JPH08199247A - 金属帯の熱処理炉 - Google Patents
金属帯の熱処理炉Info
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- JPH08199247A JPH08199247A JP788795A JP788795A JPH08199247A JP H08199247 A JPH08199247 A JP H08199247A JP 788795 A JP788795 A JP 788795A JP 788795 A JP788795 A JP 788795A JP H08199247 A JPH08199247 A JP H08199247A
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- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は金属帯を連続的に通板する熱処理炉
において、オーダーの多品種、小ロット化による種々な
熱処理やサイズの幅広化のなかで蛇行・絞りといった通
板トラブルがなく、かつ複雑な装置も設けずに、安定し
た技術を提供することを目的とする。 【構成】 炉内に設けられた複数のテーパロールにより
金属帯を搬送しながら連続的に熱処理する竪型熱処理炉
において、前記熱処理炉の一部または全部において、上
部に設置されているテーパロールのフラット部長さが、
下部に設置されているテーパロールのフラット部長さよ
りも長いことを特徴とする金属帯の熱処理炉。
において、オーダーの多品種、小ロット化による種々な
熱処理やサイズの幅広化のなかで蛇行・絞りといった通
板トラブルがなく、かつ複雑な装置も設けずに、安定し
た技術を提供することを目的とする。 【構成】 炉内に設けられた複数のテーパロールにより
金属帯を搬送しながら連続的に熱処理する竪型熱処理炉
において、前記熱処理炉の一部または全部において、上
部に設置されているテーパロールのフラット部長さが、
下部に設置されているテーパロールのフラット部長さよ
りも長いことを特徴とする金属帯の熱処理炉。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属帯(鋼帯等)を通板
する熱処理炉、とくに連続焼鈍炉において、蛇行(横ず
れ)や絞り(ヒートバックル)を防止する技術に関す
る。
する熱処理炉、とくに連続焼鈍炉において、蛇行(横ず
れ)や絞り(ヒートバックル)を防止する技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、連続焼鈍炉で金属帯を所定の温度
条件及び張力条件で通板するときには、金属帯が薄く
幅広、高温焼鈍、高張力、炉内ロール形状が不適
合(過大テーパ、過大クラウン、過小フラット部長さ)
の場合に、絞り(ヒートバックル)が発生し、通板上の
トラブルによる、製造能力の低下および歩留の低下の要
因となっていた。
条件及び張力条件で通板するときには、金属帯が薄く
幅広、高温焼鈍、高張力、炉内ロール形状が不適
合(過大テーパ、過大クラウン、過小フラット部長さ)
の場合に、絞り(ヒートバックル)が発生し、通板上の
トラブルによる、製造能力の低下および歩留の低下の要
因となっていた。
【0003】また、金属帯の形状、温度と炉温のバラン
ス、張力、速度条件によっては蛇行(横ずれ)が発生
し、このずれ量が大きくなると金属帯が炉内で炉壁に衝
突し、エッジ損傷したり、破断したりしていた。
ス、張力、速度条件によっては蛇行(横ずれ)が発生
し、このずれ量が大きくなると金属帯が炉内で炉壁に衝
突し、エッジ損傷したり、破断したりしていた。
【0004】これらの対策として、特開昭56−629
27号公報においては、ストリップの進行方向に沿って
1個以上をおいて胴部輪郭形状の異なる複雑種類のロー
ル配置を行なう技術が開示されており、実施例として、
幅狭材通板用としてMC=2、FL=600mm、また
幅広通板用としてMC=4、FL=900mmなる炉内
ロールを竪型連続焼鈍炉に配備し、ストリップの幅変更
が大きくても横ずれを起こすことなく通板できる例があ
げられている。ここで、MCはロールのメカニカルクラ
ウン(=(ロールフラット部径)−(ロール端部径))
であり、FLはロールフラット部長さである。
27号公報においては、ストリップの進行方向に沿って
1個以上をおいて胴部輪郭形状の異なる複雑種類のロー
ル配置を行なう技術が開示されており、実施例として、
幅狭材通板用としてMC=2、FL=600mm、また
幅広通板用としてMC=4、FL=900mmなる炉内
ロールを竪型連続焼鈍炉に配備し、ストリップの幅変更
が大きくても横ずれを起こすことなく通板できる例があ
げられている。ここで、MCはロールのメカニカルクラ
ウン(=(ロールフラット部径)−(ロール端部径))
であり、FLはロールフラット部長さである。
【0005】また、特公昭62−37697号公報で
は、竪型連続焼鈍炉において、上テーパロールMC<下
テーパロールMCとすることで極低炭素鋼板(IF鋼)
を絞りなく通板できる技術が開示されており、実施例と
して、通常のテーパロールではテーパ指数R(=(MC
/2)/Lt×1000)を、上ロールR≦1.2、下
ロールR≧1.2とする例があげられている。ここでL
tはテーパロールのテーパ部長さである。
は、竪型連続焼鈍炉において、上テーパロールMC<下
テーパロールMCとすることで極低炭素鋼板(IF鋼)
を絞りなく通板できる技術が開示されており、実施例と
して、通常のテーパロールではテーパ指数R(=(MC
/2)/Lt×1000)を、上ロールR≦1.2、下
ロールR≧1.2とする例があげられている。ここでL
tはテーパロールのテーパ部長さである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来技術には以下の様な問題点があった。
来技術には以下の様な問題点があった。
【0007】特開昭56−62927号公報に開示され
た技術では、幅狭用ロールと幅広用ロールを上下に配置
し、それぞれのロール配置を組合せ、サイズ(板幅)変
更があっても蛇行が発生しないと述べている。しかし、
幅狭用ロールはロールフラット部長さが短いため、幅の
広い金属帯が通板されると金属帯に作用する張力の大き
い上部ロールで絞りが発生する。ところがこの場合にお
いては、常に幅狭用ロールが竪型連続焼鈍炉内の上部に
1個以上配置されており、これでは薄物幅広材通板時に
蛇行は抑制できても絞りは防止できない。
た技術では、幅狭用ロールと幅広用ロールを上下に配置
し、それぞれのロール配置を組合せ、サイズ(板幅)変
更があっても蛇行が発生しないと述べている。しかし、
幅狭用ロールはロールフラット部長さが短いため、幅の
広い金属帯が通板されると金属帯に作用する張力の大き
い上部ロールで絞りが発生する。ところがこの場合にお
いては、常に幅狭用ロールが竪型連続焼鈍炉内の上部に
1個以上配置されており、これでは薄物幅広材通板時に
蛇行は抑制できても絞りは防止できない。
【0008】また、特公昭62−37697号公報に開
示された技術においては、下テーパロールに対し上テー
パロールのテーパまたはクラウンを小さくするべく、ロ
ールのテーパ指数を規定している。しかしながら、本発
明の発明者らは、テーパロールのフラット部長さに対す
る金属帯の板幅長さの比がある値より大きくなると、テ
ーパ指数をいくら考慮しても絞り防止は不可能であると
いう知見を得た。
示された技術においては、下テーパロールに対し上テー
パロールのテーパまたはクラウンを小さくするべく、ロ
ールのテーパ指数を規定している。しかしながら、本発
明の発明者らは、テーパロールのフラット部長さに対す
る金属帯の板幅長さの比がある値より大きくなると、テ
ーパ指数をいくら考慮しても絞り防止は不可能であると
いう知見を得た。
【0009】上述のごとく、従来技術では蛇行は防止で
きても、絞りは防止できないという問題点があった。本
発明は、オーダーの多品種、小ロット化による種々な熱
処理やサイズの幅広化のなかで蛇行・絞りといった通板
トラブルがなく、かつ複雑な装置も設けずに、安定した
製造技術を提供することを目的とする。
きても、絞りは防止できないという問題点があった。本
発明は、オーダーの多品種、小ロット化による種々な熱
処理やサイズの幅広化のなかで蛇行・絞りといった通板
トラブルがなく、かつ複雑な装置も設けずに、安定した
製造技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題は以下の手段に
より解決される。 炉内に設けられた複数のテーパロールにより金属帯
を搬送しながら連続的に熱処理する竪型熱処理炉におい
て、前記熱処理炉の一部または全部において、上部に設
置されているテーパロールのフラット部長さが、下部に
設置されているテーパロールのフラット部長さよりも長
い金属帯の熱処理炉である。 炉内に設けられた複数のテーパロールにより金属帯
を搬送しながら連続的に熱処理する竪型熱処理炉におい
て、前記熱処理炉の一部または全部において、金属帯の
板幅(W)と上部に設置されているテーパロールのフラ
ット部長さ(FL)との関係が以下の式(1) となること
を特徴とする請求項1項の金属帯の熱処理炉である。
より解決される。 炉内に設けられた複数のテーパロールにより金属帯
を搬送しながら連続的に熱処理する竪型熱処理炉におい
て、前記熱処理炉の一部または全部において、上部に設
置されているテーパロールのフラット部長さが、下部に
設置されているテーパロールのフラット部長さよりも長
い金属帯の熱処理炉である。 炉内に設けられた複数のテーパロールにより金属帯
を搬送しながら連続的に熱処理する竪型熱処理炉におい
て、前記熱処理炉の一部または全部において、金属帯の
板幅(W)と上部に設置されているテーパロールのフラ
ット部長さ(FL)との関係が以下の式(1) となること
を特徴とする請求項1項の金属帯の熱処理炉である。
【0011】1.1≦W/FL≦2.4 (1)
【0012】
【作用】熱処理炉の位置別に、テーパロールのフラット
部長さには最適範囲があり、かつ金属帯の板幅長さとの
比をある値の範囲にすることで、蛇行も絞り防止も可能
であるという知見に基づくものである。
部長さには最適範囲があり、かつ金属帯の板幅長さとの
比をある値の範囲にすることで、蛇行も絞り防止も可能
であるという知見に基づくものである。
【0013】図1はテーパクラウンロールのロール形状
差による蛇行修正能力を示した図であり、ライン長とと
もに初期の蛇行量が修正される変化を示している。図1
からフラット部長さが短いNO1〜3ほど蛇行修正の時
間が速く、蛇行修正能力が高いことがわかり、逆に絞り
が発生している。また図1に示す様にメカニカルクラウ
ンが大きい方が蛇行修正能力が高いことがいえる。
差による蛇行修正能力を示した図であり、ライン長とと
もに初期の蛇行量が修正される変化を示している。図1
からフラット部長さが短いNO1〜3ほど蛇行修正の時
間が速く、蛇行修正能力が高いことがわかり、逆に絞り
が発生している。また図1に示す様にメカニカルクラウ
ンが大きい方が蛇行修正能力が高いことがいえる。
【0014】なお、下部テーパロールにおいては、上部
テーパロール程金属帯に作用する張力は大きくならず、
絞り発生の問題は起きていない。
テーパロール程金属帯に作用する張力は大きくならず、
絞り発生の問題は起きていない。
【0015】しかし張力が小さくなると、フラット部の
大きいテーパロールでは蛇行修正能力が小さいためNO
5のように蛇行が発生する。従って、下部テーパロール
においては、蛇行修正能力の高いテーパロールのフラッ
ト部長さの短いロール形状を選択する必要がある。
大きいテーパロールでは蛇行修正能力が小さいためNO
5のように蛇行が発生する。従って、下部テーパロール
においては、蛇行修正能力の高いテーパロールのフラッ
ト部長さの短いロール形状を選択する必要がある。
【0016】以上のことから、上部に設置されているテ
ーパロールのフラット部長さが、下部に設置されている
テーパロールのフラット部長さよりも長いテーパロール
とし、これらのテーパロールを例えばNO4のように上
下組み合わせることにより、絞りと蛇行の発生を防止す
ることができる。
ーパロールのフラット部長さが、下部に設置されている
テーパロールのフラット部長さよりも長いテーパロール
とし、これらのテーパロールを例えばNO4のように上
下組み合わせることにより、絞りと蛇行の発生を防止す
ることができる。
【0017】テーパロールのフラット部長さFLに対す
る金属帯の板幅Wの比をロール形状係数Sと定めれば、
実験結果からS>2.4 ではメカニカルクラウンMCが0
より大きい場合、テーパ指数Rをいくら考慮しても絞り
防止は不可能という結果が得られた。また、S<1.1 で
は蛇行が発生する可能性が高い。従って、上部テーパロ
ールのロール形状係数を1.1 ≦S≦2.4 とすれば、上部
テーパロールの絞りおよび蛇行の発生を防ぐことができ
る。
る金属帯の板幅Wの比をロール形状係数Sと定めれば、
実験結果からS>2.4 ではメカニカルクラウンMCが0
より大きい場合、テーパ指数Rをいくら考慮しても絞り
防止は不可能という結果が得られた。また、S<1.1 で
は蛇行が発生する可能性が高い。従って、上部テーパロ
ールのロール形状係数を1.1 ≦S≦2.4 とすれば、上部
テーパロールの絞りおよび蛇行の発生を防ぐことができ
る。
【0018】図2はその傾向を示した図で、ロール形状
係数と上部テーパロールにおける金属帯に作用する張力
との関係を示した図であり、上下のロールフラット部長
さFLが等しい場合と、上部のロールフラット部長さF
Lを長くした場合との結果を比較してある。図2におい
てMCはいづれも0.8mm で、■印は本願発明の上部FL
=800mm 、下部FL=600mm の張力の測定結果であり、
+印は発明外の上部FL=600mm 、下部FL=600mm の
張力の測定結果であり、X印は発明外の上部FL=600m
m 、下部FL=600mm の絞り発生時の張力の測定結果で
ある。また、図における曲線は、図の絞り発生結果から
推定される、絞り発生限界張力σcrの傾向線である。
係数と上部テーパロールにおける金属帯に作用する張力
との関係を示した図であり、上下のロールフラット部長
さFLが等しい場合と、上部のロールフラット部長さF
Lを長くした場合との結果を比較してある。図2におい
てMCはいづれも0.8mm で、■印は本願発明の上部FL
=800mm 、下部FL=600mm の張力の測定結果であり、
+印は発明外の上部FL=600mm 、下部FL=600mm の
張力の測定結果であり、X印は発明外の上部FL=600m
m 、下部FL=600mm の絞り発生時の張力の測定結果で
ある。また、図における曲線は、図の絞り発生結果から
推定される、絞り発生限界張力σcrの傾向線である。
【0019】図から明らかな様に、上下のロールフラッ
ト部長さが等しい場合には、絞りが発生するが、上部の
ロールフラット部長さを長くした場合には絞りが発生し
ない。また図2から明らかな様に、ロール形状係数S≦
2.4 の範囲では絞り発生限界張力が高いため、絞りの発
生が見られない。なお、下部のロール形状係数について
は1.1≦S≦3.2 の範囲であることが望ましい。1.1未
満では蛇行が大きくなり、3.2 を超えると絞りが発生す
る。
ト部長さが等しい場合には、絞りが発生するが、上部の
ロールフラット部長さを長くした場合には絞りが発生し
ない。また図2から明らかな様に、ロール形状係数S≦
2.4 の範囲では絞り発生限界張力が高いため、絞りの発
生が見られない。なお、下部のロール形状係数について
は1.1≦S≦3.2 の範囲であることが望ましい。1.1未
満では蛇行が大きくなり、3.2 を超えると絞りが発生す
る。
【0020】
【実施例】図1はテーパクラウンロールのロール形状差
による蛇行修正能力を示した図であり、ライン長ととも
に初期の蛇行量が修正される変化を示している。図1か
ら本願発明のテーパロールを例えばNO4のように上下
組み合わせることにより、絞りと蛇行の発生を防止する
ことができることがわかる。
による蛇行修正能力を示した図であり、ライン長ととも
に初期の蛇行量が修正される変化を示している。図1か
ら本願発明のテーパロールを例えばNO4のように上下
組み合わせることにより、絞りと蛇行の発生を防止する
ことができることがわかる。
【0021】更に、細かく炉内での金属帯に負荷される
実際の張力について検討する。ここで炉内上部テーパロ
ール張力をσt 、炉内下部テーパロール張力をσb とす
ると、常に、σb <σt となる。すなわち、連続熱処理
炉内の上下テーパロールでは金属帯に負荷される実際の
張力がその自重分だけ異なり、上部テーパロール張力の
方が大きくなる。従って、絞り発生防止の観点からは、
上部では絞りの発生しにくいテーパロールのフラット部
長さの長いロール形状を選択する必要があることがわか
る。
実際の張力について検討する。ここで炉内上部テーパロ
ール張力をσt 、炉内下部テーパロール張力をσb とす
ると、常に、σb <σt となる。すなわち、連続熱処理
炉内の上下テーパロールでは金属帯に負荷される実際の
張力がその自重分だけ異なり、上部テーパロール張力の
方が大きくなる。従って、絞り発生防止の観点からは、
上部では絞りの発生しにくいテーパロールのフラット部
長さの長いロール形状を選択する必要があることがわか
る。
【0022】炉内の金属帯に作用する張力σは絞りと蛇
行防止の観点から後述の(2)式の、σmin <σ<σcr
の条件を満たすことが必要である。
行防止の観点から後述の(2)式の、σmin <σ<σcr
の条件を満たすことが必要である。
【0023】即ち、炉内に設けられた複数のテーパロー
ルにより金属帯を搬送しながら連続的に熱処理する熱処
理炉の張力制御方法において、前記熱処理炉の一部また
は全部のテーパロールにおける金属帯に作用する張力
(σ)を測定し、前記張力が下記の式(2) の範囲にはい
るようロール形状あるいは張力を調整することが好まし
い。
ルにより金属帯を搬送しながら連続的に熱処理する熱処
理炉の張力制御方法において、前記熱処理炉の一部また
は全部のテーパロールにおける金属帯に作用する張力
(σ)を測定し、前記張力が下記の式(2) の範囲にはい
るようロール形状あるいは張力を調整することが好まし
い。
【0024】σmin <σ<σcr (2) ただし、 σcr=K・tA ・(W−FL) B ・θh C ・E σmin :蛇行防止に必要な張力(kgf/mm2) σcr :絞り発生限界張力(kgf/mm2) t :板厚 (mm) W :板幅 (mm) FL:ロールフラット部長さ (mm) θh :熱間のロールテーパ勾配 (rad) E :弾性係数(kgf/mm2) K,A,B,C:定数 一方、竪型連続熱処理炉において炉内上下に設置された
ロールを介して薄物幅広の金属帯を搬送・熱処理する際
の絞りの発生の問題は、トータルクラウンが大きいほど
絞り易いことを知見している。
ロールを介して薄物幅広の金属帯を搬送・熱処理する際
の絞りの発生の問題は、トータルクラウンが大きいほど
絞り易いことを知見している。
【0025】ΔCrh=ΔCrc+Hc (3) ここで符号の意味は以下の通りである。
【0026】ΔCrh:熱間時のロールクラウン(トータ
ルクラウン) ΔCrc:常温時のトータルクラウン Hc :ヒートクラウン
ルクラウン) ΔCrc:常温時のトータルクラウン Hc :ヒートクラウン
【0027】図3はこれらの符号の意味を示した図であ
る。図3において、1は金属帯、2はテーパロール、M
Cはロールのメカニカルクラウン、FLはロールフラッ
ト部長さ、θh は熱間のロールテーパ勾配、θc は常温
時のロールテーパ勾配である。
る。図3において、1は金属帯、2はテーパロール、M
Cはロールのメカニカルクラウン、FLはロールフラッ
ト部長さ、θh は熱間のロールテーパ勾配、θc は常温
時のロールテーパ勾配である。
【0028】しかしながら、ロールクラウンの条件だけ
では絞り発生の限界は予測できず、金属帯に働く張力が
これ以上になると絞りが発生する限界の張力として、絞
り発生限界張力σcrを定め、金属帯の板厚、板幅、弾性
係数、トータルクラウンによるテーパ部勾配、ロールフ
ラット部長さを含んだ、絞り発生限界張力σcrに関する
以下の式(4) なる条件式を導いた。
では絞り発生の限界は予測できず、金属帯に働く張力が
これ以上になると絞りが発生する限界の張力として、絞
り発生限界張力σcrを定め、金属帯の板厚、板幅、弾性
係数、トータルクラウンによるテーパ部勾配、ロールフ
ラット部長さを含んだ、絞り発生限界張力σcrに関する
以下の式(4) なる条件式を導いた。
【0029】 σcr=K・tA ・(W−FL) B ・θh C ・E (4) ここで、係数K、A、B、Cは実験に基づく回帰式から
得られる。実験は、実機の竪型連続焼鈍炉において、金
属帯(鋼帯)の板幅1540〜1820mm、テーパロールのテー
パ部長さ 600〜800mm 、メカニカルクラウン 0.3〜0.8m
m の範囲において実験を行い、連続焼鈍炉炉内の上部テ
ーパロールのチョックに取り付けた歪ゲージにより、ロ
ールに働く荷重を測定し、金属帯の断面積で除すること
により、金属帯に作用する張力を求めることができる。
得られる。実験は、実機の竪型連続焼鈍炉において、金
属帯(鋼帯)の板幅1540〜1820mm、テーパロールのテー
パ部長さ 600〜800mm 、メカニカルクラウン 0.3〜0.8m
m の範囲において実験を行い、連続焼鈍炉炉内の上部テ
ーパロールのチョックに取り付けた歪ゲージにより、ロ
ールに働く荷重を測定し、金属帯の断面積で除すること
により、金属帯に作用する張力を求めることができる。
【0030】従って、(4) 式によってσcrを定め、実験
結果から得られるσmin の値を定めれば、金属帯に作用
する張力σを測定することにより、この値が絞り発生限
界張力σcr以下、および蛇行防止に必要な張力σmin 以
上となる様にロール形状あるいは張力の調整をすること
によって、絞りと蛇行の発生を防止することが可能であ
る。
結果から得られるσmin の値を定めれば、金属帯に作用
する張力σを測定することにより、この値が絞り発生限
界張力σcr以下、および蛇行防止に必要な張力σmin 以
上となる様にロール形状あるいは張力の調整をすること
によって、絞りと蛇行の発生を防止することが可能であ
る。
【0031】図4はこれらの実験結果の重回帰計算結果
により得られた板幅と板厚の比(W/t)を一定とした
場合の金属帯の板幅と絞り発生限界張力との関係を示し
た図である。図4から明らかな様に、本願発明のテーパ
ロールのフラット部長さを長くすることで、絞り発生限
界張力を高めることができるのは明らかである。
により得られた板幅と板厚の比(W/t)を一定とした
場合の金属帯の板幅と絞り発生限界張力との関係を示し
た図である。図4から明らかな様に、本願発明のテーパ
ロールのフラット部長さを長くすることで、絞り発生限
界張力を高めることができるのは明らかである。
【0032】図5はロール形状係数と上部テーパロール
における金属帯に作用する張力との関係を示した図2と
は異なる図であり、メカニカルクラウンMCの異なるロ
ール形状の結果を比較してある。図5において本願発明
の■印は上部ロールのFL800mm 、MC=0.3mm 、下部
ロールのFL600mm 、MC=0.8mm 、本願発明の+印は
上部ロールのFL800mm 、MC=0.8mm 、下部ロールの
FL600mm 、MC=0.8mm 、◇印は発明外の上部ロール
のFL600mm 、MC=0.8mm 、下部ロールのFL600mm
、MC=0.8mm の張力の測定結果である。また、金属
帯の板厚tは0.5〜1.0mm 、板幅Wは1540〜1820mmであ
る。
における金属帯に作用する張力との関係を示した図2と
は異なる図であり、メカニカルクラウンMCの異なるロ
ール形状の結果を比較してある。図5において本願発明
の■印は上部ロールのFL800mm 、MC=0.3mm 、下部
ロールのFL600mm 、MC=0.8mm 、本願発明の+印は
上部ロールのFL800mm 、MC=0.8mm 、下部ロールの
FL600mm 、MC=0.8mm 、◇印は発明外の上部ロール
のFL600mm 、MC=0.8mm 、下部ロールのFL600mm
、MC=0.8mm の張力の測定結果である。また、金属
帯の板厚tは0.5〜1.0mm 、板幅Wは1540〜1820mmであ
る。
【0033】図5からわかるように、本願発明のテーパ
ロールのフラット部長さを長くすることで、絞り発生限
界張力を高めることができるのは明らかである。更に、
メカニカルクラウンMCを小さくすることにより、高い
張力でも絞りの発生がなく、絞り発生限界張力が向上す
るものである。
ロールのフラット部長さを長くすることで、絞り発生限
界張力を高めることができるのは明らかである。更に、
メカニカルクラウンMCを小さくすることにより、高い
張力でも絞りの発生がなく、絞り発生限界張力が向上す
るものである。
【0034】図6は本発明による金属帯に作用する張力
制御の概念図を示した図である。図6において、図3と
同一部分には同一符号を付し説明を省略する。図6にお
いて、3は入側ブライドルロール、4は出側ブライドル
ロール、5は張力制御装置である。炉内の搬送ロール
(テーパロール)2の一部または全部のチョック部に取
り付けられた張力測定器から張力の測定値が張力制御装
置5に送られ、この値が(4) 式に基づく絞り発生限界張
力σcr以下、および蛇行防止に必要な張力σmin(実験結
果から得られた例としてσmin =0.2kgf/mm2) 以上とな
る様に、駆動可能な炉内の搬送ロール(テーパロール)
2、入側ブライドルロール3および出側ブライドルロー
ル4のいずれかまたは全部の回転数を制御している。な
お、この場合における熱処理炉は竪型でも、部分的な横
型炉を含む竪型炉でも可能である。
制御の概念図を示した図である。図6において、図3と
同一部分には同一符号を付し説明を省略する。図6にお
いて、3は入側ブライドルロール、4は出側ブライドル
ロール、5は張力制御装置である。炉内の搬送ロール
(テーパロール)2の一部または全部のチョック部に取
り付けられた張力測定器から張力の測定値が張力制御装
置5に送られ、この値が(4) 式に基づく絞り発生限界張
力σcr以下、および蛇行防止に必要な張力σmin(実験結
果から得られた例としてσmin =0.2kgf/mm2) 以上とな
る様に、駆動可能な炉内の搬送ロール(テーパロール)
2、入側ブライドルロール3および出側ブライドルロー
ル4のいずれかまたは全部の回転数を制御している。な
お、この場合における熱処理炉は竪型でも、部分的な横
型炉を含む竪型炉でも可能である。
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明によればオーダー
の多品種、小ロット化による種々な熱処理やサイズの幅
広化のなかで蛇行・絞りといった通板トラブルがなく、
安定した製造が可能となる。
の多品種、小ロット化による種々な熱処理やサイズの幅
広化のなかで蛇行・絞りといった通板トラブルがなく、
安定した製造が可能となる。
【図1】ロール形状差による蛇行修正能力を示した図。
【図2】本発明によるロール形状係数と金属帯に作用す
る張力との関係を示した図。
る張力との関係を示した図。
【図3】ロールクラウン等の符号の意味を示した図。
【図4】金属帯の板幅と絞り発生限界張力との関係を示
した図。
した図。
【図5】本発明による図2とは異なるロール形状係数と
金属帯に作用する張力との関係を示した図。
金属帯に作用する張力との関係を示した図。
【図6】本発明による金属帯に作用する張力制御の概念
図を示した図。
図を示した図。
1 金属帯 2 テーパロール 5 張力制御装置
Claims (2)
- 【請求項1】 炉内に設けられた複数のテーパロールに
より金属帯を搬送しながら連続的に熱処理する竪型熱処
理炉において、前記熱処理炉の一部または全部におい
て、上部に設置されているテーパロールのフラット部長
さが、下部に設置されているテーパロールのフラット部
長さよりも長いことを特徴とする金属帯の熱処理炉。 - 【請求項2】 炉内に設けられた複数のテーパロールに
より金属帯を搬送しながら連続的に熱処理する竪型熱処
理炉において、前記熱処理炉の一部または全部におい
て、金属帯の板幅(W)と上部に設置されているテーパ
ロールのフラット部長さ(FL)との関係が以下の式
(1) となることを特徴とする請求項1項の金属帯の熱処
理炉。 1.1≦W/FL≦2.4 (1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00788795A JP3588840B2 (ja) | 1995-01-23 | 1995-01-23 | 金属帯の熱処理炉 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00788795A JP3588840B2 (ja) | 1995-01-23 | 1995-01-23 | 金属帯の熱処理炉 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002105072A Division JP3870820B2 (ja) | 2002-04-08 | 2002-04-08 | 金属帯の熱処理炉 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08199247A true JPH08199247A (ja) | 1996-08-06 |
JP3588840B2 JP3588840B2 (ja) | 2004-11-17 |
Family
ID=11678108
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00788795A Expired - Fee Related JP3588840B2 (ja) | 1995-01-23 | 1995-01-23 | 金属帯の熱処理炉 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3588840B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6238209B1 (en) | 2000-05-17 | 2001-05-29 | Kawasaki Steel Corporation | Hearth rolls for heating furnace and soaking furnace of vertical heat treating furnace and vertical heat treating furnace including hearth rolls |
-
1995
- 1995-01-23 JP JP00788795A patent/JP3588840B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6238209B1 (en) | 2000-05-17 | 2001-05-29 | Kawasaki Steel Corporation | Hearth rolls for heating furnace and soaking furnace of vertical heat treating furnace and vertical heat treating furnace including hearth rolls |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3588840B2 (ja) | 2004-11-17 |
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