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JPH08203970A - X線利用半導体評価装置 - Google Patents

X線利用半導体評価装置

Info

Publication number
JPH08203970A
JPH08203970A JP1124095A JP1124095A JPH08203970A JP H08203970 A JPH08203970 A JP H08203970A JP 1124095 A JP1124095 A JP 1124095A JP 1124095 A JP1124095 A JP 1124095A JP H08203970 A JPH08203970 A JP H08203970A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ray
semiconductor
rays
irradiation
semiconductor device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1124095A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoki Yamamoto
直樹 山本
Seiichi Iwata
誠一 岩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP1124095A priority Critical patent/JPH08203970A/ja
Publication of JPH08203970A publication Critical patent/JPH08203970A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】微小部での材料特性と電気特性を対応付けなが
ら解析できる微細X線ビームを利用した半導体評価装置
を提供する。 【構成】半導体装置所望個所への微細X線ビーム照射
系,半導体装置のいずれかの個所からX線照射により発
生した電気的信号を取り出す手段、前記照射位置から回
折あるいは放射されたX線もしくは光電子のエネルギと
個数の検出系からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置の欠陥部分を
求めるのに好適なX線利用半導体評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】LSI(Large Scale Integrated Circui
t)では、Si基板結晶や絶縁膜における欠陥などの特異
個所がその信頼性や歩留を左右するため、製造過程およ
び仕上り段階で、それらの解析と発生原因の追及を行
い、それらを低減するための対策に努力が払われてい
る。従来、Si単結晶基板内の欠陥観察にはX線トポグ
ラフィ技術が用いられることが多く、この技術はSiウ
エハの良,不良を評価するのに用いられるのが一般的で
あった。この方法は、結晶欠陥を評価するのにSiウエ
ハを割ったり,削ったりすることなく、非破壊でその存
在個所を特定できるという特徴がある。
【0003】しかし、LSIパターンがウエハ上に造ら
れている場合、ほとんどのパターン端部でトポグラフィ
像上になんらかの欠陥が観察されることが多いため、L
SIの特定個所の素子の電気的特性欠陥の原因解析に適
用することは難しい。このため、パターンの形成されて
いないダミーウエハにLSI製造工程と同様の熱処理を
加え、熱処理温度や時間の違いによりウエハ内に発生す
る欠陥分布や密度を観察することにより、LSIで発生
した欠陥原因を推定する方法が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のX線トポグラフ
ィ法では、ダミーウエハ内の欠陥分布を観察することが
できる。ところが、欠陥は膜形成や熱処理あるいは素子
構造やパターンの合わせずれなど、複数の工程が関連し
て発生することが多く、パターンの無いダミーウエハの
検査でLSIで発生した電気的欠陥の原因を解明するの
は難しい。また、X線トポグラフィ技術では、各欠陥個
所の結晶構造、歪量あるいは欠陥の核となっている不純
物元素の同定など、欠陥発生の原因を解明するうえで重
要なこれらの項目を評価することは困難である。
【0005】さらに、この技術はLSIの電気的欠陥の
有無と場所については特定不能である。上に述べたよう
に、前記方法をLSIに適用した場合、パターン端部に
欠陥が観察されるが、欠陥が観察されたからといって欠
陥位置にLSIの電気的欠陥が有るとはかぎらない。
【0006】なお、従来のX線トポグラフィ装置では、
位置分解能が数ミクロンから数十ミクロンと悪いため、
LSI内の素子部で発生するような数ミクロン以下の微
小欠陥を解析することは難しい。また、ゲート酸化膜な
どのLSIを構成する絶縁膜や多結晶層における、欠陥
の解析には適用できないという欠点がある。
【0007】本発明が解決しようとする課題は、被検物
を形状的あるいは機械的に破壊することなく材料あるい
は構造的な局所欠陥個所を特定でき、かつこれらの欠陥
と半導体装置の電気的な特性不良とを対応付けられる半
導体装置の評価装置を提供することにある。すなわち、
本発明の目的は、欠陥発生原因を解析するために必要な
欠陥部の結晶構造,歪量,元素種,半導体中の不純物準
位や酸化膜/半導体界面の界面準位などのエネルギ準位
や電荷の生成−消滅過程などの評価ができる装置を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】半導体装置の何れかの個
所から、X線照射により発生した信号を取り出す手段を
設けることにより欠陥の評価を行う。具体的には、微細
X線ビームを形成し、半導体装置の局所部に前記X線ビ
ームを照射したとき生じる半導体装置の電気的特性の変
化が正常部と欠陥部分で異なることを利用して欠陥個所
を特定する。さらにこれらの電気的特性とともに、X線
照射したときSi基板や電極・配線などの金属層,絶縁
膜などで回折したX線ならびに蛍光X線や光電子を検出
する。
【0009】
【作用】X線を照射すると、半導体装置内で正孔と電子
が生成され、電位や電流が変化する。正孔と電子の発生
消滅速度は電気的に正常な位置と欠陥位置で異なる。し
たがって、微細X線ビームの照射位置を変えながら電位
や電流を測定することにより電気的欠陥位置を特定でき
る。そして特定された位置で検出された回折X線,蛍光
X線あるいは光電子などを解析することにより、前記電
気的欠陥個所の結晶構造,歪,元素あるいは化合物の結
合状態を知ることができる。
【0010】上に述べたX線照射による電気的特性の変
化についてさらに詳しく述べる。絶縁膜や半導体にX線
を照射すると電離して、電子と正孔が発生する。これら
の電荷は発生後消滅するが、欠陥があると正常な部分よ
りその消滅速度が速くなったり遅くなったりする。ある
場合はこれらの電荷が長時間残存することさえある。こ
れらの電荷は半導体装置の電極と絶縁膜あるいは半導体
などの界面近傍のエネルギバンド構造に影響を与え、絶
縁膜内に存在する電荷,半導体素子の界面準位,フラッ
トバンド電圧,トランジスタの閾値電圧,増幅率,容
量,キャリア移動度,接合のリーク電流,配線間のリー
ク電流などに変化をもたらす。また半導体材料内で発生
した電荷は、結晶欠陥が存在するとやはり発生した電荷
の消滅速度が早くなる。したがって、X線を照射したの
ちに照射を停止した直後の半導体特性の時間的変化を比
較観察することにより正常部と欠陥部とを識別すること
ができる。
【0011】この識別できる位置分解能は照射するX線
ビーム径が小さいほど良い。なお、X線照射により発生
する電荷数は欠陥の有無によっても異なるため、照射し
ながら半導体の電気特性を測定しても欠陥部分を識別す
ることもできる。
【0012】このX線照射により、電荷の発生とともに
回折X線や半導体装置を構成する材料特性の特徴を示す
X線や電子線が放射される。したがって、X線の照射角
や放射角あるいはこれらのエネルギを評価することによ
り、電気特性の不良発生個所の特定とともにその個所の
結晶構造,元素あるいは結合(電子)状態などを解析す
ることができる。なお、半導体装置に外部から電圧や電
流を供給しない状態で、X線を照射したとき発生した電
荷量や電荷の再結合過程を半導体装置に設けられた電極
や半導体基板に流れる電流を検出することによっても欠
陥個所を特定することができる。
【0013】これらの測定はX線を照射しながらも行え
るが、間歇的にX線を照射してその休止期間に電気特性
の測定を行い、これらの測定を繰り返して得られたデー
タを積算することにより、正常部と欠陥部における特性
の微小な差を顕在化させて測定精度を向上させることが
できる。
【0014】また、被検物上のX線照射位置を移動させ
ながら上に述べた各種の測定を行い、各移動位置で得ら
れたデータを照射位置と対応するように二次元的に再配
置することにより、その分布の特異個所から欠陥部分を
検出することができる。
【0015】本発明で用いる照射X線ビームの径は半導
体装置より十分小さいため、MOSトランジスタのゲー
ト電極の端の微小部あるいは素子パターンのコーナ部な
どのように、高精度で局所欠陥場所を特定でき、かつ、
素子の不良原因が結晶構造、半導体装置の製造過程で混
入した汚染や異物、あるいは化合状態の異常など、材料
的な原因を解明することができる。そしてX線照射によ
り半導体や絶縁膜内に生じた電荷の生成や消滅過程を評
価するため、材料的な欠陥の電気的特性への影響を対応
づけながら評価,解析できる。さらに、従来の誘起電流
法で用いられていた可視光ビームや電子ビームと異な
り、X線ビームは薄膜の多層構造体を容易に突き抜ける
ことができるため、LSIの基板内など、試料の深層部
の欠陥を評価できる。
【0016】また、探針にX線を用いているため、従来
の評価技術のような被検物を形状的あるいは機械的に破
壊させないため、分析条件を見つけるための予備測定や
繰返し測定ができる。
【0017】
【実施例】
(実施例1)本発明の実施例を図1を用いて説明する。
評価装置はX線発生機1,微細X線ビーム2を形成する
ためのガラスキャピラリ3、面内で移動可能でかつ照射
点を中心として試料4へのX線照射角5を変えられるよ
うに回転できる試料台6,試料を透過したX線36の像
を得るためのイメージングプレート7,試料で回折した
X線や蛍光X線など8を検出するためのLiドープSi
からなる半導体X線検出器9,LSIなどの半導体装置
の電気的特性を評価するための測定器10,各種検出器
で得られたデータと電気特性のデータを対応付けるため
のデータ処理装置11、そしてそれらの結果の二次元分
布を表示できるコンピュータと表示装置12からなる。
ここで、ガラスキャピラリにより形成されたX線のビー
ム径は試料上で0.1μm であった。
【0018】本実施例では図2に示す断面構造を持つL
SIを評価試料とした。このLSIは、MOSトランジ
スタ部14,メモリ容量部15,多層配線部16で構成
されており、この中で0.5μm 幅でタングステンシリ
サイドと多結晶Siを重ねた構造のゲート電極17を持
ち、13nmのゲート酸化膜18のMOSトランジスタ
の評価を行った。
【0019】ストレス電圧をトランジスタに印加すると
ホットキャリアがゲート酸化膜に注入されて閾値電圧V
th,相互コンダクタンスgmおよび界面準位Ditが
変動するが、この劣化(変動)速度が速い、すなわち不
良製造ロットのトランジスタについてその原因解明に本
実施例の装置を応用した。ホットキャリア注入はSi基
板13の側からゲート酸化膜に電子または正孔を注入す
ることであり、その結果界面準位が増大する。ゲート酸
化膜にX線を照射すると電子と正孔が発生し、ホットキ
ャリア注入と同様な効果を持つ。
【0020】同じ製造ロットの中から閾値電圧と相互コ
ンダクタンスがほぼ同じ特性を持つトランジスタを選び
だした。そしてそれぞれのMOSトランジスタにつき、
その平面内で図3に示した(1)ないし(8)、および
(a)ないし(m)で示した位置の中のいずれかの1点
を選び、X線ビームをそれぞれ10分間照射した。この
照射位置決めには、Si基板の裏面側に設置したイメー
ジングプレートに写しだされたトランジスタのX線透過
像により行った。また、このときエネルギ分散型X線回
折法を用いてSi基板の(400)面からの回折X線も
同時に測定して格子面間隔を求め、LSIチップ周辺の
スクライブラインでSi基板が露出した部分で得られた
(400)格子面間隔からの変化率をトランジスタ内の
各X線照射位置での基板内格子歪εとした。なおX線照
射角を30度に設定したとき、(400)面からの回折
X線のエネルギはほぼ9.1keV であった。
【0021】図4にX線照射前後のMOSトランジスタ
の相互コンダクタンス変化率Δgm/gmと界面準位の
変化率ΔDit/Ditの照射位置依存性を示す。図に
は正常な特性を示すLSI製造ロットにおけるトランジ
スタのX線照射位置依存性19とホットキャリアによる
トランジスタ特性の劣化速度の速いロットの照射位置依
存性20を示した。
【0022】相互コンダクタンスおよび界面準位のX線
照射による変化率は、ゲート電極17および素子間分離
絶縁膜領域21などの端部でいずれも大きくなっている
が、その変化率は不良ロットのほうが数倍大きい。これ
らの依存性からホットキャリアが注入されて劣化するの
は主にこれらの端部のゲート酸化膜とSi基板の界面で
あり、不良ロットではこれらの部分が特に悪いことがわ
かった。
【0023】そして端部で特性劣化が著しいことより、
これらの部分のゲート酸化膜に外部からの何等かの力が
加わっていることが予測された。しかしゲート酸化膜内
での局所部の力を測定するのは難しい。そこで、本発明
の装置を用いてSi基板内の歪分布より端部のゲート酸
化膜に加わる力の評価を行った。
【0024】図5にSi基板面内の格子歪分布を示し
た。この分布は相互コンダクタンスや界面準位などの電
気特性の照射位置依存性と相対的によく一致している。
したがって、ゲート電極や素子間分離絶縁膜端部での応
力集中がゲート酸化膜やそのSi基板界面に歪を生じさ
せ、ホットキャリア注入による界面準位の増大を容易に
していることがわかった。なお、界面準位の増大は、良
く知られているように相互コンダクタンスや閾値電圧の
劣化を引き起こす。
【0025】また図5より、不良ロットでは良品ロット
よりゲート電極や素子間分離絶縁膜端部での歪量が大き
く、すなわち端部でのゲート酸化膜に加わる力が大きい
ことがわかる。そこで良品ロットと不良ロットについ
て、先のX線照射時に同時に検出されたタングステンの
蛍光X線の輝度よりゲート電極を構成するタングステン
シリサイドの膜厚を求めた。その結果、不良ロットは良
品ロットより膜厚が20%厚く、ゲート端部に加わる力
が大きいことがわかった。さらに不良ロットのほうが素
子間分離絶縁膜端部での歪の分布領域が狭いことより、
端部形状が急峻で大きな力が局所部に集中していること
がわかった。これらがロット不良を生じさせた原因であ
る。このように本発明により、素子を割ったり削ったり
すること無く、かつ従来の電気特性だけでは解明できな
かった局所部の不良原因を材料と電気的特性の両面から
解明することができた。
【0026】(実施例2)本発明の実施例を図6を用い
て説明する。本実施例では実施例1で示した装置を基本
としており、それにガラスキャピラリとX線発生機の中
間にX線フィルタ22を挿入し、キャピラリにより形成
されるX線ビームを単色化した。試料周辺を真空室23
に入れるとともに、X線を照射したとき光電効果により
試料から放射される電子24のエネルギを検出するため
のエネルギアナライザ25を取り付けた。
【0027】ここでは本実施例の装置を図3に示したL
SIの多層配線部16における層間絶縁膜26の評価に
応用した。ここで評価した層間絶縁膜はスパッタ法で形
成したSiO2,化学蒸着(CVD)法で形成したりん
とボロンを含有したSiO2、そしてスピンオンガラス
と呼ばれるSiO2 膜である。層間絶縁膜の評価にはX
線フィルタを用いて5keVのエネルギを持つ0.1μ
m 径のビームを適用した。このビームを図2に示す断
面構造を持ち、Si基板との接触部を持たない第一層目
と第二層目のAl配線の交差部での層間絶縁膜28に照
射し、照射前後のAl配線間の電流−電圧特性の変化を
観察した。
【0028】図7に示すように、配線間に加える電圧を
徐々に増加させると、電圧が低い領域では微量の変位電
流43が流れ、さらに増加すると電圧の増加に対する電
流の増加率が顕著になる、いわゆる、トンネル電流44
領域が現われ、さらに増加を続けると絶縁膜が破壊して
急激に電流45が増大する。この測定では、トンネル電
流が少し流れる状態で印加電圧を固定しておき、X線ビ
ームを10分間照射した。ほとんどの場合、X線照射に
より絶縁膜を流れるリーク電流は減少した。トンネル電
流はAl配線と絶縁膜界面に加わる電界強度により決ま
る。したがって、印加電圧を一定にしているにもかかわ
らず、電流が減少する現象はX線照射により界面近傍の
電界強度が緩和されたことを示している。これはX線照
射により絶縁膜内に発生した電子が界面に存在していた
正の電荷部分、すなわち電子トラップに捕獲されたため
と考えられる。この減少量はスピンオンガラスが最も大
きく、続いてりんとボロンを含有したSiO2そしてス
パッタ法で形成したSiO2の順であった。特に水分の
含有量の多い膜ではその減少量が多かった。
【0029】(実施例3)本実施例を図8を用いて説明
する。本実施例では実施例の1および2において、試料
に紫外線30を照射するための光源31を設けた。実施
例1や2ではX線照射による放射線損傷による界面準位
や電荷トラップなどの変動を調べた。X線照射により素
子に損傷が入るため、照射位置依存性を求める場合、同
じような初期特性を持つ素子を照射位置の数だけ選び、
各素子には1点の照射のみを行うようにする必要があっ
た。しかし、同一ロットから取り出した素子でも特性の
ばらつきがあり、また多数点の照射位置依存性を調べる
場合、多くの素子を準備しなければならないという不便
性があった。
【0030】本実施例ではこの欠点を無くし、1個の素
子から照射位置依存性を得られるようにした。すなわ
ち、1点にX線を照射した後、実施例1や2で述べた各
種の特性を測定し、それが完了すると紫外線を照射し
た。この照射によりトランジスタの電気特性はX線照射
前の状態に戻すことができた。この後、X線照射位置を
所望位置まで移動して再び同様の測定を行った。これら
を繰り返すことにより1個の素子から照射位置依存性が
求められるため、データのばらつきが少なく、また多数
の試料を準備する必要が無くなった。照射位置を試料面
内で二次元的に移動しながら上記の繰返しを行うことに
より特性の二次元分布を求めることができた。この場合
は、先の実施例のように試料間のばらつきによる要因が
無いため、その分布より欠陥部の抽出を容易に行うこと
ができた。また、本実施例を次に述べる極薄酸化膜の評
価に用いた。
【0031】ゲート酸化膜が5nm以下のように薄くな
ってくるとトンネル電流が流れるため、従来、酸化膜の
膜質評価に用いられてきた容量−電圧(CV;Capacita
nce−Voltage)法の適用が難しくなる。そこで本実施例
の装置を適用した。用いたX線ビーム系は実施例2と同
じである。
【0032】水分を含んだ酸素雰囲気と含まない酸素雰
囲気でSi基板表面に3nmのSi酸化膜を形成した。
これらの酸化膜にX線を照射したとき放射されるO1s光
電子の運動エネルギのX線照射時間依存性を調べた。こ
のX線照射時間依存性、すなわちX線照射により生成し
た電荷の帯電特性から酸化膜内に存在するトラップの種
類を判定することができ、この方法はすでに日本金属学
会誌,第56巻,第7号,863−864頁,1992
年にて報告されている。
【0033】この方法を用いて評価した結果、水分を含
んだ酸素雰囲気で形成した酸化膜には電子を捕獲するト
ラップが多く、水分を含まない雰囲気の場合は正孔トラ
ップが多数を占めることがわかった。
【0034】この測定と紫外線照射を交互に0.1μm
ピッチで繰返し、酸化膜面内の二次元分布を求めたとこ
ろ、いずれの酸化膜にも所々で帯電しにくい部分がある
ことがわかった。この測定ではO1sとともに酸化してい
ないSiからのSi2p光電子と酸化したSiからのSi
2p光電子の比を同時に測定した。その結果、帯電しない
部分ではこの比が大きく、Siの酸化が不十分であるこ
とがわかった。
【0035】そこでX線照射角を0.15 度の低角度に
設定し、この近傍の蛍光X線分析を行った。その結果、
Siの酸化が不十分な領域では、他の領域よりFeとZ
rの蛍光X線輝度が高く、これらの部分(Si基板内の
可能性あり)にはこれらの微量の不純物が存在している
ことがわかった。なお、この蛍光X線分析では照射X線
としてX線発生機のターゲットからのW−Lα特性X線
を用いた。
【0036】本実施例の他の応用として、書き込みと読
みだしが可能なフラッシュメモリのゲート酸化膜の評価
に適用した。0.5μm 幅のゲート電極(浮遊ゲート電
極も含む)の上から2ないし10keVのエネルギを持
つX線ビームを照射した。浮遊ゲート電極下の酸化膜は
7nmであった。図3の(1)ないし(8)と同様にゲ
ート電極を横切るようにX線を照射した後のゲート電極
の電位変化を調べた。電極端部近傍になるほどX線照射
前の電位に戻る速度は、ゲート電極幅方向の中心部に照
射したときより約40%も速く、フラッシュメモリにお
ける書き込み電荷の減少は主に端部で起こっていること
がわかった。
【0037】本実施例により、従来の電気的評価法では
困難であった極薄膜で局所部の電気的,材料的な評価を
試料を削ったり,割ったりすることなく評価することが
可能になった。
【0038】なお上の測定では、酸化膜の評価に主にX
線光電子分光法(X-rayPhotoelectron Spectroscopy)を
用いたが、X線吸収端微細構造分析法(ExtendedX-ray A
bsorption fine Structure)法など他の分析法も適用で
きる。
【0039】(実施例4)本実施例を図9を用いて説明
する。本実施例では上記の各実施例の装置に試料を水素
雰囲気中で熱処理するための加熱室32を設けた。X線
による放射線損傷は実施例3で示した紫外線照射でほぼ
無くすることができるが、試料によっては素子特性が回
復しない場合があった。紫外線照射でも回復しない場合
は、加熱室の上面の蓋33を閉じ、ガス導入口34から
水素を入れ、ガス出口35から排気しながら300度か
ら500度の温度で加熱した。この後、水素を抜き(図
9の装置ではこの後、真空排気を行う)、蓋を開放して
上記の各実施例と同様の測定を行った。この熱処理によ
りトランジスタなどの特性を初期に戻すことができた。
【0040】次に実施例2と同様の方法で第二層目の配
線間の絶縁膜29の評価を行った。ここでは、1.5k
eVエネルギを持つX線ビームを用いた。配線間の絶縁
膜には、スパッタ法で形成した後、表面を化学機械研磨
法で平坦化したSiO2 膜とプラズマ有機CVD法で形
成して平坦化したSiO2 膜について評価した。この場
合は、この上に他の層を被覆することなく、これらの絶
縁膜が露出した状態で測定した。X線照射前後の配線間
の電流−電圧特性の評価法は実施例2と同じである。
【0041】化学機械研磨したSiO2 膜の場合は、X
線照射位置により照射前後で一定電圧印加しているにも
かかわらずリーク電流が増加する場合と減少する場合が
あり、すなわち電子トラップと正孔トラップが混在して
いることがわかった。一方、プラズマ有機CVD法で形
成したSiO2 膜の場合は、X線照射により電流が減少
し、電子トラップが存在していることがわかった。
【0042】これらの測定では、X線照射時に絶縁膜か
ら放射されるO1s光電子とSi2p光電子の強度比を求
め、この比を熱酸化膜の場合に得られる強度比と比較す
ることにより、SiOx 膜の組成を評価した。プラズマ
有機CVD法で形成した膜ではxが2.2ないし2.3と
Si酸化膜の化学量論的組成のx=2.0 より酸素が多
いことがわかった。一方、化学機械研磨した酸化膜の場
合は、照射位置によりxが1.8から2.2とばらつきが
あり、Siが多い場所と少ない場所があることがわかっ
た。これらは、電流−電圧特性により示した電子あるい
は正孔トラップの散在と良い対応があった。なお、本実
施例の装置で450℃で60分の酸素雰囲気と水素雰囲
気の熱処理を行うと、いずれの場合もトッラプが減少
し、かつxが化学量論的組成に近づくことがわかった。
【0043】(実施例5)装置構成は実施例1と同じで
ある。ただし、この場合は半導体装置の裏面から流れる
電流を取り出すことができる試料台とその電流の測定系
を設けた。X線を照射したときSi基板等の半導体の中
で発生する電荷による電流を測定し、照射位置と基板裏
面側から取り出された電流値とを対応させた試料面内分
布を図1に示したデータ処理装置でもとめられるように
した。
【0044】ダイナミックランダムアクセスメモリで、
蓄積電荷量の減衰が速い素子の不良解析に本実施例の装
置を適用した。図2はこのメモリの断面構造を示してお
り、評価した試料のメモリ容量部の大きさは1μm×2
μmであり、照射X線のエネルギは5keVで、ビーム
径は0.1μm であった。試料上面の垂直方向からメモ
リ容量部近傍にX線を照射し、照射位置を移動させたと
きの電流値の二次元面内分布を求めた。この測定ではX
線照射時に流れる電流とともに、照射直後の電流の減衰
特性も同時に求めた。
【0045】メモリ容量部での蓄積電荷の減衰が速い不
良素子では、X線照射により基板裏面側に流れる電流が
少なく、かつX線照射後の電流減衰速度が速いことがわ
かった。特にメモリ容量用の電極がSi基板と接触して
いる部分ではその減衰速度が顕著に短かった。これらの
測定結果より、この部分にX線照射により発生した電子
と正孔の再結合を促進させるなんらかの原因が存在する
ことがわかった。
【0046】そこで先に述べたと同様な低角度からX線
を照射して蛍光X線分析を行ったところ、この部分で極
微量のFeやCuが検出された。さらにこのメモリ部近
傍のSi基板内歪の分布をやはり先の実施例で述べたと
同様のX線回折測定法で求めたところ、メモリ容量用電
極がSi基板と接触している部分の歪が最も大きいこと
がわかった。これらの結果より、メモリの製造工程でな
んらかの不純物が基板内に入り、メモリ部で最も複雑で
応力集中が大きい電極接触部にこれらの不純物が熱処理
を経る過程で偏析したものと考えられる。
【0047】なお、本実施例と似た方法として、基板に
電子線をあて、このとき生じた基板電流の二次元分布よ
り基板内欠陥を調べる方法がすでにある。しかし、この
方法ではLSIのメモリ部のように基板上に多くの層、
特に電極配線層があると適用できなかった。また同じ装
置で不純物や結晶構造ならびに歪などを評価することが
できず、欠陥部が明らかになっても原因を解明すること
は困難であった。
【0048】以上の実施例では酸化膜およびSi基板に
X線を照射したとき生じる電荷を利用して各種の電気的
および材料的特性の評価を行ったが、本発明によれば、
配線などの金属層に微細X線ビームを照射して、X線回
折および蛍光X線分析によりその微小部での結晶構造や
元素分布を評価できる。
【0049】上に示した実施例では微細X線ビームの形
成にガラスキャピラリを用いたが、フレネルレンズや各
種ミラーを用いることもできる。またX線発生源にシン
クロトロン放射光設備を適用すれば広いエネルギ範囲に
わたって輝度の高い微細X線ビームが形成できるため、
測定が短時間で行えるようになる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、多層構造で微細な素子
の集合体であるLSIなどの微小部での電気特性欠陥の
発生個所を特定でき、かつ前記欠陥発生の原因となった
材料特性を対応付けながら評価できる。また、これらの
評価をLSIを割ったり,削ったりすることなく非破壊
で行える。このため、不良原因の解明が容易になり、か
つ高精度で行える。その結果、LSIなどの不良に対す
る製造プロセスの対策が行えるため、高信頼度のLSI
が得られるとともに製造歩留の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構造を示す実施例1の説明図。
【図2】本発明の各実施例で測定試料として用いたLS
Iの断面図。
【図3】本発明の実施例1で評価したMOSトランジス
タの平面構造と微細X線ビームの照射位置の関係を示す
説明図。
【図4】本発明の実施例1の測定結果で、MOSトラン
ジスタ上のX線照射位置とX線照射による相互コンダク
タンスの変化率(Δgm/gm),界面準位の変化率
(ΔDit/Dit)および歪(ε)の関係を示す特性
図。
【図5】本発明の実施例1の測定結果で、MOSトラン
ジスタ上のX線照射位置とSi基板内の歪の関係を示す
特性図。
【図6】本発明の実施例2の装置の説明図。
【図7】本発明の実施例2および実施例4で得られた層
間および配線間絶縁膜の電流−電圧特性図。
【図8】本発明の実施例3の装置の説明図。
【図9】本発明の実施例4の装置の説明図。
【符号の説明】
1…X線発生機、2…微細X線ビーム、3…ガラスキャ
ピラリ、4…試料、5…X線照射角、6…試料台、7…
イメージングプレート、8…回折X線や蛍光X線など、
9…半導体X線検出器、10…電気特性の測定器、11
…データ処理装置、12…コンピュータと表示装置、2
5…電子検出器、36…試料を透過したX線。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体装置の所望個所に微細径のX線ビー
    ムを照射する機能を有し、照射により生じた素子の電気
    特性変化を検出する機能を有することを特徴とするX線
    利用半導体評価装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、照射X線の輝度やエネ
    ルギ,照射時間,ビーム入射角,X線被照射部から回折
    もしくは放射されるX線や電子のエネルギ,個数あるい
    は照射角や放射角からなる特性項目のうち、少なくとも
    いずれか一つの特性項目を検出する機能を有するX線利
    用半導体評価装置。
  3. 【請求項3】請求項1において、検出する電気特性が電
    極と絶縁膜の界面近傍の電荷,絶縁膜内に存在する電
    荷,半導体素子の界面準位,フラットバンド電圧,トラ
    ンジスタの閾値電圧,増幅率,容量,キャリア移動度,
    接合のリーク電流,配線間のリーク電流,半導体材料内
    で発生した電荷であり、これらの特性の内、少なくとも
    一つを検出できるX線利用半導体評価装置。
  4. 【請求項4】請求項2において得られた検出内容または
    請求項3において得られた半導体特性の対応関係を求め
    る機能を有したX線利用半導体評価装置。
  5. 【請求項5】請求項1,2,3または4において、前記
    半導体特性の計測をX線を照射しながら行えるX線利用
    半導体評価装置。
  6. 【請求項6】微細X線ビームを被測定物に間歇的に照射
    する手段と,前記X線ビームの休止期間に前記被測定体
    の各半導体特性を測定する手段を有することを特徴とす
    るX線利用半導体評価装置。
  7. 【請求項7】請求項6において、X線照射を繰返し、そ
    の照射期間に測定されたデータを積算しながら蓄積し、
    所望時間測定の後に請求項2記載のいずれかの特性項目
    と電気特性の関係を得る機能を有したX線利用半導体評
    価装置。
  8. 【請求項8】電極配線や半導体に外部から電圧を加えな
    い状態でX線を照射し、照射により絶縁膜あるいは半導
    体基板内に発生した正孔や電子により生じる電流もしく
    は電極配線や半導体基板内の電位変動を検出する機能を
    有することを特徴とするX線利用半導体評価装置。
  9. 【請求項9】半導体装置上の微細X線照射位置を移動さ
    せながら、各移動点で上記の各項のX線や電子あるいは
    半導体の電気特性を測定し、かつそれらの各点で得られ
    た特性を半導体装置上の照射位置に対応するように配置
    して、各特性の二次元的な分布を得られるようにしたこ
    とを特徴とするX線利用半導体評価装置。
  10. 【請求項10】請求項9において半導体特性の二次元分
    布における特異点を抽出し、半導体装置の欠陥部分を検
    出できるようにしたX線利用半導体評価装置。
  11. 【請求項11】請求項1,2,3,4,5,6,7,
    8,9または10において、前記測定を終えた後、X線
    が照射された半導体装置に紫外線もしくは水素含有雰囲
    気の熱処理を加えることにより、X線照射損傷を取り除
    き正常な特性を持つ半導体装置に回復できる機能を有し
    たX線利用半導体評価装置。
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