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JPH08205441A - 3相電動機 - Google Patents

3相電動機

Info

Publication number
JPH08205441A
JPH08205441A JP812995A JP812995A JPH08205441A JP H08205441 A JPH08205441 A JP H08205441A JP 812995 A JP812995 A JP 812995A JP 812995 A JP812995 A JP 812995A JP H08205441 A JPH08205441 A JP H08205441A
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JP
Japan
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slot
shaped conductor
stator
conductor
stator core
Prior art date
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Application number
JP812995A
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English (en)
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JP3474660B2 (ja
Inventor
Shoichi Kawamata
昭一 川又
Fumio Tajima
文男 田島
Ryoichi Naganuma
良一 長沼
Koki Taneda
幸記 種田
Suetaro Shibukawa
末太郎 渋川
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP812995A priority Critical patent/JP3474660B2/ja
Publication of JPH08205441A publication Critical patent/JPH08205441A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 3相電動機において、モータ効率を高くしか
つ信頼性を高くすることができるようにする。 【構成】 固定子2の固定子巻線5は、1本の導体をU
字形状に屈曲させかつU字の脚部部分5a,5bを略矩
形の断面形状とした略U字形導体5Aと、略U字形導体
5Aの脚部部分5a,5bの端子部5c,5dで異なる
略U字形導体5A同士を接続する接続用導体5Bとで形
成されている。略U字形導体5Aの脚部部分5a,5b
の断面形状は略長方形を成し、幅Hは固定子鉄心4のス
ロット12の開口部12aのスリット幅Sより大きくか
つ固定子鉄心4のスロット12の径方向内側の幅Kにほ
ぼ等しい。略U字形導体5Aの脚部部分5a,5bは固
定子鉄心4のスロット12に軸方向の同じ側から挿入さ
れ、接続用導体5Bを介して異なる略U字形導体5A同
士が所定の関係で接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は3相電動機に係り、特に
低騒音、高効率、小型化に好適な3相電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に3相電動機の固定子は、複数のス
ロットを有する固定子鉄心と、固定子鉄心の各スロット
に巻装された固定子巻線とを備えている。固定子巻線を
固定子鉄心の各スロットに巻装する方法としては、例え
ば特公平5−26422号公報及び特開平5−30
0687号公報に開示のものがある。
【0003】従来技術は、予め所要の形状に巻装した
固定子巻線を、コイル挿入装置を用いて固定子鉄心のス
ロット開口部すなわちスリットより挿入するものであ
る。また、従来技術は、固定子鉄心のスロットをクロ
ーズド型スロットとし、まず断面が略長方形の銅棒を固
定子鉄心の各スロットに挿入し、次に銅棒の両端部を渡
り線部材の脚部に結合して銅棒同士を接続することによ
り固定子巻線を形成したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、以下の問題点が存在する。一般に大
電流によって駆動される電動機では、固定子巻線を形成
する導体線径が太くなるが、この様な固定子巻線を上記
従来技術の方法によりスロットに挿入するためには、
例えば開放型スロットの採用が必要となり、スロット開
口部すなわちスリットの幅を大きくしなければならな
い。しかし、スリット幅を大きくすると空隙部の高調波
磁束が増大し、2次側の回転子バーには高調波を含んだ
電流が流れてしまう。この高調波電流はトルクに寄与し
ないため、高調波電流による回転子の損失(2次銅損)
が増大し、電動機の効率低下及び温度上昇の原因とな
り、ベアリングの寿命の低下など電動機としての信頼性
が低下すると共に、騒音発生の大きな要因となる。
【0005】一方、一般に数千回転の電動機では、固定
子巻線の巻回数が所要数必要であるため、上記従来技術
の方法の様に、スリットより固定子巻線を挿入しなけ
ればならない。しかし、電気自動車駆動用電動機の様に
高速回転で駆動される電動機の場合には、固定子巻線の
巻回数(ターン数)は究極的(例えば、1ターン)に減
らすことが可能である。しかし、電流密度及び占積率等
の関係から、固定子巻線の導体数は所要数必要となる。
よって、その場合には、例えば亀甲状に形成した1本の
線材(導体)を所定数束ねたものを並列接続して、見か
け上1ターンの固定子巻線として構成し、各スロットに
同数本の導体が納まるようにする。この種の固定子巻線
においても、導体部の構成は上記所要数巻回された固定
子巻線と同様であるため、やはりスリットより固定子巻
線を挿入しなければならない。従って、スリット幅は当
然のことながら固定子巻線を構成する線材の線径よりか
なり大きくなり、前述したようにスリットによる影響が
出てしまう。また、この様に構成される固定子巻線は、
導体間の隙間及びスリットから挿入する構成から、導体
数を多くするのは作業性、生産性等の点で困難である。
このため、どうしても導体間に隙間が生じ、スロット内
の占積率は低下し、その結果、固定子巻線の抵抗が増大
し、モータ効率が低下すると共に、スロット内は空気の
部分が多くなり、導体で発生した熱が空気で絶縁され、
放熱が悪くなり、温度上昇の原因となり、ベアリングの
寿命の低下等が発生する。また、占積率を上げるための
固定子巻線の導体数を増やして、無理にスロットの軸方
向から入れようとした場合、導体の部分的な潰れやコイ
ル間の絶縁不良、場合によっては断線等の現象が生じ、
各相の固定子巻線間での抵抗のバラツキが起こり、アン
バランスな電流による特性のバラツキ及び騒音増加が生
じ、このため作業性が著しく低下する。
【0006】また、従来技術では、固定子鉄心のスロ
ットをクローズド型スロットとし、かつ固定子巻線とし
て断面が略長方形の銅棒を使用しているため、上記スリ
ットの影響により回転子損失が増大する、スロット内の
隙間が多いことにより固定子巻線の温度が上昇するとい
った問題点は解決される。しかし、渡り線部材による銅
棒同士の接続が銅棒の両端で必要となるため、接続点が
多くなり、その接続部の接触抵抗が増加する。また、銅
棒の両端部は銅棒同士の接続のためにどうしても固定子
鉄心の軸方向に延長せざるを得なくなり、固定子巻線の
巻線長(コイルエンド長)が大きくなる。これらにより
固定子巻線の巻線抵抗が増加し、このため電機子巻線の
銅損(I2R損:Iは巻線電流、Rは巻線抵抗)も増加
し、モータ効率が低下する。また、導体同士の接続点が
多いので、その接続部の発熱、絶縁処理の増加等が生
じ、信頼性が低下するという問題も生じる。
【0007】本発明の目的は、モータ効率が高くかつ信
頼性の高い3相電動機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は、径方向内側に開口した複数の開放型スロ
ットを有する固定子鉄心と、前記固定子鉄心の各スロッ
トに巻装された固定子巻線とを備えた3相電動機におい
て、前記固定子巻線を、1本の導体をU字形状に屈曲さ
せかつU字の脚部部分を略矩形の断面形状とした略U字
形導体で構成し、この略U字形導体の脚部部分を前記固
定子鉄心の各スロットに軸方向より挿入し、前記脚部部
分を異なるスロットに挿入された略U字形導体の脚部部
分に接続用の導体を介して接続した構成とする。
【0009】また、上記の目的を達成するために本発明
は、径方向内側に開口しない複数のクローズド型スロッ
トを有する固定子鉄心と、前記固定子鉄心の各スロット
に巻装された固定子巻線とを備えた3相電動機におい
て、前記固定子巻線を、1本の導体をU字形状に屈曲さ
せかつU字の脚部部分を略矩形の断面形状とした略U字
形導体で構成し、この略U字形導体の脚部部分を前記固
定子鉄心の各スロットに軸方向より挿入し、前記脚部部
分を異なるスロットに挿入された略U字形導体の脚部部
分に接続用の導体を介して接続した構成とする。
【0010】上記3相電動機において、好ましくは、前
記略U字形導体の脚部部分の幅が前記開放型スロットの
開口部のスリット幅より大きい。
【0011】また、好ましくは、前記略U字形導体の脚
部部分の幅が前記固定子鉄心の各スロットの径方向内側
の幅にほぼ等しい。
【0012】さらに、好ましくは、前記略U字形導体の
脚部部分は全て軸方向の同じ側から前記固定子鉄心の各
スロットに挿入されている。
【0013】また、好ましくは、前記略U字形導体は1
本の導体で1極1ターンの固定子巻線を構成しており、
前記固定子鉄心の各スロットに異なる略U字形導体の2
本の脚部部分が上下2層に配置されている。
【0014】また、好ましくは、前記固定子鉄心の各ス
ロットに異なる略U字形導体の複数本の脚部部分が上下
複数層に配置されており、前記略U字形導体の各脚部部
分の断面形状を、断面積が同じで各脚部部分が位置する
スロット形状に適合した略台形とした。
【0015】
【作用】以上のように構成した本発明の3相電動機にお
いては、固定子巻線を、1本の導体をU字形状に屈曲さ
せた略U字形導体で構成したことにより、接続用の導体
を介して異なる略U字形導体同士を接続するとき、銅棒
で固定子巻線を構成する従来技術に比しその接続点が減
少すると共に、その接続のための略U字形導体の軸方向
スペースも少なくて済むため固定子巻線の巻線長は短く
なる。これにより、固定子巻線の巻線抵抗が減少し、電
機子巻線の銅損も減少し、モータ効率が高くなる。ま
た、上記のように導体同士の接続点が減少するので、そ
の接続部の発熱や絶縁処理等も減少し、信頼性が高くな
ると共に、固定子巻線の形成作業が容易になる、コスト
が安価になる等の利点がある。さらに、略U字形導体の
脚部部分を固定子鉄心の各スロットに軸方向より挿入す
ることにより、開放型スロットを有する固定子鉄心を用
いる場合には、略U字形導体の脚部部分の幅に比しスロ
ットの開口部のスリット幅を充分小さくすることがで
き、あるいはクローズド型スロットを有する固定子鉄心
を用いることができ、これによりスリットによる回転子
損失が低減され、信頼性が向上しかつ騒音が少なくな
る。また、上記略U字形導体のU字の脚部部分を略矩形
の断面形状としたことにより、スロット内の占積率が高
くすることが可能となり、その結果、固定子巻線の抵抗
が小さくなり、モータ効率が高くなると共に、固定子巻
線の熱伝導性が良くなり、固定子巻線の温度上昇が低減
される。
【0016】また、開放型スロットを有する固定子鉄心
を用いる場合には、略U字形導体の脚部部分の幅を開放
型スロットの開口部のスリット幅より大きくするか、あ
るいは固定子鉄心の各スロットの径方向内側の幅にほぼ
等しくすることにより、クローズド型スロットを有する
固定子鉄心を用いる場合には、略U字形導体の脚部部分
の幅を固定子鉄心の各スロットの径方向内側の幅にほぼ
等しくすることにより、スロット内の占積率が高くな
り、これにより、固定子巻線の抵抗が小さくなり、モー
タ効率がより高くなると共に、固定子巻線の熱伝導性能
が良くなり、固定子巻線の温度上昇がより低減される。
【0017】また、略U字形導体の脚部部分を全て軸方
向の同じ側から固定子鉄心の各スロットに挿入すること
により、接続用の導体を介しての異なる略U字形導体同
士の接続は固定子の軸方向のいずれか一方の側だけで済
み、その接続のための略U字形導体の軸方向スペースも
その側だけに存在することになり、これによりモータが
軸方向に短くなり、モータの小型化が可能となる。
【0018】また、略U字形導体の各脚部部分の断面形
状を、断面積が同じで各脚部部分が位置するスロット形
状に適合した略台形としたことにより、スロット内の占
積率をより高くすることが可能となり、固定子巻線の抵
抗が小さくなり、モータ効率がより高くなると共に、固
定子巻線の熱伝導性能が良くなり、固定子巻線の温度上
昇がより低減される。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。まず、本発明の一実施例を図1〜図10により説
明する。本実施例の3相電動機は誘導電動機1であり、
この誘導電動機1は図1に示すように固定子2を備えて
いる。固定子2はハウジング9と、このハウジング9の
内周面に固定された固定子鉄心4と、この固定子鉄心4
に巻装された固定子巻線5とを有している。固定子2と
は一定のギャップを隔てて回転子3が配置され、この回
転子3はシャフト8と、このシャフト8に一体回転可能
に取り付けられ例えば積層珪素鋼板からなる回転子鉄心
6と、導体71及びエンドリング721,722からな
る篭型巻線7とを有している。また、シャフト8はベア
リング11,111及びエンドブラケット10,101
によって固定子2に回転自在に保持される。
【0020】固定子2の固定子鉄心4は図2に示すよう
に、径方向内側に開口した12個の開放型スロット12
を有し、各々のスロット12内に固定子巻線5が納めら
れている。この固定子巻線5は図3に示すように、U
相、V相、W相からなる3相固定子巻線であり、一端が
モータ端子U,V,W、他端が中性点UN,VN,WN
となっている。U相、V相、W相の各中性点UN,V
N,WNは共通に接続され、モータ端子U,V,Wはイ
ンバータ等の駆動用電源に接続されている。固定子鉄心
4及び固定子巻線5は全体で3相4極を構成している。
【0021】固定子巻線5は図4に示すように、1本の
導体を略U字形状に屈曲させかつU字の脚部部分5a,
5bを略矩形(四角形)例えば略長方形の断面形状とし
た略U字形導体5Aと、異なる略U字形導体5A同士を
所定の関係で接続する接続用導体5Bとで構成され、略
U字形導体5Aの脚部部分5a,5bを固定子鉄心4の
各スロット12に軸方向より挿入し、その脚部部分5
a,5bを異なるスロット12に挿入された略U字形導
体5Aの脚部部分5a,5bに接続用導体5Bを介して
接続する。なお、略U字形導体5Aの脚部部分5a,5
bには端子部5c,5dが設けられ、この端子部5c,
5dに接続用導体5Bを結合して異なる略U字形導体5
A同士を接続したり、固定子巻線5のモータ端子U,
V,W及び中性点UN,VN,WNと接続する。
【0022】略U字形導体5Aは、図5に示すように、
1本の導体で1極1ターンの固定子巻線5を構成してお
り、固定子鉄心4の各スロット12に異なる略U字形導
体5Aの2本の脚部部分5a,5bが上下2層に配置さ
れている。また、略U字形導体5Aは、脚部部分5a,
5bの幅Hがスロット12の開口部12aのスリット幅
Sより大きくかつ各スロット12の径方向内側の幅Kに
ほぼ等しい。また、脚部部分5a,5bの断面積は等し
いことは言うまでもない。
【0023】固定子巻線5を形成する作業を図6及び図
7に示す。図6及び図7は説明を解りやすくするために
図2を平面に展開した図であり、U相の固定子巻線5の
みについて示している。略U字形導体5Aは図6に示す
ように、脚部部分5a,5bが全て固定子鉄心4の軸方
向の同じ側からスロット12に挿入した後で、所定の接
続が行われる。
【0024】すなわち、1つの略U字形導体5Aの脚部
部分5a,5bのうち一方の脚部部分5aはU相(1)
のスロット12の径方向内側(開口部12a側)に納め
られ、他方の脚部部分5bはU’相(4)のスロット1
2の径方向外側(反開口部側)に納められる。同様に、
1つの略U字形導体5Aの脚部部分5a,5bのうち一
方の脚部部分5aはU’相(4)のスロット12の径方
向内側に納められ、他方の脚部部分5bはU相(7)の
スロット12の径方向外側に納められ、1つの略U字形
導体5Aの脚部部分5a,5bのうち一方の脚部部分5
aはU相(7)のスロット12の径方向内側に納めら
れ、他方の脚部部分5bはU’相(10)のスロット1
2の径方向外側に納められ、1つの略U字形導体5Aの
脚部部分5a,5bのうち一方の脚部部分5aはU’相
(10)のスロット12の径方向内側に納められ、他方
の脚部部分5bはU相(1)のスロット12の径方向外
側に納められる。なお、図示はしないが、V相及びW相
も同様の方法で構成される。固定子鉄心4のスロット1
2に軸方向より挿入された略U字形導体5Aの各脚部部
分5a,5bの端部は固定子鉄心4に沿って成形し、例
えば図7に示すように略長方形若しくは亀甲型の略U字
形導体5Aになるようにする。成形された略U字形導体
5Aの端子部5c,5dには、例えば隣接する各略U字
形導体5Aの巻方向が逆方向となるよう接続用導体5B
を結合して各々直列に接続する。このようにして、U
相、V相、W相の固定子巻線5がそれぞれ形成される。
【0025】なお、図8に示すように略U字形導体50
の脚部部分50a,50bが、例えばU相(7)のスロ
ット12の径方向外側とU’相(10)のスロット12
の径方向内側にすっぽり挿入されるように、前もって略
U字形導体50の中央部分50fを段状に成形しておい
てもよく、このようにすれば作業性が向上する。
【0026】以上のように構成した本実施例の3相電動
機によれば、U相、V相、W相の各々の固定子巻線5
を、1本の導体をU字形状に屈曲させた略U字形導体5
Aで構成し、この略U字形導体5Aの脚部部分5a,5
bを全て軸方向の同じ側から固定子鉄心4の各スロット
12に挿入し、接続用導体5Bを略U字形導体5Aの端
子部5aに結合して異なる略U字形導体5A同士を所定
の関係で接続するので、略U字形導体5A同士の接続が
固定子2の軸方向のいずれか一方の側だけで済み、銅棒
を用いて固定子巻線を形成する場合に比し、その接続点
が半分になると共に、その接続のための略U字形導体5
Aの軸方向スペースも半分で済むため固定子巻線5の巻
線長(コイルエンド長)は短くなる。このため、固定子
巻線5の巻線抵抗が減少し、回転子3の篭型巻線7の銅
損(I2R損:Iは巻線電流、Rは巻線抵抗)も減少
し、モータ効率が高くなる。また、略U字形導体5A同
士の接続点が少ないので、その接続部の発熱や絶縁処理
等も減少し、信頼性が高くなると共に、固定子巻線5の
形成作業が容易になる、コストが安価になる等の利点が
ある。さらに、略U字形導体5A同士の接続のための略
U字形導体5Aの軸方向スペースは固定子2の軸方向の
いずれか一方の側だけに存在することになり、誘導電動
機1が軸方向に短くなり小型化が可能となる。
【0027】また、図9及び図10に示すように、複数
本の丸線材を並列接続することにより固定子巻線55を
構成する場合には、例え整列に巻いても線間には空隙部
ができ出来てしまうことは避けられない。実際には、作
業性、生産性、線材の潰れや絶縁不良等の信頼性等から
整列巻は困難であるため、線間の空隙部は増加し、スロ
ット12内の占積率は低下する。
【0028】これに対し本実施例では、固定子巻線5を
1本の導体からなりかつU字の脚部部分5a,5bを略
長方形の断面形状とした略U字形導体5Aで構成すると
共に、略U字形導体5Aの脚部部分5a,5bの幅がス
ロット12の開口部12aのスリット幅Sより大きくか
つ固定子鉄心4の各スロット12の径方向内側の幅Kに
ほぼ等しいので、スロット12内の占積率の向上を図る
ことができ、これにより、固定子巻線5の抵抗が小さく
なり、モータ効率が高くなると共に、固定子巻線5の熱
伝導性が良くなり、固定子巻線5の温度上昇が低減され
る。
【0029】また、略U字形導体5Aの脚部部分5a,
5bを固定子鉄心4の各スロット12に軸方向より挿入
するので、略U字形導体5Aの幅Hに比しスリット幅S
を充分小さくでき、これによりスリット12aによる回
転子損失が低減され、信頼性が向上しかつ騒音が少なく
なる。
【0030】以上のように本実施例によれば、固定子巻
線5の巻線抵抗が減少し、モータ効率が高くなる。ま
た、略U字形導体5Aと接続用導体5Bの接続部の発熱
や絶縁処理等も減少し、信頼性が高くなると共に、固定
子巻線5の形成作業が容易になる、コストが安価になる
等の利点がある。さらに、誘導電動機1が軸方向に短く
なり小型化が可能となる。
【0031】また、スロット12内の占積率が向上し、
モータ効率が高くなると共に、固定子巻線5の温度上昇
が低減される。また、スリット12aによる回転子損失
が低減され、信頼性が向上しかつ騒音が少なくなる。
【0032】本発明の他の実施例を図11及び図12に
より説明する。この実施例の固定子巻線は、図11及び
図12に示すように、スロット12内に納められる略U
字形導体51の脚部部分51a,51bの断面形状を、
各脚部部分51a,51bが位置するスロット12の形
状に適合した略台形として、スロット12の径方向内側
及び径方向外側によって断面形状を異なる様にしてい
る。すなわち、略U字形導体51のスロット12の径方
向内側に納められる脚部部分51aの断面形状とスロッ
ト12の径方向外側に納められる脚部部分51bの断面
形状は断面積を同じくして、各々スロット12の形状に
応じて形状を異なるようにしており、脚部部分51a,
51bを合わせた断面形状はほぼスロット形状と合うよ
うに構成されている。このような断面形状を持つ略U字
形導体51の脚部部分51a,51bは、例えば図11
に示すように、丸線の線材を略台形の形状に圧縮成型す
ることにより得られ、この略U字形導体51の脚部部分
51a,51bを固定子鉄心4のスロット12に軸方向
より挿入することにより上記の構成が得られる。
【0033】本実施例によれば、スロット12内の占積
率がより高くなるため、固定子巻線の抵抗が小さくな
り、モータ効率がより高くなると共に、固定子巻線の熱
伝導性が良くなり、固定子巻線の温度上昇がより低減さ
れる。
【0034】本発明のさらに他の実施例を図13により
説明する。この実施例は開放型スロット12を有する固
定子鉄心4の代わりに、スリットの無いクローズド型ス
ロット120を有する固定子鉄心41とし、固定子巻線
5の略U字形導体5Aの脚部部分5a,5bを固定子鉄
心41のスロット120に軸方向より挿入したものであ
る。このものにおいて、略U字形導体5Aの脚部部分5
a,5bの幅Hを各スロット12の径方向内側の幅Kに
ほぼ等しくすることは、前述の開放型スロット12を有
する固定子鉄心4を用いる実施例と同様である。
【0035】本実施例によれば、スリットによる回転子
損失が無くなり、より信頼性が向上しかつ騒音が少なく
なる。
【0036】なお、以上の実施例においては、固定子巻
線5の略U字形導体5A;51を単線である1本の導体
で構成するものしたが、これに限らず熱溶着性の絶縁エ
ナメルの丸線もしくは平各線を多数集合させて1本の導
体に整形したもので構成することも可能である。この場
合には、高周波の抵抗が小さくなり、モータ効率が向上
する。
【0037】また、固定子鉄心4;41の各スロット1
2;120に異なる略U字形導体5A;51の2本の脚
部部分5a,5b;51a,51bが上下2層に配置さ
れる構成としたが、これに限らず異なる略U字形導体の
複数本の脚部部分が上下複数層に配置される構成として
もよい。この場合には、略U字形導体の各脚部部分の断
面形状を、断面積が同じで各脚部部分が位置するスロッ
トの形状に適合した略台形とする。
【0038】また、固定子巻線5の略U字形導体5A;
51の脚部部分5a,5b;51a,51bを全て固定
子鉄心4;41の軸方向の一方よりスロット12;12
0に挿入する場合について示したが、例えば2台のイン
バータにより回転数を高速用及び低速用に切り替えて運
転する場合などでは、高速駆動用の固定子巻線と低速駆
動用の固定子巻線とを分けて、各々別々に固定子鉄心
4;41の軸方向の両方よりスロット12;120に挿
入しても良い。この場合、電動機の固定子巻線の引出線
を左右に引き出し、各々左右のインバータに接続すれ
ば、電気自動車駆動用として使用する場合などでは、電
気自動車の重量バランスがとれると共に、インバータも
左右に配置するためインバータが発生する熱も分散で
き、インバータへの配線も最短距離で行えるなどの利点
があり、電気自動車全体の信頼性が高まる。
【0039】また、本発明は回転型の誘導電動機に適用
した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、
直線型のリニアモータに適用しても同様の効果が得られ
る。また、同期電動機にも適用でき、この場合には、固
定子と永久磁石回転子の磁極間に働くコギングトルクの
低減効果が得られる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、固定子巻線を、1本の
導体をU字形状に屈曲させかつU字の脚部部分を略矩形
の断面形状とした略U字形導体で構成したので、固定子
巻線の巻線抵抗が減少し、電機子巻線の銅損も減少し、
モータ効率が高くなると共に、導体同士の接続点が減少
し、信頼性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象とする3相誘導電動機の断面図で
ある。
【図2】本発明の一実施例における固定子の断面図であ
る。
【図3】本発明の対象とする3相誘導電動機の結線例で
ある。
【図4】図1に示す固定子巻線を構成する略U字形導体
の一例である。
【図5】図2に示す固定子の拡大断面図である。
【図6】図5に示す略U字形導体挿入の展開平面図であ
る。
【図7】図3に示すU相固定子巻線の接続例である。
【図8】図4に示す略U字形導体の他の例である。
【図9】丸線材を複数本並列に束ねて固定子巻線を構成
したときの固定子の断面図及び固定子巻線の概略図であ
る。
【図10】図9に示す固定子巻線部の拡大図である。
【図11】本発明の他の実施例における固定子巻線を実
現するための一例である。
【図12】図11に示す固定子巻線を有する固定子の拡
大断面図である。
【図13】本発明のさらに他の実施例の固定子の拡大断
面図である。
【符号の説明】
1 3相誘導電動機 2 固定子 4 固定子鉄心 5 固定子巻線 5A 略U字形導体 5B 接続用導体 5a,5b 脚部部分 12 スロット 12a スロット開口部(スリット) 41 固定子鉄心 51 略U字形導体 51a,51b 脚部部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 種田 幸記 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 渋川 末太郎 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 径方向内側に開口した複数の開放型スロ
    ットを有する固定子鉄心と、前記固定子鉄心の各スロッ
    トに巻装された固定子巻線とを備えた3相電動機におい
    て、 前記固定子巻線を、1本の導体をU字形状に屈曲させか
    つU字の脚部部分を略矩形の断面形状とした略U字形導
    体で構成し、この略U字形導体の脚部部分を前記固定子
    鉄心の各スロットに軸方向より挿入し、前記脚部部分を
    異なるスロットに挿入された略U字形導体の脚部部分に
    接続用の導体を介して接続したことを特徴とする3相電
    動機。
  2. 【請求項2】 径方向内側に開口しない複数のクローズ
    ド型スロットを有する固定子鉄心と、前記固定子鉄心の
    各スロットに巻装された固定子巻線とを備えた3相電動
    機において、 前記固定子巻線を、1本の導体をU字形状に屈曲させか
    つU字の脚部部分を略矩形の断面形状とした略U字形導
    体で構成し、この略U字形導体の脚部部分を前記固定子
    鉄心の各スロットに軸方向より挿入し、前記脚部部分を
    異なるスロットに挿入された略U字形導体の脚部部分に
    接続用の導体を介して接続したことを特徴とする3相電
    動機。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の3相電動機において、前
    記略U字形導体の脚部部分の幅が前記開放型スロットの
    開口部のスリット幅より大きいことを特徴とする3相電
    動機。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の3相電動機にお
    いて、前記略U字形導体の脚部部分の幅が前記固定子鉄
    心の各スロットの径方向内側の幅にほぼ等しいことを特
    徴とする3相電動機。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の3相電動機にお
    いて、前記略U字形導体の脚部部分は全て軸方向の同じ
    側から前記固定子鉄心の各スロットに挿入されているこ
    とを特徴とする3相電動機。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載の3相電動機にお
    いて、前記略U字形導体は1本の導体で1極1ターンの
    固定子巻線を構成しており、前記固定子鉄心の各スロッ
    トに異なる略U字形導体の2本の脚部部分が上下2層に
    配置されていることを特徴とする3相電動機。
  7. 【請求項7】 請求項1または2記載の3相電動機にお
    いて、前記固定子鉄心の各スロットに異なる略U字形導
    体の複数本の脚部部分が上下複数層に配置されており、
    前記略U字形導体の各脚部部分の断面形状を、断面積が
    同じで各脚部部分が位置するスロット形状に適合した略
    台形としたことを特徴とする3相電動機。
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