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JPH08187586A - インクジェット記録ヘッド及びその製造方法及びその製造装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド及びその製造方法及びその製造装置

Info

Publication number
JPH08187586A
JPH08187586A JP6329000A JP32900094A JPH08187586A JP H08187586 A JPH08187586 A JP H08187586A JP 6329000 A JP6329000 A JP 6329000A JP 32900094 A JP32900094 A JP 32900094A JP H08187586 A JPH08187586 A JP H08187586A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
orifice
orifice plate
recording head
manufacturing
jet recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6329000A
Other languages
English (en)
Inventor
Norihiro Ochi
教博 越智
Koji Kubota
浩司 久保田
康史 ▲鶴▼井
Yasushi Tsurui
Yoshio Kanayama
義雄 金山
久 ▲吉▼村
Hisashi Yoshimura
Kouichi Irihara
絋一 入原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP6329000A priority Critical patent/JPH08187586A/ja
Publication of JPH08187586A publication Critical patent/JPH08187586A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Laser Beam Processing (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】オリフィスプレートにカーボンを付着させずに
またレーザ光によって傷をつけないインクジェット記録
ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。 【構成】オリフィスプレート(11)の同一面側で、エ
キシマレーザ光(22)の照射部位を挟んで両側から酸
素ガスの吹き付け(30)と吸引除去(31)を行い、
また、内部を空洞にし、表面に空洞に通ずる複数の通気
孔を設けたた載物台(26)の上にオリフィスプレート
をおき、前記空洞の内部を吸引することによりオリフィ
スプレートを載物台に固定するインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクをオリフィスよ
り吐出させることで記録を行うイングジェット記録装置
に関し、特に、インクジェット記録ヘッドの製造方法及
び製造装置及びその製造方法で製造されたインクジェッ
ト記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年においては、オンデマンド型インク
ジェット記録装置に要求される高印字品質に応えるた
め、インク吐出口となるオリフィスを高精度に加工する
べく、エキシマレーザを用いる方法が一般的となってき
ている。このエキシマレーザによるオリフィスの加工
は、オリフィスプレートとなる樹脂フィルムをインク路
に連通する開口が配された開口面に接合した後、エキシ
マレーザ光を照射する方法や、又は、ヘッド基板と接合
することで、インク路を形成するための凹部を有する天
板とオリフィスプレートとを一体の樹脂として形成した
後、エキシマレーザ光を照射してオリフィスを形成する
方法などが提案されている。
【0003】図9は上記従来技術の一例である特開平4
−279357号公報に記載されたヘッドの構成部材を
示す図であり、オリフィス(207) 、流路講(208) 、オリ
フィスプレート(206) を一体形成した天板(205) が示さ
れている。
【0004】このオリフィス加工の様子を第10図に示
す。
【0005】図10において、エキシマレーザ発振装置
(201) 、エキシマレーザ光(202) 、集光レンズ(203) 、
オリフィスのパターンマスク(204) を図の様な配置とし
て、オリフィスプレート(206) へオリフィス加工する。
【0006】この際、レーザにより除去加工された物
が、被加工物表面に付着するのを防ぐため、ガス吹き付
けノズル(210) より、ヘリウムガスやイオン化したエア
ーを吹き付けて加工を行っている。
【0007】ここで、エキシマレーザにより樹脂材に加
工を行う場合、加工の際に発生したオリフィスの周辺に
付着する異物は、被加工物の破片も含まれるが、大半は
カーボン(すす、炭素)である。
【0008】しかしながら、従来のヘリウムガスやイオ
ン化したエヤーを吹き付ける方法においては、固形物の
除去は可能であったが、カーボンの付着を防ぐことは非
常に困難であった。
【0009】一方、一般的にオリフィスプレートにおい
ては、その表面は使用するインクに対して撥水性である
ことが好ましいとされている。これは、親水性である場
合はインク吐出の際などに発生するインクの飛沫がオリ
フィスプレート表面に容易に付着し、その影響でインク
の吐出方向が曲がってしまう、等の吐出不良を起こす原
因となるからである。そのため、オリフィスプレートの
材料としては、ガラスなどの親水性材料を避け、比較的
加工し易く撥水性を示す樹脂材料が多く用いられる。
【0010】しかし、この材料にオリフィスを加工した
場合、発生したカーボンがオリフィス周辺に付着したの
では、その部分は親水性となってしまい、上述のように
吐出不良の原因となる。そこで従来は加工後に、オリフ
ィス周辺に付着したカーボンを落とすための洗浄を行っ
ていた。
【0011】また、カーボンの樹脂材料への付着は、か
なり強固であるため、通常の超音波洗浄などでは洗浄が
不十分であり、アルコールを含ませた布帛などによる拭
き取りを行っていたが、この際にオリフィスプレート表
面に傷を付けることもしばし起こっていた。この場合、
たとえ材料自体が撥水性材料であっても、材料の表面に
微小な傷が多く付けられると、その部分は疑似的に親水
性を示すため、このような拭き取りを行うことは非常に
危険であった。
【0012】また、一般的にエキシマレーザ加工機を用
いて加工を行う場合、被加工物を移動制御可能な台の上
に載せ、治具などで固定するのが最も一般的である。
【0013】しかし、台の上に被加工物を載せて加工を
行う場合、溝加工の様な不貫通加工であれば良いが、本
件オリフィス加工のように、貫通孔をあける加工におい
ては、孔の貫通後、レーザ光が被加工物の裏側へ通過
し、台の表面で反射して被加工物の裏側に照射されるた
め、裏面や孔の内面を傷つける場合があった。
【0014】これを図を用いて以下に説明する。図5
(a)は載物台(26)上に固定された被加工物(オリフィ
スプレート)(11)ヘエキシマレーザ光(22)を照射し、加
工を行う様子を示すものである。加工が進行し、孔が貫
通するとレーザ光(22)は載物台(26)の表面で反射し、図
5(b)の様に貫通した孔の壁面等に当り、周囲を加工
してしまう。これを避ける方法としては、エキシマレー
ザ光による加工が進行していき、孔が貫通したと同時に
レーザ光の照射を停止すれば良いが、この場合、孔の貫
通する瞬間を検出することは容易ではない。
【0015】また、従来のオリフィス加工方法では、オ
リフィスプレートが記録ヘッド基材や流路の天板材等と
接合された後、又は特開平4−279357号公報に記
載されているように、それらが一体として形成された後
からエキシマレーザ光を照射してオリフィスの形成を行
っていた。しかし、これらの場合、被加工物の形状が単
純でないため、エキシマレーザ光を照射する際の被加工
物の固定方法が難しく、専用の固定治具などを用意して
加工を行う必要があった。このような専用治具は、オリ
フィスプレートに傷を付けるおそれがある。
【0016】さらにオリフィスプレートのみを固定する
場合でも治具によって固定するとオリフィスプレートを
傷つけるおそれがある。
【0017】従来の方法によれば、オリフィスプレート
の加工時にオリフィス周辺のカーボンの付着や、傷を完
全に解消することが困難なため、先に述べたようにオリ
フィス周辺が親水性となってしまう。このようなオリフ
ィスプレートを用いて記録ヘッドを構成した場合、その
インク吐出方向が安定せず、良好な印刷は得られなかっ
た。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、載
物台上のオリフィスプレートをエキシマレーザ光で加工
する場合に、オリフィスプレートにカーボンが付着し、
載物台に反射したレーザ光がオリフィスプレートを傷つ
けるという問題点を解決し、オリフィスプレートにカー
ボンを付着させずにまたレーザ光によって傷をつけない
インクジェット記録ヘッドの製造方法及びカーボン付着
による汚れがなく傷のないオリフィスプレートを含む、
インクの吐出方向が乱れず、安定した吐出が可能なイン
クジェット記録ヘッド及びカーボン付着による汚れがな
く傷のないオリフィスプレートを製造するための装置を
提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明の
方法は、エキシマレーザ光を照射しながら酸素ガスを吹
き付けることで前記オリフィスを形成することを特徴と
する。
【0020】請求項2に記載の発明の方法は、オリフィ
スプレート表面に滞留した酸素ガスを吸引除去すること
を特徴とする。
【0021】請求項3に記載の発明の方法は、オリフィ
スプレートの同一面側で、エキシマレーザ光の照射部位
を挟んで両側から酸素ガスの吹き付けと吸引除去を行う
ことを特徴とする。
【0022】請求項4に記載の発明の方法は、金属板の
上にガラス基板を密着して構成した載物台の上にオリフ
ィスプレートをおき、オリフィスプレートにエキシマレ
ーザ光を照射してオリフィスを形成することを特徴とす
る。
【0023】請求項5に記載の発明の方法は、石英ガラ
スの載物台の上にオリフィスプレートをおき、オリフィ
スプレートにエキシマレーザ光を照射してオリフィスを
形成することを特徴とする。
【0024】請求項6に記載の発明の方法は、樹脂台の
上にガラス基板を密着して構成した載物台の上にオリフ
ィスプレートをおき、オリフィスプレートにエキシマレ
ーザ光を照射してオリフィスを形成することを特徴とす
る。
【0025】請求項7に記載の発明の方法は、ヘッド基
板と接合する前の状態のオリフィスプレートにオリフィ
スを形成することを特徴とする。
【0026】請求項8に記載の発明の方法は、内部を空
洞にし、表面に前記空洞に通ずる複数の通気孔を設けた
た載物台の上にオリフィスプレートをおき、前記空洞の
内部を吸引することにより前記オリフィスプレートを載
物台に固定することを特徴とする。
【0027】請求項9に記載の発明のインクジェット記
録ヘッドは、請求項1から請求項8ののいずれか一項に
記載の方法によって製造された、オリフィスの周囲に汚
れや傷がないオリフィスプレートによって構成されてい
る。
【0028】請求項10に記載の発明の装置は、オリフ
ィスプレートを固定するための載物台であって、内部に
空洞を有し、前記オリフィスプレート接する表面に前記
空洞と通ずる複数の通気孔を設けた載物台と、前記空洞
の内部の圧力を低下させて前記オリフィスプレートを前
記載物台に固定するための吸引用のポンプと、前記載物
台の空洞と前記ポンプとを接続するチューブと、吸引の
制御を行うために前記チューブの途中に設けられた開閉
弁と、前記オリフィスプレートに酸素ガスを吹き付ける
ガス噴射ノズルと、ガス吸引ノズルとを具備することを
特徴とする。
【0029】
【作用】請求項1に記載の発明の方法によれば、オリフ
ィス加工の際、エキシマレーザ光の照射によって発生す
るカーボンを、酸素ガスを吹き付けながら加工を行うこ
とによって、単に気体の吹き付けによる物理的な除去だ
けでなく、カーボン(炭素)と酸素の反応性が高いこと
を利用して除去を行う為、オリフィスプレートへのカー
ボンの付着を避けることができる。
【0030】請求項2に記載の発明の方法によれば、オ
リフィス加工の際、エキシマレーザ光の照射によって発
生するカーボンを、酸素ガスを吹き付けることに加え
て、別の箇所よりガスを吸引することで、オリフィスプ
レート上のガスの滞留を抑え、効率良く炭素と酸素を反
応させることが可能となる。
【0031】請求項3に記載の発明の方法によれば、酸
素ガスを吹き付ける部位から、吸引除去する部位へと定
常的なガスの流れが生じ、その途中にエキシマレーザ光
の照射される部位が位置するため、加工の際に発生する
カーボンは常に、流動する新鮮な酸素ガスと混合され、
除去されるため、確実にオリフィスプレートへの付着を
避けることが可能となる。
【0032】請求項4に記載の発明の方法によれば、エ
キシマレーザ光を照射してオリフィスを形成する工程に
おいて、載物台として、樹脂台の上にガラス基板を密着
させたものを用いて加工を行うので、貫通孔加工を行う
場合に、レーザ光が被加工物を貫通して、その後の反射
により被加工物の裏側を加工してしまい傷つけることを
防ぐことができる。
【0033】請求項5に記載の発明の方法によれば、エ
キシマレーザ光を照射してオリフィスを形成する工程に
おいて、載物台として、石英ガラス台を用いて加工を行
うので、貫通孔加工を行う場合に、レーザ光が被加工物
を貫通して、その後の反射により被加工物の裏側を加工
してしまい傷つけることを防ぐことができる。
【0034】請求項6に記載の発明の方法によれば、エ
キシマレーザ光を照射してオリフィスを形成する工程に
おいて、載物台として、樹脂台の上にガラス基板を密着
させたものを用いて加工を行うので、貫通孔加工を行う
場合に、レーザ光が被加工物を貫通して、その後の反射
により被加工物の裏側を加工してしまい傷つけることを
防ぐことができる。
【0035】請求項7に記載の発明によれば、エキシマ
レーザを用いての加工の際、オリフィスプレートとなる
樹脂フィルムの状態で先ずオリフィス孔加工を行い、そ
の後他の部材と接合させてヘッドを構成するといった手
順とすることにより、レーザ加工時に単一のフィルム状
態での加工となることから、比較的に被加工物の固定を
容易に行うことが可能となる。
【0036】請求項8に記載の発明の方法によれば、吸
引によってオリフィスプレートを載物台に固定するの
で、治具などによりオリフィスプレートに傷を付けるお
それがない。
【0037】請求項9に記載の発明の記録ヘッドによれ
ば、請求項1から請求項8に記載の発明の方法によって
製造された、オリフィスの周囲に汚れや傷がないオリフ
ィスプレートによって構成されているので、良好なイン
ク吐出を得ることができる。
【0038】請求項10に記載の発明の装置によれば、
エキシマレーザを用いての加工の際に用いる載物台を、
被加工物を固定する表面から載物台内部に連通する複数
の通気孔が設けられており、各通気孔は該載物台の内部
に連通するチューブと該チューブの途中に設けられた開
閉弁と該チューブのもう一方の端部に設けられた吸引ポ
ンプとが連通する様に構成することで、被加工物を載物
台上に吸引固定可能とする。この状態でエキシマレーザ
孔を照射してオリフィスを形成することで、加工物の固
定を容易にするだけでなく、取付け治具などによりオリ
フィスの周辺に傷が付くことを防ぐこともできる。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0040】図1は本発明のインクジェット方式記録ヘ
ッドを用いた記録装置の概略全体斜視図である。この図
において、記録紙はプラテン(4) に巻き付けられキャリ
ッジ(3) の走査により記録が行われるものである。さら
に詳しくは、キャリッジ(3)はプラテン(4) の回転軸に
平行な方向に往復走査されるものであり、そのキャリッ
ジ(3) 上には記録ヘッド(1) 及び記録ヘッド(1) に連通
した状態で記録用のインクを供給するためのインク収容
部(2) が構成される。記録ヘッド(1) はプラテン(4) に
対向する位置に設けられ、キャリッジ(3) の走査に伴い
往復動しながら記録を行うものである。
【0041】図2は記録ヘッドの組立図である。ここで
記録ヘッドは、インク収容部より供給されてきたインク
を各吐出口毎に分配させるインク流路講(15)及び、その
壁面の一部にはインクを吐出するために利用されるエネ
ルギを発生するエネルギ発生素子(14)を有した基板(13)
と、エネルギ発生素子(14)の配設部位に対応してインク
を吐出するためのオリフィス(12)が形成されたオリフィ
スプレート(11)を接合することで得られるものである。
【0042】図3はオリフィスプレートを作製するた
め、樹脂フィルムにエキシマレーザ光を照射してオリフ
ィス加工を行う様子を示したものである。エキシマレー
ザ光を発振するレーザ出射口(21)より発振されたレーザ
光(22)は、オリフィスのパターンが一定のピッチで複数
個配設されたパターンマスク(23)、及び集光レンズ(24)
を経て、オリフィスプレート(11)上にオリフィス形状を
結像させる。この際、オリフィスプレート(11)は様々な
方向に移動可能な可動ステージ(25)上に設けられた載物
台(26)上に固定され、その載物台(26)はチューブ(29)に
よって開閉弁(27)と吸引ポンプ(28)に接続されている。
また、オリフィスプレート(11)上のレーザ光照射位置に
酸素ガスを吹き付けるためのガス噴射ノズル(30)、及び
それとは同一面で且つレーザ光照射位置を挟んで反対側
にガスを吸引除去するガス吸引器(31)を設置する。この
構成によりオリフィスプレート(11)上に酸素ガスを一様
に流しながらレーザ光の照射が可能となる。
【0043】次に、載物台(26)の構造について説明す
る。図4は本発明の請求項8に記載した発明の方法を実
現するための載物台の構成を示す図面である。ステンレ
ス製の載物台基体(26b) には前記のチューブ(29)が接続
されており、一面に複数の貫通孔を有した多穴板(26a)
と接合されることにより載物台が構成される。このよう
な構造とする事により、図3の吸引ポンプ(28)、開閉弁
(27)の作用で被加工物であるオリフィスプレートを多穴
板上に吸引固定することが可能となる。
【0044】また、請求項4から請求項6に記載した発
明の方法においては、図4における多穴板(26a) 及び載
物台基体(26b) を、夫々その断面が図6から図8のよう
な構成及び材質とすることにより、被加工物であるオリ
フィスプレートを多穴板上に吸引固定することが可能と
なる。
【0045】図6は請求項4に記載した発明の方法を実
現するための載物台の構成を示す図である。エキシマレ
ーザ光(22)によるオリフィス形成時に、貫通した後のレ
ーザ光はその一部はガラス基板(32)に吸収され、一部は
ガラス基板(32)を通過し、金属台(33)表面で反射する。
反射したレーザ光はその後、オリフィスプレート(1
1)の裏面に当たるが、この時点ではレーザ光は透過や
反射中にエネルギが分散し、弱くなっている。また通
常、このようなレーザ加工の場合はマスクパターンの形
状を結像させる位置は被加工物の表面であり、金属台で
反射して被加工物裏面に照射される位置ではピンドがず
れていることになる。よって、このような反射によるも
のではレーザ光のエネルギは非常に弱く被加工物である
オリフィスプレートは傷つかない。
【0046】図7は請求項5に記載した発明の方法を実
現するための載物台の構成を示す図である。エキシマレ
ーザ光(22)によるオリフィス形成時に、貫通した後のレ
ーザ光は、エキシマレーザ光を約90%透過する石英ガラ
ス基板(34)を通過し、その後、大気中に分散する。約10
%の反射したレーザ光はオリフィスプレート(11)の裏面
などに当たるが、この時点ではレーザ光は非常に弱く被
加工物は傷つかない。
【0047】図8は請求項6に記載した発明の方法を実
現するための載物台の構成を示す図である。エキシマレ
ーザ光(22)によるオリフィス形成時に、貫通した後のレ
ーザ光はその一部がガラス基板(35)を通過し、樹脂台(3
6)中に吸収される。この際、一般的な樹脂類はこのレー
ザ光をほぼ 100%吸収してしまうためレーザ光はガラス
基板(35)中を通過してきた事によりそのエネルギはわず
かに弱くなっているものの、樹脂台(36)は加工されるこ
ととなる。しかし、この樹脂台(36)を加工したことによ
って、オリフィスプレート(11)を通過したレーザ光は全
て消費されるため、その後の反射や散乱による他の部分
への影響を完全に防ぐことができ、被加工物を余分に傷
つけることなく加工が可能である。また、この構成の場
合、被加工物を載せる台の表面はガラスでありこの部分
は加工されないため、載物台の表面を保つことができ、
且つ、先に述べた第6図のガラス基板(32)に比べ、この
場合のガラス基板(35)はレーザ光を透過させる役目のみ
であるため、非常に薄い材料を用いることができる。
【0048】次に、実際に加工実験を行った結果につい
て説明する。
【0049】実験に使用したエキシマレーザ光は、波長
248nm 、KrFエキシマレーザで、そのエネルギ密度は
被加工面上で約2[J/cm2]となる設定とした。
【0050】被加工物として、厚さ 200μmのポリエー
テルサルホンを用い、直径35μmの貫通孔を一定のピッ
チで加工した。酸素ガス、窒素ガスとも吹き付けなかっ
た場合、窒素ガスを吹き付けた場合、酸素ガスを吹き付
けた場合について実験を行った。
【0051】図11は、酸素ガス、窒素ガスとも吹き付
けを行わず、エキシマレーザ光の照射のみにより加工を
行った後に、レーザ光の入射側よりオリフィスを見た図
である。オリフィスと同心円状に多くのカーボンが付着
している。
【0052】図12は、窒素ガスの吹き付けを行いなが
ら、エキシマレーザ光を照射して加工を行った後に、レ
ーザ光の入射側よりオリフィスを見た図である。窒素ガ
スの吹き付けにより、カーボンの付着はわずかに少なく
なっているが、これは前述の様に物理的な作用によるも
のであるため、発生したカーボンはガスの流れに伴い、
下流側に流されて付着している。
【0053】よって、このような従来方法によっては、
カーボンの付着を完全に防止することはできなかった。
【0054】これに対して、図13は、請求項3に記載
した内容に従い、酸素ガスの吹き付けと吸引除去を図3
に示した構成にて行った後に、レーザ光の入射側よりオ
リフィスを見た図である。オリフィス周辺にはカーボン
は殆ど付着しておらず、非常に良好な結果が得られた。
【0055】以上述べたように、本発明の製造方法によ
れば、その表面状態が非常に良好で、且つ、非常に精度
の高い均一なオリフィス形状が得られるため、このオリ
フィスプレートを用いた記録ヘッドは、従来の記録ヘッ
ドに比べインク吐出方向のばらつきが小さく、良好な記
録結果が得られるものである。
【0056】
【発明の効果】請求項1に記載の発明の方法によれば、
オリフィス加工の際、エキシマレーザ光の照射によって
発生するカーボンを、酸素ガスを吹き付けながら加工を
行うことによって、単に気体の吹き付けによる物理的な
除去だけでなく、カーボン(炭素)と酸素の反応性が高
いことを利用して除去を行う為、オリフィスプレートへ
のカーボンの付着を避けることができる。したがって、
オリフィス周辺部にレーザ加工時発生する異物が付着し
ないため、記録ヘッドを構成した場合、記録時に不要な
インクが吐出口周辺に付着せず、方向ばらつきの無いイ
ンクの吐出が可能なインクジェット記録ヘッドを製造す
ることができる。
【0057】請求項2に記載の発明の方法によれば、オ
リフィス加工の際、エキシマレーザ光の照射によって発
生するカーボンを、酸素ガスを吹き付けることに加え
て、別の個所よりガスを吸引することで、オリフィスプ
レート上のガスの滞留を抑え、効率良く炭素と酸素を反
応させることが可能となる。これによって、オリフィス
周辺部にレーザ加工時に発生する異物をさらに効果的に
付着させないようにすることが可能で、方向ばらつきの
無いインクの吐出が可能な記録ヘッドを得ることが可能
である。また、オリフィスプレート加工後の洗浄が非常
に簡単で済むようになる。
【0058】請求項3に記載の発明の方法によれば、酸
素ガスを吹き付ける部位から、吸引除去する部位へと定
常的なガスの流れが生じ、その途中にエキシマレーザ光
の照射される部位が位置するため、加工の際に発生する
カーボンは常に、流動する新鮮な酸素ガスと混合され、
除去される。したがって、オリフィス周辺部に、レーザ
加工時に発生する異物を確実に付着させないようにする
ことが可能で、加工後の洗浄も不要である。その結果、
非常に容易に、方向ばらつきの無い安定したインクの吐
出が可能な記録ヘッドを得ることが可能である。
【0059】請求項4に記載の発明の方法によれば、エ
キシマレーザ光を照射してオリフィスを形成する工程に
おいて、載物台として、樹脂台の上にガラス基板を密着
させたものを用いて加工を行うので、貫通孔加工を行う
場合に、レーザ光が被加工物を貫通して、その後の反射
により被加工物の裏側を加工してしまい傷つけることを
防ぐことができる。したがって、この加工方法によるオ
リフィスプレートを用いて記録ヘッドを構成した場合、
記録時に方向ばらつきの無いインクの吐出が可能とな
る。
【0060】請求項5に記載の発明の方法によれば、エ
キシマレーザ光を照射してオリフィスを形成する工程に
おいて、載物台として、石英ガラス台を用いて加工を行
うので、貫通孔加工を行う場合に、レーザ光が被加工物
を貫通して、その後の反射により被加工物の裏側を加工
してしまい傷つけることを防ぐことができる。したがっ
て、この加工方法によるオリフィスプレートを用いて記
録ヘッドを構成した場合、記録時に方向ばらつきの無い
インクの吐出が可能となる。
【0061】請求項6に記載の発明の方法によれば、エ
キシマレーザ光を照射してオリフィスを形成する工程に
おいて、載物台として、樹脂台の上にガラス基板を密着
させたものを用いて加工を行うので、貫通孔加工を行う
場合に、レーザ光が被加工物を貫通して、その後の反射
により被加工物の裏側を加工してしまい傷つけることを
防ぐことができる。したがって、この加工方法によるオ
リフィスプレートを用いて記録ヘッドを構成した場合、
記録時に方向ばらつきの無いインクの吐出が可能とな
る。
【0062】請求項7に記載の発明によれば、エキシマ
レーザを用いての加工の際、オリフィスプレートとなる
樹脂フィルムの状態で先ずオリフィス孔加工を行い、そ
の後他の部材と接合させてヘッドを構成するといった手
順とすることにより、レーザ加工時に単一のフィルム状
態での加工となることから、比較的に被加工物の固定を
容易に行うことが可能となる。また、この方法により、
オリフィスプレートをレーザ加工した後、その表面を改
質処理する場合なども、従来ではオリフィスプレートが
既に天板やヘッド基板と一体化しているためその一部だ
けを別途処理することは難しかったが、本発明の場合は
その点、容易である。さらに、レーザ加工の際に不貫通
穴が生じた場合などの不良品が出ても、良品のみをその
後の組立工程に送ればよいわけで、即ちヘッド製造の歩
留まりも向上する。
【0063】請求項8に記載の発明の方法によれば、吸
引によってオリフィスプレートを載物台に固定するの
で、治具などによりオリフィスプレートに傷を付けるお
それがない。したがって、オリフィス周辺に傷がないた
め、記録時に不要なインクが吐出口周辺に付着せず、方
向ばらつきの無いインクの吐出が可能なインクジェット
記録ヘッドを製造することができる。
【0064】請求項9に記載の発明の記録ヘッドによれ
ば、請求項1から請求項8に記載の発明の方法によって
製造された、オリフィスの周囲に汚れや傷がないオリフ
ィスプレートによって構成されているので、良好なイン
ク吐出を得ることができる。
【0065】請求項10に記載の発明の装置によれば、
オリフィスプレートを載物台上に吸引固定した状態でエ
キシマレーザ光を照射してオリフィスを形成すること
で、加工物の固定を容易にするだけでなく、取付け治具
などによりオリフィス周辺に傷が付くことを防ぐことも
できる。したがって、オリフィス周辺に傷や異物の付着
のないオリフィスを備えた記録ヘッドを容易に作製する
ことが可能で、複数のオリフィスを備えたインクジェッ
ト記録ヘッドに於ても、形状ばらつきや表面状態ばらつ
きが無く、インクの吐出方向の安定した記録ヘッドを得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録ヘッドを搭載した記録装置の概略
全体斜視図である。
【図2】本発明の記録ヘッドの組立概略斜視図である。
【図3】本発明の加工方法によりオリフィスプレートを
加工する場合の1実施例を示す加工装置の概略構成図で
ある。
【図4】本発明の加工方法の際に使用する載物台の構造
図である。
【図5】従来の加工方法において貫通孔を加工した場合
に、被加工物の裏側に欠けや傷が生じることを示す図で
ある。
【図6】本発明の請求項4に基づく載物台の働きを示す
図である。
【図7】本発明の請求項5に基づく載物台の働きを示す
図である。
【図8】本発明の請求項6に基づく載物台の働きを示す
図である。
【図9】従来例の記録ヘッドを構成する、オリフィスプ
レートと一体成形されたインク流路を備えた天板の概略
図である。
【図10】従来の加工方法に於て、オリフィス加工する
際の構成図である。
【図11】ガス吹き付けを行わない場合の、オリフィス
近傍のカーボンの付着の様子を示す図である。
【図12】窒素ガス吹き付けを行った場合の、オリフィ
ス近傍のカーボンの付着の様子を示す図である。
【図13】酸素ガス吹き付けと吸引除去を行った場合
の、オリフィス近傍の様子を示す図である。
【符号の説明】
1 記録ヘッド 2 インク収容部 3 キャリッジ 4 プラテン 11 オリフィスプレート 12 オリフィス 13 ヘッド基板 14 エネルギ発生素子 15 インク流路講 21 レーザ出射口 22 レーザ光 23 パターンマスク 24 集光レンズ 25 可動ステージ 26 載物台 26a 多穴板 26b 載物台基体 27 開閉弁 28 吸引ポンプ 29 チューブ 30 ガス噴射ノズル 31 ガス吸引器 32 ガラス基板 33 金属台 34 石英ガラス基板 35 ガラス基板 36 樹脂台 37 付着カーボン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金山 義雄 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 ▲吉▼村 久 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 入原 絋一 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するためのオリフィスが配
    設されたオリフィスプレートと、前記オリフィスからイ
    ンクを吐出させるための素子を有したヘッド基板とを接
    合して得られるインクジェット記録ヘッドの製造方法で
    あって、エキシマレーザ光を照射しながら酸素ガスを吹
    き付けることで前記オリフィスを形成することを特徴と
    するインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 オリフィスプレート表面に滞留した酸素
    ガスを吸引除去することを特徴とする請求項1に記載の
    インクジェット記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 オリフィスプレートの同一面側で、エキ
    シマレーザ光の照射部位を挟んで両側から酸素ガスの吹
    き付けと吸引除去を行うことを特徴とする請求項2に記
    載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 インクを吐出するためのオリフィスが配
    設されたオリフィスプレートと、前記オリフィスからイ
    ンクを吐出させるための素子を有したヘッド基板とを接
    合して得られるインクジェット記録ヘッドの製造方法で
    あって、金属板の上にガラス基板を密着して構成した載
    物台の上にオリフィスプレートをおき、前記オリフィス
    プレートにエキシマレーザ光を照射してオリフィスを形
    成することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 インクを吐出するためのオリフィスが配
    設されたオリフィスプレートと、前記オリフィスからイ
    ンクを吐出させるための素子を有したヘッド基板とを接
    合して得られるインクジェット記録ヘッドの製造方法で
    あって、石英ガラスの載物台の上にオリフィスプレート
    をおき、前記オリフィスプレートにエキシマレーザ光を
    照射してオリフィスを形成することを特徴とするインク
    ジェット記録ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 インクを吐出するためのオリフィスが配
    設されたオリフィスプレートと、前記オリフィスからイ
    ンクを吐出させるための素子を有したヘッド基板とを接
    合して得られるインクジェット記録ヘッドの製造方法で
    あって、樹脂台の上にガラス基板を密着して構成した載
    物台の上にオリフィスプレートをおき、前記オリフィス
    プレートにエキシマレーザ光を照射してオリフィスを形
    成することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 ヘッド基板と接合する前の状態のオリフ
    ィスプレートにオリフィスを形成することを特徴とする
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインクジ
    ェット記録ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 内部を空洞にし、表面に前記空洞に通ず
    る複数の通気孔を設けた載物台の上にオリフィスプレー
    トをおき、前記空洞の内部を吸引することにより前記オ
    リフィスプレートを載物台に固定することを特徴とする
    請求項1から請求項7に記載のインクジェットヘッドの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1から請求項8ののいずれか一項
    に記載の方法によって製造されるインクジェット記録ヘ
    ッド。
  10. 【請求項10】 オリフィスプレートを固定するための
    載物台であって、内部に空洞を有し、前記オリフィスプ
    レートと接する表面に前記空洞と通ずる複数の通気孔を
    設けた載物台と、 前記空洞の内部の圧力を低下させて前記オリフィスプレ
    ートを前記載物台に固定するための吸引用のポンプと、 前記載物台の空洞と前記ポンプとを接続するチューブ
    と、 吸引の制御を行うために前記チューブの途中に設けられ
    た開閉弁と、 前記オリフィスプレートに酸素ガスを吹き付けるガス噴
    射ノズルと、 ガス吸引ノズルとを具備するインクジェット記録ヘッド
    の製造装置。
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