーストマニホールドやフロントパ
イプを構成する材料あるいは火力発電システムの高温排
ガス管路部材を構成する材料として,板厚が異なって
も,その板厚に応じて耐高温酸化性が安定して保持され
るようになったので,この分野の技術向上に大きく貢献
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】950℃×200時間の大気中連続加熱したと
きの酸化特性に及ぼす(Cr+Mn+Si)量と板厚の
関係を示す図である。
【図2】930℃×200時間の大気中連続加熱したと
きの酸化特性に及ぼす(Cr+Mn+Si)量と板厚の
関係を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%において,C:0.03%以下,S
    i:0.80%〜1.20%,Mn:0.60%〜1.50%,Cr:11.0%
    〜15.5%,Nb:0.20%〜0.80%,Ti:0%〜0.1%,C
    u:0.02%〜0.30%未満,N:0.03%以下,Al:0%〜
    0.05%,O:0.012%以下,を含有し,且つ 0.7≦Mn/Si≦1.5 ・・・(1) Cr+Si+Mn≧14.7 ・・・(2) の関係,並びに板厚をt(mm)としたときに, Cr+Si+Mn≧1.2/t+14.0 ・・・(3) の関係(1),(2) および(3) を同時に満足するようにS
    i, MnおよびCr量が調整され,残部がFeおよび不
    可避的不純物からなり,大気雰囲気下 930℃で 200時間
    連続加熱後の酸化増量が 0.2 kg/m2以下でスケール剥離
    量が 0.01kg/m2以下である耐高温酸化性およびスケール
    密着性に優れたフエライト系ステンレス鋼の薄板または
    薄肉管。
  2. 【請求項2】 質量%において,C:0.03%以下,Si:
    0.80%〜1.20%,Mn:0.60%〜1.50%,Cr:13.5%を越
    え〜15.5%,Nb:0.20%〜0.80%,Ti:0%〜0.1%,
    Cu:0.02%〜0.30%未満,N:0.03%以下,Al:0%〜
    0.05%以下,O:0.012%以下,を含有し,且つ 0.7≦Mn/Si≦1.5 ・・・(1) Cr+Si+Mn≧15.5 ・・・(4) の関係,並びに板厚をt(mm)としたときに, Cr+Si+Mn≧1.2/t+14.5 ・・・(5) の関係(1),(4) および(5) を同時に満足するようにS
    i,MnおよびCr量が調整され,残部がFeおよび不
    可避的不純物からなり,大気雰囲気下 950℃で 200時間
    連続加熱後の酸化増量が0.2kg/m2以下でスケール剥離量
    が 0.01kg/m2以下である耐高温酸化性およびスケール密
    着性に優れたフエライト系ステンレス鋼の薄板または薄
    肉管。
  3. 【請求項3】 鋼は,内燃機関の排ガス管路を構成する
    部材に加工されている請求項1または2に記載の薄板ま
    たは薄肉管。
  4. 【請求項4】 内燃機関の排ガス管路を構成する部材
    は,自動車エンジンに接続されたエキゾーストマニホー
    ルドまたはフロントパイプである請求項3に記載の薄板
    または薄肉管。
  5. 【請求項5】 板厚が2mm以下であり請求項1,2,
    3または4に記載の薄板または薄肉管。
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